(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043179
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/51 20230101AFI20240322BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20240322BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20240322BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240322BHJP
【FI】
H04N5/225 200
H04N5/225 600
G03B15/02 G
G03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148216
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠介
【テーマコード(参考)】
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H100AA41
5C122GE01
5C122GE11
5C122GG01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】180°を超える画角での撮影が可能となる遮光部材や外装を備える撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置10は、被写体光を受光する撮像素子と、少なくとも第1方向において所定の画角を有する撮像範囲から到達する被写体光を撮像素子へ導くレンズ111と、撮像範囲に向けて照明光を出射する光源161と、光源161を被覆するカバー部162とを有する照明部16と、レンズ111の光軸Lと交わる面に設けられる天井板122と、天井板122と対向する底面121aとを有し、撮像素子と照明部16とを内部に収容するハウジング12と、を備える。画角には、少なくともレンズ111の光軸Lに対して一方側では、レンズ111から底面121a側に向かう方向が含まれる。天井板122は、画角に応じた傾斜を有する傾斜面122a,122bを有する。照明部16のカバー部162は、傾斜面122a,122bに平行に配置される。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体光を受光する撮像素子と、
少なくとも第1方向において所定の画角を有する撮像範囲から到達する前記被写体光を前記撮像素子へ導く光学部材と、
前記撮像範囲に向けて照明光を出射する光源と、前記光源を被覆するカバー部とを有する照明部と、
前記光学部材の光軸と交わる面に設けられる外装板と、前記外装板と対向する底面とを有し、前記撮像素子と前記照明部とを内部に収容するハウジングと、を備え、
前記画角には、少なくとも前記光学部材の光軸に対して一方側では、前記光学部材から前記底面側に向かう方向が含まれ、
前記外装板は、前記画角に応じた傾斜を有する傾斜面を有し、
前記照明部の前記カバー部は、前記傾斜面に平行に配置される、撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記外装板は、前記光学部材の前記光軸を通り前記第1方向と直交する第2方向に沿って伸びる線上の第1基準位置に対して、前記第1方向の一方側と他方側との少なくとも一方に、前記傾斜面を有する、撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記第1方向において、前記外装板は、前記第1基準位置を含む一部の範囲に前記光軸と交わる平面を有する、撮像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記光学部材は、前記第2方向において所定の前記画角を有する前記撮像範囲から到達する前記被写体光を前記撮像素子へ導き、
前記第2方向における前記画角には、少なくとも前記光学部材の前記光軸に対して一方側では、前記光学部材から前記底面側に向かう方向が含まれ、
前記外装板は、前記光学部材の前記光軸を通り前記第1方向に沿って伸びる線上の第2基準位置に対して、少なくとも前記第2方向の一方側に前記傾斜面を有する、撮像装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の撮像装置において、
前記傾斜面には複数の前記照明部が配置され、複数の前記照明部のそれぞれが有する前記光源の光軸は、前記傾斜面と直交する、撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
複数の前記照明部のうち、一対の前記照明部は、前記第1方向と直交する第2方向の一方側に配置され、他の一対の前記照明部は、前記第2方向の他方側に配置される、撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置において、
前記ハウジングは、前記外装板と連接する複数の側壁板を有し、
前記照明部は、更に、側壁板にも配置される、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設、病院、工場、店舗等の様々な場所には、防犯や防災等の観点から監視カメラが設置されている。撮像装置である監視カメラを運用する際には、広い監視範囲を確保するため、画角が大きいカメラが使用されている。
【0003】
特許文献1には、電子機器に搭載される撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公報第2020/0249415号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遮光部材の形状が平板状であることから、撮像部の画角が最大でも180°までに制限されてしまう。このため、180°を超える画角での撮影が可能となる形状を有する遮光部材や外装を備える撮像装置が望まれている。
【0006】
また、撮像装置の周辺環境が暗い場合でも撮影可能となるように、監視対象となる被写体に照明光を出射する光源を撮像装置に設けることが考えられる。しかし、複数の光源を撮像装置に設ける場合には、照明光による照明精度が低下する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様による撮像装置は、被写体光を受光する撮像素子と、少なくとも第1方向において所定の画角を有する撮像範囲から到達する前記被写体光を前記撮像素子へ導く光学部材と、前記撮像範囲に向けて照明光を出射する光源と、前記光源を被覆するカバー部とを有する照明部と、前記光学部材の光軸と交わる面に設けられる外装板と、前記外装板と対向する底面とを有し、前記撮像素子と前記照明部とを内部に収容するハウジングと、を備える。前記画角には、少なくとも前記光学部材の光軸に対して一方側では、前記光学部材から前記底面側に向かう方向が含まれる。前記外装板は、前記画角に応じた傾斜を有する傾斜面を有する。前記照明部の前記カバー部は、前記傾斜面に平行に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮像装置は180°を超える画角の撮像範囲を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態の撮像装置の外観斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、第1変形例における撮像装置を左側から見た側面図である。
【
図4B】
図4Bは、第2変形例における撮像装置を左側から見た側面図である。
【
図5】
図5は、第3変形例における撮像装置を前側から見た側面図である。
【
図6】
図6は、第4変形例における撮像装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態の撮像装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
撮像装置の用途は特に限定されないが、病院,介護施設,工場,店舗等に、監視カメラや見守りカメラとして設置するのに適している。また、撮像装置は、周囲の外部環境の明るさに応じて、通常撮影モードによる撮影と暗視モードによる撮影とを切替可能である。通常撮影モードでは外部環境が明るいときに結像光学系(光学部材)に入射した光により撮影が行われる。暗視モードでは外部環境が暗いときに照明光が出射され、照明光に照射された被写体の撮影が行われる。
【0012】
<撮像装置の全体構成について>
図1は、撮像装置10の外観図斜視図である。
図2A及び
図2Bは、撮像装置10の側面図である。
図3Aは
図1における撮像装置10のA-A線での断面図であり、
図3Bは
図1における撮像装置10のB-B線での断面図である。撮像装置10は、カメラモジュール11と、ハウジング(外装ケース)12と、照明部16と、制御ユニット31とを有する。カメラモジュール11は、詳細を後述するように、撮像素子110とレンズ(光学部材)111とを備える。また、照明部16は、詳細を後述するように、光源161とカバー部162とを有する。
【0013】
<ハウジング12について>
図1に示されるように、ハウジング12は、フロントケース120及びリアケース121から構成される。フロントケース120は、長方形又は略長方形の天井板122と、天井板122から各辺に連接する側壁板123a,123b,123c,123dとを備えている。天井板122及び側壁板123a,123b,123c,123dは、合成樹脂によって一体成形されており、側壁板123aは天井板122の一方の長辺に連接し、側壁板123bは天井板122の他方の長辺に連接している。また、側壁板123cは天井板122の一方の短辺に連接しており、側壁板123dは天井板122の他方の短辺に連接している。
【0014】
尚、以下の説明では、ハウジング12のフロントケース120の方向を上方、リアケース121の方向を下方、側壁板123aの方向を前方、側壁板123bの方向を後方、側壁板123cの方向を右方、側壁板123dの方向を左方と呼ぶことがある。また、前後方向を第1方向、左右方向を第2方向と呼ぶことがある。第1方向は、後述するカメラモジュール11が有するレンズ111の光軸Lと交差する方向であり、第2方向は第1方向及び光軸Lと交差する方向である。従って、
図2Aは撮像装置10を側壁板123a側(前側)から見た側面図であり、
図2Bは、撮像装置10を側壁板123d側(左側)から見た側面図である。
【0015】
図1に示されるように、ハウジング12の天井板122は、カメラモジュール11が有するレンズ111の光軸Lと交わる外装板である。天井板122には、開口部125と4個の照明開口部126a,126b,126c,126d(総称する場合は照明開口部126と呼ぶ)が形成される。開口部125は、レンズ111の光軸Lが通過する位置を中心とする円形又は略円形に形成されている。この開口部125に後述するレンズ111が挿入される。本実施の形態においては、レンズ111の光軸Lが天井板122の中心部を通過するものとして説明を行う。また、以下の説明では、天井板122の中心部(すなわちレンズ111の光軸L)を通り、左右方向(第2方向)に伸びる線上の位置を第1基準位置P1と呼ぶ。
【0016】
尚、レンズ111の光軸Lが天井板122の中心部を通るものに限定されない。レンズ111の光軸Lが天井板122の中心部から右側または左側にずれた位置を通ってもよいし、天井板122の中心部から前側または後側にずれた位置を通ってもよい。
【0017】
照明開口部126は、天井板122の四隅に形成される。具体的には、照明開口部126aは、天井板122の左側前方に形成される。照明開口部126bは、天井板122の左側後方に形成される。照明開口部126cは、天井板122の右側前方に形成される。照明開口部126dは、天井板122の右側後方に形成される。照明開口部126は、ハウジング12の内部に配置された後述する照明部16から出射される照明光を撮像装置10の外部に通過させるために形成される。
【0018】
天井板122は、前後方向において、中央部(すなわち、第1基準位置P1)が前側及び後側の端部に対して上側に突出する形状を有する。すなわち、天井板122は、前後方向において、第1基準位置P1から前側端部の範囲(一方側)で下側へ向かう傾斜面122aを有する。同様に、天井板122は、前後方向において、第1基準位置P1から後側端部の範囲(他方側)で下側へ向かう傾斜面122bを有する。この天井板122の形状は、被写体からの光がケラレることなくカメラモジュール11に到達するように、後述するカメラモジュール11の画角に応じた形状を有する。
【0019】
リアケース121はフロントケース120に固定されて、フロントケース120の底部(下方)を閉塞している。リアケース121は、例えばねじ結合によってフロントケース120に固定されている。リアケース121は、フロントケース120に固定された状態にて、フロントケース120の天井板122と対向する底面121aを有する。
【0020】
<カメラモジュール11について>
図3Aに示されるように、カメラモジュール11は、CMOSやCCD等の撮像素子(イメージセンサ)110及びレンズ111を備えている。撮像素子110は、基板112に搭載され、ハウジング12内に収容されている。レンズ111は、撮像素子110の上方に配置され、レンズホルダ113によって保持されている。レンズホルダ113によって保持されたレンズ111は、上述したハウジング12の天井板122に形成された開口部125を介して、天井板122に対して上側に突出する位置に配置される。レンズホルダ113の下方には、上記の撮像素子110が搭載された基板112が、例えばねじ結合により固定されている。
【0021】
撮像装置10の外部から到達した被写体光は、レンズ111によって撮像素子110の受光面に導かれ、集光される。すなわち、レンズ111は、撮像素子110の受光面上に撮像対象物の像をつくる光学部材(結像光学系)であるか、少なくとも光学部材の一部である。撮像素子110は、レンズ111によって結像された像の光の明暗を電荷量に変換し、変換された電荷量に応じた信号(画像信号)を出力する。
【0022】
カメラモジュール11では、撮像装置10の左右方向の画角が180°であり、撮像装置10の前後方向の画角は180°よりも広い。このため、上述したように、ハウジング12の天井板122は、前後方向において、第1基準位置P1から前側端部及び後側端部の範囲で下側へ向かう傾斜面122a,122bが形成されている。以下、カメラモジュール11の画角と、天井板122の形状との詳細について説明する。
【0023】
<ハウジング12の天井板122の形状について>
図2Aに破線で示される境界線A1,A2よりも上側の範囲は、左右方向において、カメラモジュール11による被写体の撮像が可能な撮像範囲R1である。上述したように、カメラモジュール11の左右方向の画角θ1は180°である。すなわち、境界線A1,A2は、レンズ111の光軸Lに対して直交する。ハウジング12の天井板122は、左右方向において、境界線A1,A2と交差しない方向に伸びる。すなわち、天井板122は、左右方向において、光軸Lと直交する境界線A1,A2と概ね平行である。これにより、左右方向において、被写体光がハウジング12の天井板122にケラレることが抑制される。
【0024】
図2Bにて破線で示される境界線B1,B2で囲まれる範囲は、前後方向において、カメラモジュール11による被写体の撮像が可能な撮像範囲R2である。上述したように、カメラモジュール11の前後方向の画角θ2は180°よりも大きい。すなわち、境界線B1,B2は、レンズ111の光軸Lを基準として下方側(すなわち、リアケース121の底面121a側)に向けて傾斜している。境界線B1とレンズ111の光軸Lとがなす角、及び境界線B2とレンズ111の光軸Lとがなす角は、それぞれ90°よりも大きいと、言うこともできる。
【0025】
天井板122は、前後方向において、境界線B1,B2と交差しない方向に伸びる。すなわち、天井板122は、前後方向において境界線B1,B2と概ね平行である。このため、上述したように、天井板122は、前後方向において、第1基準位置P1から前側端部の範囲で境界線B1と平行に下側へ向かう傾斜面122aを有する。同様に、天井板122は、前後方向において、第1基準位置P1から後側端部の範囲で境界線B2と平行に下側へ向かう傾斜面122bを有する。これにより、前後方向において、被写体光がハウジング12の天井板122にケラレることが抑制される。尚、傾斜面122a,122bが境界線B1,B2と平行に形成されるものに限定されず、傾斜面122a,122bが境界線B1,B2よりも下方側に傾斜されてもよい。すなわち、傾斜面122a,122bは、カメラモジュール11の画角θ2に応じた傾斜を有して、被写体光がハウジング12の天井板122にケラレることが抑制されればよい。
【0026】
尚、カメラモジュール11の前後方向の画角θ2が180°より大きいものに限定されない。例えば、レンズ111の光軸Lに対して前方側では境界線B1が上述のように底面121a側へ向けて傾斜し、後方側では境界線B2が底面121a側に傾斜していなくてもよい。すなわち、境界線B2とレンズ111の光軸Lとがなす角が90°以下であってもよい。換言すると、画角θ2には、少なくともレンズ111の光軸Lに対して一方側(前方側)では、レンズ111から底面121a側に向かう方向が含まれてよい。この場合、傾斜面122aは上記の通り境界線B1に応じた傾斜を有する。レンズ111の光軸Lに対して後方側では上記の傾斜面122bが形成されてもよいし、境界線B2と平行な面が形成されてもよいし、境界線B2と交差しない範囲内で傾斜する面が形成されてもよい。すなわち、天井板122には、画角θ2に応じた傾斜を有する傾斜面と、画角θ2に応じた傾斜を有さない面と、が形成されてもよい。
【0027】
<照明部16について>
照明部16は、制御ユニット31に制御されて、外部環境が暗いときにカメラモジュール11の撮像範囲に向けて照明光を出射して被写体を照明する。照明部16は、ハウジング12内に収容され、照明開口部126の下側に配置される。照明部16は、光源161と、カバー部162とを有する。光源161は、例えばLEDチップと、LEDチップの上部に設けられた光学部材とを有し、赤外域の波長を有する光(赤外線、赤外光)を発する。撮像装置10は、外部環境が暗いときに撮影を行う場合に、光源161から赤外光を、被写体を照明する照明光として出射する。尚、光源161が赤外光を照明光として出射するものに限定されず、赤外光以外の可視光を照明光として出射してもよい。
【0028】
カバー部162は、例えば透光性を有する樹脂等により成形され、光源161の上側に設けられる。カバー部162は、光源161の少なくとも上側を被覆する面を有する。カバー部162の面163は、照明開口部126に嵌め込まれる。この場合、カバー部162は、面163がハウジング12の天井板122の外面よりも外側(上側)に突出することがないように、取り付けられる。光源161から出射された照明光は、カバー部162の面163を介して撮像装置10の外部に出射する。
【0029】
図1に示されるように、撮像装置10は、上記の構成を有する照明部16を4個(照明部16a,16b,16c,16d)備えている。照明部16aは、ハウジング12の一方側(左側)の端部近傍において、前方側(すなわち傾斜面122a側)に配置される。照明部16bは、ハウジング12の一方側(左側)の端部近傍において、後方側(すなわち傾斜面122b側)に配置される。照明部16cは、ハウジング12の他方側(右側)の端部近傍において、前方側(すなわち傾斜面122a側)に配置される。照明部16dは、ハウジング12の他方側(右側)の端部近傍において、後方側(すなわち傾斜面122b側)に配置される。すなわち、撮像装置10は、カメラモジュール11に対して一方側(左側)に一対の照明部16a,16bと、カメラモジュール11に対して他方側(右側)に一対の照明部16c,16dとを備える。
【0030】
尚、照明部16の個数は4個に限定されない。例えば、2個の照明部16が、カメラモジュール11に対して右側の前方と後方とに配置されてもよいし、カメラモジュール11に対して左側の前方と後方とに配置されてもよい。すなわち、撮像装置10は、カメラモジュール11に対して左右方向の少なくとも一方側に2個の照明部16を備えていてもよい。
【0031】
図3Bに示されるように、照明部16aは前後方向において、レンズ111の光軸Lに対して前方側に傾斜して配置される。具体的には、照明部16aの光源161の光軸Laが、レンズ111の光軸Lと非平行であり、ハウジング12の天井板122の傾斜面122aと直交するように、照明部16aは配置されている。換言すると、照明部16aの光源161の光軸Laをカメラモジュール11の撮像範囲R2の境界線B1と直交させて、照明部16aは配置されている。尚、光源161の光軸Laが撮像範囲R2の境界線B1と直交するものに限定されず、光源161の光軸Laと境界線B1とが交差していればよい。
【0032】
上述したように照明部16aのカバー部162は、光源161の上側に面163を有する。この面163が光源161の光軸Laと直交するように、カバー部162は配置されている。換言すると、面163がカメラモジュール11の撮像範囲R2の境界線B1と平行となるように、カバー部162は配置されている。別の見方をすると、カバー部162の面163は、ハウジング12の天井板122の傾斜面122aと平行である。従って、照明部16aは、ハウジング12の天井板122の傾斜面122aと平行に配置される、と言うことができる。尚、照明部16aの配置は、傾斜面122aと平行ではなくてもよい。
【0033】
照明部16bは前後方向において、レンズ111の光軸Lに対して後方側に傾斜して配置される。具体的には、照明部16bの光源161の光軸Lbが、レンズ111の光軸Lと非平行であり、ハウジング12の天井板122の傾斜面122bと直交するように、照明部16bは配置されている。換言すると、照明部16bの光源161の光軸Lbをカメラモジュール11の撮像範囲R2の境界線B2と直交させて、照明部16bは配置されている。尚、光源162の光軸Lbが撮像範囲R2の境界線B2と直交するものに限定されず、光源162の光軸Lbと境界線B2とが交差していればよい。
【0034】
上述したように照明部16bのカバー部162は、光源161の上側に面163を有する。この面163を光源161の光軸Lbと直交させて、カバー部162は配置されている。換言すると、照明部16bのカバー部162の面163がカメラモジュール11の撮像範囲R2の境界線B2と平行となるように、カバー部162は配置されている。別の見方をすると、照明部16bのカバー部162の面163は、ハウジング12の天井板122の傾斜面122bと平行である。従って、照明部16bは、ハウジング12の天井板122の傾斜面122bと平行に配置される、と言うことができる。尚、照明部16bの配置は、傾斜面122bと平行ではなくてもよい。
【0035】
上述したように、前後方向において、照明部16aはレンズ111の光軸Lに対して前方側に傾斜して配置され、照明部16bはレンズ111の光軸Lに対して後方側に傾斜して配置される。このため、照明部16aから出射された照明光と照明部16bから出射された照明光とは、互いに撮像装置10の中心から離れる方向に向けて進行する。この結果、照明部16a,16bから出射された照明光が互いに干渉し合うことが抑制され、照明光による干渉縞等を発生させることなく被写体を照明できる。また、照明部16a,16bは、ハウジング12の天井板122の傾斜面122a,122bと平行に配置され、天井板122から撮像装置10の外部に突出することなく配置されている。このため、照明部16a,16bの構造による被写体光のケラレが生じることが抑制される。
【0036】
尚、照明部16cは照明部16aと同様の配置態様にて配置されて、照明部16dは照明部16bと同様の配置態様にて配置されている。このため、照明部16c,16dから出射された照明光が互いに干渉し合うことが抑制される。また、照明部16c,16dの構造による被写体光のケラレが生じることが抑制される。
【0037】
<制御ユニット31について>
制御ユニット31は、CPUやメモリ等によって構成され、ハウジング12の内部の前方側に配置される基板31aに実装される。制御ユニット31は、例えばフラッシュメモリ等の記録媒体に予め記録されている制御プログラムを読み込んで実行することにより、カメラモジュール11や照明部16の動作を制御するプロセッサーである。制御ユニット31は、撮影処理を行う際に、通常撮影モード又は暗視モードの何れかの撮影モードによって制御することにより、各部を動作させる。通常撮影モードは、撮像装置10の外部環境が明るい場合に設定される撮影モードである。暗視モードは、撮像装置10の外部環境が暗く光量が不十分なとき設定される撮影モードである。暗視モードでは、制御ユニット31は、照明部16を制御して赤外光を照明光として照射させ、カメラモジュール11に赤外光により照明された被写体の撮影を行わせる。
【0038】
上述した実施の形態によれば以下の作用効果が得られる。
【0039】
(1)ハウジング12の外装面である天井板122は、第1方向(前後方向)において画角に応じた傾斜を有する傾斜面122a,122bを有する。照明部16のカバー部162は、傾斜面122a,122bに平行に配置される。これにより、被写体光がハウジング12や照明部16のカバー部162によってケラレることなくカメラモジュール11に到達することができるので、撮像装置10は180°より広い画角にて被写体を撮像することが可能となる。また、照明部16のカバー部162が傾斜面122a,122bと平行に配置されることにより、撮像装置10の他の部材の配置スペースを確保することが可能となり、撮像装置10の小型化に寄与することができる。
【0040】
(2)天井板122は、レンズ111の光軸Lを通り前後方向と直交する左右方向(第2方向)に沿って伸びる第1基準位置P1に対して、第1方向(前後方向)の一方側(前側)に傾斜面122aを有し、他方側(後側)に傾斜面122bを有する。これにより、前後方向に180°より広い画角θ2を有する撮像範囲R2からの被写体光は、ハウジング12にケラレることなくカメラモジュール11に到達することができる。
【0041】
(3)傾斜面122aに配置された照明部16a,16cがそれぞれ有する光源161の光軸は傾斜面122aと直交する。傾斜面122bに配置された照明部16b,16dのそれぞれが有する光源161の光軸は傾斜面122bと直交する。これにより、照明部16aから出射された照明光と照明部16bから出射された照明光とは、互いに撮像装置10の中心から離れる方向に向けて進行する。この結果、照明部16a,16bから出射された照明光が互いに干渉し合うことが抑制され、照明光による干渉縞等を発生させることなく被写体を照明できる。
【0042】
(4)一対の照明部16a,16bは左右方向(第2方向)の一方側(左側)に配置され、他の一対の照明部16c,16dは左右方向(第2方向)の他方側(右側)に配置される。これにより、撮像範囲内の左右方向を照明することが可能となるので、周囲環境が暗い場合であっても生成される画像の画質低下を抑制できる。
【0043】
上述した実施の形態を以下のように変形できる。
【0044】
<第1変形例>
実施の形態のハウジング12の天井板122は、前後方向において、傾斜面122a,122bを有する形状であったが、天井板122の形状はこれに限定されない。すなわち、天井板122の形状は、カメラモジュール11の前後方向の撮像範囲R2の境界線B1,B2と平行であればよい。
【0045】
図4Aは、第1変形例における、撮像装置10を左側から見た側面図である。第1変形例においては、カメラモジュール11の撮像範囲R2は、前側においてはレンズ111の光軸Lと直交する境界線B1と、後側においてはレンズ111の光軸Lを基準として下側に向けて傾斜する境界線B2とにより囲まれる範囲である。この場合、天井板122の第1基準位置P1から後側端部(他方側)の範囲では、実施の形態と同様に、境界線B2と平行な傾斜面122bが形成される。これに対して、天井板122の第1基準位置P1から前側端部の範囲(一方側)では、傾斜面が形成されず、境界線B1と平行な平面123が形成される。
【0046】
この場合、天井板122の後側に配置される照明部16b,16dは、実施の形態と同様に、傾斜面122bと平行に取り付けられる。また、天井板122の前側に配置される照明部16a,16cは、境界線B1と平行な平面123と平行に取り付けられる。すなわち、第1変形例においても、照明部16は、天井板122の形状と平行に取り付けられる。尚、天井板122の前側に配置される照明部16a,16cは、境界線B1と平行な平面123と平行に取り付けられていなくてもよい。
【0047】
尚、カメラモジュール11の撮像範囲R2は、前側においてレンズ111の光軸Lを基準として下側に向けて傾斜する境界線B1と、レンズ111の光軸Lと直交する境界線B2とにより囲まれる範囲であってもよい。この場合、天井板122の第1基準位置P1から前側端部(一方側)の範囲では、実施の形態と同様に、境界線B1と平行な傾斜面122aが形成される。天井板122の第1基準位置P1から後側端部の範囲(他方側)では、境界線B2と平行な平面が形成される。すなわち、天井板122の第1基準位置P1に対して前後方向(第1方向)の一方側と他方側の少なくとも一方に傾斜面が形成されればよい。
【0048】
<第2変形例>
図4Bは、第2変形例における、撮像装置10を左側から見た側面図である。第2変形例においては、カメラモジュール11の撮像範囲R2は、実施の形態の場合と同様に、レンズ111の光軸Lを基準として下側に向けて傾斜する境界線B1,B2により囲まれる範囲である。ただし、天井板122の第1基準位置P1を含む一部の範囲に、境界線B1,B2と交わらない範囲で、レンズ111の光軸Lと直交又は略直交する平面124が形成される。この平面124の前側端部から天井板122の前側端部までの範囲には、境界線B1に平行な傾斜面122aが形成される。また、平面124の後側端部から天井板122の後側端部までの範囲には、境界線B2に平行な傾斜面122bが形成される。天井板122がこのような形状を有していても、実施の形態の場合と同様に、被写体光がケラレることなくカメラモジュール11に到達することができる。
【0049】
尚、第2変形例においては、照明部16は、実施の形態の場合と同様にして取り付けられる。すなわち、照明部16a,16cは傾斜面122aと平行に取り付けられ、照明部16b,16cは傾斜面122bと平行に取り付けられる。
【0050】
<第3変形例>
上述した実施の形態や第1及び第2変形例においては、カメラモジュール11が前後方向に180°より広い画角の撮像範囲R2を有するものとして説明したが、カメラモジュール11は左右方向にも180°より広い画角の撮像範囲R1を有してもよい。
【0051】
図5は、第3変形例における、撮像装置10を前側から見た側面図である。第3変形例では、撮像範囲R1は、180°よりも広い画角θ1の境界線A1,A2にて囲まれる範囲である。天井板122には、中心部(レンズ111の光軸L)を通り前後方向(第1方向)に沿った線上の位置である第2基準位置P2に対して左右方向の一方側(右側)に、境界線A1と平行な傾斜面128が形成される。また、天井板122には、第2基準位置P2に対して左右方向の他方側(左側)に、境界線A2と平行な傾斜面127が形成される。これにより、撮像装置10の左右方向において画角θ1を180°より広くした場合であっても、ハウジング12による被写体光のケラレの発生を抑制することが可能となる。
【0052】
尚、カメラモジュール11の撮像範囲R1は、右側においてはレンズ111の光軸Lと直交する境界線A1と、左側においてはレンズ111の光軸Lを基準として下側に向けて傾斜する境界線A2とにより囲まれる範囲であってもよい。この場合、天井板122のうち中心部から左側の範囲では上記の傾斜面127が形成される。これに対して、天井板122の中心部から右側の範囲では、傾斜面が形成されず、境界線A1と平行な平面、すなわちレンズ111の光軸Lと直交する平面が形成されてもよい。
【0053】
また、カメラモジュール11の撮像範囲R1が下側に向けて傾斜する境界線A1と、レンズ111の光軸Lと直交する境界線A2とにより囲まれる範囲である場合、天井板122の中心部から右側では上記の傾斜面128が形成され、中心部から左側では境界線A2と平行な平面が形成されてもよい。すなわち、天井板122には、第2基準位置P2に対して第2方向(左右方向)の一方側(右側)と他方側(左側)の少なくとも一方に、傾斜面が形成されてよい。
【0054】
また、カメラモジュール11の左右方向の画角θ1が180°より大きいものに限定されない。例えば、レンズ111の光軸Lに対して右側では境界線A1が上述のように下側(底面121a側)へ向けて傾斜し、左側では境界線A2が底面121a側に傾斜していなくてもよい。すなわち、境界線A2とレンズ111の光軸Lとがなす角が90°以下であってもよい。換言すると、画角θ1には、少なくともレンズ111の光軸Lに対して一方側(右側)では、レンズ111から底面121a側に向かう方向が含まれてよい。この場合、傾斜面128は上記の通り境界線A1に応じた傾斜を有する。レンズ111の光軸Lに対して左側では上記の傾斜面127が形成されてもよいし、境界線A2と平行な面が形成されてもよいし、境界線A2と交差しない範囲内で傾斜する面が形成されてもよい。すなわち、天井板122には、画角θ1に応じた傾斜を有する傾斜面と、画角θ1に応じた傾斜を有さない面と、が形成されてもよい。
【0055】
また、第3変形例の撮像装置10では、天井板122は、前後方向において、実施の形態、第1変形例又は第2変形例にて説明した形状と同様の形状を有している。
【0056】
<第4変形例>
上述した実施の形態や変形例の撮像装置10が備える照明部16は、天井面122に形成された照明開口部126から照明光を出射したが、この例に限定されない。撮像装置10は、フロントケース120の側壁板にも更に照明部16を備えてもよい。
【0057】
図6は、第4変形例の撮像装置10の外観斜視図である。第4変形例においては、フロントケース120の側壁板123aにも照明開口部126が形成される。具体的には、側壁板123aの左方に照明開口部126eが形成され、右方に照明開口部126fが形成される。第4変形例の撮像装置10は、照明部16a~16dに加え、更に、照明部16a~16dと同様の構成を有する照明部16e,16fを備える。照明部16eのカバー部162は、側壁板123aの照明開口部126eに嵌め込まれる。照明部16fのカバー部162は、側壁板123aの照明開口部126fに嵌め込まれる。これにより、照明部16e,16fは、側壁板123aから外部に照明光を出射するので、実施の形態の場合よりも広い範囲を照明することが可能となり、180°よりも広い画角を有する撮像範囲R1を高画質で撮像することができる。
【0058】
尚、側壁板123aに配置される照明部16は、側壁板123aの左方又は右方の何れか一方でもよい。また、側壁板123aに加えて、側壁板123b,123c,123dの少なくとも1つに照明部16が更に配置されてもよいし、側壁板123a以外の側壁板123b,123c,123dの少なくとも1つに照明部16が更に配置されてもよい。すなわち、4個の側壁板123a,123b,123c,123dの少なくとも1つに照明部16が更に配置されてよい。
【0059】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
10 撮像装置、11 カメラモジュール、12 ハウジング、16,16a,16b,16c,16d,16e,16f 照明部、31 制御ユニット、110 撮像素子、111 レンズ、120 フロントケース、121 リアケース、121a 底面、122 天井板、122a,122b,127,128 傾斜面、123,124 平面、123a,123b,123c,123d 側壁板、125 開口部、126,126a,126b,126c,126d,126e,126f 照明開口部、161 光源、162 カバー部、163 面、A1,A2,B1,B2 境界線、L 光軸、La,Lb 光軸、P1 第1基準位置、P2 第2基準位置、R1,R2 撮像範囲、θ1,θ2 画角