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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043128
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】球技用顔面保護マスク
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/10 20060101AFI20240322BHJP
   A42B 3/20 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
A63B71/10 Z
A42B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148133
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000108258
【氏名又は名称】ゼット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】時枝 健一
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107CA02
3B107DA07
3B107DA16
3B107DA17
3B107DA21
(57)【要約】
【課題】鍔付きのキャップを着用した装着者が、良好な視野角の確保とボールからの保護を両立しながら装着可能な球技用顔面保護マスクを提供する
【解決手段】緩衝部21,22,23が取り付けられて当該緩衝部21,22,23を装着者Fの顔面の所定部分に当接させた状態で装着者Fの顔面前方に位置すると共に装着者Fの両眼部への対向位置にボールの通過を阻止する大きさで開口する目視用開口部Oaを有するマスク本体10を備えた球技用顔面保護マスク100であって、マスク本体10が、装着者Fが着用しているキャップCの鍔Ctが挿入可能な鍔挿入用開口部Obを有する。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝部が取り付けられて当該緩衝部を装着者の顔面の所定部分に当接させた状態で装着者の顔面前方に位置すると共に装着者の両眼部への対向位置にボールの通過を阻止する大きさで開口する目視用開口部を有するマスク本体を備えた球技用顔面保護マスクであって、
前記マスク本体が、装着者が着用しているキャップの鍔が挿入可能な鍔挿入用開口部を有する球技用顔面保護マスク。
【請求項2】
前記マスク本体において、前記目視用開口部と前記鍔挿入用開口部とが共通の目視用兼鍔挿入用開口部で構成されている請求項1に記載の球技用顔面保護マスク。
【請求項3】
前記マスク本体において、前記目視用兼鍔挿入用開口部の上縁部を規定する上部フレームが前方に張り出した庇状に形成されている請求項2に記載の球技用顔面保護マスク。
【請求項4】
前記上部フレームが前下がりに形成されている請求項3に記載の球技用顔面保護マスク。
【請求項5】
前記緩衝部として、少なくとも装着者の額付近に当接される額用緩衝部と装着者の顎付近に当接される顎用緩衝部と装着者の側頭部付近に当接される側頭部用緩衝部とが前記マスク本体に取り付けられている請求項1~4の何れか1項に記載の球技用顔面保護マスク。
【請求項6】
前記額用緩衝部と前記側頭部用緩衝部とが連続的に配置されていると共に、前記側頭部用緩衝部に装着者が着用しているキャップの鍔の基端側の側縁部が侵入可能な凹部が形成されている請求項5に記載の球技用顔面保護マスク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝部が取り付けられて当該緩衝部を装着者の顔面の所定部分に当接させた状態で装着者の顔面前方に位置すると共に装着者の両眼部への対向位置にボールの通過を阻止する大きさで開口する目視用開口部を有するマスク本体を備えた球技用顔面保護マスクに関し、特にソフトボールや野球などの球技で用いられる顔面保護マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
上記球技用顔面保護マスクとして、例えばソフトボールや野球で用いられるものが知られている(例えば特許文献1を参照。)
特許文献1に記載のような球技用顔面保護マスクは、ソフトボールや野球などでキャッチャーが、前方に鍔が存在しない専用のヘルメットを着用した状態で装着するキャッチャー用マスクとして構成されている。このキャッチャー用マスクのマスク本体には装着者の両眼部への対向位置にボールの通過を阻止する大きさで開口する目視用開口部が形成されており、キャッチャー用マスクを装着したキャッチャーは、この目視用開口部を通じて前方を視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-012039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の球技用顔面保護マスクは、上述した特許文献1記載のキャッチャー用マスクのように、鍔付きのキャップを着用した状態での装着は想定されていない。即ち、鍔付きのキャップを着用しているピッチャーを含む野手などは、キャップの鍔がマスク本体と干渉するために、従来の球技用顔面保護マスクを装着することはできない。また、鍔付きのキャップを着用した状態で装着可能なように、装着者が着用しているキャップの鍔の先端部よりも前方にマスク本体を配置するように球技用顔面保護マスクを構成することが考えられる。しかしながら、このような球技用顔面保護マスクでは、装着者の顔面とマスク本体との隙間が大きくなって、下方などからその隙間へのボール侵入が懸念される。更には、目視用開口部が顔面から離れた位置に配置されるので、装着者の良好な視野角を確保するためには目視用開口部の開口面積を比較的大きくする必要がある。すると、その目視用開口部からのボールの侵入が懸念される。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、鍔付きのキャップを着用した装着者が、良好な視野角の確保とボールからの保護を両立しながら装着可能な球技用顔面保護マスクを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、緩衝部が取り付けられて当該緩衝部を装着者の顔面の所定部分に当接させた状態で装着者の顔面前方に位置すると共に装着者の両眼部への対向位置にボールの通過を阻止する大きさで開口する目視用開口部を有するマスク本体を備えた球技用顔面保護マスクであって、
前記マスク本体が、装着者が着用しているキャップの鍔が挿入可能な鍔挿入用開口部を有する点にある。
【0006】
本構成によれば、顔面前方に位置するマスク本体に形成された鍔挿入用開口部に装着者が着用しているキャップの鍔を挿入させた状態で装着可能な球技用顔面保護マスクを実現することができる。更に、この球技用顔面保護マスクでは、装着者が着用しているキャップの鍔の先端部よりも顔面に近い後方にマスク本体が位置するので、装着者の顔面とマスク本体との隙間や装着者の良好な視野角を確保可能な目視用開口部の開口面積をボールの侵入を防止できる程度に小さくすることができる。
従って、本発明により、鍔付きのキャップを着用した装着者が、良好な視野角の確保とボールからの保護を両立しながら装着可能な球技用顔面保護マスクを提供することができる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記マスク本体において、前記目視用開口部と前記鍔挿入用開口部とが共通の目視用兼鍔挿入用開口部で構成されている点にある。
【0008】
本構成によれば、共通の目視用兼鍔挿入用開口部で構成された目視用開口部と鍔挿入用開口部との境界部にはフレーム部等が存在しないので、一層良好な視野を確保することができる。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記マスク本体において、前記目視用兼鍔挿入用開口部の上縁部を規定する上部フレームが前方に張り出した庇状に形成されている点にある。
【0010】
本構成によれば、目視用兼鍔挿入用開口部に挿入されたキャップの鍔の上に配置される上部フレームが庇状に形成されて装着者の顔面と離されているので、装着者が眼鏡を装着している場合であっても、その眼鏡の上縁部へのボールの衝突を適切に回避することができる。
【0011】
本発明の第4特徴構成は、前記上部フレームが前下がりに形成されている点にある。
【0012】
本構成によれば、目視用兼鍔挿入用開口部に挿入されたキャップの鍔の上に配置される上部フレームが前下がりの庇状に形成されているので、当該上部フレームの基端部側の下方にキャップの鍔の基端部が余裕を持って収容される空間を形成することができる。このことで、キャップの鍔の基端部と上部フレームとの干渉を適切に抑制することができる。
【0013】
本発明の第5特徴構成は、前記緩衝部として、少なくとも装着者の額付近に当接される額用緩衝部と装着者の顎付近に当接される顎用緩衝部と装着者の側頭部付近に当接される側頭部用緩衝部とが前記マスク本体に取り付けられている点にある。
【0014】
本構成によれば、マスク本体に取り付けられた額用緩衝部と顎用緩衝部と側頭部用緩衝部とを装着者の額と顎と側頭部とに当接させた状態で装着することができるので、装着者の顔面前方に位置するマスク本体の姿勢を安定させることができる。このことで、マスク本体に設けられた鍔挿入用開口部の姿勢も安定させることができるので、その鍔挿入用開口部をキャップの鍔が挿入可能な範囲内においてできるだけ狭くして、目視用開口部を良好な視野角を確保可能な程度に広くすることができる。
【0015】
本発明の第6特徴構成は、前記額用緩衝部と前記側頭部用緩衝部とが連続的に配置されていると共に、前記側頭部用緩衝部に装着者が着用しているキャップの鍔の基端側の側縁部が侵入可能な凹部が形成されている点にある。
【0016】
本構成によれば、マスク本体において額用緩衝部に対して側頭部用緩衝部を連続的に配置した場合において、その側頭部用緩衝部に装着者が着用しているキャップの鍔の基端側の側縁部が侵入可能な凹部が形成されているので、装着者が着用しているキャップの鍔と緩衝部との干渉を適切に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】球技用顔面保護マスクの正面図
図2】球技用顔面保護マスクの右側面図
図3】球技用顔面保護マスクの平面図
図4】球技用顔面保護マスクの背面図
図5】球技用顔面保護マスクの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の球技用顔面保護マスクの実施形態を図面に基づいて説明する。
図1図5に示す球技用顔面保護マスク100は、ソフトボールや野球などでピッチャーを含む野手が装着する顔面保護マスクとして構成されている。即ち、球技用顔面保護マスク100は、クッションパッド21,22,23(緩衝部の一例)を装着者Fの顔面の所定部分に当接させた状態で装着者Fの顔面前方に位置するマスク本体10を備える。そして、このマスク本体10には、装着者Fの両眼部への対向位置にソフトボール用や野球用のボールの通過を阻止する大きさで開口する目視用開口部Oaが形成されている。
【0019】
マスク本体10は、装着者Fの顔上部への対向位置にある上部フレーム11と、装着者Fの顔下部への対向位置にある下部フレーム12と、上部フレーム11と下部フレーム12とを連結し装着者Fの両側頭部(こめかみ)への対向位置にある左右一対の側部フレーム13とを有する。
そして、目視用開口部Oaは、上部フレーム11の下縁部11aと下部フレーム12の上縁部12aとの間に形成された開口部として設けられている。即ち、目視用開口部Oaの縦幅は、上部フレーム11の下縁部11aと下部フレーム12の上縁部12aとの間隔で規定され、ボールの直径よりも小さいものに設定されている。
【0020】
装着者Fの顔面の所定部分に当接されるクッションパッド21,22,23としては、額用クッションパッド21(額用緩衝部の一例)と顎用クッションパッド22(顎用緩衝部の一例)と側頭部用クッションパッド23(側頭部用緩衝部の一例)とが設けられている。額用クッションパッド21は、上部フレーム11に固定されて装着者Fの額付近に当接される。顎用クッションパッド22は、下部フレーム12に固定されて装着者Fの顎付近に当接される。側頭部用クッションパッド23は、左右一対の側部フレーム13の夫々に固定されて装着者Fの両側頭部付近の夫々に当接される。
【0021】
更に、マスク本体10を装着者Fに固定するためのベルト31,32が設けられている。ベルト31としては、プレート部材10Aにおける両側の側頭部側プレート部分10Abを繋ぐ形態で装着者Fの頭部周囲を囲う横ベルト31と、上部フレーム11の額側プレート部分10Aaの中央部と横ベルト31の最後部とを繋ぐ形態で装着者Fの頭頂部に沿わされる縦ベルト32とが設けられている。これらベルト31,32は、例えばゴムバンド等で構成されており、長さ調整用の金具等が適宜設けられている。尚、プレート部材10Aの側頭部側プレート部分10Abに対する横ベルト31の接続位置の高さについては、装着者Fの装着性や安定性を考慮して適宜設定することができ、例えば、上側横ワイヤ10Bbと下側横ワイヤ10Bcとの間の目視用兼鍔挿入用開口部Oが存在する高さの範囲を含むものとすることができる。
【0022】
具体的に、マスク本体10は、板状のプレート部材10Aに対してその前面に棒状のワイヤ部材10Bを固定したものとして構成されている。尚、プレート部材10Aやワイヤ部材10Bの材質については適宜決定することができ、本実施形態では、鋼板製のプレート部材10Aに対して棒鋼製のワイヤ部材10Bを溶接にて固定している。
また、軽量化を図るために、例えばプレート部材10Aをプラスチック製として、当該プレート部材10Aに対して棒鋼製のワイヤ部材10Bをビスや金具にて固定することもできる。プレート部材10Aをプラスチック製とする場合、当該プレート部材10Aを弾性的に可撓なものとすれば、装着時のプレート部材10Aの弾性変形により着用者Fとの密着性を向上することもできる。
【0023】
プレート部材10Aは、額側プレート部分10Aaと、その両端部の夫々から垂下する左右一対の側頭部側プレート部分10Abとを有する逆U字状に形成されている。
額側プレート部分10Aaは、正面視(図1参照)で横長で平面視(図3参照)で装着者Fの額に沿って円弧状に形成されている。左右一対の側頭部側プレート部分10Abの夫々は、正面視(図1参照)で縦長で装着者Fの側頭部に沿って形成されている。
【0024】
一方、ワイヤ部材10Bは、外周環状ワイヤ10Baと、その外周環状ワイヤ10Baの内側において横向きに架設された複数の横ワイヤ10Bb,10Bcと、その外周環状ワイヤ10Baの内側において縦向きに架設された複数の縦ワイヤ10Bd,10Beとを有して構成されている。
外周環状ワイヤ10Baは、正面視(図1参照)で上記プレート部材10Aの内縁部前面を通る環状に構成されている。複数の横ワイヤ10Bb,10Bcとしては、正面視(図1参照)で当該外周環状ワイヤ10Baの左右両側部間に横向きに架設され平面視(図3参照)で装着者Fの顔面に沿う円弧状に形成された上下一対の横ワイヤ10Bb,10Bcが設けられている。複数の縦ワイヤ10Bd,10Beとしては、外周環状ワイヤ10Baの上辺部分と上側横ワイヤ10Bbとを繋ぐ2本の縦ワイヤ10Bdと、外周環状ワイヤ10Baの下辺部分の略中央と下側横ワイヤ10Bcとを繋ぐ1本の縦ワイヤ10Beとが設けられている。
【0025】
マスク本体10における上部フレーム11は、プレート部材10Aの額側プレート部分10Aaと、それに溶接固定された外周環状ワイヤ10Baの上辺部分と、それに縦ワイヤ10Bdを介して連結された上側横ワイヤ10Bbと、を含む範囲内のフレームとして構成されている。そして、上側横ワイヤ10Bbが、上部フレーム11の下縁部11aに相当し、その下縁部11aが目視用開口部Oaの上縁部となる。また、上述した額用クッションパッド21は、プレート部材10Aの額側プレート部分10Aaの裏面に固定されている。
【0026】
マスク本体10における下部フレーム12は、外周環状ワイヤ10Baの下辺部分とそれに対して縦ワイヤ10Beで連結された下側横ワイヤ10Bcとを含む範囲内のフレームとして構成されている。そして、下側横ワイヤ10Bcが、下部フレーム12の上縁部12aに相当し、その上縁部12aが目視用開口部Oaの下縁部となる。また、上述した顎用クッションパッド22は、外周環状ワイヤ10Baの下辺部分の中央部に固定されている。
【0027】
マスク本体10における左右一対の側部フレーム13の夫々は、プレート部材10Aの左右一対の側頭部側プレート部分10Abと、それに溶接固定され外周環状ワイヤ10Baの左右一対の側辺部分とを含む範囲内のフレームとして構成されている。そして、外周環状ワイヤ10Baの左右一対の側辺部分が、左右一対の側部フレーム13の内側縁部に相当し、それら左右一対の内側縁部が目視用開口部Oaの左右一対の両側縁部となる。また、上述した左右一対の側頭部用クッションパッド23は、プレート部材10Aの左右一対の側頭部側プレート部分10Abの夫々の裏面に固定されている。
【0028】
本実施形態に係る球技用顔面保護マスク100は、鍔Ct付きのキャップCを着用しているピッチャーなどの装着者Fでも、良好な視野角の確保とボールからの保護を両立しながら装着可能に構成されている。以下、その詳細構成について説明を加える。
【0029】
マスク本体10は、装着者Fが着用しているキャップCの鍔Ctが挿入可能な鍔挿入用開口部Obを有すると共に、目視用開口部Oaと鍔挿入用開口部Obとは、共通の目視用兼鍔挿入用開口部Oで構成されている。
即ち、目視用兼鍔挿入用開口部Oの横幅は、装着者Fが着用しているキャップCの横幅よりも大きいものに設定されており、目視用兼鍔挿入用開口部Oの縦幅は、キャップCの鍔Ctが挿入された状態であっても装着者Fの必要視野角を確保しえるものとして適切に設定されている。
この構成により、装着者Fが着用しているキャップCの鍔Ctの先端部Ctaよりも顔面に近い後方にマスク本体10が位置することになる。このことで、装着者Fの顔面とマスク本体10との隙間や装着者Fの良好な視野角を確保可能な目視用兼鍔挿入用開口部Oの開口面積をボールの侵入を防止できる程度に小さくすることができる。
更に、共通の目視用兼鍔挿入用開口部Oで構成された目視用開口部Oaと鍔挿入用開口部Obとの境界部にはフレーム部等が存在しないので、一層良好な視野を確保することができる。
【0030】
図2等に示すように、目視用兼鍔挿入用開口部Oの上縁部を規定する上部フレーム11は、当該上部フレーム11の先端部に配置された上側横ワイヤ10Bbを前方に張り出させた庇状に形成されている。即ち、上部フレーム11の先端部に配置されて目視用兼鍔挿入用開口部Oの上縁部を規定する上側横ワイヤ10Bbが、外周環状ワイヤ10Baの上辺部分よりも前方で、目視用兼鍔挿入用開口部Oの下縁部を規定する下側横ワイヤ10Bcと同程度に、前方に張り出して装着者Fの顔面と離されている。この構成により、装着者Fが眼鏡を装着している場合であっても、その眼鏡の上縁部へのボールの衝突が適切に回避される。
【0031】
更に、上部フレーム11は、先端部の上側横ワイヤ10Bbを基端部よりも下方に位置させた前下がりの庇状に形成されている。即ち、上部フレーム11の先端部に配置されて目視用兼鍔挿入用開口部Oの上縁部を規定する上側横ワイヤ10Bbが、外周環状ワイヤ10Baの上辺部分よりも前斜め下側に配置されている。この構成により、目視用兼鍔挿入用開口部Oに挿入されたキャップCの鍔Ctの上に配置される上部フレーム11の基端部側の下方に形成される空間に、キャップCの鍔Ctの基端側Ctbが余裕を持って収容されることになる。よって、キャップCの鍔Ctの基端側Ctbと上部フレーム11との干渉が適切に抑制されている。尚、目視用兼鍔挿入用開口部Oを通じた視野角を適切に確保しながらキャップCとの干渉を適切に回避し得る範囲内において、上部フレーム11を前下がりではなく略水平に張り出す状態に形成しても構わない。
【0032】
平面視(図3参照)において、上部フレーム11の下縁部11aを構成する上側横ワイヤ10Bbは、下部フレーム12の上縁部12aを構成する下側横ワイヤ10Bcよりも若干後方に引退した位置に配置されている。このことで、装着者Fが着用しているキャップCの鍔Ctの上下移動幅が適切に確保されている。尚、平面視における上側横ワイヤ10Bbと下側横ワイヤ10Bcとの前後方向の配置関係は、これらの間に形成される目視用兼鍔挿入用開口部Oを通じた前方への良好な視野角の確保とボールの侵入防止とを実現しえる範囲内において適宜変更可能である。
【0033】
球技用顔面保護マスク100は、マスク本体10に取り付けられた額用クッションパッド21と顎用クッションパッド22と側頭部用クッションパッド23とを装着者Fの額と顎と側頭部とに当接させた状態で装着される。このことで、装着者Fの顔面前方に位置するマスク本体10及びそれに形成された目視用兼鍔挿入用開口部Oの姿勢が安定する。よって、目視用兼鍔挿入用開口部OにおいてキャップCの鍔Ctが挿入される領域をできるだけ狭くして、目視用兼鍔挿入用開口部Oにおいて装着者Fの視野角を確保するための領域を広くとることができる。
【0034】
本実施形態の球技用顔面保護マスク100では、左右一対の側部フレーム13の内寸(左右一対の側頭部側プレート部分10Abの内寸)が、キャップCの鍔Ctの基端側Ctbの横幅よりも大きくなり、装着者Fの側頭部と側部フレーム13との距離が広くなる。そこで、側頭部側プレート部分10Abの裏面に固定された側頭部用クッションパッド23の厚みは、比較的大きくして、当該側頭部用クッションパッド23が適切に装着者Fの側頭部に当接されるように設定されている。尚、側頭部側プレート部分10Abの位置や側頭部用クッションパッド23の厚み等については、着用者Fとの密着性を考慮して適宜設定することができる。例えば、本実施形態では、側頭部側プレート部分10Abを比較的前方に配置して比較的厚みのある側頭部用クッションパッド23を用いて装着者Fの側頭部との密着性を確保したが、例えば側頭部側プレート部分10Abを装着者Fの側頭部において最も外側に位置する部分に近づくようにできるだけ後方に配置して比較的薄い側頭部用クッションパッド23で装着者Fの側頭部との密着性を確保できるように構成しても構わない。
【0035】
プレート部材10Aの額側プレート部分10Aaは、装着者Fが着用するキャップCの鍔Ctの基端側Ctbよりも上方に位置する。よって、その裏面に固定された額用クッションパッド21は、装着者Fが着用するキャップCを間に挟んで装着者Fの額の上方部に当接するように設けられている。また、額用クッションパッド21の厚みについても、当該額用クッションパッド21が適切に装着者Fの額の上方部に当接されるように設定されている。尚、額側プレート部分10Aaの位置や額用クッションパッド21の厚み等については、着用者Fとの密着性を考慮して適宜設定することができる。
【0036】
図4及び図5に示すように、額用クッションパッド21に対して夫々の側頭部用クッションパッド23は略L形に連続的に配置されている。そして、側頭部用クッションパッド23には、装着者Fが着用しているキャップCの鍔Ctの基端側Ctbの側縁部が侵入可能な凹部23aが形成されている。この構成により、装着者Fが着用しているキャップCの鍔Ctと側頭部用クッションパッド23との干渉が適切に抑制されている。尚、キャップCの鍔Ctとクッションパッド23等との干渉が問題にならない場合には、この凹部23aについては適宜省略することができる。
【0037】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0038】
(1)本実施形態では、本発明に係る球技用顔面保護マスクを、ソフトボールや野球などでピッチャーを含む野手が装着する顔面保護マスクとして構成したが、他のスポーツで用いるように構成しても構わない。
【0039】
(2)本実施形態では、目視用開口部Oaと鍔挿入用開口部Obとを共通の目視用兼鍔挿入用開口部Oで構成したが、これらを目視用開口部Oaと鍔挿入用開口部Obとを別の開口部で構成しても構わない。
【0040】
(3)本実施形態では、マスク本体10において、目視用兼鍔挿入用開口部Oの上縁部を規定する上部フレーム11を前下がりの庇状に張り出すものとして形成したが、当該上部フレームの形状については適宜変更可能であり、例えば上部フレームを、前下がりではなく略水平又は前上がりの庇状に張り出すものとして形成したり、庇状に張り出さないものとして構成しても構わない。
【0041】
(4)本実施形態では、装着者Fの顔面の所定部分に当接される緩衝部として、額用クッションパッド21と顎用クッションパッド22と左右一対の側頭部用クッションパッド23とを設けたが、装着者Fの顔面に対する緩衝部としてクッションパッドの当接部位については適宜変更可能であり、例えば、これらクッションパッド21,22,23の一部を省略しても構わない。
【0042】
(5)本実施形態では、マスク本体10を金属製のものとして構成したが、例えばプレート部材10Aとワイヤ部材10Bとを樹脂で一体成型して、マスク本体を樹脂製のものとして構成しても構わない。
【符号の説明】
【0043】
10 マスク本体
11 上部フレーム
12a 上縁部
21 額用クッションパッド(額用緩衝部)
22 顎用クッションパッド(顎用緩衝部)
23 側頭部用クッションパッド(側頭部用緩衝部)
23a 凹部
100 球技用顔面保護マスク
C キャップ
Ct 鍔
Ctb 基端側
F 装着者
O 目視用兼鍔挿入用開口部
Oa 目視用開口部
Ob 鍔挿入用開口部
図1
図2
図3
図4
図5