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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043117
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
A63F5/04 651
A63F5/04 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148120
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 宗樹
【テーマコード(参考)】
2C518
【Fターム(参考)】
2C518AB12
2C518CA01
2C518CA03
2C518DA06
2C518EA02
2C518EB01
2C518EB16
(57)【要約】
【課題】遊技者の興趣の向上を図る演出制御が行われる遊技機を提供する。
【解決手段】ボーナス状態とは異なる第1状態へ移行する前に、当該第1状態への移行に関する期待度を示唆する示唆演出を実行可能な第2状態を備え、前記第2状態中に前記ボーナス状態へ移行可能な図柄以外の前記第1状態への移行を告知する予め定められた図柄がリール窓に停止表示されたことを契機に、前記示唆演出を終了し、前記第1状態への移行が確定した旨の告知演出を実行可能とする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボーナス状態とは異なる第1状態へ移行する前に、当該第1状態への移行に関する期待度を示唆する示唆演出を実行可能な第2状態を備え、
前記第2状態中に前記ボーナス状態へ移行可能な図柄以外の前記第1状態への移行を告知する予め定められた図柄がリール窓に停止表示されたことを契機に、前記示唆演出を終了し、前記第1状態への移行が確定した旨の告知演出を実行可能な遊技機。
【請求項2】
前記第2状態は、前記第1状態へ移行することが決定した場合に移行する状態である請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第2状態中に、予め定められた前記図柄がリール窓に停止表示されない場合は、当該第2状態が終了する場合に前記告知演出を実行して前記第1状態への移行する請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
複数の回転リールのうち初めに停止される回転リールの図柄の停止形、または、複数の前記回転リールのうち初めと2番目に停止される回転リールの図柄の停止形が特定停止形の場合に、前記示唆演出を終了する請求項1に記載の遊技機。
【請求項5】
前記第2状態は、複数種類設けられ、
複数種類の前記第2状態のうち予め定められた第2状態の場合に、予め定められた前記図柄がリール窓に停止表示されることで当該第2状態を終了し、前記告知演出を実行する請求項1に記載の遊技機。
【請求項6】
前記第2状態は、複数種類設けられ、
複数種類の前記第2状態のうち前記示唆演出が当該第2状態中の複数のゲームに亘って行われる第2状態では、予め定められた前記図柄がリール窓に停止表示された場合であっても、当該第2状態の予め定められた遊技区間が終了するまで前記告知演出は実行しない請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、連続演出の途中で疑似ボーナスが当せんした場合は、当該当せんゲームにおいて疑似ボーナスを報知して連続演出を終了する遊技機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-186568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、リール窓に停止表示された図柄とは関係なく、疑似ボーナスの当せんで連続演出を終了するため、遊技者の興趣の向上に改善の余地がある。
【0005】
本開示は、遊技者の興趣の向上を図る演出制御が行われる遊技機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面は、ボーナス状態とは異なる第1状態へ移行する前に、当該第1状態への移行に関する期待度を示唆する示唆演出を実行可能な第2状態を備え、前記第2状態中に前記ボーナス状態へ移行可能な図柄以外の前記第1状態への移行を告知する予め定められた図柄がリール窓に停止表示されたことを契機に、前記示唆演出を終了し、前記第1状態への移行が確定した旨の告知演出を実行可能な遊技機である。
【0007】
また、第1の側面では、前記第2状態は、前記第1状態へ移行することが決定した場合に移行する状態である。
【0008】
また、第1の側面では、前記第2状態中に、予め定められた前記図柄がリール窓に停止表示されない場合は、当該第2状態が終了する場合に前記告知演出を実行して前記第1状態への移行する遊技機である。
【0009】
また、第1の側面では、複数の回転リールのうち初めに停止される回転リールの図柄の停止形、または、複数の前記回転リールのうち初めと2番目に停止される回転リールの図柄の停止形が特定停止形の場合に、前記示唆演出を終了する遊技機である。
【0010】
また、第1の側面では、前記第2状態は、複数種類設けられ、複数種類の前記第2状態のうち予め定められた第2状態の場合に、予め定められた前記図柄がリール窓に停止表示されることで当該第2状態を終了し、前記告知演出を実行する遊技機である。
【0011】
また、第1の側面では、前記第2状態は、複数種類設けられ、複数種類の前記第2状態のうち前記示唆演出が当該第2状態中の複数のゲームに亘って行われる第2状態では、予め定められた前記図柄がリール窓に停止表示された場合であっても、当該第2状態の予め定められた遊技区間が終了するまで前記告知演出は実行しない遊技機である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、遊技者の興趣の向上を図る演出制御が行われる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】スロットマシンの正面図である。
図2】スロットマシンの構成を模式的に示すブロック図である。
図3】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
図4】第1遊技状態における状態遷移を説明する図である。
図5】第2遊技状態における状態遷移を説明する図である。
図6】遊技区間の状態遷移を説明する図である。
図7】特定停止形の一例を説明する図である。
図8】スロットマシンの本前兆状態の進行処理の流れを示すフロー図である。
図9】特定停止形の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
本開示の遊技機の実施形態にかかるスロットマシン1について、図面を参照して説明する。本明細書では、各説明箇所において、方向についての定義等が示されていない場合には、スロットマシン1の正面を向いて位置している遊技者から見て、スロットマシン1から遊技者の手前側に向かう方向を「前」方向とし、その逆方向を「後」方向とする。また、同様に、「左」や「右」等の左右方向および「上」や「下」等の上下方向も、遊技者から見た場合の左方向や右方向、または上方向や下方向を意味する。同様に、各部材の説明においても、方向についての定義等が示されていない場合には、各部材を、スロットマシン1の所定位置に固定した場合における遊技者から見た方向を意味する。
【0015】
<スロットマシンの構成>
図1に示すように、スロットマシン1は筐体10を有する。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。
【0016】
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。遊技者は、このリール窓200から、後述する複数の回転リール20それぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。本実施形態では、複数の回転リール20として、筐体10に向かって左から順に配置された、左回転リール20A、中回転リール20B、および右回転リール20Cを備える。
【0017】
リール窓200の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、スピーカ102、および電飾部(図示略)が設けられている。
【0018】
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
【0019】
スピーカ102は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0020】
電飾部は、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。
【0021】
リール窓200の下方には、操作部4が設けられている。操作部4は、複数のストップスイッチ40、投入口が設けられたメダル投入部41、ベットスイッチ42、レバー43、媒体表示部44、精算スイッチ45および演出ボタン46などを含む。
【0022】
各ストップスイッチ40は、各回転リール20に対応して設けられている。各ストップスイッチ40は、回転リール20が回転している間に、各回転リール20の回転を停止させるための操作を受け付ける。
【0023】
メダル投入部41の投入口には、遊技に用いる遊技価値としてのメダルが投入される。投入口付近には、メダルセンサが設けられている。メダルセンサは、投入口へのメダルの投入を検出し、検出信号を後述する制御部6(図2参照)に出力する。
【0024】
ベットスイッチ42は、メダルをベットする際に用いられる。
【0025】
レバー43は、各回転リール20を回転させるための操作を受け付けるスタートスイッチとして機能する。
【0026】
媒体表示部44は、メダルのクレジット数、メダルの払い出し枚数、メダルのベット数などを表示するものであって、例えば複数の7セグメントで構成される。
【0027】
精算スイッチ45は、遊技者による遊技が終了して、払出口51からメダルが払い出される際に用いられる。
【0028】
演出ボタン46は、遊技者が遊技を行う際に、音量設定、遊技データの確認などを行うために用いられるボタンである。また、演出ボタン46は、遊技中、演出に応じて遊技者により押下されることがある。遊技中に演出ボタン46が押下された場合、演出に変化が生じる。
【0029】
これらの操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
【0030】
筐体10のうち、操作部4の下方には、メダルの払出口51と、払出口51から払い出されたメダルを貯留するための下皿52とが設けられている。また、筐体10の内部には、メダルの受け入れおよび払い出しを行うホッパーユニット50が設けられている(図2参照)。
【0031】
図2に示すように、スロットマシン1は、回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72を備える。回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0032】
回転リールユニット2は、図1および図2に示すように、3つの回転リール20と、3つのステッピングモータ21とを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓200の位置に対応して配置されている。回転リール20それぞれには、図3に示すように、複数の図柄が、当該回転リール20の周方向に沿って間隔を空けて配置されている。ステッピングモータ21は、各回転リール20に対応して設けられており、対応する回転リール20を駆動させる。
【0033】
ステッピングモータ21は、回転リール20の回転中にストップスイッチ40が操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。ステッピングモータ21は、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20は、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
【0034】
これらの回転リール20およびステッピングモータ21は、制御部6における回転リール制御部611(後述)によって、その回転および停止が制御される。
【0035】
RAMクリアボタン71は、制御部6を構成するRAMを初期化するための操作を受け付けるためのボタンである。設定変更ボタン72は、複数段階の設定値のうちのいずれか1つをスロットマシン1に設定する際に、店舗スタッフによって押下されるボタンである。
【0036】
設定値とは、スロットマシン1に投入されたメダルの投入総数に対する、ホッパーユニット50から払い出されたメダルの払出総数の割合を示す出玉率、を表した値である。設定された設定値は、内部抽せんに影響を与える。設定値に応じて、リプレイやベルなどの、各種役の当せん確率が異なるからである。設定値は、店舗開店前に、店舗スタッフによって設定される。
【0037】
<遊技者による遊技の流れ>
遊技者は、必要に応じて、演出ボタン46を押下してスピーカ102から出力される音量調整、液晶画面3の光度調整を行う。
【0038】
遊技者は、メダル投入部41の投入口からメダルを投入しまたはベットスイッチ42を操作することにより貯留(クレジット)されているメダルを使用して、スロットマシン1にメダルをベットする。スロットマシン1に所定枚数のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、レバー43の操作、すなわち遊技開始が可能となる。
【0039】
図1では、有効ラインLが、右下がりライン、右上がりライン、中段ラインの3本で構成されている場合を例示する。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。本実施形態では、MAX BET(マックスベット)となる3枚ベット(3枚掛け)をした場合に、3本の有効ラインLが有効化される。
【0040】
以下では、ベルやスイカなどのメダルの払い出しのある役が有効ラインL上に揃うことのみならず、特殊リプレイ、チャンス目、ボーナスなどの特定の役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。
【0041】
本実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ42、レバー43およびストップスイッチ40を操作して、メダルの払い出し処理を含む遊技の結果を得る一連の動作をいう。
【0042】
具体的には、遊技開始可能な状態でレバー43が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20の回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40のいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20が停止する。すべての回転リール20が停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
【0043】
遊技者は、上記ゲームを繰り返し行う。ゲームが繰り返されることに応じて遊技が進行していき、液晶画面3の表示やスピーカ102からの音の出力は、遊技進行に応じて変化していく。
【0044】
<遊技状態について>
遊技中は、遊技区間および遊技状態の各種類が設定され、設定された遊技区間および遊技状態の各種類に基づいて内部抽せんが行われる。遊技状態には、図4および図5に示すように、第1遊技状態および第2遊技状態が含まれる。なお、第1遊技状態および第2遊技状態は、排他的に成立する遊技状態ではなく、説明の便宜上区別するために分類した状態にすぎない。
【0045】
第1遊技状態は、図4に示すように、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態を含む。特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態は、排他的に成立する関係にある。
【0046】
特別役非持ち越し状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役(一種BBおよび二種BB)の入賞が持ち越されていない状態をいう。特別役非持ち越し状態は、RAMクリアボタン71を用いてRAMが初期化された場合、特別役実施状態に移行してから払い出しメダルの枚数が所定枚数(例えば180枚)を超えた場合などの、所定条件を満たした場合に設定される。特別役持ち越し状態にて特別役が入賞した場合(すなわち所定条件を満たした場合)、第1遊技状態は、一時的ではあるが特別役非持ち越し状態に設定される。
【0047】
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより特別役が当せんしてはいるものの、当該特別役の入賞が持ち越されている状態をいう。つまり、特別役持ち越し状態とは、内部抽せんによって、特別役のフラグが当せんしたが、当該特別役を示す図柄が有効ラインL上に揃っておらず、よって特別役が未だ入賞していない状態をいう。
【0048】
ここで、一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置であって、ビッグボーナスなどが該当する。二種BBは、3枚掛け時に当せんする可能性のある特別役である。二種BBは、二種特別役物に係る役物連続作動装置であって、例えば2枚掛け時に当せんする可能性のある特別役である。特別役では、任意の特別役(例えば一種BB)の入賞が持ち越された状態にある場合、他の特別役(例えば二種BB)の抽せんは行われない。
【0049】
第1遊技状態が特別役非持ち越し状態である場合に特別役が当せんすると、第1遊技状態は、特別役非持ち越し状態から、当せんした当該特別役の入賞が持ち越された状態(特別役持ち越し状態)に移行する。
【0050】
当せんした特別役が入賞すると、第1遊技状態は、特別役持ち越し状態から、特別役非持ち越し状態を一時的に介して特別役実施状態に移行する。一種BBまたは二種BBが入賞したことによって第1遊技状態が特別役実施状態に移行すると、一種BBまたは二種BBによるメダルの払い出し枚数が所定枚数を超えるまで、特別役実施状態が維持される。
【0051】
更に詳細に、特別役実施状態には、一種BB実施状態、二種BB実施状態、およびRB実施状態が含まれる。一種BBが実施されている一種BB実施状態の間に、内部抽せんによってRBが当せんし入賞した場合、特別役実施状態は、一種BB実施状態からRB実施状態に移行する。RB実施状態において12ゲーム消化または特定役が8回入賞することで、特別役実施状態は、一種BB実施状態に移行する。特別役実施状態は「ボーナス状態」の一例である。
【0052】
第2遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、図5に示すように、一般遊技状態、前兆状態およびAT状態を含む。一般遊技状態と前兆状態とAT状態とは、排他的に成立する関係にある。AT状態は、第1状態の一例である。
【0053】
一般遊技状態とは、AT状態でない状態、つまりアシスト機能が発生しない状態である。例えば、RAMクリア後やAT終了後などからAT抽せんに当せんするまでの間、第2遊技状態は一般遊技状態に設定される。一例として、遊技区間が有利区間である場合に、AT抽せんは、内部抽せんにより当せんした役(レア役など)に応じて行われる。
【0054】
前兆状態とは、AT状態への移行に関する期待度を示唆する示唆演出を実行可能な状態である。すなわち、本実施形態では、AT状態は、AT状態へ移行することが決定された後、当該AT状態に移行する前に、前兆状態を所定ゲーム消化してから移行することとなる。ここで、前兆状態は、予め定められたゲーム数行われてもよいし、また、抽せんで決定したゲーム数行われてもよい。本実施形態では、前兆状態として、本前兆状態およびガセ前兆状態が設けられている。本前兆状態は、第2状態の一例である。
【0055】
AT状態への移行に関する期待度を示唆する示唆演出は、AT状態に移行するかもしれないとの期待を遊技者に持たせるための演出である。そして、本前兆状態で実行する示唆演出と、ガセ前兆状態で実行する示唆演出とは同じ内容の演出が実行される。同じ内容の演出を実行することで、AT状態への移行を告知する予め定められた図柄がリール窓200に停止表示されたことで告知演出が実行されるか、前兆状態の終了時にAT非当せん告知演出が実行されるまではAT当せんの結果が分からないため、リール窓200にどのような図柄が停止表示されるかが遊技性の向上になる。
【0056】
示唆演出としては、次のような演出を含む。
例えば、一般遊技状態で行われる通常の演出とは異なり、AT状態への期待を持たせるような演出(連続演出、AT状態で行われる演出と通常の演出とを繋げるような演出)を含む。
また、例えば、液晶画面3の枠や液晶画面3に表示される背景色を前兆状態の進行の所定タイミングに合わせて「白色⇒青色⇒緑色⇒赤色⇒虹色」などの順で変化(ランクアップ)させていき、期待度を高める演出を含む。なお、本前兆状態では虹色への変化(ランクアップ)がし易く、ガセ前兆状態では虹色への変化(ランクアップ)がし難い、としてもよい。また、色を変化させるのではなく、液晶画面3に表示するキャラクターをレアなキャラクターなどに変化(ランクアップ)させることや、液晶画面3に表示するキャラクターの数を増やす(ランクアップ)させることなども含む。
また、例えば、AT状態への移行の期待度が低い演出Aと高い演出Bを備えた場合に、本前兆状態では演出Bが選択されやすく、ガセ前兆状態であれば演出Aが選択されやすいなどを含む。
【0057】
本前兆状態は、遊技区間が有利区間である間に、AT抽せんにてATが当せんすることでAT状態へ移行することが決定した場合に、一般遊技状態から移行する状態である。
本前兆状態では、AT状態への移行を告知する予め定められた図柄がリール窓200に停止表示されたことを契機に、示唆演出を終了し、AT状態への移行が確定した旨の告知演出が実行可能である。そして、告知演出後、AT状態へ移行する。ここで、示唆演出および告知演出は、後述するメイン制御部61からの信号に基づき演出制御部630が行う。
【0058】
また、AT状態への移行を告知する予め定められた図柄がリール窓200に停止表示されず、所定ゲーム数を消化することで本前兆状態が終了する場合は、当該所定ゲーム数に到達したゲームでAT状態への移行が確定した旨の告知演出を実行後、AT状態へ移行する。
【0059】
ガセ前兆状態は、遊技区間が有利区間である間に、AT抽せんにてATが非当せんだった場合に、一般遊技状態から移行する状態である。
【0060】
ガセ前兆状態では、仮にAT状態への移行を告知する予め定められた図柄がリール窓200に停止表示された場合であっても、示唆演出は終了されない。また、ガセ前兆状態では、AT抽せんに当せんしていないため、所定ゲーム数を消化した場合であっても、AT状態への移行が確定した旨の告知演出は実行されず、一般遊技状態へ戻る。また、所定ゲーム数を消化したガセ前兆状態の終了時に、AT抽せんに当せんしていない旨および/またはガセ前兆状態であったことを告知するAT非当せん告知演出が行われる。
【0061】
また、ガセ前兆状態では、例えば所定ゲーム数の消化中にレバー43の操作に伴う内部抽せんが行われる。その内部抽せんにおいてレア役などの特定役が当せんした場合にはAT抽せんが行われており、そのAT抽せんにてATが当せんした場合は、ガセ前兆状態の途中であっても本前兆状態へ移行することができる。すなわち、ガゼ前兆状態から本前兆状態への前兆内容の書き換えが実施される。
【0062】
また、本前兆状態中に、内部抽せん部610による内部抽せんで、AT状態への移行を告知する予め定められた図柄をリール窓200に停止可能な役(例えば、押し順リプレイ)に当せんした場合は、当該予め定められた図柄を停止可能なストップスイッチ40の操作態様を遊技者に報知する。かかる報知を実行するかは抽せんで決定することが望ましい。また、ガセ前兆状態中に、内部抽せん部610による内部抽せんで、AT状態への移行を告知する予め定められた図柄をリール窓200に停止表示可能な役に当せんした場合は、当該予め定められた図柄を停止不可能なストップスイッチ40の操作態様を遊技者に報知する。ここで、予め定められた図柄を停止可能なストップスイッチ40の操作態様は、予め定められた図柄を停止可能なストップスイッチ40の押し順(例えば、中右左の順)を報知することや予め定められた図柄を停止可能なストップスイッチ40を目押しするタイミングを報知することが含まれる。また、予め定められた図柄を停止不可能なストップスイッチ40の操作態様には、予め定められた図柄を停止不可能なストップスイッチ40の押し順(例えば、中右左の順)を報知することや予め定められた図柄を停止不可能なストップスイッチ40を目押しするタイミングを報知することが含まれる。
【0063】
AT状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役以外の役のストップスイッチ40の正解押し順(正解操作順)を、液晶画面3やスピーカ102を介して知らせるアシスト機能(AT機能)、が働いている状態である。AT状態にて遊技が開始されてから所定ゲーム数が経過した場合、または、AT状態にて遊技が開始されてからのメダルの払い出し総枚数が所定枚数に達した場合に、第2遊技状態は、AT状態から一般遊技状態へと移行する。これにより、AT状態は終了する。
【0064】
<遊技区間について>
上述した遊技区間とは、アシスト機能に関する処理が行われるか否かを決定するための区間である。図6に示すように、遊技区間は、通常区間と有利区間とを有する。通常区間と有利区間とは排他的な関係にあり、遊技区間は、通常区間または有利区間のいずれかを採り得る。
【0065】
通常区間とは、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行できないが、有利区間への区間移行抽せんが行われる区間である。通常区間にて遊技が行われた結果、内部当せんした役に応じて、遊技区間は通常区間から有利区間へと移行する。なお、第2遊技状態が一般遊技状態である間に、遊技区間は通常区間を採ることができる。
【0066】
有利区間は、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行可能な区間である。有利区間には、第2遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、AT状態で進行する有利区間とが含まれる。遊技区間が有利区間に移行してから所定の終了条件を満たすまでの間、遊技区間が有利区間である状態は維持される。
【0067】
<制御部の構成>
図2に示すように、制御部6は、主に、メイン制御部61およびサブ制御部63を有する。メイン制御部61は、内部抽せんや回転リール20の制御など、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部63は、メイン制御部61から送信された信号や演出ボタン46が押下されたことに基づいて、演出に関する制御を行う。
【0068】
メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれは、CPU、RAMおよびROMで構成される。メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれのROMには、遊技進行に必要なプログラムが記憶されている。メイン制御部61のRAMには、遊技進行に必要な遊技データが記憶される。遊技データには、現在ゲーム数の他、各遊技状態および遊技区間がどの状態または区間であるかを示すデータ、内部抽せんの結果などが含まれる。サブ制御部63のRAMには、演出制御に関する各種データなどが記憶される。
【0069】
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、メイン制御部61は、内部抽せん部610、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、媒体管理部613、遊技進行制御部614、区間制御部615、遊技状態制御部616として機能する。サブ制御部63は、演出制御部630として機能する。
【0070】
―内部抽せん部―
内部抽せん部610は、レバー43の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のフラグのうち1つのフラグを当せんフラグとして当せんさせる。具体的に、内部抽せん部610は、レバー43が操作された時の第1遊技状態などに基づいて、内部抽せんテーブル(図示せず)およびレバー43が操作された時に取得される乱数に従って内部抽せんを行う。内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号は、内部抽せん部610から回転リール制御部611および遊技進行制御部614などに送信される。
【0071】
内部抽せんテーブルは、内部抽せんにより当せんする可能性のある役の情報を示したものである。内部抽せん部610は、内部抽せんテーブルを基に、レバー43操作時のRT状態、特別役(ボーナス)中か否か、設定値、の組み合わせに応じて内部抽せんを行う。なお、内部抽せんテーブルに示された役の情報には、図柄の組み合わせと、その組み合わせに対応する役とが、関連付けて1以上設定されている。当該役には、メダルの払い出しが行われないはずれ役の他、メダルの払い出しのある押し順役が含まれる。
【0072】
AT状態で遊技が行われる場合には、押し順役が内部抽せんにより当せんする場合がある。押し順役が当せんし、その押し順通りにストップスイッチ40が押下された場合には、当該押し順役が入賞し、その役に応じた複数枚(例えば8枚)のメダルが払い出される。押し順役が当せんしたにも関わらず、押し順通りにストップスイッチ40が押下されなかった場合には、当該押し順役は入賞しないか、またはその他の役(1枚役など)が入賞する。
【0073】
なお、押し順役は、一般遊技状態中にも当せんしている。一般遊技状態中に押し順役が成立した場合、正解押し順の報知はされないため、押し順役は取りこぼされたり払い出しが1枚となったりする。AT状態中は、正解押し順が報知されるため、複数枚(例えば8枚)のメダルが払い出される。
【0074】
―回転リール制御部―
回転リール制御部611は、レバー43または各ストップスイッチ40の操作に基づいて、ステッピングモータ21の駆動を制御し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
【0075】
具体的には、回転リール20全ての回転が停止している状態にて、レバー43が操作された場合、回転リール制御部611は、回転リール20全ての回転を開始させる。少なくとも1つの回転リール20の回転中に、回転中の回転リール20に対応するストップスイッチ40が操作された場合、回転リール制御部611は、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。
【0076】
回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40の操作に基づいて、当せんフラグが示す役に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20の有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20の回転を停止させることができる。
【0077】
また、回転停止制御では、回転リール制御部611は、当せんした役と、各ストップスイッチ40操作時の回転リール20の位置とに応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せんした役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20の回転を停止させる制御である。
【0078】
―遊技結果判定部―
遊技結果判定部612は、内部抽せんおよび回転リール20の回転停止制御の各結果に基づいて遊技結果を判定する。遊技結果とは、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かが判定された結果を意味する。具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、予め定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、遊技結果判定部612は、当せん役が入賞したと判定する。
【0079】
また、遊技結果判定部612は、AT状態へ移行する前の前兆状態中に、AT状態への移行を告知する予め定められた図柄がリール窓200に停止表示されたかを判定する。ここで、リール窓200に停止表示された図柄が予め定められた図柄であるかは、複数の回転リール20のうち初めに停止される回転リール20の図柄の停止形が特定停止形であるかで判定される。初めに停止される回転リール20が左回転リール20Aの場合の特定停止形は、例えば、図7に示すように、左回転リール20Aのリプレイ、チェリー、バーの図柄がリール窓200に停止表示された場合である。
【0080】
―媒体管理部―
媒体管理部613は、クレジット数の増減制御、およびホッパーユニット50によるメダルの払い出し動作の制御を行う。
【0081】
具体的に、媒体管理部613は、メダルがベットされた場合には、メダルのベット数に応じてクレジット数を減少させ、メダルがクレジットされた場合には、クレジット数を増加させる。
【0082】
内部抽せんによって当せんした役が遊技者の操作に基づいて入賞した場合、媒体管理部613は、入賞した役の種類に基づくメダルの払い出し枚数に基づいて、クレジット数を増加させる。
【0083】
また、媒体管理部613は、遊技結果判定部612が判定した遊技結果の他、精算スイッチ45の操作により出力された操作信号に基づいて、ホッパーユニット50を制御する。
【0084】
具体的に、当せんした役の入賞により得られたメダルは、先ずはクレジットとして貯留される。メダルを貯留した結果、クレジット数がその上限(例えば50枚)を超えた場合には、上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、貯留中のメダルが一枚以上ある状態で精算スイッチ45が操作された場合、貯留中のメダルの少なくとも一部がホッパーユニット50から払い出される。
【0085】
更に、媒体管理部613は、有利区間において、メダルの払い出し枚数からメダルのベット数を差し引いた枚数の累積値であるメダルの差枚数、および/または差枚数の最大値と最小値との差であるレンジ(MY)を算出する。メダルの差枚数および/またはレンジ(MY)は、区間制御部615に送信される。なお、媒体管理部613は、有利区間終了後に、メダルの差枚数および/またはレンジ(MY)をリセットする。
【0086】
―遊技進行制御部―
遊技進行制御部614は、遊技者の操作に基づいて遊技進行を制御する。その際、遊技進行制御部614は、店舗スタッフにより設定された設定値に基づいて、当該遊技者による遊技進行を制御する。
【0087】
また、遊技進行制御部614は、RAMクリアボタン71が押下された場合、メイン制御部61のRAMを初期化することで、遊技データをリセットする。遊技進行制御部614は、設定変更ボタン72が押下された場合、現在の設定値を他の設定値に変更する。
【0088】
―区間制御部―
区間制御部615は、遊技者による遊技の際、複数の遊技区間(通常区間および有利区間)のうちいずれかを設定する。
【0089】
具体的には、区間制御部615は、遊技区間が通常区間である場合に、通常区間の状態を維持するか、それとも有利区間に移行するかの区間移行抽せんを行う。所定の抽せん対象役が当せんした際に、区間移行抽せんを行うか否かの抽せんが行われ、その結果当せんした場合に、区間移行抽せんが行われる。区間移行抽せんに当せんした場合、区間制御部615は、遊技区間を有利区間に設定(移行)する。
【0090】
なお、区間移行抽せんの当せん確率は、設定値に応じて異なっていてもよい。一例としては、設定値に応じて、前記所定の抽せん対象役の当せん確率が異なっているか、または、前記所定の当せん対象役の当せん時に行われる、区間移行抽せんの当せん確率が異なっていることが挙げられる。
【0091】
また、区間制御部615は、有利区間の状態での消化ゲーム数が4000ゲームに達した場合、または、有利区間の間にメダルの差枚数が2400枚に達した場合、遊技区間を、有利区間から通常区間に強制的に移行させる。
【0092】
また、区間制御部615は、遊技データがリセットされた場合、リセット直前の遊技区間いかんにかかわらず、遊技区間を通常区間に設定する。
【0093】
―遊技状態制御部―
遊技状態制御部616は、第1遊技状態および第2遊技状態それぞれの設定を行う。
【0094】
具体的には、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態のいずれかに設定し、第2遊技状態を、一般遊技状態またはAT状態に設定する。
【0095】
一例として、図4に示すように、遊技状態制御部616は、メイン制御部61のRAMクリアなどの所定条件が満たされた場合は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態に設定する。内部抽せんにより特別役が当せんした直後、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役持ち越し状態に設定する。その特別役が入賞した場合、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役実施状態に設定する。
【0096】
また、図5に示すように、遊技状態制御部616は、AT抽せんの結果に基づいて、第2遊技状態をAT状態に設定するか否か(すなわち、ATに当せんしたか否か)を判定する。有利区間の間にAT抽せんに当せんした場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をAT状態に設定する。逆に、AT抽せんに当せんしなかった場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態を一般遊技状態に設定することができる。また、ATが終了した場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をAT状態から一般遊技状態に移行させる。
【0097】
―演出制御部―
演出制御部630は、遊技進行に基づいて、複数種類の演出映像の中から選択された演出映像を液晶画面3に表示させるとともに、その演出映像に応じた効果音やBGMなどをスピーカ102から出力させる。例えば、演出制御部630は、ATやボーナスが当せんした場合、その旨を液晶画面3に表示させるための演出パターンを選択し、当該演出パターンに従って液晶画面3の表示制御およびスピーカ102の音声出力制御を行う。
【0098】
演出制御部630は、AT中、逐次当せんする押し順役の正解押し順の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる(アシスト機能)。
【0099】
また、遊技中に、設定値を示唆する演出の報知条件が満たされた場合、演出制御部630は、当該演出の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。この演出を、遊技者は、現在遊技中のスロットマシン1がどのような設定値なのかを、把握する材料の1つとすることができる。報知条件としては、レア役当せん時、ボーナスゲームの終了時、AT終了時、などが挙げられる。
【0100】
また、演出制御部630は、前兆状態において、AT状態への移行に関する期待度を示唆する示唆演出およびAT状態への移行が確定した旨の告知演出を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。そして、演出制御部630は、本前兆状態中に、複数の回転リール20のうち初めに停止される回転リール20の図柄の停止形が特定停止形であると判定された場合に、示唆演出を終了し、2番目のストップスイッチ40の操作を受け付けないフリーズが発生している間に、「AT確定」などの文字を液晶画面3に表示する告知演出を実行する。
【0101】
また、演出制御部630は、本前兆状態中に、複数の回転リール20のうち初めに停止される回転リール20の図柄の停止形が特定停止形であると判定されないまま前兆状態が所定ゲーム数まで消化された場合は、前兆状態が終了する場合に告知演出を実行する。
【0102】
また、演出制御部630は、ガセ前兆状態の終了時に、「残念」などの文字を液晶画面3に表示するAT非当せん告知演出を実行する。
【0103】
図8を用いて、スロットマシン1の本前兆状態の進行処理について説明する。なお、以下に説明する処理は、メイン制御部61およびサブ制御部63のCPUが所定のプログラムを実行することで実施される。
【0104】
まず、ステップst1において、区間制御部615は、AT状態へ移行することが決定したか否かを判定する。本実施形態では、AT抽せんに当せんすることでAT状態へ移行することが決定される。AT状態へ移行することが決定したと判定した場合(ステップst1のYES)は、次のステップst2に進む。一方、AT状態へ移行することが決定したと判定しない場合(ステップst1のNO)の場合は、本処理を終了し、図示しないが、ガセ前兆状態へ移行して、ガセ前兆状態の演出が実行可能である。ガセ前兆状態の演出内では、AT非当せんの旨が告知される。
【0105】
ステップst2において、区間制御部615は、本前兆状態を開始する。これにともない、演出制御部630は示唆演出を開始する。そして、次のステップst3に進む。
【0106】
ステップst3において、遊技結果判定部612は、予め定められた図柄がリール窓200に停止表示したか否かを判定する。予め定められた図柄がリール窓200に停止表示したと判定した場合(ステップst3のYES)は、次のステップst4に進む。一方、予め定められた図柄がリール窓200に停止表示したと判定しない場合(ステップst3のNO)は、次のステップst5に進む。
【0107】
ステップst4において、演出制御部630は、本前兆状態を途中で打ち切る。これにともない、演出制御部630は、本前兆状態での示唆演出が継続している最中でも、予め定められた図柄がリール窓200に停止表示した時点にて示唆演出を中止し、AT当せんの旨の告知演出を実行する。そして、次のステップst5に進む。
【0108】
ステップst5において、区間制御部615は、本前兆状態からAT状態へ移行する。そして、処理を終了する。
【0109】
一方、上述したステップst3において、予め定められた図柄がリール窓200に停止表示したと判定しない場合(ステップst3のNO)は、ステップst10に進む。
【0110】
ステップst10において、区間制御部615は、本前兆状態の所定ゲーム数を消化(所定ゲーム数に到達)したか否かを判定する。本前兆状態のゲーム数を消化(所定ゲーム数に到達)したと判定しない場合(ステップst10のNO)は、上述したステップst3に戻る。一方、本前兆状態のゲーム数を消化(所定ゲーム数に到達)したと判定した場合(ステップst10のYES)は、次のステップst11に進む。
【0111】
ステップst11において、演出制御部630は、AT当せんの旨の告知演出を実行する。ここで実行する告知演出は、上述したステップst4において実行する告知演出とは実行する演出の内容が異なるものである。そして、上述したステップst5に進む。
【0112】
以上をまとめると、スロットマシン1(遊技機)は、特別役実施状態(ボーナス状態)とは異なるAT状態(第1状態)へ移行する前に、当該AT状態(第1状態)への移行に関する期待度を示唆する示唆演出を実行可能な本前兆状態(第2状態)を備え、本前兆状態(第2状態)中に特別役実施状態(ボーナス状態)へ移行可能な図柄以外のAT状態(第1状態)への移行を告知する予め定められた図柄がリール窓200に停止表示されたことを契機に、示唆演出を終了し、AT状態(第1状態)への移行が確定した旨の告知演出を実行可能なものである。また、本開示の、本前兆状態(第2状態)の演出の最後に実行するはずだった告知演出を前倒しして、本前兆状態(第2状態)の示唆演出を途中で打ち切る処理は、本前兆状態(第2状態)中に内部抽せんにより特別役が当せんした場合に当該本前兆状態(第2状態)の示唆演出を途中で打ち切って特別役実施状態(ボーナス状態)へ移行する処理とは異なる処理である。ここで、本開示の告知演出を前倒しする処理では、告知演出後移行するAT状態(第1状態)の終了後に、途中で打ち切った本前兆状態は再開されず、一般遊技状態へ移行する。これは、内部的に保持している本前兆状態であることを示すフラグはAT状態への遷移によって消去され、また、本前兆への移行要因であった当せん済みのATは終了しているからである。また、本前兆状態(第2状態)中に内部抽せんにより特別役が当せんした場合に当該本前兆状態(第2状態)の示唆演出を途中で打ち切って特別役実施状態(ボーナス状態)へ移行する処理では、移行した特別役実施状態(ボーナス状態)の終了後、途中で打ち切った本前兆状態が再開されてもよい。これは、当せん済みのATにはいまだ遷移しておらず、内部的に保持している本前兆状態であることを示すフラグは消去されていないからである。
【0113】
<発明の効果>
本実施形態によれば、遊技者の興趣の向上を図る演出制御が行われる遊技機を提供することができる。AT抽せんの当せんを告知するタイミングを、出目を参照して変えることができる。そして、示唆演出を途中で終了して告知演出を実行することで、興趣に富んだ告知演出とすることができる。また、前兆状態中に、予め定められた図柄がリール窓200に停止表示されたことを契機に前兆状態の示唆演出を終了して、AT状態への移行が確定した旨を報知する告知演出が実行することで、あたかも遊技者がストップスイッチ40を操作したことで突然AT状態への移行を獲得したかのような演出をすることが可能となる。
【0114】
また、本実施形態では、AT状態へ移行することが決定した場合に移行する本前兆状態中に予め定められた図柄が停止表示されたことを契機に、途中で示唆演出を終了し、告知演出を実行する。これにより、AT状態へ移行することが決定していないガセ前兆状態の場合には、示唆演出を途中で終了することや、告知演出を実行することがないようにすることができる。
【0115】
また、本実施形態では、予め定められた図柄がリール窓200に停止表示されない場合は、本前兆状態が終了する場合に告知演出を実行する。また、本実施形態では、本前兆状態においては、当該本前兆状態の演出の最後に告知演出を実行するが、当該告知演出のタイミングを本前兆状態中のゲームにおけるリール窓200に停止表示された図柄を参照して、本前兆状態の演出の最後に実行するはずだった告知演出を前倒しして、本前兆状態の示唆演出を途中で打ち切る。これにより、予め定められた図柄がリール窓200に停止表示された場合に、あたかも遊技者がストップスイッチ40を操作したことで突然AT状態への移行を獲得したかのような演出をすることが可能となる。
【0116】
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0117】
前記実施形態では、RT状態の遷移の説明を省略した。AT機では、所定役が当せんしたが入賞していない状態の下でATでの遊技が行われるものであり、その状態の下では、RT状態が遷移しないためである。しかし、所定役が持ち越されていない状態の下では、RT状態は遷移することができることは、言うまでもない。
【0118】
前記実施形態では、ベットスイッチ42が設けられている場合を例示したが、ベットスイッチ42はなくてもよい。
【0119】
前記実施形態の一般遊技状態には、CZが含まれてもよい。そして、前記実施形態の第1状態をCZとし、かつ、第2状態を、CZへの移行に関する期待度を示唆するCZ移行前兆状態とする組み合わせであってもよい。また、前記実施形態の第1状態をAT状態とし、かつ、第2状態をCZとする組み合わせであってもよい。また、前記実施形態では、有利遊技状態として、ATやボーナスを例示したが、有利遊技状態には、ARTが含まれてもよい。CZとは、ATへの突入確率やリプレイ確率がCZでない場合よりも高い遊技状態である。ARTは、リプレイ確率が一般遊技状態時よりも高く、かつ、押し順役の正解押し順を報知する遊技状態である。そして、設定値に応じて、AT、CZおよびARTの少なくとも1つへの突入確率が変化してもよい。設定値に応じて、AT、CZおよびARTの性能が変化してもよい。
【0120】
スロットマシン1の機種の仕様によっては、有利区間が最大4000ゲームに至る前や、有利区間の間にメダルの差枚数が2400枚に至るよりも前に、ATなどである有利遊技状態や有利区間が任意のタイミングにて終了することがあってもよい。
【0121】
設定値を示唆する演出には、画像によるものの他、回転リール20の回転を停止した際に、リール窓200を介して視認できる図柄が特殊な図柄となることなどが、更に含まれてもよい。
【0122】
前記実施形態では、遊技機がATタイプのスロットマシンである場合を例示した。しかし、遊技機は、ARTタイプのスロットマシンなど、AT機以外であっても実現できる。
【0123】
また、媒体表示部44は、遊技区間が有利区間であって特定の条件が満たされている場合に、遊技区間が有利区間であることを表示してもよい。具体的に、媒体表示部44における7セグメントの一部が点灯することにより、遊技区間が有利区間であることが告知されてもよい。
【0124】
AT状態への移行が確定した旨の告知演出およびAT抽せんに当せんしていないガセ前兆状態であったことを告知するAT非当せん告知演出が、遊技者への他の告知や示唆を兼ねてもよい。例えば、告知演出を実行するキャラクターで、設定値の示唆または確定、滞在モードの示唆または確定を報知してもよい。
【0125】
AT状態への移行が確定した旨の告知演出が、遊技者への他の告知や示唆を兼ねる場合は、ガセ前兆状態中のAT抽せんでATが当せんすることで移行した本前兆状態では、かかる遊技者への告知や示唆をしないようにしてもよい。また、AT状態への移行が確定した旨の告知演出が、遊技者への他の告知や示唆を兼ねない場合は、ガセ前兆状態中のAT抽せんでATが当せんすることで移行した本前兆状態では、かかる遊技者への告知や示唆をするようにしてもよい。
【0126】
前兆状態は複数種類備えられ、種類の異なる前兆状態は、示唆演出の内容が異なってもよい。そして、全ての前兆状態で、上述した示唆演出を途中で終了して告知演出をするのではなく、予め定められた特定の前兆状態の場合に、予め定められた図柄がリール窓200に停止表示されることで当該前兆状態を終了し、告知演出を実行してもよい。また、予め定められた図柄がリール窓200に停止表示されることで本前兆状態を終了して告知演出を実行するかは、示唆演出の内容の種類に応じて設定してもよい。例えば、示唆演出が当該前兆状態中の複数ゲームに亘るシナリオに沿って実行される演出である場合は、予め定められた図柄がリール窓200に停止表示された場合であっても、示唆演出を終了せず、前兆状態の所定ゲーム数を消化するまで、告知演出は実行しないようにしてもよい。このように構成することで、遊技者に、シナリオに沿って実行される演出の中身を最後まで楽しませることが可能となる。一方、示唆演出が1ゲームで完結する演出の集まりである場合は、予め定められた図柄がリール窓200に停止表示された場合に、示唆演出を途中で終了して、最後まで示唆演出を実行しなくてもよい。
【0127】
前記実施形態では、AT状態への移行を告知する予め定められた図柄であるかを、複数の回転リール20のうち初めに停止される回転リール20の図柄の停止形が特定停止形であるかで判定しているが、これに限定されない。例えば、予め定められた図柄であるかは、複数の回転リール20のうち初めと2番目に停止される回転リール20の図柄の停止形が特定停止形であるかで判定してもよい。初めに停止される回転リール20が左回転リール20Aで、2番目に停止される回転リール20が右回転リール20Cの場合の特定停止形は、例えば、図9に示すように、左回転リール20Aの赤7、リプレイ、チェリーの図柄と、右回転リール20CのスイカA、ベル、赤7の図柄がリール窓200に停止表示された場合である。また、予め定められた図柄であるかは、停止される全ての回転リール20の図柄の停止形が特定停止形であるかで判定してもよい。このように構成することにより、複数の回転リール20が停止する様々な段階で特定停止形であるかを判定することができる。そして、示唆演出を終了するタイミングや、告知演出を実行するタイミングを多様にすることができる。
【0128】
前記実施形態では、前兆状態中に、回転リール20の図柄の停止形が特定停止形であると判定された場合に、示唆演出を終了し、次のストップスイッチ40の操作を受け付けないフリーズが発生している間に、「AT確定」などの文字を液晶画面3に表示する告知演出を実行しているが、示唆演出の終了と、告知演出のタイミングは、これに限定されない。例えば、前兆状態中に、回転リール20の図柄の停止形が特定停止形であると判定された場合に、最後に停止される回転リール20が停止するまでは示唆演出を継続し、当該最後に停止される回転リール20が停止された後、「AT確定」などの文字を液晶画面3に表示する告知演出を実行してもよい。また、告知演出は、回転リール20の図柄の停止形が特定停止形であると判定された当該ゲームで実行する場合に限定されず、次のゲームで実行してもよい。
【0129】
前記実施形態では、本前兆状態は、AT抽せんにてATが当せんすることでAT状態へ移行することが決定した場合に移行するが、本前兆状態への移行は、AT抽せんにてATが当せんした次のゲームから移行する場合の他、ATが当せんした後さらに所定の条件を満たした場合に移行してもよい。
【0130】
前記実施形態は、本前兆状態中に予め定められた図柄がリール窓200に停止表示したことで、本前兆状態の演出の最後に実行するはずだった告知演出を前倒しする処理を実行する。かかる前記実施形態の処理は、ガセ前兆状態中に、レア役(中段チェリーなどのAT抽せんの当せんが確定する確定役)に入賞することや、当該レア役の入賞に伴うフリーズ演出などが発生して、本前兆状態に書き換えることなくAT状態に移行する(いわゆるAT直撃)ものとは異なる処理である。すなわち、ガセ前兆状態中のAT直撃で行われるATの当せんの告知と前記実施形態の告知演出とは異なるものである。
【0131】
前記実施形態では、前兆状態(本前兆状態)を経由してAT状態へ移行しているが、前兆状態を経由せずに、一般遊技からAT状態に移行(いわゆるAT直撃)する場合があってもよい。
【0132】
前記実施形態では、AT抽せんにてATが当せんすることでAT状態へ移行することが決定され、本前兆状態へ移行するが、AT抽せんにてATが当せんしない場合であってもいわゆる天井ゲーム数を消化することでAT状態へ移行することが決定され、本前兆状態へ移行してもよい。
【0133】
前記実施形態では、本前兆状態で実行する示唆演出と、ガセ前兆状態で実行する示唆演出とは同じ内容の演出が実行されるが、これに限定されず、異なる内容の示唆演出が実行されてもよい。
【0134】
前記実施形態では、図8のステップst4で実行する告知演出と、ステップst11で実行する告知演出とを、演出内容が異なるものとしたが、これに限定されず、同じ内容の演出であってもよい。
【0135】
前記実施形態では、物理媒体であるメダルの投入および払い出しを行うタイプのスロットマシン1を例示したが、メダルの投入および払い出しは行わずに、メダル数に対応する遊技価値の数をデータ上で管理するタイプのスロットマシン(メダルレス機)に提供してもよい。このようなメダルレス機では、所有中の遊技価値数が遊技者ごとに管理されており、ベットボタンが押されればその所有中のメダル数からベットされる。そのため、ホッパーユニット50を含まずともよい。なお、遊技者の所有する遊技価値は、スロットマシン上で管理されてもよいし、スロットマシンと電気的に接続された遊技価値貸出機上で管理されてもよい。なお、メダルレス機は、「スマートパチスロ」(登録商標)、「管理遊技機」、または「封入式遊技機」などと称されることがある。
【0136】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。さらに、本実施形態の複数の実施形態のうち、1つの実施形態単体でも実施可能である。なお、本実施形態にかかるスロットマシン1は、特許請求の範囲において請求項1に記載した内容のみでも実施可能であり、請求項1と他請求項とを組み合わせた内容でも実施可能である。
【符号の説明】
【0137】
1 スロットマシン(遊技機)
20 回転リール
200 リール窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9