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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043177
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】光学装置、露光装置および露光方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240322BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
G03F7/20 505
G03F7/20 521
G02B26/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148213
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】西村 辰彦
【テーマコード(参考)】
2H141
2H197
【Fターム(参考)】
2H141MA12
2H141MB39
2H141MC01
2H141MD12
2H141MD20
2H141ME04
2H141ME09
2H141ME13
2H141ME23
2H141ME25
2H141MF11
2H141MF28
2H197BA02
2H197BA05
2H197BA09
2H197CA07
2H197CC05
2H197CC16
2H197CD12
2H197CD15
2H197HA02
2H197HA03
(57)【要約】
【課題】光の進路をシフトさせる技術において、簡単かつコンパクトな構成でありながら、非点隔差の増大を抑えつつシフト量の調整を行うことができる技術を提供する
【解決手段】本発明は、入力光の光路をその入射方向と直交するシフト方向にシフトさせる光学装置であって、互いに平行な面の一方面に入力光が入射され他方面から出力光が出射される平行平面板であるシフト光学素子と、入力光の光路または出力光の光路に配置されて出力光に現れる非点隔差を補正する補正光学素子と、シフト光学素子を回動させてシフト量を変化させるとともに、シフト光学素子に連動させて補正光学素子を変位させる駆動部とを備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力光の光路をその入射方向と直交するシフト方向にシフトさせて、前記入力光の光路と平行であって同一でない光路に沿った出力光を出力する光学装置であって、
互いに平行な面の一方面に前記入力光が入射され他方面から前記出力光が出射される平行平面板であるシフト光学素子と、
前記入力光の光路または前記出力光の光路に配置されて前記出力光に現れる非点隔差を補正する補正光学素子と、
前記シフト光学素子を回動させてシフト量を変化させるとともに、前記シフト光学素子に連動させて前記補正光学素子を変位させる駆動部と
を備える、光学装置。
【請求項2】
前記駆動部による前記シフト光学素子の回動範囲は、前記一方面が前記入射方向に垂直となる場合を含む、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記補正光学素子は、前記シフト方向に沿った方向と垂直な方向とで異なるパワーを有するレンズであり、
前記駆動部は、前記補正光学素子を、前記シフト光学素子に対して接近および離間する方向に移動させる、請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記補正光学素子は、前記シフト光学素子とは異なる第2の平行平面板であり、
前記駆動部は、
前記シフト光学素子を、前記入力光の入射方向および前記シフト方向に垂直な第1回動軸と、前記入射方向および前記第1回動軸に垂直な第2回動軸とのまわりでそれぞれ回動させ、
前記補正光学素子を、前記第1回動軸に平行な第3回動軸と、前記第2回動軸に平行な第4回動軸とのまわりで、それぞれ前記シフト光学素子と連動させて回動させる、請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記シフト光学素子と前記補正光学素子とが同じ厚さを有し、
前記駆動部は、前記シフト光学素子を前記第1回動軸まわりに所定角度だけ回動させるとき、
前記補正光学素子を前記第3回動軸回りに前記所定角度だけ、かつ前記シフト光学素子と同方向に回転させるとともに、
前記シフト光学素子を前記第2回動軸まわりに、前記補正光学素子を前記第4回動軸回りに、それぞれ前記所定角度だけ、かつ互いに逆方向に回動させる、
請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記補正光学素子は、前記シフト光学素子と同じ厚さを有する第2の平行平面板であり、
前記駆動部は、前記シフト光学素子を、前記入力光の入射方向に垂直かつ前記シフト方向に対して45度の傾きを有する回動軸まわりに回動させるとともに、前記補正光学素子を、前記シフト光学素子の回動に連動させて前記入力光の入射方向および前記回動軸に垂直な回動軸まわりに回動させる、請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項7】
基板を保持する基板保持部と、
請求項1に記載の光学装置を含み、前記出射光を前記基板の表面に入射させて前記基板を露光する露光部と、
前記露光部と前記基板保持部とを相対移動させる相対移動部と
を備える、露光装置。
【請求項8】
前記露光部は、光源と、前記光源から出射される光ビームを露光データに基づき変調する光変調器とを有し、前記光変調器で変調された前記光ビームを前記入力光として前記光学装置に入射させる、請求項7に記載の露光装置。
【請求項9】
変調された光を基板に入射させて前記基板を露光する露光方法において、
前記光の光路に、前記光をその進行方向に直交する所定のシフト方向にシフトさせる光学装置を介挿し、
前記光学装置から出射される前記光の入射位置に対して前記基板を相対移動させ、
前記光学装置による前記光のシフト量を調整しながら前記光を前記基板に入射させ、
前記光学装置は、
互いに平行な面の一方面に入力光が入射され他方面から前記出力光が出射される平行平面板であるシフト光学素子と、
前記入力光の光路または前記出力光の光路に配置されて前記出力光に現れる非点隔差を補正する補正光学素子と
を有し、
前記シフト光学素子を回動させるとともに、前記シフト光学素子に連動させて前記補正光学素子を変位させることにより前記シフト量を調整する、露光方法。
【請求項10】
前記シフト量、前記シフト光学素子の回動量および前記補正光学素子の変位量を対応させたテーブルに基づいて前記シフト量を調整する、請求項9に記載の露光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば半導体基板、半導体パッケージ基板、プリント配線基板、ガラス基板等の基板にパターンを描画するために基板を露光する技術に適用可能な光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、半導体パッケージ基板、プリント配線基板、ガラス基板等の各種基板に配線パターン等のパターンを形成する技術として、基板表面に形成された感光層に、描画データに応じて変調された光ビームを入射し、感光層を露光させるものがある。この種の技術においては、基板の歪みや変形等に適合させつつ適正な位置に描画を行うために、基板に対する光ビームの入射位置をシフトさせる手段が光路上に設けられる。
【0003】
例えば特許文献1に記載の技術では、互いに逆向きに対向配置された1対のウェッジプリズムが光路上に配置されている。そして、ウェッジプリズム間の距離を変化させることにより、通過する光ビームが像面に形成する像の位置のシフトが実現されている。この技術では、プリズム間の距離が基準値であるときに非点隔差がほぼゼロとなるように、プリズムに対する光の入射角が設定されている。このときプリズム間の距離の変化に伴い非点隔差が増大するという問題に対しては、ウェッジプリズム対を回動させて光の入射角を変化させるという解決方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-244446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、非点隔差を増大させることなくシフト量を変更するためには、プリズム間の距離を光軸方向に増減させるとともに、その変更に応じてプリズム対を回転させる。そのため、このような移動のためのスペースを予め確保しておく必要があり、また光路の全長も大きくなる。特に縮小投影系との組み合わせでは、所定のシフト量を得るためには、それより相当に大きくプリズムを移動させる必要がある。このことから、装置の小型化を図るという点において、上記従来技術には改善の余地が残されている。
【0006】
また、上記従来技術では、プリズムを用いる原理上、光路を予めある程度シフトさせた状態を起点としてシフト量を増減させることで、見かけ上、シフトゼロの状態から両方向へシフトを行えるようにしている。このように本来はシフトによる光路の補正を必要としない状態でもプリズムによる光路の折れ曲がりが生じていることで、例えば光路が波長依存性を有するなど、光学系全体の最適設計を複雑にするという問題もある。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、光の進路をシフトさせる技術において、簡単かつコンパクトな構成でありながら、非点隔差の増大を抑えつつシフト量の調整を行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様は、入力光の光路をその入射方向と直交するシフト方向にシフトさせて、前記入力光の光路と平行であって同一でない光路に沿った出力光を出力する光学装置であって、互いに平行な面の一方面に前記入力光が入射され他方面から前記出力光が出射される平行平面板であるシフト光学素子と、前記入力光の光路または前記出力光の光路に配置されて前記出力光に現れる非点隔差を補正する補正光学素子と、前記シフト光学素子を回動させてシフト量を変化させるとともに、前記シフト光学素子に連動させて前記補正光学素子を変位させる駆動部とを備えている。
【0009】
このように構成された発明では、シフト光学素子としての平行平面板が、その互いに平行な一方平面から他方平面へ光が通過するように光路上に配置される。平行平面板が光路に垂直に配置されるとき、光路のシフトは生じない。一方、平行平面板を光路に対し傾けるべく、一の回動軸まわりに回動させると、回動軸に垂直な方向に光路はシフトする。このとき、回動の角度、つまり傾きの大きさによって光路長が変わるため、シフト方向に平行な方向と垂直な方向とで光路長差が生じ、このことが非点隔差の原因となる。
【0010】
そこで、この発明では、光路上に補正光学素子を設け、さらに、シフト光学素子と連動させて補正光学素子を変位させる。非点隔差の大きさはシフト光学素子の回動量に応じて変化するから、補正光学素子を連動させることによって、シフト量が変更される場合でも非点隔差の増大を抑えることが可能になる。
【0011】
平行平面板については回動のみで光路のシフトを実現することができ、また非点隔差を補正するための補正光学素子の変位量もさほど大きくならない。また、シフトゼロの場合には光路の変化もないため、プリズムを用いる場合に比べて光学設計は容易になる。このように、本発明によれば、簡単かつコンパクトな構成で、非点隔差の増大を抑えつつシフト量の調整を行うことが可能となる。
【0012】
また、この発明の他の一の態様は、基板を保持する基板保持部と、上記した構成の光学装置を含み、前記出射光を前記基板の表面に入射させて前記基板を露光する露光部と、前記露光部と前記基板保持部とを相対移動させる相対移動部とを備える、露光装置である。
【0013】
また、この発明の他の一の態様は、変調された光を基板に入射させて前記基板を露光する露光方法において、前記光の光路に、前記光をその進行方向に直交する所定のシフト方向にシフトさせる光学装置を介挿し、前記光学装置から出射される前記光の入射位置に対して前記基板を相対移動させ、前記光学装置による前記光のシフト量を調整しながら前記光を前記基板に入射させる。前記光学装置は、互いに平行な面の一方面に入力光が入射され他方面から前記出力光が出射される平行平面板であるシフト光学素子と、前記入力光の光路または前記出力光の光路に配置されて前記出力光に現れる非点隔差を補正する補正光学素子とを有し、前記シフト光学素子を回動させるとともに、前記シフト光学素子に連動させて前記補正光学素子を変位させることにより前記シフト量を調整する。
【0014】
これらの発明では、光学装置により光をシフトさせることで、基板に入射する光の位置を調整することが可能である。例えば基板の配置における位置精度が低く光の入射位置にずれが生じるような場合に、光をシフトさせることで基板への入射位置を修正することが可能である。このような応用では、本発明の光学装置が、光照射により基板に形成される像の位置を調整する機能を果たすこととなる。これにより、基板上の所望の位置に露光を行うことが可能となる。また、使用される光学装置を小型に構成することが可能であるため、これを備える露光装置についても、光路の全長を抑えて小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
上記のように、本発明では、光をシフトさせるシフト光学素子として平行平面板を用い、これによる非点隔差については補正光学素子を連動させることにより解消することができる。そのため、簡単かつコンパクトな構成で、非点隔差の増大を抑えつつシフト量の調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る光学装置を含む露光装置の第1の構成例を示す図である。
図2】本発明に係る光学装置を含む露光装置の第2の構成例を示す図である。
図3】像位置調整装置の第1実施形態を示す図である。
図4】シフト量と回動角度および非点隔差の関係を測定するための装置構成を示す図である。
図5】シフト量調整のための処理を示すフローチャートである。
図6】露光動作を示すフローチャートである。
図7図1の露光装置の変形例を示す図である。
図8】像位置調整装置の第2実施形態を示す図である。
図9】像位置調整装置の第3実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る光学装置の具体的態様について、いくつかの実施形態を示して説明する。ここでは、変調光ビームにより基板を露光して描画する露光装置に本発明に係る光学装置を適用した場合の実施形態について説明する。この露光装置は、レジストなどの感光材料の層が形成された基板に所定のパターンのレーザー光を照射することで、感光材料にパターンを描画する。露光対象となる基板としては、例えばプリント配線基板、半導体パッケージ基板、各種表示装置用のガラス基板、半導体基板などの各種基板を適用可能である。
【0018】
最初に、本発明に係る光学装置を適用可能な露光装置の2つの構成例について説明し、その後で、これらの露光装置に適用される光学装置の詳細について説明する。
【0019】
<第1の構成例の露光装置>
図1は本発明に係る光学装置を含む露光装置の第1の構成例を模式的に示す図である。この露光装置2の基本的構成は、特許文献1に「光学装置2」として記載されたものと同じである。そこで、特許文献1を参照することで理解し得る原理や基本構成等については説明を省略し、可能な限り符号を共通化して、ここでは装置構成の概略について簡単に説明する。
【0020】
以下の説明のために、XYZ直交座標系を図1に示すように定義する。図1は露光装置2の側面視を示す図であり、水平かつ図1紙面に垂直な方向をX方向、これと直交する水平かつ図1紙面に沿った方向をY方向とする。また、鉛直下向き方向をZ方向とする。
【0021】
露光装置2は、可動ステージ20、露光ヘッド21および制御部22を備えている。可動ステージ20は露光対象の基板9を水平姿勢に保持し、該基板9に対し、露光ヘッド21が変調光ビームを入射させることにより、基板9に微細なパターンが描画される。制御部22は予め用意された制御プログラムを実行して装置各部を制御することで、所定の動作を実現する。
【0022】
図示を省略しているが、可動ステージ20にはステージ駆動機構201が連結されている。ステージ駆動機構201は、可動ステージ20をY方向に移動させる主走査駆動機構と、X方向に移動させる副走査駆動機構と、Z方向に移動させる昇降機構とを含んでいる。このような機構の駆動源としては、例えばリニアモーターを使用することができる。これにより、露光装置2は、露光ヘッド21から出射される露光ビームを基板9の任意の位置に入射させて描画を行うことができる。
【0023】
露光ヘッド21は、光源23、照明光学系24、空間光変調器25および結像光学系26を備えている。光源23は、露光ビームとなる光を照射する、例えばランプである。照明光学系24は、光源23から出射された光を空間光変調器25に導く。空間光変調器25は、照明光学系24により導かれた光を所定の描画データに基づき変調して変調光ビームを生成する。
【0024】
照明光学系24は、ミラー240、レンズ241、光学フィルタ242、ロッドインテグレータ243、レンズ244およびミラー245,246等の光学素子を備えている。これらの光学素子の作用により、光源23からの光はビーム状に成形されて所定の入射角で空間光変調器25に案内される。
【0025】
空間光変調器25としては、例えばDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)、回折格子型空間光変調素子等を用いることができる。空間光変調器25は、入射する光ビームを描画データに基づき変調する。これにより、描画すべきパターンの形状に応じて光ビームが変調される。変調光ビームは結像光学系26を介して基板9の表面に入射する。
【0026】
結像光学系26は、第1結像レンズ260、ミラー261、像位置調整位置1および第2結像レンズ262等の光学素子を備え、縮小光学系を構成している。これらの光学素子の作用により、描画すべきパターンの形状に応じた光学像が、基板9の表面に結像する。具体的には、変調光ビームは第1結像レンズ260によって一次像(中間像)を形成し、一次像は第2結像レンズ262により像面である基板9表面で結像して最終像となる。
【0027】
また、結像光学系26には、第2結像レンズ262をZ方向に移動させるフォーカス駆動機構(図示省略)が結合されている。制御部22が該フォーカス駆動機構を作動させることにより、点線矢印で示すように第2結像レンズ262が基板9に接近および離間方向に移動する。これにより、第2結像レンズ262から出射される光ビームが基板9の表面に収束するように、結像光学系26のフォーカス調整がなされる。
【0028】
像位置調整装置1は、本発明に係る「光学装置」の一実施形態に相当するものであり、入射する光をX軸方向に任意の距離だけシフトさせる機能を有している。本発明に係る光学装置が露光装置2に適用されるとき、像面に結像する像の位置をシフトさせる機能を有することとなり、この意味において像位置調整装置として機能する。この実施形態において、像位置調整装置1は一次像と第2結像レンズ262との間に配置されている。その構造および動作については後述する。
【0029】
<第2の構成例の露光装置>
図2は本発明に係る光学装置を含む露光装置の第2の構成例を模式的に示す図である。図2においても、図1に準じてXYZ直交座標系を定義する。すなわち、図2は露光装置4の側面視を示す図であり、水平かつ図2紙面に垂直な方向をX方向、これと直交する水平かつ図2紙面に沿った方向をY方向とする。また、鉛直下向き方向をZ方向とする。
【0030】
図2に示すように、露光装置4は、可動ステージ40、露光ヘッド41、制御部42および光源ユニット43を備えている。可動ステージ40は露光対象の基板9を水平姿勢に保持し、ステージ駆動機構401によりX方向、Y方向およびZ方向に移動される。該基板9に対し、露光ヘッド41が変調光ビームを入射させることにより、基板9に微細なパターンが描画される。制御部42は予め用意された制御プログラムを実行して装置各部を制御することで、所定の動作を実現する。
【0031】
光源ユニット43は、レーザー光源としての例えばレーザーダイオード431と、その出射光を平行光に成形するコリメートレンズを含む照明光学系432とを備えており、露光ビームとなるレーザー光ビームを露光ヘッド41に入射させる。
【0032】
露光ヘッド41には、回折光学素子411を有する空間光変調器410が設けられている。具体的には、露光ヘッド41に上下方向(Z方向)に延設された支柱400の上部に取り付けられた空間光変調器410は、回折光学素子411の反射面を下方に向けた状態で、可動ステージ412を介して支柱400に支持されている。
【0033】
露光ヘッド41において、回折光学素子411は、その反射面の法線が入射光ビームの光軸に対して傾斜して配置されており、光源ユニット43から射出された光は、支柱400の開口を通してミラー413に入射し、ミラー413によって反射された後に回折光学素子411に照射される。そして、回折光学素子411の各チャンネルの状態が露光データに応じて制御部42によって切り換えられて、回折光学素子411に入射したレーザー光ビームが変調される。
【0034】
そして、回折光学素子411から0次回折光として反射されたレーザー光が結像光学系414のレンズへ入射する一方、回折光学素子411から1次以上の回折光として反射されたレーザー光は結像光学系414のレンズへ入射しない。つまり、基本的には回折光学素子411で反射された0次回折光のみが結像光学系414へ入射するように構成されている。
【0035】
結像光学系414のレンズを通過した光は、フォーカシングレンズ415により収束され露光ビームとして所定の倍率にて基板9上へ導かれる。結像光学系414は縮小光学系を構成している。このフォーカシングレンズ415はフォーカス駆動機構416に取り付けられている。そして、制御部42からの制御指令に応じてフォーカス駆動機構416がフォーカシングレンズ415を鉛直方向(Z軸方向)に沿って昇降させることで、フォーカシングレンズ415から射出された露光ビームの収束位置が基板9の上面に調整される。
【0036】
このようにして、描画すべきパターンの形状に応じて光ビームが変調され、変調光ビームが結像光学系414を介して基板9の表面に入射することで、基板9の表面に所定のパターンが描画される。
【0037】
回折光学素子411から結像光学系414へ向かう光路上には、像位置調整装置1が配置されている。像位置調整装置1の構成および機能は、第1の構成例の露光装置2に設けられたものと同一である。
【0038】
<像位置調整装置の第1実施形態>
図3は像位置調整装置の第1実施形態を示す図である。より具体的には、図3(a)は像位置調整装置1の第1実施形態11の概略構成を示す図であり、図3(b)はその作用を模式的に示す図である。また、図3(c)は平行平面板の回転角度とシフト量および非点隔差との関係を示す図である。なお、以下では、像位置調整装置1を組み込んだ露光装置として図1の構成のものを例示して説明するが、図2の構成と組み合わせた場合でも基本的な考え方は同じである。
【0039】
まず図3(a)を参照して、この実施形態の像位置調整装置11の構成を説明する。像位置調整装置11は、光ビームの光路をシフトさせる主体となるシフト光学素子111と、非点隔差を補正するための補正光学素子113とを備えている。シフト光学素子111は、入力光Liの入射面となる一方主面111aと、出射面となる他方主面111bとが互いに平行となった平行平面板(平行平面基板とも称される)である。
【0040】
シフト光学素子111は、これら両主面111a,111bと平行な回転軸Ax0まわりに回動可能となっている。具体的には、シフト光学素子111は図示しない適宜の支持機構により回転軸Ax0まわりに回動自在に支持されるとともに、回動モーター112と結合されている。回動モーター112は制御部22からの制御指令に応じて作動し、シフト光学素子111を回動軸Ax0まわりに回動させる。その結果、入力光Liはその入射方向および回動軸Ax0に垂直な方向にシフトする。
【0041】
ここで、以下の説明のために、露光装置内における像位置調整装置の姿勢や光路の折れ曲がりに左右されない、より普遍的な座標軸を導入する。すなわち、入力光Liの入射方向を符号Diにより表し、光ビームのシフト方向を符号Dsにより表すこととする。また回動軸Ax0と平行な軸を符号θにより表す。つまり、回動モーター112は、シフト光学素子111をθ軸まわりに回動させる。図1および図2の装置と対応付けて考えると、入射方向DiがZ方向に相当すると考えることができる。また、シフト方向Dsを例えばX方向、θ軸をY軸と考えることができる。
【0042】
図3(b)に破線で示すように、シフト光学素子111が、その主面111a,111bが入射方向Diと垂直な状態では、図に破線矢印で示すように、入射面111aへの入力光Liはシフト光学素子111内を直進して出射面111bから出射される。出力光Loは第2結像レンズ262を介して基板9の表面に結像する。このとき像位置のシフトはない。
【0043】
一方、図3(b)に実線で示すように、シフト光学素子111がθ軸まわりに角度θ0だけ傾けられた状態では、シフト光学素子111への入射時およびシフト光学素子111からの出射時のそれぞれにおいて屈折による光路の変化が生じ、出力光Loは、入力光Liの進路に対してシフト方向Dsに沿って大きさSだけシフトし、かつ入力光Liと平行な方向に出射される。以下では大きさSを「シフト量」と称する。シフト量Sは、シフト光学素子111の回動量θ0に応じて変化する。図3(c)に点線で示すように、シフト量Sは、角度θ0に対して線形に変化する。
【0044】
こうしてシフトした出力光Loが第2結像レンズ262を介して基板9の表面に結ぶ像も、基板9上でX方向にシフトさせる。このようにして、基板上での像位置のシフトが実現される。
【0045】
シフト光学素子111は、入力光Liを、入射方向Diおよびθ軸に垂直なシフト方向Dsにシフトさせる一方で、θ軸に沿った方向には変化を生じさせない。このような異方性に起因して、出力光Loには非点隔差が現れる。そのため、最終的に基板9の表面に光ビームを収束する際にX方向とY方向とで像面に対する合焦位置に差が生じ、描画品質の低下が生じ得る。
【0046】
これを解消するために、像位置調整装置11には補正光学素子113が設けられている。補正光学素子113は、Ds方向にパワーを有しθ軸方向にパワーを有さない光学素子、例えばシリンドリカルレンズである。なお、補正光学素子113としては、Ds方向とθ軸方向とでパワーが異なることがその要件であり、θ軸方向にパワーを有さないことは必須の要件ではない。
【0047】
このようなDs方向とθ軸方向とでパワーが異なる補正光学素子113を光路上に配置し光路長差を補正することで、基板9表面でのX方向とY方向との間の合焦位置の差を解消することができる。すなわち、非点隔差による描画品質の低下を回避することができる。
【0048】
本願発明者の知見では、平行平面板による像シフトに関して、図3(c)に実線で示すように、ゼロを中心とする角度θ0のある程度の範囲においては、角度θ0に対する非点隔差Asの大きさを概ね二次曲線により近似的に表すことが可能である。このように角度θ0により非点隔差Asの大きさが変化するから、補正光学素子113による補正量も角度θ0に応じて変更する必要がある。
【0049】
これについては、補正光学素子113を入射方向Diに沿って移動させ、Ds方向(像面においてはX方向)の合焦位置を変化させることにより対応可能である。これを可能とするために、図3(a)に示すように、補正光学素子113には駆動モーター114が結合されている。駆動モーター114は制御部22からの制御指令に応じて作動し、補正光学素子113を方向Diに移動させる。
【0050】
制御部22は、シフト量Sを変更するべくシフト光学素子111の回動角度θ0を変化させるとき、これと連動させて補正光学素子113の位置を方向Diに沿って変化させるように、回動モーター112および駆動モーター114を制御する。
【0051】
後述するように、実際の露光動作においては、基板9の歪みや反り、ステージ20上への載置位置等のばらつきに基づいて、必要なシフト量Sが定められる。したがって、定められたシフト量Sに応じて、シフト光学素子111の回動角度θ0および補正光学素子113の移動量Mを直ちに導出することができるようにしておけば、このようなばらつきの影響を受けず描画を良好に行うことが可能になる。例えば以下のようにして、これを実現することができる。
【0052】
図4はシフト量と回動角度および非点隔差の関係を測定するための装置構成を示す図である。また、図5はこの調整のための処理を示すフローチャートである。図4に示すように、像面に対応する位置に、基板9に代えてダミー基板52を配置し、ダミー基板52に投影される像を観察用カメラ51により撮像することにより、基板9に結像する像の位置を検出することが可能である。観察用カメラ51およびダミー基板52については、この目的のために設けられてもよいが、例えば露光ヘッドにおけるオートフォーカス機構のキャリブレーション等の目的で予め設けられたものであってもよい。
【0053】
可動ステージ20と選択的に露光ヘッド21の直下位置に位置決めされるために、観察用カメラ51およびダミー基板52には、水平方向に移動することが求められる。また、後述する合焦位置の探索のために、Z方向へ移動することが求められる。例えば、これらの方向への移動機構を備えた可動ステージ20の側部に、観察用カメラ51およびダミー基板52を取り付けておくことができる。
【0054】
具体的な処理は以下の通りである。最初に、露光ビームの像面に当たる位置に、可動ステージ20に代えてダミー基板52および観察用カメラ51が配置される(ステップS101)。また、補正光学素子112は適宜の基準位置に仮設定される(ステップS102)。以下、角度θ0を順次変化させながら、それに対応するシフト量Sおよび移動量Mを取得してゆく。
【0055】
具体的には、まずシフト光学素子111の回動角度θ0が適宜に値に仮設定される(ステップS103)。最初の試行では、例えば角度θ0をゼロ、つまりシフト光学素子111に入力光Liを垂直に入射させる設定とすることができる。
【0056】
この状態で、露光ヘッド21により、像面にあるダミー基板52の表面に対して所定の基準パターンを投影する(ステップS104)。この基準パターンは、X方向およびY方向の合焦位置を個別に測定するためのものであり、例えばX方向のラインとY方向のラインとを組み合わせたものを用いることができる。基準パターンの投影は、空間光変調器25により露光ビームを変調することによってなされてもよく、また調整用のマスクが光路上に配置されることによってなされてもよい。
【0057】
こうしてダミー基板52の表面に投影される基準パターンを用いて、シフト量Sおよび非点隔差Asが求められる。具体的には、観察用カメラ51が基準パターンを撮像し、画像データは制御部22に与えられる。制御部22は、観察用カメラ51およびダミー基板52を一体的にZ方向に移動させながら、X方向の基準パターンが像面に最も鮮明に投影される、つまり像面に合焦するときの位置と、Y方向の基準パターンが像面に合焦するときの位置とを取得し(ステップS105)、それらの差を算出して非点隔差Asとする(ステップS106)。
【0058】
また、X方向の基準パターンのX方向における位置を検出して、当該角度θ0におけるシフト量Sを測定する(ステップS107)。角度θ0がゼロであるときの基準パターンの位置を原点として、角度θ0がゼロでない場合については原点からの変位量をシフト量Sとして求めることができる。
【0059】
求められた非点隔差Asが予め定められた許容値を超えている場合には(ステップS108においてNO)、その大きさおよび符号に基づいて、これを低減するための補正光学素子113の移動量Mが求められ、その結果に応じて駆動モーター114が作動して補正光学素子113の位置が調整される(ステップS109)。補正光学素子113の移動M量としては、例えば、像面において算出された非点隔差の値を、像位置調整装置1と像面との間にある光学系の倍率の2乗で除した値を用いることができる。
【0060】
その上で、ステップS105~S109の非点隔差等の評価を再度実行する。ステップS108においてYESとなる条件が成立するまでこれを繰り返すことで、非点隔差を最小(理想的にはゼロ)とするための補正光学素子113の位置を最適位置に追い込んでゆくことができる。こうしてある回動角度θ0と、それに対応するシフト量Sおよび補正光学素子113の移動量Mとの対応関係が求められる。これらの値は制御部22内の記憶装置に一時的に記憶される。
【0061】
回動角度θ0の値を種々に変更しながら、必要な全ての角度θ0について処理が終了するまで(ステップS110)、ステップS103~S109の処理が繰り返される。こうすることで、角度θ0の種々の値について、そのときに得られるシフト量Sと、非点隔差Asを補正するために必要な補正光学素子113の移動量Mとの関係が得られる。
【0062】
なお、シフト量Sについては、ステップS105~S109の処理ループにおいて毎回測定される必要は必ずしもなく、例えば移動量Mの最適化が終了した時点で、そのときの基準パターンの位置からシフト量Sが求められてもよい。
【0063】
これらの結果はテーブル化されて制御部22の記憶装置に記憶される(ステップS111)。上記したように、露光動作においてはまず必要なシフト量Sが決定され、それに応じてシフト光学素子111の回動角度θ0と補正光学素子113の移動量Mとが選択されることになる。そこで、種々のシフト量Sに対して、それを実現するために必要なシフト光学素子111の回動角度θ0と補正光学素子113の移動量Mとを対応付けてテーブル化しておくことが望ましい。
【0064】
この調整処理は、装置の起動時、定期メンテナンス時、装置の稼働時間または基板の処理枚数が所定値に達した時などのタイミングで実行されれば十分である。また例えば装置が温度変化の少ない安定した環境に置かれるような場合には、極端には設置時に調整を行うだけでもよい。いずれにしても、実行頻度はそれほど高くならず、特に次に説明する露光動作の実行中に行う必要はない。
【0065】
図6は露光動作を示すフローチャートである。基板9を露光してパターン描画を行う露光動作では、まず露光処理の対象となる基板9が装置に搬入され、可動ステージ20に載置される(ステップS201)。次に、可動ステージ20上の基板9と露光ヘッド21との位置関係を把握し、必要に応じて位置調整を行う、アライメント調整が実行される(ステップS202)。アライメント調整としては公知の技術を適用可能であるから説明を省略する。
【0066】
そして、可動ステージ20が所定の露光位置に移動位置決めされ(ステップS203)、アライメント調整で把握された基板9の位置ずれの検出結果から、これに対応するために必要な像のシフト量Sを取得する(ステップS204)。こうしてシフト量Sが決まると、上記のようにして準備されたテーブルを参照することで、それを実現するために必要なシフト光学素子111の回動角度θ0と、非点隔差Asを補正により解消するために必要な補正光学素子113の移動量Mとを求めることができる。それらに基づき、シフト光学素子111および補正光学素子113の位置が調整される(ステップS205,S206)。
【0067】
この状態で、露光ヘッド21から描画データに応じて変調された露光ビームが照射されることで基板9の表面が露光され(ステップS207)、所定にパターンが描画される。当該基板9に対する描画が終了するまで(ステップS208)、ステップS203~S207の処理が継続して実行される。これにより、1枚の基板9に対する露光動作が終了する。
【0068】
以上のように、露光装置2,4に設けられる第1実施形態の像位置調整装置11では、基板9に照射される光ビームの光路をシフトさせるためのシフト光学素子111として平行平面板を用いている。平行平面板を光ビームのシフト方向Dsに垂直な回動軸Ax0(θ軸)まわりに回動させることで、光ビームを所定のシフト量Sだけシフトさせることができる。このとき生じる非点隔差Asについては、シフト方向Dsにパワーを有する補正光学素子113を光路に配置することで、θ軸方向との光路長差を解消するようにしている。補正光学素子113はシフト光学素子111の回動と連動しており、回動角度θ0に応じて補正光学素子113の移動量Mを決定することで、シフト量Sが変更された場合でも非点隔差が生じるのを防止することができる。
【0069】
シフト光学素子111は所定の角度範囲(例えば±10度程度)内で回動するのみであるため、可動域を確保するための大きなスペースを必要としない。また、非点隔差Asの大きさは最大でも数μm程度であり、これを補正するための補正光学素子113の移動量Mも比較的小さくて済む。このため、像位置シフトのための構成を設けることが招く光路の延長が最小限で済み、装置の大型化を回避することができる。
【0070】
<第1実施形態の変形例>
図7図1の露光装置の変形例を示す図である。この変形例の露光装置2aは、図1の露光装置2におけるミラー246を平面ミラー247に置き換え、さらに、平面ミラー247と空間光変調器25との間の光路に補正光学素子としてのレンズ115が設けられたものである。このように、補正光学素子はシフト光学素子111の直前に設けられる必要はなく光路上の適宜の位置に配置することが可能である。
【0071】
そしてこの場合、補正光学素子115は空間光変調器25に対するフォーカスレンズとしての機能も有することとなる。非点隔差Asを補正するための補正光学素子115の移動量Mは比較的小さく、例えばフォーカスレンズの焦点深度の範囲内に収まる程度である。このため、空間光変調器25に対するフォーカス調整に影響を与えることなく、非点隔差の補正のためにフォーカスレンズを利用することが可能になる。このように、フォーカスレンズと補正光学素子との機能を1つのレンズで実現することも可能であり、このことは光学系全体の光路長を短縮し装置の小型化を図ることを可能にする。
【0072】
<第2実施形態>
図8は像位置調整装置の第2実施形態を示す図である。より具体的には、図8(a)は像位置調整装置1の第2実施形態の概略構成を示す図であり、図8(b)および図8(c)はその作用を模式的に示す図である。図8(a)に示すように、像位置調整装置1の第2実施形態である像位置調整装置12は、入力光Liの光路に沿って並べられた2枚の平行平面板121,125を有している。これら2枚の平行平面板121,125は厚さ、つまり入射面と出射面との距離が互いに等しいものであることが望ましい。
【0073】
入力光Liの光路において上流側に配置される第1の平行平面板(平行平面基板)121は、いずれも入射方向Diに垂直で、かつ互いに垂直な2つの回動軸Ax1,Ax2まわりに回動可能となっている。具体的には、第1の平行平面板121は、直交する2つの回動軸Ax1,Ax2まわりに回動自在に支持されている。このような回動を実現するための平行平面板121の支持機構としては、例えば公知のジンバル機構を適用することができる。
【0074】
このようにして支持される平行平面板121には、制御部22からの制御指令に応じて作動する2つの回動モーター122,123が結合されている。回動モーター122は、平行平面板121を回動軸Ax1まわりに回動させる。また、回動モーター123は、平行平面板121を回動軸Ax2まわりに回動させる。回動軸Ax1についてはシフト方向Dsに垂直なθ軸に平行、また回動軸Ax2についてはシフト方向Dsに平行な軸とすることができる。ここではシフト方向Dsに平行な軸をφ軸と称する。
【0075】
同様に、入力光Liの光路において第1の平行平面板121の下流側に配置される第2の平行平面板125は、制御部22からの制御指令に応じて作動する2つの回動モーター126,127により、いずれも入射方向Diに垂直で、かつ互いに垂直な2つの回動軸Ax3,Ax4まわりに回動可能となっている。ここで、回動軸Ax3は回動軸Ax1に平行であり、回動軸Ax4は回動軸Ax2に平行である。
【0076】
制御部22からの制御指令により、4つの回動モーター122,123,126,127は相互に連動する。具体的には、回動モーター122,126は、平行平面板121,125をθ軸に平行な2つの回動軸Ax1,Ax3まわりにそれぞれ同じ角度θ1,θ2で、かつ同方向に回動させる。一方、回動モーター123,127は、平行平面板121,125をシフト方向Ds(φ軸)に平行な2つの回動軸Ax2,Ax4まわりにそれぞれ同じ角度で、かつ反対方向に回動させる。
【0077】
図8(b)に示すように、2枚の平行平面板121,125を同方向に回動させたとき、それぞれの平行平面板121,125は互いに同じ方向に光をシフトさせる。したがって、最終的なシフト量Sは、各平行平面板121,125が生じさせるシフト量を加算したものとなる。
【0078】
一方、図8(c)に示すように、2枚の平行平面板121,125を反対方向に回動させたとき、それぞれの平行平面板121,125は互いに反対方向に光をシフトさせる。つまり、各平行平面板121,125による光のシフトは、互いに打ち消し合う方向に生じる。平行平面板121,125の厚さが同じで回動角度θ2,θ4の大きさが同じであるとき、互いのシフト量が相殺され、θ軸方向でのシフト量はゼロとなる。
【0079】
このように、2つの平行平面板121,125を、θ軸まわりには同角度かつ同方向で、またφ軸まわりには同角度かつ逆方向に回動させることで、次のような効果が得られる。すなわち、θ軸まわりの回動により、θ軸と直交するシフト方向Dsに光をシフトさせることができる。一方、φ軸まわりの回動によるシフトは相殺されてゼロとなる。したがって、所望のシフト方向Dsにおいてのみ、光をシフトさせることができる。シフト量Sについては2つの平行平面板121,125によるシフト量の合計として求めることができ、それらの回動角度θ1,θ2によりシフト量Sを調整することが可能である。
【0080】
θ軸まわりの回動角度θ1,θ2と、φ軸まわりの回動角度θ3,θ4とで大きさが同じであるとき、光が平行平面板121,125を通過することによる光路長の変化は、θ軸方向とシフト方向Dsとの間で互いに同じである。したがって、この場合には非点隔差が生じない。言い換えれば、2つの平行平面板121,125が相補的に作用することで非点隔差の発生が抑制されている。
【0081】
なお、ここでは2枚の平行平面板121,125の厚さを同じとし、また回動角度θ1~θ4の大きさについても同じとしている。θ軸まわりの回動に関しては、単に2枚の平行平面板121,125による光のシフトが加算されて全体のシフト量Sが決まるから、それぞれのシフト量が個別にわかっている限りにおいて平行平面板121,125の厚さが同じでなくてもよく、また回動角度θ1,θ2が同じでなくてもよい。φ軸まわりの回動に関しても、厚さと回動角度との組み合わせで決まるシフト量が相互に相殺される関係が得られる限りにおいて、平行平面板121,125の厚さが同じでなくてもよく、また回動角度θ3,θ4の大きさが同じでなくてもよいことになる。
【0082】
ただし、各回動モーター122,123,126,127を連動させることを考えたとき、平行平面板121,125の厚さを互いに異ならせ、また回動角度θ1~θ4をそれぞれ異なる大きさとすることは、それを実現するための機構および制御が複雑になる一方で、特に利点が見当たらない。
【0083】
上記のように、2枚の平行平面板121,125の厚さを同じとし、また回動角度θ1~θ4を同じ大きさとした場合には、機構および制御を最も簡単なものとすることができる。また、2枚の平行平面板121,125を同一仕様の部品とすることができる。これらは動作の安定性および装置コストの低減に資するものである。なお、上記とは異なる目的のために、回動角度θ1~θ4を全て同一としない動作態様があってももちろん構わない。
【0084】
この実施形態では、2枚の平行平面板の回動のみによって、光路のシフトおよびそれに伴う非点隔差の抑制を実現している。そのため、シフトを行うために光路長を長く設定する必要がなく、光学系をコンパクトな構成とすることができる。また例えば、各平行平面板の回動角度を同程度として第1実施形態と同等のシフト量を得るためには、平行平面板の厚さを第1実施形態の半分とすることができる。
【0085】
このように、この実施形態の像位置調整装置12では、2枚の平行平面板121,125がそれぞれシフト光学素子として機能するとともに、一方が生じる非点隔差を他方が打ち消すという意味において、互いに補正光学素子としても機能している。
【0086】
このような構成の像位置調整装置12を有する露光装置2の動作は次の通りである。まず、図5に示した調整動作についてはより簡単となる。すなわち、この実施形態では2つの平行平面板121,125のφ軸まわりの回動角度を同じ大きさかつ逆方向としており、非点隔差が自動的に補正されている。したがって、回動角度θ2~θ4が角度θ1と連動して変化するように構成されている限り、回動角度θ1の設定値と、それにより得られるシフト量Sとの関係のみが取得されればよい。
【0087】
そして、図6に示した露光動作では、必要なシフト量Sが決まればそれに応じた回動角度θ1をテーブルから取得し、これに基づき角度θ2~θ4を決定して2枚の平行平面板121,125を回動させることで、所望のシフト量Sだけシフトし、しかも非点隔差のない像を形成することができる。したがって、ステップS205の「θ0」を「θ1」に読み替え、ステップS206を省くことで対応可能である。このことは次に説明する第3実施形態でも同じである。
【0088】
<第3実施形態>
図9は像位置調整装置の第3実施形態を示す図である。より具体的には、図9(a)は像位置調整装置1の第3実施形態の概略構成を示す図であり、図9(b)はこの実施形態における回動軸の方向を示す図である。また、図9(c)はこの像位置調整装置13の作用を模式的に示す図である。
【0089】
図9(a)に示すように、この像位置調整装置13は、光路上に同じ厚さの2枚の平行平面板131,135が配置されている点で、第2実施形態の像位置調整装置12と共通している。同図のように2枚の平行平面板131,135が入力光Liの光路に対して垂直に配置されているとき光のシフトが生じない点も、第2実施形態の像位置調整装置12と同様である。
【0090】
ただし、回動軸の設定およびこれによる平行平面板131,135の回動の態様が、第2実施形態とは異なっている。すなわち、図9(a)および図9(c)に一点鎖線で示すように、第1の平行平面板131の回動軸Ax5は、光の入射方向Diに垂直で、かつシフト方向Dsに対して45度の傾きを有している。平行平面板131には回動モーター132が接続されている。制御部22からの制御指令に応じて回動モーター132が作動することで、平行平面板131は回動軸Ax5まわりに回動する。
【0091】
一方、図9(a)および図9(c)に二点鎖線で示すように、第2の平行平面板135の回動軸Ax6は、光の入射方向Diに垂直で、かつシフト方向Dsに対して、回動軸Ax5とは反対方向に45度の傾きを有するように設定されている。したがって、回動軸Ax5と回動軸Ax6とは、それぞれの方向が垂直なねじれの位置関係にある。平行平面板135には回動モーター136が接続されている。制御部22からの制御指令に応じて回動モーター136が作動することで、平行平面板135は回動軸Ax6まわりに回動する。
【0092】
回動モーター132,136は互いに連動しており、これらが作動するとき、2枚の平行平面板131,135は次のように回動する。すなわち、第1の平行平面板131が実線矢印の方向に回動するとき、これに伴って第2の平行平面板135は実線矢印の方向に回動する。これとは逆に、第1の平行平面板131が破線矢印の方向に回動するとき、第2の平行平面板135はこれに伴って破線矢印の方向に回動する。回動角度の大きさは常に同じになるように制御される。
【0093】
図9(c)は所定の角度だけ回動された状態の2枚の平行平面板131,135の位置関係を、θ軸方向からの俯瞰図により示したものである。図9(c)では、図を見やすくするために、2枚の平行平面板131,135の主面のうち、図9(a)に示す両者が平行な状態で互いに対向する面にハッチングを付している。
【0094】
2枚の平行平面板131,135が上記のように連動するとき、図9(c)に示すように、2枚の平行平面板131,135では、図9(a)に示す状態ではシフト方向Dsに延びる辺131a,135aが同方向に傾く一方、図9(a)に示す状態ではシフト方向Dsに垂直な方向に延びる辺131b,135bは互いに逆方向に傾く。
【0095】
この関係は、第2実施形態の像位置調整装置12におけるθ軸まわりの回動とφ軸まわりの回動との関係と類似している。つまり、この実施形態でも、シフト方向Dsには2枚の平行平面板131,135による光のシフトが同じ方向に生じる一方、シフト方向Dsに垂直な方向においては互いのシフトが相殺される。シフト方向Dsにおけるシフト量Sの大きさは、それぞれの平行平面板131,135の回動角度によって決まる。
【0096】
すなわち、この実施形態の像位置調整装置13では、2枚の平行平面板131,135のそれぞれが、シフト方向Dsに対しそれぞれ45度の傾きを有し、かつ互いに垂直なねじれの位置関係にある回動軸Ax5,Ax6まわりに回動する。このような構成により、第2実施形態の像位置調整装置12と同様に、所望のシフト方向Dsに対して所望のシフト量Sだけ光をシフトさせることができ、しかも非点隔差の発生を抑えることができる。
【0097】
第2実施形態の像位置調整装置12が4軸の回動軸を有しているのに対し、本実施形態の像位置調整装置13は2軸の回動軸で同様の機能を実現可能である。したがって、装置構成の簡素化、コンパクト化という面ではこの実施形態が有利である。また、制御の面でも、制御対象が少ないこの実施形態の方が有利である。一方、θ軸まわりの回動とφ軸まわりの回動とをそれぞれ独立に制御することができるという点では、第2実施形態が有利であると言える。
【0098】
<その他>
以上説明したように、上記各実施形態においては、像位置調整装置1(11~13)が本発明の「光学装置」として機能している。また、露光装置2,2A,4が本発明の「露光装置」として機能している。また、ステージ20,40が本発明の「基板保持部」、露光ヘッド24,41が本発明の「露光部」、ステージ駆動機構201,401が本発明の「相対移動部」として、それぞれ機能している。また、空間光変調器25、空間光変調器410がそれぞれ本発明の「光変調器」として機能している。
【0099】
また、第1実施形態では、平行平面板111が本発明の「シフト光学素子」として機能する一方、シリンドリカルレンズ113が本発明の「補正光学素子」、「レンズ」として機能している。また、回動モーター112、駆動モーター114が一体として本発明の「駆動部」として機能している。
【0100】
また、第2実施形態では、平行平面板121が本発明の「シフト光学素子」に、平行平面板125が本発明の「補正光学素子」、「第2の平行平面板」にそれぞれ相当していると見ることができるが、これらの動作は相補的であり、上記とは逆に平行平面板125が本発明の「シフト光学素子」に、平行平面板121が本発明の「補正光学素子」、「第2の平行平面板」に相当するものと見ることもできる。そして、回動モーター122,123,126,127が本発明の「駆動部」として機能している。また、回動軸Ax1~Ax4が、本発明の「第1~第4回動軸」に相当している。
【0101】
また、第3実施形態では、平行平面板131が本発明の「シフト光学素子」に、平行平面板135が本発明の「補正光学素子」、「第2の平行平面板」にそれぞれ相当していると見ることができるが、この実施形態においてもこれらの動作は相補的であり、上記とは逆に平行平面板135が本発明の「シフト光学素子」に、平行平面板121が本発明の「補正光学素子」、「第2の平行平面板」に相当するものと見ることもできる。そして、回動モーター136,137が本発明の「駆動部」として機能している。
【0102】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態では、原理説明のため、各可動軸がそれぞれ独立したモーター(回動モーターおよび駆動モーター)により駆動される。しかしながら、前記した通り、各実施形態においては複数のモーターが連動することで有効に機能する。このため、複数の可動軸を適宜の動力伝達機構で結合し、それらを1つの動力源で駆動するようにすることも可能である。これにより、使用されるモーターの数を低減することが可能である。また、各部を駆動する動力源には、回転モーターのほか、リニアモーター、ボールねじ機構、エアシリンダ、ソレノイド機構など、各種のものを適用可能である。
【0103】
また、上記第1実施形態では、補正光学素子113は単体のシリンドリカルレンズであるが、例えばX方向を軸方向とするシリンドリカルレンズと、これとは焦点距離が異なりY方向を軸方向とするシリンドリカルレンズとを組み合わせて、補正光学素子を構成してもよい。また、補正光学素子が、照明光学系または結像光学系に設けられたレンズ等のうちいずれかの機能を兼備したものであってもよい。また例えば、補正光学素子として、凹レンズ、凸面ミラー等を用いてもよい。また、シフト光学素子および補正光学素子の外形も、図示のものに限定されない。例えば円板状の平行平面板が用いられてもよい。
【0104】
また、補正光学素子の配設位置に関しては、シフト光学素子の作動により生じる非点隔差を補正することのできる適宜の位置に配置されてよく、上記実施形態に限定されるものではない。
【0105】
また、上記実施形態の調整処理では、補正光学素子による非点隔差の補正は、非点隔差が所定の許容値以下となることが目標とされている。しかしながら、補正後の非点隔差がゼロとなることが目指されてもよく、当然に、非点隔差がゼロで変動がない状態が最も理想的である。
【0106】
また、上記実施形態は、本発明に係る光学装置を、基板を露光してパターン描画を行う露光装置に適用したものである。しかしながら、本発明の光学装置の適用対象はこれに限定されない。例えばプロジェクターのような投影装置にも、本発明の光学装置を適用可能である。
【0107】
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、本発明に係る光学装置においては、例えば、駆動部によるシフト光学素子の回動範囲は、一方面が入射方向に垂直となる場合を含んで設定されてもよい。プリズムを用いる場合には、シフト量ゼロのときでも光路の折れ曲がりが発生するため光学系の設計が複雑になるが、平行平面板を用いて光路をシフトさせる場合には、その主面に対し入力光を垂直に入射させることでシフト量がゼロとなる。したがって、光路の折れ曲がりのないシフト量ゼロの場合を基準として光学系の設計を行うことができる。
【0108】
また例えば、補正光学素子は、シフト方向に沿った方向と垂直な方向とで異なるパワーを有するレンズであってもよく、この場合、駆動部は、補正光学素子を、シフト光学素子に対して接近および離間する方向に移動させることができる。このようなレンズではシフト方向とそれに垂直な方向とで焦点距離が異なるから、これを非点隔差の補正に利用することができる。この場合、平行平面板の回動角度に応じて補正光学素子の位置を調整することで、任意のシフト量に対して非点隔差の解消を行うことができる。
【0109】
また例えば、補正光学素子は、シフト光学素子とは異なる第2の平行平面板であってもよい。この場合、駆動部は、シフト光学素子を、入力光の入射方向およびシフト方向に垂直な第1回動軸と、入射方向および第1回動軸に垂直な第2回動軸とのまわりでそれぞれ回動させ、補正光学素子を、第1回動軸に平行な第3回動軸と、第2回動軸に平行な第4回動軸とのまわりで、それぞれシフト光学素子と連動させて回動させることができる。
【0110】
このような構成によれば、シフト光学素子および補正光学素子のそれぞれを、互いに垂直な2つの回動軸まわりに回動させることができる。シフト光学素子と補正光学素子とを同方向に回動させたとき、それぞれが発生させる光路のシフト方向は同じになる。一方、逆方向に回動させたとき、光路のシフトは互いに打ち消し合う方向に生じる。これらのことを利用して、1つのシフト方向については任意のシフト量を得つつ、これと垂直な方向についてはシフトを生じさせないようにすることができる。また、両方向の間で光路長が同じように変化するようにすることで、非点隔差の発生を防止することが可能となる。
【0111】
より具体的には、例えば、シフト光学素子と補正光学素子とを同じ厚さとし、駆動部は、シフト光学素子を第1回動軸まわりに所定角度だけ回動させるとき、補正光学素子を第3回動軸回りに所定角度だけ、かつシフト光学素子と同方向に回転させるとともに、シフト光学素子を第2回動軸まわりに、補正光学素子を第4回動軸回りに、それぞれ所定角度だけ、かつ互いに逆方向に回動させることができる。
【0112】
このような構成によれば、2つの平行平面板の間で、シフト方向には同じ大きさかつ同方向のシフト量が得られるとともに、これに垂直な方向には同じ大きさかつ逆方向のシフト量が得られる。このため、シフト方向に沿ったシフトのみを得ることが可能である。一方、平行平面板が介挿されることによる光路長の変化量は、シフト方向と垂直な方向との間で常に等しくなる。このため、光路長差に起因する非点隔差は発生しない(より正確には、それぞれの平行平面板が生じさせる非点隔差が互いに打ち消される)。
【0113】
またこれとは別の構成として、例えば、補正光学素子は、シフト光学素子と同じ厚さを有する第2の平行平面板であり、駆動部は、シフト光学素子を、入力光の入射方向に垂直かつシフト方向に対して45度の傾きを有する回動軸まわりに回動させるとともに、補正光学素子を、シフト光学素子の回動に連動させて入力光の入射方向および回動軸に垂直な回動軸まわりに回動させることができる。
【0114】
詳しくは前記した通りであるが、このような構成によれば、2枚の平行平面板をそれぞれ1つずつの回動軸まわりに回動させることで、上記した4つの回動軸を有する構成と同等の作用効果を得ることが可能である。
【0115】
また例えば、本発明に係る露光装置において、露光部は、光源と、光源から出射される光ビームを露光データに基づき変調する光変調器とを有し、光変調器で変調された光ビームを入力光として光学装置に入射させる構成であってもよい。このような構成によれば、変調された光ビームで基板を露光することで、基板を部分的に露光して基板上に所定のパターンを形成することができる
また本発明に係る露光方法では、例えばシフト量、シフト光学素子の回動量および補正光学素子の変位量を対応させたテーブルを予め作成しておき、これに基づいてシフト量を調整しながら露光を行うようにしてもよい。このような構成によれば、必要なシフト量が定められたとき、それに見合ったシフト光学素子の回動量と補正光学素子の変位量とをテーブル参照により直ちに決定することができ、それらを適用して露光動作を行うことで、所望のシフト量だけシフトした像を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
この発明は、光ビームやそれにより形成される像の位置を所定方向に所定量だけシフトさせる用途に利用可能であり、例えば半導体基板、半導体パッケージ基板、プリント配線基板、ガラス基板等の各種基板にパターンを形成するために基板を露光する技術分野に好適である。
【符号の説明】
【0117】
1,11~13 像位置調整装置(光学装置)
2,4 露光装置
9 基板
20,40 ステージ(基板保持部)
24,41 露光ヘッド(露光部)
25,410 空間光変調器(光変調器)
111 シフト光学素子
112,122,123,126,127,132,136 回動モーター(駆動部)
113 シリンドリカルレンズ(補正光学素子、レンズ)
115 補正光学素子
114 駆動モーター(駆動部)
121、131 平行平面板(シフト光学素子、補正光学素子、平行平面板)
125,135 平行平面板(シフト光学素子、補正光学素子、第2の平行平面板)
201,401 ステージ駆動機構(相対移動部)
Ax0,Ax5,Ax6 回動軸
Ax1 第1回動軸
Ax2 第2回動軸
Ax3 第3回動軸
Ax4 第5回動軸
Ds シフト方向
Li 入力光
Lo 出力光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9