(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000431
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】パネルシャッター
(51)【国際特許分類】
E06B 9/15 20060101AFI20231225BHJP
E06B 9/58 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
E06B9/15 Z
E06B9/58 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099197
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(72)【発明者】
【氏名】高井 直人
(72)【発明者】
【氏名】辻 健夫
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042DA01
(57)【要約】
【課題】
パネルの収納姿勢において、パネルの面部同士が接触することを防止する。
【解決手段】
パネルシャッターは、各パネル1の幅方向両端部を受け入れて案内するガイド体2と、全閉姿勢にあるパネル1の屋外側面部100の幅方向両端の被押圧面100Aを屋内側に押圧する水平圧迫手段8と、を備えており、パネル1の屋外側面部100の幅方向両端部には、被押圧面100Aの外側に位置して戸当たり4が突設されており、パネル収納時には、略垂直姿勢で隣接する一方のパネル1の屋外側面部100と他方のパネル1の屋内側面部101との間に戸当たり4が位置するようになっている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のパネルを備えたパネルシャッターにおいて、
各パネルの見付面は、垂直姿勢において第1側に面する第1面部と、第2側に面する第2面部と、からなり、
少なくとも第1面部の幅方向両端部には、戸当たりが突設されており、
パネル収納時には、略垂直姿勢で隣接する一方のパネルの第1面部と他方のパネルの第2面部との間に前記戸当たりが位置するようになっている、
パネルシャッター。
【請求項2】
前記第1側は屋外側であり、前記第1面部は屋外側面部であり、
前記パネルシャッターは、各パネルの幅方向両端部を受け入れて案内するガイド体と、
全閉姿勢にあるパネルの第1面部を屋内側に押圧する水平圧迫手段と、を備えており、
前記第1面部の幅方向両端部位はガイド体内に位置しており、水平圧迫手段によって押圧される被押圧面を備えており、
前記戸当たりは、前記被押圧面の外側に位置して突設されている、
請求項1に記載のパネルシャッター。
【請求項3】
各パネルにおいて、少なくとも前記第1面部には、パネル幅方向に延びるリブが突成されており、
前記第1面部に対する前記戸当たりの高さは、前記第1面部に対する前記リブの高さよりも高い、
請求項1に記載のパネルシャッター。
【請求項4】
前記リブの長さ寸法は、前記第1面部の幅寸法よりも短尺であり、前記第1面部の幅方向両端部位は、全高に亘ってリブを備えていないフラット部となっている、
請求項3に記載のパネルシャッター。
【請求項5】
前記第1側は屋外側であり、前記第1面部は屋外側面部であり、
前記パネルシャッターは、各パネルの幅方向両端部を受け入れて案内するガイド体と、
全閉姿勢にあるパネルの第1面部を屋内側に押圧する水平圧迫手段と、を備えており、
前記フラット部は少なくとも部分がガイド体内に位置しており、水平圧迫手段によって押圧される被押圧面を備えており、
前記フラット部において、前記戸当たりは、前記被押圧面の外側に位置して突設されている、
請求項4に記載のパネルシャッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルシャッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パネルシャッターのパネルは、収納時には、垂直姿勢で前後方向(屋内外方向)に重なるようにして収納されるが、パネル収納時において、パネル面部同士の直接の接触を防止したいという要望がある。
【0003】
本出願人は、パネルシャッターを用いて、止水状態の扉体に大きな水圧が作用した場合であっても、止水機能を維持できる防水扉を提案している(特許文献1)。特許文献1には、第1側(室外側)の第1面部と第2側(室内側)の第2面部を有し、建物開口部を閉鎖して第1側と第2側とに仕切る扉体と、全閉状態にある扉体の第1面部に当接し、当該扉体を第1側から第2側へ水平方向に圧迫する水平圧迫手段と、を備えている。このような防水扉においても、パネル収納時におけるパネル面部同士の直接の接触を防止したいという要望がある。
【0004】
特に、パネル構造において、パネル面部にリブが付く形状としたものでは、パネル収納時に、隣接する一方のパネルの面部のリブが他方のパネルの面部に接触することでパネル面部に傷が付いてしまうおそれがある。
【特許文献1】特開2015-175155
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、パネル収納姿勢において、パネルの面部同士が接触することを防止する目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
複数枚のパネルを備えたパネルシャッターにおいて、
各パネルの見付面は、垂直姿勢において第1側に面する第1面部と、第2側に面する第2面部と、からなり、
少なくとも第1面部の幅方向両端部には、戸当たりが突設されており、
パネル収納時には、略垂直姿勢で隣接する一方のパネルの第1面部と他方のパネルの第2面部との間に前記戸当たりが位置するようになっている、
パネルシャッター、である。
1つの態様では、第1側は屋外側、あるいは、屋内側である。
1つの態様では、第1面部に戸当たりを設ける場合には、ボトムパネルの第1面部には戸当たりは設けられない。
【0007】
1つの態様では、前記第1側は屋外側であり、前記第1面部は屋外側面部であり、
前記パネルシャッターは、各パネルの幅方向両端部を受け入れて案内するガイド体と、
全閉姿勢にあるパネルの第1面部を屋内側に押圧する水平圧迫手段と、を備えており、
前記第1面部の幅方向両端部位はガイド体内に位置しており、水平圧迫手段によって押圧される被押圧面を備えており、
前記戸当たりは、前記被押圧面の外側に位置して突設されている。
【0008】
1つの態様では、各パネルにおいて、少なくとも前記第1面部には、パネル幅方向に延びるリブが突成されており、
前記第1面部に対する前記戸当たりの高さは、前記第1面部に対する前記リブの高さよりも高い。
1つの態様では、各パネルはアルミ形材からなり、前記リブは押し出し形成で一体的に形成される。
1つの態様では、前記リブの長さ寸法は、前記第1面部の幅寸法よりも短尺であり、前記第1面部の幅方向両端部位は、全高に亘ってリブを備えていないフラット部となっている。
【0009】
1つの態様では、前記第1側は屋外側であり、前記第1面部は屋外側面部であり、
前記パネルシャッターは、各パネルの幅方向両端部を受け入れて案内するガイド体と、
全閉姿勢にあるパネルの第1面部を屋内側に押圧する水平圧迫手段と、を備えており、
前記フラット部は少なくとも部分がガイド体内に位置しており、水平圧迫手段によって押圧される被押圧面を備えており、
前記フラット部において、前記戸当たりは、前記被押圧面の外側に位置して突設されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、パネルの第1面部の幅方向両端部に戸当たりを突設したことによって、パネル収納時において、前記第1面部が隣接するパネルの第2面部に接触することが防止され、特に、前記第1面部にリブが突成されている場合であっても、前記第2面部が前記リブに接触して、当該第2面部に傷が付くようなことが防止される。
パネルシャッターが水平圧迫手段を備えた態様において、戸当たりを水平圧迫手段により押圧される被押圧面の外側に位置して突設させたことによって、パネルの昇降時には、戸当たりが水平圧迫手段に接触することがなく、水平圧迫時には、水平圧迫手段が戸当たりを押圧するようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】開口部全閉状態にあるパネルシャッター(防水扉)を室内側から見た正面図である。
【
図2】開口部全開状態にあるパネルシャッター(防水扉)の縦断面図である。
【
図3】開口部全閉状態にあるパネルシャッター(防水扉)の幅方向端部の横断面図であり、水平方向非圧迫姿勢を示している。
【
図4】本実施形態に係るシャッターカーテンを屋外側から見た正面図及び側面図である。
【
図5】本実施形態に係るパネルを屋外側から見た正面図である。
【
図6】
図5の部分拡大図、及びそれに対応する側面図である。
【
図7】
図2のパネル収納状態を示す部分拡大図である。
【
図8】第2圧迫機構の側面図であり、第2圧迫機構のパワーシリンダは作動時時(圧迫姿勢)にある。
【
図9】本実施形態に係る防水扉の第2圧迫機構を構成する水平方向押圧部材を示す図である。(A)は水平方向押圧部材の一部省略拡大図、(B)は水平方向押圧部材の全体図であり、左図は圧迫姿勢、中央図は非圧迫姿勢、右図は側面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[A]パネルシャッター
本実施形態に係るパネルシャッターについて説明する。
図1に示すように、パネルシャッターは、複数枚のパネル1から構成されたシャッターカーテンと、建物開口部の幅方向両端に立設され、垂直姿勢のパネル1の幅方向両端部を案内する左右のガイド体2と、を備えている。
図2において、パネル1、すなわちシャッターカーテンの左側が室外側、右側が室内側である。
図3において、パネル1の上側が室外側、下側が室内側である。
【0013】
[A-1]パネル
パネル1は、所定厚みを備え、開口幅方向に延びる横長方形状の要素であり、アルミ押出形材から一体成形されている。
図5、
図6に示すように、パネル1は、屋外側面部100、屋内側面部101、上端面102、下端面103を備えている。パネル1は、開口部全閉状態(垂直姿勢)では、屋外側面部100が室外側に面し、屋内側面部101が室内側に面する。本実施形態のパネル1の下端面103は、側面視において、上向き湾曲状の凹面を備えており、パネル1の上端面102は、側面視において、上向き湾曲状の凸面を備えている。
【0014】
図4~
図6に示すように、本実施形態に係るパネル1において、屋外側面部100には、水平方向に延びるリブ3が一体的に突成されている。図示の態様では、屋外側面部100には、3本のリブ3が高さ方向に間隔を存して平行状に延びている。本実施形態に係るリブ3の長さ寸法は、パネル1の屋外側面部100の全幅に比べて短尺であり、リブ3の長さ方向両端は、パネル1の屋外側面部100の幅方向端部まで達しておらず、屋外側面部100の幅方向両端部位は、全高に亘って、リブ3を備えていないフラット部1000となっている。
【0015】
本実施形態に係るシャッターカーテンにおいて、ボトムパネル1´を除く全てのパネル1の屋外側面部100の端部、すなわち、フラット部1000の端部、には、戸当たり4が突設されている。戸当たり4の高さは、リブ3の高さ寸法よりも大きい。戸当たり4は、緩衝材として機能するものであり、戸当たり4の材質は、パネル1を形成するアルミニウムよりも軟らかい材料であれば限定されず、樹脂やゴムが例示される。本実施形態に係る戸当たり4は小突部である。本実施形態では、パネル1の屋外側面部100の左右の各端部に、パネル1の高さ方向(上下方向)に間隔を存して2個、合計4個の戸当たり4が設けてあるが、戸当たり4の個数は限定されない。本実施形態に係るパネル1は、高さ方向に複数の中空部に仕切られており、下から2番目の中空部の除き、中空部の幅方向両端部は開口1aが形成されて開放状となっている(
図6A参照)。下から2番目の中空部の幅方向両端部はカバー体1bによって塞がれており、カバー体1bには下側のガイドローラ1cが突設されている。戸当たり4が設けられた中空部の幅方向両端部は開口1aが形成されており、開口1aを利用して、戸当たり4の交換が可能となっている。本実施形態において、下側の戸当たり4は、幅方向両端部が塞がれた中空部(下側のガイドローラ1cが設けられた中空部)の直上の中空部に対応して設けてある。
【0016】
[A-2]ガイド体
図3に示すように、ガイド体2は、離間対向する室外側見付壁20及び室内側見付壁21と、見込方向に延びる底壁22と、から断面視コ字状に形成され、開口全高に延びる長尺部材であり、室外側見付壁20と室内側見付壁21の先端側は互いに対向するように前辺200、210が折曲形成されている。前辺200は、室外側見付壁20の先端から室内側へ向かって室外側見付壁20に対して垂直に延びており、前辺210は、室内側見付壁21の先端から室外側へ向かって室内側見付壁21に対して垂直に延びている。そして、前辺200、210の先端間の開口溝にパネル1の幅方向端部を受け入れるようになっている。室外側見付壁20と室内側見付壁21の先端側の前辺200、210の外面には、それぞれ高さ方向に延びる長尺状の弾性ゴムからなる一対の弾性要素であるフィン26が設けてあり、パネル1の昇降時及び全閉時に、パネル1の屋外側面部100、屋内側面部101にフィン26が接触するようになっている。
【0017】
[A-3]パネルの昇降動作
図3に示すように、各パネル1の幅方向両端部位の上側には、ガイドローラ11を設けた支軸10が突設されており、各パネル1は支軸10を介してチェーン14に連結されて吊持されることでシャッターカーテンを形成する。
図2等においてチェーンは省略されているが、パネルシャッターにおいて、各パネルをチェーンによって吊持する構成は当業者に良く知られていることに留意されたい。各パネル1は、開口部全閉状態では、垂直姿勢で幅方向両端部がガイド体2内に受けれられており、開口部全開状態では、開口部上方のパネル1の収納空間5内で延設された収納レール6から垂直姿勢で吊持されている。
【0018】
ガイド体2の上端は、開口部上方の収納空間5内まで延びており、パネル1の幅方向両端部のガイドローラ11を案内する上側延出部2´(
図2参照)を備えている。上側延出部2´は、ガイドローラ11に室外側及び室内側の両側から接触可能に構成されている。開口部上方の収納空間5には、上側延出部2´の略上端に位置してチェーン14を巻き掛けするためのスプロケット50が設けあり、開閉機Mによってスプロケット50を回転させて、チェーン14を吊上げ、あるいは、繰り出すことで、パネル1を上昇、あるいは、下降させて建物開口部を開閉するようになっている。
【0019】
[A-4]パネルの収納
開口部上方のパネル1の収納空間5は開口部上方から室内側に向かって延びており、当該収納空間5には、前方から後方(室内側)に向かって緩やかに下向き傾斜状に延出する収納レール6が設けある。チェーン14の吊上げによって、収納空間5内まで移動したパネル1は、スプロケット50を介して収納レール6に継送され、パネル1はガイドローラ11が収納レール6に案内されながら収納空間5の後方へ順次送られて、互いに平行状に垂下した状態に保持され収納される。パネル1は収納姿勢においても垂直姿勢にあり、屋外側面部100が収納空間5の前方側、屋内側面部101が収納空間5の後方側に向いている。
【0020】
パネル1の収納時及び収納姿勢において、複数枚のパネル1が垂直姿勢で並設されており、垂直姿勢で隣接する2枚のパネル1において、一方(後方側)のパネル1の屋外側面部100と他方(前方側)のパネル1の屋内側面部101は対向近接するが、後方側のパネル1の屋外側面部100と前方側のパネル1の屋内側面部101との間に戸当たり4が位置し、後方側のパネル1の屋外側面部100の幅方向両端部位に突設された戸当たり4が前方側のパネル1の屋内側面部101の幅方向両端部位に当接することによって、アルミニウムからなるパネル面部同士が直接接触しないようになっており、パネル面部に傷が付くことが防止される。戸当たり4の高さ寸法(突出寸法)は、リブの高さ寸法(突出寸法)よりも大きいので、一方のパネル1の屋外側面部100に突成されたリブ3が他方のパネル1の屋内側面部101に接触することが規制される。また、一方のパネル1の屋外側面部100に設けた戸当たり4が他方のパネル1の屋内側面部101に当接することによって、金属製(アルミニウム製)パネル面部同士が接触することが規制され、金属部材同士の接触音の生成が抑制される。
【0021】
[B]止水構造
本実施形態に係るパネルシャッターは、全閉状態のパネルシャッターに対して止水構造を付与することで防水扉を構成するようになっている。本実施形態では、全閉状態のパネルシャッターを止水状態とする手段は、全閉状態にある各パネル1を垂直方向に下方に圧迫する第1圧迫機構7と、第1圧迫機構7によって垂直方向に圧迫された全パネル1を一体で室内側へ向かって水平方向に圧迫する第2圧迫機構8とからなる。以下に、止水構造について述べるが、止水構造の詳細については、例えば、特許文献1を参照することができる。
【0022】
[B-1]第1圧迫機構(垂直圧迫機構)
図1に示すように、開口部上方の収納空間には開口幅方向に亘って複数の第1圧迫機構7が設けてある。
図1に示すように、本実施形態では、開口幅方向に間隔を設けて3つの第1圧迫機構7が設けてある。より詳しくは、開口幅方向の中央に1つの第1圧迫機構7が設けてあり、左右のガイド体2側に寄った位置にそれぞれ第1圧迫機構7が設けてある。第1圧迫機構7の数は限定されず、パネル1の幅寸法(開口幅寸法)等に応じて適宜数が選択される。
【0023】
第1圧迫機構7は、開口部全閉状態において、ピストンロッド71を下降させ、押圧部72を最上位のパネル1の上端に当接させて下方に向かって押圧することで、全閉状態にある各パネルを下方に向かって垂直に圧迫する。最上位のパネル1の上端には、3つの第1圧迫機構7に対応して3つの凹状の被押圧部16が形成されている(
図4参照)。第1圧迫機構7は、開口部上方の収納空間におけるパネル1の昇降を妨げないように、パネル1の昇降経路に対して室外側に偏倚して設けてある。したがって、全閉状態の最上位のパネル1の上端を押圧するために、パワーシリンダ70のロッド71は斜め下方に向かって突出するが、リンク機構からなる押圧部72によって、最上位のパネル1の上端に対して垂直方向に押圧力が作用するようになっている。
【0024】
第1圧迫機構7は、第1リミットスイッチ73、第2リミットスイッチ74を備えている。第1リミットスイッチ73、第2リミットスイッチ74は、垂直圧迫状態検知手段を構成する。本実施形態では、第1リミットスイッチ73がOFF→ONとなった時が第1圧迫機構7の圧迫解除時であり、第2リミットスイッチ74がOFF→ONとなった時が第1圧迫機構7の圧迫完了時である。
【0025】
[B-2]第2圧迫機構(水平圧迫機構)
図1に示すように、開口部上方の収納空間には開口幅方向の左右端部に位置してそれぞれ第2圧迫機構8が設けてある。第1圧迫機構7と同様に、第2圧迫機構8は、開口部上方の収納空間におけるパネル1の昇降を妨げないように、パネル1の昇降経路に対して室外側に偏倚して設けてある。
図8、
図9に示すように、第2圧迫機構8は、開口部上方向の収納空間に配置したアクチュエータとして例示するパワーシリンダ80と、パワーシリンダ80のピストンロッド81の上下動に連動する水平方向押圧部材23と、を備えている。水平方向押圧部材23は、全体として断面視長方形状に形成されており、ガイド体2の室外側見付壁20の先端側の内面に位置して設けられている。
【0026】
水平方向押圧部材23は、ガイド体2に沿って垂直に延びる断面視コ字状で長尺状の第1部材(室外側部材)230と、ガイド体2に沿って垂直に延びる断面視コ字状で長尺状の第2部材(室内側部材)231と、を備えている。第1部材230はガイド体2の室外側見付壁20に図示しない螺子で連結されており、第1部材230が固定要素、第2部材231が可動要素となっている。第2部材231は、垂直状の押圧面2310を備えており、圧迫時には、押圧面2310がパネル1の屋外側面部100に当接して室内側へ向かって押圧する。
図8、
図9に示すように、押圧面2310の上端部位はテ―パ状の傾斜面2311となっている。第2部材231は、以下に述べるリンク機構、作動機構を介して第1部材230に対して水平方向に離間・接近するようになっている。
【0027】
リンク機構は、第1リンク232と、第2リンク233と、を備え、第1リンク232と第2リンク233の角度を変えることによって、第1部材230に対して第2部材231が水平方向に離間・接近するようになっている。第1部材230には、高さ方向に所定間隔で第1リンク232の第1端部が第1軸2320を介して回転自在に連結されており、第2部材231には、高さ方向に所定間隔で第2リンク233の第1端部が第2軸2330を介して回転自在に連結されており、第1リンク232の第2端部と第2リンク233の第2端部は、第3軸2340を介して回転自在に連結されている。
【0028】
第1リンク232、第2リンク233は共にブロック状のリンクブロックである。第1リンク232の第1端部には、ブロックを貫設するように第1軸2320が設けてあり、第2リンク233の第1端部には、ブロックを貫設するように第2軸2330が設けてある。第1リンク232の第2端部は離間対向する一対の片からなり、当該一対の片の間に、第2リンク233の第2端部を回転可能な状態で挟持している。第2リンク233の第2端部は離間対向する一対の片からなり、当該一対の片の間に作動ロッド234を挟持しており、作動ロッド234に対しする第2リンク233の第2端部の回転は許容されている。
【0029】
作動ロッド234は、ガイド体2に沿って垂直に延びる長尺状の部材であり、1つの態様では、複数の長尺状部材を上下方向に接続することで形成されている。作動ロッド234には、高さ方向に所定間隔で第3軸2340が連結されており、上端側がパワーシリンダ80のピストンロッド81の先端に連結されている。すなわち、作動ロッド234と作動ロッド234を上下動させるパワーシリンダ80から作動機構が構成されている。パワーシリンダ80はピストンロッド81を下方に向けて配置されており、ピストンロッド81は、連結機構を介して作動ロッド234の上端に連結されている。
【0030】
連結機構は、リンク82と、リンク82の長さ方向中途部位を軸82´を介して回動自在に支持するベース820と、からなり、ピストンロッド81の下端はリンク82の第1端部に回転自在に連結され、作動ロッド234の上端はロッドヘッド2341、吊持ロッド2342を介して、リンク82の第2端部に回転自在に連結されており、ピストンロッド81の下方への突出動作に連動して、作動ロッド234が引き上げられるように構成されている。
【0031】
第1部材230には、リンク機構に対応するように、高さ方向に所定間隔で一対のガイド235が設けてあり、ガイド235に形成されたガイド溝236によって、第2軸2330、第3軸2340が案内されるようになっている。第2軸2330にはガイドローラ2331が設けてあり、第2軸2330はガイドローラ2331がガイド溝236の水平部分に案内されて水平方向に往復動するようになっている。すなわち、作動ロッド234の上動に連動して第2部材231が水平方向に移動して押圧面2310によってパネル1の屋外側面部100を押圧し、屋内側面部101を水密ゴム部材24に圧接するように構成されている。
【0032】
第2圧迫機構8は、第1リミットスイッチ83及び第2リミットスイッチ84を備えている。第1リミットスイッチ83、第2リミットスイッチ84は、水平圧迫状態検知手段を構成する。本実施形態では、第1リミットスイッチ83がOFF→ONとなった時が第2圧迫機構8の圧迫解除時であり、第2リミットスイッチ84がOFF→ONとなった時が第2圧迫機構8の圧迫完了時である。
【0033】
[B-3]パネルの水密構造
最上位のパネル1を除く各パネル1の上端面102には、幅方向全体に亘って水密ゴム12が設けてある。開口部全閉時において、上下隣接する2枚のパネル1の上側パネル1の下端と下側パネル1の上端とを水密ゴム12を介して圧接させることで、上下隣接するパネル間の止水構造が得られるようになっている。最下位のパネル1の下端には、幅方向全体に亘って水密ゴム13が設けてあり、開口部全閉時において、水密ゴム13が床面に圧接されることでシャッターカーテン下端の止水構造が得られるようになっている。すなわち、全閉状態のシャッターカーテンを上端から床面に向かって垂直に圧迫することで上下に隣接するパネル1間及び最下位のパネル1と床面間の止水状態が得られる。
【0034】
[B-4]可動中柱
図1に示すように、本実施形態では、防水扉は可動の中柱15を備えている。中柱15は、止水状態にあるシャッターカーテンを室内側から支持する補強中柱であって、全閉状態にあるパネル1の室内側に位置して、パネル1の屋内側面部101に近接対向して設置される。図示の態様では、防水扉は、3本の中柱15を備えているが、中柱15の本数は限定されず、パネル1の幅寸法(開口幅寸法)や水圧(水位の高さ)等に応じて適宜数が選択される。
【0035】
[B-5]パネルの幅方向端部とガイド体との関係
図3に示すように、各パネル1の幅方向端部は、室外側の水平方向押圧部材23と、室内側の水密ゴム部材24と、の間の開口に受け入れられており、幅方向端部から突出する支軸10の先端のガイドローラ11の室外側周面は、ガイド体2の底部側に設けたガイド部材25に接触ないし近接している。チェーン14を上下動させることで、各パネル1は、屋外側面部、屋内側面部がそれぞれフィン26と接触しながら、幅方向両端の支軸10のガイドローラ11の室外側周面がガイド部材25に、幅方向両端が水密ゴム部材24に、それぞれ案内されて、垂直方向に上下動する。
【0036】
開口部全閉状態において、パネル1の屋外側面部100の幅方向両端のフラット部1000の大部分は、ガイド体2内に位置する被押圧面100Aとなっている。ガイドローラ11の室外側周面がガイド部材25に接触することによって、通常開閉時及び通常の全閉状態において、金属製の水平方向押圧部材23とパネル1の屋外側面部100の幅方向端部の被押圧面100Aとがクリアランスを有して離間しており、水平方向押圧部材23とパネル1の屋外側面部100の被押圧面100Aとの接触が規制されている。さらに、パネル1の屋外側面部100において、戸当たり4は被押圧面100Aの外側に位置して突設されいるので、シャッターカーテンの昇降時において、水平方向押圧部材23と戸当たり4が接触することがない。また、
図3に示すように、リブ3はガイド体2内には位置していない。
【0037】
水平方向押圧部材23と水密ゴム部材24とは、これらの間にパネル1の幅方向端部を介在して対向しており、また、ガイドローラ11の室内側周面はフリー(部材によって案内されない)であり、パネル1が室内側へ移動することに応じてガイドローラ11も室内側へ移動可能となっており、水平方向押圧部材23によってパネル1の屋外側面部100の幅方向両端のフラット部1000の被押圧面100Aを室内側へ押圧することで、パネル1の屋内側面部101の幅方向端部が水密ゴム部材24に圧接され、シャッターカーテン幅方向両端部の高さ方向に亘る止水構造が得られる。
【0038】
[B-6]
このように構成されたパネルシャッターにおいて、開口部全閉状態において、開閉機Mによりスプロケット50をチェーン吊上げ方向に回転駆動すると、全閉状態の垂直姿勢にある各パネル1は、チェーン14の上昇にしたがって、幅方向両端部が垂直状のガイド体2に案内されながら、上昇していき、上位のパネル1から、ガイド体2の上側延出部2´から横方向に延びる収納レール6に順次受け渡され、収納空間5で平行状に収納されていき、開口部が開放される。
【0039】
この時、収納空間5に先に収納されたパネル1の屋外側面部100に、次に収納されたパネル1の屋内側面部101が近接するが、先に収納されたパネル1の屋外側面部100の幅方向両端部位に突設した戸当たり4が、後に収納されたパネル1の屋内側面部101の幅方向両端部位に当接することで、先に収納されたパネル1の屋外側面部100に突成されたリブ3に、後に収納されたパネル1の屋内側面部101が接触することが防止される。
【0040】
パネル1の屋外側面部100において、戸当たり4は被押圧面100Aの外側に位置して突設されいるので、シャッターカーテンの上昇時において、水平方向押圧部材23と戸当たり4が接触することがない。
【0041】
開口部全開状態において、開閉機Mによりスプロケット50をチェーン繰り出し方向に回転駆動すると、平行状に収納されていたパネル1は幅方向両端部のガイドローラ11が収納レール6に案内されながら順次収納空間の後方から前方のスプロケット50側へ引き出され、スプロケット50を通過する時に、高さ方向に互いに上下に垂直姿勢となってガイド体2に案内されながら降下していき、開口部が閉鎖される。
【0042】
パネル1の屋外側面部100において、戸当たり4は被押圧面100Aの外側に位置して突設されいるので、シャッターカーテンの降下時において、水平方向押圧部材23と戸当たり4が接触することがない。
【0043】
シャッターカーテン降下時には、上下に隣接する2枚の任意のパネル1において、下側のパネルの上端と上側のパネルの下端とは離間した状態にある。シャッターカーテン降下時に、最下位のパネル1の下端が着床した後に、シャッターカーテンがさらに所定距離下降を継続することで、上下に隣接する2枚の任意のパネル1において、下側のパネルの上端と上側のパネルの下端とが接触して全閉状態となる。さらに、後に詳述するように、全閉状態にあるシャッターカーテンを垂直方向に圧迫することで垂直圧迫状態となる。シャッターカーテンの垂直圧迫状態において、水密ゴム12が上下隣接するパネル1間を水密状態に閉塞し、水密ゴム13が最下端のパネル1の下端と床面との間の水密状態に閉塞する。
【0044】
垂直圧迫状態にあるシャッターカーテンがさらに水平方向に圧迫されて、水平圧迫状態となると、パネル1の屋内側面部101が水密ゴム部材24に圧接されて、開口幅方向両端部を水密状態に閉塞する。本実施形態では、ピストンロッド81を下方に突出させて
図8の姿勢とすることで、作動ロッド234が垂直状に引き上げられ、作動ロッド234の上動に連動して、第2部材231が第1部材230から離れるようにパネル1に向かって押し出されてパネル1の幅方向端部の屋外側面部100の被押圧面100Aに当接し、パネル1の屋内側面部101が水密ゴム部材24を圧迫することで、第1圧迫機構7によって垂直方向に圧迫された全パネル1を一体で室内側に向かって圧迫する。この時、パネル1の屋外側面部100に設けた戸当たり4は、被押圧面100Aの外側に位置しているため、水平方向押圧部材23が戸当たり4を押圧することがなく、戸当たり4は水平圧迫動作に影響を与えない。
【0045】
このようにシャッターカーテンが圧迫状態(垂直圧迫状態兼水平圧迫状態)となると、上下のパネル間が水密状に閉塞されると共に、全閉姿勢にあるパネルシャッターの三方(左右のガイド体2内に位置するシャッターカーテンの幅方向両端部及びシャッターカーテン下端)の水密ゴム13、24によって室内側空間への浸水を防ぐ止水ラインが形成される。
【符号の説明】
【0046】
1 パネル
100 屋外側面部
1000 フラット部
100A 被押圧面
101 屋内側面部
2 ガイド体
23 水平方向押圧部材
3 リブ
4 戸当たり
8 第2圧迫機構