(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043163
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240322BHJP
H10B 43/40 20230101ALI20240322BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240322BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240322BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20240322BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L27/11573
H01L27/11575
H01L27/088 E
H01L27/00 301B
H01L27/00 301C
H01L29/78 371
H01L27/088 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148191
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 謙太
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
5F048BA19
5F048BA20
5F048BB09
5F048BB11
5F048BC03
5F048BC18
5F048BD07
5F048BF07
5F048BF12
5F048BF15
5F048BF16
5F048CB01
5F048CB03
5F048CB04
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER22
5F083ER23
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083KA18
5F083LA10
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083MA20
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
(57)【要約】
【課題】半導体記憶装置の歩留まりの低下を抑制する。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、基板を含む第1チップ1-1と、Z方向に第1チップ1-1と並び、第1チップ1-1に接する第2チップ1-2と、を備え、第2チップ1-2は、Z方向に互いに離れて並ぶ複数の第1配線層、及びZ方向に延伸するメモリピラーMP、を有するメモリセルアレイ10を含み、第1チップ1-1及び第2チップ1-2の境界領域に設けられる複数の第1接続パッド39-1~39-3と、各々がZ方向に延伸し、複数の第1接続パッド39-1~39-3と接する複数の第1コンタクト38-1~38-3と、複数の第1コンタクト38-1~38-3と交差する第1絶縁体層58と、基板に平行な面内に複数の第1コンタクト38-1~38-3以外に第1絶縁体層58と並んで設けられ、かつ第1絶縁体層58と異なるストレスを有する第1部材BEと、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を含む第1チップと、
前記基板の上面に垂直な第1方向に前記第1チップと並び、前記第1チップに接する第2チップと、
を備え、
前記第2チップは、
前記第1方向に互いに離れて並ぶ複数の第1配線層、及び前記複数の第1配線層を貫通し、前記第1方向に延伸するメモリピラー、を有するメモリセルアレイ、
を含み、
前記第1チップ及び前記第2チップの境界領域に設けられる複数の第1接続パッドと、
各々が前記第1方向に延伸し、前記複数の第1接続パッドと接する複数の第1コンタクトと、
前記複数の第1コンタクトと交差する第1絶縁体層と、
前記基板に平行な面内に前記複数の第1コンタクト以外に前記第1絶縁体層と並んで設けられ、かつ前記第1絶縁体層と異なるストレスを有する第1部材と、
を含む、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1チップ及び前記第2チップの境界領域に設けられる複数の第2接続パッド、
をさらに備え、
前記複数の第1接続パッドは、前記第1チップに設けられ、前記複数の第2接続パッドは、前記第2チップに設けられ、かつ前記複数の第1接続パッドの上面が、前記複数の第2接続パッドの下面と接し、
前記複数の第1コンタクトは、前記複数の第1接続パッドの下面に接する、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1チップ及び前記第2チップの境界領域に設けられる複数の第2接続パッド、
をさらに備え、
前記複数の第1接続パッドは、前記第2チップに設けられ、前記複数の第2接続パッドは、前記第1チップに設けられ、かつ前記複数の第1接続パッドの下面が、前記複数の第2接続パッドの上面と接し、
前記複数の第1コンタクトは、前記複数の第1接続パッドの上面に接する、
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1部材は、前記第1方向に見て、前記メモリセルアレイが設けられる領域と重なる部分を有する、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1部材は、前記第1絶縁体層よりも高い圧縮ストレスを有する、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1部材は、引張りストレスを有する、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1絶縁体層は、酸化シリコンを含む、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
基板を含む第1チップと、
前記基板の上面に垂直な第1方向に前記第1チップと並び、前記第1チップに接する第2チップと、
を備え、
前記第2チップは、
前記第1方向に互いに離れて並ぶ複数の第1配線層、及び前記複数の第1配線層を貫通し、前記第1方向に延伸するメモリピラー、を有するメモリセルアレイ
を含み、
前記第1方向における前記基板と前記メモリセルアレイとの間で前記第1方向に延伸し、かつ前記第1チップと前記第2チップを電気的に接続する複数の第1コンタクトと、
前記複数の第1コンタクトと交差する第1絶縁体層と、
各々が前記基板に平行な面内に前記第1絶縁体層と並んで設けられ、前記基板に平行な第2方向に延伸し、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に互いに離れて並ぶ複数の第1部材と、ここで、前記複数の第1部材は、前記第1絶縁体層と異なるストレスを有する、
を含む、
半導体記憶装置。
【請求項9】
前記複数の第1配線層の各々は、前記第2方向に延伸する、
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記メモリセルアレイは、
前記第2方向に延伸し、前記メモリピラーの前記第1方向における一端に接続される第2配線層
を含み、
前記複数の第1配線層の各々は、前記第3方向に延伸する、
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記複数の第1部材は、前記第1方向に見て、前記メモリセルアレイが設けられる領域と重なる部分を有する、
請求項8乃至請求項10のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記複数の第1部材は、前記第1絶縁体層よりも高い圧縮ストレスを有する、
請求項8乃至請求項10のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記複数の第1部材は、引張りストレスを有する、
請求項8乃至請求項10のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第1絶縁体層は、酸化シリコンを含む、
請求項8乃至請求項10のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記複数の第1部材は、前記第3方向に第1間隔を開けて並ぶ、
請求項8乃至請求項10のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データを不揮発に記憶することが可能な半導体記憶装置として、NAND型フラッシュメモリが知られる。NAND型フラッシュメモリにおいては、高集積化及び大容量化のために3次元のメモリ構造が採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-150147号公報
【特許文献2】特開2021-028950号公報
【特許文献3】特開2020-150218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体記憶装置の歩留まりの低下を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、基板を含む第1チップと、上記基板の上面に垂直な第1方向に上記第1チップと並び、上記第1チップに接する第2チップと、を備え、上記第2チップは、上記第1方向に互いに離れて並ぶ複数の第1配線層、及び上記複数の第1配線層を貫通し、上記第1方向に延伸するメモリピラー、を有するメモリセルアレイ、を含み、上記第1チップ及び上記第2チップの境界領域に設けられる複数の第1接続パッドと、各々が上記第1方向に延伸し、上記複数の第1接続パッドと接する複数の第1コンタクトと、上記複数の第1コンタクトと交差する第1絶縁体層と、上記基板に平行な面内に上記複数の第1コンタクト以外に上記第1絶縁体層と並んで設けられ、かつ上記第1絶縁体層と異なるストレスを有する第1部材と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの構成の一例を示すブロック図。
【
図2】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図。
【
図3】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの断面構造の一例を示す断面図。
【
図4】実施形態に係る半導体記憶装置のXZ平面における断面構造の一例を示す断面図。
【
図5】実施形態に係る半導体記憶装置のXY平面における断面構造の一例を示す、
図4のZ方向に沿ったV-V線と同等の高さにおける半導体記憶装置の断面図。
【
図6】実施形態に係る接続パッドの断面構造の一例を示す断面図。
【
図7】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図。
【
図8】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための上面図。
【
図9】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図。
【
図10】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図。
【
図11】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図。
【
図12】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図。
【
図13】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図。
【
図14】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図。
【
図15】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図。
【
図16】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図。
【
図17】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図。
【
図18】実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図。
【
図19】第1変形例に係る半導体記憶装置のXZ平面における断面構造の一例を示す断面図。
【
図20】第1変形例に係る半導体記憶装置のXY平面における断面構造の一例を示す、
図19のZ方向に沿ったXX-XX線と同等の高さにおける半導体記憶装置の断面図。
【
図21】第2変形例に係る半導体記憶装置のXY平面における断面構造の一例を示す断面図。
【
図22】第3変形例に係る半導体記憶装置のXZ平面における断面構造の一例を示す断面図。
【
図23】第3変形例に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面の寸法及び比率は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。また、同様の構成を有する要素同士を特に区別する場合、同一符号の末尾に、互いに異なる文字又は数字を付加する場合がある。
【0008】
1 実施形態
以下に、実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0009】
1.1 構成
実施形態に係る半導体記憶装置の構成について説明する。
【0010】
1.1.1 メモリシステム
まず、メモリシステムの構成例について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
メモリシステム3は、例えばSSD(solid state drive)やSDTMカードである。メモリシステム3は、例えば図示しない外部のホスト機器に接続される。メモリシステム3は、ホスト機器からのデータを記憶する。また、メモリシステム3は、データをホスト機器に読出す。
【0012】
メモリシステム3は、半導体記憶装置1及びメモリコントローラ2を備える。
【0013】
半導体記憶装置1は、例えばNAND型フラッシュメモリである。半導体記憶装置1は、データを不揮発に記憶する。以下では、半導体記憶装置1がNAND型フラッシュメモリである場合を例に説明する。
【0014】
メモリコントローラ2は、例えば、SoC(system-on-a-chip)のような集積回路で構成される。メモリコントローラ2は、例えばホスト機器からの要求に基づいて、データを半導体記憶装置1に書込む。また、メモリコントローラ2は、例えばホスト機器からの要求に基づいて、データを半導体記憶装置1から読出す。また、メモリコントローラ2は、半導体記憶装置1から読出したデータをホスト機器に送信する。
【0015】
半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との通信は、例えば、SDR(single data rate)インタフェース、トグルDDR(double data rate)インタフェース、又はONFI(Open NAND flash interface)に準拠する。
【0016】
1.1.2 半導体記憶装置
引き続き、
図1を用いて、半導体記憶装置1の内部構成について説明する。半導体記憶装置1は、例えばメモリセルアレイ10及び周辺回路PERIを含む。周辺回路PERIは、例えばコマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16を含む。
【0017】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLKn(nは1以上の整数)を含む。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶することが可能な複数のメモリセルの集合である。ブロックBLKは、例えばデータの消去単位として使用される。また、メモリセルアレイ10には、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。1つのメモリセルは、例えば1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられる。
【0018】
コマンドレジスタ11は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを保持する。コマンドCMDは、例えばシーケンサ13に読出し動作、書込み動作、及び消去動作等を実行させる命令を含む。
【0019】
アドレスレジスタ12は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したアドレス情報ADDを保持する。アドレス情報ADDは、例えばページアドレスPA、ブロックアドレスBA、及びカラムアドレスCAを含む。例えば、ページアドレスPA、ブロックアドレスBA、及びカラムアドレスCAはそれぞれ、ワード線、ブロックBLK、及びビット線の選択に使用される。
【0020】
シーケンサ13は、半導体記憶装置1全体の動作を制御する。シーケンサ13は、コマンドレジスタ11に記憶されたコマンドCMDに基づいて、読出し動作、書込み動作、及び消去動作を実行する。
【0021】
ドライバモジュール14は、読出し動作、書込み動作、及び消去動作等で使用される電圧を生成する。そして、ドライバモジュール14は、例えばアドレスレジスタ12に保持されたページアドレスPAに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に生成した電圧を印加する。
【0022】
ロウデコーダモジュール15は、アドレスレジスタ12に保持されたブロックアドレスBAに基づいて、対応するメモリセルアレイ10内の1つのブロックBLKを選択する。そして、ロウデコーダモジュール15は、例えば選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0023】
センスアンプモジュール16は、書込み動作において、メモリコントローラ2から受信した書込みデータDATをメモリセルアレイ10に転送する。また、センスアンプモジュール16は、読出し動作において、ビット線の電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータの判定を実行する。センスアンプモジュール16は、当該判定の結果を読出しデータDATとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0024】
1.1.3 メモリセルアレイの回路構成
メモリセルアレイ10の回路構成の一例について、
図2を用いて説明する。
図2は、実施形態に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図である。
図2では、メモリセルアレイ10に含まれる複数のブロックBLKのうちの1つのブロックBLKが示される。
図2に示す例では、ブロックBLKは、4つのストリングユニットSU0、SU1、SU2、及びSU3を含む。
【0025】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BLk(kは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含む。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1及びST2を含む。メモリセルトランジスタMT0~MT7の各々は、制御ゲート及び電荷蓄積膜を含む。メモリセルトランジスタMT0~MT7の各々は、データを不揮発に保持する。選択トランジスタST1及びST2は、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。なお、以下の説明において、ビット線BL0~BLkを区別しない場合には、ビット線BL0~BLkの各々を、単にビット線BLと呼ぶ。また、メモリセルトランジスタMT0~MT7を区別しない場合には、メモリセルトランジスタMT0~MT7の各々を、単にメモリセルトランジスタMTと呼ぶ。
【0026】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7は、直列に接続される。選択トランジスタST1の第1端は、当該選択トランジスタST1に関連付けられたビット線BLに接続される。選択トランジスタST1の第2端は、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の一端に接続される。選択トランジスタST2の第1端は、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の他端に接続される。選択トランジスタST2の第2端は、ソース線SLに接続される。
【0027】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に接続される。ストリングユニットSU0~SU3内の選択トランジスタST1のゲートはそれぞれ、選択ゲート線SGD0~SGD3に接続される。これに対して、複数の選択トランジスタST2のゲートは、選択ゲート線SGSに共通に接続される。しかしながら、これに限られるものではなく、複数の選択トランジスタST2のゲートは、それぞれストリングユニットSU毎に異なる複数の選択ゲート線SGSに接続されてもよい。なお、以下の説明において、ワード線WL0~WL7を区別しない場合には、ワード線WL0~WL7の各々を、単にワード線WLと呼ぶ。また、選択ゲート線SGD0~SGD3を区別しない場合には、選択ゲート線SGD0~SGD3の各々を、単に選択ゲート線SGDと呼ぶ。
【0028】
ビット線BL0~BLkには、それぞれ異なるカラムアドレスが割り当てられる。各ビット線BLは、複数のブロックBLK間で同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有される。ワード線WL0~WL7は、それぞれブロックBLK毎に設けられる。ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0029】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、例えばセルユニットCUと呼ばれる。例えば、それぞれが1ビットデータを記憶する複数のメモリセルトランジスタMTを含むセルユニットCUの記憶容量が、「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMTが記憶するデータのビット数に応じて、2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0030】
なお、メモリセルアレイ10の回路構成は、以上で説明した構成に限定されない。例えば、各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数は、任意の個数であってよい。各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT、並びに選択トランジスタST1及びST2の個数はそれぞれ、任意の個数であってよい。
【0031】
1.1.4 メモリセルアレイの構造
次に、メモリセルアレイ10の構造について、
図3を用いて説明する。
図3は、実施形態に係る半導体記憶装置1のメモリセルアレイ10の断面構造の一例である。
【0032】
なお、以下で参照される図面において、X方向はビット線BLの延伸方向に対応し、Y方向はワード線WLの延伸方向に対応する。Z1方向は半導体記憶装置1の電極パッドから半導体基板に向かう方向に対応し、Z2方向は半導体記憶装置1の半導体基板から電極パッドに向かう方向に対応する。Z1方向及びZ2方向のいずれかを限定しない場合は、Z方向と記載する。なお、以降の説明において、ある構成要素の電極パッド側の面及び端をそれぞれ、第1面及び第1端と呼ぶ。また、ある構成要素の半導体基板側の面及び端をそれぞれ、第2面及び第2端と呼ぶ。
【0033】
メモリセルアレイ10は、導電体層30A、31、33、34、及び35、複数の導電体層32、絶縁体層50、51、53、複数の絶縁体層52、並びに複数のメモリピラーMPを含む。
図3では、複数のメモリピラーMPのうち4つのメモリピラーMPが示される。また、
図3では、複数の導電体層32、及び複数の絶縁体層52として、8層の導電体層32、及び8層の絶縁体層52が含まれる場合が示される。メモリセルアレイ10は、Z方向において半導体記憶装置1の電極パッドと半導体基板との間に設けられる。
【0034】
導電体層30Aは、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層30Aは、ソース線SLとして使用される。導電体層30Aは、導電材料により構成される。導電材料は、例えば不純物が添加されたN型半導体、又は金属材料である。
【0035】
導電体層30Aの第2面上には、絶縁体層50が積層される。絶縁体層50の第2面上には、導電体層31が積層される。導電体層31は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層31は、選択ゲート線SGSとして使用される。導電体層31は、例えばタングステンを含む。
【0036】
導電体層31の第2面上には、絶縁体層51が積層される。絶縁体層51の第2面上には、8層の導電体層32及び8層の絶縁体層52が、Z1方向に向かって導電体層32、絶縁体層52、・・・、導電体層32、絶縁体層52の順に積層される。導電体層32は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。8層の導電体層32は、Z1方向に沿って導電体層31側から順に、それぞれワード線WL0~WL7として使用される。導電体層32は、例えばタングステンを含む。
【0037】
8層の絶縁体層52のうち最も半導体基板側の絶縁体層52の第2面上には、導電体層33が積層される。導電体層33は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層33は、選択ゲート線SGDとして使用される。導電体層33は、例えばタングステンを含む。導電体層33は、例えば複数の部材SHEによって、ストリングユニットSU毎に電気的に絶縁される。
【0038】
導電体層33の第2面上には、絶縁体層53が積層される。絶縁体層53の第2面上には、導電体層34が積層される。導電体層34は、X方向に沿って延伸して設けられる。導電体層34は、ビット線BLとして機能する。
【0039】
以上のような導電体層30A、31、33、及び34、8層の導電体層32、絶縁体層50、51、及び53、並びに8層の絶縁体層52を含む積層構造は、絶縁体層に囲まれるように設けられる。
図3では、導電体層30Aの第1面に接する絶縁体層54、及び導電体層34の第2面に接する絶縁体層55が示される。絶縁体層54及び55については後述する。なお、
図3には図示しないが、後述するように、導電体層30Aは、例えば導電体層30Aよりも電極パッド側の導電体層を介して周辺回路PERIと電気的に接続される。また、
図3には図示しないが、後述するように、導電体層34は、例えば導電体層34よりも半導体基板側の導電体層を介して周辺回路PERIと電気的に接続される。
【0040】
導電体層34より電極パッド側において、複数のメモリピラーMPが、Z1方向に沿って延伸して設けられる。複数のメモリピラーMPは、導電体層31及び33、並びに8層の導電体層32を貫通する。
【0041】
複数のメモリピラーMPの各々は、例えばコア部材90、半導体膜91、トンネル絶縁膜92、電荷蓄積膜93、ブロック絶縁膜94、及び半導体部95を含む。
【0042】
コア部材90はZ1方向に沿って延伸して設けられる。コア部材90の第1端は、例えば導電体層30Aよりも半導体基板側に位置する。コア部材90の第2端は、例えば導電体層33よりも半導体基板側に位置する。コア部材90は、例えば酸化シリコンを含む。
【0043】
半導体膜91は、コア部材90の側面を覆うように設けられる。半導体膜91の第1端は、コア部材90の第1端を覆う。半導体膜91の第1端は導電体層30Aに接する。半導体膜91の第2端は、コア部材90の第2端よりも半導体基板側に位置する。半導体膜91は、例えばポリシリコンを含む。
【0044】
トンネル絶縁膜92は、半導体膜91の側面を覆う。トンネル絶縁膜92の第2端は、半導体膜91の第2端と同等の高さに位置する。トンネル絶縁膜92は、例えば酸化シリコンを含む。
【0045】
電荷蓄積膜93は、トンネル絶縁膜92の側面を覆う。電荷蓄積膜93の第2端は、半導体膜91の第2端、及びトンネル絶縁膜92の第2端と同等の高さに位置する。電荷蓄積膜93は、電荷を蓄積することが可能な絶縁体を含む。当該絶縁体は、例えば窒化シリコンである。
【0046】
ブロック絶縁膜94は、電荷蓄積膜93の側面を覆う。ブロック絶縁膜94の第2端は、半導体膜91の第2端、トンネル絶縁膜92の第2端、及び電荷蓄積膜93の第2端と同等の高さに位置する。ブロック絶縁膜94は、例えば酸化シリコンを含む。
【0047】
半導体部95は、コア部材90の第2面を覆うように設けられる。半導体部95の側面は、半導体膜91の第2端に覆われる。
【0048】
導電体層35は、Z方向に沿った半導体部95及び導電体層34の間において、半導体部95及び導電体層34のそれぞれに接する。
【0049】
また、複数のメモリピラーMPの各々と導電体層31とが交差した部分は、選択トランジスタST2として機能する。複数のメモリピラーMPの各々と各導電体層32とが交差した部分は、メモリセルトランジスタMTとして機能する。複数のメモリピラーMPの各々と導電体層33とが交差した部分は、選択トランジスタST1として機能する。半導体膜91は、メモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1及びST2のそれぞれのチャネルとして機能する。電荷蓄積膜93は、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層として機能する。
【0050】
1.1.5 半導体記憶装置の構造
以下に、実施形態に係る半導体記憶装置1の構造の一例について説明する。
【0051】
1.1.5.1 半導体記憶装置の断面構造
実施形態に係る半導体記憶装置1の断面構造について、
図4を用いて説明する。
図4は、実施形態に係る半導体記憶装置のXZ平面における断面構造の一例を示す断面図である。
図4では、半導体記憶装置1の一部分の断面構造が示される。
【0052】
半導体記憶装置1は、回路チップ1-1とメモリチップ1-2とが貼合わせられた構造を有する。
【0053】
まず、回路チップ1-1の断面構造について説明する。
【0054】
回路チップ1-1は、半導体基板70、周辺回路PERI、複数の導電体層36、37、38、及び39、埋込み部材BE1及びBE2、並びに絶縁体層56、57、58、59、及び60を含む。なお、以下では、半導体記憶装置1が2つの埋込み部材BEを含む場合を説明するが、これに限られない。半導体記憶装置1は、少なくとも1つの埋込み部材BEを含んでいればよく、3つ以上の埋込み部材BEを含んでもよい。
【0055】
半導体基板70の第1面上には、絶縁体層56が設けられる。絶縁体層56は、例えば酸化シリコンを含む。絶縁体層56内には、周辺回路PERI、並びに複数の導電体層36及び37が設けられる。
【0056】
周辺回路PERIは、半導体基板70の第1面上に設けられる。
図4では、周辺回路PERIに含まれる構成の例として、3つのトランジスタTr1、Tr2、及びTr3が示される。3つのトランジスタTr1、Tr2、及びTr3はそれぞれ、例えばビット線BL、ソース線SL、及び電極パッドに接続される。
【0057】
複数の導電体層36は、導電体層36-1、36-2、及び36-3を含む。導電体層36-1、36-2、及び36-3はそれぞれ、周辺回路PERI内のトランジスタTr1、Tr2、及びTr3に接続される。複数の導電体層36の各々は、柱状のコンタクトとして機能する。
【0058】
複数の導電体層37は、導電体層37-1、37-2、及び37-3を含む。導電体層37-1、37-2、及び37-3はそれぞれ、導電体層36-1、36-2、及び36-3の第1面に接続される。
【0059】
絶縁体層56の第1面上、及び複数の導電体層37の各々の第1面上には、絶縁体層57、58、及び59が、Z2方向に向かってこの順に設けられる。絶縁体層57、58、及び59の各々は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。絶縁体層57は、例えば窒素を有する炭化シリコンを含む。絶縁体層58は、例えば酸化シリコンを含む。絶縁体層59は、例えば窒化シリコンを含む。絶縁体層57、58、及び59が設けられる部分内には、複数の導電体層38、並びに埋込み部材BE1及びBE2が設けられる。
【0060】
複数の導電体層38の各々は、絶縁体層57、58、及び59と交差するように設けられる。これにより、複数の導電体層38の各々は、各絶縁体層57~59に囲まれるように設けられる。複数の導電体層38の各々の第1面は、絶縁体層59の第1面と同等の高さに位置する。複数の導電体層38の各々の第2面は、絶縁体層57の第2面と同等の高さに位置する。複数の導電体層38は、導電体層38-1、38-2、及び38-3を含む。導電体層38-1、38-2、及び38-3はそれぞれ、導電体層37-1、37-2、及び37-3の第1面に接続される。複数の導電体層38の各々は、柱状のコンタクトとして機能する。
【0061】
埋込み部材BE1及びBE2は、互いに離れて設けられる。各埋込み部材BEの第1面は、絶縁体層58の第1面と同等の高さに位置する。各埋込み部材BEの第2面は、絶縁体層58の第2面と同等の高さに位置する。
【0062】
各埋込み部材BEは、例えば高圧縮ストレス部材、又は引張りストレス部材である。
【0063】
高圧縮ストレス部材は、例えば絶縁体層58よりも高い圧縮ストレスを有する。すなわち、高圧縮ストレス部材は、例えば酸化シリコンを含む膜よりも高い圧縮ストレスを有する。また、引張りストレス部材は、引張りストレスを有する。なお、埋込み部材BEとして高圧縮ストレス部材、及び引張りストレス部材がそれぞれ適用される半導体記憶装置1において、用いられる埋込み部材BEの種類以外に異なる点については後述する。以上のように、各埋込み部材BEは、例えば絶縁体層58が有するストレスと異なるストレスを有する。
【0064】
より具体的には、高圧縮ストレス部材は、例えばスパッタリング等のPVD(physical vapor deposition)により形成された窒化シリコンを含む。高圧縮ストレス部材は、例えば-300MPa以下(絶対値300MPa以上)の圧縮ストレスを有する。引張りストレス部材は、例えばCVD(chemical vapor deposition)により形成された窒化シリコンを含む。引張りストレス部材は、例えば絶対値300MPa以上の引張りストレスを有する。PVDにより形成された窒化シリコンは、CVDにより形成された窒化シリコンと比較して、部材中の水素含有率が低い。このため、例えば二次イオン質量分析(secondary ion mass spectrometry)により、PVDにより形成された窒化シリコンと、CVDにより形成された窒化シリコンとを区別することができる。
【0065】
なお、高圧縮ストレス部材として、例えばCVDにより形成された窒化シリコンに、炭素やホウ素等の不純物を添加した部材を用いてもよい。また、高圧縮ストレス部材、又は引張りストレス部材として、窒化シリコンとは異なる材料を用いてもよい。
【0066】
絶縁体層59及び複数の導電体層38の第1面上には、絶縁体層60が設けられる。絶縁体層60は、例えば酸化シリコンを含む。絶縁体層60と同層には、複数の導電体層39が設けられる。複数の導電体層39は、例えば銅を含む。
【0067】
複数の導電体層39は、導電体層39-1、39-2、及び39-3を含む。導電体層39-1、39-2、及び39-3はそれぞれ、導電体層38-1、38-2、及び38-3の第1面に接続される。複数の導電体層39の各々は、当該導電体層39の第1面と、回路チップ1-1の第1面とが面一になるように設けられる。複数の導電体層39の各々は、回路チップ1-1とメモリチップ1-2とを電気的に接続するための接続パッドBPとして機能する。
【0068】
次に、メモリチップ1-2の断面構造について説明する。
【0069】
メモリチップ1-2は、導電体層30B、30C、41、42、43、44A、及び44B、複数の導電体層40、絶縁体層54、55、61、及び62、メモリセルアレイ10、並びに電極パッドPDを含む。
【0070】
メモリチップ1-2において、回路チップ1-1の第1面上に、絶縁体層61が設けられる。絶縁体層61は、例えば酸化シリコンを含む。絶縁体層61と同層には、複数の導電体層40が設けられる。複数の導電体層40は、例えば銅を含む。
【0071】
メモリチップ1-2の第2面において、回路チップ1-1の複数の導電体層39の各々の第1面上に、接続パッドBPとして機能する複数の導電体層40のうちいずれかが設けられる。複数の導電体層40は、導電体層40-1、40-2、及び40-3を含む。導電体層40-1、40-2、及び40-3はそれぞれ、導電体層39-1、39-2、及び39-3の第1面に接続される。これらの構成により、回路チップ1-1とメモリチップ1-2とが、複数の導電体層39及び40によって、電気的に接続される。
【0072】
絶縁体層61及び複数の導電体層40の第1面上には、絶縁体層55が設けられる。絶縁体層55は、例えば酸化シリコンを含む。絶縁体層55内には、導電体層41、42、及び43、並びにメモリセルアレイ10の部分が設けられる。
【0073】
メモリセルアレイ10は、導電体層34が半導体基板70側に配置され、導電体層30Aが電極パッドPD側に配置されるように設けられる。メモリセルアレイ10は、例えば導電体層30Aの第2面が、絶縁体層55の第1面と同等の高さに位置するように設けられる。すなわち、絶縁体層55内には、メモリセルアレイ10のうち、導電体層31、及び33~35、8層の導電体層32、絶縁体層50、51、及び53、8層の絶縁体層52、複数の部材SHE、並びに複数のメモリピラーMP等が設けられる。
【0074】
導電体層40-1の第1面上には、導電体層41が設けられる。導電体層41は、柱状のコンタクトとして機能する。導電体層41の第1面は、導電体層34の第2面に接続される。これにより、導電体層40-1が、導電体層41を介して、ビット線BLに接続される。
【0075】
導電体層40-2の第1面上には、導電体層42が設けられる。導電体層42は、柱状のコンタクトとして機能する。導電体層42は、絶縁体層55をZ方向に貫通する。
【0076】
導電体層40-3の第1面上には、導電体層43が設けられる。導電体層43は、柱状のコンタクトとして機能する。導電体層43は、絶縁体層55をZ方向に貫通する。
【0077】
メモリセルアレイ10に含まれる導電体層30Aは、例えばメモリセルアレイ10の絶縁体層50の第1面上、複数のメモリピラーMPの各々の第1面上、及び絶縁体層55の第1面上に設けられる部分を含む。
【0078】
導電体層30Bは、絶縁体層55の第1面上に設けられる。導電体層30Cは、絶縁体層55の第1面上に設けられる。
【0079】
導電体層30A及び30B、導電体層30A及び30C、並びに導電体層30B及び30Cはそれぞれ、互いに電気的に絶縁される。導電体層30A、30B、及び30Cは、同層に設けられる。
【0080】
導電体層44A及び44Bは、絶縁体層55よりも電極パッドPD側に設けられる。導電体層44A及び44Bは、配線層として機能する。導電体層44A及び44Bは、例えばアルミニウムを含む。導電体層44A及び44Bは、互いに電気的に絶縁される。
【0081】
導電体層44Aは、X方向に沿って延伸する。導電体層44Aは、部分C1、J1、及びC2を含む。部分C1、J1、及びC2は、X方向に沿ってこの順に並ぶ。部分C1は、導電体層42の第1面、及び絶縁体層55の第1面のうち導電体層42の第1面を囲む領域に接する。部分C2は、導電体層30Aの第1面のうち少なくとも一部に接する。部分J1は、導電体層30A及び42の第1面に接しない位置において、部分C1及びC2を電気的に接続する。このような構成により、導電体層44Aは、導電体層30A及び42を電気的に接続する。
【0082】
導電体層44Bは、X方向に沿って延伸する。導電体層44Bは、部分C3及びJ2を含む。部分C3は、導電体層43の第1面、及び絶縁体層55の第1面のうち導電体層43の第1面を囲む領域に接する。部分J2は、導電体層30C及び43の第1面に接しない位置において、部分C3に接続される。
【0083】
電極パッドPDは、導電体層44Bの部分J2の第1面上に設けられる。電極パッドPDは、例えばボンディングワイヤ、はんだボール、金属バンプ等により実装基板や外部機器等に接続され得る。電極パッドPDは、例えば銅を含む。
【0084】
絶縁体層55、並びに導電体層30A、30B、及び30Cの各々の第1面上のうち導電体層44A及び44Bと接しない領域において、部分J1及びJ2の第2面の高さまで、絶縁体層54が設けられる。絶縁体層54は、例えば酸化シリコンを含む。絶縁体層54は、例えば導電体層44A及び30B、導電体層44B及び30A、並びに導電体層44B及び30Cをそれぞれ電気的に絶縁する。
【0085】
導電体層44Aの第1面上、絶縁体層54の第1面上のうち導電体層44A及び44Bに接しない領域、並びに導電体層44Bの第1面上のうち電極パッドPDが設けられる領域以外の領域には、絶縁体層62が設けられる。絶縁体層62は、パッシベーション膜として機能する。絶縁体層62は、例えば窒化シリコンや樹脂材料等を含む。
【0086】
1.1.5.2 埋込み部材と同層における構造
埋込み部材BE1及びBE2、並びに埋込み部材BE1及びBE2と同層に含まれる構造について、
図5を用いて説明する。
図5は、実施形態に係る半導体記憶装置のXY平面における断面構造の一例を示す、
図4のZ方向に沿ったV-V線と同等の高さにおける半導体記憶装置の断面図である。
図5では、半導体記憶装置1全体の断面構造が示される。
【0087】
半導体記憶装置1は、
図5に示す断面において、領域CR、及び複数の領域ORに分割される。
図5において、領域CRは、点線で囲まれる斜線領域である。
【0088】
領域CRは、複数の配線CCが設けられる領域である。複数の配線CCは、複数の導電体層38を含む。また、
図4では図示が省略されるが、複数の配線CCは、例えばワード線WL0~WL7、並びに選択ゲート線SGS及びSGDのそれぞれと、周辺回路PERIとを電気的に接続するコンタクトも含む。領域CRには、例えば複数の配線CC、及び絶縁体層58の第1部分が設けられる。絶縁体層58の第1部分は、複数の配線CCの各々の周囲を囲む。これにより、複数の配線CCの各々は、埋込み部材BEと離れて設けられる。
【0089】
複数の領域ORは、
図5に示す半導体記憶装置1の断面のうち、領域CRを除く領域である。複数の領域ORには、例えば埋込み部材BE1及びBE2、並びに絶縁体層58の第2部分が設けられる。絶縁体層58の第2部分は、例えば絶縁体層58のうち、絶縁体層58の第1部分を除く部分である。
【0090】
複数の領域ORについて、より具体的には、
図5に示す例において、複数の領域ORは、例えば領域OR1、OR2、及びOR3を含む。各領域OR1及びOR2は、領域CRによって囲まれる。各領域OR1及びOR2は、例えばX方向に平行な辺、及びY方向に平行な辺を有する矩形状に設けられる。領域OR3は、領域CRを囲む部分である。
【0091】
埋込み部材BE1及びBE2について、より具体的には、各埋込み部材BE1及びBE2は、例えばX方向に平行な辺、及びY方向に平行な辺を有する矩形状に設けられる。埋込み部材BE1は、例えば領域OR1に配置される。埋込み部材BE2は、例えば領域OR2に配置される。
【0092】
埋込み部材BE1及びBE2は、例えばZ方向に見て、半導体記憶装置1の構成のうち反りが発生し易い構成と少なくとも一部が重なるように設けられてもよい。当該反りが発生し易い構成は、例えばメモリセルアレイ10である。実施形態において、例えば埋込み部材BE1の部分が、メモリセルアレイ10と重なるように設けられる。
【0093】
なお、実施形態では、埋込み部材BEが領域CRによって囲まれる各領域ORに設けられる場合を示したが、これに限られない。埋込み部材BEは、例えば領域CRの外側の領域OR3に配置されてもよい。
【0094】
また、
図5では、半導体記憶装置1が1つの領域CRを含む場合を示したが、これに限られない。半導体記憶装置1は、2つ以上の領域CRを含んでもよい。
【0095】
また、
図5では、半導体記憶装置1が、領域CRによって囲まれる2つの領域ORを含む場合を示したが、これに限られない。半導体記憶装置1は、領域CRによって囲まれる領域ORを含まなくてもよいし、領域CRによって囲まれる1つの領域OR、又は3つ以上の領域ORを含んでもよい。
【0096】
また、領域CRによって囲まれる各領域ORの形状は、矩形状に限られない。各領域ORは、例えば多角形状に設けられてもよい。また、各埋込み部材BEの形状についても、各領域ORの形状と同様に、矩形状に限られない。各埋込み部材BEも、例えば多角形状に設けられてもよい。
【0097】
また、
図5に示す例では、各埋込み部材BEが絶縁体層58の第2部分によって囲まれる。すなわち、各埋込み部材BEは領域CRと接しない。しかしながら、これに限られない。各埋込み部材BEは、領域CRと接して設けられてもよい。すなわち、例えば埋込み部材BE1及びBE2がそれぞれ、領域OR1及びOR2全体に設けられてもよい。上述のように、領域CRにおいて、複数の配線CCの各々が絶縁体層58の第1部分に囲まれるため、複数の配線CCの各々と、埋込み部材BE1及びBE2とは接しない。
【0098】
1.1.5.3 接続パッドの断面構造
次に、
図6を参照して、接続パッドBPの断面構造について説明する。
図6は、実施形態に係る接続パッドBPの断面構造の一例を示す断面図である。なお、以下では、導電体層39-1と導電体層40-1とが接続される部分について説明されるが、その他の複数の導電体層39の各々、及び当該導電体層39に対応する導電体層40とが接続される部分に関しても同様である。
【0099】
回路チップ1-1とメモリチップ1-2とが貼合わせられる貼合面において、導電体層39-1の面積と導電体層40-1の面積とは、例えば、略等しい。このような場合、導電体層39-1及び40-1に銅を用いると、導電体層39-1の銅と導電体層40-1の銅とが一体化して、互いの銅の境界の確認が困難となり得る。ただし、貼合わせの位置ずれによる導電体層39-1と導電体層40-1とを貼合わせた形状の歪み、銅のバリアメタルの位置ずれ(側面における不連続箇所の発生)により貼合わせが確認できる。
【0100】
また、導電体層39-1及び40-1をダマシン法により形成する場合、それぞれの側面はテーパー形状を有する。これにより、導電体層39-1の側壁と、導電体層40-1の側壁とは、直線状にはならない。このため、導電体層39-1と導電体層40-1とを貼合わせた部分におけるZ方向に沿った断面の形状は、非矩形状となる。
【0101】
また、導電体層39-1と導電体層40-1とを貼合わせた場合、これらを形成する銅の底面、側面、及び上面をバリアメタルが覆う構造となる。これに対し、銅を用いた一般的な配線層では、銅の上面に銅の酸化防止機能を有する絶縁体層(窒化シリコンまたは窒素を有する炭化シリコン等)が設けられ、バリアメタルは設けられない。このため、貼合わせの位置ずれが発生していなくても、一般的な配線層との区別は可能である。
【0102】
1.2 半導体記憶装置の製造方法
半導体記憶装置1の製造方法について、
図7~
図18を用いて説明する。
図7、及び
図9~
図18は、実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10の製造途中の構造の一例を示す断面図である。
図7、及び
図9~
図18に示す断面図は、
図4に対応する領域を示す。
図8は、
図5に対応する領域を形成するためのマスクを示す上面図である。
【0103】
まず、
図7に示すように、半導体基板70の第1面上に周辺回路PERI、複数の導電体層36及び37が形成される。また、周辺回路PERI、並びに複数の導電体層36及び37を埋めるように、複数の導電体層37の各々の第1面と同等の高さまで絶縁体層56が形成される。また、複数の導電体層37の第1面上、及び絶縁体層56の第1面上に、絶縁体層57及び58がZ2方向に向かってこの順に形成される。
【0104】
次に、
図8に示すように、形成された絶縁体層58の第1面上に、2つの開口部OPを含むマスクM1が形成される。2つの開口部OPは、埋込み部材BE1及びBE2に対応して設けられる。
【0105】
そして、
図9に示すように、形成されたマスクM1を用いた異方性エッチングによって、絶縁体層58のうち、埋込み部材BE1及びBE2に対応する領域が除去される。本工程における異方性エッチングは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)である。その後、マスクM1は除去される。
【0106】
それから、マスクM1を用いた異方性エッチングによって除去された空間が、埋込み部材BEによって埋込まれる。形成される予定の埋込み部材BEが、高圧縮ストレス部材として機能する窒化シリコンである場合、当該埋込み部材BEは、例えばPVDにより形成される。形成される予定の埋込み部材BEが、引張りストレス部材として機能する窒化シリコンである場合、上記埋込み部材BEは、例えばCVDにより形成される。また、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)によって、上述のように埋込まれた埋込み部材BEの上面が平坦化される。これにより、
図10に示すように、埋込み部材BE1及びBE2が形成される。また、埋込み部材BE1及びBE2、並びに絶縁体層58のそれぞれの第1面上に絶縁体層59が形成される。
【0107】
次に、
図11に示すように、複数の導電体層38に対応する開口部を含むマスクM2を用いた異方性エッチングによって、複数の導電体層38が形成される予定の領域のうち、絶縁体層58及び59と同層に含まれる部分が除去される。本工程における異方性エッチングは、例えば、RIEである。その後、マスクM2は除去される。
【0108】
そして、マスクM2を用いた異方性エッチングによって除去された空間を含む絶縁体層59の第1面上に絶縁部材が形成される。また、
図12に示すように、複数の導電体層39に対応する開口部を含むマスクM3を用いた異方性エッチングによって、例えばZ方向に見て当該開口部と重なる絶縁体層59の部分を残しつつ、絶縁体層57及び絶縁部材のうち、複数の導電体層38が形成される予定の領域、及び複数の導電体層39が形成される予定の領域が一括して除去される。これにより、当該除去する処理の後の絶縁部材の部分が、絶縁体層60とされる。本工程における異方性エッチングは、例えばRIEである。本工程における異方性エッチングでは、例えば絶縁体層57及び絶縁部材のエッチングレートを絶縁体層59のエッチングレートよりも高くすることで、絶縁体層59がストップ膜として機能する。その後、マスクM3は除去される。
【0109】
それから、
図13に示すように、複数の導電体層38及び39が一括して形成される。
【0110】
以上の工程により、回路チップ1-1が形成される。
【0111】
次に、
図14に示すように、半導体基板100の第2面上に導電体層30、メモリセルアレイ10のうち導電体層30Aを除く部分、導電体層41~43、複数の導電体層40、並びに絶縁体層55及び61が形成される。導電体層30は、導電体層30A、30B、及び30Cに対応する部分を含む。本工程により、メモリチップ1-2の部分が形成される。
【0112】
そして、
図15に示すように、回路チップ1-1とメモリチップ1-2とが、貼合処理によって、貼合わせられる。より具体的には、回路チップ1-1の一端に含まれ、接続パッドBPとして機能する複数の導電体層39と、メモリチップ1-2の一端に含まれ、接続パッドBPとして機能する複数の導電体層40と、が対向するように配置される。また、熱処理によって対向する接続パッドBP同士が接合される。その後、半導体基板100が除去される。
【0113】
それから、
図16に示すように、導電体層30A、30B、及び30C、並びに絶縁体層54が形成される。より具体的には、例えばリソグラフィ及びエッチングを用いた処理等によって、導電体層30が、導電体層30A、30B、及び30Cに分離される。また、導電体層30A、30B、及び30Cの第1面上、絶縁体層55の第1面上のうち導電体層42及び43を囲む部分、並びに導電体層42及び43の第1面上に絶縁体が堆積される。また、例えばリソグラフィ及びエッチングを用いた処理等によって、当該堆積された絶縁体のうち、導電体層44Aの部分C1及びC2、並びに導電体層44Bの部分C3がそれぞれ形成される予定の領域が除去される。これにより、絶縁体層54が形成される。
【0114】
次に、
図17に示すように、導電体層44A及び44Bが形成される。より具体的には、絶縁体層54の第1面上、導電体層42及び43の第1面上、並びに導電体層30Aの第1面上及び絶縁体層55の第1面のうち絶縁体層54が設けられない部分に、導電体層44が、Z方向に沿った厚さが略一様となるように形成される。そして、例えばリソグラフィ及びエッチングを用いた処理等によって、当該形成された導電体層44が導電体層44A及び44Bに分離される。本工程により、導電体層44Aの部分C1、C2、及びJ1、並びに導電体層44Bの部分C3及びJ2が形成される。
【0115】
次に、
図18に示すように、電極パッドPD、及び電極パッドPDの第1面に開口部を有する絶縁体層62が形成される。より具体的には、まず、部分J2の第1面上に、電極パッドPDが形成される。そして、半導体記憶装置1の第1端に、電極パッドPDが設けられる領域を除いて、絶縁体層62が形成される。
【0116】
なお、以上で説明した製造工程はあくまで一例であり、各製造工程の間にはその他の処理が挿入されてもよいし、製造工程の順番が入れ替えられてもよい。例えば、回路チップ1-1及びメモリチップ1-2は、互いに異なる半導体基板を用いて形成されるため、
図7~
図13に示される回路チップ1-1を形成する工程と、
図14に示されるメモリチップ1-2の部分を形成する工程とは、並行して進められ得る。
【0117】
1.3 効果
実施形態によれば、半導体記憶装置1の歩留まりの低下を抑制することができる。実施形態の効果について、以下に説明する。
【0118】
実施形態によれば、半導体記憶装置1は、回路チップ1-1において、接続パッドBPとして機能する複数の導電体層39にそれぞれ接する複数の導電体層38と交差する絶縁体層58と同層において、埋込み部材BEを含む。埋込み部材BEは、絶縁体層58とは異なるストレスを有する、高圧縮ストレス部材、又は引張りストレス部材である。これにより、半導体記憶装置1の反りの大きさの増大を抑制することができる。このため、半導体記憶装置1の反りによる不良の発生を抑制することができる。したがって、半導体記憶装置1の歩留まりの低下を抑制することができる。
【0119】
補足すると、半導体基板上に複数の層が積層された三次元積層型構造に起因して、半導体記憶装置のうち半導体基板を除く部分が、X方向及びY方向のそれぞれに沿った半導体記憶装置の反りを発生させることがある。例えば製造工程における半導体基板を薄くする処理によって、当該処理の前において半導体基板によって抑制されていた半導体記憶装置の反りが顕著になることがある。すなわち、半導体記憶装置のうち半導体基板を除く部分の半導体記憶装置の反りへの影響が相対的に大きくなることで、半導体記憶装置の反りの大きさが大きくなることがある。これにより、半導体記憶装置が、上に凸の形状、又は下に凸の形状になることがある。このため、例えば電極パッドの接続不良や、絶縁体層が破壊されることによる異なる配線間のショートが発生することがある。
【0120】
実施形態によれば、半導体記憶装置1は、回路チップ1-1内に埋込み部材BEを含む。これにより、例えば埋込み部材を含まない半導体記憶装置が上に凸に反る傾向を有する場合に、半導体記憶装置1が高圧縮ストレス部材である埋込み部材BEを有することで、半導体記憶装置1の反りを抑制することができる。また、例えば埋込み部材を含まない半導体記憶装置が下に凸に反る傾向を有する場合に、半導体記憶装置1が引張りストレス部材である埋込み部材BEを有することで、半導体記憶装置1の反りを抑制することができる。
【0121】
また、実施形態に係る半導体記憶装置1において、埋込み部材BEは、複数の導電体層38が設けられる高さの範囲内に設けられる。このような構成であれば、例えば埋込み部材が絶縁体層55内に設けられる場合、及び埋込み部材が絶縁体層56内に設けられる場合と比べて、埋込み部材BEの配置が容易である。補足すると、例えば絶縁体層56内に設けられる配線は、回路チップ1-1とメモリチップ1-2とを電気的に接続する際に、回路チップ1-1内における電気的な接続が効率的になるように配置される。また、例えば絶縁体層55内に設けられる配線は、絶縁体層56内に設けられる配線と同様に、メモリチップ1-2内における電気的な接続が効率的になるように配置される。これらのことから、絶縁体層55及び56内に設けられる配線は、複雑に配置され得る。このため、埋込み部材が絶縁体層55内に設けられる場合、及び埋込み部材が絶縁体層56内に設けられる場合にそれぞれ、埋込み部材の構造及び配置が複雑になる可能性がある。また、埋込み部材を配置する領域の確保が困難になる可能性がある。一方、複数の導電体層38の配置は、接続パッドBPとして機能する複数の導電体層39及び40の配置によって一義的に決まる。接続パッドBPは、例えば回路チップ1-1とメモリチップ1-2との貼合わせを容易にするために、絶縁体層55及び56内に設けられる配線と比べて、単純に配置される。これらのことから、実施形態に係る半導体記憶装置1であれば、埋込み部材BEの構造や配置が複雑になること、及び埋込み部材BEを配置する領域の確保が困難になることがない。
【0122】
また、実施形態によれば、埋込み部材BEは、Z方向に見て、半導体記憶装置1の構成のうち反りが発生し易い構成と少なくとも一部が重なるように設けられ得る。これにより、当該反りが発生し易い構成に起因する半導体記憶装置1の反りを効果的に抑制することができる。より具体的に、Z方向に見て、埋込み部材BEがメモリセルアレイ10の少なくとも一部分と重なるように設けられていれば、メモリセルアレイ10に起因する半導体記憶装置1の反りを効果的に抑制することができる。
【0123】
2 変形例
上述の実施形態は、種々の変形が可能である。以下に、変形例に係る半導体記憶装置について説明する。
【0124】
2.1 第1変形例
上述の実施形態では、各領域OR1及びOR2において、埋込み部材BEが1つの矩形状に設けられる場合を示したが、これに限られない。半導体記憶装置は、各領域OR1及びOR2において、互いに離れてライン状に設けられる複数の埋込み部材BEを含むように構成されてもよい。以下の説明では、第1変形例に係る半導体記憶装置1の構成及び製造方法について、実施形態に係る半導体記憶装置1の構成及び製造方法と異なる点について主に説明する。
【0125】
第1変形例に係る半導体記憶装置1の断面構造について、
図19及び
図20を用いて説明する。
図19は、実施形態の
図4に示される半導体記憶装置の断面構造に対応する。
図20は、第1変形例に係る半導体記憶装置のXY平面における断面構造の一例を示す、
図19のZ方向に沿ったXX-XX線と同等の高さにおける半導体記憶装置の断面図である。
図19は、実施形態の
図4と同様に、半導体記憶装置1の一部分のXZ平面における断面構造が示される。
図20は、実施形態の
図5と同様に、半導体記憶装置1全体の断面構造に対応する。
【0126】
図19に示すように、半導体記憶装置1は、複数の埋込み部材BE1及びBE2を含む。
図19に示す断面では、5つの埋込み部材BE1、及び3つの埋込み部材BE2が示される。
【0127】
図20に示すように、複数の埋込み部材BE1及びBE2の各々は、例えばX方向及びY方向のそれぞれに沿う辺を有するライン状に設けられる。複数の埋込み部材BE1及びBE2の各々は、ワード線WLの延伸方向に沿って延伸する。複数の埋込み部材BE1及びBE2はそれぞれ、互いに離間する。複数の埋込み部材BE1は、例えばX方向に沿って略一定の間隔で配置される。また、複数の埋込み部材BE2は、例えばX方向に沿って略一定の間隔で配置される。
【0128】
第1変形例に係る半導体記憶装置1の製造方法は、実施形態の
図8に示す工程におけるマスクM1の形状が異なることを除き、実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法と同様である。
【0129】
第1変形例によっても、実施形態と同等の効果が奏される。
【0130】
また、第1変形例によれば、複数の埋込み部材BE1及びBE2の各々は、ワード線WLの延伸方向に沿って延伸する。これにより、例えば半導体記憶装置1がメモリセルアレイ10のワード線WLの延伸方向に沿って反りが発生し易い場合に、半導体記憶装置1の反りの大きさの増大を効果的に抑制することができる。
【0131】
2.2 第2変形例
上述の第1変形例では、複数の埋込み部材BE1及びBE2の各々がY方向に延伸する場合を示したが、これに限られない。複数の埋込み部材BE1及びBE2の各々は、X方向に延伸してもよい。以下の説明では、第2変形例に係る半導体記憶装置1の構成及び製造方法について、実施形態に係る半導体記憶装置1の構成、及び第1変形例に係る半導体記憶装置1の構成及び製造方法と異なる点について主に説明する。
【0132】
第2変形例に係る半導体記憶装置1の断面構造について、
図21を用いて説明する。
図21は、第2変形例に係る半導体記憶装置のXY平面における断面構造の一例を示す断面図である。
図21は、実施形態の
図5に示される半導体記憶装置の断面構造に対応する。なお、第2変形例に係る半導体記憶装置1のXZ平面における断面構造は、実施形態に係る半導体記憶装置1のXZ平面における断面構造と同等である。
【0133】
図21に示すように、複数の埋込み部材BE1及びBE2の各々は、例えばX方向及びY方向のそれぞれに沿う辺を有するライン状に設けられる。複数の埋込み部材BE1及びBE2の各々は、ビット線BLの延伸方向に沿って延伸する。複数の埋込み部材BE1及びBE2はそれぞれ、互いに離間する。複数の埋込み部材BE1は、例えばY方向に沿って略一定の間隔で配置される。また、複数の埋込み部材BE2は、例えばY方向に沿って略一定の間隔で配置される。
【0134】
第2変形例に係る半導体記憶装置1の製造方法は、実施形態の
図8に示す工程におけるマスクM1の形状が異なることを除き、実施形態及び第1変形例に係る半導体記憶装置の製造方法と同様である。
【0135】
第2変形例によっても、実施形態と同等の効果が奏される。
【0136】
また、第2変形例によれば、複数の埋込み部材BE1及びBE2の各々は、ビット線BLの延伸方向に沿って延伸する。これにより、例えば半導体記憶装置1がメモリセルアレイ10のビット線BLの延伸方向に沿って反りが発生し易い場合に、半導体記憶装置1の反りの大きさの増大を効果的に抑制することができる。
【0137】
2.3 第3変形例
上述の実施形態、第1変形例、及び第2変形例では、各埋込み部材BEが、回路チップ1-1内に設けられる場合を示したが、これに限られない。各埋込み部材BEは、メモリチップ1-2内に設けられてもよい。以下の説明では、第3変形例に係る半導体記憶装置1の構成及び製造方法について、実施形態に係る半導体記憶装置1の構成及び製造方法と異なる点について主に説明する。
【0138】
第3変形例に係る半導体記憶装置1の構成について、
図22を用いて説明する。
図22は、第3変形例に係る半導体記憶装置のXZ平面における断面構造の一例を示す断面図である。
図22に示される断面図は、
図4に示される断面図に対応する。
【0139】
第3変形例に係る回路チップ1-1は、半導体基板70、周辺回路PERI、複数の導電体層36、37、38、及び39、並びに絶縁体層56及び60を含む。すなわち、第3変形例に係る回路チップ1-1は、絶縁体層57~59、並びに埋込み部材を含まない。第3変形例に係る回路チップ1-1の構造は、絶縁体層57~59、並びに埋込み部材を含まないことを除いて、実施形態に係る回路チップ1-1と同様である。
【0140】
第3変形例に係るメモリチップ1-2は、導電体層30B、30C、41、42、43、44A、及び44B、複数の導電体層40、絶縁体層54、55、61、及び62、メモリセルアレイ10、並びに電極パッドPDに加えて、複数の導電体層45及び46、絶縁体層63、64、及び65、並びに埋込み部材BE3及びBE4を含む。
【0141】
絶縁体層61の第1面上、及び複数の導電体層40の各々の第1面上には、絶縁体層63、64、及び65が、Z2方向に向かってこの順に設けられる。絶縁体層63、64、及び65の各々は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。絶縁体層63は、例えば窒化シリコンを含む。絶縁体層64は、例えば酸化シリコンを含む。絶縁体層65は、例えば窒素を有する炭化シリコンを含む。絶縁体層63、64、及び65が設けられる部分内には、複数の導電体層45、並びに埋込み部材BE3及びBE4が設けられる。
【0142】
複数の導電体層45の各々は、絶縁体層63、64、及び65と交差するように設けられる。これにより、複数の導電体層45の各々は、各絶縁体層63~65に囲まれるように設けられる。複数の導電体層45の各々の第1面は、絶縁体層65の第1面と同等の高さに位置する。複数の導電体層45の各々の第2面は、絶縁体層63の第2面と同等の高さに位置する。複数の導電体層45は、導電体層45-1、45-2、及び45-3を含む。導電体層45-1、45-2、及び45-3はそれぞれ、導電体層40-1、40-2、及び40-3の第1面に接続される。複数の導電体層45の各々は、柱状のコンタクトとして機能する。
【0143】
埋込み部材BE3及びBE4は、互いに離れて設けられる。各埋込み部材BEの第1面は、絶縁体層64の第1面と同等の高さに位置する。各埋込み部材BEの第2面は、絶縁体層64の第2面と同等の高さに位置する。上述のように、複数の導電体層45の各々は、絶縁体層64に囲まれるため、埋込み部材BE3及びBE4はそれぞれ、複数の導電体層45の各々と離れて設けられる。
【0144】
絶縁体層65の第1面上、及び複数の導電体層45の各々の第1面上には、絶縁体層55が設けられる。絶縁体層55内には、導電体層41、42、及び43、並びにメモリセルアレイ10の部分に加えて、複数の導電体層46が設けられる。
【0145】
複数の導電体層46は、導電体層46-1、46-2、及び46-3を含む。導電体層46-1、46-2、及び46-3はそれぞれ、導電体層45-1、45-2、及び45-3の第1面に接続される。
【0146】
導電体層46-1の第1面上には、導電体層41が設けられる。
【0147】
導電体層46-2の第1面上には、導電体層42が設けられる。
【0148】
導電体層46-3の第1面上には、導電体層43が設けられる。
【0149】
埋込み部材BE3及びBE4、並びに埋込み部材BE3及びBE4と同層における断面構造は、埋込み部材BE1及びBE2を含む代わりに、埋込み部材BE3及びBE4を含むことと、埋込み部材BE3及びBE4が回路チップ1-1に含まれる代わりに、メモリチップ1-2に含まれることとを除き、
図5に示される実施形態に係る半導体記憶装置のXY平面における断面構造と実質的に同等である。
【0150】
第3変形例に係る半導体記憶装置1の製造方法について、
図23を用いて説明する。
図23は、第3変形例に係る半導体記憶装置が備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を説明するための断面図である。
【0151】
第3変形例に係る半導体記憶装置1の製造方法におけるメモリチップ1-2の製造工程において、
図23に示すように、半導体基板100の第2面上に導電体層30、メモリセルアレイ10のうち導電体層30Aを除く部分、導電体層41~43、複数の導電体層46、並びに絶縁体層65が形成される。
【0152】
次に、複数の導電体層40及び45、絶縁体層61、63、及び64、並びに埋込み部材BE3及びBE4をそれぞれ、実施形態における複数の導電体層39及び38、絶縁体層60、59、及び58、並びに埋込み部材BE1及びBE2と同様に形成する。
【0153】
第3変形例における回路チップ1-1の製造方法は、絶縁体層57~59、並びに埋込み部材BE1及びBE2が形成されないことを除き、実施形態における回路チップ1-1の製造方法と同様である。
【0154】
また、回路チップ1-1及びメモリチップ1-2を製造した後の工程は、
図15~
図18を用いて説明される実施形態の製造方法と実質的に同等である。
【0155】
第3変形例によっても、実施形態、第1変形例、及び第2変形例と同等の効果が奏される。第3変形例は、別の変形例と組み合わせられることも可能である。すなわち、埋込み部材BE3及びBE4、並びに埋込み部材BE3及びBE4と同層における断面構造は、
図20に示される第1変形例に係る半導体記憶装置のXY平面における断面構造、または
図21に示される第2変形例に係る半導体記憶装置のXY平面における断面構造と実質的に同等であってもよい。
【0156】
また、第3変形例に係る半導体記憶装置1において、埋込み部材BEは、複数の導電体層45が設けられる高さの範囲内に設けられる。このような構成であれば、実施形態に係る半導体記憶装置と同様の理由により、埋込み部材BEの配置が容易である。
【0157】
3 その他
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0158】
1…半導体記憶装置、2…メモリコントローラ、3…メモリシステム、10…メモリセルアレイ、11…コマンドレジスタ、12…アドレスレジスタ、13…シーケンサ、14…ドライバモジュール、15…ロウデコーダモジュール、16…センスアンプモジュール、70、100…半導体基板、30~~43、44A、44B、45、46…導電体層、50~65…絶縁体層、BE、BE1、BE2、BE3、BE4…埋込み部材、M…マスク、BLK…ブロック、SU…ストリングユニット、NS…NANDストリング、MT…メモリセルトランジスタ、ST1、ST2…選択トランジスタ、BL…ビット線、WL…ワード線、SGS、SGD…選択ゲート線、SHE…部材。