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特開2024-43168畝管理方法、畝管理システム、及び畝管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043168
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】畝管理方法、畝管理システム、及び畝管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240322BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148198
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】吉峰 拓海
(72)【発明者】
【氏名】三谷 英樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】作業者による畝の位置の特定を支援する。
【解決手段】畝管理方法は、圃場400内に形成された複数の畝450の位置に基づき、第1方向において、基準位置からの複数の畝450の順番に応じて、複数の畝450を識別する畝番号を決定することを含む。また、畝管理方法は、複数の畝450の畝番号を表す対象位置情報を出力することを含む。第1方向は、複数の畝450が延びる方向に直交してもよい。対象位置情報は、畝番号を用いて圃場400内の位置を表してもよい。この場合、畝管理方法は、畝番号を用いて圃場400内の位置を表す対象位置情報を決定してもよい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場内に形成された複数の畝の位置に基づき、第1方向において、基準位置からの前記複数の畝の順番に応じて、前記複数の畝を識別する畝番号を決定することと、
前記複数の畝の前記畝番号を表す対象位置情報を出力することと、
を含む畝管理方法。
【請求項2】
前記第1方向は、前記複数の畝が延びる方向に直交する
請求項1に記載の畝管理方法。
【請求項3】
前記対象位置情報は、前記畝番号を用いて前記圃場内の位置を表し、
前記畝番号を用いて前記圃場内の位置を表す前記対象位置情報を決定することをさらに含む
請求項1に記載の畝管理方法。
【請求項4】
前記対象位置情報は、前記圃場内の位置を、前記第1方向について前記畝番号を用いて表し、前記複数の畝の延びる方向について畝の端からの距離を用いて表す
請求項3に記載の畝管理方法。
【請求項5】
前記基準位置は、前記圃場内に設けられた設備の位置を表す
請求項1から4のいずれか1項に記載の畝管理方法。
【請求項6】
前記畝番号を決定することは、
前記複数の畝の延びる方向が第1軸方向を表すように、前記複数の畝の位置を表す座標を決定することと、
前記第1軸方向に直交する第2軸方向において、前記複数の畝の位置を表す前記座標に基づき、前記畝番号を決定することと、
を含む請求項1に記載の畝管理方法。
【請求項7】
前記圃場内を移動して作業を行う作業装置の状態を表す稼働情報に基づき、前記複数の畝の位置を決定することを含む
請求項1に記載の畝管理方法。
【請求項8】
圃場内に形成された複数の畝の位置に基づき、第1方向において、基準位置からの前記複数の畝の順番に応じて、前記複数の畝を識別する畝番号を決定する番号決定部と、
前記複数の畝の前記畝番号を表す対象位置情報を出力する出力部と、
を備える畝管理システム。
【請求項9】
圃場内に形成された複数の畝の位置に基づき、第1方向において、基準位置からの前記複数の畝の順番に応じて、前記複数の畝を識別する畝番号を決定することと、
前記複数の畝の前記畝番号を表す対象位置情報を出力することと、
を演算装置に実行させる畝管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畝管理方法、畝管理システム、及び畝管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、畝が設けられた圃場において行われた作業に関する情報を用いて栽培管理の分析を行うことが研究されている。特許文献1には、圃場内に設けられた畝で作物を栽培するときに、栽培している作物の種類と、カメラ等で撮影した作物の生育状況と、畝の位置とを関連付けて端末等に表示する技術が開示されている。これにより、作物への害虫の発生を画面で確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6512463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、作業者は、圃場において害虫が発生している作物を確認するとき、端末の画面を確認しても、複数の畝が並んでいるため、端末で表示された畝から、対象の作物が植えられている畝を特定するのが難しい場合がある。特に、画面を表示できないとき、作業者は、対象の作物を確認するのに困難を伴う。
【0005】
上記の状況に鑑み、本開示は、畝の位置に基づき、畝を識別するための番号を付与することで、圃場において、作業者による畝の位置の特定を支援することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0007】
上記目的を達成するための一実施の形態による畝管理方法は、圃場(400)内に形成された複数の畝(450)の位置に基づき、第1方向において、基準位置からの複数の畝(450)の順番に応じて、複数の畝(450)を識別する畝番号を決定することを含む。また、畝管理方法は、複数の畝(450)の畝番号を表す対象位置情報を出力することを含む。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態による畝管理システム(1000)は、番号決定部(160)と、出力部(180)とを含む。番号決定部(160)は、圃場(400)内に形成された複数の畝(450)の位置に基づき、第1方向において、基準位置からの複数の畝(450)の順番に応じて、複数の畝(450)を識別する畝番号を決定する。出力部(180)は、複数の畝(450)の畝番号を表す対象位置情報を出力する。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による畝管理プログラム(310)は、圃場(400)内に形成された複数の畝(450)の位置に基づき、第1方向において、基準位置からの複数の畝(450)の順番に応じて、複数の畝(450)を識別する畝番号を決定することを演算装置(120、220)に実行させる。また、畝管理プログラム(310)は、複数の畝(450)の畝番号を表す対象位置情報を出力することを演算装置(120、220)に実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上記の形態によれば、ユーザは畝の位置を容易に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施の形態における畝管理システムの構成図である。
図2】一実施の形態における畝管理システムにより管理される圃場の一例を説明するための図である。
図3】一実施の形態における畝管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
図4】一実施の形態における畝管理システムによる処理を表すフローチャートである。
図5】一実施の形態における端末が表示する圃場画像を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態)
本発明の本実施の形態による畝管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、図1に示すように、畝管理システム1000は、畝管理装置100と、端末200とを備える。畝管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、端末200と、作業装置30と通信可能に接続されている。作業装置30は、例えば畝整形機や植付作業機を装着したトラクタ、単体で移動できる移植機、播種機などを含む。また、作業装置30は、植付作業機以外の作業機を装着したトラクタ、播種機、収穫機や農薬散布機(スプレーヤ)などを含んでもよい。
【0013】
作業装置30は、圃場内を移動して作業を行うとき、作業装置30の状態、例えば速度、操舵角などを表す稼働情報を取得する。取得された稼働情報は、畝管理装置100に出力される。稼働情報は、例えば、作業装置30が圃場内を移動して作業を行うときの各時刻の位置を表す位置情報を含む。各時刻における位置は、作業装置30に設けられた測位装置、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機により測定される。
【0014】
また、稼働情報は、例えば作業装置30の各機械の状態、例えばエンジンの回転数、各種クラッチのON/OFF状況などを表す情報を含んでもよい。例えば、作業装置30が作業機械を牽引する車両、例えばトラクタであるとき、稼働情報には、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ高さやリフトアーム角度などの情報が含まれてもよい。
【0015】
畝管理システム1000は、作業装置30の稼働情報に基づき、図2に示すように、圃場400内に設けられた複数の畝450の位置を決定する。例えば、畝管理システム1000は、作業装置30が移動した移動軌跡500に基づき、複数の畝450の位置を決定する。ここで、発明者らは、作業装置30が第1方向の順番で畝450の作業を行わない場合があることを見出した。例えば、図2に示すように、作業装置30は、第1畝450-1、第4畝450-4、第2畝450-2、第5畝450-5、第3畝450-3の順番で作業を行う場合がある。
【0016】
畝管理システム1000は、作業装置30が時間的に早い順番で畝450を管理する場合がある。一方、ユーザ、例えば作業者は、一般に、圃場400において、基準位置、例えば圃場400の端から第1方向に並んでいる畝450の順番を用いて、畝450の位置を特定する。例えば、作業者は、圃場400の一部において発見された生育不良の作物を確認する場合、基準位置、例えば圃場400の端から畝450の数を数えて、生育不良の作物が植えられている畝450の位置に移動する。続いて、作業者は、畝450において、生育不良の作物が植えられている位置に移動することで、作物の状態を確認する。
【0017】
このため、畝管理システム1000は、畝450の位置に基づき、畝450を特定する畝番号を決定する。畝管理システム1000は、畝番号を用いて、畝450の位置をユーザに報知する。これにより、ユーザは、圃場400において、畝450の位置を容易に特定することができる。
【0018】
なお、ユーザに報知する対象の位置、例えば生育不良の作物の位置、障害物の位置、病虫獣害の位置などは、畝管理システム1000に予め記憶されている。例えば、畝管理システム1000には、作業装置30が作業を行っているときに撮影した画像が、撮影した位置と関連付けられて記憶されている。撮像された画像に基づき、撮像された位置が対象の位置として記憶されている。
【0019】
(畝管理システムの構成)
図1に示す畝管理システム1000に含まれる畝管理装置100の構成を説明する。畝管理装置100は、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。畝管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0020】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、作業装置30から取得する稼働情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末200に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0021】
記憶装置140は、圃場400において、畝450の位置の報知に用いられる畝番号を決定するための様々なデータ、例えば圃場データ300と、畝管理プログラム310とを格納する。記憶装置140は、畝管理プログラム310を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。畝管理プログラム310は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0022】
圃場データ300は、圃場400に関する情報を格納する。例えば、圃場データ300は、圃場400の位置、領域を格納する。また、圃場データ300は、圃場400に設けられた畝450に関する畝情報、例えば畝450の位置、長さ、畝450の延びる方向などを格納する。また、圃場データ300は、圃場400における対象の位置、例えば生育不良の作物の位置を表す情報を格納する。
【0023】
演算装置120は、畝管理プログラム310を記憶装置140から読み出し実行して、圃場400において、畝450の位置の報知に用いられる畝番号を決定するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0024】
演算装置120は、畝管理プログラム310を読み出し実行することで、図3に示すように、畝決定部150と、番号決定部160と、対象位置決定部170と、出力部180とを実現する。畝決定部150は、作業装置30の稼働情報に基づき、畝450に関する畝情報、例えば位置、長さ、畝450が延びる方向などを決定する。番号決定部160は、決定された畝情報に基づき、畝450を特定するための畝番号を決定する。対象位置決定部170は、圃場400において、畝番号を用いて対象の位置、例えば生育不良の作物が植えられている位置を表す対象位置情報を決定する。出力部180は、対象位置情報を端末200に出力する。
【0025】
次に、端末200の構成を説明する。端末200は、図1に示すように、入出力装置210と、測位装置215と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。端末200は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0026】
測位装置215は、端末200の位置を測定する。測定された位置を表す位置情報は、演算装置220に出力される。例えば、測位装置215は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機である。
【0027】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、畝管理装置100から取得する信号を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を畝管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0028】
記憶装置240は、ユーザに対象位置情報を報知するための様々なデータ、例えば報知プログラム320を格納する。記憶装置240は、報知プログラム320を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。報知プログラム320は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0029】
演算装置220は、報知プログラム320を読み出し実行することで、図3に示すように、入出力装置210と協働して、報知部250を実現する。報知部250は、畝管理装置100から対象位置情報を取得して、取得した対象位置情報をユーザに報知する。
【0030】
(畝管理システムの動作)
図1に示す作業装置30は、圃場400での作業を行うと、稼働情報を畝管理装置100の演算装置120に送信する。例えば、作業装置30は、エンジンを停止したときに、エンジンを起動してから停止するまでの稼働情報を畝管理装置100の演算装置120に送信する。演算装置120は、作業装置30の稼働情報を受信すると、畝管理プログラム310を読み出し実行する。畝管理プログラム310が読み出し実行されると、演算装置120は、畝管理方法である図4に示す処理を開始する。
【0031】
ステップS110において、演算装置120により実現される畝決定部150は、稼働情報に基づき、畝450の位置を決定する。例えば、畝決定部150は、稼働情報に基づき、作業装置30が直線状に移動した区間を抽出し、抽出した区間の作業装置30の移動軌跡500を畝450の位置として決定する。また、畝決定部150は、抽出した区間の作業装置30の移動軌跡500に基づき、畝450に関する情報、例えば畝450の長さ、畝450の延びる方向などを決定する。畝決定部150は、決定した畝450に関する情報を表す畝情報を圃場データ300に、畝450が設けられた圃場400に関連付けて記憶する。なお、畝決定部150は、畝450の位置を含む領域を有する圃場400を畝450が設けられた圃場400として決定する。
【0032】
ステップS120において、番号決定部160は、決定された畝450の位置に基づき、圃場400における複数の畝450を識別する畝番号を決定する。例えば、番号決定部160は、図2に示す第1方向において、基準位置から畝450が並んでいる順番に応じて、複数の畝450を識別する畝番号を決定する。例えば、第1方向は、畝450の延びる第2方向に直交する。基準位置は、例えば、圃場400の第1方向の端を表してもよく、圃場400の輪郭以外の圃場400内に設けられた設備の位置を表してもよい。
【0033】
例えば、基準位置が圃場400の入口410であるとき、複数の畝450は、入口410から第1畝450-1、第2畝450-2、第3畝450-3、第4畝450-4、第5畝450-5の順番に並んでいる。このため、番号決定部160は、第1畝450-1の畝番号を「1」、第2畝450-2の畝番号を「2」、第3畝450-3の畝番号を「3」、第4畝450-4の畝番号を「4」、第5畝450-5の畝番号を「5」と決定する。
【0034】
また、基準位置が圃場400の給水装置420であるとき、複数の畝450は、第1方向に第4畝450-4、第5畝450-5の順番に並び、第1方向の反対方向に第3畝450-3、第2畝450-2、第1畝450-1の順番に並んでいる。このため、番号決定部160は、第4畝450-4を「1」、第5畝450-5を「2」と決定し、第3畝450-3を「-1」、第2畝450-2を「-2」、第1畝450-1を「-3」と決定する。番号決定部160は、第4畝450-4を「-1」、第5畝450-5を「-2」と決定し、第3畝450-3を「1」、第2畝450-2を「2」、第1畝450-1を「3」と決定してもよい。
【0035】
具体的には、番号決定部160は、任意の方法で、第1方向において、基準位置から畝450が並んでいる順番に応じて、複数の畝450を識別する畝番号を決定する。例えば、番号決定部160は、畝450の位置、例えば緯度と経度とにより表される位置を、XY座標系に変更して、畝450の畝番号を決定する。番号決定部160は、例えば、畝450の延びる第2方向がY軸方向となるように、畝450の位置と基準位置との座標を決定する。これにより、X軸方向において、基準位置と畝450とが並んでいる順番は、畝450の任意の点と、基準位置とのX座標の順番に相当する。このため、番号決定部160は、基準位置を中心として、畝450の任意の点におけるX座標の順番を、畝番号として決定する。
【0036】
また、番号決定部160は、畝450の延びる第2方向に直交する第1方向に延びる直線と畝450とが交差する交点の位置に基づき、畝番号を決定してもよい。交点の座標、例えば緯度または経度は、畝450が並んでいる順番に相当する。このため、番号決定部160は、交点の座標の順番に基づき、畝番号を決定する。例えば、基準位置が圃場400の第1方向の端、例えば圃場400の第1方向の輪郭であるとき、番号決定部160は、交点の座標の順番を、畝番号として決定する。
【0037】
図4に示すステップS130において、対象位置決定部170は、対象の位置、例えば生育不良の作物が植えられている位置を、畝番号を用いて表す対象位置情報を決定する。例えば、対象位置決定部170は、圃場データ300に記憶された畝情報に基づき、対象の位置が最も近い畝450を決定する。また、対象位置決定部170は、対象の位置に最も近い畝450の端である畝端部460から対象の位置までの対象距離を決定する。対象位置決定部170は、決定した畝450に対応する畝番号と、畝端部460から対象の位置までの対象距離とを表す情報を、対象位置情報として決定する。
【0038】
例えば、図2に示すように、対象位置決定部170は、畝番号を用いて第1対象位置510を表す対象位置情報を決定する。最初に、対象位置決定部170は、第1対象位置510が最も近い畝450として、第5畝450-5を決定する。次に、対象位置決定部170は、第5畝450-5の端である第5畝端部460-5から第1対象位置510までの対象距離を決定する。このため、対象位置決定部170により決定される対象位置情報は、決定した第5畝450-5に対応する畝番号、例えば「5」と、対象距離とを表す。
【0039】
対象距離は、畝450の端から対象の位置までの距離を表すため、第2方向において同じ位置であっても、異なる距離を表す。例えば、第1対象位置510と、第2対象位置520と、第3対象位置530とが、第2方向において同じ位置を表す。ここで、第1対象位置510の対象距離は、対応する第5畝450-5の端である第5畝端部460-5からの距離を表す。第2対象位置520の対象距離は、対応する第1畝450-1の端である第1畝端部460-1からの距離を表す。第3対象位置530の対象距離は、対応する第2畝450-2の端である第2畝端部460-2からの距離を表す。このため、第1畝端部460-1と第2畝端部460-2とが第2方向において同じ位置を表すため、第2対象位置520の対象距離と、第3対象位置530の対象距離とは同じ距離を表す。一方、第1畝端部460-1と第5畝端部460-5とが第2方向において異なる位置を表すため、第2対象位置520の対象距離と、第1対象位置510の対象距離とは異なる距離を表す。
【0040】
また、対象の位置は、畝450の間の畝間部に置かれた障害物の位置を表してもよい。例えば、図2に示すように、対象位置決定部170は、第4対象位置540を表す対象位置情報を決定する。対象位置決定部170は、第4対象位置540の畝番号を、第4畝450-4と第5畝450-5の間の畝間部に対応する畝番号として決定してもよい。例えば、対象位置決定部170は、第4畝450-4と第5畝450-5の間の畝間部に対応する畝番号を、第4畝450-4に対応する畝番号、例えば「4」と、第5畝450-5に対応する畝番号、例えば「5」との間の値、例えば「4.5」に決定してもよい。
【0041】
図4に示すステップS140において、出力部180は、対象位置情報を端末200に出力する。端末200の報知部250が圃場400を表す画像上に対象位置情報を表すとき、出力部180は、対象位置情報とともに、圃場データ300に格納された圃場400に関する圃場情報を出力してもよい。例えば、圃場情報は、圃場400の領域と、複数の畝450の位置とを表す。
【0042】
ステップS150において、端末200の報知部250は、畝管理装置100から取得した対象位置情報をユーザに報知する。例えば報知部250は、図5に示すように、圃場400に設けられた畝450と、第1対象位置510とを表す圃場画像600を表示する。圃場画像600は、基準位置に対応する領域、例えば入口領域610または/および給水装置領域620を含む。
【0043】
また、圃場画像600は、複数の畝450を表す複数の畝領域650を含む。畝領域650の第2方向の反対方向に畝番号670が表示される。例えば、第1畝450-1に対応する第1畝領域650-1の第2方向の反対方向に「1」が表示される。第2畝450-2に対応する第2畝領域650-2の第2方向の反対方向に「2」が表示される。第3畝450-3に対応する第3畝領域650-3の第2方向の反対方向に「3」が表示される。第4畝450-4に対応する第4畝領域650-4の第2方向の反対方向に「4」が表示される。第5畝450-5に対応する第5畝領域650-5の第2方向の反対方向に「5」が表示される。
【0044】
圃場画像600は、例えば第1対象位置510に対応する対象位置領域680を含む。また、圃場画像600には、第1対象位置510から対応する第5畝端部460-5までの距離を表す対象距離690が表される。
【0045】
例えば、報知部250は、圃場情報と、対象位置情報とに基づき、圃場画像600を決定する。例えば、報知部250は、圃場情報に基づき、圃場画像600に含まれる畝領域650と、入口領域610と、給水装置領域620とを決定する。また、報知部250は、対象位置情報に基づき、対象位置領域680を決定し、対象位置領域680に応じて対象距離を圃場画像600内に表す。
【0046】
ユーザは、圃場400において、圃場画像600を確認することで、対象位置に最も近い畝450に容易に到達することができる。また、報知部250が畝450の端からの距離を報知する。ユーザは、畝450に到達すると、畝450の端から対象位置に移動するため、対象位置に容易に到達することができる。
【0047】
また、報知部250は、測位装置215により測定された端末200の位置を、圃場画像600に現在位置として表してもよい。報知部250は、測位装置215により測定された位置に基づき、圃場画像600における端末200の位置を決定する。報知部250は、圃場画像600において、決定された端末200の位置に、現在位置を表す画像を表示する。これにより、ユーザは、現在位置と対象位置とを比較することで、対象位置に容易に到達することができる。
【0048】
報知部250は、文字情報により、対象位置情報をユーザに報知してもよい。例えば、報知部250は、対象位置に対応する畝番号と、対象距離とを文字情報で報知する。ユーザは、畝番号に基づき、基準位置から畝450の数を数えることで、対象位置に対応する畝450に容易に到達することができる。また、ユーザは、対象距離に基づき、畝450の端から対象位置に容易に到達することができる。また、報知部250は、音声により、対象位置情報をユーザに報知してもよい。
【0049】
このように、畝管理システム1000が対象位置を表す畝番号を報知することで、ユーザは、圃場400において、容易に対象位置に到達することができる。
【0050】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。図4に示すステップS110において、畝決定部150は、作業装置30の稼働情報に基づき、任意の方法で畝450の位置を決定してもよい。例えば、畝決定部150は、稼働情報に基づき、作業装置30が圃場400内で作業を行っている期間を決定し、作業を行っている期間における作業装置30の移動軌跡500を畝450の位置として決定してもよい。例えば、作業装置30が植付を行っているとき、畝決定部150は、稼働情報が作業装置30により植付けが行われている状態を表す期間を決定する。畝決定部150は、決定された期間における作業装置30の移動軌跡500を畝450の位置として決定する。
【0051】
また、図4に示すステップS150において、端末200の報知部250は、畝450の位置を、畝番号を用いて報知してもよい。この場合、畝管理装置100の出力部180は、畝450に対応する畝番号を表す対象位置情報を出力する。端末200の報知部250は、対象位置情報に表される畝番号を報知する。例えば、報知部250は、図5に示す圃場画像600において、対象位置情報に表される畝番号に対応する畝領域650を他の畝領域650と識別可能に表す。この場合、図4に示す対象位置決定部170は省略されてもよい。また、図4に示すステップS130の処理は省略されてもよい。
【0052】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。畝管理装置100の処理は、すべてまたは一部が端末200で実行されてもよい。また、端末200の処理は、すべてまたは一部が畝管理装置100で実行されてもよい。また、畝管理プログラム310は、報知プログラム320を含んでもよい。また、畝管理システム1000は、端末200を含まず、畝管理システム1000に含まれない外部端末に、進捗情報を表示させてもよい。また、第1方向は、畝450が延びる第2方向と平行しない任意の方向を表してもよい。
【0053】
畝450の位置は、予め決定されていてもよい。この場合、図3に示す畝決定部150は省略されてもよい。また、図4に示すステップS110の処理は省略されてもよい。
【0054】
(付記)
各実施の形態で記載した畝管理方法と、畝管理システムと、畝管理プログラムとは以下のように言うことができる。
【0055】
第1の態様に係る畝管理方法は、
圃場内に形成された複数の畝の位置に基づき、第1方向において、基準位置からの前記複数の畝の順番に応じて、前記複数の畝を識別する畝番号を決定することと、
前記複数の畝の前記畝番号を表す対象位置情報を出力することと、
を含む。
【0056】
第2の態様に係る畝管理方法は、第1の態様に係る畝管理方法であって、
前記第1方向は、前記複数の畝が延びる方向に直交する。
【0057】
第3の態様に係る畝管理方法は、第1または第2の態様に係る畝管理方法であって、
前記対象位置情報は、前記畝番号を用いて前記圃場内の位置を表し、
前記畝番号を用いて前記圃場内の位置を表す前記対象位置情報を決定することをさらに含む。
【0058】
第4の態様に係る畝管理方法は、第3の態様に係る畝管理方法であって、
前記対象位置情報は、前記圃場内の位置を、前記第1方向について前記畝番号を用いて表し、前記複数の畝の延びる方向について前記畝の端からの距離を用いて表す。
【0059】
第5の態様に係る畝管理方法は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る畝管理方法であって、
前記基準位置は、前記圃場内に設けられた設備の位置を表す。
【0060】
第6の態様に係る畝管理方法は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る畝管理方法であって、
前記畝番号を決定することは、
前記複数の畝の延びる方向が第1軸方向を表すように、前記複数の畝の位置を表す座標を決定することと、
前記第1軸方向に直交する第2軸方向において、前記複数の畝の位置を表す前記座標に基づき、前記畝番号を決定することと、
を含む。
【0061】
第7の態様に係る畝管理方法は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る畝管理方法であって、
前記圃場内を移動して作業を行う作業装置の状態を表す稼働情報に基づき、前記複数の畝の位置を決定することを含む。
【0062】
第8の態様に係る畝管理システムは、
圃場内に形成された複数の畝の位置に基づき、第1方向において、基準位置からの前記複数の畝の順番に応じて、前記複数の畝を識別する畝番号を決定する番号決定部と、
前記複数の畝の前記畝番号を表す対象位置情報を出力する出力部と、
を備える。
【0063】
第9の態様に係る畝管理プログラムは、
圃場内に形成された複数の畝の位置に基づき、第1方向において、基準位置からの前記複数の畝の順番に応じて、前記複数の畝を識別する畝番号を決定することと、
前記複数の畝の前記畝番号を表す対象位置情報を出力することと、
を演算装置に実行させる。
【符号の説明】
【0064】
1、2 :記憶媒体
20 :ネットワーク
30 :作業装置
100 :畝管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :畝決定部
160 :番号決定部
170 :対象位置決定部
180 :出力部
200 :端末
210 :入出力装置
215 :測位装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :報知部
300 :圃場データ
310 :畝管理プログラム
320 :報知プログラム
400 :圃場
410 :入口(基準位置)
420 :給水装置(基準位置)
450 :畝
460 :畝端部
500 :移動軌跡
510 :第1対象位置
520 :第2対象位置
530 :第3対象位置
540 :第4対象位置
600 :圃場画像
610 :入口領域
620 :給水装置領域
650 :畝領域
670 :畝番号
680 :対象位置領域
690 :対象距離
1000 :畝管理システム
図1
図2
図3
図4
図5