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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043152
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】ガスフィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20240322BHJP
   B01D 46/24 20060101ALI20240322BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
F16J15/10 A
F16J15/10 G
B01D46/24 B
B01D39/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148175
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000231556
【氏名又は名称】日本精線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】小財 友樹
【テーマコード(参考)】
3J040
4D019
4D058
【Fターム(参考)】
3J040BA03
3J040EA03
3J040EA16
3J040FA07
3J040HA03
3J040HA15
4D019AA01
4D019BA05
4D019BB07
4D019BD01
4D019CA03
4D019CB01
4D019CB04
4D019CB06
4D058JA02
4D058JB06
4D058KC35
4D058KC63
4D058KC64
4D058KC81
4D058SA20
(57)【要約】
【課題】 量産誤差を有するセラミックフィルタ及びシール部材であっても、軸方向の端部を確実にシールし得るガスフィルタ装置を提供する。
【解決手段】 セラミックフィルタ2と、樹脂製のシール部材3とを含むガスフィルタ装置1である。シール部材3は、セラミックフィルタ2の端部2cが挿入される凹部4を有している。凹部4は、セラミックフィルタ2の外面2aに対向して周方向に延びる第1面4aと、セラミックフィルタ2の内面2bに対向して周方向に延びる第2面4bと、第1面4aと第2面4bとを接続する底面4cとを含んでいる。第1面4aには、セラミックフィルタ2の外面2aに接触する第1シール部5aが設けられている。第2面4bには、セラミックフィルタ2の内面2bに接触する第2シール部5bが設けられている。第2シール部5bは、第1シール部5aよりも底面4c側に設けられている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体をろ過するためのガスフィルタ装置であって、
セラミックフィルタと、樹脂製のシール部材とを含み、
前記セラミックフィルタは、軸方向、径方向、周方向、径方向の外面、径方向の内面及び軸方向の一対の端部を規定する円筒形状をなし、
前記シール部材は、前記セラミックフィルタの軸方向の少なくとも一方の前記端部をシールするものであり、かつ、前記セラミックフィルタの前記端部が挿入される凹部を有し、
前記凹部は、前記セラミックフィルタの前記外面に対向して周方向に延びる第1面と、前記セラミックフィルタの前記内面に対向して周方向に延びる第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する底面とを含み、
前記第1面には、前記セラミックフィルタの前記外面に接触する第1シール部が設けられ、
前記第2面には、前記セラミックフィルタの前記内面に接触する第2シール部が設けられ、
前記第2シール部は、前記第1シール部よりも前記底面側に設けられている、
ガスフィルタ装置。
【請求項2】
前記第1シール部は、前記第1面の一部が前記セラミックフィルタの前記外面側に突出する少なくとも1つの突起構造を含む、請求項1に記載のガスフィルタ装置。
【請求項3】
前記突起構造は、周方向に連続して延びるリング形状をなす、請求項2に記載のガスフィルタ装置。
【請求項4】
前記第1シール部は、前記セラミックフィルタの軸方向において、複数の前記突起構造を含む、請求項2又は3に記載のガスフィルタ装置。
【請求項5】
前記複数の突起構造は、断面形状が互いに異なる、請求項4に記載のガスフィルタ装置。
【請求項6】
前記第2シール部は、前記第2面の内径が前記底面側に向けて連続的に減少するテーパー構造を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスフィルタ装置。
【請求項7】
前記第1面の軸方向の長さは、前記第2面の軸方向の長さよりも大きい、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスフィルタ装置。
【請求項8】
前記シール部材は、フッ素樹脂から形成される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスフィルタ装置。
【請求項9】
前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンである、請求項8に記載のガスフィルタ装置。
【請求項10】
前記シール部材は、前記セラミックフィルタの軸方向の両方の前記端部をシールするための一対の前記シール部材を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスフィルタ装置。
【請求項11】
前記セラミックフィルタの前記内面の径方向の内側に配された円筒状の支持体と、前記支持体及び前記セラミックフィルタの軸方向の外側に配された一対の保護部材とを含む、請求項10に記載のガスフィルタ装置。
【請求項12】
前記一対の保護部材のそれぞれは、前記一対のシール部材のそれぞれの径方向外側に位置する筒部を有し、
前記一対のシール部材のそれぞれは、前記筒部に対向する外周面を含み、
前記外周面は、前記筒部に接触する第3シール部を有する、請求項11に記載のガスフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体をろ過するためのガスフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造装置等に用いられるセラミックフィルタを含むガスフィルタ装置が知られている。例えば、下記特許文献1は、円筒形状をなすセラミックフィルターと、その端部をシールするシール部材と、シール部材を付勢する弾性部材とから構成されたガスフィルターを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願昭63-089353号(実開平02-012421号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のガスフィルタ装置は、セラミックフィルタ及びシール部材の製造時のバラつき、いわゆる量産誤差により、軸方向の端部から気体が漏れることがあり、セラミックフィルタの端部での気密性について、改善の要望が強かった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、量産誤差を有するセラミックフィルタ及びシール部材であっても、軸方向の端部を確実にシールし得るガスフィルタ装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、気体をろ過するためのガスフィルタ装置であって、セラミックフィルタと、樹脂製のシール部材とを含み、前記セラミックフィルタは、軸方向、径方向、周方向、径方向の外面、径方向の内面及び軸方向の一対の端部を規定する円筒形状をなし、前記シール部材は、前記セラミックフィルタの軸方向の少なくとも一方の前記端部をシールするものであり、かつ、前記セラミックフィルタの前記端部が挿入される凹部を有し、前記凹部は、前記セラミックフィルタの前記外面に対向して周方向に延びる第1面と、前記セラミックフィルタの前記内面に対向して周方向に延びる第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する底面とを含み、前記第1面には、前記セラミックフィルタの前記外面に接触する第1シール部が設けられ、前記第2面には、前記セラミックフィルタの前記内面に接触する第2シール部が設けられ、前記第2シール部は、前記第1シール部よりも前記底面側に設けられている、ガスフィルタ装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のガスフィルタ装置は、上述の構成を備えることにより、セラミックフィルタやシール部材が量産誤差を有していたとしても、セラミックフィルタの軸方向の端部を確実にシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のガスフィルタ装置の一実施形態を示す断面図である。
図2】シール部材の断面図である。
図3図2のA部拡大図である。
図4】シール部材の正面図である。
図5】他の実施形態のシール部材の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態のガスフィルタ装置1を示す断面図である。図1に示されるように、本実施形態のガスフィルタ装置1は、半導体製造装置(図示省略)等に用いられる気体Gをろ過するためのものである。ガスフィルタ装置1は、例えば、インラインフィルタとして好適に用いられる。
【0010】
本実施形態のガスフィルタ装置1は、セラミックフィルタ2と、樹脂製のシール部材3とを含んでいる。ガスフィルタ装置1は、例えば、外装体を構成するステンレス等の金属製のハウジング(図示省略)内に配されている。なお、ガスフィルタ装置1は、例えば、真空チャンバーに搭載されるディフューザとして用いられる場合には、ハウジングが無くてもよい。
【0011】
本実施形態のセラミックフィルタ2は、軸方向、径方向、周方向、径方向の外面2a、径方向の内面2b及び軸方向の一対の端部2cを規定する円筒形状をなしている。セラミックフィルタ2は、例えば、一方の端部2c側から円筒形状の内部に気体Gが流入され、径方向の外側に流出する。
【0012】
図2は、シール部材3の断面図である。図2に示されるように、シール部材3は、セラミックフィルタ2の軸方向の少なくとも一方、本実施形態では両方の端部2cをシールするものである。シール部材3は、セラミックフィルタ2の端部2cが挿入される凹部4を有するのが望ましい。このようなシール部材3は、簡易な構成でセラミックフィルタ2の端部2cからの気体Gの漏れを抑制することができ、製造コストの低減にも役立つ。
【0013】
図3は、図2のA部拡大図である。図2及び図3に示されるように、本実施形態の凹部4は、セラミックフィルタ2の外面2aに対向して周方向に延びる第1面4aと、セラミックフィルタ2の内面2bに対向して周方向に延びる第2面4bとを含んでいる。凹部4は、第1面4aと第2面4bとを接続する底面4cを含むのが望ましい。
【0014】
本実施形態の第1面4aには、セラミックフィルタ2の外面2aに接触する第1シール部5aが設けられている。本実施形態の第2面4bには、セラミックフィルタ2の内面2bに接触する第2シール部5bが設けられている。このような第1シール部5a及び第2シール部5bは、セラミックフィルタ2を外面2a及び内面2bの両側から挟持することができ、セラミックフィルタ2の端部2cでの気密性を向上させることができる。
【0015】
本実施形態の第2シール部5bは、第1シール部5aよりも底面4c側に設けられている。これにより、第1シール部5a及び第2シール部5bは、凹部4にセラミックフィルタ2を挿入するときに、セラミックフィルタ2に対し、第1シール部5a、第2シール部5bの順で接触する。このようなシール部材3は、セラミックフィルタ2及びシール部材3の寸法誤差に対する許容度が大きい。
【0016】
このため、本実施形態のガスフィルタ装置1は、セラミックフィルタ2やシール部材3が量産誤差を有していたとしても、セラミックフィルタ2の軸方向の端部2cを確実にシールすることができる。これにより、本実施形態のガスフィルタ装置1は、製造時のバラつきにより量産誤差を有するセラミックフィルタ2及びシール部材3であっても、製品として使用可能であり、結果として、歩留まりの低下を抑制し、製造コストを低減させることができる。
【0017】
より好ましい態様として、セラミックフィルタ2は、1~10μmの孔径を有する多孔質フィルタである。セラミックフィルタ2は、例えば、ジルコニア、アルミナ等から形成されている。このようなセラミックフィルタ2は、塩素ガス等の腐食性を有する気体Gに対する耐食性に優れており、ガスフィルタ装置1の耐久性を向上させることに役立つ。
【0018】
図1に示されるように、本実施形態のシール部材3は、セラミックフィルタ2の軸方向の両方の端部2cをシールするための一対のシール部材3を含んでいる。このようなシール部材3は、セラミックフィルタ2の軸方向の両方の端部2cからの気体Gの漏れを抑制することができる。
【0019】
本実施形態のガスフィルタ装置1は、セラミックフィルタ2の内面2bの径方向の内側に配された支持体6と、支持体6及びセラミックフィルタ2の軸方向の外側に配された一対の保護部材7と、気体Gを流入するための継手8とを含んでいる。
【0020】
支持体6は、例えば、複数の貫通孔6aが設けられたステンレス等の金属製のパンチングメタルから形成されている。複数の貫通孔6aのそれぞれの直径dは、好ましくは、1.0~2.0mmである。本実施形態の支持体6は、円筒状に形成されている。このような支持体6は、気体Gを径方向に均等に排出するのに適している。
【0021】
なお、支持体6は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、楕円筒状であってもよく、多角筒状であってもよい。同様に、貫通孔6aの形状も、このような態様に限定されるものではなく、気体Gを均等に排出でき、支持体6の強度を保持可能であれば、例えば、楕円形、多角形、スリット状等であってもよく、その大きさや数も適宜調整可能である。
【0022】
保護部材7は、例えば、ステンレス等の金属から形成されている。支持体6と保護部材7とは、互いに溶接により固着されるのが望ましい。このような支持体6及び保護部材7は、セラミックフィルタ2及びシール部材3を保持することができ、ガスフィルタ装置1のシール性と耐久性とを向上させることができる。
【0023】
一対の保護部材7のそれぞれは、一対のシール部材3のそれぞれの径方向外側に位置する筒部7aと、一対のシール部材3のそれぞれの軸方向外側に位置する底部7bとを有するのが望ましい。筒部7aは、例えば、その内径が底部7b側に向けて連続的に減少するテーパー構造を含んでいる。
【0024】
このような保護部材7は、セラミックフィルタ2、シール部材3及び保護部材7が量産誤差を有している場合にも、容易に組みつけることができ、結果として歩留まりの低下を抑制し、ガスフィルタ装置1の製造コストを低減させることに役立つ。
【0025】
保護部材7は、例えば、セラミックフィルタ2の軸方向の一方側に配された第1保護部材7Aと、セラミックフィルタ2の軸方向の他方側に配された第2保護部材7Bとを含んでいる。第1保護部材7Aの筒部7aと第2保護部材7Bの筒部7aとは、同一形状であるのが望ましい。このような保護部材7は、シール部材3を安定して保持することができる。
【0026】
継手8は、例えば、ステンレス等の金属から形成されている。本実施形態の継手8は、第1保護部材7Aの底部7bに接続されている。継手8は、気体Gを流入可能な流入口8aを有するのが望ましい。継手8は、例えば、ガスフィルタ装置1の上流側の流路、容器等に接続されている。このような継手8は、気体Gをガスフィルタ装置1内にスムーズに流入させることができ、また、耐久性にも優れている。
【0027】
図1ないし図3に示されるように、本実施形態の一対のシール部材3のそれぞれは、保護部材7の筒部7aに対向する外周面3aを含んでいる。外周面3aは、筒部7aに接触する第3シール部5cを有するのが望ましい。このような第3シール部5cは、テーパー構造の筒部7aと協働して、シール部材3と保護部材7との間から気体Gが漏れるのを抑制することができる。
【0028】
第3シール部5cは、第1シール部5aよりも底面4c側に設けられている。このようなシール部材3は、シール時の弾性変形による応力集中を抑制し、耐久性を向上させることに役立つ。
【0029】
シール部材3の第1シール部5aは、第1面4aの一部がセラミックフィルタ2の外面2a側に突出する少なくとも1つの、本実施形態では1つの突起構造を含んでいる。シール部材3の第3シール部5cは、同様に、外周面3aの一部が径方向の外側に突出する少なくとも1つの突起構造を含むのが望ましい。このようなシール部材3は、シールする位置を突起構造の位置で設定することができ、セラミックフィルタ2の端部2cを確実にシールすることができる。
【0030】
突起構造の突出高さh1、h2は、好ましくは、第1面4aから外周面3aまでの径方向の厚さtの5%~40%である。突起構造の突出高さh1、h2が厚さtの5%以上であることで、弾性変形によるシール性を確実に発揮することができる。このような観点から、突起構造の突出高さh1、h2は、より好ましくは、厚さtの10%以上である。突起構造の突出高さh1、h2が厚さtの40%以下であることで、セラミックフィルタ2やシール部材3、保護部材7が量産誤差を有している場合にも、容易に組みつけることができる。このような観点から、突起構造の突出高さh1、h2は、より好ましくは、厚さtの30%以下である。
【0031】
本実施形態では、第1シール部5aの突出高さh1と第3シール部5cの突出高さh2とが等しい。このようなシール部材3は、第1面4a側及び外周面3a側で均等にシール性を向上させることができる。なお、第1シール部5aの突出高さh1と第3シール部5cの突出高さh2とは、互いに異なるものであってもよい。
【0032】
突起構造は、例えば、断面形状が略半円形である。本実施形態の突起構造の断面における曲率半径は、突起構造の突出高さh1、h2に等しい。このような突起構造は、組みつけ作業の容易性と弾性変形によるシール性とを両立させることができる。なお、突起構造は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、曲率半径が突出高さh1、h2よりも大きいものであってもよく、また、断面形状が半楕円形や台形、三角形等の多角形であってもよい。
【0033】
図4は、シール部材3を凹部4側から見た正面図である。図1ないし4に示されるように、第1シール部5a及び第3シール部5cの突起構造は、周方向に連続して延びるリング形状をなすのが望ましい。このようなシール部材3は、周方向の全域においてシールすることができ、シール性をより向上させることができる。
【0034】
第2シール部5bは、凹部4の第2面4bの内径が底面4c側に向けて連続的に減少するテーパー構造を含むのが望ましい。このような第2シール部5bは、セラミックフィルタ2やシール部材3が量産誤差を有している場合にも、容易に組みつけることができ、優れたシール性を発揮することができる。
【0035】
本実施形態の第1面4aの軸方向の長さL1は、第2面4bの軸方向の長さL2よりも大きい。このような凹部4は、セラミックフィルタ2が挿入されるときの位置合わせが容易であり、セラミックフィルタ2やシール部材3が量産誤差を有している場合にも、容易に組みつけることができる。
【0036】
シール部材3は、フッ素樹脂から形成されるのが望ましい。このようなシール部材3は、優れた弾性を備えており、第1シール部5a、第2シール部5b及び第3シール部5cが弾性変形してシールすることを許容し、シール性を向上させることに役立つ。また、このシール部材3は、塩素ガス等の腐食性を有する気体Gに対する耐食性に優れており、ガスフィルタ装置1の耐久性を向上させることに役立つ。
【0037】
フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)等が挙げられる。本実施形態のフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。このようなシール部材3は、耐熱性及び耐薬品性に優れており、高温環境下で腐食性を有する気体Gをろ過する場合にも、高いシール性を長期間維持することができる。
【0038】
次に、本実施形態のガスフィルタ装置1の組立方法が説明される。
ガスフィルタ装置1の組立方法は、まず、支持体6と第2保護部材7Bとを溶接等により固着して第1部材を形成する第1工程S1が行われるのが望ましい。
【0039】
ガスフィルタ装置1の組立方法は、例えば、第1工程S1の次に、セラミックフィルタ2の両方の端部2cにシール部材3を挿入して第2部材を形成する第2工程S2が行われる。第2工程S2は、例えば、プレス機を用いてセラミックフィルタ2の端部2cにシール部材3が挿入される。なお、第2工程S2は、第1工程S1とは別に独立して行われるため、第1工程S1の前に行われてもよく、第1工程S1と第2工程S2とが、同時に行われてもよい。
【0040】
本実施形態のガスフィルタ装置1の組立方法は、第1工程S1及び第2工程S2の次に、第1部材と第2部材とを組みつけて第3部材を形成する第3工程S3が行われる。ガスフィルタ装置1の組立方法は、第3工程S3の次に、第3部材に第1保護部材7Aを組みつけて第4部材を形成する第4工程S4が行われるのが望ましい。第4工程S4は、例えば、プレス機を用いて第1保護部材7A及び第2保護部材7Bにシール部材3を圧入することで、第4部材を形成している。
【0041】
ガスフィルタ装置1の組立方法は、第4工程S4の次に、支持体6と第1保護部材7Aとを溶接等により固着して第4部材を一体化する第5工程S5が行われるのが望ましい。本実施形態のガスフィルタ装置1の組立方法は、第5工程S5の次に、第4部材に継手8を溶接等により固着してガスフィルタ装置1を得る第6工程S6が行われる。
【0042】
図5は、他の実施形態のシール部材10の拡大断面図である。この実施形態のシール部材10は、上述のシール部材3と同様、セラミックフィルタ2の端部2c(図1に示す)をシールするものである。図5に示されるように、この実施形態のシール部材10は、上述のシール部材3と同様、保護部材7の筒部7a(図1に示す)に対向する外周面10aと、セラミックフィルタ2の端部2cが挿入される凹部11とを有している。
【0043】
凹部11は、上述の凹部4と同様、セラミックフィルタ2の外面2aに対向して周方向に延びる第1面11aと、セラミックフィルタ2の内面2bに対向して周方向に延びる第2面11bと、第1面11aと第2面11bとを接続する底面11cを含むのが望ましい。
【0044】
この実施形態の第1面11aには、上述の第1面4aと同様、セラミックフィルタ2の外面2aに接触する第1シール部12aが設けられている。この実施形態の第2面11bには、上述の第2面4bと同様、セラミックフィルタ2の内面2bに接触する第2シール部12bが設けられている。この実施形態の外周面10aには、上述の外周面3aと同様、保護部材7の筒部7aに接触する第3シール部12cが設けられている。
【0045】
第1シール部12aは、セラミックフィルタ2の軸方向において、複数の突起構造を含むのが望ましい。この実施形態の第1シール部12aは、第1突起12d、第2突起12e及び第3突起12fを含んでいる。このような第1シール部12aは、3重のシール構造により、セラミックフィルタ2やシール部材10が量産誤差を有していたとしても、セラミックフィルタ2の軸方向の端部2cをより確実にシールすることができる。なお、第1シール部12aは、3重のシール構造に限定されるものではなく、2重のシール構造であってもよく、更に4重以上のシール構造であってもよい。
【0046】
複数の突起構造は、断面形状が互いに異なるのが望ましい。この実施形態の複数の突起構造は、第1突起12d、第2突起12e及び第3突起12fの突出高さh3、h4、h5が互いに異なっている。この実施形態の第2突起12eの突出高さh4は、第1突起12dの突出高さh3よりも大きく、第3突起12fの突出高さh5よりも小さい。
【0047】
このような第1シール部12aは、セラミックフィルタ2やシール部材10が量産誤差を有していたとしても、スムーズに組みつけることができ、組みつけ作業の容易性とシール性とを両立させることができる。なお、複数の突起構造は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、第1突起12dの突出高さh3が第3突起12fの突出高さh5よりも大きくてもよい。また、複数の突起構造は、例えば、第1突起12d、第2突起12e及び第3突起12fの断面形状が、それぞれ、三角形、半円形及び台形のように互いに異なるものであってもよい。なお、複数の突起構造は、断面形状が互いに同一の場合でも、複数のシール構造による効果を同様に奏することができる。
【0048】
第3シール部12cの突起構造は、例えば、第1突起12d、第2突起12e及び第3突起12fのいずれとも異なるものであってよい。この実施形態の第3シール部12cの突出高さh6は、第3突起12fの突出高さh5よりも大きい。このようなシール部材10は、第1面11a側で複数のシール構造によりシール性を向上させ、外周面10a側で大きい突起構造によりシール性を向上させることができる。なお、第3シール部12cの断面形状は、第1突起12d、第2突起12e又は第3突起12fのいずれかの断面形状に等しくてもよい。
【0049】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
【0050】
[付記]
本発明は、次のとおりである。
【0051】
[本発明1]
気体をろ過するためのガスフィルタ装置であって、
セラミックフィルタと、樹脂製のシール部材とを含み、
前記セラミックフィルタは、軸方向、径方向、周方向、径方向の外面、径方向の内面及び軸方向の一対の端部を規定する円筒形状をなし、
前記シール部材は、前記セラミックフィルタの軸方向の少なくとも一方の前記端部をシールするものであり、かつ、前記セラミックフィルタの前記端部が挿入される凹部を有し、
前記凹部は、前記セラミックフィルタの前記外面に対向して周方向に延びる第1面と、前記セラミックフィルタの前記内面に対向して周方向に延びる第2面と、前記第1面と前記第2面とを接続する底面とを含み、
前記第1面には、前記セラミックフィルタの前記外面に接触する第1シール部が設けられ、
前記第2面には、前記セラミックフィルタの前記内面に接触する第2シール部が設けられ、
前記第2シール部は、前記第1シール部よりも前記底面側に設けられている、
ガスフィルタ装置。
【0052】
[本発明2]
前記第1シール部は、前記第1面の一部が前記セラミックフィルタの前記外面側に突出する少なくとも1つの突起構造を含む、本発明1に記載のガスフィルタ装置。
【0053】
[本発明3]
前記突起構造は、周方向に連続して延びるリング形状をなす、本発明2に記載のガスフィルタ装置。
【0054】
[本発明4]
前記第1シール部は、前記セラミックフィルタの軸方向において、複数の前記突起構造を含む、本発明2又は3に記載のガスフィルタ装置。
【0055】
[本発明5]
前記複数の突起構造は、断面形状が互いに異なる、本発明4に記載のガスフィルタ装置。
【0056】
[本発明6]
前記第2シール部は、前記第2面の内径が前記底面側に向けて連続的に減少するテーパー構造を含む、本発明1ないし5のいずれかに記載のガスフィルタ装置。
【0057】
[本発明7]
前記第1面の軸方向の長さは、前記第2面の軸方向の長さよりも大きい、本発明1ないし6のいずれかに記載のガスフィルタ装置。
【0058】
[本発明8]
前記シール部材は、フッ素樹脂から形成される、本発明1ないし7のいずれかに記載のガスフィルタ装置。
【0059】
[本発明9]
前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンである、本発明8に記載のガスフィルタ装置。
【0060】
[本発明10]
前記シール部材は、前記セラミックフィルタの軸方向の両方の前記端部をシールするための一対の前記シール部材を含む、本発明1ないし9のいずれかに記載のガスフィルタ装置。
【0061】
[本発明11]
前記セラミックフィルタの前記内面の径方向の内側に配された円筒状の支持体と、前記支持体及び前記セラミックフィルタの軸方向の外側に配された一対の保護部材とを含む、本発明10に記載のガスフィルタ装置。
【0062】
[本発明12]
前記一対の保護部材のそれぞれは、前記一対のシール部材のそれぞれの径方向外側に位置する筒部を有し、
前記一対のシール部材のそれぞれは、前記筒部に対向する外周面を含み、
前記外周面は、前記筒部に接触する第3シール部を有する、本発明11に記載の
【符号の説明】
【0063】
1 ガスフィルタ装置
2 セラミックフィルタ
2a 外面
2b 内面
2c 端部
3 シール部材
4 凹部
4a 第1面
4b 第2面
4c 底面
5a 第1シール部
5b 第2シール部
図1
図2
図3
図4
図5