(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043113
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】電子制御装置、書換ファイル生成装置及びデータ書換システム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20240322BHJP
【FI】
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148112
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】樋口 一貴
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA36
5B376CA47
5B376GA07
(57)【要約】
【課題】電子制御装置に適合しない書換ファイルによって電子制御装置のデータの書き換えが行われてしまうことを抑制する。
【解決手段】1つの態様において、プロセッサ及びメモリを備え、外部のデータ書換装置との間で通信可能に接続された、車載装置の制御を行う電子制御装置が、次のように構成される。すなわち、当該電子制御装置では、前記メモリが、当該電子制御装置の属性を示す第1属性情報を記憶しており、前記プロセッサが、当該電子制御装置のデータを書き換えるための書換ファイルを生成する書換ファイル生成装置の属性を示す第2属性情報を含めて生成された書換ファイルに基づいて生成された書換データを前記データ書換装置から受信したときに、前記第1属性情報が示す属性と当該書換データが備える前記第2属性情報が示す属性とが対応していることを条件として、前記書換データに基づくデータの書き換えを実行する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ及びメモリを備え、外部のデータ書換装置との間で通信可能に接続された、車載装置の制御を行う電子制御装置であって、
前記メモリが、当該電子制御装置の属性を示す第1属性情報を記憶しており、
前記プロセッサが、当該電子制御装置のデータを書き換えるための書換ファイルを生成する書換ファイル生成装置の属性を示す第2属性情報を含めて生成された書換ファイルに基づいて生成された書換データを前記データ書換装置から受信したときに、前記第1属性情報が示す属性と当該書換データが備える前記第2属性情報が示す属性とが対応していることを条件として、前記書換データに基づくデータの書き換えを実行するように構成された、
電子制御装置。
【請求項2】
前記第1属性情報は、前記電子制御装置が製品として量産される量産用または開発段階において用いられる開発用のいずれであるかを示す情報を含み、前記第2属性情報は、前記書換ファイル生成装置によって生成される書換ファイルが、量産用または開発用のいずれの電子制御装置を対象とするかを示す情報を含む、請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
プロセッサ及びメモリを備え、車載装置の制御を行う電子制御装置のデータの書き換えを行うための書換ファイルを生成する書換ファイル生成装置であって、
前記メモリが、当該書換ファイル生成装置が生成する前記書換ファイルによってデータの書き換えを行う対象とする電子制御装置の属性を示す第1属性情報を記憶しており、
前記プロセッサが、電子制御装置のデータの書き換え内容を含むとともに、当該データの書き換えを行う対象とする電子制御装置の属性を示す第2属性情報を含んだ入力ファイルを読み込み、前記第1属性情報が示す属性と前記第2属性情報が示す属性とが対応していることを条件として、前記入力ファイルに含まれる情報と前記第1属性情報とを含んだ書換ファイルを生成するように構成された、
書換ファイル生成装置。
【請求項4】
前記第1属性情報及び前記第2属性情報は、データの書き換えを行う対象とする電子制御装置が搭載される車両の車種を示す情報、及び当該電子制御装置が製品として量産される量産用または開発段階において用いられる開発用のいずれであるかを示す情報の少なくともいずれかを含み、前記第1属性情報に含まれる情報の少なくとも一部は、ユーザ入力により取得することができる、請求項3に記載の書換ファイル生成装置。
【請求項5】
車載装置の制御を行う電子制御装置と、
前記電子制御装置との間で通信可能に接続されたデータ書換装置と、
前記データ書換装置によって前記電子制御装置のデータの書き換えを行うための書換ファイルを生成する書換ファイル生成装置と
を備え、
前記書換ファイル生成装置が、当該書換ファイル生成装置が生成する前記書換ファイルによってデータの書き換えを行う対象とする電子制御装置の属性を示す第1属性情報をメモリに記憶しており、電子制御装置のデータの書き換え内容を含むとともに当該データの書き換えを行う対象とする電子制御装置の属性を示す第2属性情報を含んだ入力ファイルを読み込み、前記第1属性情報が示す属性と前記第2属性情報が示す属性とが対応していることを条件として、前記入力ファイルに基づいた情報と前記第1属性情報とを含んだ前記書換ファイルを生成するように構成され、
前記電子制御装置が、当該電子制御装置の属性を示す第3属性情報をメモリに記憶しており、前記第1属性情報を含んで生成された前記書換ファイルに基づいて生成された書換データを前記データ書換装置から受信したときに、前記第3属性情報が示す属性と当該書換データが備える前記第1属性情報が示す属性とが対応していることを条件として、前記書換データに基づくデータの書き換えを実行するように構成された、
データ書換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される電子制御装置、書換ファイル生成装置及びデータ書換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されて車載機器を制御する電子制御装置において実行される制御プログラムの修正等のため、電子制御装置が備える記憶装置のデータの書き換えが行われる。このようなデータの書き換えにおいては、一例として、電子制御装置に外部のデータ書換装置を通信可能に接続し、当該データ書換装置から書換データを送信する。電子制御装置では、受信した当該書換データに基づいて制御プログラム等のデータを書き換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなデータ書換装置は、予め生成された書換ファイルに基づいて書換データを電子制御装置に送信する。この書換ファイルは、データの書き換え内容等を含む入力ファイルに基づいて、書換ファイル生成装置によって生成される。このような構成において、従来では、書換ファイル生成装置に適合しない入力ファイルに基づいて意図しない書換ファイルが生成される場合があった。また、このように意図せず生成された書換ファイルも含め、電子制御装置に適合しない書換ファイルに基づいてデータの書き換えが行われてしまう場合があった。
【0005】
そこで、本発明では、電子制御装置に適合しない書換ファイルによって電子制御装置のデータの書き換えが行われてしまうことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様では、プロセッサ及びメモリを備え、外部のデータ書換装置との間で通信可能に接続された、車載装置の制御を行う電子制御装置が、次のように構成される。すなわち、当該電子制御装置では、前記メモリが、当該電子制御装置の属性を示す第1属性情報を記憶しており、前記プロセッサが、当該電子制御装置のデータを書き換えるための書換ファイルを生成する書換ファイル生成装置の属性を示す第2属性情報を含めて生成された書換ファイルに基づいて生成された書換データを前記データ書換装置から受信したときに、前記第1属性情報が示す属性と当該書換データが備える前記第2属性情報が示す属性とが対応していることを条件として、前記書換データに基づくデータの書き換えを実行するように構成される。
【0007】
また、本発明の1つの態様では、プロセッサ及びメモリを備え、車載装置の制御を行う電子制御装置のデータの書き換えを行うための書換ファイルを生成する書換ファイル生成装置が、次のように構成される。すなわち、当該書換ファイル生成装置では、前記メモリが、当該書換ファイル生成装置が生成する前記書換ファイルによってデータの書き換えを行う対象とする電子制御装置の属性を示す第1属性情報を記憶しており、前記プロセッサが、電子制御装置のデータの書き換え内容を含むとともに、当該データの書き換えを行う対象とする電子制御装置の属性を示す第2属性情報を含んだ入力ファイルを読み込み、前記第1属性情報が示す属性と前記第2属性情報が示す属性とが対応していることを条件として、前記入力ファイルに含まれる情報と前記第1属性情報とを含んだ書換ファイルを生成するように構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子制御装置に適合しない書換ファイルによって電子制御装置のデータの書き換えが行われてしまうことを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】書換ファイル生成装置の内部構成の一例を示す図である。
【
図3】ECU30の内部構成の一例を示す図である。
【
図4】従来における書換ファイルの生成方法及びECUのデータの書き換え方法の一例を示す図である。
【
図5】本発明における書換ファイルの生成方法及びECUのデータの書き換え方法の一例を示す図である。
【
図6】量産用の入力ファイル及び開発用の入力ファイルと、量産用の書換ファイル生成装置及び開発用の書換ファイル生成装置との対応関係による書換ファイルの生成の可否を示す図である。
【
図7】量産用の書換データ及び開発用の書換データと、量産用のECU及び開発用のECUとの対応関係による、データの書き換えの可否を示す図である。
【
図8】書換ファイル生成装置において実行される処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図9】ECU30において実行される処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図10】書換ファイル生成装置の内部構成の一例を示す図である。
【
図11】本発明における書換ファイルの生成方法の一例を示す図であり、(A)がユーザ入力された部番情報と予め記憶された部番情報とが対応する場合、(B)が。ユーザ入力された部番情報と予め記憶された部番情報とが対応しない場合を示す。
【
図12】書換ファイル生成装置において実行される処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書に記載する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、異なる実施形態やその変形例は、適宜組み合わせることも可能である。
【0011】
[第1実施形態]
[1.システム概要]
図1は、本実施形態におけるデータ書換システム1の概略を示す図である。本データ書換システム1は、書換ファイル生成装置10、データ書換装置20、電子制御装置(以下、ECU(Electronic Control Unit)という)30を備える。
書換ファイル生成装置10は、データの書き換え内容を含む入力ファイル100を読み込み、当該入力ファイル100に基づいて、ECU30の記憶装置(メモリ)のデータを書き換えるための書換ファイル200を生成する。入力ファイル100には、データの書き換え内容を含むファイルやキャリブレーションファイル等が含まれる。書換ファイル200は、データ書換装置20が識別可能なフォーマットで生成される。
【0012】
データ書換装置20は、書換ファイル生成装置10によって生成された書換ファイル200を読み込み、書換ファイル200の情報に基づいて書換データ300(書換要求)を生成してECU30に対して送信する。データ書換装置20は、例えばCAN(Controller Area Network)バスによってECU30と接続され、CAN通信によってECU30に書換データ300を送信することができる。データ書換装置20からECU30に対して書換データ300が送信されることにより、ECU30で動作する書換プログラムが実行され、ECU30の記憶装置のデータが書き換えられる。
【0013】
ECU30は、プロセッサ及びメモリを備えたマイクロコンピュータを備える(詳細な構成は後述する)。ECU30は、制御対象の車載装置の種類に応じた制御プログラム(例えば、エンジン制御等のパワートレイン制御系、電動パワーステアリング、ブレーキ制御等の車両制御系を制御するプログラム等)を実行することにより、各種車載機器に対する電子制御を行う。
【0014】
[2.書換ファイル生成装置及びECUの構成]
次に、上記データ書換システム1のうち、特に書換ファイル生成装置10及びECU30の内部構成について詳細に説明する。
図2は、書換ファイル生成装置10の内部構成の一例を示すブロック図である。
書換ファイル生成装置10は、揮発性メモリ11及び不揮発性メモリ12、並びにこれらのメモリに記憶されたデータを用いて処理を行うプロセッサ13を備えるとともに、入出力インターフェース14を具備したコンピュータである。
揮発性メモリ11は、電気的にデータを書き換え可能であり、電源供給遮断によってデータが消失する記憶装置である。揮発性メモリ11は、プロセッサ13が動作中に使用する一時的な記憶領域を提供する。
【0015】
不揮発性メモリ12は、電気的にデータを書き換え可能であり、電源遮断後もデータが維持される記憶装置である。不揮発性メモリ12は、当該書換ファイル生成装置10が生成する書換ファイル200によってデータを書き換える対象とするECU30の属性を示すファイル生成属性情報51(書換ファイル生成装置の第1属性情報)を含む。また、不揮発性メモリ12は、入力ファイル100、書換ファイル200を記憶し得る。入力ファイル100は、前述のようにECU30に対するデータの書き換え内容等を含むとともに、当該入力ファイル100によりデータを書き換える対象とするECU30の属性を示す入力ファイル属性情報52(第2属性情報)を含む。また、書換ファイル200は、当該書換ファイル生成装置10が生成して記憶するものであり、前述のファイル生成属性情報51を含んで生成される。なお、本実施形態では入力ファイル100が不揮発性メモリ12に記憶されるものとして説明しているが、揮発性メモリ11にのみ記憶された状態でも処理され得る。
【0016】
プロセッサ13は、プログラムに記述された命令セット(データの転送、演算、加工、制御、管理など)を実行するハードウェアであって、演算装置、命令や情報を格納するレジスタ、周辺回路などから構成されている。本実施形態において、プロセッサ13は、プログラムが実行されることによってその機能が実現される、入力ファイル読込部131及び書換ファイル生成部132を備える。
入力ファイル読込部131は、ユーザ操作に従い、入力ファイル100を読み込む。
書換ファイル生成部132は、ファイル生成属性情報51が示す属性と、読み込んだ入力ファイル100に含まれる入力ファイル属性情報52が示す属性とが対応しているときに、入力ファイル100に含まれる書き換え内容等の情報とファイル生成属性情報51とを含んだ書換ファイル200を生成する。なお、本明細書において「対応している」とは、それぞれの属性情報が完全一致している場合や、完全一致していなくてもそれぞれが実質的に同じ属性を示している場合も含み得るものとする。
【0017】
入出力インターフェース14は、書換ファイル生成装置10と外部との間の入出力を実現するインターフェースである。入出力インターフェース14は、例えば外部の記憶装置に接続され、当該記憶装置に記憶された入力ファイル100の読み込みを実現する。また、入出力インターフェース14は、キーボード等の入力装置に接続され、ユーザによりキーボードを用いて入力された情報を取得する。なお、
図2において図示を省略しているが、書換ファイル生成装置10は通信インターフェースも備え得る。例えば、入力ファイル100は、通信インターフェースを介して受信することも可能である。
【0018】
次に、ECU30の内部構成について
図3を参照しつつ説明する。
ECU30は、揮発性メモリ31及び不揮発性メモリ32、並びにこれらの記憶装置に記憶されたデータを用いて処理を行うプロセッサ33を備えるマイクロコンピュータと、通信インターフェース34とを具備している。
揮発性メモリ31は、電気的にデータを書き換え可能であり、電源供給遮断によってデータが消失する記憶装置である。揮発性メモリ31は、プロセッサ33が動作中に使用する一時的な記憶領域を提供する。
【0019】
不揮発性メモリ32は、電気的にデータを書き換え可能であり、電源遮断後もデータが維持される記憶装置である。不揮発性メモリ32は、データの書き換え対象である書換対象データ321を含む。書換対象データ321は、例えば、ECU30の制御対象の車載装置の種類に応じた制御プログラム本体や、当該制御プログラムの動作に用いるパラメータ等のデータ等である。また、不揮発性メモリ32は、自装置すなわちECU30の属性を示すECU属性情報53を含む。また、不揮発性メモリ32は、書換データ300を記憶し得る。書換データ300は、前述のようにデータ書換装置20から受信したデータである。書換データ300は、当該書換データ300が生成された元データである書換ファイル200に含まれていたファイル生成属性情報51を含む。なお、書換データ300は、揮発性メモリ31にのみ記憶された状態で処理され得るが、本説明では不揮発性メモリ32に記憶されるものとして説明している。
なお、ファイル生成属性情報51が、書換ファイル生成装置及びデータ書き換えシステムにおける第1属性情報に対応し、入力ファイル属性情報52が、書換ファイル生成装置及びデータ書き換えシステムにおける第2属性情報に対応する。さらに、ECU属性情報53が、電子制御装置における第1属性情報、またはデータ書き換えシステムにおける第3属性情報に対応する。
【0020】
プロセッサ33は、プログラムに記述された命令セットを実行するハードウェアである。本実施形態において、プロセッサ33は、プログラムが実行されることによってその機能が実現される、受信部331及びデータ書換部332を備える。
受信部331は、データ書換装置20から、書換データ300を受信する。
データ書換部332は、書換データ300に基づいて、不揮発性メモリ32の書換対象データ321を書き換える。
【0021】
通信インターフェース34は、ECU30に接続された他の機器との間の通信を実現する機能を提供する。通信インターフェース34は、例えばCANトランシーバなどで構成され、前述した外部のデータ書換装置20との間の通信のほか、他の車載機器との通信を実現する。
【0022】
[3.本実施形態における書換ファイルの生成方法及びECUのデータの書き換え方法]
次に、本実施形態のデータ書換システム1における書換ファイル200の生成方法及びECU30のデータの書き換え方法について説明する。
ここで、以下に記載する本実施形態の説明においては、ECU30が、製品として量産される量産用または開発段階において用いられる開発用のいずれかであるものとする。そして、ファイル生成属性情報51、入力ファイル属性情報52は、データの書き換え対象とするECU30が量産用または開発用のいずれであるかを示すものとする。また、ECU30が備えるECU属性情報53は、自装置が量産用または開発用のいずれであるかを示すものとする。
【0023】
その上で、本実施形態の説明に先立ち、まず、ECU30がこのような属性を有する場合における従来の書換ファイルの生成方法及びECUのデータの書き換え方法の一例について、
図4を参照して説明する。
【0024】
まず、従来の書換ファイル生成装置910が、量産用のECU930を対象とする入力ファイル9100A(量産用であることを示す入力ファイル属性情報952Aを備える)を読み込む(P1)場合を想定する。書換ファイル生成装置910は、当該入力ファイル9100Aに基づいて書換ファイル9200を生成する(P3)。ここで、従来の書換ファイル生成装置910は、量産用と開発用とで区別されていない。このため、従来の書換ファイル生成装置910は、入力ファイル9100が量産用と開発用とのいずれのECU930を対象としているかに関わらず、量産用であるか開発用であるかを示す情報を有さない書換ファイル200を生成する。開発用のECU930を対象とする入力ファイル100B(開発用であることを示す入力ファイル属性情報952Bを備える)を読み込む場合(P2)も同様である。
【0025】
この場合、データ書換装置920が、書換ファイル9200に基づいて生成した書換データ9300(図示省略)を量産用のECU930A(量産用であることを示すECU属性情報953Aを備える)に送信するときに(P5)、開発用のECU930Bを対象とした内容の書換データ9300を送信してしまう状況が起こり得る。しかし、書換データ9300には入力ファイル100Aが量産用と開発用とのどちらであるかの情報が含まれておらず、ECU930側においても、受信した書換データが、量産用と開発用とのいずれのECU930を対象としているかを識別することができない。このため、量産用のECU930Aのデータを、開発用の書換ファイル9200に基づいた書換データ9300によって書き換えてしまう状況が発生し得る。同様に、データ書換装置920が、書換ファイル9200に基づいた書換データ9300を開発用のECU930Bに送信するときに(P6)、量産用のECU930Aを対象とした書換データ9300を送信してしまう状況も起こり得る。そして、開発用のECU930Bのデータを、量産用の書換ファイル9200に基づいた書換データ9300によって書き換えてしまう状況が発生し得る。
【0026】
次に、
図5~
図7を参照して、本実施形態における書換ファイルの生成方法及びECUのデータの書き換え方法の一例について説明する。
本実施形態では、従来と異なり、書換ファイル生成装置10を、その装置によって生成される書換ファイル200が対象とするECU30の属性ごとにそれぞれ設ける。例えば、量産用のECU30Aのデータを書き換える書換ファイル200Aを生成する書換ファイル生成装置10Aと、開発用のECU30Bのデータを書き換える書換ファイル200Bを生成する書換ファイル生成装置10Bとをそれぞれ設ける。書換ファイル生成装置10Aは、自装置が量産用のECU30Aの書換ファイル200Aを生成することを示すファイル生成属性情報51Aを記憶している。一方で、書換ファイル生成装置10Bは、自装置が開発用のECU30Bの書換ファイル200Bを生成することを示すファイル生成属性情報51Bを記憶している。
【0027】
そして、量産用の書換ファイル生成装置10Aが、量産用のECU30Aを対象とする入力ファイル100A(量産用であることを示す入力ファイル属性情報52Aを備える)を読み込む場合(P11)を想定する。この場合、入力ファイル属性情報52Aとファイル生成属性情報51Aとがいずれも量産用であることを示しているため、書換ファイル生成装置10Aは、入力ファイル100Aに基づいて書換ファイル200Aを生成する(P12)。このとき、書換ファイル200Aには、ファイル生成属性情報51Aを含める。一方、量産用の書換ファイル生成装置10Aが、開発用のECU30Bを対象とする入力ファイル100B(開発用であることを示す入力ファイル属性情報52Bを備える)を読み込む場合(P13)を想定する。この場合、ファイル生成属性情報51Aが量産用であることを示している一方で、入力ファイル属性情報52Bは開発用であることを示している。このように両者が一致しないため、書換ファイル生成装置10Aは、書換ファイル200Aを生成しない(P14)。同様に、書換ファイル生成装置10Bは、開発用のECU30Bを対象とする入力ファイル100Bを読み込んだときには(P15)、入力ファイル100Bに基づいて書換ファイル200Bを生成する(P16)。このとき、書換ファイル200Bには、ファイル生成属性情報51Bを含める。一方、書換ファイル生成装置10Bは、開発用のECU30Aを対象とする入力ファイル100Aを読み込んだとき(P17)には、書換ファイル200Bを生成しない(P18)。なお、
図6は、このような上記の量産用の入力ファイル100A及び開発用の入力ファイル100Bと、量産用の書換ファイル生成装置10A及び開発用の書換ファイル生成装置10Bとの対応関係による書換ファイルの生成の可否を示している。
【0028】
次に、データ書換装置20が、書換ファイル200を入力としてデータ書き換え要求をECU30に送信する段階について説明する。ECU30Aは、自装置が量産用であることを示すECU属性情報53Aを保持している。一方で、ECU30Bは、自装置が開発用であることを示すECU属性情報53Bを保持している。
【0029】
まず、データ書換装置20が、量産用であることを示すファイル生成属性情報51Aを含んだ書換ファイル200Aを読み込み(P21)、これに基づいて量産用のECU30Aに書換データ300A(
図5では図示省略)を送信する場合(P22)を想定する。当該書換データ300は、書換ファイル200Aと同様にファイル生成属性情報51Aを含んでおり、ECU属性情報53Aとファイル生成属性情報51Aとがいずれも量産用であることを示している。このため、ECU30Aは、書換データ300Aに基づいて自装置のデータを書き換える。次に、データ書換装置20が、量産用であることを示すファイル生成属性情報51Aを含んだ書換ファイル200Aを読み込み(P21)、これに基づいて開発用のECU30Bに書換データ300Aを送信する場合(P23)を想定する。この場合、当該書換データ300のファイル生成属性情報51Aが量産用であることを示す一方で、ECU30BのECU属性情報53Bは開発用であることを示している。このように両者が一致しないため、ECU30Bは、書換データ300Aに基づいて自装置のデータを書き換えない。同様に、データ書換装置20が、開発用であることを示すファイル生成属性情報51Bを含んだ書換ファイル200Bを読み込み(P24)、これに基づいて開発用のECU30Aに書換データ300Bを送信する場合(P25)を想定する。この場合、当該書換データ300Bはファイル生成属性情報51Bを含んでおり、ECU属性情報53Bとファイル生成属性情報51Bとがいずれも開発用であることを示している。このため、ECU30Bは、書換データ300Bに基づいて自装置のデータを書き換える。次に、データ書換装置20が、当該開発用の書換ファイル200Bに基づいて量産用のECU30Aに書換データ300Bを送信する場合(P26)を想定する。この場合、当該書換データ300Bのファイル生成属性情報51Bが開発用であることを示す一方で、ECU30AのECU属性情報53Aが量産用であることを示している。このように両者が一致しないため、ECU30Aは、書換データ300Bに基づいて自装置のデータを書き換えない。なお、
図7は、上記の量産用の書換データ300A及び開発用の書換データ300Bと、量産用のECU30A及び開発用のECU30Bとの対応関係による、データの書き換えの可否を示している。
【0030】
[4.書換ファイル生成装置で実行される処理]
次に、上記の書換ファイルの生成方法を実現する書換ファイル生成装置10において実行される処理の一例について、
図8のフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップ11(図ではS11と表記する。以下同様)で、入力ファイル読込部131は、ユーザ操作に従い、入力ファイル100を読み込む。
ステップ12で、入力ファイル読込部131は、入力ファイル100に含まれる入力ファイル属性情報52(量産用または開発用)を読み出す。
ステップ13で、書換ファイル生成部132は、不揮発性メモリ12に記憶されたファイル生成属性情報51(量産用または開発用)を読み出す。
【0031】
ステップ14で、書換ファイル生成部132は、ファイル生成属性情報51と入力ファイル属性情報52とが対応しているか否かを判定する。例えば、前述した例のように、ファイル生成属性情報51及び入力ファイル属性情報52がそれぞれ量産用または開発用のいずれのECU30を対象としているかを示す情報を有している場合には、両方が量産用であるときまたは両方が開発用であるときに、両者が対応していると判定する。両者が対応しているときにはステップ15に進み(Yes)、そうでないときにはステップ16に進む(No)。
ステップ15で、書換ファイル生成部132は、ファイル生成属性情報51を含んだ書換ファイル200を生成する。
ステップ16で、書換ファイル生成部132は、ファイル生成属性情報51を含んだ書換ファイル200を生成しない。
【0032】
[5.ECUで実行される処理]
次に、上記のECUのデータの書き換え方法を実現するECU30において実行される処理について、
図9のフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップ21で、受信部331は、データ書換装置20から、書換データ300を受信する。当該書換データ300は、ユーザがデータ書換装置20を操作することにより、データ書換装置20において書換ファイル200に基づき、書換ファイル200が含んでいるファイル生成属性情報51(量産用または開発用)を含めて生成されたものである。
ステップ22で、データ書換部332は、書換データ300に含まれるファイル生成属性情報51を読み出す。
ステップ23で、データ書換部332は、不揮発性メモリ32に記憶されたECU属性情報53(量産用または開発用)を読み出す。
【0033】
ステップ24で、データ書換部332は、ECU属性情報53とファイル生成属性情報51とが対応しているか否かを判定する。例えば、前述した例のように、ECU属性情報53が自装置が量産用であるか開発用であるかを示す情報であり、ファイル生成属性情報51が量産用または開発用のいずれのECU30を対象としているかを示す情報を有している場合には、両方が量産用であるときまたは両方が開発用であるときに、両者が対応していると判定する。両者が対応しているときにはステップ25に進み(Yes)、そうでないときにはステップ26に進む(No)。
ステップ25で、データ書換部332は、書換対象データ321の書き換えを実行する。
ステップ26で、データ書換部332は、書換対象データ321の書き換えを実行しない。
【0034】
[6.第1実施形態による効果等]
第1実施形態によれば、書換ファイル生成装置10において、入力ファイル100の入力ファイル属性情報52と書換ファイル生成装置10が保持するファイル生成属性情報51とが照合される。そして、両者が示す属性が対応していることを条件として、その属性情報を有した書換ファイル200が生成される。このため、書換ファイル生成装置10がデータの書き換え対象とするECU30の属性によってそれぞれ設けられる構成としても、書換ファイル生成装置10に適合しない入力ファイル100に基づいて意図しない書換ファイル200を生成してしまうことを抑制することができる。また、このとき、ファイル生成属性情報51を含んだ書換ファイル200が生成される。このような書換ファイル200は、後述するように当該書換ファイル200に基づいてデータ書換装置20がECU30のデータを書き換える際、ECU30に適合しない書換ファイル200に基づいたデータの書き換えが発生することを抑制することができる。
【0035】
すなわち、ECU30では、データ書換装置20により当該書換ファイル200に基づいて生成された書換データ300に含まれるファイル生成属性情報51と、ECU30が保持するECU属性情報53とが対応していることを条件として、データの書き換えが実行される。このため、ECU30に適合しない書換ファイル生成装置10によって生成された書換ファイル200に基づいたECU30のデータの書き換えを実行してしまうことを抑制することができる。例えば、開発用のECU30Bを対象とした書換ファイル生成装置10Bが生成した書換ファイル200Bによって、量産用のECU30Aのデータを書き換えてしまうことを抑制することができる。同様に、量産用のECU30Aを対象とした書換ファイル生成装置10Aが生成した書換ファイル200Aによって、開発用のECU30Bのデータを書き換えてしまうことを抑制することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、書換ファイル生成装置10及びECU30の両方を含むデータ書き換えシステム1について説明した。しかし、少なくとも、書換ファイル生成装置10のみによっても、意図しない書換ファイル200の生成を抑制するとともに、ファイル生成属性情報51を含んだ書換ファイル200を生成することができる。これにより、ECU30に適合しない書換ファイル200によってECU30のデータの書き換えが行われてしまうことを抑制するという効果を奏することができる。また、ECU30側においても、少なくとも、自装置でECU属性情報53を備え、書換ファイル200に基づくファイル生成属性情報51を含んだ書換データ300を受信したときには、両者が対応していることを条件としてデータの書き換えを行う。したがって、ECU30のみにおいても、このような書換データを受信することが可能な条件下において、ECU30に適合しない書換ファイル200によってECU30のデータの書き換えが行われてしまうことを抑制するという効果を奏することができる。
【0037】
なお、上記の例においては、データの書き換え対象となるECU30の属性情報が、データを書き換える対象であるECU30が量産用であるか開発用であるかを示す例を用いて説明した。しかし、属性情報はこれに限定されるものではない。例えば、ECU30の属性として、当該ECU30のデータを書き換えることが可能な書換ファイル200を生成する書換ファイル生成装置10のバージョン情報等も含み得る。バージョン情報とは、例えば、書換ファイル200を圧縮データと非圧縮データとのいずれで生成するかといった多様な情報を含み得る。
【0038】
[第2実施形態]
[1.第2実施形態の概要]
第2実施形態では、書換ファイル生成装置10において、入力ファイル100が書換ファイル生成装置10に適合するか否かの判定の際に次のような機能を実現する。すなわち、第1実施形態では、ファイル生成属性情報51が予め不揮発性メモリ12に記憶されていたが、第2実施形態では、ファイル生成属性情報51をユーザによる入力内容に基づいて設定することができる。
なお、以下の第2実施形態の説明では、第1実施形態と同じ内容については原則として省略する。
【0039】
[2.書換ファイル生成装置の構成]
図10は、第2実施形態における書換ファイル生成装置10の内部構成の一例を示すブロック図である。
書換ファイル生成装置10は、第1実施形態に加え、さらに、ユーザにより入出力装置(図示省略)を用いて入力され、入出力インターフェース14を介して不揮発性メモリ12に記憶されたファイル生成属性情報56を備える。なお、本実施形態ではファイル生成属性情報56が不揮発性メモリ12に記憶されるものとして説明しているが、揮発性メモリ11にのみ記憶された状態でも処理され得る。
【0040】
また、第2実施形態では、プロセッサ13において、さらに、ユーザ入力読込部133を備える。ユーザ入力読込部133は、ユーザにファイル生成属性情報56の入力を要求し、入力されたファイル生成属性情報56を不揮発性メモリ12に記憶する。
書換ファイル生成部132は、ファイル生成属性情報51に加え、ファイル生成属性情報56が示す属性と、入力ファイル100の入力ファイル属性情報52が示す属性とが対応しているか否かを判定する。そして、書換ファイル生成部132は、ファイル生成属性情報56が示す属性と、入力ファイル100の入力ファイル属性情報52が示す属性とが対応しているときに、入力ファイル100に基づいて書換ファイル200を生成する。
【0041】
[3.本実施形態における書換ファイルの生成方法]
次に、本実施形態における書換ファイル200の生成方法の一例について、
図11を参照して説明する。
ここで、以下に記載する本実施形態の説明においては、ユーザ入力に基づいて設定されるファイル生成属性情報56は、データの書き換え対象とするECU30が搭載される車両の車種等を表す部番情報を示すものとする。一方で、ファイル生成属性情報51は、第1実施形態と同様に、データの書き換え対象とするECU30が量産用であるか開発用であるかを示すものとする。
【0042】
また、入力ファイル100は、入力ファイル属性情報52に加え、もう1つの入力ファイル属性情報57を備える。そして、入力ファイル属性情報57は、データの書き換え対象とするECU30が搭載される車両の車種等を表す部番情報を示すものとする。一方で、入力ファイル属性情報52は、第1実施形態と同様に、データの書き換え対象とするECU30が量産用であるか開発用であるかを示すものとする。
【0043】
例えば、
図11(A)に示すように、書換ファイル生成装置10が、ある特定の車種の車両に搭載されるECU30を対象とした書換ファイル200を生成する場合を想定する。このとき、書換ファイル生成装置10は、ユーザに対し、データの書き換え対象とするECU30が搭載される車両の車種に対応する部番情報の入力を要求する。そして、ユーザが、書換ファイル生成装置10のキーボードから部番情報を入力し、この部番情報は、ファイル生成属性情報56Xとして記憶される(P31)。また、書換ファイル生成装置10が、入力ファイル100(ファイル生成属性情報56Xと同じ部番情報を示す入力ファイル属性情報57Xを含む)を読み込む(P32)。このとき、入力ファイル属性情報57Xとファイル生成属性情報56Xとがいずれも同じ部番情報を示している。また、入力ファイル100が、量産用の入力ファイル属性情報52Aを含み、書換ファイル生成装置10も量産用のファイル生成属性情報51Aを含んでいるものとする。この場合、書換ファイル生成装置10は、入力ファイル100に基づいて書換ファイル200を生成する(P33)。
【0044】
一方、
図11(B)に示すパターンでは、ユーザが書換ファイル生成装置10のキーボードから部番情報を入力し、この部番情報は、ファイル生成属性情報56Xとして記憶される(P41)。ここで、書換ファイル生成装置10が、入力ファイル100(ファイル生成属性情報56Xと異なる部番情報を示す入力ファイル属性情報57Yを含む)を読み込んだとする(P42)。このとき、入力ファイル属性情報57Yとファイル生成属性情報56Xとが異なる部番情報を示しており、両者が対応していない。このため、書換ファイル生成装置10は、書換ファイル200を生成しない(P43)。
【0045】
[4.書換ファイル生成装置で実行される処理]
次に、上記の書換ファイルの生成方法を実現する書換ファイル生成装置10において実行される処理について、
図12のフローチャートを参照しつつ説明する。
ステップ31で、ユーザ入力読込部133は、ユーザにファイル生成属性情報56(部番情報)の入力を要求する。
ステップ32で、ユーザ入力読込部133は、ユーザにより入力されたファイル生成属性情報56を読み出し、不揮発性メモリ12に記憶する。
ステップ33で、入力ファイル読込部131は、ユーザ操作に従い、入力ファイル100を読み込む。
ステップ34で、入力ファイル読込部131は、入力ファイル100に含まれる入力ファイル属性情報57(部番情報)を読み出す。
【0046】
ステップ35で、書換ファイル生成部132は、ファイル生成属性情報56と入力ファイル属性情報57とが対応しているか否かを判定する。例えば、このようにファイル生成属性情報56及び入力ファイル属性情報57が示す部番情報が一致しているときに、両者が対応していると判定する。また、両者が完全一致していなくても、両者が同じ書換ファイル200を適用可能な関連車種等を表している場合には、対応していると判定し得る。両者が対応しているときにはステップ36に進み(Yes)、そうでないときにはステップ40に進む(No)。
ステップ36で、入力ファイル読込部131は、入力ファイル100に含まれる入力ファイル属性情報52(量産用または開発用)を読み出す。
ステップ37で、書換ファイル生成部132は、不揮発性メモリ12に記憶されたファイル生成属性情報51(量産用または開発用)を読み出す。
【0047】
ステップ38で、書換ファイル生成部132は、ファイル生成属性情報51と入力ファイル属性情報52とが対応しているか否かを判定する。両者が対応しているときにはステップ39に進み(Yes)、そうでないときにはステップ40に進む(No)。
ステップ39で、書換ファイル生成部132は、ファイル生成属性情報51を含んだ書換ファイル200を生成する。
ステップ40で、書換ファイル生成部132は、ファイル生成属性情報51を含んだ書換ファイル200を生成しない。
【0048】
[5.第2実施形態による効果等]
第2実施形態によれば、書換ファイル生成装置10が部番情報ごとに区別して設けられる構成において、入力ファイル100が対象とする部番情報と、ユーザが入力した書換ファイル生成装置10が対象とする部番情報が対応しているときに、書換ファイル200を生成する。したがって、書換ファイル生成装置10に適合しない入力ファイル100に基づいて意図しない書換ファイル200を生成してしまうことを抑制することができる。
【0049】
なお、上記の説明では、ユーザ入力される属性情報が部番情報である例を説明したが、これは一例に過ぎず、データの書き換え対象とするECU30の属性を示す多様な情報を適用し得る。
また、上記の説明では、入力ファイル100に含まれる属性情報に対し、ユーザ入力による情報との照合(部番情報)と、不揮発性メモリ12に予め記憶された情報(量産用または開発用を示す情報)との照合との両方を行っている。しかし、例えば、ユーザ入力による照合のみ行う構成としてもよい。例えば、上記例の場合、部番情報のみの照合を行う構成としてもよい。また、量産用または開発用を示す情報も、書換ファイル200の生成操作中にユーザ入力によって取得し、不揮発性メモリ12に記憶させるようにしてもよい。
【0050】
[その他]
以上に説明した本発明の実施形態は、本発明の技術的範囲で考え得る実施態様の一部に過ぎず、本発明の例示として開示されるものであって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。また、各実施形態における機能的構成及び物理的構成は、前述の態様に限定されるものではなく、例えば、各機能や物理的資源を統合して実装したり、逆に、さらに分散して実装したり、さらには、構成の一部について他の構成の追加、削除、置換等をすることも可能である。
【符号の説明】
【0051】
10…書換ファイル生成装置、20…データ書換装置、30…ECU、100…入力ファイル、200…書換ファイル、300…書換データ、51…ファイル生成属性情報、52…入力ファイル属性情報、53…ECU属性情報