(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043080
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】キャリブレーション装置、格納装置およびキャリブレーション方法
(51)【国際特許分類】
B64F 5/60 20170101AFI20240322BHJP
B64F 1/12 20060101ALI20240322BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B64F5/60
B64F1/12
B64C39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148068
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(71)【出願人】
【識別番号】523286071
【氏名又は名称】株式会社NTTデータ
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】紙本 斉士
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 亮平
(72)【発明者】
【氏名】黛 知也
(72)【発明者】
【氏名】吉羽 進
(72)【発明者】
【氏名】秋本 了
(72)【発明者】
【氏名】大園 智章
(72)【発明者】
【氏名】篠原 良介
(72)【発明者】
【氏名】丸山 明彦
(72)【発明者】
【氏名】須田 康介
(72)【発明者】
【氏名】大石 怜奈
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 睦実
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 哲央
(57)【要約】
【課題】容易にキャリブレーション作業を実施することができるキャリブレーション装置、格納装置およびキャリブレーション方法を提供する。
【解決手段】キャリブレーション装置1は、飛行体200のキャリブレーション用のキャリブレーション装置1であって、飛行体200が載置される被載置面31を有する被載置部3と、飛行体200を被載置部3に保持するための保持部4と、被載置面31が水平面(XY平面)に沿った水平状態と鉛直方向(Z方向)に沿った起立状態との間で被載置部3の姿勢を変更可能な姿勢変更部5と、被載置面31に直交する第1の軸R1を中心として被載置部3を回転させる第1の回転機構6と、被載置面31に沿った第2の軸R2を中心として被載置部3を回転させる第2の回転機構7と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体のキャリブレーション用のキャリブレーション装置であって、
前記飛行体が載置される被載置面を有する被載置部と、
前記飛行体を前記被載置部に保持するための保持部と、
前記被載置面が水平面に沿った水平状態と鉛直方向に沿った起立状態との間で前記被載置部の姿勢を変更可能な姿勢変更部と、
前記被載置面に直交する第1の軸を中心として前記被載置部を回転させる第1の回転機構と、
前記被載置面に沿った第2の軸を中心として前記被載置部を回転させる第2の回転機構と、を備えることを特徴とするキャリブレーション装置。
【請求項2】
前記被載置部、前記姿勢変更部、前記第1の回転機構及び前記第2の回転機構を含む第1ユニットと、
所定の底面部に固定されるとともに前記第1ユニットに接続される第2ユニットと、
前記第1ユニットを前記第2ユニットに対して水平方向に移動させる水平駆動部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のキャリブレーション装置と、前記キャリブレーション装置を格納する格納庫と、を備えて前記飛行体を格納する格納装置であって、
前記格納庫は、側方に形成された開口部を有し、
前記第2ユニットは、前記格納庫の底面部に固定され、
前記水平駆動部が前記第1ユニットを移動させることにより、前記飛行体が前記格納庫に格納された状態と、前記飛行体が前記格納庫の外側に位置する状態と、を切換可能であることを特徴とする格納装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のキャリブレーション装置によって前記飛行体のキャリブレーションを実施するキャリブレーション方法であって、
前記被載置部を前記水平状態として前記第1の回転機構によって前記被載置部を回転させ、
前記姿勢変更部によって前記被載置部を前記起立状態とし、
前記第2の回転機構によって前記被載置部を回転させることを特徴とするキャリブレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリブレーション装置、格納装置およびキャリブレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、荷物の搬送や構造物の点検等に、無人飛行可能な飛行体(例えばドローン)を用いることが知られている。このような飛行体は、正確な飛行のために、方角を正しく認識している必要がある。そこで、飛行体として、磁気方位センサを備えたドローンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたドローンでは、磁気の影響に対応するために、飛行させる場所を変更する際にコンパスキャリブレーションが実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたようにドローン(飛行体)のキャリブレーションを実施するためには、作業者が飛行体を保持し、所定の手順に従って飛行体の姿勢を変更する等の作業が必要となる。しかしながら、飛行体を構造物の点検等に用いる場合、飛行体を作業者から離れた場所に格納することがあり、キャリブレーション作業を実施することが困難となってしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易にキャリブレーション作業を実施することができるキャリブレーション装置、格納装置およびキャリブレーション方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るキャリブレーション装置は、飛行体のキャリブレーション用のキャリブレーション装置であって、前記飛行体が載置される被載置面を有する被載置部と、前記飛行体を前記被載置部に保持するための保持部と、前記被載置面が水平面に沿った水平状態と鉛直方向に沿った起立状態との間で前記被載置部の姿勢を変更可能な姿勢変更部と、前記被載置面に直交する第1の軸を中心として前記被載置部を回転させる第1の回転機構と、前記被載置面に沿った第2の軸を中心として前記被載置部を回転させる第2の回転機構と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係るキャリブレーション装置において、前記被載置部、前記姿勢変更部、前記第1の回転機構及び前記第2の回転機構を含む第1ユニットと、所定の底面部に固定されるとともに前記第1ユニットに接続される第2ユニットと、前記第1ユニットを前記第2ユニットに対して水平方向に移動させる水平駆動部と、を備える。
【0008】
一方、本発明に係る格納装置は、上記のキャリブレーション装置と、前記キャリブレーション装置を格納する格納庫と、を備えて前記飛行体を格納する格納装置であって、前記格納庫は、側方に形成された開口部を有し、前記第2ユニットは、前記格納庫の底面部に固定され、前記水平駆動部が前記第1ユニットを移動させることにより、前記飛行体が前記格納庫に格納された状態と、前記飛行体が前記格納庫の外側に位置する状態と、を切換可能であることを特徴とする。
【0009】
一方、本発明に係るキャリブレーション方法は、上記のキャリブレーション装置によって前記飛行体のキャリブレーションを実施するキャリブレーション方法であって、前記被載置部を前記水平状態として前記第1の回転機構によって前記被載置部を回転させ、前記姿勢変更部によって前記被載置部を前記起立状態とし、前記第2の回転機構によって前記被載置部を回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るキャリブレーション装置、格納装置およびキャリブレーション方法によれば、容易にキャリブレーション作業を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係るキャリブレーション装置を備えた格納装置において、飛行体が収容された状態を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るキャリブレーション装置を備えた格納装置において、飛行体が発着可能な状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るキャリブレーション装置を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るキャリブレーション装置において、被載置部の姿勢を変更した様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るキャリブレーション装置1を備えた格納装置100において、飛行体200が収容された状態を示す断面図であり、
図2は、格納装置100において、飛行体200が発着可能な状態を示す断面図であり、
図3は、キャリブレーション装置1を示す斜視図であり、
図4は、キャリブレーション装置1において、被載置部3の姿勢を変更した様子を示す斜視図である。
【0013】
図3,4に示すように、本発明の実施の形態に係るキャリブレーション装置1は、飛行体200のキャリブレーション用のキャリブレーション装置1であって、飛行体200が載置される被載置面31を有する被載置部3と、飛行体200を被載置部3に保持するための保持部4と、被載置面31が水平面(XY平面)に沿った水平状態と鉛直方向(Z方向)に沿った起立状態との間で被載置部3の姿勢を変更可能な姿勢変更部5と、被載置面31に直交する第1の軸R1を中心として被載置部3を回転させる第1の回転機構6と、被載置面31に沿った第2の軸R2を中心として被載置部3を回転させる第2の回転機構7と、を備える。
【0014】
以下の説明では、鉛直方向をZ方向とし、水平面に沿うとともに互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、Z方向における上側及び下側を単に上下と呼ぶことがある。
【0015】
図1,2に示すように、キャリブレーション装置1は、飛行体200を格納する格納装置100の一部である。即ち、格納装置100は、キャリブレーション装置1と、格納庫20と、を備える。飛行体200は、無人飛行可能なものであれば駆動方式等は特に限定されず、小型のヘリコプター(所謂ドローン)であってもよいし、他のプロペラ以外の手段によって飛行するものであってもよい。
【0016】
格納装置100は、例えば山間部等、作業者の常駐や移動が難しい位置に設置される。カメラ等を搭載した飛行体200を遠隔操作することにより、送配電設備の情報を遠隔地から得ることができる。
【0017】
キャリブレーション装置1は、第1ユニット10Aと、第2ユニット10Bと、水平駆動部と、各部を制御する制御部と、通信部と、を備える。
【0018】
第1ユニット10Aは、本体フレーム2と、被載置部3と、保持部4と、姿勢変更部5と、第1の回転機構6と、第2の回転機構7と、を有する。
【0019】
本体フレーム2は、XY平面に沿った矩形状の枠を有する底部21と、底部21から上側に向かって延びるように立設された一対の立設部22と、を有する。底部21は、X方向に沿った一対の辺と、Y方向に沿った一対の辺と、を有する。一対の立設部22は、底部21のうちX方向に沿った一対の辺のそれぞれに設けられ、Y方向に対向して設けられる。
【0020】
被載置部3は、例えば円板状に形成され、その一面が被載置面31となる。尚、被載置部3の大きさは、特定の飛行体に対応したものであってもよいし、複数種類の飛行体が載置される可能性がある場合には、最も大きい飛行体に対応したものであればよい。
【0021】
保持部4は、被載置面31に設けられることで飛行体200を被載置部3に保持するためのものであり、飛行体200を保持する保持状態と、飛行体200が発着可能な非保持状態と、を切換可能に構成されている。保持部4は、例えば被載置面31から円弧状に突出する部分によって、飛行体200の脚部(外周側に向かって延びるとともに先端部にプロペラが設けられる部分)を保持するものであればよく、その形態は特に限定されない。
【0022】
姿勢変更部5は、被載置部3を保持する枠状部51と、枠状部51を回転駆動するための駆動部52と、を有する。
【0023】
枠状部51は、X方向に沿った一対の辺と、Y方向に沿った一対の辺と、を有して矩形状に形成され、X方向に沿った一対の辺のそれぞれが、一対の立設部22の上端部によって回転可能に支持されている。即ち、枠状部51は、Y方向に沿った軸R0を中心に回転可能となっている。このとき、枠状部51の可動域は、少なくとも90°であればよい。
【0024】
駆動部52は、例えばエアコンプレッサや直動アクチュエータ等の直線運動可能な手段であって、一端が枠状部51におけるY方向に沿った辺のうち一方に接続され、他端が底部21におけるY方向に沿った辺のうち他方に接続されている。X方向において、軸R0と、枠状部51に駆動部52の一端が接続される位置と、がずれていることで、
図3,4に示すように、駆動部52の直線運動によって枠状部51が回転するようになっている。尚、姿勢変更部5において回転を生じさせるための機構はこれに限定されず、モータが用いられてもよい。
【0025】
上記のように軸R0を中心として枠状部51が回転することにより、枠状部51に支持された被載置部3は、被載置面31がXY平面に沿った水平状態(
図3)と、被載置面31がYZ平面に沿った(即ち鉛直方向に沿った)起立状態(
図4)と、の間で姿勢が変更可能となっている。
【0026】
第1の回転機構6は、枠状部51に支持されており、例えばモータを備える。第1の回転機構6は、被載置面31に直交する第1の軸R1を中心として被載置部3を回転させる。被載置面31がXY平面に沿った水平状態においては、第1の軸R1はZ方向に沿っており、被載置面31がYZ平面に沿った起立状態においては、第1の軸R1はX方向に沿っている。また、第1の軸R1は、円板状の被載置部3の中心を通過していることが好ましい。
【0027】
第2の回転機構7は、枠状部51に支持されており、例えばモータを備える。第2の回転機構7は、被載置面31に沿った第2の軸R2を中心として被載置部3を回転させる。被載置面31がXY平面に沿った水平状態においては、第2の軸R2はX方向に沿っており、被載置面31がYZ平面に沿った起立状態においては、第2の軸R2はZ方向に沿っている。また、第2の軸R2は、円板状の被載置部3上を通過することが好ましいが、被載置面31の面直方向において被載置部3から多少ずれていてもよい。
【0028】
第2ユニット10Bは、格納庫20の底面部203に載置されて固定される複数の脚部8と、脚部8上に設けられる枠部9と、を備える。枠部9は、X方向に沿った一対の辺と、Y方向に沿った一対の辺と、を有して矩形状に形成されている。枠部9のうちX方向に沿った部分は、底部21のうちX方向に沿った部分のそれぞれとスライド移動可能に接続されている。即ち、枠部9及び底部21のうちX方向に沿った部分は、レール状に構成されている。これにより、第1ユニット10Aと第2ユニット10BとがX方向において相対移動可能となっている。
【0029】
水平駆動部は、第1ユニット10Aを第2ユニット10Bに対してX方向に移動させるものであって、例えばエアコンプレッサや直動アクチュエータによって構成されていればよい。これにより、本体フレーム2と枠部9とがZ方向に重なるように配置された状態(
図1)と、これらがX方向においてずれた状態(
図2)と、が切換可能となっている。
【0030】
制御部は、キャリブレーション装置1における各駆動部分(駆動部52、第1の回転機構6、第2の回転機構7)を制御するものであり、例えばマイクロコンピュータによって構成されていればよい。尚、格納装置100の各部を制御する制御部が、キャリブレーション装置1の制御部を兼ねていてもよい。
【0031】
通信部は、少なくとも外部機器からの信号を受信可能なものであり、好ましくは外部機器との間で信号を送受信可能なものである。通信部が受信した信号は制御部に送信される。尚、通信部は、無線通信するものであってもよいし有線通信するものであってもよい。また、格納装置100の通信部が、キャリブレーション装置1の通信部を兼ねていてもよい。
【0032】
キャリブレーション装置1のうち枠を構成する部分(特に本体フレーム2、枠状部51及び枠部9)は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金等の非磁性材料により構成されていることが好ましい。これにより、キャリブレーション装置1及び飛行体200が外部機器と無線通信する際に通信エラーを抑制することができる。
【0033】
格納庫20は、例えば直方体状の箱状に形成され、その内側に飛行体200を収容可能なように収容空間を有する。格納庫20には、X方向の一方側(第1ユニット10Aが移動する際に向かう側)に開口部201が形成されており、開口部201には開閉部202が設けられている。
【0034】
開閉部202は、例えばシャッターや扉等であればよく、遠隔操作によって開閉可能となっている。また、開閉部202を開閉するための駆動部は、キャリブレーション装置1における水平駆動部と連動していてもよい。即ち、開閉部202を開閉動作させるための駆動力によって第1ユニット10Aが移動するようになっていてもよい。
【0035】
ここで、格納装置100に設けられたキャリブレーション装置1によって飛行体200のキャリブレーションを実施するキャリブレーション方法について説明する。尚、キャリブレーションは、飛行体200の発進前に毎回実施されてもよいし、適宜なタイミングで実施されてもよい。
【0036】
まず、
図1に示すように、飛行体200が待機している状態では、開閉部202が閉じられており、第1ユニット10Aと第2ユニット10BとがZ方向に重なっており、被載置部3は水平状態となっている。このとき、保持部4によって飛行体200が被載置部3に保持されている。格納装置100から遠隔地に位置する作業者がリモートコントローラを操作することで、キャリブレーション開始信号が送信される。格納装置100は、キャリブレーション開始信号を受信すると、開閉部202を開動作させ、第1ユニット10A及び飛行体200が開口部201を通過可能な状態とする。
【0037】
キャリブレーション装置1は、キャリブレーション開始信号を受信すると、制御部が、水平駆動部によって第1ユニット10AをX方向に移動させることにより、飛行体200が格納庫20に格納された状態(
図1)から、飛行体200が格納庫20の外側に位置する状態(
図2)に切り換える(水平移動工程)。
【0038】
水平移動工程の後、制御部は、第1の回転機構6によって水平状態の被載置部3を回転させる(第1キャリブレーション工程)。この回転中に、飛行体200はキャリブレーションを実施する。第1キャリブレーション工程の後、制御部は、姿勢変更部5によって、被載置部3を水平状態から起立状態に切り換え(第1姿勢変更工程)、第2の回転機構7によって起立状態の被載置部3を回転させる(第2キャリブレーション工程)。この回転中に、飛行体200はキャリブレーションを実施する。上記の第1及び第2キャリブレーション工程では、それぞれ、被載置部3を少なくとも360°回転させればよい。
【0039】
次に、制御部は、姿勢変更部5によって、被載置部3を起立状態から水平状態に切り換え(第2姿勢変更工程)、保持部4による飛行体200の保持を解除し、飛行体200が発進可能な状態とする。飛行体200が発進した後、第1ユニット10Aは格納庫20内に格納されてもよいし、格納庫20の外側で待機してもよい。帰還した飛行体200が被載置部3に載置されると、制御部は、保持部4に飛行体200を保持させ、水平駆動部によって第1ユニット10Aを移動させることで飛行体200を格納庫20内に格納する。
【0040】
制御部は、上記の各工程を、予め定められた手順に従って実施する。このとき、第1及び第2キャリブレーション工程は、予め定められた時間だけ継続して実施し、終了後に次の工程を開始すればよい。キャリブレーション装置1が複数種類の飛行体のキャリブレーションに用いられる場合には、各キャリブレーションにおいて必要となる最大の想定時間だけ、第1及び第2キャリブレーション工程を実施すればよい。
【0041】
尚、キャリブレーション装置1は、飛行体200と通信してもよく、飛行体200においてキャリブレーションが終了した情報を取得して、第1及び第2キャリブレーション工程を終了するようにしてもよい。
【0042】
上記では、保持部4が、飛行体200が発進する直前に保持を解除するものとしたが、保持部4は、少なくとも起立状態、及び、起立状態と水平状態との間の遷移状態において、飛行体200を保持すればよく、解除のタイミングは適宜に設定されていればよい。
【0043】
このように、本発明の実施の形態に係るキャリブレーション装置1によれば、姿勢変更部5によって飛行体200の姿勢を変更可能であるとともに、第1の回転機構6及び第2の回転機構7によって、飛行体200が載置された被載置部3を回転可能であることで、飛行体200のキャリブレーションに必要な動作を遠隔操作によって実現することができ、容易にキャリブレーション作業を実施することができる。
【0044】
また、側方に開口部201が形成された格納庫20にキャリブレーション装置1が格納され、第1ユニット10Aを第2ユニット10Bに対して水平方向に移動可能であることで、飛行体200が格納庫20に格納された状態と、外側に位置する状態と、を切り換えることができる。これにより、側方に開口を有する既存の倉庫等を格納庫20として利用することができる。
【0045】
尚、本発明は上記の実施の形態の形態に限定されず、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、上記の本発明の実施の形態では、側方に開口部201が形成された格納庫20にキャリブレーション装置1が格納されるものとしたが、天面部に開口を有する格納庫にキャリブレーション装置を格納してもよい。このような構成では、飛行体の発進時に水平方向への移動が不要となる。即ち、水平駆動部を省略することができる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係るキャリブレーション装置に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0047】
1…キャリブレーション装置、3…被載置部、31…被載置面、4…保持部、5…姿勢変更部、6…第1の回転機構、7…第2の回転機構、10A…第1ユニット、10B…第2ユニット、20…格納庫、201…開口部、203…底面部、100…格納装置