(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043065
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】ドリル加工装置
(51)【国際特許分類】
B26F 1/16 20060101AFI20240322BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20240322BHJP
B23B 41/00 20060101ALI20240322BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B26F1/16
B26D7/18 G
B23B41/00 D
B23Q11/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148048
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000233332
【氏名又は名称】ビアメカニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】濟陽 崇志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸彦
【テーマコード(参考)】
3C011
3C021
3C036
3C060
【Fターム(参考)】
3C011BB15
3C021FD07
3C036AA01
3C060AA11
3C060BA05
3C060BG01
3C060BG20
3C060BH10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プレッシャフット下面に回動部材を有するドリル加工装置において、プレッシャフット下面と、回動部材との隙間に蓄積した切粉を原因とした、回動部材の回動不良を防止する。
【解決手段】スピンドルに係合したプレッシャフット30と、プレッシャフットの下面に回動可能に取り付けられ複数の径の異なるブッシュ38bを有する回動部材36と、装置の各部を制御する全体制御部とを備えるドリル加工装置において、圧縮空気の供給源と接続され、所定高さ位置に噴射口43a~cが設けられた円筒状のノズル42が、加工テーブル上に設けられ、全体制御部が、噴射口の高さ位置にプレッシャフットと回動部材との隙間を位置させて、噴射口から圧縮空気を噴射するよう制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工テーブルとスピンドルとを相対移動させることにより、前記加工テーブルに載置した被加工物を前記スピンドルが保持するドリルで加工するドリル加工装置であって、前記スピンドルに係合したプレッシャフットと、前記プレッシャフットの下面に回動可能に取り付けられ複数の径の異なるブッシュを有する回動部材と、装置の各部を制御する全体制御部とを備えるドリル加工装置において、
圧縮空気の供給源と接続され、所定高さ位置に噴射口が設けられた円筒状のノズルが、前記加工テーブル上に設けられ、
前記全体制御部が、前記噴射口の高さ位置に前記プレッシャフットと前記回動部材との隙間を位置させて、前記噴射口から圧縮空気を噴射するよう制御する、
ことを特徴とするドリル加工装置。
【請求項2】
前記ノズルが、該ノズルの軸心を中心に回転可能に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のドリル加工装置。
【請求項3】
前記噴射口が、前記ノズルの軸心線に平行な平面内において軸心線に対して垂直であって、前記ノズルの軸心線に垂直な平面内において軸心線に対して傾斜した貫通孔として形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のドリル加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば被加工物であるプリント基板に穴あけを行うドリル加工装置に関するものであり、特にプレッシャフットの下面に内径の異なる複数のブッシュを有する回動部材を備えるドリル加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1や2に開示されるように、プレッシャフットの下面に、内径の異なる複数のブッシュを有する回動部材を設けて、加工に使用するドリルの直径に適した内径のブッシュを選択して加工するドリル加工装置が知られている。また、特許文献3に開示されるように、プレッシャフットに切粉排出用の穴を設け、ここに接続したホースを介し、加工中に発生する切粉を集塵装置で吸引除去する加工装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-168031号公報
【特許文献2】特開2008-290193号公報
【特許文献3】特開2002-144188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、プレッシャフットの下面に回動部材を有するドリル加工装置において、加工中に集塵装置で切粉を吸引除去しても、集塵装置では吸引しきれない微細な切粉がプレッシャフットと回動部材との隙間に蓄積し、回動できなくなることがあった。かかる場合、加工装置は異常を検知して停止してしまい、清掃して切粉を除去するまでの間加工することができなくなり、生産性が低下する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、加工テーブルとスピンドルとを相対移動させることにより、前記加工テーブルに載置した被加工物を前記スピンドルが保持するドリルで加工するドリル加工装置であって、前記スピンドルに係合したプレッシャフットと、前記プレッシャフットの下面に回動可能に取り付けられ複数の径の異なるブッシュを有する回動部材と、装置の各部を制御する全体制御部とを備えるドリル加工装置において、圧縮空気の供給源と接続され、所定高さ位置に噴射口が設けられた円筒状のノズルが、前記加工テーブル上に設けられ、前記全体制御部が、前記噴射口の高さ位置に前記プレッシャフットと前記回動部材との隙間を位置させて、前記噴射口から圧縮空気を噴射するよう制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、プレッシャフットと回動部材の隙間に蓄積された微細な切粉を効果的に除去することができるので、回動部材の回動不良により加工装置が停止することを防止でき、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1の実施例における、ドリル加工装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施例における、プレッシャフット近傍の概略断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施例における、プレッシャフット及び回動部材の概略下面図である。
【
図4】本発明の第1の実施例における、エアブローユニットの概略断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施例における、清掃動作時のノズルとプレッシャフットとの位置関係を説明する図である。
【
図6】本発明の第2の実施例における、エアブローユニットの概略断面図である。
【
図7】本発明の第2の実施例における、ノズルの噴射口位置の水平方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0008】
以下、図面を用いて、本発明の第1の実施例について説明する。
図1は、本発明の第1の実施例における、ドリル加工装置の概略構成図を示すものである。
図1において、ベースとなる装置基台1上には、被加工物となるプリント基板3が載置され、X方向に駆動される加工テーブル2がある。装置基台1に据え付けられた門型コラム4には、Y方向に駆動されるクロススライド5が搭載されている。このクロススライド5には、スピンドル7を支持しZ方向に駆動されるハウジング6が搭載されている。また、プレッシャフット30がハウジング6に連結されている。なお、加工テーブル2、クロススライド5及びハウジング6は、図示を省略する駆動部により、それぞれの方向に駆動される。9はハウジング6に取付けられたサブチャックである。10、11、12はそれぞれ供給用ツールポスト、排出用ツールポスト、新しいドリルと古いドリルが区別して収納されるドリルカセットで、それぞれ加工テーブル2の上に設置されている。なお、サブチャック9は、先端にドリルを保持することができ、ドリルカセット12とツールポスト10又は11との間で、ドリルを移動させるものである。また、加工テーブル2には、エアブローユニット40が設置されている。
【0009】
20はドリル加工装置の各部の制御を行う全体制御部である。全体制御部20は、例えば、プログラム制御の処理装置を中心にして構成され、加工テーブル2、クロススライド5、ハウジング6の駆動部を制御するようなっている。また、後述するエアバルブ45及び回動部材駆動部等も制御する。
【0010】
図2は、本発明の第1の実施例における、プレッシャフット近傍の概略断面図である。スピンドル7の下方側には、穴あけ加工時にプリント基板3を押付けるためのプレッシャフット30が係合している。このプレッシャフット30はシリンダ31を介してハウジング6に連結されている。
【0011】
プレッシャフット30には排出穴32が設けられ、集塵パイプ33を介して集塵装置34と接続されており、集塵装置34を作動させることで、加工中に発生する切粉を排出できるようになっている。また、プレッシャフット30には、スピンドル7の中心軸と同心の位置に、ドリル8が通過する下部貫通孔35が形成されている。
【0012】
図3は、本発明の第1の実施例における、ドリル加工装置のプレッシャフット及び回動部材の概略下面図である。
図2及び
図3に示すように、プレッシャフット30の下面には、回動部材36が、図示を省略するベアリングを介して支持軸37に回動可能に支持されている。回動部材36には、2つの貫通孔38、39が形成され、それぞれに内径が異なるブッシュ38b、39bが固定されている。回動部材36は、図示を省略する回動部材駆動部に接続されており、R方向に回動可能となっている。全体制御部20は、回動部材駆動部を制御し、加工に使用するドリルの直径に基づいてブッシュ38bと39bのいずれかを選択し、選択したブッシュの中心と、下部貫通孔35の中心とが一致するよう回動部材36を回動し、その位置で停止させる。そして、選択したブッシュを介して基板3を加工テーブル2に押し付けて加工を行う。なお、従来は、特にプレッシャフット30と回動部材36との隙間のうち、
図2の破線円に示す下部貫通孔35の下方開口端近傍に微細な切粉が蓄積しやすく、回動不良の原因となっていた。
【0013】
図4は、本発明の第1の実施例におけるエアブローユニットの概略断面図である。
図4に示すように、エアブローユニット40は、加工テーブル2の上面に固定されたエアブロック41と、エアブロック41の上面に立設された円筒状のノズル42とを備える。ノズル42の外側面所定の高さ位置には、相互に等間隔に4つの噴射口43a~dが設けられている。噴射口43a~dは、ノズル42の軸心線に平行な平面内においても、垂直な平面内においても、軸心線に対して垂直な貫通孔として形成され、ノズル42の内側面に達している。ノズル42の内部空間は、エアブロック41の内部に形成されたエア流路を介して、圧縮空気を供給するエア供給源44と接続している。エア供給源44とノズル42との間にはエアバルブ45が設けられており、これを開閉することにより、噴射口43a~dから圧縮空気が噴射、停止するようになっている。
【0014】
次に、エアブローユニット40を用いた清掃動作を説明する。全体制御部20は、回動部材36を回動させる必要が生じる前、例えばスピンドル7が保持するドリル8を直径の異なるドリルと交換する前に、以下のように各部が動作するよう制御し、プレッシャフット30と回動部材36との隙間の清掃を行う。
【0015】
まず、加工テーブル2とクロススライド5とを相対移動させて、プレッシャフット30の下部貫通孔35の中心を、ノズル42の軸心線上に位置させる。次いで、ハウジング6を下降させ、
図5に示すように、ノズル42の噴射口43a~dを、プレッシャフット30と回動部材36との隙間の高さに位置させて、エアバルブ45を開放する。すると、噴射口43a~dから圧縮空気が噴射され、プレッシャフット30と回動部材36との隙間に入り込み、その風圧により蓄積した切粉を排出させることができる。
第1の実施例においては、ノズルが固定されているため、清掃対象範囲の一部に、噴射口と対向せず風圧の弱い部分が生じる可能性がある。しかし、本実施例では、ノズル46が回転し、噴射口が清掃対象範囲の全てに対向するので、風圧の弱い部分を無くしより効果的に切粉を排出することができる。
上記第1及び第2の実施例においては、ドリルを直径の異なるものに交換する前に清掃動作を行うものとしたが、本発明はこれに限らず、例えば加工時間が一定の値に達した時点や、加工の前後など、任意のタイミングに行ってもよい。
また、全体制御部が、エア噴射中に、プレッシャフットが上下方向に所定幅揺動するように制御してもよい。このようにすれば、エアブローユニットを構成する部材の組付け等により、プレッシャフットと回動部材との隙間の位置と、ノズルの噴射口の高さ位置とにずれが生じても、上下に揺動することで確実に隙間部分にエアを噴射することができる。