(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043169
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】通信管理システム、運行管理システム、及び統括システム
(51)【国際特許分類】
H04W 24/02 20090101AFI20240322BHJP
H04W 84/00 20090101ALI20240322BHJP
H04W 16/18 20090101ALI20240322BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W84/00 110
H04W16/18 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148203
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】今江 勇紀
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE41
(57)【要約】
【課題】多数の移動基地局車を保有することを想定した場合に必要となるコストや保管場所を削減できると共に、局地的にトラヒックが増加する場合や、一時的にトラヒックが増加する場合などでも効率的に移動体通信サービスを継続することができる通信管理システム、運行管理システム、及び統括システムを提供する。
【解決手段】通信管理システムは、移動体通信サービスを提供する通信事業者が運営する基地局の稼働情報を保持する基地局稼働状況保存部と、基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の位置情報、稼働計画情報、及び移動体に搭載された基地局機能の設備情報を元に、所定エリアへ派遣する移動体を選択するデータ処理部と、上記データ処理部の選択結果に基づいて、上記所定エリアへの上記選択された移動体の派遣を上記物流・配送事業者に対して要請するオペレーションシステムと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信サービスを提供する通信事業者が運営する基地局の稼働情報を保持する基地局稼働状況保存部と、
基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の位置情報、稼働計画情報、及び前記移動体に搭載された基地局機能の設備情報を元に、所定エリアへ派遣する移動体を選択するデータ処理部と、
前記データ処理部の選択結果に基づいて、前記選択された移動体の前記所定エリアへの派遣を前記物流・配送事業者に対して要請するオペレーションシステムと、を含む
通信管理システム。
【請求項2】
前記基地局稼働状況保存部は、前記通信事業者が運営する基地局であって、恒久的又は半恒久的に設置された基地局の稼働情報と、前記物流・配送事業者が管理する前記移動体に前記基地局機能が搭載されて構成される移動基地局の稼働情報と、を保持する、
請求項1に記載の通信管理システム。
【請求項3】
前記データ処理部は、前記所定エリアへ派遣する移動体を選択する際に、
前記移動体に搭載される前記基地局機能の対応RAT(対応Radio Access Technology)、対応周波数帯、セル半径、バッテリー容量、バッテリー残量、MECサーバ(Multi-access Edge Computingサーバ)の保有の有無のいずれか1つ以上を参照する、
請求項1又は請求項2に記載の通信管理システム。
【請求項4】
前記データ処理部は、前記所定エリアへ派遣する移動体を選択する際に、
前記移動体の現在地をさらに参照する、
請求項3に記載の通信管理システム。
【請求項5】
前記データ処理部は、前記所定エリアへ派遣する移動体を選択する際に、
前記移動体の業務中及びアイドルのいずれか一つを示す現在のステータス、移動基地局として稼働可能な時間帯、及び前記移動体の次の目的地を参照する、
請求項3に記載の通信管理システム。
【請求項6】
前記所定エリアへの前記選択された移動体の派遣要請に対応した、前記物流・配送事業者による移動体の派遣実績に応じて、前記通信事業者から前記物流・配送事業者に対価を支払う、
請求項1又は請求項2に記載の通信管理システム。
【請求項7】
通信事業者が移動体通信サービスを提供するための基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の設備情報であって、移動体に搭載された前記基地局機能の設備情報を保持する設備情報保存部と、
前記基地局機能が搭載された前記移動体の位置情報を保持する位置情報保存部と、
前記基地局機能が搭載された前記移動体の稼働計画を保存する稼働計画保存部と、
移動体通信サービスを提供する通信事業者からの要請に対応して、要請された移動体を所定エリアへ移動するよう指示する通信部と、を含む
運行管理システム。
【請求項8】
前記物流・配送事業者が管理する移動体と通信し、
前記移動体の位置情報を収集して、前記位置情報保存部が保持する位置情報を更新し、
前記移動体の稼働計画を収集して、前記稼働計画保存部が保持する稼働計画を更新する、
請求項7に記載の運行管理システム。
【請求項9】
前記物流・配送事業者が管理する移動体と通信し、
前記移動体が測定した無線環境を収集する、
請求項7又は請求項8に記載の運行管理システム。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載の通信管理システムと、
請求項7又は請求項8に記載の運行管理システムと、を含む
統括システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信管理システム、運行管理システム、及び統括システムに関し、特に基地局を配置して通信サービスを提供するのに用いられる通信管理システム、運行管理システム、及び統括システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信の通信事業者は、局地的にトラヒックが増加する場合や、一時的にトラヒックが増加する場合や、局地的にトラヒックが増加するエリアが移動する場合などにも、通信サービスが継続できるように対応している。このようなトラヒックが定常的ではなくなる事象を移動体通信の通信事業者は想定して、移動基地局車を保有し、トラヒック増加が見込まれる場合には、この移動基地局車を派遣して、設置することが行われている。局地的にトラヒックが増加する場合や、一時的にトラヒックが増加する場合としては、災害の発生や、イベントの開催などがある。
【0003】
恒久的又は半恒久的に設置されている基地局の働きと、派遣され設置された移動基地局車の働きとによって、局地的にトラヒックが増加する場合や、一時的にトラヒックが増加する場合などにも、移動体通信サービスを継続することができる。
【0004】
特許文献1は、業務を実行する自律走行可能な車両の制御に関するものである。特許文献1では、通常時には車両に割り当てられている業務を実行し、地震、津波などの自然災害や、火災、交通事故などの人的災害を含む非常事態には、上記業務とは異なる業務を実行するように制御すること、が提案されている。より具体的には、特許文献1では、自動運転走行や無人運転走行可能な車両が非常事態に実行する業務として、給水車の提供、浄水車の提供、や移動基地局の提供などが列挙されている。また特許文献1では、このような車両が非常事態向けのモジュールを搭載すること、移動基地局モジュールを搭載した車両は移動基地局として機能することができる、といった記載がある。
【0005】
特許文献1では、自律走行可能な車両が通常時には割り当てられている業務を実行し、非常事態が発生したときには上記割り当てられている業務とは異なる業務を実行することによって、非常事態対応の専用車両を用意しなくてもよくなり、また自律走行可能な車両を有効活用することができる。
【0006】
特許文献2は、既定の固定基地局と、移動体に設置された移動型の基地局とで中継を行う通信システムに関するものである。特許文献2では、移動体である自動車(乗用車、トラック、バスなど)に移動型の基地局装置を搭載することによりムービングセル基地局を構成すること、が提案されている。特許文献2では、ムービングセル基地局は固定基地局などの他の基地局との間で無線通信を行い、ムービングセル内に位置するユーザ装置と固定基地局など他の基地局との間の通信を中継すること、が提案されている。また特許文献2では、固定基地局からの電波強度が弱い登山道においても、その登山道を走行している自動車に搭載されているこのムービングセル基地局により、その自動車の周辺にムービングセルが形成でき、登山道沿いにいるユーザはムービングセル基地局を介して移動体通信サービスを利用することができる、といった記載がある。
【0007】
また特許文献2では、管理装置が、各自動車に搭載されたムービングセル基地局の中継通信情報を取得し、自動車の所有者又は利用者ごとに、所定期間における中継通信情報を集計し、集計した中継通信情報に基づいて自動車の所有者又は利用者ごとにムービングセル基地局における通信の中継に対するキックバック料金を計算する、といった記載がある。そして特許文献2では、計算したキックバック料金を自動車の所有者又は利用者に支払うことにより、ムービングセルを介した新規な通信サービスの利用促進を高める、ことが提案されている。
【0008】
特許文献3は、移動可能な複数の可動無線局の制御に関するものであり、集中制御局が、可動無線局の周囲に位置する無線端末の分布や、無線端末のトラヒック分布を含む端末情報に基づいて、可動無線局の位置を移動させることが提案されている。特許文献3では、トラヒックが集中している可動無線局から所定の距離離れた地点に、トラヒックが集中していない可動無線局を移動させることによってトラヒックを分散させること、これによってシステム全体のスループットを向上させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2020-113130号公報
【特許文献2】特開2018-056775号公報
【特許文献3】特開2017-098797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したような、移動体通信の通信事業者が移動基地局車を保有する場合、コスト(移動基地局車の購入コストや管理コスト)や保管場所が必要になり負担が大きい。特に、通信サービスを提供しているエリア内の多方面で起こり得る事象や同時多発的に起こり得る事象を想定して多数の移動基地局車を通信事業者が保有しようとすると、さらに上述したコストや保管場所が必要になり通信事業者の負担が大きい。局地的にトラヒックが増加する場合や、一時的にトラヒックが増加する場合の一例として、災害発生時を想定してみると、災害の発生が見込まれる災害発生地は予め決まっているわけではない。このため、移動基地局車の保管場所から災害発生地への距離が遠い場合、移動基地局車の移動時間が長くなり、通信サービスの復旧までに時間を要してしまう点に課題がある。移動基地局車の保管場所から災害発生地までの移動時間を短縮する目的で、多数の移動基地局車を保有したり多数の移動基地局車を配置したりすることを考えると、上述したコストや保管場所の課題が顕著になる。
【0011】
特許文献1が提案するような、自律走行可能な車両が通常時には割り当てられている業務を実行し、非常事態が発生したときには上記割り当てられている業務とは異なる業務を実行する場合、自律走行可能な専用車両を用意しなければならない、という課題がある。
【0012】
特許文献2が提案するような、移動体である自動車に移動型の基地局装置を搭載することによりムービングセル基地局を構成する場合、自動車の所有者又は利用者の意思に基づいて自動車は移動する。このため移動型の基地局装置を搭載した自動車は、トラヒックが増加するエリアに向かうとは限られず、またトラヒックが増加する時間帯にトラヒックが増加するエリアに留まるとは限らない。このため、特許文献2の提案だけでは、局地的にトラヒックが増加する場合や、一時的にトラヒックが増加する場合に、必ずしも対応できるとはいえない、という課題がある。
【0013】
また、トラックやタクシー等は、常に物や人を配送しているわけではないため、稼働していないアイドル時間が発生しており、効率的に運用できていない課題がある。
【0014】
また、要求される通信品質はサービス内容やトラヒック状況等により様々であるため、単に目的地から近い場所にある移動基地局車が適切というわけではない。周辺の無線環境への干渉有無や求められるサービス品質に適した基地局が選択されなければ非効率な運用になってしまう点も課題である。
【0015】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、多数の移動基地局車を保有することを想定した場合に必要となるコストや保管場所を削減できると共に、局地的にトラヒックが増加する場合や、一時的にトラヒックが増加する場合などでも効率的に移動体通信サービスを継続することができる通信管理システム、運行管理システム、及び統括システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するため、本発明に係る通信管理システムは、
移動体通信サービスを提供する通信事業者が運営する基地局の稼働情報を保持する基地局稼働状況保存部と、
基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の位置情報、稼働計画情報、及び移動体に搭載された基地局機能の設備情報を元に、所定エリアへ派遣する移動体を選択するデータ処理部と、
上記データ処理部の選択結果に基づいて、上記所定エリアへの上記選択された移動体の派遣を上記物流・配送事業者に対して要請するオペレーションシステムと、を含む。
【0017】
本発明に係る運行管理システムは、
通信事業者が移動体通信サービスを提供するための基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の設備情報であって、移動体に搭載された上記基地局機能の設備情報を保持する設備情報保存部と、
上記基地局機能が搭載された上記移動体の位置情報を保持する位置情報保存部と、
上記基地局機能が搭載された上記移動体の稼働計画を保存する稼働計画保存部と、
移動体通信サービスを提供する通信事業者からの要請に対応して、要請された移動体を所定エリアへ移動するよう指示する通信部と、を含む。
【0018】
本発明に係る統括システムは、
上記通信管理システムと、上記運行管理システムと、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、多数の移動基地局車を保有することを想定した場合に必要となるコストや保管場所を削減できると共に、局地的にトラヒックが増加する場合や、一時的にトラヒックが増加する場合などでも効率的に移動体通信サービスを継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態による通信管理システムを説明するためのブロック図である。
【
図2A】本発明の第1実施形態による運行管理システムを説明するためのブロック図である。
【
図2B】
図2Aの運行管理システムによって管理される、移動基地局車を説明するための構成図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による統括システムを説明するためのブロック図である。
【
図4A】
図3の統括システムの動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【
図4B】
図3の統括システムの動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【
図5】本発明の第1実施形態による統括システムにおいて、通信事業者と物流・配送事業者との関係を説明するための概念図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の統括システムにおいて、移動基地局車の派遣や配置の考え方の一例(選択アルゴリズム例1)を説明するための概念図である。
【
図7】
図6の移動基地局車に関し、運行管理システムの設備情報保存部、位置情報保存部、及び稼働計画保存部が保持する情報の一例を示すテーブルである。
【
図8】本発明の第1実施形態による移動基地局車の派遣や、配置の考え方の一例(選択アルゴリズム例2)を説明するための概念図である。
【
図9】
図8の移動基地局車に関し、運行管理システムの設備情報保存部、位置情報保存部、及び稼働計画保存部が保持する情報の一例を示すテーブルである。
【
図10】本発明の第1実施形態による移動基地局車の派遣や、配置の考え方の一例(選択アルゴリズム例3)を説明するための概念図である。
【
図11】
図10の移動基地局車に関し、運行管理システムの設備情報保存部、位置情報保存部、及び稼働計画保存部が保持する情報の一例を示すテーブルである。
【
図12A】本発明の第1実施形態による通信管理システムを実現する情報処理装置の一例を説明するためのブロック図である。
【
図12B】
図12Aの情報処理装置が実施する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図13A】本発明の第1実施形態による運行管理システムを実現する情報処理装置の一例を説明するためのブロック図である。
【
図13B】
図13Aの情報処理装置が実施する処理を説明するための機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
〔第1実施形態〕
初めに、本発明の第1実施形態による通信管理システムなどについて、説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による通信管理システムを説明するためのブロック図である。
図2Aは、本発明の第1実施形態による運行管理システムを説明するためのブロック図である。
図2Bは、
図2Aの運行管理システムによって管理される、移動基地局車を説明するための構成図である。
図3は、本発明の第1実施形態による統括システムを説明するためのブロック図である。
【0023】
(構成)
本実施形態の統括システムは、
図3に示すように、通信事業者が運営し、管理する通信管理システムと、物流・配送事業者が運営し、管理する運行管理システムと、を含んで構成される。
図3では、通信事業者が管理する範囲を点線で囲んで示しており、また物流・配送事業者が管理する範囲を別の点線で囲んで示している。運行管理システム200は、トラック、バス、ハイヤーやタクシー等の移動体の運行を管理するためのシステムである。ここで、トラック、バス、ハイヤーやタクシー等の移動体は、物流・配送事業者により保有されているか、或いは物流・配送事業者の支配下に設けられている。
【0024】
通信事業者が運営し、管理する通信管理システムは、
図1や
図3に示すように、オペレーションシステム100、データ処理部110、及び基地局稼働状況保存部120を含む。
【0025】
通信管理システムのオペレーションシステム100は、通信事業者が管理運用する。通信事業者は、1つ又は複数の基地局を配置して移動体通信サービスを提供する通信事業者である。オペレーションシステム100は、物流・配送事業者が運営し、管理する運行管理システム200との間でシステム間通信が可能であり、必要な情報をシステム間で送受信することができる。オペレーションシステム100は、オペレーションシステム100全体を統括し、制御する制御部101と、運行管理システム200と通信するための通信部102と、を含む。
【0026】
通信管理システムの基地局稼働状況保存部120は、通信事業者が保有している全ての基地局の稼働状況、各基地局の設備情報、基地局により提供される通信サービスの通信品質の情報を保存することができる。通信管理システムの基地局稼働状況保存部120には、移動基地局車210の設備情報や稼働状態も保存される。
【0027】
なおここで、「通信事業者の保有している全ての基地局」とは、恒久的又は半恒久的に設置されていることによって設置場所が変更されることなく、運用されている既存の全ての基地局と、本発明の実施形態が想定する移動基地局車210が搭載する基地局機能によって実現される全ての移動基地局と、の両方を含む。よって基地局稼働状況保存部120には、既存の全ての基地局の設備情報や稼働状態だけでなく、移動基地局車210の設備情報や稼働状態も保存される。
【0028】
通信管理システムのデータ処理部110は、基地局稼働状況保存部120のデータを参照することができる。さらにデータ処理部110は、物流・配送事業者が運営し、管理している運行管理システム200の設備情報保存部203、位置情報保存部204、及び稼働計画保存部205とデータ連携する。このデータ連携によって、データ処理部110は、運行管理システム200の設備情報保存部203、位置情報保存部204、稼働計画保存部205のデータを参照することができる。さらにデータ処理部110は、オペレーションシステム100からの指示内容に応じて、上記参照データを元に最適な移動基地局車210、その設置場所、その稼働時間などを決定して、オペレーションシステム100に決定結果を通知することができる。
【0029】
運行管理システムは、物流・配送事業者が運営し、管理する。移動基地局車210(210
1~210
n)は、物流・配送事業者が管理運用する。なおここでnは自然数であり、物流・配送事業者が管理運用する移動基地局車210の台数に対応したり、各移動基地局車210の固有識別番号に対応したりするものとする。nは1であってもよいし、現実的には2以上であってもよい。ここで示す移動基地局車210は、物流・配送事業者が保有しているトラック、バス、ハイヤーやタクシー等の移動体に基地局機能を搭載したものとする。基地局機能に関する設備は、通信事業者から物流・配送事業者に提供もしくは、貸与されるものとする。運行管理システム200は、
図2Aに示すように、運行管理システム200全体を制御する制御部201、移動基地局車210(210
1~210
n)と通信する通信部202、設備情報保存部203、位置情報保存部204、及び稼働計画保存部205を含む。
図2Aの制御部201及び通信部202を含む構成を、
図3では制御・通信機能206と称している。
【0030】
運行管理システム200は、通信部202を介して各移動基地局車210(2101~210n)と通信可能であり、移動基地局車210の設備情報、位置情報、稼働計画、移動基地局車210により測定された無線環境などの情報を集約管理する。
【0031】
稼働計画とは、本発明の実施形態による基地局機能を搭載したトラック、バス、ハイヤーやタクシー等の稼働計画のことを示す。稼働計画を参照することにより、配送業務を行なっていないアイドル時間や、基地局として稼働できる時間帯、次の目的地となる場所などを知ることができる。
【0032】
設備情報保存部203は、全ての移動基地局車210(2101~210n)の保有設備情報を保存する。
【0033】
位置情報保存部204は、全ての移動基地局車210(2101~210n)の位置情報を保存する。
【0034】
稼働計画保存部205は、全ての移動基地局車210(2101~210n)の稼働計画を保存する。
【0035】
図2Bは、実施形態による移動基地局車210の構成を説明するためのブロック図である。
図2Bの移動基地局車210は、制御部211、無線通信部212、及び基地局ユニットを含む。制御部211は、物流・配送事業者が管理運用する移動基地局車210の既存の機能として、移動基地局車210の全体を制御する。無線通信部212は、物流・配送事業者が管理運用するために、運行管理システム200と通信する。
【0036】
さらに本実施形態の移動基地局車210は、物流・配送事業者が保有しているトラック、バス、ハイヤーやタクシー等の移動体に、基地局ユニットが搭載されて構成される。基地局ユニットは、基地局機能214、自動運転機能215、無線環境測定機能216、GPS(Global Positioning System)機能217、バッテリー機能218などを含む。以下では、この移動体に搭載された基地局ユニットを、移動基地局213と称することとする。
【0037】
移動基地局213の基地局機能214は、通信事業者が通信サービスを提供するために必要なものであり、基地局機能214に関する設備は、通信事業者から物流・配送事業者に提供もしくは、貸与されるものとする。基地局機能214は、既存の恒久的又は半恒久的に設置される基地局と同等の機能を果たすもので、この機能の内容については既存の基地局で用いられるものを利用することとして、その詳細な説明は省略する。
【0038】
移動基地局車210の自動運転機能215は、基地局の設置場所が決定されると、自動で移動基地局車210を目的地まで移動させるための機能である。本機能を備えることにより、移動基地局車210の無人運用も可能になる。
【0039】
移動基地局車210のGPS機能217は、移動基地局車の位置情報を取得するためのものである。移動基地局車210の現在地、移動の履歴、移動の計画などに関する情報を収集し、蓄積するための機能である。
【0040】
移動基地局車210の無線環境測定機能216は、移動基地局車210の無線環境を測定できるものである。本機能により、移動基地局車210の移動中、停止中に依らず、通信事業者が提供する通信サービス品質を収集することができる。
【0041】
移動基地局車210の制御部211は、既存の機能として、移動基地局車210の全体を制御する。移動基地局車210の無線通信部212は、運行管理システム200と通信可能であり、移動基地局車210の位置情報、移動基地局車210により測定された無線環境などの情報を運行管理システム200に送信する。
【0042】
(動作)
次に、本実施形態による通信管理システムの動作、運行管理システムの動作などについて説明する。
図4A及び
図4Bに動作フロー例を示す。
図4A及び
図4Bにおいて、「稼働状態」という表示は移動基地局213が基地局装置として稼働している状態にあることを示しており、「非稼働状態」という表示は移動基地局213が基地局装置として稼働していない状態にあることを示しているものとする。すなわち移動基地局車210(210
1~210
n)は基地局ユニットを搭載しているものの、基地局ユニットが「稼働状態」の場合もあれば、「非稼働状態」の場合もある。
【0043】
まず
図4Aに示すように、各移動基地局213は、設備情報を運行管理システム200に送信する(S1)。運行管理システム200に登録された設備情報は、設備情報保存部203に保存される(S2)。また、各移動基地局213の設備情報、稼働状態は、基地局稼働状況保存部120にも登録される(S3、S4)。
【0044】
各移動基地局213は、定期的に設備情報、位置情報、及び稼働計画の情報を運行管理システム200に送信する(S5)。
【0045】
運行管理システム200に送信された設備情報は設備情報保存部203に保存され、設備情報保存部203の設備情報は登録・更新される(S6)。ここでは、設備情報保存部203が保持している設備情報は、上記定期的な送信ごとに、順次、更新される。運行管理システム200に送信された位置情報は位置情報保存部204に保存され、位置情報保存部204の位置情報は登録・更新される(S7)。運行管理システム200に送信された稼働計画は、稼働計画保存部205に保存され、稼働計画保存部205が保持している稼働計画は、上記定期的な送信ごとに、登録・更新される(S8)。
【0046】
例えば災害発生により、ある地域で通信サービスの提供が停止した場合、オペレーションシステム100は、この通信サービスの提供停止を検知する。続いて、オペレーションシステム100は、データ処理部110に対して、移動基地局車の選定、設置場所の決定(S9)を指示する。この際に好ましくは、オペレーションシステム100は、データ処理部110に対して、移動基地局車の選定、設置場所の決定、及び稼働時間の決定を指示する。この際、オペレーションシステム100からデータ処理部110に対して、移動基地局車のセル半径(カバーエリア)や収容端末数、これらに加えてスループットや干渉レベルなど、目標とする通信サービス品質を指定することも可能である。
【0047】
データ処理部110は、基地局稼働状況保存部120、設備情報保存部203、位置情報保存部204、稼働計画保存部205のデータを参照して、オペレーションシステム100の指示に対する最適な移動基地局車、設置場所、や稼働時間を決定する。すなわち、オペレーションシステム100から指示を受けたデータ処理部110は、基地局稼働状況保存部120のデータを参照する(S10)。オペレーションシステム100から指示を受けたデータ処理部110はさらに、設備情報保存部203のデータを参照し(S11)、位置情報保存部204のデータを参照し(S12)、稼働計画保存部205のデータを参照する(S13)。
【0048】
そして、
図4Bに示すように、これらデータ参照によって収集したデータなどを元に、データ処理部110は、オペレーションシステム100の指示に対する最適な移動基地局車、設置場所、や稼働時間を決定する。
【0049】
好ましくは、データ処理部110は、移動基地局車の設備情報、位置情報、稼働計画、稼働状態、通信サービス停止エリア及びサービス停止エリア近隣の基地局稼働状況データなどを元に、最適な移動基地局車、設置場所、稼働時間を決定する。
【0050】
オペレーションシステム100から指示を受けたデータ処理部110は、複数のデータを組み合わせた最適解を導出する。例えば、高スループットが必要な場合には、データ処理部110は、周波数帯域幅の大きい設備やMIMO(Multiple Input Multiple Output)対応の設備を保有している移動基地局車を選択する。また例えば、隣接セルに悪影響を与えないために、データ処理部110は、周辺基地局との電波干渉を回避できる周波数帯の設備を保有している移動基地局車を選択する。また例えば、データ処理部110は、これら移動基地局車の選択の考え方を組み合わせるなど、複数のデータを組み合わせて、派遣する移動基地局車について最適解を導出する。
【0051】
データ処理部110が決定した情報は、オペレーションシステム100に通知される(S18)。データ処理部110からの通知を受けたオペレーションシステム100は、運行管理システム200に対象の移動基地局車の稼働要求、移動基地局車の設置場所、稼働時間を指示する(S19)。
【0052】
運行管理システム200は、対象の移動基地局車に対して、オペレーションシステム100からの指示内容を送信する(S20)。
【0053】
指示を受けた移動基地局車は、指示内容に応じて移動を行い、通信サービスの提供を開始する。移動基地局車が
図2Bに示す自動運転機能215を有しているとき、或いは自動運転機能215が有効状態にあるときには、移動基地局車の設置場所が決定されると、自動運転機能215が移動基地局車を自動で目的地まで移動させる。本機能により、移動基地局車の無人運用も可能になる。移動基地局車が自動運転機能215を有していないとき、或いは自動運転機能215が無効状態にあるときは、移動基地局車のドライバーによる運転操作によって、オペレーションシステム100からの指示内容に沿って移動を行う。
【0054】
通信サービスの提供が開始されると、対象の移動基地局213は、ステータスが「稼働状態」として基地局稼働状況保存部120に登録される(S30、S31、S32)。
【0055】
通信サービスの提供が終了すると、対象の移動基地局213は、ステータスが「非稼働状態」として基地局稼働状況保存部120に登録される(S40、S41、S42)。
【0056】
移動基地局車は、その無線環境測定機能216により、通信サービス提供中の無線環境を測定し、この通信サービス提供中の無線環境の測定結果を基地局稼働状況保存部120に送信することも可能である。
【0057】
オペレーションシステム100は、移動基地局車の稼働時間などから物流・配送事業者への支払い金額を算出する。
【0058】
図5に、
図3の統括システムが関わるビジネスモデル例を示す。
【0059】
通信事業者は、物流・配送事業者に基地局機能、無線通信機能を提供もしくは貸与する。物流・配送事業者は、保有しているトラックやタクシー等に基地局機能、無線通信機能を搭載して、移動基地局車として運用できるようにする。物流・配送事業者は、移動基地局車の運用を通信事業者から代行する。通信事業者は、物流・配送事業者に対して、移動基地局車の稼働時間や稼働台数に応じて対価を支払う。以下、オペレーションシステム100から指示を受けたデータ処理部110による、移動基地局車の選択の考え方について、複数の選択アルゴリズム例を説明する。
【0060】
<選択アルゴリズム例1>
図6、
図7にデータ処理部110の選択アルゴリズム例1を示す。
図6は、本発明の第1実施形態の統括システムにおいて、移動基地局車の派遣や配置の考え方の一例(選択アルゴリズム例1)を説明するための概念図である。
図7は、
図6の移動基地局車に関し、運行管理システムの設備情報保存部、位置情報保存部、及び稼働計画保存部が保持する情報の一例を示すテーブルである。本例は、X月Y日に移動基地局車を派遣や配置する場合の考え方の第1の例である。
【0061】
図6は移動基地局車になり得る車両の位置関係と、目的地となる通信断エリアと通信断エリアに隣接するセルの周波数を示している。
図7は本例における、設備情報保存部203、位置情報保存部204、稼働計画保存部205が保持している情報を示している。
【0062】
本例は、災害発生により通信断となったエリアに、通信サービスを提供するケースである。災害発生による通信断の発生開始時刻は、X月Y日の12:00であることを前提とする。
図6では、4つの通信可能エリアが存在し、これらの間に通信断となったエリアが発生している場合を示している。すなわち紙面では、左上の通信可能エリア(周波数:B)、右上の通信可能エリア(周波数:C)、右下の通信可能エリア(周波数:B)、及び左下の通信可能エリア(周波数:C)の間に、通信断エリア(周波数:A)が発生している。
【0063】
災害発生によって通信断が発生している場合、優先されるべき要素は高スループットではなく、セル半径(カバーエリア)の広さである。そのため、通信断となっているエリア(通信断エリア)に最も近い位置の車両は車両ID:0001(移動基地局車2101)であるが、設備情報保存部203が保持する設備情報によれば、車両ID:0001は「対応周波数帯」が28GHzでありセル半径が小さく、本ケースに適した車両とは言えない。また、稼働計画保存部205が保持する稼働計画情報を見ると、車両ID:0001の「現在のステータス」が業務中であり、また「X月Y日に移動基地局車として稼働可能な時間帯」が17:00~22:00である。このため、移動基地局車として稼働可能になるのは17:00以降であることからも、車両ID:0001を移動基地局車として選択することはできない。
【0064】
車両ID:0001の次に、通信断となっているエリアに近い位置の車両は車両ID:0002(移動基地局車210
2)である。車両ID:0002の稼働計画保存部205が保持する稼働計画情報を見ると、「現在のステータス」がアイドルであり、「X月Y日に移動基地局車として稼働可能な時間帯」が10:00~17:00であり、アイドル状態であり、且つ、移動基地局車として稼働可能な時間帯であるため、移動基地局車として稼働可能な状態である。しかしながら、設備情報保存部203が保持する設備情報によれば、車両ID:0002の対応周波数帯は周波数Bである。周波数Bは通信断となっているエリア(通信断エリア)の隣接セル(
図6の紙面の左上側と右下側の隣接セル)で使われている周波数であるため、干渉に依る悪影響を及ぼす可能性がある。このように干渉に依る悪影響を及ぼす可能性があるため、本ケースに適した車両とは言えない。
【0065】
車両ID:0002の次に、通信断となっているエリアに近い位置の車両は車両ID:0003(移動基地局車210
3)である。稼働計画保存部205が保持する稼働計画情報を見ると、車両ID:0003(移動基地局車210
3)は、「現在のステータス」がアイドルであり、また「X月Y日に移動基地局車として稼働可能な時間帯」が10:00~17:00である。また設備情報保存部203が保持する設備情報を見ると、「セル半径」が20kmである。このように、現在の車両ID:0003は移動基地局車として稼働可能な状態であり、且つ、セル半径が20kmと大きく、対応周波数帯も周辺セルと異なるものであり干渉リスクも小さいため、今回のケースに適した移動基地局車として決定する。こうして今回のケースに適した移動基地局車として決定された車両ID:0003(移動基地局車210
3)は、運行管理システム200からの指示内容に応じて
図6の通信断エリアへと移動して、通信サービスの提供を開始する。
【0066】
なお、車両ID:0003は「X月Y日に移動基地局車として稼働可能な時間帯」が10:00~17:00であり、移動基地局車として稼働可能な時間帯は17:00までであるため、17:00までに通信断が復旧しない場合は別の車両と交代する必要がある。本ケースでは車両ID:0004(移動基地局車2104)が17:00以降に移動基地局車として稼働可能であり、対応周波数帯やセル半径も適しているため、17:00以降は車両ID:0004が選定される。車両ID:0004は、「現在のステータス」は業務中であるが、「X月Y日に移動基地局車として稼働可能な時間帯」が17:00~22:00であり、17:00以降は業務中ではなくなる計画である。また車両ID:0004は、「対応周波数帯」が周波数Aであり、「セル半径」が20kmである。すなわち、17:00までに通信断が復旧しない場合は、車両ID:0003は車両ID:0004と交代して、17:00以降は車両ID:0004が移動基地局車として稼働する。
【0067】
<選択アルゴリズム例2>
図8、
図9にデータ処理部の選択アルゴリズム例2を示す。
図8は、本発明の第1実施形態の統括システムにおいて、移動基地局車の派遣や配置の考え方の一例(選択アルゴリズム例2)を説明するための概念図である。
図9は、
図8の移動基地局車に関し、運行管理システムの設備情報保存部、位置情報保存部、及び稼働計画保存部が保持する情報の一例を示すテーブルである。本例は、X月Y日に移動基地局車を派遣や配置する場合の考え方の第2の例である。
【0068】
図8は移動基地局車になり得る車両の位置関係と、目的地となるトラヒック増加エリアを示している。
図9は本例における、設備情報保存部203、位置情報保存部204、稼働計画保存部205が保持している情報を示している。
【0069】
本例は、イベント開催により、一時的にトラヒックが増加するエリアに通信サービスを提供するケースである。本ケースは、多数のユーザがリアルタイム性の求められるゲームをスマートフォン上で行うものであり、高スループット、低遅延が要求されるものとする。トラヒックの増加が予想される時間帯である、トラヒックの増加時間帯はX月Y日の12:00~15:00とする。
【0070】
車両ID:0001(移動基地局車210
1)は移動基地局車として稼働可能な状態であるが、
図9の設備情報保存部203が保持する設備情報によれば「対応RAT(対応Radio Access Technology)」が3Gのみであり、高スループット、低遅延が求められる本ケースには適していない。車両ID:0002(移動基地局車210
2)は「対応RAT」がLTE(Long Term Evolution)であるため、車両ID:0001よりは適している。しかしながら、車両ID:0003(移動基地局車210
3)や車両ID:0004(移動基地局車210
4)の「対応RAT」がNR(New Radio)であるため、車両ID:0002よりも、車両ID:0003と車両ID:0004の方が優先される。車両ID:0003と車両ID:0004とのうちのいずれかを、今回のケースに適した移動基地局車として決定する。
【0071】
車両ID:0003と車両ID:0004はいずれもトラヒック増加時間帯に移動基地局車として稼働可能な車両であり、尚且つ、NRに対応しているため、高スループット、低遅延の求められる本ケースに適している。このような場合、稼働計画において、次の目的地に近い車両を選択する方が効率的である。
図8に示す場合、車両ID:0003の次の目的地(GGGG)はトラヒック増加エリアとは反対側の方向であるが、車両ID:0004の次の目的地(HHHH)はトラヒック増加エリアと同じ方向であるため、本ケースでは車両ID:0004(移動基地局車210
4)が選択される。こうして選択された車両ID:0004(移動基地局車210
4)は、トラヒックの増加が予想される時間帯、及び一時的にトラヒックが増加するエリアに通信サービスを提供できるように、該当エリアへ移動し、トラヒック増加の開始時間までに間に合うように通信サービスの提供を開始する。そして車両ID:0004(移動基地局車210
4)は、トラヒックの増加が予想される時間帯が過ぎた後、通信サービスの提供を終了し、次の目的地へ向かう。
【0072】
仮に車両ID:0003と車両ID:0004の次の目的地が同じである場合は、バッテリー残量の多い方の車両(車両ID:0004)を選択してもよい。
図9を参照すると、設備情報保存部203が保持する設備情報によれば、車両ID:0003の「バッテリー残量」は50%であり(「バッテリー容量は40kWh」)、車両ID:0004の「バッテリー残量」は90%であり(「バッテリー容量は60kWh」)である。次の目的地が同じである場合は、車両ID:0004のバッテリー残量の方が車両ID:0003のバッテリー残量より多いので、バッテリー残量の多い方の車両(車両ID:0004)を選択してもよい。
【0073】
また、以上の説明では車両ID:0004が選択されたが、車両ID:0004と車両ID:0002の両方を選択してもよい。車両ID:0004と車両ID:0002の両方がトラヒック増加エリアで移動基地局車として稼働することにより、LTEとNRのDual Connectivityが可能になり、さらなる高速通信やトラヒック分散が実現できる。派遣する移動基地局車として複数の車両を選択するかどうかは、想定されるトラヒック量や通信事業者が提供したい通信サービス品質レベルを元に、通信事業者が閾値や優先度の基準を設定してもよい。
【0074】
<選択アルゴリズム例3>
図10、
図11にデータ処理部110の選択アルゴリズム例3を示す。
図10は、本発明の第1実施形態の統括システムにおいて、移動基地局車の派遣や配置の考え方の一例(選択アルゴリズム例3)を説明するための概念図である。
図11は、
図10の移動基地局車に関し、運行管理システムの設備情報保存部、位置情報保存部、及び稼働計画保存部が保持する情報の一例を示すテーブルである。本例は、X月Y日に移動基地局車を派遣や配置する場合の考え方の第3の例である。
【0075】
本例はイベント開催により、トラヒックが増加するエリアへの移動基地局車の派遣や配置の考え方に関するもので、
図8、
図9の選択アルゴリズム例2と類似しているケースであるが、車両ID:0005(210
5)が追加されている。本ケースでは、高スループット、低遅延が要求されるため、MECサーバ(Multi-access Edge Computingサーバ)を保有している車両の方が望ましい。
図11を参照すると、設備情報保存部203が保持する設備情報によれば、車両ID:0004の「MECサーバ有無」が無しであるのに対し、車両ID:0005の「MECサーバ有無」は有りである。このように、車両ID:0004と車両ID:0005を比較すると、車両ID:0004はMECサーバを保有していないが、車両ID:0005はMECサーバを保有しているので、車両ID:0005を選択する方が望ましい。
【0076】
しかしながら、車両ID:0005の方が車両ID:0004よりも
図10のトラヒック増加エリアから離れた位置に存在している。また
図11を参照すると、設備情報保存部203が保持する設備情報によれば、車両ID:0004と車両ID:0005とは「バッテリー容量」が60kWhと同じであるものの、車両ID:0004の「バッテリー残量」が90%であるのに対し、車両ID:0004の「バッテリー残量」が20%であり、差異がある。
【0077】
このように、現在の状況においては、車両ID:0005の方が車両ID:0004よりも
図10のトラヒック増加エリアから離れた位置にあり、且つ、車両ID:0004よりもバッテリー残量が少ない。このため、車両ID:0005がトラヒック増加エリアに移動しても、移動基地局車として稼働できる継続稼働可能時間が短く、トラヒック増加時間帯(X月Y日の12:00時~15:00)にバッテリーが無くなり通信サービスを提供できなくなる恐れがある。
【0078】
このような場合、車両ID:0005の移動基地局車として稼働可能な時間帯、現在地からトラヒック増加エリアまでの所要時間、近隣のEV(Electric Vehicle)充電スタンドの位置情報等を参照して、トラヒック増加の開始時間までに間に合う条件であれば、車両ID:0005がEV充電スタンドを経由してからトラヒック増加エリアに移動するように選択してもよい。
【0079】
この選択アルゴリズム例3のような移動基地局車の派遣や配置の考え方によれば、基地局として高スループット、低遅延の要求を満足すると共に、移動基地局車のトラヒック増加エリアへの距離、移動基地局車のバッテリー残量の観点からのみでなく、派遣するにふさわしい移動基地局車を決定することができる。
【0080】
(実施形態の効果)
本実施形態の通信管理システムによれば、物流・配送事業者が保有している、或いは物流・配送事業者の支配下にあるトラック、バス、ハイヤーやタクシー等の移動体に基地局機能を搭載し、この移動体を派遣することによって、通信サービスを継続できるように対応することができる。基地局機能を搭載した移動体は、移動基地局車となって、派遣されたエリアにて通信サービスを提供することができる。
【0081】
本実施形態の通信管理システムを運営し、管理する移動体通信の通信事業者は、局地的にトラヒックが増加する場合、一時的にトラヒックが増加する場合、局地的にトラヒックが増加するエリアが移動する場合などにも、物流・配送事業者が保有している、或いは物流・配送事業者の支配下にある移動体を該当エリアへ派遣することにより、通信サービスを継続できる。
【0082】
物流・配送事業者が保有している、或いは物流・配送事業者の支配下にある移動体を該当エリアへ派遣する際には、物流・配送事業者が保有している、或いは物流・配送事業者の支配下にある1つ又は複数の移動体を派遣することができる。
【0083】
どの移動体を派遣するかといった決定の判断基準としては、現在地から該当エリアへの移動体の距離、現在地からトラヒック増加エリアまでの所要時間、該当エリアへ至る経路又は近隣のEV充電スタンドの位置情報などを列挙することができる。どの移動体を派遣するかといった決定の判断基準としては、その他に、移動体に搭載された基地局機能の対応RAT、対応周波数帯、セル半径、バッテリー残量、などを列挙することができる。通信管理システムは、これらの情報を、設備情報保存部203をデータ参照することにより、入手することができる。どの移動体を派遣するかといった決定の判断基準としては、その他に、移動体が業務中であるかアイドルであるかといった現在のステータス、移動体が移動基地局車として稼働可能な時間帯、移動体の次の目的地、などを列挙することができる。通信管理システムは、これらの情報を、稼働計画保存部205をデータ参照することにより、入手することができる。通信管理システムはこれらの判断基準のいずれか、これらの判断基準のうちの複数の組み合わせ、或いはこれらの判断基準のうちの複数の優先度などから、どの移動体を派遣するかを決定することができる。
【0084】
本実施形態の通信管理システムによれば、通信管理システムを運営し、管理する通信事業者は、通信事業者自身で多数の移動基地局車を保有する必要がなくなるので、多数の移動基地局車を保有することを想定した場合に必要となるコストや保管場所を削減することができる。
【0085】
そして、多数の移動基地局車を保有することを想定した場合に必要となるコストや保管場所を削減できると共に、局地的にトラヒックが増加する場合や、一時的にトラヒックが増加する場合などでも効率的に移動体通信サービスを継続することができる。
【0086】
移動基地局車210(2101~210n)の運用を物流・配送事業者が代行することで、通信事業者はコスト削減や通信サービスの品質向上が可能になる。また、例えば地方自治体が移動基地局車を登録しておくことで、災害発生による通信サービス断が発生した際に、地域住民に対して迅速に通信サービスを復旧させることも可能になる。
【0087】
このように、トラックやタクシー等の物流・配送ネットワーク設備に基地局機能を搭載することで、配送業務や運転業務の無いアイドル時間に移動基地局車210(2101~210n)として有効活用できるようになり、物流・配送事業者の業務領域が拡がる。
【0088】
また、要求される通信品質はサービス内容やトラヒック状況等により様々であり、これを考慮して上述した選択アルゴリズム例1~選択アルゴリズム例3で説明したように、周辺の無線環境への干渉有無や求められるサービス品質に適した基地局を選択することができる。局地的にトラヒックが増加する場合や、一時的にトラヒックが増加する場合にも、上述した選択アルゴリズム例1~選択アルゴリズム例3で説明した手法のいずれかなどを適用することにより、移動基地局車210を選択し派遣して、対応できる。また通信サービスを提供しているエリア内の多方面で起こり得る事象や同時多発的に起こり得る事象にも、上述した選択アルゴリズム例1~選択アルゴリズム例3で説明した手法のいずれかなどを適用することにより、移動基地局車210を選択し派遣して、対応できる。
【0089】
物流・配送事業者においては、物流・配送事業者が保有しているトラック、バス、ハイヤーやタクシー等の移動体の配置や、運送、配送などの稼働計画が管理され、また移動体のドライバーとの通信・連絡や移動体のドライバーに対する目的地の指示などを行える既存システムが運用中である。上述した実施形態を実施しようとする場合、移動体への基地局ユニットの搭載や、設備情報保存部203を既存システムに追加するといった小変更によって、上述した実施形態を実施することができる。このように、物流・配送事業者においては、大きな設備投資を必要とせずに、移動体通信の通信事業者による通信サービスの継続に寄与することができる。
【0090】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態による通信管理システムなどについて、説明する。本発明は、上述した第1実施形態に限られるものではない。例えば、
図3の実施形態では移動基地局車210から、設備情報、位置情報や稼働計画を運行管理システム200に送信するとしているが、移動基地局車210がその他の情報を収集して通知することも可能である。例えば、移動基地局車210が、電波強度や干渉レベル等の通信品質状況を運行管理システム200経由でオペレーションシステム100に送信することで、通信事業者は通信品質の悪いエリアを把握することができ、通信品質の改善に役立てることができる。この通信品質の測定業務に対して、通信事業者から物流・配送事業者に対価が支払われるビジネスモデルとしてもよい。
【0091】
上述した第1実施形態には、トラックやタクシーを移動基地局車210として利用する方法について記載されているが、トラックやタクシー以外を移動基地局車210の対象とすることも可能である。例えば、ドローンやバス、鉄道、一般乗用車を移動基地局車として利用する方法も可能である。すなわち、本発明の実施形態が運用される国・地域が定める法律、法令の範囲内で、移動体を移動基地局車210として利用することが考えられる。
【0092】
上述した第1実施形態では、基地局設置が必要な場所をオペレーションシステム100から移動基地局車210に対して送信するとしているが、各移動基地局車210が走行中に通信品質状況を収集して、通信品質の悪い場所に自律で移動して、通信サービスを提供する方法も可能である。
【0093】
上述した第1実施形態では、トラックやタクシー等に搭載する基地局機能214に関する設備(移動基地局213)は通信事業者から物流・配送事業者に提供もしくは貸与されるものとしているが、物流・配送事業者が準備してもよい。
【0094】
上述した第1実施形態では、通信事業者と物流・配送事業者間の代行運用方法を示しているが、ローカル5GやPrivate5Gなどの通信サービスも存在するため、通信事業者のみではなく、企業や自治体が移動基地局車を活用してもよい。言い換えると、トラック、バス、ハイヤーやタクシー等の移動体に基地局装置を搭載して、上述した実施形態の移動基地局車を構成するように活用してもよい。トラック、バス、ハイヤーやタクシー等の移動体は、企業や自治体が保有しているか、或いは企業や自治体が管理している。よって本発明の実施形態においては、上述した「物流・配送事業者」を企業や自治体に読み替えて実施することも可能である。
【0095】
図5のビジネスモデル例では、通信事業者が移動基地局車の稼働時間、稼働台数に応じて対価を支払うとしているが、作業指示件数や作業期間等に応じて対価を支払うといったように、その他の支払条件とすることも可能である。また上述した第1実施形態では、基地局機能、無線通信機能は通信事業者から提供するとしているが、基地局や無線通信機器の開発メーカから提供もしくは貸与する方法も可能である。
【0096】
また、データ処理部110により行われる移動基地局車210の選定や設置場所などの決定はRIC(RAN Intelligent Controller)の機能として提供してもよい。また、移動基地局の選定結果や稼働実績を蓄積して、機械学習により移動基地局車210の選定や設置場所の決定アルゴリズムを更新してもよい。
【0097】
上述した第1実施形態における、設備情報保存部203、位置情報保存部204、稼働計画保存部205が保持する要素は一例であって、これらに限られるものではない。上述した実施形態の選択アルゴリズム例では、セル半径(カバーエリア)などを優先して移動基地局車を選定するケースや、高スループットや低遅延性を優先して移動基地局車を選定するケースを説明したが、その他の要素を組み合わせて移動基地局車を選定するアルゴリズムを採用してもよい。例えば、セルあたりの収容可能端末数、Massive MIMO対応有無、バッテリー容量とバッテリー残量から算出した基地局としての継続稼働可能時間などを用いてもよい。
【0098】
また、上述した第1実施形態では、設備情報保存部203は車両あたりに1つのRAT、対応周波数となっている場合を説明したが、本発明はこれに限られない。すなわち、1つの車両が複数の無線機を保有することも可能であるため、複数のRATや周波数に対応してもよい。
【0099】
上述した第1実施形態では稼働計画保存部205に、移動基地局車210として稼働可能な時間帯を設定しているが、災害発生時などの緊急時には稼働可能な時間帯以外でも稼働できることが望ましい。すなわち、緊急時と通常時とでは稼働計画に対する考え方を根本から変えることとして、通常時の稼働計画と、緊急時の稼働計画とを別々に用意しておくことが好ましい。そのため、緊急時の稼働有無など、ユースケース毎の稼働可否を設定しておいてもよい。また、緊急時の稼働が発生した場合に発生する対価は、通常よりも高額な設定とするビジネスモデルとしてもよい。
【0100】
〔その他の実施形態〕
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態の通信管理システムや運行管理システムは、上述した動作を実現するプログラムを実行できる情報処理装置によっても実現され得る。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体の形態で、流通され得る。このような記録媒体に記録されたプログラムを読み込んで、情報処理装置で実行することにより、上述した実施形態の通信管理システムをソフトウェア的に実現することもできる。
【0101】
図12Aは、本発明の実施形態による通信管理プログラムを実行する、情報処理装置の一例を示すブロック図である。
図12Aの情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)などで構成されるメモリ12と、を含む。このようなハードウェア構成の情報処理装置によって、例えば
図12Bの、基地局稼働状況保存処理、選択処理、要請処理や対価支払処理の一部または全部は実現され得る。すなわち、
図12Aの情報処理装置10で、移動体通信サービスを提供する通信事業者が運営する基地局の稼働情報を保持する基地局稼働状況保存処理を実施する。さらに
図12Aの情報処理装置10で、基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の位置情報、稼働計画情報、及び移動体に搭載された基地局機能の設備情報を元に、所定エリアへ派遣する移動体を選択する選択処理を実施する。さらに
図12Aの情報処理装置10で、上記選択処理で選択した結果に基づいて、上記所定エリアへの上記選択された移動体の派遣を物流・配送事業者に対して要請する要請処理を実施する。そして
図12Aの情報処理装置10で、上記所定エリアへの上記選択された移動体の派遣要請に対応した、物流・配送事業者による移動体の派遣実績に応じて、通信事業者から物流・配送事業者に対価を支払う対価支払処理を実施することもできる。このように
図12Aの情報処理装置10に
図12Bの各処理を実現させる通信管理プログラムを読み込んで実行させることによっても、本発明の実施形態の通信管理システムは実現できる。
【0102】
図13Aは、本発明の実施形態による運行管理プログラムを実行する、情報処理装置の一例を示すブロック図である。
図13Aの情報処理装置20は、CPU21と、RAMなどで構成されるメモリ22と、を含む。このようなハードウェア構成の情報処理装置20によって、例えば
図13Bの、設備情報保存処理、位置情報保存処理、稼働計画保存処理、及び指示処理の一部または全部は実現され得る。すなわち、
図13Aの情報処理装置20で、通信事業者が移動体通信サービスを提供するための基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の設備情報であって、移動体に搭載された基地局機能の設備情報を保持する設備情報保存処理を実施する。さらに
図13Aの情報処理装置20で、基地局機能が搭載された移動体の位置情報を保持する位置情報保存処理を実施する。さらに
図13Aの情報処理装置20で、基地局機能が搭載された移動体の稼働計画を保持する稼働計画保存処理を実施する。さらに
図13Aの情報処理装置20で、移動体通信サービスを提供する通信事業者からの要請に対応して、要請された移動体を所定エリアへ移動するよう指示する指示処理を実施する。このように
図13Aの情報処理装置20に
図13Bの各処理を実現させる運行管理プログラムを読み込んで実行させることによっても、本発明の実施形態の運行管理システムは実現できる。
【0103】
また、これらの通信管理プログラムや運行管理プログラムは、プログラムを記録した記録媒体の形態で、流通され得る。このプログラムは、CF(Compact Flash(登録商標))およびSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記録デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記録媒体、またはCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの光学記録媒体などの形態で、流通され得る。
【0104】
上述した物流・配送事業者の移動体の稼働計画としては、トラックなどにおいては運送、配送、回送などの計画が想定され、タクシーやハイヤーなどにおいては賃走、迎車、回送などの計画が想定される。トラヒック増加エリアに派遣される移動基地局車の選択においては、移動基地局車の現在地とトラヒック増加エリアとの間の直線距離や、移動基地局車の現在地からトラヒック増加エリアまでの道のり(道なりの距離)などが考慮される。一時的にトラヒックが増加するエリアや時間帯としては、競技場、スタジアム、体育館、劇場、ホール、公園、レジャー施設など収容人員、来場者が多い大規模施設が想定され、多数の移動体通信ユーザが集まる大規模イベントや花火大会などの行事開催などが想定される。一時的にトラヒックが増加するエリアや時間帯のうち、発生場所が予め想定されるものではないケースとしては、交通渋滞、公共交通機関の支障、自然災害などに起因する想定外の移動体通信ユーザの集中などが想定される。
【0105】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【0106】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)移動体通信サービスを提供する通信事業者が運営する基地局の稼働情報を保持する基地局稼働状況保存部と、
基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の位置情報、稼働計画情報、及び移動体に搭載された基地局機能の設備情報を元に、所定エリアへ派遣する移動体を選択するデータ処理部と、
前記データ処理部の選択結果に基づいて、前記所定エリアへの前記選択された移動体の派遣を前記物流・配送事業者に対して要請するオペレーションシステムと、を含む
通信管理システム。
(付記2)前記基地局稼働状況保存部は、前記通信事業者が運営する基地局であって、恒久的又は半恒久的に設置された基地局の稼働情報と、前記物流・配送事業者が管理する前記移動体に前記基地局機能が搭載されて構成される移動基地局の稼働情報と、を保持する、
付記1に記載の通信管理システム。
(付記3)前記データ処理部は、前記所定エリアへ派遣する移動体を選択する際に、
前記移動体に搭載される前記基地局機能の対応RAT(対応Radio Access Technology)、対応周波数帯、セル半径、バッテリー容量、バッテリー残量、MECサーバ(Multi-access Edge Computingサーバ)の保有の有無のいずれか1つ以上を参照する、
付記1又は付記2に記載の通信管理システム。
(付記4)前記データ処理部は、前記所定エリアへ派遣する移動体を選択する際に、
前記移動体の現在地をさらに参照する、
付記3に記載の通信管理システム。
(付記5)前記データ処理部は、前記所定エリアへ派遣する移動体を選択する際に、
前記移動体の業務中及びアイドルのいずれか一つを示す現在のステータス、移動基地局として稼働可能な時間帯、及び前記移動体の次の目的地を参照する、
付記3に記載の通信管理システム。
(付記6)前記所定エリアへの前記選択された移動体の派遣要請に対応した、前記物流・配送事業者による移動体の派遣実績に応じて、前記通信事業者から前記物流・配送事業者に対価を支払う、
付記1又は付記2に記載の通信管理システム。
(付記7)通信事業者が移動体通信サービスを提供するための基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の設備情報であって、移動体に搭載された前記基地局機能の設備情報を保持する設備情報保存部と、
前記基地局機能が搭載された前記移動体の位置情報を保持する位置情報保存部と、
前記基地局機能が搭載された前記移動体の稼働計画を保存する稼働計画保存部と、
移動体通信サービスを提供する通信事業者からの要請に対応して、要請された移動体を所定エリアへ移動するよう指示する通信部と、を含む
運行管理システム。
(付記8)前記物流・配送事業者が管理する移動体と通信し、
前記移動体の位置情報を収集して、前記位置情報保存部が保持する位置情報を更新し、
前記移動体の稼働計画を収集して、前記稼働計画保存部が保持する稼働計画を更新する、
付記7に記載の運行管理システム。
(付記9)前記物流・配送事業者が管理する移動体と通信し、
前記移動体が測定した無線環境を収集する、
付記7又は付記8に記載の運行管理システム。
(付記10)付記1又は付記2に記載の通信管理システムと、
付記7又は付記8に記載の運行管理システムと、を含む
統括システム。
(付記11)移動体通信サービスを提供する通信事業者が運営する基地局の稼働情報を保持し、
基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の位置情報、稼働計画情報、及び移動体に搭載された基地局機能の設備情報を元に、所定エリアへ派遣する移動体を選択し、
前記選択した結果に基づいて、前記所定エリアへの前記選択された移動体の派遣を前記物流・配送事業者に対して要請する、
通信管理方法。
(付記12)前記基地局の稼働情報の保持においては、
前記通信事業者が運営する基地局であって、恒久的又は半恒久的に設置された基地局の稼働情報と、前記物流・配送事業者が管理する前記移動体に前記基地局機能が搭載されて構成される移動基地局の稼働情報と、を保持する、
付記11に記載の通信管理方法。
(付記13)前記所定エリアへ派遣する移動体を選択する際に、
前記移動体に搭載される前記基地局機能の対応RAT(対応Radio Access Technology)、対応周波数帯、セル半径、バッテリー容量、バッテリー残量、MECサーバ(Multi-access Edge Computingサーバ)の保有の有無のいずれか1つ以上を参照する、
付記11又は付記12に記載の通信管理方法。
(付記14)前記所定エリアへ派遣する移動体を選択する際に、
前記移動体の現在地をさらに参照する、
付記13に記載の通信管理方法。
(付記15)前記所定エリアへ派遣する移動体を選択する際に、
前記移動体の業務中及びアイドルのいずれか一つを示す現在のステータス、移動基地局として稼働可能な時間帯、及び前記移動体の次の目的地を参照する、
付記13に記載の通信管理方法。
(付記16)前記所定エリアへの前記選択された移動体の派遣要請に対応した、前記物流・配送事業者による移動体の派遣実績に応じて、前記通信事業者から前記物流・配送事業者に対価を支払う、
付記11又は付記12に記載の通信管理方法。
(付記17)移動体通信サービスを提供する通信事業者が運営する基地局の稼働情報を保持する基地局稼働状況保存処理と、
基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の位置情報、稼働計画情報、及び移動体に搭載された基地局機能の設備情報を元に、所定エリアへ派遣する移動体を選択する選択処理と、
前記選択処理での選択結果に基づいて、前記所定エリアへの前記選択された移動体の派遣を前記物流・配送事業者に対して要請する要請処理と、を
コンピュータに実行させる
通信管理プログラム。
(付記18)前記基地局稼働状況保存処理においては、
前記通信事業者が運営する基地局であって、恒久的又は半恒久的に設置された基地局の稼働情報と、前記物流・配送事業者が管理する前記移動体に前記基地局機能が搭載されて構成される移動基地局の稼働情報と、を保持する、
付記17に記載の通信管理プログラム。
(付記19)前記所定エリアへ派遣する移動体を選択する選択処理においては、
前記移動体に搭載される前記基地局機能の対応RAT(対応Radio Access Technology)、対応周波数帯、セル半径、バッテリー容量、バッテリー残量、MECサーバ(Multi-access Edge Computingサーバ)の保有の有無のいずれか1つ以上を参照する、
付記17又は付記18に記載の通信管理プログラム。
(付記20)前記所定エリアへ派遣する移動体を選択する選択処理においては、
前記移動体の現在地をさらに参照する、
付記19に記載の通信管理プログラム。
(付記21)前記所定エリアへ派遣する移動体を選択する選択処理においては、
前記移動体の業務中及びアイドルのいずれか一つを示す現在のステータス、移動基地局として稼働可能な時間帯、前記移動体の次の目的地を参照する、
付記19に記載の通信管理プログラム。
(付記22)前記所定エリアへの前記選択された移動体の派遣要請に対応した、前記物流・配送事業者による移動体の派遣実績に応じて、前記通信事業者から前記物流・配送事業者に対価を支払う対価支払処理を、
コンピュータにさらに実行させる
付記17又は付記18に記載の通信管理プログラム。
(付記23)通信事業者が移動体通信サービスを提供するための基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の設備情報であって、移動体に搭載された前記基地局機能の設備情報を保持し、
前記基地局機能が搭載された前記移動体の位置情報を保持し、
前記基地局機能が搭載された前記移動体の稼働計画を保存し、
移動体通信サービスを提供する通信事業者からの要請に対応して、要請された移動体を所定エリアへ移動するよう指示する、
運行管理方法。
(付記24)前記物流・配送事業者が管理する移動体と通信し、
前記移動体の位置情報を収集して、前記保持する位置情報を更新し、
前記移動体の稼働計画を収集して、前記保持する稼働計画を更新する、
付記23に記載の運行管理方法。
(付記25)前記物流・配送事業者が管理する移動体と通信し、
前記移動体が測定した無線環境を収集する、
付記23又は付記24に記載の運行管理方法。
(付記26)通信事業者が移動体通信サービスを提供するための基地局機能が搭載され、物流・配送事業者が管理する移動体の設備情報であって、移動体に搭載された前記基地局機能の設備情報を保持する設備情報保存処理と、
前記基地局機能が搭載された前記移動体の位置情報を保持する位置情報保存処理と、
前記基地局機能が搭載された前記移動体の稼働計画を保持する稼働計画保存処理と、
移動体通信サービスを提供する通信事業者からの要請に対応して、要請された移動体を所定エリアへ移動するよう指示する指示処理と、を
コンピュータに実行させる
運行管理プログラム。
(付記27)前記物流・配送事業者が管理する移動体と通信し、
前記移動体の位置情報を収集して、前記位置情報保存処理で保持した位置情報を更新し、
前記移動体の稼働計画を収集して、前記稼働計画保存処理で保持した稼働計画を更新する、
付記26に記載の運行管理プログラム。
(付記28)前記物流・配送事業者が管理する移動体と通信し、
前記移動体が測定した無線環境を収集する、
付記26又は付記27に記載の運行管理プログラム。
【符号の説明】
【0107】
100 オペレーションシステム
101 制御部
102 通信部
110 データ処理部
120 基地局稼働状況保存部
200 運行管理システム
201 制御部
202 通信部
203 設備情報保存部
204 位置情報保存部
205 稼働計画保存部
206 制御・通信機能
210、2101~210n 移動基地局車
211 制御部
212 無線通信部
213 移動基地局
214 基地局機能
215 自動運転機能
216 無線環境測定機能
217 GPS機能
218 バッテリー機能