IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 井関農機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-作業車両 図1
  • 特開-作業車両 図2
  • 特開-作業車両 図3
  • 特開-作業車両 図4
  • 特開-作業車両 図5
  • 特開-作業車両 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043073
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/00 20060101AFI20240322BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
A01B63/00 Z
A01B69/00 303A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148059
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】都築 洋久
【テーマコード(参考)】
2B043
2B304
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB11
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB01
2B043BB03
2B043DA07
2B043DA15
2B043EA32
2B304KA08
2B304LA02
2B304LA03
2B304LA06
2B304MA01
2B304PA07
2B304PA08
2B304PA15
(57)【要約】
【課題】アームレスト回りに設ける操作部の操作が容易な作業車両を提供することを目的とする。
【解決手段】運転席7の一側にアームレスト30を設け、アームレスト30の近傍のフェンダ25上面に操作パネル37を設けた作業車両において、アームレスト30を後半部の肘置き部32と前半部の操作系配置部33で構成し、前半部の操作系配置部33は、操作系配置部33を外側操作部33Aと内側操作部33Bに分ける仕切り部33Cを形成し、前記外側操作部33Aには作業機昇降操作具34を設け、前記内側操作部33Bには変速操作具35を設け、フェンダ25上面の操作パネル37を複数領域に区分し前記外側操作部33Aに近接する領域を第一領域37Aとし、この第一領域37AにPTOスイッチ38を配置してなる。
【選択図】 図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席(7)の一側にアームレスト(30)を設け、アームレスト(30)の近傍のフェンダ(25)上面に操作パネル(37)を設けた作業車両において、アームレスト(30)を後半部の肘置き部(32)と前半部の操作系配置部(33)で構成し、前半部の操作系配置部(33)は、操作系配置部(33)を外側操作部(33A)と内側操作部(33B)に分ける仕切り部(33C)を形成し、前記外側操作部(33A)には作業機昇降操作具(34)を設け、前記内側操作部(33B)には変速操作具(35)を設け、フェンダ(25)上面の操作パネル(37)を複数領域に区分し前記外側操作部(33A)に近接する領域を第一領域(37A)とし、この第一領域(37A)にPTOスイッチ(38)を配置したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
操作パネル(37)に形成される前記第一領域(37A)はアームレスト(30)の肘置き部(32)と略同等の高さに設け、第一領域(37A)よりも高い位置の第二領域(37B)に、車体走行時や作業時の各種設定および変更を行う電子油圧操作ボックス(43)を設ける請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
作業車両の走行制御部(56)は自己位置が予定経路に沿うよう自動操舵する自動操舵モード(57)を備え、第二領域(37B)の外側で第二領域(37B)よりも高い位置であって第一領域(37A)の後方に第三領域(37C)を設け、この第三領域(37C)に自動操舵モード実行時に走行位置を補正する位置補正操作具(49)を設けてなる請求項2に記載の作業車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農用トラクタなどの作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
運転席に支持されたアームレストと運転席側方の操作パネル装置に各種操作具を設けた構成が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-17803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1による技術は、各種操作具をアームレストや操作パネル装置に配置して運転作業者の操作性を向上するものである。
【0005】
しかしながら、トラクタのような作業車両は操作対象が多く、操作具がアームレストと操作パネル装置に混在しており、運転作業者が各操作具の配置を覚えるまでに時間を要し、操作時にあちこちと手を動かす必要があった。
【0006】
本発明は、操作が容易な作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、運転席7の一側にアームレスト30を設け、アームレスト30の近傍のフェンダ25上面に操作パネル37を設けた作業車両において、アームレスト30を後半部の肘置き部32と前半部の操作系配置部33で構成し、前半部の操作系配置部33は、操作系配置部33を外側操作部33Aと内側操作部33Bに分ける仕切り部33Cを形成し、前記外側操作部33Aには作業機昇降操作具34を設け、前記内側操作部33Bには変速操作具35を設け、フェンダ25上面の操作パネル37を複数領域に区分し前記外側操作部33Aに近接する領域を第一領域37Aとし、この第一領域37AにPTOスイッチ38を配置してなる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、操作パネル37に形成される前記第一領域37Aはアームレスト30の肘置き部32と略同等の高さに設け、第一領域37Aよりも高い位置の第二領域37Bに、車体走行時や作業時の各種設定および変更を行う電子油圧操作ボックス43を設ける。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、作業車両の走行制御部56は自己位置が予定経路に沿うよう自動操舵する自動操舵モード57を備え、第二領域37Bの外側で第二領域37Bよりも高い位置であって第一領域37Aの後方に第三領域37Cを設け、この第三領域に自動操舵モード実行時に走行位置を補正する位置補正操作具49を設けてなる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、仕切り部33Cの外側に作業機昇降操作具34を配置し第一領域にPTOスイッチ38を配置するものであるから、相互に接近する位置に作業系操作具を配置できて運転作業者において該操作具を把握し易く、操作が容易となる。また、この作業系操作具は仕切り部33C内側の変速操作具35と区別され、運転作業者は各操作具の位置を把握し易く、容易に操作できる。
【0011】
請求項2に記載の発明によると、請求項1に記載の効果に加え、第一領域37Aは肘置き部32と略同等の高さに配置されるものであるから、肘置き部32に肘を置いた状態で、作業機昇降操作具34や第一領域のPTOスイッチ38等を容易に操作できる。
【0012】
請求項3に記載の発明によると、請求項2に記載の効果に加え、
自動操舵モード実行時には走行操作を行う必要がないため、変速操作系の操作具35から離れた位置に位置補正スイッチ49を設けても操作が煩雑にならない。また作業系の操作具が設けられた第二領域37Bとは別の第三領域37Cに配置することにより操作系のスイッチ等と混同を防止して操作を容易に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態にかかる農用トラクタの側面図である。
図2】同上農用トラクタのアームレスト及び操作パネルの平面図である。
図3図2の斜視図である。
図4】同上農用トラクタの電子油圧操作ボックスの拡大平面図である。
図5】同上農用トラクタの制御系のブロック図である。
図6】同上農用トラクタの操作パネルを底面からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、トラクタを示すものであり、この走行車体1前部のボンネット2内部にディーゼルエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケース3内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪4及び後輪5に伝えるようにしている。エンジンEの後方に前輪4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置されている。ミッションケース3の後上部には油圧シリンダケース8を備え、このシリンダケース8の左右両側には、油圧昇降機構の一部を構成するリフトアーム9が回動自在に取り付けられている。リフトアーム9は昇降用油圧シリンダ10の伸縮作動により上下動する。車体後部には、トップリンク11と左右のロアーリンク12からなる3点リンク機構を設け、同リンク機構にロータリ作業機Rを装着し、リフトロッド13を介してロアーリンク12をリフトアーム9に連結することにより、作業機Rを昇降可能に構成している。
【0016】
前記ハンドル6や運転席7等は、キャビン16によって覆われている。キャビン16は、例えば防振ゴム等の弾性部材を介して車体に固定されてあり、車体の振動がキャビン16に伝達されにくくしている。
【0017】
尚キャビン16は、フロア17と、フロア17左右前部に立設した前部支柱18と、運転席7の後部左右に立設した後部支柱19と、前後中間部に立設する中間支柱20と、これら支柱上端同士を接続する上フレーム21とによって一体化した枠組み構成とし、ルーフ22で覆われている。そして、前記運転席7を支持するボックス状のシートフレーム23、運転席7後面を囲う後部プレート24、後輪5の上部を覆う左右フェンダ25等を剛体化して強度を確保し、さらに、前後側面にはガラス窓部を構成し、左右開閉ドア26部から昇降できる。
【0018】
次いで、キャビン16内の運転席7近傍の操作部構成について説明する。図2図3に示すように、運転席7の一側(図例では右側)に、上下回動可能にアームレスト30を設ける。アームレスト30は、運転席7側部付近に設けるブラケット部材31に横軸芯回りに回動自在に連結されていて、後半部の肘置き部32と前半部の操作系配置部33とに区分される。肘置き部32には上面にクッション材を張設してなる。
【0019】
前半部の操作系配置部33は、操作部を外側操作部33Aと内側操作部33Bに分ける仕切り部33Cを形成する。そして、外側操作部33Aに作業機R昇降用の作業機昇降操作具としての作業機昇降レバー34を前後動操作可能に設け、内側操作部33Bに変速操作具としての主変速レバー35を前後動操作可能に設けている。このうち、作業機昇降レバー34を前方に傾倒操作すると作業機Rは降下し、後方に傾倒操作すると作業機Rは上昇する構成である。なお、作業機昇降レバー34の前方傾倒角度の調整によって降下姿勢の作業機R高さを設定できる所謂ポジションコントロールレバーの機能を併せ有するものである。主変速レバー35は、図外主変速機構と高低変速機構の組み合わせで例えば8段変速機構を構成するとき、前傾側から後傾側に移行する毎に順次低速側に切り替わる構成とし、後傾斜端部にアクセル変速位置を設定する。アクセル変速位置にセットすると、アクセルペダル踏込み量とエンジン回転数の検出による演算で所定変速段に切り替わる構成である。
【0020】
変速レバー35の後方には車速規制スイッチ36を配置している。このスイッチ36をONすると、検出車速が例えは時速15kmを超えないよう変速段を演算して所定低速側に自動切換えできるよう構成している。
【0021】
運転作業者は、右手操作で仕切り部33Cを探り、作業機Rを昇降操作する場合は、作業機昇降レバー34を仕切り部33C外側にて探り、変速操作するときは主変速レバー35を仕切り部33C内側にて探るもので、仕切り部33Cの存在によって目視せずとも容易に所定の操作レバーに触って操作することができる。仕切り部33Cの湾曲する頂部形状は、作業機昇降レバー34及び主変速レバー35の操作部よりも高くなるよう成形されている。
【0022】
次に前記フェンダ25のうち、前記アームレスト30に近い右側フェンダ25の上部に構成される操作パネル37構成について説明する。フェンダ上面の操作パネル37部は、キャビン16の前記中間支柱20の内側近傍から前方所定範囲におよび、複数の領域に区分されている。すなわち、前記アームレスト30の外側操作部33Aに接近する第一領域37A,その後方で若干高さの高い上辺から傾斜状に配置の第二領域37B、第二領域37Bの上辺と中間支柱20内壁との間に前部が傾斜凸状37Cpに形成される第三領域37C、第三領域37Cの傾斜凸状37Cpの前方で若干低い第四領域37D等を備える。
【0023】
前記第一領域37Aには、PTOスイッチ38、耕深調整ダイヤル39、エンジン回転数メモリ40、メモリ調整スイッチ41、自動クラッチスイッチ42等を配設している。なお、PTOスイッチ38は、PTO軸の回転・停止を手動操作し、耕深調整ダイヤル39は自動耕深制御モード実行中における耕耘深さを設定する。エンジン回転数メモリ40はシーソースイッチ形態を採用しており予め設定した2つのエンジン回転速度にワンタッチ操作で変更するもので、旋回時など作業の中断・再開する場合に利用する。メモリ調整スイッチ41もシーソースイッチ形態を採用しエンジン回転数メモリの設定エンジン回転速度を任意に増減できる。自動クラッチスイッチ42は自動クラッチブレーキ停止機能をONでき、この機能はブレーキペダルを踏むだけで車体の減速・停止を行うことができ、車体停止後ブレーキペダルを開放するだけでそのまま車体を発進させることができるものである。
【0024】
前記第一領域37Aは、前記アームレスト30の肘置き部32と略同等の高さ位置に設けられる。
【0025】
傾斜状の前記第二領域37Bには、電子油圧操作ボックス43を備え、カバー44で開閉できる構成としている。電子油圧操作ボックス43には、図4に示すように、2WDや4WD等の走行切換スイッチ、後進連動上昇・旋回連動上昇・旋回連動ブレーキ等の作業時設定スイッチ、ポジション・ドラフト選択のオート切換、作業機の絶対水平・機体平行・機体傾斜の水平切換等その他設定スイッチ、を備えている。この第二領域37Bは、第一領域37Aよりもやや高い位置に設定されている。
【0026】
前記第三領域37Cには、中間支柱20の内側近傍に2連の外部油圧操作レバー45,45を配置し、その前方の傾斜凸状37Cpの傾斜面46に後述自動操舵モードの自動直進制御機能に付随して各種スイッチを配置している。例えばサブモニタ54のホーム画面呼出スイッチ47,画面切替スイッチ48、位置補正スイッチ49を備えている。
【0027】
前記第四領域37Dには、PTO切換スイッチ50、モード切替ダイヤル51、作業速メモリスイッチ52、作業設定呼出スイッチ53を備える。このうちPTO切換スイッチ50は、作業機Rが上昇し始めるとPTO軸回転を自動停止させ所定に下降すると再び回転させるPTO回転自動モードとこれらを実行しない手動モードとに選択設定できる。モード切替ダイヤル51は、前記電子油圧操作ボックス43の各種スイッチと対応し、耕耘作業と道路走行に変更する場合に、駆動状態や各種制御設定をワンタッチで適正な状態に設定することができる。作業速メモリスイッチ52は、副変速レバーの設定位置に対応して適正な主変速段に自動切換を実行する。作業設定呼出スイッチ53は、所定の作業における前記電子油圧操作ボックス43の各種スイッチ設定の記憶値を呼び出す。第四領域37Dは第一領域37Aに連続状に設けられる。
【0028】
前記のように、第一領域37Aから第四領域37Dに、配置高さと操作具を設定するものである。仕切り部33Cの外側に作業機昇降レバー34を配置し第一領域にPTOスイッチ38を配置するものであるから、相互に接近する位置に関連する操作具を配置して運転作業者において該操作具の位置を把握し易く、操作が容易となる。また、前記仕切り部33C外側の作業機昇降レバー34と、第一領域37AのPTOスイッチ38とで作業系操作具を設け、仕切り部33C内側の主変速レバー35と区別され、運転作業者は各操作具の位置を把握し易く、容易に操作できる。
【0029】
第一領域37Aは肘置き部32と略同等の高さに配置されるものであるから、肘置き部32に肘を置いた状態で、作業機昇降レバー34や第一領域のPTOスイッチ38等を容易に操作できる。
【0030】
また、走行車体に、測位装置55を備え、車体の走行制御部56には自己位置が予定経路に沿うよう自動操舵する自動操舵モード57を備える(図5)。そして、前記第三領域37Cに位置補正操作具、すなわち自動操舵モード実行時に走行位置を補正する位置補正スイッチ49を設けてなる。自動操舵モード実行時には走行操作を行う必要がないため、走行操作系の変速操作具、すなわち主変速レバー35から離れた位置にこの位置補正スイッチ49を設けても操作が煩雑にならない。また作業系の操作具、すなわち後進連動上昇・旋回連動上昇・旋回連動ブレーキ等の作業時設定スイッチ、ポジション・ドラフト選択のオート切換、作業機の絶対水平・機体平行・機体傾斜の水平切換等その他設定スイッチ、が設けられた第二領域37Bとは別の第三領域37Cに配置することにより操作系のスイッチ等と混同を防止して操作を容易に実行できる。
【0031】
ところで、右側フェンダ25の上部に構成される前記操作パネル37部は、樹脂材または一部鉄板材を用いて、図2,3に示す形状に成形され、右側フェンダ25上面に沿わせて前後数か所をボルト等にて締結処理するものである。具体的には、図6に示すように前中後の3か所をステー60,60…にてフェンダ25上面に固定する構成である。その他側面は適宜にフェンダ25内壁部に固定するものである。
【符号の説明】
【0032】
7 運転席
25 フェンダ
30 アームレスト
32 肘置き部
33 操作系配置部
33A 外側操作部
33B 内側操作部
33C 仕切り部
34 作業機昇降レバー(作業機昇降操作具)
35 主変速レバー(変速操作具)
37 操作パネル
37A 第一領域
37B 第二領域
37C 第三領域
43 電子油圧操作ボックス
49 位置補正操作スイッチ(位置補正操作具)
56 走行制御部
57 自動操舵モード
図1
図2
図3
図4
図5
図6