(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043121
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】画像処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
H04N1/00 350
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148126
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 大悟
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AC05
5C062AC34
5C062AF07
(57)【要約】
【課題】ジョブの処理の進捗情報をユーザに向けて出力することが可能な画像処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】ジョブの処理の進捗を表す第1進捗情報と、第1進捗情報にアクセス可能な第1プログラムと、ジョブを転送処理する第2プログラムとを記憶したメモリと、プロセッサと、を備え、プロセッサは、第2プログラムによりジョブを転送する転送処理を実行し、ジョブの単位に応じた進捗であって第2プログラムによる転送処理の進捗を表す第2進捗情報を第2プログラムにより更新し、第2プログラムにより更新した第2進捗情報を用いて、第1プログラムにより、更新された第1進捗情報を出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブの処理の進捗を表す第1進捗情報と、前記第1進捗情報にアクセス可能な第1プログラムと、前記ジョブを転送処理する第2プログラムとを記憶したメモリと、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記第2プログラムにより、前記ジョブを転送する転送処理を実行し、
前記ジョブの単位に応じた進捗であって、前記第2プログラムによる転送処理の進捗を表す第2進捗情報を、前記第2プログラムにより更新し、
前記第2プログラムにより更新した第2進捗情報を用いて、前記第1プログラムにより、更新された前記第1進捗情報を出力する画像処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第2プログラムにより更新された前記第2進捗情報が予め定められた状態となった場合に、前記第2プログラムの前記転送処理を中止する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第2プログラムにより更新された前記ジョブの全体量が、前記メモリに記憶されている全体量を超えた場合は、前記第2プログラムの前記転送処理を中止する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第2プログラムから転送された前記ジョブの処理量が、前記メモリに記憶されている全体量を超えた場合は、前記第2プログラムの前記転送処理を中止する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記転送処理を中止させた前記第2プログラムを実行不可能な状態に設定する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記第2プログラムによる前記転送処理を中止した旨を予め定められた者に報知する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1プログラムは画像処理装置に予めインストールされたプログラムであり、
前記第2プログラムは画像処理装置にユーザにより後からインストールされたプログラムである請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記ジョブの単位は、ジョブの頁数、データ量、又は送信先数、を含む請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
ジョブの処理の進捗を表す第1進捗情報と、前記第1進捗情報にアクセス可能な第1プログラムと、前記ジョブを転送処理する第2プログラムとを記憶したメモリと、
プロセッサと、を備えたコンピュータに、
前記第2プログラムにより、前記ジョブを転送する転送処理を実行し、
前記ジョブの単位に応じた進捗であって、前記第2プログラムによる転送処理の進捗を表す第2進捗情報を、前記第2プログラムにより更新し、
前記第2プログラムにより更新した第2進捗情報を用いて、前記第1プログラムにより、更新された前記第1進捗情報を出力する処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報処理装置であって、当該情報処理装置に固有のハードウェアを利用した処理に関する第一の画面の表示と、前記第一の画面を介して入力された設定情報に応じた前記処理とを当該情報処理装置に実行させる第一のプログラムを有し、前記第一のプログラムは、第二のプログラムから前記処理に関する設定情報を受け付けるインタフェースを備え、前記第二のプログラムから受け付けた設定情報に応じた前記処理を当該情報処理装置に実行させる情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像処理装置の機能を拡張や変更するプログラムを追加してインストール可能な画像処理装置が存在する。かかる追加したプログラムに、ジョブの処理の進捗情報を管理する画像処理装置の記憶部にアクセス可能とすると、当該進捗情報が改変される可能性があるため、アクセス不可能としている。そのため、追加したプログラムではユーザに向けて進捗情報を出力することができない。
【0005】
本開示は、ジョブの処理の進捗情報をユーザに向けて出力することが可能な画像処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る画像処理装置は、ジョブの処理の進捗を表す第1進捗情報と、前記第1進捗情報にアクセス可能な第1プログラムと、前記ジョブを転送処理する第2プログラムとを記憶したメモリと、プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記第2プログラムにより、前記ジョブを転送する転送処理を実行し、前記ジョブの単位に応じた進捗であって、前記第2プログラムによる転送処理の進捗を表す第2進捗情報を、前記第2プログラムにより更新し、前記第2プログラムにより更新した第2進捗情報を用いて、前記第1プログラムにより、更新された前記第1進捗情報を出力する。
【0007】
第2態様に係る画像処理装置は、第1態様に係る画像処理装置において、前記プロセッサは、前記第2プログラムにより更新された前記第2進捗情報が予め定められた状態となった場合に、前記第1プログラムに、前記第2プログラムの前記転送処理を中止する。
【0008】
第3態様に係る画像処理装置は、第1態様に係る画像処理装置において、前記プロセッサは、前記第2プログラムにより更新された前記ジョブの全体量が、前記メモリに記憶されている全体量を超えた場合は、前記第2プログラムの前記転送処理を中止する。
【0009】
第4態様に係る画像処理装置は、第1態様に係る画像処理装置において、前記プロセッサは、前記第2プログラムから転送された前記ジョブの処理量が、前記メモリに記憶されている全体量を超えた場合は、前記第2プログラムの前記転送処理を中止する。
【0010】
第5態様に係る画像処理装置は、第2態様に係る画像処理装置において、前記プロセッサは、前記転送処理を中止させた前記第2プログラムを実行不可能な状態に設定する。
【0011】
第6態様に係る画像処理装置は、第2態様に係る画像処理装置において、前記プロセッサは、前記第2プログラムによる前記転送処理を中止した旨を予め定められた者に報知する。
【0012】
第7態様に係る画像処理装置は、第1態様に係る画像処理装置において、前記第1プログラムは画像処理装置に予めインストールされたプログラムであり、前記第2プログラムは画像処理装置にユーザにより後からインストールされたプログラムである。
【0013】
第8態様に係る画像処理装置は、第1態様に係る画像処理装置において、前記ジョブの単位は、ジョブの頁数、データ量、又は送信先数、を含む。
【0014】
第9態様に係るプログラムは、コンピュータに、ジョブの処理の進捗を表す第1進捗情報と、前記第1進捗情報にアクセス可能な第1プログラムと、前記ジョブを転送処理する第2プログラムとを記憶したメモリと、プロセッサと、を備えたコンピュータに、前記第2プログラムにより、前記ジョブを転送する転送処理を実行し、前記ジョブの単位に応じた進捗であって、前記第2プログラムによる転送処理の進捗を表す第2進捗情報を、前記第2プログラムにより更新し、前記第2プログラムにより更新した第2進捗情報を用いて、前記第1プログラムにより、更新された前記第1進捗情報を出力する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
第1態様によれば、ジョブの処理の進捗情報をユーザに向けて出力することができる、という効果を有する。
【0016】
第2態様によれば、第2進捗情報の状態によって、第2プログラムによる転送処理を中止することができる、という効果を有する。
【0017】
第3態様によれば、ジョブの全体量が改変された場合は、第2プログラムによる転送処理を中止することができる、という効果を有する。
【0018】
第4態様によれば、ジョブの処理量がジョブの全体量を超えた場合は、第2プログラムによる転送処理を中止することができる、という効果を有する。
【0019】
第5態様によれば、第2プログラムを実行不可能な状態にして、画像処理装置のセキュリティを担保することができる、という効果を有する。
【0020】
第6態様によれば、第2プログラムが不正な処理をしていることを報知することができる、という効果を有する。
【0021】
第7態様によれば、後からインストールされたプログラムの処理を監視することができる、という効果を有する。
【0022】
第8態様によれば、ジョブを構成する単位から、第2プログラムの転送処理を監視することができる、という効果を有する。
【0023】
第9態様によれば、ジョブの処理の進捗情報をユーザに向けて出力することができる、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像処理システムの概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略ブロック図である。
【
図3】実施形態に係る画像形成装置のROM又はストレージの構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置を用いたジョブの転送処理及び転送処理の進捗情報の表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係る第1進捗情報の出力例を説明するための説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る第1進捗情報の他の出力例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態)
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0026】
図1を用いて、本実施形態に係る画像処理システム10の一例を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像処理システム10の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像処理システム10は、画像形成装置20及びサーバ30がネットワークNを介して接続されている。このネットワークNには、例えば、LAN(=Local Area Network)、WAN(=Wide Area Network)、インターネット等が適用される。
【0027】
画像形成装置20は、印刷機能や、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナー機能などの各種の機能を有するものである。また、本実施形態における画像形成装置20は、画像処理装置の一例である。
【0028】
サーバ30は、画像形成装置20から転送されてきたジョブのデータを記憶するものである。ここで、サーバ30には、PC(Personal Computer)などが含まれる。
【0029】
つぎに、画像形成装置20のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、画像形成装置20は、プロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ストレージ104、入力部105、表示部106、文書読取部107、画像形成部108及び通信部109を有する。各構成は、バス110を介して相互に通信可能に接続されている。
【0031】
CPU101は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU101は、ROM102又はストレージ104からプログラムを読み出し、RAM103を作業領域としてプログラムを実行する。CPU101は、ROM102又はストレージ104に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0032】
ここで、ROM102又はストレージ104は、メモリの一例である。本実施形態では、
図3に示すように、ROM102には、第1プログラムの一例である標準プログラム201が記憶されており、ストレージ104には、第2プログラムの一例である追加プログラム202、第1進捗情報211及び第2進捗情報212が記憶されている。標準プログラム201は、画像形成装置20に予めインストールされたプログラムであり、追加プログラム202を使用しない場合に画像形成装置20のスキャナー機能などにより読み取られた原稿のジョブを転送処理する機能を有するプログラムである。追加プログラム202は、画像形成装置20にユーザにより後からインストールされたプログラムであり、標準プログラム201にかわりジョブを転送処理する機能を有するプログラムである。また、追加プログラム202は、標準プログラム201に比べ、転送処理に際し使用することが可能な機能、例えば、ジョブの内容に応じて予め転送先を設定することを可能とする機能など、が豊富であり、標準プログラム201では不可能な転送処理も可能となっている。また、追加プログラム202は、ユーザの好みに合わせた転送処理の設定が可能となっていてもよい。また、第1進捗情報211は、ジョブの処理の進捗を表す情報である。第1進捗情報211は、標準プログラム201がアクセス可能であり、追加プログラム202はアクセスすることが不可能にされている。第2進捗情報212は、ジョブの単位に応じた進捗であって、追加プログラム202による転送処理の進捗を表す情報である。
【0033】
ROM102は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM103は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ104は、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0034】
入力部105は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。入力部105は、後述する原稿の読み取りの際に、白紙除去をする設定などに使用される。また、本実施形態では、タッチパネル方式の表示部106が入力部105として機能している。
【0035】
表示部106は、例えば、液晶ディスプレイである。表示部106は、CPU101の制御に基づき各種の情報を表示する。また、表示部106は、タッチパネル方式を採用して、入力部105としても機能する。
【0036】
文書読取部107は、画像形成装置20の上部に設けられた図示しない自動送り装置(ADF:Automatic Document Feeder)の給紙台に置かれた原稿を1枚ずつ取り込み、取り込んだ原稿を光学的に読み取って画像情報を得る。あるいは、文書読取部107は、プラテンガラスなどの台に置かれた原稿を光学的に読み取って画像情報を得る。
【0037】
画像形成部108は、ネットワークNを介して接続されたPC(図示せず)などから得られた印刷ジョブに含まれる印刷データや、文書読取部107による読み取りによって得られた画像情報に基づく画像を、紙などの記録媒体に形成、すなわち、印刷するものである。
【0038】
通信部109は、ネットワークNに接続されており、画像形成装置20と、サーバ30などの他の機器と、ジョブの転送処理などの通信を行う。また、通信部109は、画像形成装置20を公衆回線に接続し、FAX機能を有する他の画像形成装置と文書読取部107による読み取りによって得られた画像情報を送受信する。
【0039】
つぎに、画像処理システム10の作用について説明する。
【0040】
図4を用いて、画像形成装置20を用いたジョブの転送処理及び転送処理の進捗情報の表示処理の流れについて説明する。
図4に示す例は、ジョブの単位が「ページ数」であり、ジョブのサーバ30への転送処理を、追加プログラム202で行う場合を例にして説明する。また、前提として、画像形成装置20のスキャナー機能などにより複数ページからなる原稿が読み取られ、ジョブとしてストレージ104やRAM103に記憶されている。
【0041】
ステップS100において、CPU101が、ユーザの操作に基づいて、ストレージ104に記憶されているジョブの転送処理を追加プログラム202で行うか判定する。すなわち、ユーザが、初めから画像形成装置20にインストールされた標準プログラム201ではなく、追加プログラム202を用いて転送処理を実行することを選択したか判定する。追加プログラム202による転送を行わないと判定した場合は、ステップS101に進み、標準プログラム201がジョブの転送処理を実行する。ここで、標準プログラム201が行うジョブの転送処理は、通常の転送処理が行われるため、説明を省略する。一方、追加プログラム202による転送を行うと判定した場合は、次のステップS102に進む。
【0042】
ステップS102において、追加プログラム202がジョブのデータを取得し、ジョブに記憶されているジョブの単位の「ページ数」と、ジョブの全体量である「総ページ数」、例えば「20ページ」、を取得し、設定する。そして、次のステップS103に進む。
【0043】
ステップS103において、追加プログラム202がジョブのサーバ30への転送処理を行う。そして、次のステップS104に進む。
【0044】
ステップS104において、追加プログラム202が第2進捗情報212を更新する。すなわち、ステップS103でサーバ30に転送したジョブの処理量である「転送ページ数」を更新して、第2進捗情報212を更新する。例えば、「転送ページ数」を「1」ずつ加算していく。そして、次のステップS105に進む。
【0045】
ステップS105において、標準プログラム201が、追加プログラム202がステップS104で更新した第2進捗情報212が、予め定められた不正な進捗か否かをチェックする。すなわち、追加プログラム202がサーバ30に転送したジョブの処理量が、ストレージ104に記憶されている当該ジョブの全体量を超えたか否か、及び、ジョブの全体量が、ストレージ104に記憶されている当該ジョブの全体量を超えたか否かが判定される。例えば、ジョブの処理量が総ページ数である「20ページ」を超えた「21ページ」になっているかを判定する。また、ジョブの総ページ数が「20ページ」を超えた「21ページ」に改変されているかを判定する。そして、次のステップS106に進む。なお、かかるチェックは、標準プログラム201が行う場合に限定されず、他のプログラムが行ってもよい。
【0046】
ステップS106において、ステップS105で不正な進捗でないと判定された場合は、次のステップS107に進む。
【0047】
ステップS107において、標準プログラム201がステップS104で追加プログラム202により更新された第2進捗情報212を用いて第1進捗情報211を更新する。そして、次のステップS108に進む。
【0048】
ステップS108において、標準プログラム201が第1進捗情報211を表示する。すなわち、表示部106に「総ページ数」と「転送ページ数」とを表示する。そして、次のステップS109に進む。
【0049】
ステップS109において、転送処理が完了、すなわち、最終ページまで転送されたか判定される。転送処理が完了したと判定された場合は、処理を終了する。一方、転送処理が完了したと判定されない場合は、上述したステップS103に戻る。
【0050】
上述したステップS106において、ステップS105で不正な進捗であると判定された場合は、ステップS120に進み、標準プログラム201が追加プログラム202による転送処理を中止させる。そして、次のステップS121に進む。なお、かかる処理は、標準プログラム201が行う場合に限定されず、他のプログラムが行ってもよい。
【0051】
ステップS121において、標準プログラム201が追加プログラム202を実行不可能な状態に設定する。ここで、実行不可能な状態は、プログラム自体が実行不可能になる場合の他、追加プログラム202からジョブにアクセスできなくすることや、表示部106に追加プログラム202のUI(User Interface)を表示しないようにすることなどにより、ユーザが追加プログラム202による転送を選択することができなくすること、追加プログラム202をアンインストールすることなど、も含む。そして、次のステップS122に進む。なお、かかる処理は、標準プログラム201が行う場合に限定されず、他のプログラムが行ってもよい。
【0052】
ステップS122において、標準プログラム201が、追加プログラム202による転送処理を中止した旨を予め定められた者に報知する。例えば、画像形成装置20の管理者や、ジョブの転送処理を実施しているユーザにメールを送信することや、表示部106に表示することなどで報知する。そして、処理を終了する。なお、かかる報知は、標準プログラム201が行う場合に限定されず、他のプログラムが行ってもよい。
【0053】
つぎに、標準プログラム201による第1進捗情報211の出力例について
図5及び
図6を用いて説明する。
【0054】
図5及び
図6は、上述した
図4に示すフローチャートと同様、ジョブの単位が「ページ数」であり、ジョブのサーバ30への転送処理を、追加プログラム202で行う場合の第1進捗情報211の出力例を示す図である。ここで、第1進捗情報211は、標準プログラム201が、追加プログラム202により更新した第2進捗情報212を用いて更新した進捗情報である。
【0055】
図5は、追加プログラム202による転送処理に不正がなく、転送処理が正常に終了する場合の例である。
【0056】
図5に示すように、ジョブの全体量である「総ページ数」を分母に、サーバ30に転送したジョブの処理量である「転送ページ数」を分子にした表示形式(分子/分母)で第1進捗情報211を表示部106に表示している。なお、第1進捗情報211の出力は、かかる分子/分母の表示形式に限定されず、ユーザが転送処理の進捗を認識可能なものであれば形式は問わない。また、第1進捗情報211の出力は、表示部106に表示する場合に限定されず、音声などを用いて出力してもよい。
【0057】
まず、追加プログラム202が「20」ページのうちの「1」ページを転送した場合は、第2進捗情報212が「20ページのうちの1ページを転送した」という情報に更新される。更新された第2進捗情報212を標準プログラム201が取得し、当該第2進捗情報212が、予め定められた不正な進捗かチェックする。本例の場合は不正がないため、第1進捗情報211を更新し、
図5(A)に示すように、表示部106に、総ページ数「20」を分母に、処理量「1」を分子にした表示形式「1/20」を用いて、「1/20転送」と表示する。
【0058】
つぎに、追加プログラム202が「20」ページのうちの「2」ページを転送した場合は、第2進捗情報212が「20ページのうちの2ページを転送した」という情報に更新される。更新された第2進捗情報212を標準プログラム201が取得し、当該第2進捗情報212が、予め定められた不正な進捗かチェックする。本例の場合は不正がないため、第1進捗情報211を更新し、
図5(B)に示すように、表示部106に、総ページ数「20」を分母に、処理量「2」を分子にした表示形式「2/20」を用いて、「2/20転送」と表示する。
【0059】
このような転送処理を
図5(C)及び
図5(D)に示すように繰り返し、最後の20ページの転送が終了したことで第2進捗情報212の更新が終了した場合は、
図5(E)に示すように、「転送終了」の文字を表示し、転送が正常に終了したことが報知される。
【0060】
図6は、追加プログラム202による転送処理に不正があり、転送処理が中止された場合の例である。
【0061】
まず、追加プログラム202が「20」ページのうちの「1」ページを転送した場合は、第2進捗情報212が「20ページのうちの1ページを転送した」という情報に更新される。更新された第2進捗情報212を標準プログラム201が取得し、当該第2進捗情報212が、予め定められた不正な進捗かチェックする。本例の場合は不正がないため、第1進捗情報211を更新し、
図6(A)に示すように、表示部106に、総ページ数「20」を分母に、処理量「1」を分子にした表示形式「1/20」を用いて、「1/20転送」と表示する。
【0062】
つぎに、追加プログラム202が「20」ページのうちの「2」ページを転送した場合は、第2進捗情報212が「20ページのうちの2ページを転送した」という情報に更新される。更新された第2進捗情報212を標準プログラム201が取得し、当該第2進捗情報212が、予め定められた不正な進捗かチェックする。本例の場合は不正がないため、第1進捗情報211を更新し、
図6(B)に示すように、表示部106に、総ページ数「20」を分母に、処理量「2」を分子にした表示形式「2/20」を用いて、「2/20転送」と表示する。
【0063】
このような転送処理を繰り返し、
図6(C)に示すように、最後の20ページの転送をする。かかる最後のページの転送が終了したにもかかわらず、追加プログラム202による転送処理が終了せず、第2進捗情報212の更新が継続して、第2進捗情報212が「20ページのうちの21ページを転送した」という情報に更新されることで分子が「21」となり、分母の「20」を超える更新をする場合は、標準プログラム201は、追加プログラム202による転送処理に不正があったものと判定する。そして、標準プログラム201は、
図6(E)に示すように、「転送中止」の文字を表示し、転送処理が途中で中止されたことが報知される。なお、転送処理が途中で中止されたことに加え、今後、追加プログラム202が実行不可能であることを報知してもよい。
【0064】
本実施形態では、進捗情報は、画像形成装置20の使用料などの根拠となる重要な情報である。そのため、画像形成装置20に予めインストールされたプログラムにのみアクセス可能にされており、データの改変を避けるため、後からインストールされたプログラムにはアクセス不可能にされている。しかし、後からインストールされたプログラムを使用する場合であっても、進捗情報を表示することが、ユーザの利便性を向上させることになる。上述した実施形態によれば、標準プログラム201より機能が豊富な追加プログラム202を用いた場合であっても、追加プログラム202に画像形成装置20の重要な情報にアクセスさせることなく、正確な進捗情報をユーザに提供することが可能となる。
【0065】
(変形例)
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0066】
上記実施形態では、ジョブの単位が「ページ数」の場合について説明したが、ジョブの単位は、「ページ数」に限定されない。例えば、「データ量」や「送信先数」であってもよい。ここで、「データ量」は、ジョブのバイト(byte)数である。また、「送信先数」は、ジョブを転送する送信先の数、すなわち、ジョブを複数のサーバ30に転送する場合や、ジョブをサーバ30に設けられた複数のフォルダに転送する場合、などの送信先の数である。
【0067】
ジョブの単位が「データ量」の場合は、ジョブの全体量が「転送予定の合計バイト(byte)数」となる。そして、サーバ30に転送したジョブの処理量は「転送したバイト(byte)数」となり、分子が「転送するデータ量」であり、分母が「転送予定の合計データ量」(転送するデータ量/転送予定の合計データ量)となる。そのため、追加プログラム202による「転送したバイト数」が「転送予定の合計バイト数」を超えた場合や、「転送予定の合計バイト数」が、ストレージ104に記憶されている当該ジョブのデータ量を超えた場合は、不正があったものとして、転送処理が中止される。
【0068】
ジョブの単位が「送信先数」の場合は、ジョブの全体量が「転送予定の送信先数」となる。そして、サーバ30に転送したジョブの処理量は「転送済みの送信先数」となり、分子が「転送済みの送信先数」であり、分母が「転送予定の送信先数」(転送済みの送信先数/転送予定の送信先数)となる。そのため、追加プログラム202による「転送済みの送信先数」が「転送予定の送信先数」を超えた場合や、「転送予定の送信先数」が、ストレージ104に記憶されている当該ジョブの送信先数を超えた場合は、不正があったものとして、転送処理が中止される。
【0069】
なお、上記実施形態では、プログラムがROM102又は記憶部(ストレージ)104に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークNを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0070】
また、上述した実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0071】
また、上述した実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上述した各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0072】
以上の実施形態に関し、更に以下を開示する。
【0073】
(((1)))
プロセッサを備え、
ジョブの処理の進捗を表す第1進捗情報と、前記第1進捗情報にアクセス可能な第1プログラムと、前記ジョブを転送処理する第2プログラムとを記憶したメモリと、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記第2プログラムにより、前記ジョブを転送する転送処理を実行し、
前記ジョブの単位に応じた進捗であって、前記第2プログラムによる転送処理の進捗を表す第2進捗情報を、前記第2プログラムにより更新し、
前記第2プログラムにより更新した第2進捗情報を用いて、前記第1プログラムにより、更新された前記第1進捗情報を出力する画像処理装置。
【0074】
(((2)))
前記プロセッサは、
前記第2プログラムにより更新された前記第2進捗情報が予め定められた状態となった場合に、前記第2プログラムの前記転送処理を中止する(((1)))に記載の画像処理装置。
【0075】
(((3)))
前記プロセッサは、
前記第2プログラムにより更新された前記ジョブの全体量が、前記メモリに記憶されている全体量を超えた場合は、前記第1プログラムに、前記第2プログラムの前記転送処理を中止する(((1)))又は(((2)))に記載の画像処理装置。
【0076】
(((4)))
前記プロセッサは、
前記第2プログラムから転送された前記ジョブの処理量が、前記メモリに記憶されている全体量を超えた場合は、前記第2プログラムの前記転送処理を中止する(((1)))~(((3)))のいずれかに記載の画像処理装置。
【0077】
(((5)))
前記プロセッサは、
前記転送処理を中止させた前記第2プログラムを実行不可能な状態に設定する(((2)))~(((4)))のいずれかに記載の画像処理装置。
【0078】
(((6)))
前記プロセッサは、
前記第2プログラムによる前記転送処理を中止した旨を予め定められた者に報知する(((2)))~(((5)))のいずれかに記載の画像処理装置。
【0079】
(((7)))
前記第1プログラムは画像処理装置に予めインストールされたプログラムであり、
前記第2プログラムは画像処理装置にユーザにより後からインストールされたプログラムである((1)))~(((6)))のいずれかに記載の画像処理装置。
【0080】
(((8)))
前記ジョブの単位は、ジョブの頁数、データ量、又は送信先数、を含む((1)))~(((7)))のいずれかに記載の画像処理装置。
【0081】
(((9)))
ジョブの処理の進捗を表す第1進捗情報と、前記第1進捗情報にアクセス可能な第1プログラムと、前記ジョブを転送処理する第2プログラムとを記憶したメモリと、
プロセッサと、を備えたコンピュータに、
前記第2プログラムにより、前記ジョブを転送する転送処理を実行し、
前記ジョブの単位に応じた進捗であって、前記第2プログラムによる転送処理の進捗を表す第2進捗情報を、前記第2プログラムにより更新し、
前記第2プログラムにより更新した第2進捗情報を用いて、前記第1プログラムにより、更新された前記第1進捗情報を出力する処理を実行させるためのプログラム。
【0082】
(((1)))によれば、ジョブの処理の進捗情報をユーザに向けて出力することができる、という効果を有する。
【0083】
(((2)))によれば、第2進捗情報の状態によって、第2プログラムによる転送処理を中止することができる、という効果を有する。
【0084】
(((3)))によれば、ジョブの全体量が改変された場合は、第2プログラムによる転送処理を中止することができる、という効果を有する。
【0085】
(((4)))によれば、ジョブの処理量がジョブの全体量を超えた場合は、第2プログラムによる転送処理を中止することができる、という効果を有する。
【0086】
(((5)))によれば、第2プログラムを実行不可能な状態にして、画像処理装置のセキュリティを担保することができる、という効果を有する。
【0087】
(((6)))によれば、第2プログラムが不正な処理をしていることを報知することができる、という効果を有する。
【0088】
(((7)))によれば、後からインストールされたプログラムの処理を監視することができる、という効果を有する。
【0089】
(((8)))によれば、ジョブを構成する単位から、第2プログラムの転送処理を監視することができる、という効果を有する。
【0090】
(((9)))によれば、ジョブの処理の進捗情報をユーザに向けて出力することができる、プログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 画像処理システム
20 画像形成装置
201 標準プログラム
202 追加プログラム
211 第1進捗情報
212 第2進捗情報
30 サーバ