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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043122
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】端材回収装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20240322BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20240322BHJP
   B01D 29/96 20060101ALI20240322BHJP
   B01D 24/38 20060101ALI20240322BHJP
   B01D 29/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B23Q11/00 U
B24B55/06
B01D29/02 Z
B01D23/20
B01D23/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148127
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】米澤 隆文
【テーマコード(参考)】
3C011
3C047
4D116
【Fターム(参考)】
3C011BB36
3C047HH11
4D116BB02
4D116BC28
4D116DD01
4D116EE02
4D116EE12
4D116FF12B
4D116FF17B
4D116GG02
4D116KK01
4D116QA05B
4D116QA05E
4D116QA18C
4D116QA18F
4D116QC19C
4D116QC25A
4D116RR01
4D116RR27
4D116VV07
4D116VV30
(57)【要約】
【目的】Si端材が混入した処理水を処理装置から排水させ、処理装置を停止させることなく、処理装置からの排水内のSi端材を回収可能な装置を提供する。
【構成】 実施形態の端材回収装置100は、複数のかご10,12と、回転駆動機構122,124と、複数の回収容器40,42と、を備える。複数のかごは、上部が開口され、メッシュ状面と多孔面との少なくとも一方で形成された少なくとも1つの面を有し、端材が液体に混入した混入液を前記上部から受け、前記混入液のうち前記端材の少なくとも一部を捕集すると共に前記液体を前記少なくとも1つの面から排出する。回転駆動機構は、前記上部が下を向く方向に前記複数のかごを個別に回転させる。複数の回収容器は、前記複数のかごが個別に前記上部が下を向く方向に回転することによって落下する前記端材を回収する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口され、メッシュ状面と多孔面との少なくとも一方で形成された少なくとも1つの面を有し、端材が液体に混入した混入液を前記上部から受け、前記混入液のうち前記端材の少なくとも一部を捕集すると共に前記液体を前記少なくとも1つの面から排出する、複数のかごと、
前記上部が下を向く方向に前記複数のかごを個別に回転させる回転駆動機構と、
前記複数のかごが個別に前記上部が下を向く方向に回転することによって落下する前記端材を回収する複数の回収容器と、
を備えたことを特徴とする端材回収装置。
【請求項2】
前記複数のかごは、断面がV字形状と、U字形状と、底辺と底辺の両端の一方に接続された1辺と他方に接続された1辺とで形成される形状と、のうちの1つの形状を有することを特徴とする請求項1記載の端材回収装置。
【請求項3】
前記複数のかごは、
外周の一辺同士が水平ではない角度で連結された第1と第2の面と、
前記第1と第2の面の連結された辺に連続する各側面側の辺同士の間の面を塞ぐ第3と第4の面と、
を有し、
前記第1と第2の面のうち、一方の面は前記メッシュ状面と前記多孔面との少なくとも一方で形成され、前記液体を排出し、他方の面は前記液体を通さないことを特徴とする請求項1記載の端材回収装置。
【請求項4】
前記複数のかごのそれぞれに溜まった前記端材を検出する複数のセンサをさらに備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の端材回収装置。
【請求項5】
前記混入液を前記複数のかごのうちのいずれか1つに選択的に流すように流路を切り替える切り替え機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の端材回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、端材回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造において、例えばバックグラインド加工時にシリコン(Si)の端材が処理水に混入してしまう。そのため、かかるプロセスの処理装置内に処理水を溜め、定期的に装置を停止し、Si端材を処理水から分離した後、作業員が手作業でSi端材を装置から取り除く必要があった。
【0003】
バックグラインド加工ではないが、例えば、ダイシング装置内部に配置された端材回収装置によりパンチングメタル上に廃液を流し、パンチングメタルで固液分離し端材を捕集する。そして、パンチングメタルが自重で垂れ下がる位置までパンチングメタルを押し出し、パンチングメタルが自重で垂れ下がることでパンチングメタル上の端材を落下させる。そして、ダイシング装置の停止中に作業者が落下した端材を装置内から取り除くといった技術が開示されている。
【0004】
Si端材は鋭利な形状をしている場合があり、手作業では作業員が怪我をする恐れがあった。また、かかる作業に時間がかかり、その間、装置を停止しなければならず、生産ロスが大きいといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-096087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、Si端材が混入した処理水を処理装置から排水させ、処理装置を停止させることなく、処理装置からの排水内のSi端材を回収可能な装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の端材回収装置は、複数のかごと、回転駆動機構と、複数の回収容器と、を備える。複数のかごは、上部が開口され、メッシュ状面と多孔面との少なくとも一方で形成された少なくとも1つの面を有し、端材が液体に混入した混入液を前記上部から受け、前記混入液のうち前記端材の少なくとも一部を捕集すると共に前記液体を前記少なくとも1つの面から排出する。回転駆動機構は、前記上部が下を向く方向に前記複数のかごを個別に回転させる。複数の回収容器は、前記複数のかごが個別に前記上部が下を向く方向に回転することによって落下する前記端材を回収する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態における端材回収装置の構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態におけるかごの一例を示す斜視図である。
図3】第1の実施形態におけるかごの他の一例を示す断面図である。
図4】第1の実施形態におけるかごの他の一例を示す断面図である。
図5】第1の実施形態における端材の分離から回収までの動作を説明するための図である。
図6】第1の実施形態におけるかごに溜まる端材の量を測定する手法を説明するための図である。
図7】第1の実施形態におけるかごの構成の他の一例を示す図である。
図8】第1の実施形態におけるかごの回転動作の一例を示す図である。
図9】第1の実施形態におけるかごの回転動作の他の一例を示す図である。
図10】第1の実施形態におけるかごの構成の他の一例を示す図である。
図11】第1の実施形態における複数のかごの間に空間をあけずに配置する場合を示す図である。
図12】第1の実施形態における複数のかごの間に空間をあけて配置する場合を示す図である。
図13】第1の実施形態における破片受けの構成の一例を示す図である。
図14】第1の実施形態における破片受けとかごと排水受けとを配置した状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における端材回収装置の構成の一例を示す図である。図1において、端材回収装置100は、複数のかご10,12と、排水受け20と、複数の破片受け30,32と、複数の回収容器40,42と、流路切替機構50と、複数のセンサ60,62と、少なくとも1つの回転駆動機構122,124と、制御回路120と、を備える。
【0010】
端材回収装置100は、制御回路120により制御される。制御回路120には、一部図示を省略したバスを介して回転駆動機構122,124、流路切替機構50、及び複数のセンサ60,62が接続される。また、制御回路120には、重量センサ44,45が例えば無線或いは有線で通信可能に接続される。
【0011】
少なくとも1つの回転駆動機構122,124は、複数のかご10,12を個別に回転駆動する。図1の例では、複数の回転駆動機構122,124が、複数のかご10,12を個別に回転駆動する場合を示している。図1の例では、かご10,12の数と同じ数の2つの回転駆動機構122,124を配置する場合を示すが、1つの回転駆動機構で複数のかご10,12を個別に回転駆動させても構わない。
【0012】
端材回収装置100は、例えば、シリコン(Si)の端材が混入する混入液を排水する、図示しないプロセス装置(処理装置)の下流側に配置される。プロセス装置として、例えば、バックグラインド加工装置、研磨装置、或いはダイシング装置等が挙げられる。
【0013】
流路切替機構50の給水側には供給口52が配置される。流路切替機構50の排水側には、2つの排水口54,56が配置される。流路切替機構50として、例えば、三方弁を用いることができる。排水口54は、かご10の上方に配置される。排水口56は、かご12の上方に配置される。流路切替機構50は、混入液を複数のかご10,12のうちのいずれか1つに選択的に流すように流路を切り替える。具体的には、流路切替機構50は、供給口52から供給された混入液の流路を2つの排水口54,56の1つに選択的に切り替える。これにより、排水口54が流路になる場合には混入液を複数のかご10,12のうちのかご10に流すことになる。排水口56が流路になる場合には混入液を複数のかご10,12のうちのかご12に流すことになる。
【0014】
複数のかご10,12の下には、排水受け20が配置される。また、複数のかご10,12が回転した際の開放面の下には複数の破片受け30,32が配置される。図1の例では、かご10の下に破片受け30が配置される。かご12の下に破片受け32が配置される。なお、図1では、複数のかご10,12より下方に位置する破片受け30,32の部分の構成を主に示したが、破片受け30,32のその他の部分の構成については後述する。
複数の破片受け30,32の下には複数の回収容器40,42が配置される。図1の例では、破片受け30の下に回収容器40が配置される。破片受け32の下に回収容器42が配置される。回収容器40は、台車41上に配置される。回収容器42は、台車43上に配置される。台車41上には重量センサ44が配置され、回収容器40の重量を測定する。台車43上には重量センサ45が配置され、回収容器42の重量を測定する。
【0015】
複数のかご10,12は、上部が開口され、メッシュ状面と多孔面との少なくとも一方で形成された少なくとも1つの面を有する。複数のかご10,12は、端材が液体に混入した混入液を上部から受け入れ、混入液のうち端材の少なくとも一部を捕集すると共に液体を少なくとも1つの面から排出する。かご10,12は、例えば、ステンレス鋼等の材料により形成されると好適である。
【0016】
図2は、第1の実施形態におけるかごの一例を示す斜視図である。図2の例では、かご10(12)は、断面がV字形状に形成される場合を示している。かご10(12)では、面11(第1の面)と面14(第2の面)とが外周の一辺同士が水平ではない角度で連結される。図2の例では、底辺同士が例えば鋭角に連結される場合を示している。そして、逆三角形に形成された面16(第3の面)と面18(第4の面)が、面11と面14の連結された辺(底辺)に連続する各側面側の辺同士の間の面を塞ぐ。
【0017】
面11と面14の一方の面11は、メッシュ状面と多孔面との少なくとも一方で形成される。メッシュ状面は、例えば、ステンレス鋼等の複数の鋼線を鋼線同士間に隙間が形成されるように例えば螺旋状或いは格子状に編むことによって形成される。多くの孔が形成される多孔面は、例えば、板材に対して所定のピッチでパンチングメタル加工を施すことにより形成される。これにより面11には、多数の隙間(孔、開口部)が2次元状にそれぞれ所定のピッチで配列される。隙間のサイズは、捕集する物のサイズに応じて適宜設定できる。例えば、隙間サイズが1~3mm程度に設定されると好適である。よって、面11は、混入液から端材の少なくとも一部を捕集(分離)して留め、その隙間から液体を排出する。
【0018】
面11と面14の他方の面14は、隙間が形成されていない板状の面で形成される。よって、面14は、液体を通さない。
【0019】
側面側の面16,18の少なくとも一方には、帯状の透明な面17,19が配置される。透明な面17,19は、かご10,12の底部から上方の開口面に向かって延びる。これにより、かご10,12の側面外部から、かご10,12の内部に溜まる端材の量を検知することができる。透明な面17,19には、例えば、ガラスやポリ塩化ビニル樹脂等を用いると好適である。
【0020】
図3は、第1の実施形態におけるかごの他の一例を示す断面図である。図3の例では、かご10(12)は、断面がU字形状に形成される場合を示している。かご10(12)では、U字の右半分の面11(第1の面)と左半分の面14(第2の面)とが底部で連結される。そして、図示しない面16(第3の面)と面18(第4の面)が、U字形状の断面が形成されるように連結された面11と面14の各側面側のU字状の輪郭の間の面を塞ぐ。面11は、メッシュ状面と多孔面との少なくとも一方で形成される。よって、面11は、混入液から端材の少なくとも一部を捕集(分離)して留め、その隙間から液体を排出する。面14は、隙間(孔)が形成されていない板状の面で形成される。よって、面14は、液体を通さない。
【0021】
図4は、第1の実施形態におけるかごの他の一例を示す断面図である。図4の例では、かご10(12)は、断面形状が底辺と底辺の両端の一方に接続された1辺と他方に接続された1辺とで形成される場合を示している。図4の例では、平行な2面11,14と面11,14を繋ぐ平面の底面13と図示しない矩形の側面16,18により形成される。面11は、メッシュ状面と多孔面との少なくとも一方で形成される。よって、面11は、混入液から端材の少なくとも一部を捕集(分離)して留め、その隙間から液体を排出する。面14及び面13は、隙間が形成されていない板状の面で形成される。よって、面14及び面13は、液体を通さない。
【0022】
回転駆動機構122,124は、上部が下を向く方向に複数のかご10,12を個別に回転させる。具体的には、回転駆動機構122は、かご10を上下方向が逆さになる方向に回転駆動する。回転駆動機構124は、かご12を上下方向が逆さになる方向に回転駆動する。図1の例では、かご10,12毎に、1つずつの回転駆動機構122,124が配置される場合を示しているが、これに限るものではない。上述したように、1つの回転駆動機構により複数のかご10,12を個別に回転させても良い。
【0023】
回転駆動機構122,124は、例えば、図示しないモータ、モータの回転によって回転する回転軸、及び回転軸を支持する軸受等を有する。例えば、回転軸がかご10(12)の側面である面16或いは面18に接続され、回転軸が回転することにより、接続箇所を軸にかご10(12)を回転させる。回転駆動機構122,124は、その他の部品により構成されても構わない。
【0024】
図5は、第1の実施形態における端材の分離から回収までの動作を説明するための図である。図5(a)において、流路切替機構50の排水口54(或いは排水口56)から排出された混入液は、かご10(或いはかご12)に上方から供給される。かご10(或いはかご12)は、メッシュ面(多孔面)となる面11で混入液から端材8を分離し、残りの液体を排水受け20側に排出する。これにより、混入液の固液分離ができる。面11を通過した液体は、排水受け20の排水口22から端材回収装置100の外部に排水される。また、面11に対向するメッシュ面ではない面14及び側面の面16,18により液体が破片受け30(或いは破片受け32)側に入り込むのを防ぐことができる。
【0025】
図6は、第1の実施形態におけるかごに溜まる端材の量を測定する手法を説明するための図である。複数のセンサ60,62は、複数のかご10,12のそれぞれに溜まった端材8を検出する。図6の例では、かご12に溜まる端材8を検出する場合を示している。かご12の側面18に設けられた縦長の透明な面19を通してセンサ62によってかご12に溜まった規定量の端材8を検出する。かご10の場合には、かご10の側面16に設けられた縦長の透明な面17を通してセンサ60によってかご10に溜まった端材8を検出する。センサ60,62として、例えば、レーザを照射して反射光を受光する距離センサを用いることができる。端材8が堆積している場合には、堆積していない場合よりもレーザが当たる対象物までの距離が近くなるので、端材8の堆積を検出できる。
【0026】
センサ60,62の配置高さ位置は、規定量の端材8がかご10,12に溜まった状態で、複数の端材8全体の上部の高さ位置にレーザが照射されるように設定すると好適である。これにより、その高さまで端材8が溜まった時点でセンサ60,62が端材8を検出できる。
【0027】
なお、検出光のかご10,12の側面16,18からの透過では検出が難しい場合は、センサ60(62)の代わりにセンサ63をかご10,12の上部に設置して検出しても良い。
【0028】
ここで、センサ60,62で検出する高さ位置は、規定量の端材8がかご10,12に溜まるまでの時間が、溜まった端材8が乾燥するまでの時間よりも長くなることを想定したうえで、端材8が規定量溜められた段階での端材8の上部の高さと対応した位置に設定する。例えば、かご10内の1/2高さまで溜まった端材8が1日で乾燥でき、かご12内の1/2まで端材8が溜まるまでは1週間かかる場合には、かご12側での端材8の捕集の間にかご10内に溜まった端材8の乾燥を間に合わせることができるので、規定量をかご10の1/2の高さに設定する。
【0029】
かご10(或いはかご12)に規定量の端材8が溜まった段階で、流路切替機構50は、混入液を受け入れるかご10(或いはかご12)を切り替える。例えば、混入液の流路を排水口54から排水口56に切り替えることにより、混入液の受け入れ側がかご10からかご12に切り替えられる。そして、今度はかご12が、メッシュ面となる面11で混入液から端材8を分離し、残りの液体を排水受け20側に排出する。これにより、混入液の固液分離ができる。面11を通過した液体は、排水受け20の排水口22から端材回収装置100の外部に排水される。
【0030】
その後、かご12に規定量の端材8が溜まった段階で、流路切替機構50は、混入液の流路を排水口56から排水口54に切り替えることにより、混入液の受け入れ側がかご12からかご10に切り替えられる。以降、同様に、かご10,12の切り替えを繰り返す。
【0031】
かかる切り替え動作により、端材回収装置100は、上流側のプロセス装置を停止せずに継続して、混入液を受け続けると共に、混入液から端材8を分離し、回収できる。
【0032】
制御回路120は、センサ60,62からの規定量到達を示す信号を受け、混入液を受け入れるかご10,12を切り替えた時点で、かご10,12を回転させて溜まった端材8の回収を行うまでの所定の期間の測定を開始する。かご10,12を切り替えてからかご10,12の回転を開始するまでの所定の期間として、切り替えた例えば新たなかご12にセンサ62で検出する規定量の端材8が溜まるまでの期間よりも短い期間であって、例えば、かご10に溜まった端材8が乾燥するまでの時間を用いると好適である。端材8が乾燥する前では、溜まった端材8がかご10の面11等に貼り付いたまま剥がれない場合がある。乾燥させることで端材8がかご10の面11等から剥がれやすくできる。端材8の乾燥のため、回転を待機している上述した所定の期間、かご10内の端材8に向けて温風を噴射する、図示しない温風噴射装置を配置しても好適である。
【0033】
かご10,12を切り替えた時点から所定の期間が経過した段階で、図5(b)に示すように、かご10(或いはかご12)を回転させる。図5(b)では、例えば、60°程度回転した状態を示す。かかる状態では、メッシュ面の面11は垂直位置を超えているがメッシュ面ではない面14が水平位置より回転方向に対して手前であるため、捕集された端材8は落下しない。
【0034】
図5(c)に示すように、かご10(或いはかご12)をさらに回転させる。図5(c)では、例えば、120°程度回転した状態を示す。かかる状態では、メッシュ面の面11は水平位置近くになり、メッシュ面ではない面14が水平位置を超えて下に向いているため、捕集された端材8は排水受け20とは反対側に配置された破片受け30(或いは破片受け32)に向かって、メッシュ面の面11から剥がれ落ちる、或いはメッシュ面ではない面14から滑り落ちる。また、図5(c)に示すように、回転角度はメッシュ面ではない面14の開放側端部が下向きの状態で排水受け20内部には入らない位置までにすると良い。これにより端材8が排水受け20に落下するのを防ぐことができる。
【0035】
剥がれ落ちた、或いは滑り落ちた端材8は、さらに破片受け30(或いは破片受け32)の通路を通って破片受け30(或いは破片受け32)から落下する。破片受け30(或いは破片受け32)の下には回収容器40(或いは回収容器42)が配置される。
【0036】
複数の回収容器40,42は、複数のかご10,12が個別に上部が下を向く方向に回転することによって落下する端材8を回収する。図5(c)の例では、破片受け30から落下した端材8を回収容器40が回収する。また、破片受け32から落下した端材8を回収容器42が回収する。
【0037】
端材8が回収容器40内に溜まることにより、重量センサ44により測定された重量が規定量に達した段階で、回収容器42が端材8を回収している間に、作業者は、回収容器40を移動し、別の回収容器と交換する。例えば、制御回路120は、重量が規定量に達したことを示す信号を重量センサ44から受信した場合にランプを点灯させる。作業者はランプの点灯を受けて回収容器40の移動を行う。回収容器40の内部に溜まった端材8は、移動後に廃棄される。或いは、回収容器42が端材8を回収している間に、作業者は、回収容器40を移動させ、内部の端材8を廃棄後に、また元の位置に回収容器40を移動させる。これにより、新たな回収容器40内は空となる。作業者は台車41を用いることで容易に回収容器40を移動させることができると共に移動した回収容器40を交換できる。よって、作業性を向上できる。
【0038】
その後、今度は端材8が回収容器42内に溜まることにより、重量センサ45により測定された重量が規定量に達した段階で、回収容器40が端材8を回収している間に、作業者は、回収容器42を移動し、別の回収容器と交換する。例えば、制御回路120は、重量が規定量に達したことを示す信号を重量センサ45から受信した場合にランプを点灯させる。作業者はランプの点灯を受けて回収容器42の移動を行う。回収容器42の内部に溜まった端材8は、移動後に廃棄される。或いは、回収容器40が端材8を回収している間に、作業者は、回収容器42を移動させ、内部の端材8を廃棄後に、また元の位置に回収容器42を移動させる。これにより、新たな回収容器42内は空となる。作業者は台車43を用いることで容易に回収容器42を移動させることができると共に移動した回収容器42を交換できる。よって、作業性を向上できる。
【0039】
かかる動作を繰り返すことにより、端材8の回収を連続して行うことができる。よって、上流側のプロセス装置を停止させる必要が無く生産性を向上できる。さらに、端材8の分離と回収は端材回収装置100内で、自動で行われるため作業者が端材8に直接触れないようにできる。よって、従来に比べて安全性を向上させることができる。
【0040】
図7は、第1の実施形態におけるかごの構成の他の一例を示す図である。図7の例では、メッシュ面(多孔面)となる面11が平面ではなく、例えばつづら折りに形成される。その他の点は、図2と同様である。かかる場合、端材8を捕集する面部分の面積を平面の場合よりも増やすことができる。メッシュ面(多孔面)となる部分の面積を増やすことで液体を流しやすくできる。これにより、かご10(12)に流入する混入液の単位時間あたりの処理量を増やすことができる。
【0041】
図8は、第1の実施形態におけるかごの回転動作の一例を示す図である。図8の例では、かご10(12)の側面の中心位置或いは重心位置に回転軸Oを設定する場合を示す。但し、これに限るものではない。
【0042】
図9は、第1の実施形態におけるかごの回転動作の他の一例を示す図である。図9に示すように、かご10(12)の底辺位置を回転軸Oに設定しても好適である。
【0043】
図10は、第1の実施形態におけるかごの構成の他の一例を示す図である。図10の例では、かご10(12)を構成する4つの面をメッシュ(多孔)構造とする場合を示している。かご10(12)に流入する混入液の量が1つのメッシュ面(多孔面)の排水許容量を超えるおそれがある場合は、4つの面をメッシュ(多孔)構造とすることで、混入液が排水受け20へと通過することが可能な面積を増やすことができる。なお、4つの面をメッシュ(多孔)構造とする場合、面11だけでなく面14、16,18をも混入液が通過するので、かご10,12から排水受け20へ液体が広範囲に排出されることになる。かかる場合、排水受け20の受け口24を破片受け30(32)側に延ばして広げ、逆に、破片受け30(32)の位置をずらすように構成すると良い。また、4つの面をメッシュ(多孔)構造として受け口24を延ばした場合、かご10,12側面の中心を回転軸とすると、端材8の落下位置にまで受け口24が広がってしまうおそれがある。そのため、かかる場合には、かご10,12側面の中心を回転軸とする構成よりもかご10,12の底辺位置を回転軸とする構成の方が、望ましい。
【0044】
図11は、第1の実施形態における複数のかごの間に空間を空けずに配置する場合を示す図である。
図12は、第1の実施形態における複数のかごの間に空間を空けて配置する場合を示す図である。
図11に示すように、複数のかご10,12の間に余分な空間を実質的に空けずに複数のかご10,12を配置しても良いし、図12に示すように、複数のかご10,12の間に大きな空間を空けて配置しても良い。図11に示す構成では、複数のかご10,12の間に仕切り板21を挟んで配置する。図12に示す構成では、かご10と空間の間に仕切り板23を挟んで配置し、空間とかご12の間に仕切り板25を挟んで配置する。かかる仕切り板21,23,25により、かご10,12の一方で受け入れている混入液の液体が、例えば端材8を乾燥中のかご10,12の他方に入り込まないように、複数のかご10,12の間を仕切ることができる。
【0045】
図13は、第1の実施形態における破片受けの構成の一例を示す図である。
図14は、第1の実施形態における破片受けとかごと排水受けとを配置した状態の一例を示す図である。図13及び図14では、破片受け30(32)の内部の形状が透けて見えるように図示している。破片受け30(32)には、端材8が、移動範囲が制限された状態で回収容器40(42)上に集まるように通路34が形成される。そして、破片受け30(32)は、図13及び図14に示すように、かご10(12)が回転した際に、端材8が外部に漏れ出ないように通路34上がカバー36で覆われる。これにより、かご10(12)から乾燥させた端材8を下部に設置した回収容器40(42)へ落とし込む際に、端材8を周りに飛散させないようにすることができる。破片受け30と排水受け20は、図14に示すように、回転するかご10,12を中心に排水と端材8が外部に漏れ出ない位置関係でこれらが配置されると好適である。
【0046】
以上のように第1の実施形態によれば、Si端材が混入した処理水を処理装置から排水させ、処理装置を停止させることなく、処理装置からの排水内のSi端材を回収できる。
【0047】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0048】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての端材回収措置は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0049】
10,12 かご、20 排水受け、30,32 破片受け、40,42 回収容器、50 流路切替機構、60,62 センサ、100 端材回収装置、122,124 回転駆動機構
図1
図2
図3
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