(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043182
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】輸送切替装置、輸送システム、および輸送切替方法
(51)【国際特許分類】
B65G 53/56 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
B65G53/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148222
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】張 春暁
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真一
(72)【発明者】
【氏名】清水 健吾
【テーマコード(参考)】
3F047
【Fターム(参考)】
3F047AA03
3F047BA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】粉粒体を複数の輸送元のうちの選択された1つから複数の輸送先のうちの選択された1つへ輸送する輸送経路の切替えを、低コストで実現できる技術を提供する。
【解決手段】輸送元から輸送先へ粉粒体を輸送する輸送システム1において、輸送経路を構成する輸送配管30は、共通管31と、共通管31から分岐して輸送元に接続される流入側分岐管32a,32bと、流入側分岐管32a,32bと共通管31との連通を切替える流入側開閉弁33a,33bと、共通管31から分岐して輸送先に接続される流出側分岐管34a,34bと、流出側分岐管34a,34bと共通管31との連通を切替える流出側開閉弁35a,35bと、を有する。共通管31は、下向きに凸状に湾曲しつつ延伸する底部511と、底部511の両端部から上方へ延伸する上流側延伸部512および下流側延伸部513と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の輸送元のうちの選択された1つの前記輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの前記輸送先へ、粉粒体を輸送する輸送システムにおいて、前記複数の輸送元と前記複数の輸送先との間を繋ぐ輸送経路を切替える輸送切替装置であって、
前記輸送経路を構成する輸送配管
を含み、
前記輸送配管は、
1つの共通管と、
前記共通管における互いに離間する複数の位置からそれぞれ分岐するとともに、それぞれ前記複数の輸送元のうちの1つに接続される、複数の流入側分岐管と、
前記複数の流入側分岐管のそれぞれと前記共通管との連通を切替える、1または複数の流入側開閉弁と、
前記共通管における互いに離間する複数の位置からそれぞれ分岐するとともに、それぞれ前記複数の輸送先のうちの1つに接続される、複数の流出側分岐管と、
前記複数の流出側分岐管のそれぞれと前記共通管との連通を切替える、複数の流出側開閉弁と、
を有し、
前記共通管は、その両端部よりも中央側の部位が下方に位置し、
前記中央側の部位において下向きに凸状に湾曲しつつ延伸する、底部と、
前記底部における粉粒体の輸送方向に見た上流側の端部から、上方へ延伸する、上流側延伸部と、
前記底部における粉粒体の輸送方向に見た下流側の端部から、上方へ延伸する、下流側延伸部と、
を有する、輸送切替装置。
【請求項2】
請求項1に記載の輸送切替装置であって、
前記輸送配管は、
前記共通管の両端部の少なくとも一方に設けられ、前記共通管の端部を外気に対して開放可能にする、外気導入弁
をさらに有する、輸送切替装置。
【請求項3】
請求項2に記載の輸送切替装置であって、
前記複数の流入側分岐管は、それぞれ前記上流側延伸部から分岐し、
前記複数の流出側分岐管は、それぞれ前記下流側延伸部から分岐し、
前記外気導入弁は、前記共通管の両端部のうち、少なくとも前記上流側延伸部の端部に設けられる、輸送切替装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の輸送切替装置であって、
前記共通管は、正面視において、下向きに凸となるU字形状を有する、輸送切替装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の輸送切替装置であって、
前記上流側延伸部および前記下流側延伸部はそれぞれ、水平面に対して傾斜し、
側面視における、前記上流側延伸部および前記下流側延伸部の、水平面に対する傾斜角度は、それぞれ、45°以上、かつ、90°以下である、輸送切替装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の輸送切替装置であって、
前記複数の流出側分岐管はそれぞれ、前記下流側延伸部から分岐して、上方へ鉛直方向に延伸する、輸送切替装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の輸送切替装置であって、
前記上流側延伸部および前記下流側延伸部はそれぞれ、上方へ向かうにつれて、互いに離れる方向に傾斜し、
正面視において、前記上流側延伸部および前記下流側延伸部の、水平方向に対する傾斜角度は、それぞれ、45°以上、かつ、90°以下であり、
前記共通管は、側面視において、鉛直方向に延びる直線形状を有する、輸送切替装置。
【請求項8】
複数の輸送元のうちの選択された1つの前記輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの前記輸送先へ、粉粒体を輸送する輸送システムにおいて、前記複数の輸送元と前記複数の輸送先との間を繋ぐ輸送経路を切替える輸送切替装置であって、
前記輸送経路を構成する輸送配管
を含み、
前記輸送配管は、
1つの共通管と、
前記共通管における互いに離間する複数の位置からそれぞれ分岐するとともに、それぞれ前記複数の輸送元のうちの1つに接続される、複数の流入側分岐管と、
前記複数の流入側分岐管のそれぞれと前記共通管との連通を切替える、1または複数の流入側開閉弁と、
前記共通管における互いに離間する複数の位置からそれぞれ分岐するとともに、それぞれ前記複数の輸送先のうちの1つに接続される、複数の流出側分岐管と、
前記複数の流出側分岐管のそれぞれと前記共通管との連通を切替える、複数の流出側開閉弁と、
を有し、
前記共通管は、その両端部よりも中央側の部位が下方に位置し、
前記中央側の部位において下向きに凸状に湾曲しつつ延伸する、底部と、
前記底部における粉粒体の輸送方向に見た上流側の端部から、上方へ延伸する、上流側主延伸部と、
前記上流側主延伸部から分岐して、上方へ延伸する、1または複数の上流側副延伸部と、
前記底部における粉粒体の輸送方向に見た下流側の端部から、上方へ延伸する、下流側主延伸部と、
前記下流側主延伸部から分岐して、上方へ延伸する、1または複数の下流側副延伸部と、
を有し、
前記複数の流入側分岐管は、それぞれ前記上流側主延伸部または前記上流側副延伸部から分岐し、
前記複数の流出側分岐管は、それぞれ前記下流側主延伸部または前記下流側副延伸部から分岐する、輸送切替装置。
【請求項9】
請求項1に記載の輸送切替装置と、
前記複数の輸送元と、
前記複数の輸送先と、
前記輸送配管内に、前記輸送元から前記輸送先へ向かう気流を発生させる気流発生手段と、
を有する、輸送システム。
【請求項10】
請求項9に記載の輸送システムであって、
前記1または複数の流入側開閉弁はそれぞれ、
1または複数の前記流入側分岐管が接続される1または複数の上流側開口が設けられた上流側端と、前記共通管が接続される下流側開口が設けられた下流側端とを有する、ケーシングと、
前記1または複数の上流側開口を開閉する1または複数の弁体と、
前記1または複数の弁体を、前記1または複数の上流側開口に直交する方向に進退させる1または複数のエアシリンダと、
を有し、
前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記上流側開口を開放すると、粉粒体が前記ケーシング内に流入して前記下流側開口から流出し、
前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記上流側開口を閉塞すると、粉粒体の前記ケーシング内への流入が停止される、輸送システム。
【請求項11】
請求項9に記載の輸送システムであって、
前記複数の流出側開閉弁はそれぞれ、
前記共通管が接続される上流側開口が設けられた上流側端と、前記流出側分岐管が接続される下流側開口が設けられた下流側端とを有する、ケーシングと、
前記上流側開口を開閉する弁体と、
前記弁体を、前記上流側開口に直交する方向に進退させるエアシリンダと、
を有し、
前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記上流側開口を開放すると、粉粒体が前記ケーシング内に流入して前記下流側開口から流出し、
前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記上流側開口を閉塞すると、粉粒体の前記ケーシング内への流入が停止される、輸送システム。
【請求項12】
請求項9から請求項11までのいずれか1項に記載の輸送システムであって、
前記気流発生手段は、前記選択された1つの輸送先から空気を吸引することによって、前記輸送配管内に、前記輸送元から前記輸送先へ向かう気流を発生させる、輸送システム。
【請求項13】
複数の輸送元のうちの選択された1つの前記輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの前記輸送先へ、粉粒体を輸送する輸送工程において、前記複数の輸送元と前記複数の輸送先との間を繋ぐ輸送経路を切替える輸送切替方法であって、
前記輸送経路を構成する輸送配管は、
1つの共通管と、
前記共通管における互いに離間する複数の位置からそれぞれ分岐するとともに、それぞれ前記複数の輸送元のうちの1つに接続される、複数の流入側分岐管と、
前記複数の流入側分岐管のそれぞれと前記共通管との連通を切替える、1または複数の流入側開閉弁と、
前記共通管における互いに離間する複数の位置からそれぞれ分岐するとともに、それぞれ前記複数の輸送先のうちの1つに接続される、複数の流出側分岐管と、
前記複数の流出側分岐管のそれぞれと前記共通管との連通を切替える、複数の流出側開閉弁と、
を有し、
前記共通管は、その両端部よりも中央側の部位が下方に位置し、
前記中央側の部位において下向きに凸状に湾曲しつつ延伸する、底部と、
前記底部における粉粒体の輸送方向に見た上流側の端部から、上方へ延伸する、上流側延伸部と、
前記底部における粉粒体の輸送方向に見た下流側の端部から、上方へ延伸する、下流側延伸部と、
を有し、
a)前記流入側開閉弁を開放することによって、前記選択された1つの輸送元に接続される前記流入側分岐管と前記共通管とを連通させ、前記流出側開閉弁を開放することによって、前記選択された1つの輸送先に接続される前記流出側分岐管と前記共通管とを連通させ、かつ、前記選択された1つの輸送先から空気を吸引することによって、前記輸送元から前記輸送先へ粉粒体を輸送する工程
を有する、輸送切替方法。
【請求項14】
請求項13に記載の輸送切替方法であって、
前記輸送配管は、
前記共通管の両端部のうち、少なくとも前記上流側延伸部の端部に設けられ、前記共通管の端部を外気に対して開放可能にする、外気導入弁
をさらに有し、
前記工程a)は、前記外気導入弁を閉塞した状態と開放した状態とに切り替えつつ、実行する、輸送切替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の輸送元のうちの選択された1つの輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの輸送先へ、粉体または粒体からなる材料(以下「粉粒体」と称する)を輸送する輸送システムおよび輸送工程において、当該複数の輸送元と当該複数の輸送先との間を繋ぐ輸送経路を切替える輸送切替装置および輸送切替方法と、当該輸送システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック製品の製造工程では、各種の原材料が貯留された複数の原料タンク等からなる輸送元の1つから、射出成形機等の輸送先へ、輸送経路を切替えながら輸送することがある。このような輸送経路の切替装置については、例えば、特許文献1および特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-086658号公報
【特許文献2】特許第5806819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、各種の原材料を成形機に輸送する際に用いる配管切替装置に関する。特許文献1の配管切替装置は、第1輸送管(2)と、複数の第2輸送管(5)とを、湾曲状の切替配管(4)を介して切替える。具体的には、第1輸送管(2)に切替配管(4)の一端側を接続しつつ、切替配管(4)の他端側を第1輸送管(2)との接続部位を支点として周方向に回転可能とする。また、切替配管(4)の他端が回転して描く周方向の移動軌跡上に、複数の第2輸送管(5)を配設する。また、切替配管(4)の他端と第2輸送管(5)とを、接続筒(6)および付勢手段(7)等を用いて着脱可能とする(段落0006,
図1)。さらに、2基の配管切替装置を、それぞれの第1輸送管(2)側で互いに接続することにより、複数の第2輸送管(5)から複数の第2輸送管(5)へ輸送する構成とする。これにより、各種の原材料を複数の原料タンク(T)から複数の成形機(M)へ輸送することもできる(段落0021,
図7-8)。
【0005】
特許文献2は、輸送路を切り替える輸送切替装置に関する。特許文献2の切替弁装置(1)は、弁体ハウジング(10)と、弁体ハウジング(10)内に収容されたスライド弁体(20)と、スライド弁体(20)をスライドさせる弁体駆動部としてのエアーシリンダー(30)とを備える(段落0016,
図1-3)。また、切替弁装置(1)は、スライド弁体(20)をスライドさせて、一系統の輸送路である第1輸送路(2)に対して、二系統の輸送路である第2輸送路(3)と第3輸送路(4)とを切り替えて連通させる。また、輸送する輸送媒体としては、ガスや液体などの流体、スラリー状媒体、および粉粒体材料等が挙げられる(段落0017)。また、輸送媒体のうち固形状のものを輸送する場合、空気輸送(吸引輸送や圧送)が用いることもできる。
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示された装置は、輸送経路を切替えるために、粉粒体を輸送する配管の一部を回転させ、または弁体を備えた機構をスライドさせることが必要となる。このため、輸送経路の切替え精度を高めるために、コストがより増大する虞がある。
【0007】
本発明は、粉粒体を複数の輸送元のうちの選択された1つの輸送元から複数の輸送先のうちの選択された1つの輸送先へ輸送する際に、輸送経路の切替えを低コストで実現できる装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、複数の輸送元のうちの選択された1つの前記輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの前記輸送先へ、粉粒体を輸送する輸送システムにおいて、前記複数の輸送元と前記複数の輸送先との間を繋ぐ輸送経路を切替える輸送切替装置に係る。この輸送切替装置は、前記輸送経路を構成する輸送配管を含む。前記輸送配管は、1つの共通管と、複数の流入側分岐管と、1または複数の流入側開閉弁と、複数の流出側分岐管と、複数の流出側開閉弁と、を有する。前記複数の流入側分岐管は、前記共通管における互いに離間する複数の位置からそれぞれ分岐するとともに、それぞれ前記複数の輸送元のうちの1つに接続される。前記1または複数の流入側開閉弁は、前記複数の流入側分岐管のそれぞれと前記共通管との連通を切替える。前記複数の流出側分岐管は、前記共通管における互いに離間する複数の位置からそれぞれ分岐するとともに、それぞれ前記複数の輸送先のうちの1つに接続される。前記複数の流出側開閉弁は、前記複数の流出側分岐管のそれぞれと前記共通管との連通を切替える。前記共通管は、その両端部よりも中央側の部位が下方に位置し、底部と、上流側延伸部と、下流側延伸部と、を有する。前記底部は、前記中央側の部位において下向きに凸状に湾曲しつつ延伸する。前記上流側延伸部は、前記底部における粉粒体の輸送方向に見た上流側の端部から、上方へ延伸する。前記下流側延伸部は、前記底部における粉粒体の輸送方向に見た下流側の端部から、上方へ延伸する。
【0009】
本願の第2発明は、第1発明の輸送切替装置であって、前記輸送配管は、前記共通管の両端部の少なくとも一方に設けられ、前記共通管の端部を外気に対して開放可能にする、外気導入弁をさらに有する。
【0010】
本願の第3発明は、第2発明の輸送切替装置であって、前記複数の流入側分岐管は、それぞれ前記上流側延伸部から分岐し、前記複数の流出側分岐管は、それぞれ前記下流側延伸部から分岐し、前記外気導入弁は、前記共通管の両端部のうち、少なくとも前記上流側延伸部の端部に設けられる。
【0011】
本願の第4発明は、第1発明から第3発明までのいずれか1発明の輸送切替装置であって、前記共通管は、正面視において、下向きに凸となるU字形状を有する。
【0012】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明までのいずれか1発明の輸送切替装置であって、前記上流側延伸部および前記下流側延伸部はそれぞれ、水平面に対して傾斜し、側面視における、前記上流側延伸部および前記下流側延伸部の、水平面に対する傾斜角度は、それぞれ、45°以上、かつ、90°以下である。
【0013】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の輸送切替装置であって、前記複数の流出側分岐管はそれぞれ、前記下流側延伸部から分岐して、上方へ鉛直方向に延伸する。
【0014】
本願の第7発明は、第1発明から第4発明までのいずれか1発明の輸送切替装置であって、前記上流側延伸部および前記下流側延伸部はそれぞれ、上方へ向かうにつれて、互いに離れる方向に傾斜し、正面視において、前記上流側延伸部および前記下流側延伸部の、水平方向に対する傾斜角度は、それぞれ、45°以上、かつ、90°以下であり、前記共通管は、側面視において、鉛直方向に延びる直線形状を有する。
【0015】
本願の第8発明は、複数の輸送元のうちの選択された1つの前記輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの前記輸送先へ、粉粒体を輸送する輸送システムにおいて、前記複数の輸送元と前記複数の輸送先との間を繋ぐ輸送経路を切替える輸送切替装置に係る。この輸送切替装置は、前記輸送経路を構成する輸送配管を含む。前記輸送配管は、1つの共通管と、複数の流入側分岐管と、1または複数の流入側開閉弁と、複数の流出側分岐管と、複数の流出側開閉弁と、を有する。前記複数の流入側分岐管は、前記共通管における互いに離間する複数の位置からそれぞれ分岐するとともに、それぞれ前記複数の輸送元のうちの1つに接続される。前記1または複数の流入側開閉弁は、前記複数の流入側分岐管のそれぞれと前記共通管との連通を切替える。前記複数の流出側分岐管は、前記共通管における互いに離間する複数の位置からそれぞれ分岐するとともに、それぞれ前記複数の輸送先のうちの1つに接続される。前記複数の流出側開閉弁は、前記複数の流出側分岐管のそれぞれと前記共通管との連通を切替える。前記共通管は、その両端部よりも中央側の部位が下方に位置し、底部と、上流側主延伸部と、1または複数の上流側副延伸部と、下流側主延伸部と、1または複数の下流側副延伸部と、を有する。前記底部は、前記中央側の部位において下向きに凸状に湾曲しつつ延伸する。前記上流側主延伸部は、前記底部における粉粒体の輸送方向に見た上流側の端部から、上方へ延伸する。前記1または複数の上流側副延伸部は、前記上流側主延伸部から分岐して、上方へ延伸する。前記下流側主延伸部は、前記底部における粉粒体の輸送方向に見た下流側の端部から、上方へ延伸する。前記1または複数の下流側副延伸部は、前記下流側主延伸部から分岐して、上方へ延伸する。前記複数の流入側分岐管は、それぞれ前記上流側主延伸部または前記上流側副延伸部から分岐し、前記複数の流出側分岐管は、それぞれ前記下流側主延伸部または前記下流側副延伸部から分岐する。
【0016】
本願の第9発明は、第1発明から第8発明までのいずれか1発明の輸送切替装置と、前記複数の輸送元と、前記複数の輸送先と、前記輸送配管内に、前記輸送元から前記輸送先へ向かう気流を発生させる気流発生手段と、を有する、輸送システムである。
【0017】
本願の第10発明は、第9発明の輸送システムであって、前記1または複数の流入側開閉弁はそれぞれ、1または複数の前記流入側分岐管が接続される1または複数の上流側開口が設けられた上流側端と、前記共通管が接続される下流側開口が設けられた下流側端とを有する、ケーシングと、前記1または複数の上流側開口を開閉する1または複数の弁体と、前記1または複数の弁体を、前記1または複数の上流側開口に直交する方向に進退させる1または複数のエアシリンダと、を有し、前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記上流側開口を開放すると、粉粒体が前記ケーシング内に流入して前記下流側開口から流出し、前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記上流側開口を閉塞すると、粉粒体の前記ケーシング内への流入が停止される。
【0018】
本願の第11発明は、第9発明の輸送システムであって、前記複数の流出側開閉弁はそれぞれ、前記共通管が接続される上流側開口が設けられた上流側端と、前記流出側分岐管が接続される下流側開口が設けられた下流側端とを有する、ケーシングと、前記上流側開口を開閉する弁体と、前記弁体を、前記上流側開口に直交する方向に進退させるエアシリンダと、を有し、前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記上流側開口を開放すると、粉粒体が前記ケーシング内に流入して前記下流側開口から流出し、前記弁体が、前記エアシリンダの駆動によって前記上流側開口を閉塞すると、粉粒体の前記ケーシング内への流入が停止される。
【0019】
本願の第12発明は、第9発明から第11発明までのいずれか1発明の輸送システムであって、前記気流発生手段は、前記選択された1つの輸送先から空気を吸引することによって、前記輸送配管内に、前記輸送元から前記輸送先へ向かう気流を発生させる。
【0020】
本願の第13発明は、複数の輸送元のうちの選択された1つの前記輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの前記輸送先へ、粉粒体を輸送する輸送工程において、前記複数の輸送元と前記複数の輸送先との間を繋ぐ輸送経路を切替える輸送切替方法に係る。前記輸送経路を構成する輸送配管は、1つの共通管と、複数の流入側分岐管と、1または複数の流入側開閉弁と、複数の流出側分岐管と、複数の流出側開閉弁と、を有する。前記複数の流入側分岐管は、前記共通管における互いに離間する複数の位置からそれぞれ分岐するとともに、それぞれ前記複数の輸送元のうちの1つに接続される。前記1または複数の流入側開閉弁は、前記複数の流入側分岐管のそれぞれと前記共通管との連通を切替える。前記複数の流出側分岐管は、前記共通管における互いに離間する複数の位置からそれぞれ分岐するとともに、それぞれ前記複数の輸送先のうちの1つに接続される。前記複数の流出側開閉弁は、前記複数の流出側分岐管のそれぞれと前記共通管との連通を切替える。前記共通管は、その両端部よりも中央側の部位が下方に位置し、底部と、上流側延伸部と、下流側延伸部と、を有する。前記底部は、前記中央側の部位において下向きに凸状に湾曲しつつ延伸する。前記上流側延伸部は、前記底部における粉粒体の輸送方向に見た上流側の端部から、上方へ延伸する。前記下流側延伸部は、前記底部における粉粒体の輸送方向に見た下流側の端部から、上方へ延伸する。また、a)前記流入側開閉弁を開放することによって、前記選択された1つの輸送元に接続される前記流入側分岐管と前記共通管とを連通させ、前記流出側開閉弁を開放することによって、前記選択された1つの輸送先に接続される前記流出側分岐管と前記共通管とを連通させ、かつ、前記選択された1つの輸送先から空気を吸引することによって、前記輸送元から前記輸送先へ粉粒体を輸送する工程を有する。
【0021】
本願の第14発明は、第13発明の輸送切替方法であって、前記輸送配管は、前記共通管の両端部のうち、少なくとも前記上流側延伸部の端部に設けられ、前記共通管の端部を外気に対して開放可能にする、外気導入弁をさらに有し、前記工程a)は、前記外気導入弁を閉塞した状態と開放した状態とに切り替えつつ、実行する。
【発明の効果】
【0022】
本願の第1発明~第14発明によれば、複数の輸送元から複数の輸送先への輸送経路の切替を、低コストで実現できる。また、共通管を下向きに凸状に湾曲した形状とすることによって、輸送元から輸送先への粉粒体の輸送時に、共通管から粉粒体を排出する際に、流れ方向に沿った方向(上向き)へと排出できるため、粉粒体の共通管内での滞留がより少なくなる。さらに、粉粒体を上方へ排出することで、共通管内においてオーバーランした粉粒体を、重力により戻し、流出側開閉弁および流出側分岐管を介して輸送先へ搬送することができるため、共通管において残留する粉粒体の量を低減できる。また、共通管を下向きに凸状に湾曲した形状とすることによって、共通管を含む輸送配管の設置に必要なスペースを抑制できる。
【0023】
特に、本願の第2発明および第3発明によれば、輸送元から輸送先へ粉粒体を輸送する際に、共通管内において滞留し、またはオーバーランした粉粒体を、外気導入弁から導入される空気によって、流出側開閉弁および流出側分岐管を介して輸送先へ搬送することができる。
【0024】
特に、本願の第7発明によれば、共通管を含む輸送配管を、幅の狭い場所にも設置することができる。
【0025】
特に、本願の第10発明によれば、簡易な構造によって、低コストで流入側開閉弁を構成できる。また、1つの流入側開閉弁において複数の流入側分岐管を接続する場合は、より小さなスペースで、多くの流入側分岐管を設けることができるため、コスト削減に繋がる。
【0026】
特に、本願の第11発明によれば、簡易な構造によって、低コストで流出側開閉弁を構成できる。
【0027】
特に、本願の第12発明によれば、簡易な構造によって、低コストで、輸送元から輸送先へ向かう気流を発生させることができる。
【0028】
特に、本願の第14発明によれば、輸送元から輸送先への粉粒体の輸送を主に行う工程と、共通管内に残留したままとなっていた粉粒体を底部に戻して再度の輸送で排出する工程とを行うことによって、輸送配管に残る粉粒体の量を抑制しつつ輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態に係る輸送システムの構成を概念的に示した図である。
【
図3】第1変形例に係る輸送配管の一部の構造を概念的に示した図である。
【
図5】第2変形例に係る流入側開閉弁の縦断面図である。
【
図7】制御部と各部との接続を示したブロック図である。
【
図8】粉粒体の輸送工程の流れを示したフローチャートである。
【
図9】粉粒体の輸送工程を例示的に説明するための概要図である。
【
図10】粉粒体の輸送工程の流れを示したタイムチャートである。
【
図11】第2実施形態に係る輸送配管の一部の構造を概念的に示した図である。
【
図12】第3実施形態に係る輸送配管の一部の構造を概念的に示した図である。
【
図13】第3変形例に係る輸送配管の一部の構造を概念的に示した図である。
【
図14】第4変形例に係る輸送配管の一部の構造を概念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0031】
<1.第1実施形態>
<1-1.輸送システムの構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る輸送システム1の構成を概念的に示した図である。この輸送システム1は、例えば、プラスチック等の樹脂成形品の原料となる樹脂ペレットを含む粉粒体を、輸送元から輸送先へ輸送するシステムである。特に、本実施形態の輸送システム1は、プラスチック製品の製造工程において、複数の輸送元のうちの選択された1つの輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの輸送先へ、粉粒体を輸送する。
【0032】
図1に示すように、本実施形態の輸送システム1は、輸送元である複数(本実施形態では、2つ)の第1ホッパ10a,10b、輸送先である複数(本実施形態では、2つ)の第2ホッパ20a,20b、輸送配管30、複数(本実施形態では、2つ)の排気管40a,40b、複数(本実施形態では、2つ)のブロワ50a,50b、および制御部60を有する。ただし、輸送システム1が有する第1ホッパ10a,10bの数、および第2ホッパ20a,20bの数はそれぞれ、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0033】
第1ホッパ10a,10bは、輸送前の粉粒体を内部に貯留する容器である。第1ホッパ10a,10bは、本発明における輸送元の一例となる。本実施形態では、2つの第1ホッパ10a,10bにおいて、互いに異なる種類の粉粒体が貯留される。例えば、一方の第1ホッパ10aには、樹脂成形品の主な原料である樹脂ペレットが貯留され、他方の第1ホッパ10bには、粉砕されたリサイクル材が貯留される。ただし、複数の第1ホッパには、これらの他、樹脂成形品を着色する着色料として用いられるマスターバッチまたは添加剤等の粉粒体が貯留されてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、2つの第1ホッパ10a,10bは、互いに同じ構造を有する。第1ホッパ10a,10bはそれぞれ、略円筒状の側壁11と、側壁11の下端部から下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗状の底部12と、上部を覆う天板部13とを有する。第1ホッパ10a,10bの内部には、粉粒体を貯留するための空間が、設けられている。また、各底部12の中央には、第1ホッパ10a,10bから輸送配管30へ粉粒体を排出するための第1排出口14が設けられている。なお、第1ホッパ10a,10bの形状は、他の形状であってもよい。例えば、側壁11は、矩形の筒状であってもよい。また、輸送システム1が有する複数の第1ホッパは、互いに異なる構造を有していてもよい。
【0035】
また、各第1排出口14には、開閉弁16と、開閉弁16に接続された開閉機構17とが取り付けられている。開閉機構17は、制御部60からの指令に応じてエアシリンダを動作させて、弁体を進退させることによって、開閉弁16を開閉する。ただし、各第1排出口14には、上記の開閉弁16および開閉機構17の替わりに、手動で開閉可能な手動弁が取り付けられてもよい。
【0036】
第1ホッパ10a,10bの上方には、第1ホッパ10a,10bに対して粉粒体を供給する装置(上流装置)が配置される。各上流装置は、予め決められた種類の粉粒体を、第1ホッパ10a,10bに供給する。したがって、2つの第1ホッパ10a,10bのそれぞれの上方の上流装置から供給される粉粒体の種類は、互いに異なる。各上流装置は第1ホッパ10a,10b内の粉粒体が少なくなった際に補給要求を受けて粉粒体を補給することができる。ただし、各上流装置は、複数種類の粉粒体を、所定の混合比率となるように計量して、第1ホッパ10a,10bに供給してもよい。また、第1ホッパ10a,10bは、必ずしも上流装置に接続されていなくてもよい。例えば、作業者が、第1ホッパ10a,10bに、手動で粉粒体を投入してもよい。
【0037】
第2ホッパ20a,20bは、第1ホッパ10a,10bから輸送配管30を介して輸送される粉粒体を、一時的に貯留する容器である。第2ホッパ20a,20bは、本発明における輸送先の一例となる。また、本実施形態では、2つの第2ホッパ20a,20bは、互いに同じ構造を有する。第2ホッパ20a,20bはそれぞれ、略円筒状の側壁21と、側壁21の下端部から下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗状の底部22と、上部を覆う天板部23とを有する。第2ホッパ20a,20bの内部には、粉粒体を一時的に貯留するための空間が、設けられている。なお、第2ホッパ20a,20bの形状は、他の形状であってもよい。例えば、側壁21は、矩形の筒状であってもよい。また、輸送システム1が有する複数の第2ホッパは、互いに異なる構造を有していてもよい。
【0038】
また、各側壁21には、粉粒体を受け入れるための搬入口24が設けられている。また、各底部22の中央には、第2ホッパ20a,20bから粉粒体を排出するための第2排出口25が設けられている。また、各天板部23には、第2ホッパ20a,20bから空気を吸い出すための排気口26が設けられている。
【0039】
また、各第2排出口25には、第2排出口25の開閉を制御する排出弁27が取り付けられている。排出弁27には、例えば、制御部60からの指令に応じてエアシリンダを動作させて、弁体を進退させる機構が用いられる。ただし、排出弁27は、エアシリンダ等の機構により弁体を進退させるものでなくてもよく、例えば、第2排出口25の端部から適切な距離を空けて設けられた板状の弁であり、ブロワ50a,50bが作動して第2ホッパ20a,20bの内部が減圧されることで自動的に移動し第2排出口25を塞ぐようなものであってもよい。また、各第2排出口25には、排出弁27の替わりに、手動で開閉可能な手動弁が取り付けられてもよい。また、第2ホッパ20a,20bの下方には、それぞれ第2排出口25から排出される粉粒体を受ける装置(下流装置29)が配置される。下流装置29は、例えば、射出成形機である。第2排出口25を開放すると、第2ホッパ20a,20b内の粉粒体が、それぞれ第2排出口25を通って下流装置29へ排出される。
【0040】
輸送配管30は、第1ホッパ10a,10bと第2ホッパ20a,20bとを繋ぐ配管である。輸送配管30は、複数(本実施形態では、2つ)の第1ホッパ10a,10bと複数(本実施形態では、2つ)の第2ホッパ20a,20bとの間を繋ぐ輸送経路を構成する。
図1に示すように、輸送配管30は、1つの共通管31、複数(本実施形態では、2つ)の流入側分岐管32a,32b、1または複数の(本実施形態では、2つ)の流入側開閉弁33a,33b、複数(本実施形態では、2つ)の流出側分岐管34a,34b、および複数(本実施形態では、2つ)の流出側開閉弁35a,35bを有する。共通管31、2つの流入側分岐管32a,32b、および2つの流出側分岐管34a,34bはそれぞれ、例えば、金属製の円管から構成される。
【0041】
共通管31は、正面視において(
図1の紙面に直交する方向から見て)、鉛直方向の下向きに凸となるU字形状を有する配管である。また、共通管31は、その両端部よりも中央側の部位が下方に位置するように、配置される。これにより、本実施形態では、共通管31を含む輸送配管30の配置に必要なスペースを抑制できる。ただし、共通管31の形状は、鉛直方向の下向きに凸となる部位を有するものであれば、U字形状には限定されない。例えば、共通管31は、鉛直方向の下向きに凸となる、半球形状やV字形状であってもよい。本実施形態では、共通管31は、底部511、上流側延伸部512、および下流側延伸部513を有する。
【0042】
底部511は、共通管31における、中央側の部位において鉛直方向の下向きに凸状に湾曲しつつ延伸する部位である。上流側延伸部512は、底部511における粉粒体の輸送方向tdに見た上流側の端部Euから、上方へ延伸する部位である。下流側延伸部513は、底部511における粉粒体の輸送方向tdに見た下流側の端部Edから、上方へ延伸する部位である。
【0043】
また、本実施形態において、共通管31、2つの流入側開閉弁33a,33b、および2つの流出側開閉弁35a,35bは、支持部材36に支持される。
図2は、支持部材36の斜視図である。
図2において、共通管31、2つの流入側分岐管32a,32bの一部、2つの流入側開閉弁33a,33b、2つの流出側分岐管34a,34bの一部、および2つの流出側開閉弁35a,35bを、それぞれ破線にて概略的に図示している。支持部材36は、例えば、アルミニウム製のフレームにより構成される。ただし、支持部材36の構造は、これに限定されない。
【0044】
図2に示すように、共通管31は、全体として、水平方向および鉛直方向に対して傾斜している。上流側延伸部512および下流側延伸部513はそれぞれ、水平面に対して傾斜している。また、側面視における(
図2の白抜き矢印D1方向から見た)、上流側延伸部512および下流側延伸部513の、水平面に対する傾斜角度θ1は、それぞれ、45°以上、かつ、90°以下である。なお、上流側延伸部512および下流側延伸部513の、水平面に対する傾斜角度θ1は、互いに等しくてもよく、互いに異なっていてもよい。
【0045】
ここで、共通管31の構造の変形例について、説明する。
図3は、第1変形例に係る共通管31cを含む輸送配管30cの一部の構造を概念的に示した図である。
図3に示すように、輸送配管30cは、1つの共通管31c、複数(本変形例では、2つ)の流入側分岐管32a,32b、1または複数(本変形例では、2つ)の流入側開閉弁33a,33b、複数(本変形例では、2つ)の流出側分岐管34a,34b、および複数(本変形例では、2つ)の流出側開閉弁35a,35bを有する。本変形例に係る流入側分岐管32a,32b、流入側開閉弁33a,33b、流出側分岐管34a,34b、および流出側開閉弁35a,35bはそれぞれ、上記の第1実施形態の各部と同等の構成を有する。
【0046】
共通管31cは、正面視において(
図3の紙面に直交する方向から見て)、鉛直方向の下向きに凸となる略V字形状を有する配管である。また、共通管31cは、その両端部よりも中央側の部位が下方に位置するように、配置される。これにより、本変形例では、共通管31cを含む輸送配管30cの配置に必要なスペースを抑制できる。共通管31cは、底部511c、上流側延伸部512c、および下流側延伸部513cを有する。
【0047】
底部511cは、共通管31cにおける、中央側の部位において鉛直方向の下向きに凸状に湾曲しつつ延伸する部位である。上流側延伸部512cは、底部511cにおける粉粒体の輸送方向tdに見た上流側の端部Euから、上方へ延伸する部位である。下流側延伸部513cは、底部511cにおける粉粒体の輸送方向tdに見た下流側の端部Edから、上方へ延伸する部位である。
【0048】
また、本変形例では、上流側延伸部512cおよび下流側延伸部513cはそれぞれ、上方へ向かうにつれて、互いに離れる方向に傾斜する。正面視において(
図3の紙面に直交する方向から見て)、上流側延伸部512cの水平方向に対する傾斜角度θ2、下流側延伸部513cの水平方向に対する傾斜角度θ3は、それぞれ、45°以上、かつ、90°以下である。一方、底部511c、上流側延伸部512c、および下流側延伸部513cを含む共通管31cは、水平面に対して垂直な一つの面上に延伸する。すなわち、共通管31cは、側面視において(
図3の白抜き矢印D2方向から見て)、鉛直方向に延びる直線形状を有する。共通管31cがこのような構造を有することにより、共通管31cを含む輸送配管30cを、スペースの限られた幅の狭い場所にも設置することができる。
【0049】
また、本変形例では、正面視において(
図3の紙面に直交する方向から見て)、流入側開閉弁33a,33bと、流出側開閉弁35a,35bとは、互いに対面するように配置される。また、本変形例では、2つの流入側分岐管32a,32bはそれぞれ、共通管31cの上流側延伸部512cから分岐して、上方へ鉛直方向に延伸する。また、2つの流出側分岐管34a,34bはそれぞれ、共通管31cの下流側延伸部513cから分岐して、上方へ鉛直方向に延伸する。これにより、輸送配管30c全体の幅も、低減することができる。
【0050】
図1に示すように、以下、共通管31における粉粒体の輸送方向tdに見た上流側の端部の開口を「外気導入口310a」と称する。また、共通管31における粉粒体の輸送方向tdに見た下流側の端部の開口を「外気導入口310b」と称する。外気導入口310aには、外気導入弁311aと、外気導入弁311aに接続された開閉機構312aと、フィルタ313aとが、取り付けられている。開閉機構312aは、制御部60からの指令に応じてエアシリンダを動作させて、弁体を進退させることによって、外気導入弁311aを開閉する。外気導入弁311aを開放すると、フィルタ313aを介して共通管31の内部へ外気を取り込むことができる。ただし、外気導入弁311aおよび開閉機構312aの替わりに、手動で開閉可能な手動弁が取り付けられてもよい。
【0051】
また、外気導入口310bには、外気導入弁311bと、外気導入弁311bに接続された開閉機構312bと、フィルタ313bとが、取り付けられている。開閉機構312bは、制御部60からの指令に応じてエアシリンダを動作させて、弁体を進退させることによって、外気導入弁311bを開閉する。外気導入弁311bを開放すると、フィルタ313bを介して共通管31の内部へ外気を取り込むことができる。ただし、外気導入弁311bおよび開閉機構312bの替わりに、手動で開閉可能な手動弁が取り付けられてもよい。
【0052】
また、外気導入弁は、共通管31における外気導入口310a,310bの一方のみに設けられてもよい。すなわち、輸送配管30は、共通管31の両端部の少なくとも一方に設けられ、共通管31の端部を外気に対して開放可能にする、外気導入弁を有していればよい。ただし、外気導入弁は、共通管31の両端部のうち、少なくとも上流側延伸部512の端部、すなわち外気導入口310aに設けられることが望ましい。これにより、後述のとおり、複数の輸送元のうちの選択された1つの輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの輸送先へ、粉粒体を輸送する際に、共通管31内に残留する粉粒体を、上流側延伸部512の端部、すなわち外気導入口310aに設けられる外気導入弁311aから導入される空気によって、流出側開閉弁35a,35bを介して流出側分岐管34a,34bへ搬送することができる。
【0053】
図1に示すように、2つの流入側分岐管32a,32bは、共通管31における互いに離間した複数(本実施形態では、2箇所)の位置P1,P2から、それぞれ分岐する配管である。本実施形態では、2つの流入側分岐管32a,32bはそれぞれ、共通管31のうちの上流側延伸部512から分岐して、上方へ鉛直方向に延伸する(
図2参照)。ただし、
図1では、流入側分岐管32a,32bおよび流入側開閉弁33a,33bが共通管31と重ならないように表示するため、流入側分岐管32a,32bおよび流入側開閉弁33a,33bを、
図1の紙面の上下方向および左右方向に対して傾斜させて図示している。流入側分岐管32aは、一方の端部において、複数の輸送元のうちの1つである第1ホッパ10aの第1排出口14に接続される。流入側分岐管32bは、一方の端部において、複数の輸送元のうちの他の1つである第1ホッパ10bの第1排出口14に接続される。
【0054】
また、流入側分岐管32a,32bはそれぞれ、第1排出口14の近傍に、開口320を有する。開口320には、輸送元弁321と、輸送元弁321に接続された開閉機構322と、フィルタ323とが、取り付けられている。開閉機構322は、制御部60からの指令に応じてエアシリンダを動作させて、弁体を進退させることによって、輸送元弁321を開閉する。輸送元弁321を開放すると、フィルタ323を介して流入側分岐管32a,32bの内部へ外気を取り込むことができる。ただし、輸送元弁321および開閉機構322の替わりに、手動で開閉可能な手動弁が取り付けられてもよい。
【0055】
1または複数(本実施形態では、2つ)の流入側開閉弁33a,33bは、複数(本実施形態では、2つ)の流入側分岐管32a,32bのそれぞれと共通管31との連通を切替える機構である。より具体的には、流入側開閉弁33aは、流入側分岐管32aと共通管31との連通を切替える。また、流入側開閉弁33bは、流入側分岐管32bと共通管31との連通を切替える。
図4は、流入側開閉弁33a,33bのそれぞれの縦断面図である。
図4に示すように、流入側開閉弁33a,33bはそれぞれ、ケーシング331、弁体332、およびエアシリンダ333を有する。
【0056】
ケーシング331は、中空の金属製の枠体である。ケーシング331の上流側端71には、円形の上流側開口710が設けられている。上流側開口710は、ケーシング331の内部空間と外部空間とを連通する。また、上流側開口710には、円管である上流側連結管72の一方側の端部が嵌合固定される。上流側連結管72の他方側の端部には、流入側分岐管32a,32bの端部が接続される。すなわち、本実施形態では、上流側開口710に、流入側分岐管32a,32bが、上流側連結管72を介して間接的に接続される。ただし、上流側開口710に、流入側分岐管32a,32bが直接的に接続されてもよい。
【0057】
なお、
図4に示すように、上流側連結管72の一方側の端部は、ケーシング331の内部空間へ僅かに突出する。これにより、後述のとおり粉粒体が上流側連結管72内からケーシング331の内部空間へ流入する際に、上流側開口710付近に粉粒体が引っかかって滞留することを抑制できる。ただし、上流側連結管72の一方側の端部は、ケーシング331の内部空間へ突出しなくてもよい。
【0058】
ケーシング331の下流側端73には、円形の下流側開口730が設けられている。下流側開口730は、ケーシング331の内部空間と外部空間とを連通する。また、下流側開口730には、円管である下流側連結管74の一方側の端部が嵌合固定される。下流側連結管74の他方側の端部には、共通管31が接続される。すなわち、本実施形態では、下流側開口730に、共通管31が、下流側連結管74を介して間接的に接続される。ただし、下流側開口730に、共通管31が直接的に接続されてもよい。
【0059】
弁体332は、上流側開口710を開閉する金属製の部材である。弁体332は、平面状の接触面81を含む。接触面81は、上流側開口710と略平行であり、かつ、接触面81の外径は、上流側開口710の外径よりも大きい。これにより、接触面81が、上流側開口710に固定された上流側連結管72の端部に接触し、または離間することによって、上流側開口710が開閉される。また、上記のとおり、本実施形態の弁体332は金属製である。このため、弁体332が上流側連結管72や粉粒体に圧接した場合でも、弁体332の破損や摩耗が抑制される。ただし、弁体332は、樹脂製であってもよい。
【0060】
エアシリンダ333は、弁体332を、上流側開口710に直交する方向に進退させる装置である。エアシリンダ333は、弁体332を、上流側開口710の中心を通り、かつ、上流側開口710に直交する弁体軸810の方向に、往復移動させる。エアシリンダ333は、エアシリンダ本体82、変位ロッド83、および支持機構84を有する。エアシリンダ333は、エアシリンダ本体82の内部空間のうち、変位ロッド83の押し側に位置する押し側内部空間821への空気の供給および押し側内部空間821からの空気の排出と、エアシリンダ本体82の内部空間のうち、変位ロッド83の引き側に位置する引き側内部空間822からの空気の排出および引き側内部空間822への空気の供給とを行うことによって、変位ロッド83を弁体軸810の方向に沿って変位させる動力を生成する。
【0061】
エアシリンダ本体82は、ボルト・ナット構造を含む支持機構84によって、ケーシング331に固定される。また、変位ロッド83の先端には、弁体332が取り付けられている。エアシリンダ333は、制御部60からの指令に応じて、上記の押し側内部空間821への空気の供給および押し側内部空間821からの空気の排出と、引き側内部空間822からの空気の排出および引き側内部空間822への空気の供給とを行うことによって、変位ロッド83を変位させつつ、弁体332を弁体軸810の方向に沿って往復移動させる。
【0062】
図4に示すように、弁体332は、上流側開口710に対して、弁体軸810の方向に対向する。また、上記のとおり、接触面81は、上流側開口710と略平行であり、かつ、接触面81の外径は、上流側開口710の外径よりも大きい。これにより、弁体332が、エアシリンダ333の駆動によって上流側開口710に向かって前進し、接触面81が上流側連結管72の端部に接触すると、上流側開口710が閉塞される。この結果、後述するブロワ50a,50bの駆動によって、輸送配管30内に、輸送元である第1ホッパ10a,10bのうちの選択された1つから、輸送先である第2ホッパ20a,20bのうちの選択された1つへ向かう気流が発生した場合でも、上流側開口710を介したケーシング331内への粉粒体の流入が停止される。
【0063】
一方、弁体332が、エアシリンダ333の駆動によって上流側開口710から後退し、接触面81が上流側連結管72の端部から離間すると、上流側開口710が開放される。この結果、後述するブロワ50a,50bの駆動によって、輸送配管30内に、輸送元である第1ホッパ10a,10bのうちの選択された1つから、輸送先である第2ホッパ20a,20bのうちの選択された1つへ向かう気流が発生した場合に、上流側開口710を介してケーシング331内に粉粒体が流入して下流側開口730から流出する。本実施形態では、このような簡易な構造によって、低コストで流入側開閉弁33a,33bを構成することができる。
【0064】
ただし、流入側開閉弁33a,33bの構造は、これに限定されない。
図5は、第2変形例に係る流入側開閉弁33dの縦断面図である。
図5に示すように、流入側開閉弁33dは、ケーシング331d、複数(本変形例では、2つ)の弁体332d、および複数(本変形例では、2つ)のエアシリンダ333dを有する。
【0065】
また、ケーシング331dの上流側端71dには、複数(本変形例では、2つ)の円形の上流側開口710dが設けられている。また、2つの上流側開口710dにはそれぞれ、上流側連結管72dの一方側の端部が嵌合固定される。2つの上流側連結管72dの他方側の端部には、流入側分岐管32a,32bの端部が接続される。また、ケーシング331dの下流側端73dには、円形の下流側開口730dが設けられている。下流側開口730dには、円管である下流側連結管74dの一方側の端部が嵌合固定される。下流側連結管74dの他方側の端部には、共通管31が接続される。
【0066】
2つの弁体332dはそれぞれ、上記の実施形態の弁体332と同等の構成を有する。2つの弁体332dの、それぞれの接触面81dが、上流側開口710dに固定された上流側連結管72dの端部に接触し、または離間することによって、上流側開口710dが開閉される。2つのエアシリンダ333dはそれぞれ、上記の実施形態のエアシリンダ333と同等の構成を有する。2つのエアシリンダ333dはそれぞれ、1つの弁体332dを、上流側開口710dに直交する方向に進退させる装置である。また、2つのエアシリンダ333dはそれぞれ、制御部60によって個々に制御される。このように、1つの流入側開閉弁33dにおいて複数の流入側分岐管32a,32bが接続される構造とすることにより、より小さなスペースで、多くの流入側分岐管を設けることができるため、コスト削減に繋がる。
【0067】
すなわち、1または複数の流入側開閉弁はそれぞれ、1または複数の流入側分岐管が接続される1または複数の上流側開口が設けられた上流側端と、共通管が接続される下流側開口が設けられた下流側端とを有する、ケーシングと、1または複数の上流側開口を開閉する1または複数の弁体と、1または複数の弁体を、1または複数の上流側開口に直交する方向に進退させる1または複数のエアシリンダと、を有していればよい。また、弁体が、エアシリンダの駆動によって上流側開口を開放すると、粉粒体がケーシング内に流入して下流側開口から流出し、弁体が、エアシリンダの駆動によって上流側開口を閉塞すると、粉粒体のケーシング内への流入が停止されるように、構成されていればよい。
【0068】
図1に示すように、2つの流出側分岐管34a,34bは、共通管31における互いに離間した複数(本実施形態では、2箇所)の位置P3,P4から、それぞれ分岐する配管である。本実施形態では、2つの流出側分岐管34a,34bはそれぞれ、共通管31のうちの下流側延伸部513から分岐して、上方へ鉛直方向に延伸する(
図2参照)。ただし、
図1では、流出側分岐管34a,34bおよび流出側開閉弁35a,35bが共通管31と重ならないように表示するため、流出側分岐管34a,34bおよび流出側開閉弁35a,35bを、
図1の紙面の上下方向および左右方向に対して傾斜させて図示している。なお、位置P3,P4は、共通管31における粉粒体の輸送方向tdにおいて、上記のP1,P2よりも下流側に位置する。流出側分岐管34aは、一方の端部において、複数の輸送先のうちの1つである第2ホッパ20aの搬入口24に接続される。流出側分岐管34bは、一方の端部において、複数の輸送先のうちの1つである第2ホッパ20bの搬入口24に接続される。
【0069】
複数(本実施形態では、2つ)の流出側開閉弁35a,35bは、複数(本実施形態では、2つ)の流出側分岐管34a,34bのそれぞれと共通管31との連通を切替える機構である。より具体的には、流出側開閉弁35aは、流出側分岐管34aと共通管31との連通を切替える。また、流出側開閉弁35bは、流出側分岐管34bと共通管31との連通を切替える。
図6は、流出側開閉弁35a,35bのそれぞれの縦断面図である。
図6に示すように、流出側開閉弁35a,35bはそれぞれ、ケーシング351、弁体352、およびエアシリンダ353を有する。流出側開閉弁35a,35bは、流入側開閉弁33a,33bと同等の構成を有する。
【0070】
ケーシング351は、中空の金属製の枠体である。ケーシング351の上流側端71には、円形の上流側開口710が設けられている。上流側開口710は、ケーシング351の内部空間と外部空間とを連通する。また、上流側開口710には、円管である上流側連結管72の一方側の端部が嵌合固定される。上流側連結管72の他方側の端部は、共通管31に接続される。すなわち、本実施形態では、上流側開口710は、共通管31に、上流側連結管72を介して間接的に接続される。ただし、上流側開口710は、共通管31に、直接的に接続されてもよい。
【0071】
なお、
図6に示すように、上流側連結管72の一方側の端部は、ケーシング351の内部空間へ僅かに突出する。これにより、後述のとおり粉粒体が上流側連結管72内からケーシング351の内部空間へ流入する際に、上流側開口710付近に粉粒体が引っかかって滞留することを抑制できる。ただし、上流側連結管72の一方側の端部は、ケーシング351の内部空間へ突出しなくてもよい。
【0072】
ケーシング351の下流側端73には、円形の下流側開口730が設けられている。下流側開口730は、ケーシング351の内部空間と外部空間とを連通する。また、下流側開口730には、円管である下流側連結管74の一方側の端部が嵌合固定される。下流側連結管74の他方側の端部には、流出側分岐管34a,34bの端部が接続される。すなわち、本実施形態では、下流側開口730に、流出側分岐管34a,34bが、下流側連結管74を介して間接的に接続される。ただし、下流側開口730に、流出側分岐管34a,34bが直接的に接続されてもよい。
【0073】
弁体352は、上流側開口710を開閉する金属製の部材である。弁体352は、平面状の接触面81を含む。接触面81は、上流側開口710と略平行であり、かつ、接触面81の外径は、上流側開口710の外径よりも大きい。これにより、接触面81が、上流側開口710に固定された上流側連結管72の端部に接触し、または離間することによって、上流側開口710が開閉される。また、上記のとおり、本実施形態の弁体352は金属製である。このため、弁体352が上流側連結管72や粉粒体に圧接した場合でも、弁体352の破損や摩耗が抑制される。ただし、弁体352は、樹脂製であってもよい。
【0074】
エアシリンダ353は、弁体352を、上流側開口710に直交する方向に進退させる装置である。エアシリンダ353は、弁体352を、上流側開口710の中心を通り、かつ、上流側開口710に直交する弁体軸810の方向に、往復移動させる。エアシリンダ353は、エアシリンダ本体82、変位ロッド83、および支持機構84を有する。エアシリンダ353は、エアシリンダ本体82の内部空間のうち、変位ロッド83の押し側に位置する押し側内部空間821への空気の供給および押し側内部空間821からの空気の排出と、エアシリンダ本体82の内部空間のうち、変位ロッド83の引き側に位置する引き側内部空間822からの空気の排出および引き側内部空間822への空気の供給とを行うことによって、変位ロッド83を弁体軸810の方向に沿って変位させる動力を生成する。
【0075】
エアシリンダ本体82は、ボルト・ナット構造を含む支持機構84によって、ケーシング351に固定される。また、変位ロッド83の先端には、弁体352が取り付けられている。エアシリンダ353は、制御部60からの指令に応じて、上記の押し側内部空間821への空気の供給および押し側内部空間821からの空気の排出と、引き側内部空間822からの空気の排出および引き側内部空間822への空気の供給とを行うことによって、変位ロッド83を変位させつつ、弁体352を弁体軸810の方向に沿って往復移動させる。
【0076】
図6に示すように、弁体352は、上流側開口710に対して、弁体軸810の方向に対向する。また、上記のとおり、接触面81は、上流側開口710と略平行であり、かつ、接触面81の外径は、上流側開口710の外径よりも大きい。これにより、弁体352が、エアシリンダ353の駆動によって上流側開口710に向かって前進し、接触面81が上流側連結管72の端部に接触すると、上流側開口710が閉塞される。この結果、後述するブロワ50a,50bの駆動によって、輸送配管30内に、輸送元である第1ホッパ10a,10bのうちの選択された1つから、輸送先である第2ホッパ20a,20bのうちの選択された1つへ向かう気流が発生した場合でも、上流側開口710を介したケーシング351内への粉粒体の流入が停止される。
【0077】
一方、弁体352が、エアシリンダ353の駆動によって上流側開口710から後退し、接触面81が上流側連結管72の端部から離間すると、上流側開口710が開放される。この結果、後述するブロワ50a,50bの駆動によって、輸送配管30内に、輸送元である第1ホッパ10a,10bのうちの選択された1つから、輸送先である第2ホッパ20a,20bのうちの選択された1つへ向かう気流が発生した場合に、上流側開口710を介してケーシング351内に粉粒体が流入して下流側開口730から流出する。本実施形態では、このような簡易な構造によって、低コストで流出側開閉弁35a,35bを構成することができる。
【0078】
排気管40a,40bは、第2ホッパ20a,20bから空気を吸い出すための配管である。排気管40aの上流側の端部は、第2ホッパ20aの排気口26に接続されている。排気管40aの下流側の端部は、ブロワ50aに接続されている。また、排気管40bの上流側の端部は、第2ホッパ20bの排気口26に接続されている。排気管40bの下流側の端部は、ブロワ50bに接続されている。
【0079】
ブロワ50a,50bは、粉粒体を吸引輸送するための気流を発生させる機構である。ブロワ50a,50bは、本発明における気流発生手段の一例となる。ブロワ50a,50bは、制御部60から入力される駆動信号に応じてインペラを回転させることによって、排気管40a,40b内に気流を発生させる。なお、本実施形態のように、各第2ホッパ20a,20bについて個別にブロワ50a,50bが接続される形態のほか、1つのブロワを各第2ホッパ20a,20bに繋ぎ、適宜切り替えながら用いてもよい。
【0080】
第2ホッパ20a,20bのうち、粉粒体の輸送先として第2ホッパ20aが選択された場合、第2ホッパ20aに排気管40aを介して接続されたブロワ50aが駆動される。そうすると、第2ホッパ20a内の空気が吸引され、排気管40aへ吸い出され、ブロワ50aを通って外部へ排出される。これにより、第2ホッパ20a内の気圧が、外気圧よりも低い負圧となる。これにより、第1ホッパ10a,10bのうちの粉粒体の輸送元として選択された1つにおける第1排出口14に接続された流入側分岐管(流入側分岐管32aおよび流入側分岐管32bの一方)の開口320から、輸送配管30内に外気が取り込まれる。この結果、輸送配管30内に、第1ホッパ10a,10bのうちの粉粒体の輸送元として選択された1つから、輸送先である第2ホッパ20aへ向かう気流が発生する。
【0081】
また、第2ホッパ20a,20bのうち、粉粒体の輸送先として第2ホッパ20bが選択された場合、第2ホッパ20bに排気管40bを介して接続されたブロワ50bが駆動される。そうすると、第2ホッパ20b内の空気が吸引され、排気管40bへ吸い出され、ブロワ50bを通って外部へ排出される。これにより、第2ホッパ20b内の気圧が、外気圧よりも低い負圧となる。これにより、第1ホッパ10a,10bのうちの粉粒体の輸送元として選択された1つにおける第1排出口14に接続された流入側分岐管(流入側分岐管32aおよび流入側分岐管32bの一方)の開口320から、輸送配管30内に外気が取り込まれる。この結果、輸送配管30内に、第1ホッパ10a,10bのうちの粉粒体の輸送元として選択された1つから、輸送先である第2ホッパ20bへ向かう気流が発生する。本実施形態では、このような簡易な構造によって、輸送元である第1ホッパ10a,10bから、輸送先である第2ホッパ20a,20bへ向かう気流を、低コストで発生させることができる。
【0082】
なお、第2ホッパ20a,20bのそれぞれの排気口26には、フィルタ28が設けられている。フィルタ28は、空気の通過を許容しつつ、粉粒体が排気管40a,40bへ流れ込むことを防止する。フィルタ28には、例えば、粉粒体よりも小さい複数の貫通孔を有するパンチングメタルプレートが用いられる。
【0083】
本実施形態では、まず、第1ホッパ10a,10bのうちの1つを粉粒体の輸送元として選択し、第2ホッパ20a,20bのうちの1つを粉粒体の輸送先として選択する。さらに、選択された輸送元から選択された輸送先までの経路上に位置する流入側開閉弁(流入側開閉弁33aおよび流入側開閉弁33bの一方)を開放し、経路に含まれない流入側開閉弁(流入側開閉弁33aおよび流入側開閉弁33bの他方)を閉塞する。また、選択された輸送元から選択された輸送先までの経路上に位置する流出側開閉弁(流出側開閉弁35aおよび流出側開閉弁35bの一方)を開放し、経路に含まれない流出側開閉弁(流出側開閉弁35aおよび流出側開閉弁35bの他方)を閉塞する。これにより、選択された輸送元から選択された輸送先までの粉粒体の輸送経路を形成することができる。すなわち、本実施形態では、上記の構造によって、複数の輸送元である第1ホッパ10a,10bと複数の輸送先である第2ホッパ20a,20bとの間を繋ぐ輸送経路を切替える輸送切替装置および輸送切替方法が構成される。また、本実施形態では、上記の簡易な構造によって、複数の輸送元である第1ホッパ10a,10bから複数の輸送先である第2ホッパ20a,20bへの輸送経路の切替を、低コストで実現できる。
【0084】
制御部60は、輸送システム1の各部を動作制御する制御手段である。
図7は、制御部60と、輸送システム1内の各部との接続を示したブロック図である。
図7中に示すように、制御部60は、第1ホッパ10a,10bの各第1排出口14に取り付けられている開閉弁16に接続された開閉機構17、流入側分岐管32a,32bの開口320に取り付けられている輸送元弁321に接続された開閉機構322、共通管31の上流側の端部の外気導入口310aに取り付けられている外気導入弁311aに接続された開閉機構312a、共通管31の下流側の端部の外気導入口310bに取り付けられている外気導入弁311bに接続された開閉機構312b、流入側開閉弁33a,33bがそれぞれ有するエアシリンダ333、流出側開閉弁35a,35bがそれぞれ有するエアシリンダ353、第2ホッパ20a,20bの各第2排出口25に取り付けられている排出弁27、およびブロワ50a,50bと、それぞれ電気的に接続されている。制御部60は、CPU等の演算処理部601、メモリ602、および記憶装置603を有するコンピュータにより構成されている。
【0085】
制御部60は、記憶装置603に記憶された、予め設定された動作シーケンスSおよびパラメータPや、外部からの入力信号に基づき、上記の各部を動作制御する。これにより、輸送システム1における粉粒体の輸送が進行する。ただし、開閉弁16、輸送元弁321、外気導入弁311a,311b、流入側開閉弁33a,33b、流出側開閉弁35a,35b、排出弁27、およびブロワ50a,50bは、制御部60から切り離して、作業者が手動で操作するようにしてもよい。
【0086】
<1-2.輸送システムの動作>
続いて、上述した輸送システム1において、粉粒体を輸送するときの動作について説明する。
図8は、粉粒体の輸送工程の流れを示したフローチャートである。
図9は、粉粒体の輸送工程を例示的に説明するための概要図である。
図10は、粉粒体の輸送工程の流れを示したタイムチャートである。
【0087】
上記のとおり、本実施形態の輸送システム1を用いた輸送工程においては、複数の輸送元のうちの選択された1つの輸送元から、複数の輸送先のうちの選択された1つの輸送先へ、粉粒体を輸送する。具体的には、まず、第1ホッパ10a,10bのうちの1つを粉粒体の輸送元として選択し、第2ホッパ20a,20bのうちの1つを粉粒体の輸送先として選択する。以下では、一例として、第1ホッパ10a,10bのうち、第1ホッパ10bを輸送元として選択し、第2ホッパ20a,20bのうち、第2ホッパ20bを輸送先として選択する場合について、説明する。
【0088】
粉粒体の輸送を開始するときには、まず、制御部60から駆動信号を供給して、選択された輸送元である第1ホッパ10bから選択された輸送先である第2ホッパ20bまでの経路上に位置する流入側開閉弁33bを開放することによって、第1ホッパ10bに接続される流入側分岐管32bと共通管31とを連通させる。一方、経路に含まれない流入側開閉弁33aを閉塞する。また、制御部60から駆動信号を供給して、選択された輸送元である第1ホッパ10bから選択された輸送先である第2ホッパ20bまでの経路上に位置する流出側開閉弁35bを開放することによって、第2ホッパ20bに接続される流出側分岐管34bと共通管31とを連通させる。一方、経路に含まれない流出側開閉弁35aを閉塞する。
【0089】
次に、制御部60から、選択された輸送元である第1ホッパ10bの第1排出口14に取り付けられている開閉機構17へ駆動信号を供給して、開閉弁16を開放する。また、制御部60から、選択された輸送元である第1ホッパ10bに接続されている流入側分岐管32bの開口320に取り付けられている開閉機構322へ駆動信号を供給して、輸送元弁321を開放する。これにより、粉粒体を、第1ホッパ10bから、流入側分岐管32b、流入側開閉弁33b、共通管31、流出側開閉弁35b、および流出側分岐管34bから構成される輸送配管30を通って、第2ホッパ20bまで輸送する輸送経路を形成することができる。また、制御部60から駆動信号を供給して、第2ホッパ20a,20bの各第2排出口25に取り付けられている排出弁27を閉塞する。
【0090】
また、共通管31における粉粒体の輸送方向tdに見た上流側の端部の外気導入口310aに取り付けられている外気導入弁311aと、共通管31における粉粒体の輸送方向tdに見た下流側の端部の外気導入口310bに取り付けられている外気導入弁311bとを、閉塞した状態とする。そして、時刻t0にて、制御部60から駆動信号を供給して、選択された輸送先である第2ホッパ20bに排気管40bを介して接続されたブロワ50bを駆動させる(ステップS1)。そうすると、第2ホッパ20b内から空気が吸引されて、第2ホッパ20b内の気圧が低下する。これにより、流入側分岐管32bの開口320から輸送配管30内に外気が取り込まれ、第1ホッパ10bの第1排出口14から第2ホッパ20bの搬入口24へ向かう気流が発生する。この結果、第1ホッパ10b内の粉粒体が、輸送配管30を通って、第2ホッパ20bへ輸送される。以下では、このような輸送元内の粉粒体を輸送先へ輸送する工程を「本輸送」と称する。
【0091】
なお、第1ホッパ10b内の粉粒体が、輸送配管30を通って、第2ホッパ20bへ輸送される際、共通管31内に存在する粉粒体が、位置P2付近で滞留したり、本来は位置P4から流出側開閉弁35bを通って流出側分岐管34bへ進むべきところ、位置P4をそのまま通過してオーバーランしたりしてしまうことがある。しかしながら、本実施形態では、共通管31は、底部511において、下向きに凸状に湾曲した形状を有する。このため、共通管31内において滞留し、またはオーバーランした粉粒体の大半は、重力により、底部511の下向きに凸状に湾曲した形状の箇所まで落下し、堆積する。そして、堆積した粉粒体は、再度気流によって輸送され、流出側開閉弁35bおよび流出側分岐管34bを介して第2ホッパ20bへ輸送される。これにより、共通管31において残留する粉粒体の量を低減できる。すなわち、本実施形態では、共通管31から粉粒体を排出する際に、上方へ排出することで、共通管31内においてオーバーランした粉粒体を、重力により戻し、第2ホッパ20bへ搬送することができるため、共通管31において残留する粉粒体の量を低減できる。また、共通管31が下向きに凸状に湾曲した形状を有することにより、共通管31から粉粒体を排出する際に、流れ方向に沿った方向(上向き)へと粉粒体を排出できるため、粉粒体の共通管内での滞留がより少なくなる。
【0092】
上記のとおり、制御部60には、輸送工程において各部を動作させるための動作シーケンスSが、予め設定されている。ブロワ50bの駆動を開始させた後、制御部60は、駆動開始(時刻t0)から第1動作時間t1が経過したかどうかを監視する。そして、第1動作時間t1が経過すると、制御部60は、共通管31の外気導入口310aに取り付けられている開閉機構312aに駆動信号を供給して、外気導入弁311aを開放する。
【0093】
制御部60は、その後、動作開始(時刻t0)から第2動作時間t2が経過したかどうかを監視する。そして、第2動作時間t2が経過すると、制御部60は、開閉機構312aに駆動信号を供給して、外気導入弁311aを閉塞する。一方、共通管31の外気導入口310bに取り付けられている開閉機構312bに駆動信号を供給して、外気導入弁311bを開放する。同様に、制御部60は、動作開始(時刻t0)から第3動作時間t3が経過すると、外気導入弁311aを開放して、外気導入弁311bを閉塞する。また、制御部60は、動作開始(時刻t0)から第4動作時間t4が経過すると、外気導入弁311aを閉塞して、外気導入弁311bを開放する。また、制御部60は、動作開始(時刻t0)から第5動作時間t5が経過すると、外気導入弁311aを開放して、外気導入弁311bを閉塞する。また、制御部60は、動作開始(時刻t0)から第6動作時間t6が経過すると、外気導入弁311aを閉塞して、外気導入弁311bを開放する。
【0094】
すなわち、本実施形態において、本輸送は、最初に2つの外気導入弁311a,311bをそれぞれ閉塞した後、共通管31の両端部のうちの、共通管31における粉粒体の輸送方向tdに見た上流側の端部に設けられた外気導入弁311aを開放する一方、下流側の端部に設けられた外気導入弁311bを閉塞した状態と、外気導入弁311aを閉塞する一方、外気導入弁311bを開放した状態とを、複数回切り替えつつ、実行する(ステップS2)。ただし、上記のとおり、外気導入弁は、共通管31の両端部の少なくとも一方に設けられればよい。すなわち、本輸送は、共通管31の両端部の少なくとも一方に設けられた外気導入弁を閉塞した状態と開放した状態とに切り替えつつ、実行すればよい。
【0095】
ここで、上記のとおり、第1ホッパ10b内の粉粒体が、輸送配管30を通って、第2ホッパ20bへ輸送される際、共通管31内において滞留し、またはオーバーランした粉粒体の大半は、共通管31の底部511の下向きに凸状に湾曲した形状の箇所まで落下する。しかしながら、一部の粉粒体は、底部511まで落下せず、共通管31内の様々な箇所の内壁に付着し、または引っかかったままとなる場合がある。そこで、本実施形態では、外気導入弁311a,311bを交互に開放することによって、外気導入口310a,310bからフィルタ313a,313bを介して共通管31の内部へ外気を取り込むことができる。これにより、共通管31内において、外気導入口310a,310bから位置P4へ向かう気流が発生する。この結果、共通管31内において粉粒体が付着し、または引っかかったままとなっていた場合でも、粉粒体を、位置P4から流出側開閉弁35bおよび流出側分岐管34bを介して第2ホッパ20bへ輸送することができる。
【0096】
このように、本輸送では、2つの外気導入弁311a,311bをそれぞれ閉塞しつつ主として第1ホッパ10bから第2ホッパ20bへ粉粒体を輸送する工程と、外気導入弁311a,311bを交互に開放することによって、共通管31内の様々な箇所の内壁に付着し、または引っかかったままとなっていた粉粒体を、底部511に戻して再び輸送する工程とを、実行することによって、輸送配管30内に残る粉粒体の量を抑制しつつ輸送することができる。ただし、本輸送において、外気導入弁311a,311bを開放し、および再び閉塞するタイミングや時間は、これに限定されない。また、本輸送では、2つの外気導入弁311a,311bをそれぞれずっと閉塞した状態に維持してもよい。
【0097】
制御部60は、その後、動作開始(時刻t0)から第7動作時間t7が経過したかどうかを監視する(ステップS3)。そして、第7動作時間t7が経過していない場合(ステップS3=no)、引き続き本輸送を行い、外気導入弁311a,311bの開放と閉塞とを交互に繰り返す。一方、第7動作時間t7が経過すると(ステップS3=yes)、本輸送が完了し、第1ホッパ10bから所定量の粉粒体が排出されたと判断する。このとき、制御部60から、第1ホッパ10bの第1排出口14に取り付けられている開閉機構17へ駆動信号を供給して、開閉弁16を閉塞する。また、開閉弁16を閉塞してから所定時間経過後に、制御部60から、第1ホッパ10bに接続されている流入側分岐管32bの開口320に取り付けられている開閉機構322へ駆動信号を供給して、輸送元弁321を閉塞する。ただし、制御部60は、第1ホッパ10bに別途設けるレベルセンサ(図示省略)の検出信号に基づいて、本輸送が完了し、第1ホッパ10bから所定量の粉粒体が排出されたと判断してもよい。
【0098】
また、制御部60は、動作開始(時刻t0)から第7動作時間t7が経過すると、第1ホッパ10bから第2ホッパ20bまでの経路上に位置する流入側開閉弁33bを閉塞することによって、第1ホッパ10bに接続される流入側分岐管32bと共通管31との連通を遮断する。なお、流入側開閉弁33bの閉塞は、上記の開閉弁16および輸送元弁321を閉塞した後に実行される。そして、引き続きブロワ50bを駆動させ、第2ホッパ20b内から空気を吸引する(ステップS4)。また、ステップS4は、共通管31の両端部の2つの外気導入弁311a,311bをそれぞれ開放した状態で、実行する。これにより、フィルタ313a,313bを介して共通管31の内部へ外気が取り込まれ、共通管31内において、外気導入口310a,310bのそれぞれから位置P4へ向かう気流が発生する。この結果、共通管31、流出側開閉弁35b、および流出側分岐管34bを含む輸送配管30内に残る粉粒体を、第2ホッパ20bへ輸送することができる。以下では、このような輸送配管30内に残る粉粒体を輸送先へ輸送する工程を「残輸送」と称する。
【0099】
続いて、制御部60は、動作開始(時刻t0)から第8動作時間t8が経過したかどうかを監視する。そして、第8動作時間t8が経過すると、制御部60は、2つの外気導入弁311a,311bのうち、外気導入弁311bのみを閉塞する。同様に、制御部60は、動作開始から第9動作時間t9が経過すると、外気導入弁311aを閉塞して、外気導入弁311bを開放する。また、制御部60は、動作開始から第10動作時間t10が経過すると、外気導入弁311aを開放して、外気導入弁311bを閉塞する。また、制御部60は、動作開始から第11動作時間t11が経過すると、外気導入弁311aを閉塞して、外気導入弁311bを開放する。
【0100】
すなわち、本実施形態において、残輸送は、最初に2つの外気導入弁311a,311bをそれぞれ開放した後、共通管31の両端部のうちの、共通管31における粉粒体の輸送方向tdに見た上流側の端部に設けられた外気導入弁311aを開放する一方、下流側の端部に設けられた外気導入弁311bを閉塞した状態と、外気導入弁311aを閉塞する一方、外気導入弁311bを開放した状態とを、複数回切り替えつつ、実行する(ステップS5)。ただし、上記のとおり、外気導入弁は、共通管31の両端部の少なくとも一方に設けられればよい。すなわち、残輸送は、2つの外気導入弁311a,311bのうちの少なくとも一方を閉塞した状態と開放した状態とに切り替えつつ、実行すればよい。
【0101】
なお、上記の本輸送が終了した時点においても、共通管31内において依然として粉粒体が残留したままとなる場合がある。例えば、外気導入弁311bを開放することによって、共通管31内においてオーバーランした粉粒体を戻す際に、戻り過ぎて、共通管31における粉粒体の輸送方向tdに見た上流側の位置P1付近にまで到達して残留することがある。しかしながら、本実施形態では、残輸送として、第1ホッパ10bに接続される流入側分岐管32bと共通管31との連通を遮断した状態で、最初に、2つの外気導入弁311a,311bをそれぞれ開放した後、外気導入弁311aと外気導入弁311bとを交互に開放することによって、共通管31の外気導入口310a,310bから内部へ外気を取り込むことができる。これにより、共通管31内において、外気導入口310a,310bから位置P4へ向かう気流が繰り返し発生する。この結果、共通管31内に依然として残留する粉粒体を、位置P4を経由して、第2ホッパ20bへ輸送することができる。
【0102】
ただし、残輸送において、2つの外気導入弁311a,311bを開放し、および再び閉塞するタイミングや時間は、これに限定されない。また、残輸送では、2つの外気導入弁311a,311bをそれぞれずっと閉塞した状態に維持してもよく、ずっと開放した状態に維持してもよい。また、残輸送の工程は、必ずしも設けられなくてもよい。
【0103】
制御部60は、その後、動作開始(時刻t0)から第12動作時間t12が経過したかどうかを監視する(ステップS6)。そして、第12動作時間t12が経過していない場合(ステップS6=no)、引き続き残輸送を行い、2つの外気導入弁311a,311bの開放と閉塞とを繰り返す。一方、第12動作時間t12が経過すると(ステップS6=yes)、最後に、2つの外気導入弁311a,311bをそれぞれ再び開放する(ステップS7)。その後、所定時間が経過する(動作開始から第13動作時間t13が経過する)と、残輸送が完了し、共通管31、流出側開閉弁35b、および流出側分岐管34bを含む輸送配管30内に残る粉粒体を、第2ホッパ20bへ輸送することができたと判断する。
【0104】
また、制御部60から駆動信号を供給して、輸送システム1におけるブロワ50a,50bの駆動を停止するとともに、各弁を閉塞する。本実施形態では、制御部60から駆動信号を供給して、ブロワ50bの駆動を停止するとともに、外気導入弁311a,311b、および流出側開閉弁35bを、それぞれ開放状態から閉塞状態に切替える。これにより、輸送システム1における、選択された輸送元である第1ホッパ10bから選択された輸送先である第2ホッパ20bへの粉粒体の輸送工程を終了する。さらにその後、再び、複数の第1ホッパのうちの1つを粉粒体の輸送元として選択し、複数の第2ホッパのうちの1つを粉粒体の輸送先として選択して、同様にステップS1~ステップS7を実行することによって、輸送システム1における粉粒体の多方向の輸送を実現できる。
【0105】
<2.第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下では、第1実施形態と異なる構成を有する、輸送配管30eのみについて説明する。
【0106】
図11は、第2実施形態に係る共通管31eを含む輸送配管30eの一部の構造を概念的に示した図である。
図11に示すように、輸送配管30eは、1つの共通管31e、複数(本実施形態では、4つ)の流入側分岐管32a,32b,32c,32d、1または複数(本実施形態では、4つ)の流入側開閉弁33a,33b,33c,33d、複数(本実施形態では、4つ)の流出側分岐管34a,34b,34c,34d、および複数(本実施形態では、4つ)の流出側開閉弁35a,35b,35c,35dを有する。本実施形態に係る流入側分岐管32a~32d、流入側開閉弁33a~33d、流出側分岐管34a~34d、および流出側開閉弁35a~35dはそれぞれ、上記の第1実施形態の各部と同等の構成を有する。
【0107】
共通管31eは、正面視において(
図11の紙面に直交する方向から見て)、鉛直方向の下向きに凸となるU字形状を有する配管である。また、共通管31eは、その両端部よりも中央側の部位が下方に位置するように、配置される。これにより、本実施形態では、共通管31eを含む輸送配管30eの配置に必要なスペースを抑制できる。本実施形態では、共通管31eは、底部511e、上流側主延伸部912e、複数(本実施形態では、2つ)の上流側副延伸部951e、下流側主延伸部913e、および複数(本実施形態では、2つ)の下流側副延伸部952eを有する。
【0108】
底部511eは、共通管31eにおける、中央側の部位において鉛直方向の下向きに凸状に湾曲しつつ延伸する部位である。上流側主延伸部912eは、底部511eにおける粉粒体の輸送方向tdに見た上流側の端部Euから、上方へ延伸する部位である。また、2つの上流側副延伸部951eは、上流側主延伸部912eにおける互いに離間した複数(本実施形態では、2箇所)の位置P1,P2から、それぞれ分岐して、上方へ延伸する。また、4つの流入側分岐管32a~32dは、それぞれ上流側副延伸部951eから分岐して、上方へ鉛直方向に延伸する。
【0109】
下流側主延伸部913eは、底部511eにおける粉粒体の輸送方向tdに見た下流側の端部Edから、上方へ延伸する部位である。また、2つの下流側副延伸部952eは、下流側主延伸部913eにおける互いに離間した複数(本実施形態では、2箇所)の位置P3,P4から、それぞれ分岐して、上方へ延伸する。また、4つの流出側分岐管34a~34dは、それぞれ下流側副延伸部952eから分岐して、上方へ鉛直方向に延伸する。
【0110】
このように、本実施形態では、4つの流入側分岐管32a~32dはそれぞれ、上流側主延伸部912eから直接分岐するのではなく、上流側主延伸部912eから分岐した上流側副延伸部951eから分岐する。また、4つの流出側分岐管34a~34dはそれぞれ、下流側主延伸部913eから直接分岐するのではなく、下流側主延伸部913eから分岐した下流側副延伸部952eから分岐する。本実施形態では、輸送配管30eがこのような構造を有することにより、輸送配管30eの高さ寸法を抑えることができる。
【0111】
<3.第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。なお、以下では、第1実施形態および第2実施形態と異なる構成を有する、輸送配管30fのみについて説明する。
【0112】
図12は、第3実施形態に係る共通管31fを含む輸送配管30fの一部の構造を概念的に示した図である。
図12に示すように、輸送配管30fは、1つの共通管31f、複数(本実施形態では、4つ)の流入側分岐管32a,32b,32c,32d、1または複数(本実施形態では、4つ)の流入側開閉弁33a,33b,33c,33d、複数(本実施形態では、4つ)の流出側分岐管34a,34b,34c,34d、および複数(本実施形態では、4つ)の流出側開閉弁35a,35b,35c,35dを有する。本実施形態に係る流入側分岐管32a~32d、流入側開閉弁33a~33d、流出側分岐管34a~34d、および流出側開閉弁35a~35dはそれぞれ、上記の第1実施形態および第2実施形態の各部と同等の構成を有する。
【0113】
共通管31fは、正面視において(
図12の紙面に直交する方向から見て)、鉛直方向の下向きに凸となるU字形状を有する配管である。また、共通管31fは、その両端部よりも中央側の部位が下方に位置するように、配置される。これにより、本実施形態では、共通管31fを含む輸送配管30fの配置に必要なスペースを抑制できる。本実施形態では、共通管31fは、底部511f、上流側主延伸部912f、1または複数(本実施形態では、1つ)の上流側副延伸部951f、下流側主延伸部913f、および1または複数(本実施形態では、1つ)の下流側副延伸部952fを有する。
【0114】
底部511fは、共通管31fにおける、中央側の部位において鉛直方向の下向きに凸状に湾曲しつつ延伸する部位である。上流側主延伸部912fは、底部511fにおける粉粒体の輸送方向tdに見た上流側の端部Euから、上方へ延伸する部位である。また、上流側副延伸部951fは、上流側主延伸部912fにおける位置P1から分岐して、上方へ延伸する。また、本実施形態では、4つの流入側分岐管32a~32dのうち、2つの流入側分岐管32a,32bは、上流側主延伸部912fから直接分岐する一方、2つの流入側分岐管32c,32dは、上流側主延伸部912fから分岐した上流側副延伸部951fから分岐する。すなわち、本実施形態では、4つの流入側分岐管32a~32dはそれぞれ、上流側主延伸部912fまたは上流側副延伸部951fから分岐する。
【0115】
また、下流側主延伸部913fは、底部511fにおける粉粒体の輸送方向tdに見た下流側の端部Edから、上方へ延伸する部位である。また、下流側副延伸部952fは、下流側主延伸部913fにおける位置P3から分岐して、上方へ延伸する。また、本実施形態では、4つの流出側分岐管34a~34dのうち、2つの流出側分岐管34a,34bは、下流側主延伸部913fから直接分岐する一方、2つの流出側分岐管34c,34dは、下流側主延伸部913fから分岐した下流側副延伸部952fから分岐する。すなわち、本実施形態では、4つの流出側分岐管34a~34dはそれぞれ、下流側主延伸部913fまたは下流側副延伸部952fから分岐する。
【0116】
<4.変形例>
以上、本発明の第1実施形態~第3実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0117】
図13は、第3変形例に係る共通管31gを含む輸送配管30gの一部の構造を概念的に示した図である。
図13に示すように、輸送配管30gは、1つの共通管31g、複数(本実施形態では、4つ)の流入側分岐管32a,32b,32c,32d、1または複数(本実施形態では、4つ)の流入側開閉弁33a,33b,33c,33d、複数(本実施形態では、4つ)の流出側分岐管34a,34b,34c,34d、および複数(本実施形態では、4つ)の流出側開閉弁35a,35b,35c,35dを有する。本変形例に係る流入側分岐管32a~32d、流入側開閉弁33a~33d、流出側分岐管34a~34d、および流出側開閉弁35a~35dはそれぞれ、上記の第1実施形態~第3実施形態の各部と同等の構成を有する。
【0118】
共通管31gは、正面視において(
図13の紙面に直交する方向から見て)、鉛直方向の下向きに凸となるU字形状を有する配管である。また、共通管31gは、その両端部よりも中央側の部位が僅かに下方に位置するように、配置される。本変形例では、共通管31gは、第1底部921g、第2底部922g、第1上流側延伸部923g、第2上流側延伸部924g、第1下流側延伸部925g、および第2下流側延伸部926gを有する。
【0119】
第1底部921gおよび第2底部922gはそれぞれ、共通管31gにおける、僅かに中央側の部位において鉛直方向の下向きに凸状に湾曲しつつ延伸する部位である。第1底部921gと第2底部922gは、互いに連通する。第1上流側延伸部923gは、第1底部921gにおける粉粒体の輸送方向tdに見た上流側の端部Eu1から、上方へ延伸する部位である。第2上流側延伸部924gは、第2底部922gにおける粉粒体の輸送方向tdに見た上流側の端部Eu2から、上方へ延伸する部位である。第1下流側延伸部925gは、第1底部921gにおける粉粒体の輸送方向tdに見た下流側の端部Ed1から、上方へ延伸する部位である。第2下流側延伸部926gは、第2底部922gにおける粉粒体の輸送方向tdに見た下流側の端部Ed2から、上方へ延伸する部位である。
【0120】
また、本変形例では、4つの流入側分岐管32a~32dのうち、2つの流入側分岐管32a,32bは、第1上流側延伸部923gから分岐する。一方、4つの流入側分岐管32a~32dのうち、2つの流入側分岐管32c,32dは、第2上流側延伸部924gから分岐する。すなわち、4つの流入側分岐管32a~32dはそれぞれ、第1上流側延伸部923gまたは第2上流側延伸部924gから分岐する。また、本変形例では、4つの流出側分岐管34a~34dのうち、2つの流出側分岐管34a,34bは、第1下流側延伸部925gから分岐する。一方、4つの流出側分岐管34a~34dのうち、2つの流出側分岐管34c,34dは、第2下流側延伸部926gから分岐する。すなわち、4つの流出側分岐管34a~34dはそれぞれ、第1下流側延伸部925gまたは第2下流側延伸部926gから分岐する。
【0121】
図14は、第4変形例に係る共通管31hを含む輸送配管30hの一部の構造を概念的に示した図である。
図14に示すように、本変形例は、第2実施形態における粉粒体の流入側の各部と、第1実施形態における粉粒体の流出側の各部と、を組み合わせたような構造を有する。本変形例では、4つの流入側分岐管32a~32dはそれぞれ、共通管31hの底部511hにおける粉粒体の輸送方向tdに見た上流側の端部Euから上方へ延伸する上流側主延伸部912hから分岐した上流側副延伸部951hから分岐する。また、本変形例では、2つの流出側分岐管34a,34bはそれぞれ、底部511hにおける粉粒体の輸送方向tdに見た下流側の端部Edから上方へ延伸する下流側主延伸部913hから分岐する。このように、本発明では、輸送配管30hにおける粉粒体の流入側と、粉粒体の流出側とで、互いに異なる構造を有していてもよい。さらに、上流側主延伸部912hと、下流側主延伸部913hとは、互いに繋がっていてもよい。
【0122】
上記の実施形態では、輸送先を負圧にして粉粒体を吸引輸送していた。しかしながら、本発明における粉粒体の輸送方式は、輸送元の付近を陽圧にして、粉粒体を輸送先へ圧送するものであってもよい。この場合、例えば、ブロワ50a,50bを開口320付近に配置すればよい。また、気流を発生させるための手段は、必ずしもブロワでなくてもよい。
【0123】
また、本発明の輸送システムは、樹脂成形品の材料である樹脂ペレットやリサイクル材以外の粉粒体を輸送対象とするものであってもよい。例えば、医薬品、化学製品、食品、建材等の様々の分野で用いられる粉粒体を輸送対象としてもよい。
【0124】
輸送切替装置および輸送システムの細部の構成については、本願の各図に示された構成と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 輸送システム
10a,10b 第1ホッパ
20a,20b 第2ホッパ
30,30c,30e,30f,30g,30h 輸送配管
31,31c,31e,31f,31g,31h 共通管
32a,32b,32c,32d 流入側分岐管
33a,33b,33c,33d 流入側開閉弁
34a,34b,34c,34d 流出側分岐管
35a,35b,35c,35d 流出側開閉弁
36 支持部材
40a,40b 排気管
50a,50b ブロワ
71,71d (流入側開閉弁および流出側開閉弁の)上流側端
73,73d (流入側開閉弁および流出側開閉弁の)下流側端
310a,310b 外気導入口
311a,311b 外気導入弁
312a,312b 開閉機構
313a,313b フィルタ
331,331d (流入側開閉弁の)ケーシング
332,332d (流入側開閉弁の)弁体
333,333d (流入側開閉弁の)エアシリンダ
351 (流出側開閉弁の)ケーシング
352 (流出側開閉弁の)弁体
353 (流出側開閉弁の)エアシリンダ
511,511c,511e,511f,511h (共通管の)底部
512,512c (共通管の)上流側延伸部
513,513c (共通管の)下流側延伸部
710,710d (流入側開閉弁および流出側開閉弁の)上流側開口
730,730d (流入側開閉弁および流出側開閉弁の)下流側開口
912e,912f,912h (共通管の)上流側主延伸部
913e,913f,913h (共通管の)下流側主延伸部
921g (共通管の)第1底部
922g (共通管の)第2底部
923g (共通管の)第1上流側延伸部
924g (共通管の)第2上流側延伸部
925g (共通管の)第1下流側延伸部
926g (共通管の)第2下流側延伸部
951e,951f,951h (共通管の)上流側副延伸部
952e,952f (共通管の)下流側副延伸部
td (粉粒体の)輸送方向