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特開2024-43115シート用振動伝達装置、シート用振動制御装置、振動伝達シート、及び振動伝達装置の制御方法
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  • 特開-シート用振動伝達装置、シート用振動制御装置、振動伝達シート、及び振動伝達装置の制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043115
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】シート用振動伝達装置、シート用振動制御装置、振動伝達シート、及び振動伝達装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240322BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240322BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240322BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20240322BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20240322BHJP
   H04R 1/02 20060101ALN20240322BHJP
【FI】
G06F3/01 560
B60R11/02 S
A47C7/62 Z
B60N2/90
H04R1/00 310G
H04R1/02 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148116
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡島 一平
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3D020
5D017
5E555
【Fターム(参考)】
3B084JC12
3B084JD07
3B087DE10
3D020BA02
3D020BB01
3D020BC11
3D020BD05
3D020BE03
5D017AA11
5D017AE18
5E555AA76
5E555AA79
5E555BA23
5E555BA38
5E555BB23
5E555BB38
5E555DA21
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】着座者に効果的な感覚を与えるシート用振動伝達装置、シート用振動制御装置及び振動伝達シートを提供する。
【解決手段】シート用振動伝達システムにおいて、振動発生部200は、シート本体100に設置される。合成部330は、触覚コンテンツを着座者に提供するための触覚振動信号321と音声コンテンツを着座者に提供するための音声振動信号322とを合成した第1の合成信号324を生成する。制御部310は、第1振動発生部に、第1の合成信号324で所定の合成振動を発生させる第1駆動を行わせ、第2振動発生部に、触覚振動信号321で所定の第2振動を発生させる第2駆動を行わせる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート用振動伝達装置(400)であって、
着座者に触覚コンテンツ及び音声コンテンツを出力する振動発生部(200)と、
前記触覚コンテンツを出力するための触覚振動信号(321)と前記音声コンテンツを出力するための音声振動信号(322)とを合成した第1の合成信号(324)を生成する合成部(330)と、
前記振動発生部に、前記第1の合成信号(324)で所定の合成振動を発生させる第1駆動を行わせる制御部(310)と、を備える、
ことを特徴とするシート用振動伝達装置(400)。
【請求項2】
前記制御部(310)は、
1)前記振動発生部(200)に含まれる第1振動発生部(201)に、前記第1駆動を行わせ、
2)前記振動発生部(200)に含まれる第2振動発生部(202)に、前記触覚振動信号(321)で所定の第2振動を発生させる第2駆動を行わせる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート用振動伝達装置(400)。
【請求項3】
前記第1振動発生部(201)は、シート本体の背もたれ部において、前記第2振動発生部(202)よりも高い位置に設置される、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート用振動伝達装置(400)。
【請求項4】
前記合成部(330)は、前記第1の合成信号(324)より前記音声振動信号(322)の割合が少なくなるように、前記触覚振動信号(321)と前記音声振動信号(322)とを合成した第2の合成信号(325)を生成し、
前記制御部(310)は、
1)前記振動発生部(200)に含まれる第1振動発生部(201)に、第1駆動を行わせ、
2)前記振動発生部(200)に含まれる第2振動発生部(202)に、前記触覚振動信号で所定の第2振動を発生させる第2駆動を行わせ、
3)前記振動発生部(200)に含まれる第3振動発生部(203)に、前記第2の合成信号(325)で所定の第3振動を発生させる第3駆動を行わせ、
前記第1振動発生部(201)は、シート本体の背もたれ部において、前記第2振動発生部(202)よりも高い位置に設置され、
前記第3振動発生部(203)は、前記シート本体の前記背もたれ部の高さ方向において、前記第1振動発生部(201)と前記第2振動発生部(202)の間に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート用振動伝達装置(400)。
【請求項5】
前記触覚振動信号(321)を入力し、前記触覚振動信号(321)に応じた前記音声振動信号(322)を出力する音声振動信号出力部(312)をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート用振動伝達装置(400)。
【請求項6】
前記音声振動信号(322)を入力し、前記音声振動信号(322)に応じた前記触覚振動信号(321)を出力する触覚振動信号出力部(312)をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート用振動伝達装置(400)。
【請求項7】
前記触覚振動信号出力部(312)は、前記音声振動信号(322)を入力し、前記音声振動信号(322)を分析し、前記音声振動信号(322)に応じた前記触覚振動信号(321)を生成する触覚振動信号生成部(315)を備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のシート用振動伝達装置(400)。
【請求項8】
前記制御部(310)は、
前記振動発生部(200)に、異なる周波数を順次変えていく試験振動を発生させる試験駆動を行わせ、
前記試験振動による音声、及び周囲の音声を入力する集音部(370)と、
前記集音部(370)が入力した音声に基づき、共振周波数を特定する共振周波数検出部(380)と、をさらに備え、
前記制御部(310)は、前記共振周波数検出部(380)が検出した前記共振周波数を避けた振動を、前記振動発生部(200)に行わせる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート用振動伝達装置(400)。
【請求項9】
着座者に触覚コンテンツ及び音声コンテンツを出力する振動発生部(200)を制御するシート用振動制御装置(300)であって、
前記触覚コンテンツを出力するための触覚振動信号(321)と前記音声コンテンツを出力するための音声振動信号(322)とを合成した第1の合成信号(324)を生成する合成部(330)と、
前記振動発生部(200)に、前記第1の合成信号(324)で所定の合成振動を発生させる第1駆動を行わせる制御部(310)と、を備える、
ことを特徴とするシート用振動制御装置(400)。
【請求項10】
シート本体(100)と、
前記シート本体の着座者に触覚コンテンツ及び音声コンテンツを出力する振動発生部(200)と、
前記触覚コンテンツを出力するための触覚振動信号(321)と前記音声コンテンツを出力するための音声振動信号(322)とを合成した第1の合成信号(324)を生成する合成部(330)と、
前記振動発生部(200)に、前記第1の合成信号(324)で所定の合成振動を発生させる第1駆動を行わせる制御部(310)と、を備える、
ことを特徴とする振動伝達シート。
【請求項11】
前記制御部(310)は、
1)前記振動発生部(200)に含まれる第1振動発生部(201)に、第1駆動を行わせ、
2)前記振動発生部(200)に含まれる第2振動発生部(202)に、前記触覚振動信号で所定の第2振動を発生させる第2駆動を行わせ、
前記第1振動発生部(201)は、シート本体の背もたれ部において、第2振動発生部(202)よりも高い位置に設置される、
ことを特徴とする請求項10に記載の振動伝達シート。
【請求項12】
前記合成部(330)は、前記第1の合成信号(324)より前記音声振動信号(322)の割合が少なくなるように、前記触覚振動信号(321)と前記音声振動信号(322)とを合成した第2の合成信号(325)を生成し、
前記制御部(310)は、
1)前記振動発生部(200)に含まれる第1振動発生部(201)に、第1駆動を行わせ、
2)前記振動発生部(200)に含まれる第2振動発生部(202)に、前記触覚振動信号で所定の第2振動を発生させる第2駆動を行わせ、
3)前記振動発生部(200)に含まれる第3振動発生部(203)に、前記第2の合成信号(325)で所定の第3振動を発生させる第3駆動を行わせ、
前記第1振動発生部(201)は、シート本体の背もたれ部において、前記第2振動発生部(202)よりも高い位置に設置され、
前記第3振動発生部(203)は、前記シート本体の前記背もたれ部の高さ方向において、前記第1振動発生部(201)と前記第2振動発生部(202)の間に配置される、
ことを特徴とする請求項10に記載の振動伝達シート。
【請求項13】
着座者に触覚コンテンツ及び音声コンテンツを出力する振動伝達装置の制御方法であって、
前記触覚コンテンツを出力するための触覚振動信号(321)と前記音声コンテンツを出力するための音声振動信号(322)とを合成した第1の合成信号(321)を生成することと、
前記振動発生部に、前記第1の合成信号(321)で所定の合成振動を発生させる第1駆動を行わせることと、を含む、
ことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、着座者に対して、触覚的な感覚、及び聴覚的な感覚を提供するシート用振動伝達装置、シート用振動制御装置、振動伝達シート、及び振動伝達装置の制御方法等に関する。
【0002】
着座者に触覚的な振動を与えることで、着座者に注意を促す注意喚起効果、着座者をマッサージするリラックス効果を提供するシート用振動デバイスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-212976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の概要は、着座者に効果的な感覚を与えることに関する。より具体的には、注意喚起効果やリラックス効果を増加させる、ことにも関する。
【0005】
本明細書に開示される特定の実施形態の要約を以下に示す。これらの態様が、これらの特定の実施形態の概要を読者に提供するためだけに提示され、この開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。実際に、本開示は、以下に記載された実施態様と、以下に記載されない種々の態様との組み合わせを包含し得る。
【0006】
したがって、本明細書に記載されるシート用振動伝達装置、シート用振動制御装置、振動伝達シート、及び振動伝達装置の制御方法等は、前記課題を解決するため、以下の手段を採用した。本実施形態は、触覚コンテンツを出力するための触覚振動信号と音声コンテンツを出力するための音声振動信号とを合成した第1の合成信号を生成することと、振動発生部に、第1の合成信号で所定の合成振動を発生させる第1駆動を行わせる、ことをその要旨とする。
【0007】
本明細書に記載される第1実施態様におけるシート用振動伝達装置は、着座者に触覚コンテンツ及び音声コンテンツを出力する振動発生部と、触覚コンテンツを出力するための触覚振動信号と音声コンテンツを出力するための音声振動信号とを合成した第1の合成信号を生成する合成部と、振動発生部に、第1の合成信号で所定の合成振動を発生させる第1駆動を行わせる制御部と、を備えるものである。本実施形態によれば、触覚コンテンツと、音声コンテンツとを同時に出力することができ、触覚コンテンツだけの出力する場合と比べて、音声コンテンツを追加することで触覚コンテンツをより強調し、着座者により印象づけることができるという利点が想定される。また、本実施形態によれば、音声コンテンツだけの出力する場合と比べて、触覚コンテンツを追加することで音声コンテンツをより強調し、着座者により印象づけることができるという利点が想定される。
【0008】
第1の実施形態に従属し得る第2実施形態のシート用振動伝達装置では、制御部は、1)振動発生部に含まれる第1振動発生部に、第1駆動を行わせ、2)振動発生部に含まれる第2振動発生部に、触覚振動信号で所定の第2振動を発生させる第2駆動を行わせるものである。本実施形態によれば、第1箇所では、触覚コンテンツだけではなく、音声コンテンツも提供することができ、第2箇所でも、第1箇所で出力した触覚コンテンツと同じ触覚コンテンツ(又は関連づけられた触覚コンテンツ)を出力することで、第1箇所と第2箇所との複数の箇所で(広い範囲で)触覚コンテンツを提供しつつ、一部(第1箇所)では、音声コンテンツも同時に与えることで、着座者に与える触覚コンテンツの印象を増大させることができるという利点も想定される。
【0009】
第2の実施形態に従属し得る第3実施形態におけるシート用振動伝達装置では、第1振動発生部は、シート本体の背もたれ部において、第2振動発生部よりも高い位置に設置されるものである。本実施形態によれば、耳に近く配置されやすい第1箇所では、触覚コンテンツだけではなく、音声コンテンツも提供することができ、耳から遠く配置されやすい第2箇所でも、第1箇所で出力した触覚コンテンツと同じ触覚コンテンツ(又は関連づけられた触覚コンテンツ)を出力することで、第1箇所と第2箇所との複数の箇所で(広い範囲で)触覚コンテンツを提供しつつ、一部(第1箇所)では、音声コンテンツも同時に与えることで、着座者に与える触覚コンテンツの印象を増大させることができる(または、音声コンテンツの印象を触覚コンテンツにより増大させることができるとも言える)という利点も想定される。
【0010】
第1の実施形態に従属し得る第4実施形態におけるシート用振動伝達装置では、合成部は、第1の合成信号より音声振動信号の割合が少なくなるように、触覚振動信号と音声振動信号とを合成した第2の合成信号を生成し、制御部は、1)振動発生部に含まれる第1振動発生部に、第1駆動を行わせ、2)振動発生部に含まれる第2振動発生部に、触覚振動信号で所定の第2振動を発生させる第2駆動を行わせ、3)振動発生部に含まれる第3振動発生部に、第2の合成信号で所定の第3振動を発生させる第3駆動を行わせ、第1振動発生部は、シート本体の背もたれ部において、第2振動発生部よりも高い位置に設置され、第3振動発生部は、シート本体の背もたれ部の高さ方向において、第1振動発生部と第2振動発生部の間に配置されるものである。本実施形態によれば、耳に近く配置されやすい箇所ほど、音声振動信号の割合を増加させ、聴覚刺激を効果的に提供することができつつ、耳から離れた位置でも聴覚刺激を与えることで全体的に同調した刺激の印象を与えることができるという利点も想定される。
【0011】
第1ないし第4の実施形態に従属し得る第5実施形態におけるシート用振動伝達装置では、触覚振動信号を入力し、触覚振動信号に応じた音声振動信号を出力する音声振動信号出力部をさらに備えるものである。本実施形態によれば、触覚振動信号に応じた音声振動信号を選択(又は生成、又は取得)することで、触覚コンテンツと音声コンテンツとが連動させやすくなり、触覚及び音声を着座者に効果的に印象付けることができるという利点も想定される。
【0012】
第1ないし第4の実施形態に従属し得る第6実施形態におけるシート用振動伝達装置では、音声振動信号を入力し、音声振動信号に応じた触覚振動信号を出力する触覚振動信号出力部をさらに備えるものである。本実施形態によれば、触覚振動信号に応じた音声振動信号を選択(又は生成、又は取得)することで、触覚コンテンツと音声コンテンツとが連動させやすくなり、触覚及び音声を着座者に効果的に印象付けることができるという利点も想定される。
【0013】
第6の実施形態に従属し得る第7実施形態におけるシート用振動伝達装置では、触覚振動信号出力部は、音声振動信号を入力し、音声振動信号を分析し、音声振動信号に応じた触覚振動信号を生成する触覚振動信号生成部を備えるものである。本実施形態によれば、触覚振動信号に応じた音声振動信号を選択(又は生成、又は取得)することで、触覚コンテンツと音声コンテンツとが連動させやすくなり、触覚及び音声を着座者に効果的に印象付けることができるという利点も想定される。
【0014】
第1ないし第7の実施形態に従属し得る第8実施形態におけるシート用振動伝達装置では、制御部は、振動発生部に、異なる周波数を順次変えていく試験振動を発生させる試験駆動を行わせ、試験振動による音声、及び周囲の音声を入力する集音部と、集音部が入力した音声に基づき、共振周波数を特定する共振周波数検出部と、をさらに備え、制御部は、共振周波数検出部が検出した共振周波数を避けた振動を、振動発生部に行わせるものである。本実施形態によれば、共振してしまう周波数を避けて振動発生部を振動させることができるため、共振による異音(ノイズ)の発生を防止することができるという利点も想定される。
【0015】
第9実施形態におけるシート用振動制御装置では、着座者に触覚コンテンツ及び音声コンテンツを出力する振動発生部を制御するシート用振動制御装置であって、触覚コンテンツを出力するための触覚振動信号と音声コンテンツを出力するための音声振動信号とを合成した第1の合成信号を生成する合成部と、振動発生部に、第1の合成信号で所定の合成振動を発生させる第1駆動を行わせる制御部と、を備えるものである。
【0016】
第10実施形態における振動伝達シートでは、シート本体と、シート本体の着座者に触覚コンテンツ及び音声コンテンツを出力する振動発生部と、触覚コンテンツを出力するための触覚振動信号と音声コンテンツを出力するための音声振動信号とを合成した第1の合成信号を生成する合成部と、振動発生部に、第1の合成信号で所定の合成振動を発生させる第1駆動を行わせる制御部と、を備えるものである。
【0017】
第10実施形態に従属し得る第11実施形態における振動伝達シートでは、制御部は、1)振動発生部に含まれる第1振動発生部に、第1駆動を行わせ、2)振動発生部に含まれる第2振動発生部に、触覚振動信号で所定の第2振動を発生させる第2駆動を行わせ、第1振動発生部は、シート本体の背もたれ部において、第2振動発生部よりも高い位置に設置されるものである。
【0018】
第10実施形態に従属し得る第12実施形態における振動伝達シートでは、合成部は、第1の合成信号より音声振動信号の割合が少なくなるように、触覚振動信号と音声振動信号とを合成した第2の合成信号を生成し、制御部は、1)振動発生部に含まれる第1振動発生部に、第1駆動を行わせ、2)振動発生部に含まれる第2振動発生部に、触覚振動信号で所定の第2振動を発生させる第2駆動を行わせ、3)振動発生部に含まれる第3振動発生部に、第2の合成信号で所定の第3振動を発生させる第3駆動を行わせ、第1振動発生部は、シート本体の背もたれ部において、第2振動発生部よりも高い位置に設置され、第3振動発生部は、シート本体の背もたれ部の高さ方向において、第1振動発生部と第2振動発生部の間に配置されるものである。
【0019】
第13実施形態における振動伝達装置の制御方法は、着座者に触覚コンテンツ及び音声コンテンツを出力する振動伝達装置の制御方法であって、触覚コンテンツを出力するための触覚振動信号と音声コンテンツを出力するための音声振動信号とを合成した第1の合成信号を生成することと、振動発生部に、第1の合成信号で所定の合成振動を発生させる第1駆動を行わせることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一実施形態による、振動発生部を含むシート用振動伝達装置を示す。
図2図2は、一実施形態による、シート用振動制御装置と、振動発生部とを含むシート用振動伝達システムのブロック図である。
図3図3は、一実施形態による、振動発生部を振動させる処理を示すフローチャートである。
図4図4は、一実施形態による、振動発生部を振動させる処理を示すフローチャートである。
図5図5は、一実施形態による、振動発生部を振動させる処理を示すフローチャートである。
図6図6は、いくつかの実施形態による、複数の駆動の種類の配列の例を示す図である。
図7図7は、一実施形態による、制御部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1ないし図7では、例示的なシート用振動伝達装置の構成、及び動作の説明を提供する。
本明細書における実施形態の教示は、添付の図面とともに以下の詳細な説明を検討することによって容易に理解され得る。ここで、本開示のいくつかの実施形態が詳細に言及され、それらの例が添付の図面に図示されている。実施可能な限り、類似または同様の参考番号が図中で使用され得、類似または同様の機能を示し得ることに留意されたい。図は、例示のみの目的で本開示の実施形態を描いている。当業者は、以下の説明から、本明細書で説明している構造および方法の代替的な実施形態が本明細書に記載の開示の原理または利点から逸脱することなく使用され得ることを容易に認識するであろう。
【0022】
本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は、人間のユーザが、自動車、劇場もしくは他の会場、家庭または他の場所で着席しているときに、それらのユーザに高品質の触覚体験および音響を送達することにおける多くの欠点に対処することを意図している。
【0023】
本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は、例えば、車、トラック、バスなどの自動車、又は電車、飛行機、船などの他の移動体に適用可能である。
【0024】
本開示の1つの実施形態のシート用振動伝達装置では、ユーザに注意喚起する場合であり、例えば、障害物(例えば、進路を妨げる別の車両など)または他の注意すべき領域(停止が必要な交差点など)が存在する場合、障害物または他の注意すべき領域のそばの座席側の振動発生部を起動させ得る。また、本開示の1つの実施形態のシート用振動伝達装置は、例えば、よく知られた(またはユーザが興味を示し得る)ランドマークを通過するときに、ユーザに知らせたり、目的地から所定の距離または所定の時間以内になったことを知らせたりしてもよい。
【0025】
本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は、座席設備など、人間のそのときの状態に対応するように設計された1つまたは複数の構造を通して、例えば音楽リスニングおよびフィーリング体験の強化、より直観的なユーザインタフェース注意喚起、マッサージおよびリラクゼーション感覚、ゲーム体験、ARおよびVR体験と同様に、例えば運転シミュレーションなどのシミュレーションならびに他の音波および触覚効果など、様々な触覚および/または音響体験を1人または複数の人間のユーザに提供する1つまたは複数の振動発生部、センサ、及び制御システムからなる装置を提示する。
【0026】
図1は、一実施形態による、振動発生部を含むシート用振動伝達装置を図示する。シート用振動伝達装置400は、車両(例えば、自動車、列車、飛行機、ボート)のための座席100に取り付けられる。他の実施形態では、座席100は、ゲームのための座席または劇場の座席であり得る。
【0027】
座席100は、ユーザの背中を支持するためのシートバック110と、ユーザの臀部を支持するためのシートボトム120と、ユーザの後頭部を支持するためのヘッドレスト130と、を含む。
【0028】
シートバック(背もたれ部)110は、左右に1つずつ並んだ2つを1組として、上下方向に3段に並べた6つの振動発生部200を含む。シートバック110において最も上に配置される振動発生部200を、第1振動発生部210とし、最も下に配置される振動発生部200を、第2振動発生部220とし、第1振動発生部210と第2振動発生部220との間に配置される振動発生部200を、第3振動発生部230とする。
【0029】
第1ないし第3振動発生部210,220,および230は、シートバック110の垂直中心線150に沿って位置している。垂直中心線150は、座席内に物理的に存在するのではなく、シートバック110の左半分および右半分を互いに分離するシートバック110の仮想中心軸である。
【0030】
シートボトム120は、左右に1つずつ並んだ2つを1組として、前後方向に2段に並べた4つの振動発生部200を含む。シートボトム120において最も後ろに配置される振動発生部200を、第4振動発生部240とし、最も前に配置される振動発生部200を、第5振動発生部250とする。
【0031】
シートバック110では、振動発生部200の6つ、210(RLの2つ)、220(RLの2つ)、及び230(RLの2つ)は、振動を生成して、触覚的な方向指示的注意喚起または触覚的な方向指示的フィードバックをユーザに提供する。右側振動発生部200R(210R、220R、230R)は、シートバック110の右側に位置し、触覚的な方向指示的注意喚起または触覚的な方向指示的フィードバックをユーザの右側に提供する。左側振動発生部200L(210L、220L、230L)は、シートバック110の左側に位置し、触覚的な方向指示的注意喚起または触覚的な方向指示的フィードバックをユーザの左側に提供する。シートバック110の両側の振動発生部200Rおよび200Lの場所により、振動発生部200Rおよび200Lによって発生した振動は、ユーザに触覚的な方向指示的注意喚起を提供する(例えば、運転しながら左または右を見るように注意を喚起する)か、またはユーザに触覚的な方向指示的フィードバックを提供する(例えば、娯楽用途に関して、スクリーンの左側または右側に大きな生物の存在を示す)ために用いられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1振動発生部210は、振動発生部220および230よりもシートバック110の上端の近くにある。第2振動発生部220は、振動発生部210および230よりもシートバック110の下端の近くにある。第3振動発生部230は、振動発生部210および第2振動発生部220との間にある。
【0033】
シートボトム120では、振動発生部200の4つ、240(RLの2つ)、及び250(RLの2つ)は、振動を生成して、触覚的な方向指示的注意喚起または触覚的な方向指示的フィードバックをユーザに提供する。右側振動発生部200R(240R、250R)は、シートボトム120の右側に位置し、触覚的な方向指示的注意喚起または触覚的な方向指示的フィードバックをユーザの右側に提供する。左側振動発生部200L(240L、250L)は、シートボトム120の左側に位置し、触覚的な方向指示的注意喚起または触覚的な方向指示的フィードバックをユーザの左側に提供する。
【0034】
いくつかの実施形態では、第4振動発生部240は、第5振動発生部250よりもシートボトム120の後端の近くにある。第5振動発生部250は、第4振動発生部240よりもシートボトム120の前端の近くにある。
【0035】
振動発生部200は、例えば、ボイスコイルモータ等であり、後述する触覚振動信号に応じた振動を生成することで、人間の人体(皮膚、筋肉、骨)に振動を伝達し、人間の人体内の受容体が、振動発生部200から振動による力および/または圧力の微妙な変化を検出する。例えば、1つまたは複数の振動発生部200がユーザの臀部に接して配置された場合、圧力および力が変化する感覚を伝えることができる。振動発生部200は、触覚振動信号による触覚コンテンツ(所定の振動パターン)で着座者に注意を促す注意喚起効果やマッサージするリラックス効果を提供する。
【0036】
また、振動発生部200は、後述する音声振動信号に応じた音声を生成することで、人間の人体(皮膚、筋肉、骨)や聴覚に音響を伝達し、人間の人体内の受容体が、振動発生部200から音響による力および/または圧力の微妙な変化を検出したり、人間の聴覚が、振動発生部200から音響による音を検出したりする。例えば、1つまたは複数の振動発生部200がユーザの背中に接して配置された場合、音声を伝えることができる。振動発生部200は、音声振動信号よる音声コンテンツ(メッセージや音楽)で着座者に注意を促す注意喚起効果やマッサージするリラックス効果を提供する。
【0037】
振動発生部の物理的配置は、それらの意図された目的に最適化することができ、以下の非限定的な例が挙げられる。「I字形配置」の振動発生部は、少なくとも2つの振動発生部を含む一本の線を形成し、一例では、一本の線を形成する3つ以上の振動発生部が互いに等しい距離に配置されている。これを「一定I字形配置」と記載する。「I字形配置」のさらなる変形形態は、一本の線を形成する3つ以上の振動発生部が互いに異なる距離に配置されている場合である。これを「変形I字形配置」と記載する。図1では、振動発生部は、シートバック110の右側に上下方向に3つの振動発生部210R、220R、230Rが一本の線上に等しい距離に配置される(図1の振動発生部は一定I字形配置である)。なお、シートバック110の左側の上下方向に3つの振動発生部210L、220L、230Lも同様に一定I字形配置であると言える。
【0038】
いくつかの実施形態において、振動発生部の物理的配置は、T字型配置、これを上下(又は前後)方向に反転させた逆T字型配置、H字型配置、X字型配置、菱形状配置、放射状配置、同心円配置、楕円配置、マトリクス配置、ハニカム配置であってもよい。
【0039】
図2は、一実施形態による、シート用振動制御装置300と、振動発生部200とを含むシート用振動伝達装置400のブロック図である。シート用振動制御装置300は、MCU(Micro Controller Unit)またはCPU(Central Processing Unit)などからなる制御部310と、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)330と、デジタル-オーディオ変換器(DAC:digital to analog converter又はdigital to analog audio converter)330(331乃至335)と、増幅器回路350(351乃至355)と、を含む。座席100は、振動発生部200(210乃至250)を含む。座席100は、1つまたは複数のセンサ390も含む。センサ390は、シートバック110またはシートボトム120に配置することができる。
【0040】
シート用振動制御装置300は、振動発生部200によって動きに変換される駆動信号360(361乃至365)を生成する。駆動信号360は、後述する触覚振動信号321、音声振動信号322、又は触覚振動信号321及び音声振動信号322の合成信号により生成される。1つの実施形態では、入力情報301は、生成される触覚振動信号321(触覚振動信号321、及び音声振動信号322)に影響を及ぼす。
【0041】
具体的には、制御部310は、触覚振動信号321をDSP330へ出力する触覚信号出力部311と、音声振動信号322をDSP330へ出力する音声振動信号出力部312と、を有する。制御部310(触覚信号出力部311)は、座席100の外部におけるイベントの存在を示すイベント情報(入力情報の一例)301を受信し、イベント情報301を用いて触覚振動信号記憶部314から特定の触覚振動信号(触覚振動信号321)を選択する。一方、制御部310(音声振動信号出力部312)は、座席100の外部におけるイベントの存在を示すイベント情報(入力情報の一例)301を受信し、イベント情報301を用いて音声振動信号記憶部316から特定の音声振動信号(音声振動信号322)を選択する。1つの実施形態では、イベント情報(入力情報の一例)301は、走行中の車両の動作または安全性に関係する車両イベントの発生を示す車両イベント情報である。例えば、車両イベントには、以下であり得る。
【0042】
(死角警告イベント)
死角警告は、車両の左または右の死角における自動車の存在である可能性がある。死角警告の波形モード(触覚振動信号、及び/又は音声振動信号)が座席100の左側または右側の振動発生部200を振動させることにより、ユーザに左または右を見るように触覚的な注意喚起を提供する。死角警告のための情報は、死角センサから受信され得る。
【0043】
(車線逸脱警告イベント)
車線逸脱警告は、運転者の車両の左または右への寄り過ぎの検出である可能性がある。死角警告の波形モード(触覚振動信号、及び/又は音声振動信号)が座席100の左側または右側の振動発生部200を振動させることにより、ユーザに車線内に戻るように触覚的な注意喚起を提供する。車線逸脱警告のための情報は、車線逸脱センサから受信され得る。
【0044】
(ナビゲーションイベント)
ナビゲーションイベントは、予定経路の左折または右折であり得る。左折または右折の波形モード(触覚振動信号、及び/又は音声振動信号)が座席100の左側または右側の振動発生部200を振動させることにより、ユーザに左または右に曲がるように触覚的な注意喚起を提供する。ナビゲーションイベントのための情報は、カーナビゲーションシステムから受信され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、入力情報301は、ユーザへ提供する音及び触覚効果の種別を示す振動モード情報である。例えば、振動モードは、以下であり得る。
【0046】
(音楽リスニングモード)
ユーザが操作部(不図示)により、聴きたい音楽コンテンツを選択すると、制御部310(音声振動信号出力部312)は、例えば、車両に搭載されたオーディオ機器、携帯情報端末、外部サーバーなどから音声コンテンツ取得部317を介して音声コンテンツを取得し、この音声コンテンツの波形モード(音声振動信号)を座席100の振動発生部200の一部又は全部に出力し、振動発生部200を音声コンテンツの波形モードで振動させることにより、ユーザに聴覚的な情報(音声コンテンツ)を提供する。いくつかの実施形態では、制御部310(触覚振動信号生成部315)は、音声振動信号を解析し、音声振動信号の周波数スペクトルやビート周期等の音響的又は音楽的な特徴量及び/又は特徴点を求め、音声コンテンツの音声振動信号の特徴量としての、例えば、ビート周期(特徴量の一例)に対応した触覚振動をさせる波形モード(触覚振動信号)を生成したり、触覚振動信号記憶部314から読み出したりすることができる。また、制御部310(触覚振動信号生成部315)は、音声コンテンツの音声振動信号のビート(特徴点の一例)に同期して波形が立ち上がる触覚振動信号321を生成する処理を実行してもよい。また、制御部310(触覚振動信号生成部315)は、音声コンテンツに付加されたメタデータ(例えば、音楽のジャンル)などに応じて、触覚振動信号321を生成(又は選択)する処理を実行してもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、制御部310(触覚信号出力部311)は、音声振動信号出力部312が生成(又は選択)した音声振動信号に応じた、触覚振動信号を生成(又は選択)する。いくつかの実施形態において、音楽コンテンツは、ユーザに選択されるのではなく、車両ECU(不図示)により選択されてもよい、前記車両ECUは、ユーザの状態、ユーザの環境、ユーザの特徴(好み)、又はこれらの組み合わせなどを検出・分析することで、その時に適した音楽コンテンツを選択し得る。
【0047】
(リラクゼーションモード)
ユーザが操作部(不図示)により、リラクゼーションコンテンツを選択すると、制御部310(触覚信号出力部311)は、ユーザにより選択されたリラクゼーションコンテンツの波形モード(触覚振動信号321)を触覚振動信号記憶部314から読み出し、このリラクゼーションコンテンツの波形モード(触覚振動信号321)を座席100の振動発生部200の一部又は全部に出力し、振動発生部200をリラクゼーションコンテンツの波形モードで振動させることにより、ユーザに触覚的な振動(リラクゼーションコンテンツ)を提供する。いくつかの実施形態では、制御部310(音声振動信号出力部312)は、触覚振動信号321に対応付けて音声振動信号記憶部316に記憶された音声振動信号322を読み出すことができる。また、制御部310(音声振動信号出力部312)は、触覚振動信号321を解析し、触覚振動信号321の周波数スペクトルやビート周期等の特徴量を求め、触覚振動信号321の特徴量を、音声コンテンツ取得部317を介して、外部域(例えば、車両に搭載されたオーディオ機器、携帯情報端末、外部サーバーなど)に出力し、前記外部機器が触覚振動信号321の特徴量に応じて選択した音声コンテンツを、音声コンテンツ取得部317を介して取得することができる。すなわち、いくつかの実施形態では、制御部310(音声振動信号出力部312)は、触覚信号出力部311が生成(又は選択)した触覚振動信号321に応じた、音声振動信号322を生成(又は選択)する。いくつかの実施形態において、リラクゼーションコンテンツは、ユーザに選択されるのではなく、車両ECU(不図示)により選択されてもよい、前記車両ECUは、ユーザの状態、ユーザの環境、ユーザの特徴(好み)、又はこれらの組み合わせなどを検出・分析することで、その時に適したリラクゼーションコンテンツを選択し得る。
【0048】
DSP330は、制御部310から出力された波形モード(触覚振動信号321、音声振動信号322)を受信し、波形モード(触覚振動信号321、音声振動信号322)を使用して、DAC340(341乃至345)に供給されるデジタル信号を生成する。DAC340(341乃至345)は、デジタル信号をアナログ信号に変換し、次にアナログ信号が増幅器回路350(351乃至355)によって増幅されて駆動信号360(361乃至365)を生成する。DSP330は、振動発生部をどのように作動させるべきかのタイミングを指定する制御部310からタイミング情報も受信し、次にこのタイミング情報に従ってDAC340のためのデジタル信号を生成することができる。
【0049】
また、DSP330は、触覚振動信号321と音声振動信号322とを合成し、デジタル信号として、DAC340(341乃至345)に供給してもよい。すなわち、DSP330は、デジタル信号の段階で触覚振動信号321と音声振動信号322とを合成した合成モードを生成する機能を有していてもよい。また、DSP330は、単純に触覚振動信号321と音声振動信号322とを単純に加算するのではなく、制御部310からの制御に基づき、どちらかに重みを持たせた上で加算(合成)する機能を有していても良い。
【0050】
また、DSP330は、複数の振動発生部200(210乃至250)が個別に動作するように、DAC340(341乃至345)毎に異なるデジタル信号を出力してもよい。すなわち、DSP330は、触覚振動信号321のみから生成されるデジタル信号、音声振動信号322のみから生成されるデジタル信号、触覚振動信号321と音声振動信号322とを単純に加算したデジタル信号、触覚振動信号321又は音声振動信号322を所望の割合で加算したデジタル信号を生成して、DAC341乃至345に個別に出力しても良い。
【0051】
いくつかの実施形態では、DSP330は、音声振動信号322にフィルタ処理を適用して音声振動信号322を異なる周波数範囲に分割する。例えば、低周波数範囲(<40Hz)の音声コンテンツは、駆動信号363を介して背中の下部の振動発生部230に提供することができる。高周波数範囲(40Hz~200Hz)の音声コンテンツは、駆動信号361を介して背中の上部の振動発生部210に提供することができる。DSP330は、音声振動信号322がステレオおよび/または多重チャンネル音響を含む場合、音声振動信号322を2つ又は3つ以上に分割し、それぞれの音声コンテンツを、2つ又は3つ以上の振動発生部200に提供してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、センサ390は、人間のユーザによって座席に加えられた圧力を感知する圧力センサを含む。圧力センサは、シートバック110またはシートボトム120に配置することができる。圧力センサは、検出された圧力の量を示す圧力感知信号を出力する。制御部310は、センサ390が検出した圧力に応答して1つまたは複数のアクションをとることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、制御部310は、圧力を圧力閾値と比較することができる。圧力閾値を超えている場合、これは、人が座席に座っていて振動を伝達しやすい状態であることを意味する。したがって、振動を伝達しやすい状態である一部(又は全部)の振動発生部200を通常の方法で作動させて、ユーザに音声コンテンツおよび触覚コンテンツを提供することができる。一方で圧力閾値を超えていない場合、これは、人が正常に座席に座っておらず、振動を伝達しにくい状態であることを意味する。その結果、振動を伝達しにくい状態である一部(又は全部)の振動発生部200を作動させないように駆動信号360を制御し得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、シート用振動制御装置300は、例えば、回路、プロセッサ、揮発性および不揮発性メモリ、センサ、通信システム、並びにプロセッサに実行されるコマンド、及びプログラム、を含む1つまたは複数のコンピュータ装置を含み得る。1つの実施形態では、シート用振動制御装置300は、実行可能なコマンドを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体(例えば、メモリ等)を含む。コマンドは、本明細書に記載の動作の1つまたは複数を実施するための少なくとも1つのプロセッサによって実行される。
【0055】
図3は、入力情報に基づき、振動発生部を振動させる処理を実行する方法S110を示すフローチャートである。方法S110は、振動発生部200と、この振動発生部200を制御するシート用振動制御装置300と、において実行される。
【0056】
まず、S112において、シート用振動制御装置300(制御部310)は、入力情報301を入力する。制御部310(触覚信号出力部311)は、入力情報301に対応付けられた触覚振動信号321を触覚振動信号記憶部314から読み出し、制御部310(音声振動信号出力部312)は、入力情報301に対応付けられた音声振動信号322を音声振動信号記憶部316から読み出す(S114)。DSP(合成部の一例)330は、触覚振動信号321と音声振動信号322とを所定の割合で合成した合成信号323を生成する(S116)。シート用振動制御装置300は、振動発生部200を合成信号323からなる駆動信号360で駆動する(S118)。いくつかの振動発生部200は、触覚振動信号321(又は音声振動信号322)のみからなる駆動信号360で駆動されてもよい(S118)。
【0057】
図4は、入力した音声コンテンツに基づき、振動発生部を振動させる処理を実行する方法S120を示すフローチャートである。
【0058】
まず、S122において、シート用振動制御装置300(制御部310)は、音声コンテンツ(音声振動信号322)を入力する。制御部310(触覚信号出力部311)は、音声コンテンツ(音声振動信号322)に対応付けられた触覚振動信号321を触覚振動信号記憶部314から読み出す(S124)。いくつかの実施形態における制御部310は、音声コンテンツ(音声振動信号322)を解析して、それに応じた触覚振動信号321を生成してもよい。いくつかの実施形態における制御部310は、入力した音声コンテンツ(音声振動信号322)に関連付けられる触覚振動信号321を外部サーバー(不図示)との通信により取得してもよい。DSP(合成部の一例)330は、触覚振動信号321と音声振動信号322とを所定の割合で合成した合成信号323を生成する(S126)。シート用振動制御装置300は、振動発生部200を合成信号323からなる駆動信号360で駆動する(S128)。いくつかの振動発生部200は、触覚振動信号321(又は音声振動信号322)のみからなる駆動信号360で駆動されてもよい(S128)。
【0059】
図5は、入力した触覚コンテンツに基づき、振動発生部を振動させる処理を実行する方法S130を示すフローチャートである。
【0060】
まず、S132において、シート用振動制御装置300(制御部310)は、触覚コンテンツ(触覚振動信号321)を入力する。制御部310(音声振動信号出力部312)は、触覚コンテンツ(触覚振動信号321)に対応付けられた音声振動信号322を音声振動信号記憶部316から読み出す(S134)。いくつかの実施形態における制御部310は、触覚コンテンツ(触覚振動信号321)を解析して、それに応じた音声振動信号322を生成してもよい。いくつかの実施形態における制御部310は、入力した触覚コンテンツ(触覚振動信号321)に関連付けられる音声振動信号322を外部サーバー(不図示)との通信により取得してもよい。DSP(合成部の一例)330は、触覚振動信号321と音声振動信号322とを所定の割合で合成した合成信号323を生成する(S136)。シート用振動制御装置300は、振動発生部200を合成信号323からなる駆動信号360で駆動する(S138)。いくつかの振動発生部200は、触覚振動信号321(又は音声振動信号322)のみからなる駆動信号360で駆動されてもよい(S138)。
【0061】
1つの実施形態では、シート用振動制御装置300は、振動発生部200を駆動するための駆動の種類を変更し得る。「駆動の種類」は、例えば、以下のものを含み得る。
【0062】
・触覚振動信号321又は音声振動信号322のみからなる駆動信号で駆動する第1駆動
・触覚振動信号321および音声振動信号322を所定の割合で合成した合成信号323(第1の合成信号324)からなる駆動信号で駆動する第2駆動
・第1の合成信号324より音声振動信号322の割合が少ない合成信号323(第2の合成信号325)からなる駆動信号で駆動する第3駆動
【0063】
1つの実施形態では、シート用振動制御装置300は、複数の振動発生部200を個別に駆動するための複数の駆動の種類の配列を変更し得る。
【0064】
図6は、複数の駆動の種類の配列の例を示す図である。「複数の駆動の種類の配列」は、例えば、以下のものを含み得る。複数の駆動の種類の配列は、シート用振動制御装置300に入力される情報(入力情報301、触覚振動信号321、音声振動信号322)、ユーザのセンター又は入力に応答して変更され得る。
【0065】
(第1配列)
第1配列では、第1箇所に配置される振動発生部210を触覚振動信号321および音声振動信号322を合成した合成信号323からなる駆動信号361で駆動し(第1の振動発生部201を第1駆動し)、第1箇所より下方の第3箇所に配置される振動発生部220を触覚振動信号321および音声振動信号322を合成した合成信号323からなる駆動信号362で駆動し(第3の振動発生部203を第1駆動し)、第3箇所よりさらに下方の第2箇所に配置される振動発生部230を触覚振動信号321および音声振動信号322を合成した合成信号323からなる駆動信号363で駆動する(第2の振動発生部202を第1駆動する)。なお、第1配列では、振動発生部210、220、230のいずれか1つは省略され得る。本実施形態によれば、耳に近く配置されやすい第1箇所では、音声振動信号322を触覚振動信号321に合成し、触覚だけではなく、音声コンテンツも提供することができ、耳から遠く配置されやすい第2箇所(又は第3箇所)でも、聴覚刺激を与えることで耳から聞こえる聴覚振動と同調した刺激の印象をユーザの背中の広い範囲に与えつつ、音声コンテンツと異なる触覚コンテンツによる触覚刺激も同時に与えることができるという効果も想定される。
【0066】
(第2配列)
第2配列では、第1箇所に配置される振動発生部210を音声振動信号322のみからなる駆動信号361で駆動し(第1の振動発生部201を第2駆動し)、第1箇所より下方の第3箇所に配置される振動発生部230を触覚振動信号321および音声振動信号322を合成した合成信号323からなる駆動信号363で駆動し(第3の振動発生部203を第1駆動し)、第3箇所より下方の第2箇所に配置される振動発生部230を触覚振動信号321および音声振動信号322を合成した合成信号323からなる駆動信号362で駆動する(第3の振動発生部203を第1駆動する)。なお、第2配列では、振動発生部220又は230のいずれか一方は省略され得る。本実施形態によれば、耳に近く配置されやすい第1箇所では、音声コンテンツのみを優先的に提供することができ、耳から遠く配置されやすい第2箇所(又は第3箇所)でも、聴覚刺激を与えることで耳から聞こえる聴覚振動と同調した刺激の印象をユーザの背中の広い範囲に与えつつ、音声コンテンツと異なる触覚コンテンツによる触覚刺激も同時に与えることができるという効果も想定される。
【0067】
(第3配列)
第3配列では、第1箇所に配置される振動発生部210を触覚振動信号321および音声振動信号322を合成した合成信号323(第1の合成信号324)からなる駆動信号361で駆動し(第1の振動発生部201を第1駆動し)、第1箇所より下方の第3箇所に配置される振動発生部220を触覚振動信号321のみからなる駆動信号362で駆動し(第3の振動発生部203を第2駆動し)、第3箇所より下方の第2箇所に配置される振動発生部230を触覚振動信号321のみからなる駆動信号363で駆動する(第2の振動発生部202を第2駆動する)。なお、第3配列では、振動発生部220又は230のいずれか一方は省略され得る。
【0068】
(第4配列)
第4配列では、第1箇所に配置される触覚振動信号321および音声振動信号322を合成した合成信号323(第1の合成信号324)からなる駆動信号361で駆動し(第1の振動発生部201を第1駆動し)、第1箇所より下方の第3箇所に配置される振動発生部220を第1の合成信号324より音声振動信号322の割合が少ない合成信号323(第2の合成信号325)からなる駆動信号362で駆動し(第3の振動発生部203を第3駆動し)、第3箇所より下方の第2箇所に配置される振動発生部230を触覚振動信号321のみからなる駆動信号363で駆動する(第2の振動発生部202を第2駆動する)。本実施形態によれば、耳に近く配置されやすい箇所ほど、音声振動信号322の割合を増加させ、聴覚刺激を効果的に提供することができつつ、耳から離れた位置でも聴覚刺激を与えることで部分的に同調した刺激の印象を与えることができ、耳から遠く配置されやすい第2箇所(又は第3箇所)では、音声振動信号322によって駆動することによる音声コンテンツの効果が薄れるため、触覚振動信号321のみによって駆動することで触覚を重視した振動を効果的に行うことができるという効果も想定される。
【0069】
(第5配列)
第5配列では、第1箇所に配置される振動発生部210を音声振動信号322のみからなる駆動信号361で駆動し(第1の振動発生部201を第2駆動し)、第1箇所より下方の第3箇所に配置される振動発生部220を触覚振動信号321および音声振動信号322を合成した合成信号323(第1の合成信号324)なる駆動信号362で駆動し(第3の振動発生部203を第1駆動し)、第3箇所より下方の第2箇所に配置される振動発生部230を第1の合成信号324より音声振動信号322の割合が少ない合成信号323(第2の合成信号325)からなる駆動信号363で駆動する(第2の振動発生部202を第3駆動する)。本実施形態によれば、耳に近く配置されやすい箇所ほど、音声振動信号322の割合を増加させ、聴覚刺激を効果的に提供することができつつ、耳から離れた位置でも聴覚刺激を与えることで全体的に同調した刺激の印象を与えることができる。
【0070】
図7は、一実施形態による、制御部のブロック図である。本実施形態における制御部310は、振動発生部200に、異なる周波数を順次変えていく試験振動を発生させる試験駆動を行わせ、試験振動による音声、及び周囲の音声を入力する集音部370と、集音部370が入力した音声に基づき、共振周波数を特定する共振周波数検出部380と、をさらに備え、制御部310は、共振周波数検出部380が検出した共振周波数を避けた振動を、振動発生部200に行わせる。本実施形態によれば、共振してしまう周波数を避けて振動発生部を振動させることができるため、共振による異音(ノイズ)の発生を防止することができるという利点も想定される。
【0071】
一実施形態のシート用振動伝達装置400において、第2の振動発生部202の一部は、シートバック110ではなく、シートボトム120に設けられても良い。また、第2の振動発生部202の全部が、シートボトム120に設けられても良い。
【0072】
上記実施形態において、合成部330は、デジタル信号の触覚振動信号321と、デジタル信号の音声振動信号322を合成したデジタル信号の合成信号323を生成した後、アナログ信号に変換していたが、例えば、加算回路などによりアナログ信号の触覚振動信号321と、アナログ信号の音声振動信号322を合成したアナログ信号の合成信号323を生成してもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコンピュータおよび/または論理演算処理装置を含む1つまたは複数の制御システムは、そのような一組の情報を用いて、振動発生部を作動させる1つまたは複数の組の制御信号を生成することができる。
【0074】
本開示を一読すれば、当業者は、触感を提供する振動発生部を有するシステムのためのさらに追加の代替的な設計を認識することができる。したがって、本開示の特定の実施形態および応用を図示し、説明してきたが、本開示は、本明細書に開示された正確な構造および構成要素に限定されないことを理解されたい。当業者に明らかであり得る様々な修正形態、変更形態および変形形態は、添付の特許請求の範囲で定義されるような本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書における開示の方法および装置の配置、動作および詳細においてなされ得る。
【符号の説明】
【0075】
100 :座席
110 :シートバック
120 :シートボトム
130 :ヘッドレスト
150 :垂直中心線
200 :振動発生部
201 :第1の振動発生部
202 :第2の振動発生部
203 :第3の振動発生部
210 :第1振動発生部
220 :第2振動発生部
230 :第3振動発生部
240 :第4振動発生部
250 :第5振動発生部
300 :シート用振動制御装置
301 :入力情報
310 :制御部
311 :触覚信号出力部
312 :音声振動信号出力部
314 :触覚振動信号記憶部
315 :触覚振動信号生成部
316 :音声振動信号記憶部
317 :音声コンテンツ取得部
321 :触覚振動信号
322 :音声振動信号
323 :合成信号
324 :第1の合成信号
325 :第2の合成信号
330 :合成部
350 :増幅器回路
370 :集音部
380 :共振周波数検出部
390 :センサ
400 :シート用振動伝達装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7