(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043172
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】自動車盗難防止装置
(51)【国際特許分類】
B60R 25/01 20130101AFI20240322BHJP
B60R 25/04 20130101ALI20240322BHJP
B60R 25/08 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B60R25/01
B60R25/04
B60R25/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148207
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】514015112
【氏名又は名称】株式会社伍士興業
(74)【代理人】
【識別番号】100069073
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 和保
(72)【発明者】
【氏名】秋山 克己
(57)【要約】
【課題】
ブレーキペダル30をロックすることで、車両の盗難を防止する。
【解決手段】
箱体を作り、その箱体2の一面に開口部4を設ける。この開口部4を介してブレーキペダル30を被挿する。そしてブレーキペダル30を箱体2内に固定する。ブレーキペダル30の固定は、箱体2の内部に配された下部ロックアーム14を動かす固定装置10に用いられる。固定装置10は底面5上に立設する一対の立壁面11,11と、この立壁面11,11に横架し回転自在の回転軸12と、この回転軸12に固着の下部ロックアーム14,14より成り、前記下部ロックアーム14,14の揺動により、内部に挿入されたペダル30を固定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間を持つ箱体と、この箱体の一方にペダルを出し入れする開口部とを備え、前記箱体内にあって、ペダルを拘束する下部ロックアームと、この下部ロックアームは基端を回転軸に固着され、この回転軸を支点として回動させる固定装置と、前記回転軸は前記箱体の内側に配置された一対の立壁面に支えられ、前記箱体の外側に配された鍵付きのロックレバーにより回転されることを特徴とする自動車盗難防止装置。
【請求項2】
前記箱体は、前記一対の立壁面が内側で底面上に間隔を持って立設される二重構造とし、前記立壁面間に前記回転軸を取り付けると共に、前記ロックアームの回動位置を規制する下部ロックアームストッパーと、ペダルの挿入位置を規制する挿入位置規制レバーとが横架されたことを特徴とする請求項1記載の自動車盗難防止装置。
【請求項3】
前記箱体の底面で前記開口部側に、前記鍵付のロックレバーと連動して動かされる隙間調整部を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動車盗難防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車のペダル装置を覆い当該ペダル装置の踏み込み操作を拘束する自動車盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車中の自動車の盗難防止装置は、自動車内へ侵入者を感知して警報を発生させるものや、自動車の車輪に拘束具を取り付けるものなど、様々なものがある。また、運転席に設けられている運転に必要な装置を拘束することで、盗難防止を行うものとして、特開2002-178878(特許文献1)を見ることができる。
【0003】
この特許文献1に示す盗難防止装置は、ペダル装置を覆い使用時にこのペダル装置に係合する係合具を有し、かつフロアや壁に支持された箱形部材を用いて、ペダル装置の動きを拘束している。
オートマティックトランスミッション駆動の自動車においてエンジンの始動は、ブレーキペダルを踏みこんで行われるシステムであり、踏み込みできなければ、エンジンが稼働できず、盗難防止効果を発揮する。
【0004】
また、アクセルペダルも踏み込まなければ、エンジンの駆動回転数が上がらず操作はできない。当然ながら、マニュアルミッション車では、クラッチペダルを踏みこまなければ、同様にエンジンの駆動ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述公知の特許文献では、箱状のカバー体を用いているが、カバー体が水平方向に接合面を持つ、2つの筒状の部材より成り、この接合面を介して挟み込むが、自動車のインストルメントパネル下の自動車のフロアに広げてから、ペダルを挟み込み作業をしなければならず、ほかの機器と干渉し装着しにくい。
【0007】
また、装着されたとしても、箱状のカバー体の接合面が露骨に見え、その部分にバールなどの工具を差し込めば、カバー体を破壊することが容易であり、盗難防止効果を期待できない。
【0008】
そこで、この発明は、ペダルを覆って固定しまい、しかも狭い場所である運転座席下でも容易に装着することができると共に、内部に配設された固定装置が外部から破壊しにくい構造の自動車盗難防止装置を提供しようとするものである。
【0009】
このため、この発明に係る自動車盗難防止装置は、内部に空間を持つ箱体と、この箱体の一方にペダルを出し入れする開口部とを備え、前記箱体内にあって、ペダルを拘束する下部ロックアームと、この下部ロックアームは基端を回転軸に固着され、この回転軸を支点として回動させる固定装置と、前記回転軸は前記箱体の内側に配された一対の立壁面に支えられ、前記箱体の外側に配された鍵付のロックレバーにより回転されることにある(請求項1)。
【0010】
よって、自動車の所有者は、車内のインストルメントパネル下に箱体をその握部を持って行き、その開口部をエンジンルーム側に向け、開口部からペダルを被挿する。それから、箱体の外側(実施例では右側面)にある鍵付きのロックレバーを回転させ、もって内部の下部ロックアームを揺動させ、ペダルを下方より箱体内部に固定する。これにより、ペダルは下部ロックアームにより、箱体の内部の固定装置に固定される。
【0011】
箱体は金属の比較的に硬い材質で作られており、容易に破壊しにくい。また、開口部がエンジンルーム側に向いてフロア(ファイヤーボード)に閉塞され、その方向から工具を差し込み出来ない。
また、箱体の内部に固定装置が設置され、一対の立壁面を立て、下部ロックアーム、その下部ロックアームを支える回転軸を支えた構造をしているため、箱体を破壊しただけでは、下部ロックアームを動かすことができず、盗難防止効果が高い。
【0012】
さらに、前記箱体は、前記一対の立壁面が内側で底面上に間隔を持って立設される二重構造とし、前記立壁面間に前記回転軸を取り付けると共に、前記ロックアームの回動位置を規制する下部ロックアームストッパーと、ペダルの挿入位置を規制する挿入位置規制レバーとが横架されたことにある(請求項2)。このため、盗難防止装置は、窃盗者の破壊工作から防ぐ構造となっている。即ち、一対の立壁面は、下部ロックアームをその回転を行う回転軸にて支えられ、それから、回転範囲を規制する挿入位置規制レバーが横架され、固定装置によっても強固に維持されている。
【0013】
さらにまた、箱体の車両への密着度向上のための、箱体の底面で開口部側に、前記鍵付ロックレバーと連動して動かされる隙間調整部を備えている(請求項3)ので、外部に広がり施錠時に働き、箱体の車両内でのガタ付きを防いで、盗難防止効果を向上させる。
【0014】
この発明は、ペダルとして、ブレーキペダルのみならず、クラッチペダル、アクセルペダルにも適用できることは勿論であり、これらのペダルを含めてペダルを称しては以下に説明している。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、自動車の走行に寄与するペダルを確実にロックする盗難防止装置で、しかも破壊工作に強い装置を提供する。盗難防止装置をなす箱体は、金属で硬い材質より作られ、工具により簡単に切断して開けられない。この盗難防止装置を触れても、拘束しているブレーキには影響されない構造となっている。
【0016】
箱体が二重構造(厚みを持たせる)になっていることで、サンダ、レシプロソーで解体できない。ペダルは下部ロックアームにより固定ができ、鍵をかけることにより、背部から押さえる構造となっている。箱体を装置の上から抑えたり、こじったりされても、ペダルの上方に空間が作られ、ペダルに力が加えられず、踏み込めない状態になっている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】は、この発明に係る自動車盗難防止装置の斜視図である。
【
図2】は、この発明の箱体内部に組付られる固定装置の斜視図である。
【
図3】は、ペダルを自動車盗難防止装置の箱体内へ被挿した状態の説明図である。
【
図4】は、下部ロックアームを揺動させて、ペダルを箱体に固定した状態の説明図である。
【
図5】は、自動車盗難防止装置を自動車のインストルメントパネル下部に持ち込み、開口部をペダルに向けてセットした状態の説明図である。
【
図6】は、開口部からペダルを被挿した状態の説明図である。
【
図7】は、鍵を掛けて固定した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例0019】
図1は、自動車盗難防止装置1が示された斜視図、
図2は、同上の内部に配置された固定装置10の斜視図である。自動車盗難防止装置1は、鉄などの硬い金属で製造された長方体の箱体2で、全体が黄色に塗装されている。縦、横、高さはそれぞれ30,20,20cmで比較的に重く、上面に持ち運び用の把っ手3を持っている。
【0020】
この箱体2の一面(正面)に四角状の開口部4を備えている。この開口部4は縦、横は12,13cm程で、この開口部4を介して図示しないペダルが被挿されるに十分な寸法を有している。この箱体2の底面5は、下記する固定装置10の構成要素になっている。
【0021】
固定装置10は、
図2で示され、箱体2の底面5上に、間隔持って立設された一対の立壁面11,11を有している。両者の横方向間寸法は、ペダルの横幅よりも広く取られ、また一対の立壁面11,11は、前記箱体2の外面とも隙間をもって立設されている。
なお、底面5は、前記箱体2の底面5ともなっている。
【0022】
回転軸12は、前記立壁面11間に横架され、回転自在となっている。この回転軸12は、下記する鍵付きのロックレバー23により回転される。それから、この回転軸12には、ペダルを拘束する下部ロックアーム14,14の基端が固定されている。したがって下部ロックアーム14,14は、前記回転軸12の回動によりそれを支点として90度程動かされ、上方に横架の下部アームストッパー15に当接される構造となっている。
【0023】
また、回転軸12には、リンク機構17を介して前記底面5を構成する隙間調整部18と連結され、底面5の左端の取付軸19,19を支点として揺動する。即ち、回転軸12が反時計方向に回転すると、隙間調整部18は取付軸19,19を支点として時計方向に揺動し、高さ方向寸法を拡大する方向に動かされる。
【0024】
鍵付のロックレバー23は外部より前記回転軸12を回転させるもので、軸芯20、リンク機構21を介して伝えられる。即ち、下部ロックアーム14,14は、
図1,
図2に示すように、本自動車盗難防止装置1が車体のペダルを被挿する前の状態を示していて、開口部4は全開となっている。
【0025】
鍵付のロックレバー23は、
図1に示す垂直方向に有れば、下部ロックアーム14,14が最も下がった位置(
図1,
図2に示す)にあり、それから鍵付ロックレバー23が90度回転した水平方向にあれば、下部ロックアーム14,14が最も上がった位置(
図4)にあります。この鍵付ロックレバー23,23は、水平方向となると、レバー23は箱体2の収納凹部25に格納される。
【0026】
上述の構成において、本自動車盗難防止装置1の使用例を
図3,
図4及び
図5乃至
図7をもとに説明する。
まず、自動車盗難防止装置1は、
図5に示すように、車両の運転座席下に運び入れた状態で、開口部4側をペダル側(ファイヤーボード側)にセットされる。その状態は
図1に示される。
【0027】
それから、把っ手3を持って、ペダル30を開口部4より、被挿する。すると、
図6に示され、その断面の説明として
図3に示されたように、ペダル30は固定装置10内の空間10aに挿入される。そして、その状態が
図6に示される。
【0028】
次に
図7に示すように、鍵付ロックレバー23を時計方向に動かし、下部ロックアーム14を回転軸12を支点として反時計方向に動かす。すると、下部ロックアーム14は、下方向よりペダル30を支える位置に回動されることになる。それから、先端14aが下部ロックアームストッパー15に当接する。もって空間10aは閉じられ、ペダル30の下方への踏み込みは防がれる。しかしながら、ペダル30の反踏み込み方向への動きは、許容され、箱体2の外部からの下方への動きによっては、ペダル30は上方に逃げ踏み込みされない。
尚、27は、ペダル30が開口部4より空間10aに挿入されたときに、ペダル30の左右方向の動きを規制する突部を有している。