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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043143
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】車載電力供給網
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/52 20200101AFI20240322BHJP
【FI】
G01R31/52 ZHV
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148161
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金川 信康
(72)【発明者】
【氏名】中野 洋
(72)【発明者】
【氏名】福田 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】十文字 賢太郎
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA03
2G014AA04
2G014AB29
2G014AB33
(57)【要約】
【課題】直流電流を利用する車載電力供給網であって、故障の発生を迅速に検知可能な車載電力供給網を提供する。
【解決手段】本発明に係る車載電力供給網は、車両内の複数のノードを経由して該車両に搭載された負荷に電力を供給する車載電力供給網であって、複数のノードは、電力を送出する第1ノード及び第1ノードから送出された電力を受け取る第2ノードを含み、第1及び第2ノード間は、電力が供給される電力線、及び電力に関する情報が伝送される信号線によって接続され、第1及び第2ノードの各々は、電力線を経由して自ノードに出入りする電流値を計測する電流計測部、信号線と自ノードとの間で電流値に比例した電流の入出力を行う電流入出力部、及び信号線の電位を計測する電位計測部を有し、信号線は抵抗を介して終端電位に終端されており、該信号線の電位が終端電位と異なる場合に、車載電力供給網内のいずこかに異常が生じていると診断される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の複数のノードを経由して該車両に搭載された負荷に電力を供給する車載電力供給網であって、
前記複数のノードは、電力を送出する第1ノード及び該第1ノードから送出された電力を受け取る第2ノードを含み、
前記第1及び第2ノード間は、電力が供給される電力線、及び前記電力に関する情報が伝送される信号線によって接続され、
前記第1及び第2ノードの各々は、前記電力線を経由して自ノードに出入りする電流値を計測する電流計測部、前記信号線と自ノードとの間で前記電流値に比例した電流の入出力を行う電流入出力部、及び前記信号線の電位を計測する電位計測部を有し、
前記信号線は抵抗を介して終端電位に終端されており、該信号線の電位が前記終端電位と異なる場合に、前記車載電力供給網内のいずこかに異常が生じていると診断される、
ことを特徴とする車載電力供給網。
【請求項2】
請求項1に記載の車載電力供給網であって、
前記電流計測部及び前記電流入出力部は演算増幅器から構成される、
ことを特徴とする車載電力供給網。
【請求項3】
請求項1に記載の車載電力供給網であって、
前記終端電位及び前記抵抗はテブナン終端により構成される、
ことを特徴とする車載電力供給網。
【請求項4】
請求項1に記載の車載電力供給網であって、
前記第1及び第2ノード各々の前記電位計測部は、前記信号線が前記終端電位と終端されている位置より自ノード側における該信号線の電位を計測する、
ことを特徴とする車載電力供給網。
【請求項5】
請求項4記載の車載電力供給網であって、
前記第1及び第2ノードは、互いに計測した前記信号線の電位をネットワークを介して交換する、
ことを特徴とする車載電力供給網。
【請求項6】
請求項5に記載の車載電力供給網であって、
交換された前記第1及び第2ノードの前記信号線の電位が異なる場合には、前記信号線、前記電流計測部、及び前記電流入出力部のいずれかが異常であると診断される、
ことを特徴とする車載電力供給網。
【請求項7】
請求項5に記載の車載電力供給網であって、
前記第1及び第2ノードは、計測した前記信号線の電位を符号化して、前記信号線に重畳して伝送する、
ことを特徴とする車載電力供給網。
【請求項8】
請求項1に記載の車載電力供給網であって、
前記ノードは電子制御ユニットであり、
前記電子制御ユニットは前記電流計測部と、前記電流入出力部と、前記電子制御ユニットに接続された前記電力線への電流を開閉する第1開閉器と、前記電子制御ユニットに接続された負荷への電流を開閉する第2開閉器と、制御回路とを有し、
前記制御回路は前記第1及び第2開閉器を制御する、
ことを特徴とする車載電力供給網。
【請求項9】
請求項8記載の車載電力供給網であって、
前記制御回路は、複数の経路から電源を供給される、
ことを特徴とする車載電力供給網。
【請求項10】
請求項8に記載の車載電力供給網であって、
前記信号線に異常が生じたと診断された場合、該信号線が接続された前記電子制御ユニットの前記制御回路は、該電子制御ユニットの前記第1開閉器を開放状態にする、
ことを特徴とする車載電力供給網。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力供給網にかかり、特に、電動化自動車に好適な車載電力供給網に関する。
【背景技術】
【0002】
今世紀初頭より、電動パワーステアリングや電動ブレーキなどの自動車の補機の電動化が進展してきた。さらに近年になって、ハイブリッド車や電気自動車に代表されるように主機の電動化も進んでいる。また自動運転化も進み、今後は自動車に故障が生じた場合でも人間の介在なしに自動車自身によって自律的、自動的に動作することが求められるようになる。以上のような背景から、自動車の電動化、自動化を支える車載電力供給網の高性能化及び信頼性(故障時動作継続性)向上が求められるようになってきている。
【0003】
車体に配置された電子コントロールユニット(ゾーンECU)を多段経由するデイジーチェーン/リングトポロジー構成を有する車載電力供給網の故障時動作継続のためには、故障がどの区間(どのゾーンECU間)で発生したかを検出し、該当区間を遮断、迂回させる処置が必要である。なお、本明細書における「故障」は、配線が電力源に短絡する「天絡」、及び配線がグランド電位(GND)に短絡する「地絡」を意味するものである。
【0004】
故障が発生している区間を特定するために、例えば特許文献1には、当該区間の電力送出側と受取側とで、送出電流と受取電流が一致しているかを検出する差動電流法が開示されている。この技術によれば、当該区間で故障が発生していない場合には送出電流と受取電流が一致するが、故障が発生すると送出電流と受取電流が一致しなくなるため、故障の発生を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-90257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1においては、カレントトランスにより電流を検出し、リレーにより異常を判定しているため、その適用範囲は商用電源で主流である交流電流に限られ、現在車載電力供給網で主流である直流電流に対しては適用できない。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、直流電流を利用する車載電力供給網であって、故障の発生を迅速に検知可能な車載電力供給網を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る車載電力供給網は、車両内の複数のノードを経由して該車両に搭載された負荷に電力を供給する車載電力供給網であって、複数のノードは、電力を送出する第1ノード及び第1ノードから送出された電力を受け取る第2ノードを含み、第1及び第2ノード間は、電力が供給される電力線、及び電力に関する情報が伝送される信号線によって接続され、第1及び第2ノードの各々は、電力線を経由して自ノードに出入りする電流値を計測する電流計測部、信号線と自ノードとの間で電流値に比例した電流の入出力を行う電流入出力部、及び信号線の電位を計測する電位計測部を有し、信号線は抵抗を介して終端電位に終端されており、該信号線の電位が終端電位と異なる場合に、車載電力供給網内のいずこかに異常が生じていると診断される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、直流電流を利用する車載電力供給網において、故障の発生を迅速に検知することが可能になる。
本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1に係る、車載電力供給網の基本的構成を示す図。
図2】車載電力供給網内に故障が生じてから故障個所を特定するまでに実行する診断の時間的経過の一例を示す図。
図3】生じた故障の種類とセンス線の電位との関係を示すグラフ。
図4】終端をテブナン終端とした、実施例2に係る車載電力供給網の構成を示す図。
図5】テブナン終端をECU200-1に内蔵した構成を示す図。
図6】テブナン終端をECU200-2に内蔵した構成を示す図。
図7】車載電力供給網内のネットワーク通信を多重化した、実施例3に係る車載電力供給網の構成を示す図。
図8】CANのRecessive電圧で電位を伝送する場合の電位の変化を示すグラフ。
図9】CANのRecessive電圧で電位を伝送する場合に採用される構成の一例を示す図。
図10】電力線を分岐させてECU200-3を追加した、実施例4に係る車載電力供給網の構成を示す図。
図11】電流計測部及び電流入出力部の詳細な構成を示す、実施例5に係る車載電力供給網の構成を示す図。
図12図11の構成に、電流増幅回路を追加した構成を示す図。
図13】電力供給を冗長給電とした、実施例6に係る車載電力供給網の構成を示す図。
図14】実施例6に係る車載電力供給網の変形例を示す図。
図15】実施例6に係る車載電力供給網の他の変形例を示す図。
図16】自動車に搭載された4つのECUに対して適用される、実施例7に係る車載電力供給網の構成を示す図。
図17図16の構成において、故障が生じた個所と、スイッチの開閉状況との関係を示す図表。
図18】実施例7に係る車載電力供給網の変形例。
図19】自動車に搭載された4つのECUに対して適用される、実施例8に係る車載電力供給網の構成を示す図。
図20図19の構成において、故障が生じた個所と、スイッチの開閉状況との関係を示す図表。
図21】実施例8に係る車載電力供給網の変形例。
図22】半導体によるスイッチの種類を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図に従い、本発明の実施例について説明する。
【0012】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る、車載電力供給網の基本的構成を示す図である。
実施例1に係る車載電力供給網1は、不図示の電力源から複数のECUを介して車両に搭載された負荷(不図示)に電力を供給するものである。車載電力供給網1は、電力を送出するECU200-1、及びECU200-1から送出された電力を受け取るECU200-2を含む。ECU200-1、ECU200-2間は、電力が供給される電力線20及び電力に関する情報が伝送されるセンス線21によって接続されている。
【0013】
ECU200-1には電力線20を介して送出される電流Ioutを計測する電流計測部201-1、計測した電流Ioutに比例した電流Is1=K×Ioutをセンス線21に流す電流入出力部202-1を備えている。ここでKは所定の比例定数である。ECU200-2も同様に、電力線20を介して受け入れる電流Iinを計測する電流計測部203-2、及び電流Iinに比例した電流Is2=K×Iinをセンス線21から受け入れる電流入力部204-2を備えている。なお、図1においてはECU200-1からECU200-2に向かって電流が流れる構成となっているが、これとは逆にECU200-2からECU200-1に向かって電流が流れる構成としてもよい。その場合、センス線21を流れる電流はECU200-2の電流入力部204-2から出力されてECU200-1の電流入出力部202-1に入力されることになる。したがって、以後ではこれらの区別はせず、電流入出力部と総称する。
【0014】
さらにセンス線21は抵抗器Rを介して電位VAGに終端されている。また、電力供給網1には、任意の位置における電位を測定可能な電位測定器、及び電圧源、ECU、電位測定器の動作を制御するためのCPU(Central Processing Unit)が接続されている(いずれも不図示)。
【0015】
ここで、センス線21の電位をVs、抵抗Rを介して流入する電流をiとすると、
i=(VAG-Vs)/R・・・(1)
式(1)より
Vs=VAG-R×i・・・(2)
点Aにおける電流のキルヒホッフの法則により、
i+K×Iout-K×Iin=0・・・(3)
式(3)より
i=K×Iin-K×Iout・・・(4)
式(4)を式(2)に代入すると、
Vs=VAG-R×K(Iin-Iout)・・・(5)
となる。
【0016】
式(5)より、センス線21の電位Vsには受入電流と送出電流の差(Iin-Iout)の情報が含まれ、両者が等しい、すなわちIin=Ioutの時には、Vs=VAGとなることがわかる。
【0017】
なお、ここでKの値は実際に対象とするIin、Ioutに対して、Is1、Is2の値が情報共有に適切な範囲となるように設定する。例えば、K=10-3とすれば数AのIin、Ioutに対してIs1、Is2の値は数mAの範囲、K=10-4とすれば数十AのIin、Ioutに対してIs1、Is2の値は数mAの範囲、K=10-5とすれば数百AのIin、Ioutに対してIs1、Is2の値は数mAの範囲となり、Is1、Is2によるノイズ発生の問題もない範囲となる。VAG及びRの値はVsの値が計測に便利な範囲となるように設定をする。例えば、回路全体の正電源電圧Vccを5Vとした回路で計測する場合にはVAG=Vcc/2=2.5[V]程度とするのが良い。
【0018】
するとこの時、
VAG=Vcc/2・・・(6)
式(6)を式(5)に代入すると、
Vs=(Vcc/2)-R×K(Iin-Iout)・・・(5)’
となる。
【0019】
このときR=10とすれば、数Aの電流差(Iin-Iout)に対して、Vs=(Vcc/2)±数Vの電圧範囲となる。
【0020】
なお、上述の通り図1の構成とは逆に電流がECU200-2からECU200-1の方向に流れる場合もIout、Iinの向き(符号)が逆になるだけで、以上の動作が成り立つ。
【0021】
図2は車載電力供給網内に故障が生じてから故障個所を特定するまでに実行する診断の時間的経過の例を示す図である。具体的には、故障発生→故障検出→遮断切替→ネットワーク通信→故障個所特定の流れを示したものである。まずPhase1では故障の発生がECU200-1、ECU200-2に接続されたセンス線21の電位Vs1、Vs2の異常として検出される。そして、電力線20が遮断切替され、電力線20及びECU200-1、ECU200-2内の回路を過電流による発熱、破壊、発火から防止し保護する。続いてPhase2ではECU200-1、ECU200-2の間でネットワーク通信によりそれぞれが計測したセンス線21の電位Vs1、Vs2を交換する。このようにして両者が検知したセンス線21の電位Vs1、Vs2を共有することで、以下に述べるようにPhase3で故障個所を特定することが可能になる。
【0022】
図3は、Phase3での故障個所を特定する診断に用いる、生じた故障の種類とセンス線の電位との関係を示すグラフである。縦軸はECU200-1で計測したセンス線21の電位Vs1、横軸はECU200-2で計測したセンス線21の電位Vs2である。車載電力供給網1内に故障が生じておらずすべてが正常な場合にはVs1、Vs2共にほぼVAG(=Vcc/2)と等しい値をとる。
【0023】
電力線地絡の場合には系全体のインピーダンスが低下していくため、センス線21に流れ込む電流は大きくなる。従って、Vs1、Vs2共にVcc/2よりも大きい領域(1)の値をとる。電力線天絡の場合には逆に系全体のインピーダンスが増加していくため、センス線21に流れ込む電流は小さくなる。したがって、Vs1、Vs2共に領域(2)のVcc/2よりも小さい値をとる。
【0024】
ECU200―1のVs1検出回路が故障した場合には、領域(3)の、Vs2はほぼVcc/2と等しい値で、Vs1はVcc/2と異なる値をとる。ECU200-2のVs2検出回路が故障した場合には、領域(4)の、Vs1はほぼVcc/2と等しい値で、Vs2はVcc/2と異なる値をとる。
【0025】
電位VAGがセンス線21に接続されている位置よりECU200-1側の位置、例えば図1の点Bでセンス線が断線した場合には、Vs1は抵抗Rで終端されていないためにIs1によりVccに振り切れ、Vs2は抵抗Rで終端されているために電流入出力部204-2が片側電源(Vcc~0V)により駆動される場合には0V、両電源(Vcc~-Vcc)により駆動される場合にはIs2に比例して-Is2×Rとなる(領域(5))。電位VAGがセンス線21に接続されている位置よりECU200-2側の位置、例えば図1の点Cでセンス線が断線した場合には、Vs1は抵抗Rで終端されているためにIs1に比例してIs1×Rなる値となり、Vs2は抵抗Rで終端されていないために電流入出力部204-2が片側電源(Vcc~0V)により駆動される場合には0V、両電源(Vcc~-Vcc)により駆動される場合には-Vccとなる(領域(6))。
【0026】
以上説明したような原理により、ECU200-1、ECU200-2間に接続されたセンス線21の電位を計測するだけで、直流電流を使用する車載電力供給網1内に生じた故障の発生個所を迅速に特定することが可能になり、当該故障個所を迂回するように遮断し、系全体を保護することが可能になる。
【0027】
[実施例2]
図4は、実施例2に係る車載電力供給網1の構成を示す図である。本実施例に係る車載電力供給網1は、センス線21の終端がテブナン終端とされている点で実施例1に係る車載電力供給網1と異なる。本実施例においては、センス線21はグランド電位GND、及び正電源電圧Vccにそれぞれ抵抗2Rで終端することにより、テブナンの定理により電位Vcc/2に抵抗Rで終端したのと等価な回路となる。本実施例によれば、実施例1のように、終端電位VAG=Vcc/2のための電源(電圧源)を正電源電圧Vccと別個に設ける必要がないため、回路構成をより簡単にすることができる。
【0028】
なお、図4においては、テブナン抵抗はECU200-1とECU200-2との間のセンス線21に設けていたが、図5図6に示すように、終端部をECU200-1、ECU200-2のいずれかに内蔵させても良い。図5は終端部をECU200-1に、図6は終端部をECU200-2に内蔵させた実施例である。
【0029】
[実施例3]
図7は、内部のネットワーク通信を多重化した、実施例3に係る車載電力供給網1の構成を示す図である。本実施例に係る車載電力供給網1は、ECU200-1、ECU200-2にネットワークトランシーバー206-1、206-2がそれぞれ内蔵されている。これらのネットワークトランシーバー206-1、206-2は、図2で説明した、Phase 2でのECU200-1、ECU200-2の間でのVs1、Vs2の共有のための通信線として使用することができる。
【0030】
なお、Vs1、Vs2の共有のための双方向通信の方法としては以下の方法があげられる。
■ベースバンド伝送:
・TDMA(Time Division Multiple Access)
■変調波伝送:
・TDMA(Time Division Multiple Access)
・FDMA(Frequency Division Multiple Access)
・CDMA(Code Division Multiple Access)
【0031】
図8図9はそれぞれネットワークトランシーバー206-1、206-2を用いてセンス線21を利用したネットワーク通信にCAN(Control Area Network)を用い、電位VsをRecessive時の電圧として伝送する場合の電位の変化及び構成を示す図である。CANのRecessive時の電圧は通常2.5V程度であるが、Recessive時の電圧をVsとすることによりセンス線21に接続しているECU200-1、ECU200-2でVsをVs1、Vs2として共有することができる。
【0032】
図9において、Dominant時にはCANトランシーバー206-1、206-2のCANH端子についてはVccに接続されたトランジスタがONとなりCANL端子はGNDに接続されたトランジスタがONとなる。またRecessive時にはCANトランシーバー206-1、206-2のCANH端子についてはVccに接続されたトランジスタがOFFとなりCANL端子はGNDに接続されたトランジスタがOFFとなり電圧は通常2.5V程度となる。しかし電流入出力部202-1からの電流Is1、電流入出力部204-2からの電流Is2と終端抵抗により式(5)’に従い電位はVsとなる。
【0033】
この場合、図8に示すようにRecessive時には差動電圧が0.5V未満、Dominant時には差動電圧が0.9Vを超えるのでCANの通信自体に影響を与えることなくVsを伝送することができる。
【0034】
本実施例によれば、ECU200-1、ECU200-2それぞれにおけるRecessive時の電圧Vsにより図2のPhase1の検出→遮断切替をし、CANをPhase2のネットワーク通信に用いてPhase3の故障個所特定に用いることができる。
【0035】
[実施例4]
図10は電力線20を分岐させてECU200-3を追加した、実施例4に係る車載電力供給網の構成を示す図である。電力線20と同じトポロジーを有するセンス線21を介してECU200-1、ECU200-2、ECU200-3に出入りする電流についてのキルヒホッフの法則は電力線20を介してECU200-1、ECU200-2、ECU200-3に出入りする電流についてのキルヒホッフの法則と同様に成り立つので、本実施例のように枝分かれしている場合においても実施例1に示す動作は同様に成り立つ。また本実施例では電力線20が2本に枝分かれしている場合を示しているが、何本に枝分かれした場合でも電力線20と同じトポロジーを有するセンス線21を介して複数のECUから出入りする電流についてのキルヒホッフの法則は電力線20を介して複数のECUから出入りする電流についてのキルヒホッフの法則と同様に成り立つので、実施例1に示す動作は同様に成り立つ。
【0036】
[実施例5]
図11は、電流計測部201-1、203-2及び電流入出力部202-1、204-2の詳細な構成を示す、実施例5に係る車載電力供給網の構成を示す図である。
【0037】
電流計測部201-1、電流入出力部202-1において、ECU200-1から出力される電流Ioutはシャント抵抗Rsoutにより計測される。この時、シャント抵抗Rsoutの両端の電圧差はIoutxRsoutとなる。シャント抵抗Rsoutの両端の電圧はそれぞれ入力抵抗Riを介して演算増幅器OAの+入力端子、-入力端子に接続される。演算増幅器OAの出力は別のシャント抵抗Rsoを介してセンス線21に出力される。ここで、シャント抵抗Rsoは演算増幅器OAからの出力電流を計測するために設けられているものであり、シャント抵抗Rsoの両端の電圧差はIs1xRsoとなる。シャント抵抗Rsoの両端の電圧はそれぞれフィードバック抵抗Rfを介して演算増幅器OAの+入力端子、-入力端子に接続される。ここで、演算増幅器OAの+入力端子、-入力端子間の電位差[(Vin+)-(Vin-)]について考えると、
(Vin+)-(Vin-)=(Rf×Iout×Rsout-Ri×Is1×Rso)/(Rf+Ri)・・・(7)
となる。
【0038】
ここで演算増幅器OAの利得は理想的には無限大であるため、(Vin+)-(Vin-)→0となるように出力端子から電圧を出力するように動作する。したがって、式(7)の左辺=0とおくと、
Is1=Rf×Iout×Rsout/Ri×Rso・・・(8)
K=Is1/Iout=Rf×Rsout/(Ri×Rso)・・・(9)
となる。
【0039】
ECU200-2側の電流計測部203-2、電流入出力部204-2についても同様にして、
K=Is2/Iin=Rf×Rsin/(Ri×Rso)・・・(10)
となる。
【0040】
図12は、図11に示した構成に加えて、演算増幅器OAの後段に電流増幅回路を付加した実施例である。演算増幅器OAの出力電流は通常25mA程度であるが、電流増幅回路を付加することによりこれを上回る電流をセンス線21に出力することが可能となる。この場合でも出力電流Is1、Is2はシャント抵抗Rsoで計測されて演算増幅器OAにフィードバックされるので、式(7)~式(10)に示す通りの動作をする。
【0041】
[実施例6]
図13は本発明を実施するためのECU200-1、200-2の実施例である。ECU200-1はスイッチSW1、SW2を介して他のECU200-2と電力線20経由で接続し、さらにスイッチSW11を介して負荷40-1に接続している。また、スイッチSW12を介して他のECU200-2の制御機能210-2とも接続されている。制御機能210-1はセンス線の電位Vs1、Vs2をもとに、スイッチSW1、SW2、SW11、SW12を制御する。制御機能210-1にはダイオードOR(DOR)経由でスイッチSW1、SW2の接続点及び、外部電源から電源が供給される。以上のような電源構成により、故障時にスイッチSW1、SW2を遮断した場合でも、外部電源から電源が供給されるため、スイッチSW1、SW2、SW11、SW12の制御を継続させることができる。
【0042】
ECU200-2も同様にスイッチSW3、SW4を介して他のECUと電力線20経由で接続し、さらにスイッチSW21、SW22を介して負荷40-3、40-4に接続されている。制御機能210-2はセンス線の電位Vs1、Vs2をもとに、スイッチSW3、SW4、SW21、SW22を制御する。制御機能210-2にはダイオードOR(DOR)経由でスイッチSW3、SW4の接続点及び、外部電源(ECU200-1)から電源が供給される。以上のような電源構成により、故障時にスイッチSW3、SW4を遮断した場合でも、外部電源(ECU200-1)から電源が供給されるため、スイッチSW3、SW4、SW21、SW22の制御を継続させることができる。
【0043】
図14は、ECU200-2内の制御機能210-2にダイオードOR(DOR)経由でECU200-1に接続する電力線20-12及び他の電源に接続された電力線20-23から電源が供給される実施例である。以上のような電源構成により、故障時にスイッチSW3、SW4を遮断した場合でも、電力線20-12または電力線20-23から電源が供給されるため、スイッチSW3、SW4、SW21、SW22の制御を継続させることができる。
【0044】
図15はECU200-2内の制御機能210-2にはダイオードOR(DOR)経由でスイッチSW3、SW4の接続点及び、外部電源(ECU200-3)から電源が供給される実施例である。以上のような電源構成により、故障時にスイッチSW3、SW4を遮断した場合でも、SW3を介して電源が供給されるECU200-1とは別系統の外部電源(ECU200-3)から電源が供給されるため、スイッチSW3、SW4、SW21、SW22の制御を継続させることができる。
【0045】
[実施例7]
図16図22に上記説明した電力供給網を車両に搭載した場合の実施例を示す。
図16は、電力源100-1からECU200-1に電力が供給され、電力源100-2からECU200-3に電力が供給され、ECU200-1とECU200-3とは電力線20-13経由で接続され、ECU200-1からさらにECU200-2に電力線20-12経由で電力が供給され、ECU200-3からさらにECU200-4に電力線20-34経由で電力が供給される実施例である。なお、説明を簡略化するため特に説明が必要な構成要素にのみ符号を付して説明する。
【0046】
ECU200-1にはスイッチSW1経由で電力源100-1から電力が供給されスイッチSW2及び電力線20-12経由でECU200-2に電力が供給され、SW9及び電力線20-13経由でECU200-3に接続される。ECU200-2には、スイッチSW3経由でECU200-1から電力が供給される。
【0047】
ECU200-3にはスイッチSW5経由で電力源100-2から電力が供給されSW5及び電力線20-34経由でECU200-4に電力が供給され、スイッチSW10及び電力線20-13経由でECU200-1に接続される。ECU200-4には、スイッチSW7経由でECU200-3から電力が供給される。
【0048】
なお、電力線20-12、20-13、20-34にはそれぞれ電流情報を共有するための信号線であるセンス線(不図示)が併設され、本発明が提供する方法により電力線20-12、20-13、20-34における故障を検出する。
【0049】
電力源100-1はDC/DCコンバータで、図示しない主機駆動用バッテリー並びに主機(モータ/ジェネレータ)に接続されている。車両がハイブリッド自動車の場合には主機はエンジンに機械的に接続されており、車両が電動自動車の場合には主機駆動用バッテリーは充電器または充電器との接続端子に接続されている。通常時は主機駆動用バッテリーまたは主機(モータ/ジェネレータ)からの回生電力は電力源100-1のDC/DCコンバータで補機駆動用電圧に変換され、ECU200-1に供給される。
【0050】
電力源100-2は補機駆動用バッテリーで、通常はECU200-1、ECU200-3経由で電力源100-1の出力によりフローティング充電される。
【0051】
本実施例における各スイッチの動作を図17に示す。Case0は故障個所がない(正常な)場合で、すべてのスイッチはONとなりすべての負荷に電力が供給される。なお、ステアリングECU200-5、自動運転ECU200-6にはダイオードOR経由で電力が供給され、電動ブレーキECU(BK ECU)200-7~200-10にも各スイッチ経由で電力が供給される。
【0052】
Case1は電力線20-12で故障が発生した場合である。故障は図1~3を用いて説明した本発明の原理により検出され、スイッチSW2、SW3がOFFとなり電力線20-12が切り離される。なお、この時ECU200-2への電力供給は遮断され、負荷40-21への電力供給も遮断される。
【0053】
Case2は電力線20-13で故障が発生した場合である。故障は本発明の原理により検出され、スイッチSW9、SW10がOFFとなり電力線20-13が切り離される。なお、この時電力源100-2であるバッテリーは電力源100-1から遮断されるため、フローティング充電されなくなる。
【0054】
Case3は電力線20-34で故障が発生した場合である。故障は本発明の原理により検出され、スイッチSW6、SW7がOFFとなり電力線20-34が切り離される。なお、この時ECU200-4への電力供給は遮断され、負荷40-41、後輪の電動ブレーキECU(BK ECU)200-8、200-10への電力供給は遮断される。この時、図18に示すように電力源100-2であるバッテリーをECU200-4に接続することにより、電力線20-34で故障が発生した場合でも、ECU200-4、負荷40-41、後輪の電動ブレーキECU(BK ECU)200-8、200-10への電力供給は継続される。なお、通常は重要な負荷は車体の前方に集中していることが多いため、図16に示すように電力源100-2であるバッテリーをECU200-3に接続することの方が望ましい。
【0055】
Case4は電力源100-1で故障が発生した場合である。故障は電力源100-1の出力を監視することや、電力源100-1の自己診断機能により検出され、スイッチSW1がOFFとなり電力源100-1が切り離される。なおこの時、フローティング充電されていた電力源100-2の出力により車載電力供給網全体に電力は供給される。
【0056】
Case5は電力源100-2で故障が発生した場合である。故障は電力源100-2の出力を監視することや、電力源100-2の自己診断機能により検出され、スイッチSW5がOFFとなり電力源100-2が切り離される。なおこの時、電力源100-1の出力により車載電力供給網全体に電力は供給される。
【0057】
[実施例8]
図19図16の構成に対してさらにECU200-2とECU200-4の間をスイッチSW4、SW8を経由して電力線20-24で接続した実施例である。本実施例のスイッチSWの動作例を図20に示す。なお、図20は、図17に示す動作例に加えて電力線20-24の両端に設けられたスイッチSW4、SW8の制御が加わったものである。
【0058】
故障個所がない(正常な)場合には、すべてのスイッチはOFFされる必要がなくすべての負荷に電力が供給されるが、その場合であってもCase0A、0Bの2つのオプションが存在する。Case0Aに示すようにスイッチSW9、SW10をONとして電力線20-13を介してECU200-1とECU200-3を接続している場合には、ECU200-2とECU200-4を結ぶ電力線20-24に接続するSW4、SW8はONでもOFFでも構わない。また、Case0Bに示すようにスイッチSW4、SW8をONとして電力線20-24を介してECU200-2とECU200-4を接続している場合には、ECU200-1とECU200-3を結ぶ電力線20-13に接続するSW9、SW10はONでもOFFでも構わない。なお表中、“*”はdon’t careすなわち、ONでもOFFでも構わないことを表す。
【0059】
Case1~3については、図17に示した各Caseと同様であり、説明を省略する。
【0060】
電力源100-1で故障が発生した場合には、Case4A、4Bの2つのオプションがある。Case4AのようにスイッチSW9、SW10をONにして電力線20-13を介してECU200-1とECU200-3を接続している場合には、ECU200-2とECU200-4を結ぶ電力線20-24に接続するSW4、SW8はONでもOFFでも構わない。また、Case4Bに示すようにスイッチSW4、SW8をONとして電力線20-24を介してECU200-2とECU200-4を接続している場合には、ECU200-1とECU200-3を結ぶ電力線20-13に接続するSW9、SW10はONでもOFFでも構わない。なおこの時、電力源100-2の出力により車載電力供給網全体に電力は供給される。
【0061】
同様に、電力源100-2で故障が発生した場合には、Case5A、5Bの2つのオプションがある。Case5AのようにスイッチSW9、SW10をONにして電力線20-13を介してECU200-1とECU200-3を接続している場合には、ECU200-2とECU200-4を結ぶ電力線20-24に接続するSW4、SW8はONでもOFFでも構わない。また、Case5Bに示すようにスイッチSW4、SW8をONとして電力線20-24を介してECU200-2とECU200-4を接続している場合には、ECU200-1とECU200-3を結ぶ電力線20-13に接続するSW9、SW10はONでもOFFでも構わない。なおこの時、電力源100-1の出力により車載電力供給網全体に電力は供給される。
【0062】
Case6は電力線20-24で故障が発生した場合である。故障は本発明の原理により検出され、スイッチSW4、SW8がOFFとなり電力線20-24が切り離される。ECU200-2、ECU200-4へはそれぞれ電力線20-12、20-34経由で電力が供給される。
【0063】
以上述べたようにECU200-2とECU200-4の間をスイッチSW4、SW8を経由して電力線20-24で接続することにより、電力線20-12、電力線20-13、電力線20-34のいずれかに故障が発生しても負荷への電源供給を継続させることができるので、図21に示すように電力源100-2からステアリングECU200-5及び自動運転ECU200-6に電力を供給するためのダイオードORを省略することも可能である。
【0064】
なお、[実施例7]では電力源100-2への配線及び電力線20-13のみ電流が双方向に流れるので、スイッチSW5、SW9、SW10を半導体スイッチで実現する場合には双方向の電流を制御できるように図22(b)に示すように極性が逆向きの素子を接続する必要がある。その他の電力線20-12、電力線20-34は単一方向に電流が流れるのでそれ以外のSWは図22(a)に示すように単一の極性の素子でよい。また、[実施例8]では電力源100-2への配線及びすべての電力線20-12、電力線20-13、電力線20-34、電力線20-24には電流が双方向に流れるので、SW2~SW10を半導体スイッチで実現する場合には双方向の電流を制御できるように図22(b)に示すように極性が逆向きの素子を接続する必要がある。
【0065】
以上で説明した本発明の実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)本発明に係る車載電力供給網は、車両内の複数のノードを経由して該車両に搭載された負荷に電力を供給する車載電力供給網であって、複数のノードは、電力を送出する第1ノード及び第1ノードから送出された電力を受け取る第2ノードを含み、第1及び第2ノード間は、電力が供給される電力線、及び電力に関する情報が伝送される信号線によって接続され、第1及び第2ノードの各々は、電力線を経由して自ノードに出入りする電流値を計測する電流計測部、信号線と自ノードとの間で電流値に比例した電流の入出力を行う電流入出力部、及び信号線の電位を計測する電位計測部を有し、信号線は抵抗を介して終端電位に終端されており、該信号線の電位が終端電位と異なる場合に、車載電力供給網内のいずこかに異常が生じていると診断される。
【0066】
上記構成を採用することにより、直流電流を利用する車載電力供給網において、故障の発生を迅速に検知することが可能になる。
【0067】
(2)電流計測部及び電流入出力部は演算増幅器から構成される。これにより、ECUから出力される電流が微弱なものであっても、増幅することで確実に検知することが可能になる。
【0068】
(3)終端電位及び抵抗はテブナン終端により構成される。これにより、終端電位のために正電源電圧と別個に電源を設ける必要がなくなり、システム全体の小型化・コスト抑制が期待できる。
【0069】
(4)第1及び第2ノード各々の電位計測部は、信号線が終端電位と終端されている位置より自ノード側における該信号線の電位を計測する。これにより、各ノードは信号線のどの位置で故障が生じているのかを判定することが可能になる。
【0070】
(5)第1及び第2ノードは、互いに計測した信号線の電位をネットワークを介して交換する。これにより、各ノードは自らが計測した電位と受け取った電位とを比較することによって、故障の原因を特定することが可能になる。
【0071】
(6)交換された第1及び第2ノードの信号線の電位が異なる場合には、信号線、電流計測部、及び電流入出力部のいずれかが異常であると診断される。上記(5)の構成を採用することによって、具体的にこのような診断を行うことが可能になる。
【0072】
(7)第1及び第2ノードは、計測した信号線の電位を符号化して、信号線に重畳して伝送する。実施例3に示すような多重化ネットワーク通信を採用することでこのような効率的に情報伝送を行うことができる。
【0073】
(8)ノードは電子制御ユニットであり、電子制御ユニットは電流計測部と、電流入出力部と、電子制御ユニットに接続された電力線への電流を開閉する第1開閉器と、電子制御ユニットに接続された負荷への電流を開閉する第2開閉器と、制御回路とを有し、制御回路は第1及び第2開閉器を制御する。これにより、故障が生じたと診断された電力線または負荷電流供給経路を直ちに遮断することが可能になり、電力供給網を迅速に保護することが可能になる。
【0074】
(9)制御回路は、複数の経路から電源を供給される。これにより、一部の電源から電源供給が断たれても、適切に切り替え回路を制御することにより、制御回路への電源供給を継続させることができる。
【0075】
(10)信号線に異常が生じたと診断された場合、該信号線が接続された電子制御ユニットの制御回路は、該電子制御ユニットの第1開閉器を開放状態にする。これにより、(9)と同様に、故障の発見後、迅速に電力供給網を迅速に保護することが可能になる。
【0076】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0077】
20…電力線、21…センス線、40…負荷、100…電力源、200…ノード(電子制御ユニット:ECU)、201、203…電流計測部、202、204…電流入出力部、210…制御機能(制御回路)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22