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特開2024-43185光空間通信装置、光空間通信システム、及び、光空間通信方法
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  • 特開-光空間通信装置、光空間通信システム、及び、光空間通信方法 図1
  • 特開-光空間通信装置、光空間通信システム、及び、光空間通信方法 図2
  • 特開-光空間通信装置、光空間通信システム、及び、光空間通信方法 図3
  • 特開-光空間通信装置、光空間通信システム、及び、光空間通信方法 図4
  • 特開-光空間通信装置、光空間通信システム、及び、光空間通信方法 図5
  • 特開-光空間通信装置、光空間通信システム、及び、光空間通信方法 図6
  • 特開-光空間通信装置、光空間通信システム、及び、光空間通信方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043185
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】光空間通信装置、光空間通信システム、及び、光空間通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/11 20130101AFI20240322BHJP
   H04B 10/073 20130101ALI20240322BHJP
【FI】
H04B10/11
H04B10/073
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148226
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高田 紘也
(72)【発明者】
【氏名】鴨居 敦
(72)【発明者】
【氏名】水本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】相薗 正樹
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA19
5K102AD00
5K102AL22
5K102MA01
5K102MA02
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH22
5K102MH27
5K102MH32
5K102PB01
5K102PH01
5K102PH31
5K102RD28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】省電力化を実現する光空間通信装置、光空間通信システム及び光空間通信方法を提供する。
【解決手段】光空間通信システム400において、光空間通信装置1及び通信相手の光通信装置101は、複数の送受光部10-1~10-n、130-1~130ーnと、複数の送受光部を介した通信を制御する通信制御部20と、を備える。通信制御部20は、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する送受光部の数を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光空間通信装置であって、
複数の送受光手段と、
前記複数の送受光手段を介した通信を制御する通信制御手段と、を備え、
前記通信制御手段は、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する前記送受光手段の数を制御する、
ことを特徴とする光空間通信装置。
【請求項2】
前記通信制御手段は、過去の通信における通信容量に基づいて前記必要通信容量を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光空間通信装置。
【請求項3】
前記通信制御手段は、前記通信のために使用する前記送受光手段の数が、前記送受光手段の総数よりも少ない場合に、前記通信のために使用しない前記送受光手段を用いて、ノイズまたは通信品質を測定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光空間通信装置。
【請求項4】
複数の光空間通信装置を含み、
前記複数の光空間通信装置のうち、少なくとも何れか複数の光空間通信装置は、
複数の送受光手段と、
前記複数の送受光手段を介した通信を制御する通信制御手段と、を備え、
前記通信制御手段は、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する前記送受光手段の数を制御する、
ことを特徴とする光空間通信システム。
【請求項5】
光空間通信方法であって、
複数の送受光手段を介した通信を制御することを含み、
前記通信を制御することには、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する前記送受光手段の数を制御することが含まれる、
ことを特徴とする光空間通信方法。
【請求項6】
コンピュータを請求項1から3の何れか1項に記載の光空間通信装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを前記各手段として機能させる、ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光空間通信装置、光空間通信システム、及び、光空間通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光空間通信技術では、複数のビームを使用した空間多重伝送を実現する態様があり、複数の送受信器を搭載した通信装置を用いる例が知られている。また、空間多重伝送を実行する装置の回路規模や装置点数を削減するべく、様々な工夫がなされた通信装置、通信システムが開発されている。
【0003】
特許文献1では、光空間通信の受信装置について、デジタル信号にある歪みなどを除去するデジタル信号処理手段の数に対して入力信号の数が多い場合と少ない場合とで制御を異ならせ、デジタル信号処理手段の数を削減させている技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開番号WO2017/169927
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空間多重伝送を行うために複数の送受信部を備えた光空間通信装置においては、消費電力の増大が問題となる。
【0006】
そこで、本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、空間多重伝送を行う光空間通信装置において、省電力化を実現する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る光空間通信装置は、複数の送受光手段と、前記複数の送受光手段を介した通信を制御する通信制御手段と、を備え、前記通信制御手段は、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する前記送受光手段の数を制御する。
【0008】
本発明の一態様に係る光空間通信システムは、複数の光空間通信装置を含み、前記複数の光空間通信装置のうち、少なくとも何れか複数の光空間通信装置は、複数の送受光手段と、前記複数の送受光手段を介した通信を制御する通信制御手段と、を備え、前記通信制御手段は、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する前記送受光手段の数を制御する。
【0009】
本発明の一態様に係る光空間通信方法は、複数の送受光手段を介して通信を行うことと、前記通信を制御することと、を含み、前記通信を制御することには、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する前記送受光手段の数を制御することが含まれる。
【0010】
本発明の一態様は、コンピュータを前記光空間通信装置として動作させるためのプログラムを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、省電力化を実現する光空間通信装置、光空間通信システム、光空間通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の例示的実施形態1に係る光空間通信装置を具備する光空間通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の例示的実施形態1に係る光空間通信方法の処理フローを説明する図である。
図3】本発明の例示的実施形態2に係る光空間通信装置を具備する光空間通信システムの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の例示的実施形態2に係る光空間通信装置に具備される送受光部の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の例示的実施形態2に係る光空間通信装置に具備される通信制御部の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の例示的実施形態2に係る光空間通信方法の処理フローを説明する図である。
図7】本発明の各例示的実施形態に係る光空間通信装置の一実現例であるコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0014】
(光空間通信システムの構成)
本例示的実施形態に係る光空間通信装置を含む光空間通信システムの構成について、図1を参照して説明する。図1は、光空間通信システム400の構成を示すブロック図である。光空間通信システム400は、複数の光空間通信装置1、101を含み、複数ビームの同時接続による空間多重伝送を実現している。図1では、二つの光空間通信装置1、101を例示しているが、この数には限らない。なお、以下では、一つの光空間通信装置1を中心として説明し、もう一つの光空間通信装置101は、光空間通信装置1の通信相手となる光空間通信装置として説明するが、これら光空間通信装置1、101は同一の構成とすることができる。
【0015】
(光空間通信装置の構成)
本例示的実施形態に係る光空間通信装置1は、図1に示すように、複数の送受光部10-1~10-nと、通信制御部20とを備える。複数の送受光部10-1~10-n、通信制御部20は、特許請求の範囲における送受光手段、通信制御手段の一実現例である。
【0016】
(送受光部10-1~10-n)
複数の送受光部10-1~10-nは、それぞれ、光通信媒体の送信(送光)と、光通信媒体の受信(受光)とが可能な構成となっている。複数の送受光部10-1~10-nそれぞれから送信される光通信媒体は、通信相手の光空間通信装置101の複数の送受光部130-1~130-nそれぞれによって受光される。反対に、通信相手の光空間通信装置101の複数の送受光部130-1~130-nそれぞれから送信される光通信媒体は、光空間通信装置1の複数の送受光部10-1~10-nそれぞれによって受光される。
【0017】
送受信される光通信媒体は、有指向性の光通信媒体であり、具体例は、例示的実施形態を限定するものではないが、概ね10GHz以上の周波数を有する高周波数領域の電磁波を例に挙げることができる。当該周波数領域の電磁波には、ミリ波、サブミリ波、赤外光、可視光、紫外光等が含まれ得る。
【0018】
送受光部10-1~10-nは、一例として、上記周波数領域の電磁波を所定の角度範囲内に向き付けて送出することによって、上述した有指向性の光通信媒体として通信に用いる。ここで、送受光部10-1~10-nが上記周波数領域の電磁波を向き付けるための具体的構成は本例示的実施形態を限定するものではないが、一例として、送受光部10-1~10-nは、
・ミリ波やサブミリ波を所定の角度範囲内に向き付けて送出するビームフォーミングアンテナ
・赤外光、可視光、又は紫外光をコリメートするコリメータ
・赤外光、可視光、又は紫外光のレーザーを生成するレーザー発振器
・液晶の位相を変更することによりレーザーを変調する変調器
などを備える構成とすることができる。
【0019】
送受光部10-1~10-nが光通信媒体である上記周波数領域の電磁波を向き付けて送出することによって、当該光通信媒体のエネルギー密度が上昇するので、当該光通信媒体を用いてより遠方の通信相手と通信することができる。
【0020】
(通信制御部20)
通信制御部20は、複数の送受光部10-1~10-nを介した通信を制御する。具体的には、通信制御部20は、当該通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する送受光部10-1~10-nの数を制御する。
【0021】
必要通信容量は、一例として、過去の通信における通信容量(通信量、ノイズ量、チャネル接続数(使用した送受光部の数)等の少なくとも一つ)に基づく回帰分析により予測することができる。回帰分析は、通信制御部20が行ってもよいし、他の構成によって行った分析結果を通信制御部20が取得してもよい。過去の通信に基づくこれらのデータは、一例として、通信しようとする時間と同じ時間帯の過去のデータとする。
【0022】
通信制御部20は、必要通信容量に基づき、通信のために使用する送受光部10-1~10-nの数を制御する。通信制御部20は、必要通信容量の予想を、連続して取得してもよいし、定期的に取得してもよい。通信制御部20は、通信のために使用する送受光部10-1~10-nの数を、通信容量に対応付けられたテーブル等を使用して決定する。
【0023】
通信制御部20は、決定した送受光部10-1~10-nを使用して光通信媒体を送受信させる。
【0024】
送受光部10-1~10-nのそれぞれは、互いに異なる通信方式であってもよく、何れか複数の送受光部(例えば送受光部10-1、10-2)が同じ通信方式で、他の送受光部が送受光部10-1、10-2とは異なる通信方式であってもよい。この場合において、通信制御部20は、通信方式が同じ送受光部のなかから、必要通信容量に基づいて、通信のために使用する送受光部の数が制御されてもよい。
【0025】
代替として、送受光部10-1~10-nのそれぞれは、互いに異なる波長で通信を行う態様であってもよく、何れか複数の送受光部(例えば送受光部10-1、10-2)が同じ波長で、他の送受光部が送受光部10-1、10-2とは異なる波長で通信する態様であってもよい。この場合において、通信制御部20は、波長が同じ送受光部のなかから、必要通信容量に基づいて、通信のために使用する送受光部の数が制御されてもよい。
【0026】
以上のように、本例示的実施形態に係る光空間通信装置1、および光空間通信装置1を含む光空間通信システム400においては、複数の送受光部と、複数の送受光部を介した通信を制御する通信制御部20と、を備え、通信制御部20は、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する送受光部の数を制御する構成が採用されている。このため、本例示的実施形態によれば、通信に必要のない送受光部を使用しないことにより、省電力化を実現することができるという効果が得られる。
【0027】
(光空間通信方法の流れ)
本例示的実施形態に係る光空間通信方法S1の流れについて、図2を参照して説明する。図2は、光空間通信方法S1の流れを示すフロー図である。
【0028】
図2に示すように、光空間通信方法S1は、複数の送受光手段を介した通信を制御すること(通信制御工程、ステップS10)を含み、このステップS10は、ステップS11およびステップS12を含む。
【0029】
(ステップS11)
ステップS11では、通信制御部20が、通信のための必要通信容量を判定する。必要通信容量および判定の詳細については上述したためここでは説明を省略する。
【0030】
(ステップS12)
ステップS12では、通信制御部20が、通信のために使用する送受光部10-1~10-nの数を決定し、使用する送受光部10-1~10-nを制御して、送受光処理を実行させる。ここでの具体的な処理内容についても上述したためここでは説明を省略する。
【0031】
以上のように、本例示的実施形態に係る光空間通信方法S1においては、複数の送受光部を介した通信を制御すること(S10)を含み、該通信を制御すること(S10)には、前記通信のための必要通信容量を判定し(S11)、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する前記送受光手段の数を制御すること(S12)が含まれる。本例示的実施形態によれば、通信に必要のない送受光部を使用しないように制御するため、省電力化を実現することができるという効果が得られる。
【0032】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0033】
(光空間通信システムの構成)
本例示的実施形態に係る光空間通信装置を含む光空間通信システムの構成について、図3を参照して説明する。図3は、光空間通信システム400の構成を示すブロック図である。光空間通信システム400は、複数の送受光部10-1~10-nを含む第1の光空間通信装置1と、該複数の送受光部10-1~10-nに対応する複数の送受光部130-1~130-nを含む第2の光空間通信装置101とを含んだ、空間多重伝送を実現するシステムである。なお、図3では、第1、第2の光空間通信装置1、101を例示しているが、光空間通信装置の数にはこれに限らない。なお、第1の光空間通信装置1と第2の光空間通信装置101とは同一構成である。以下では、第1の光空間通信装置1を挙げて説明する。なお、これら光空間通信装置1、101は同一の構成とすることができる。
【0034】
(第1の光空間通信装置1)
本例示的実施形態に係る第1の光空間通信装置1は、図3に示すように、複数の送受光部10-1~10-nと、通信制御部20とを備える。複数の送受光部10-1~10-n、通信制御部20は、特許請求の範囲における送受光手段、通信制御手段の一実現例である。
【0035】
(送受光部10-1~10-n)
複数の送受光部10-1~10-nのそれぞれから送受信される光通信媒体は、上述で説明したためここでの説明は省略する。
【0036】
各送受光部10-1~10-nは、光空間通信に用いることができる周知の送受光部を採用できるが、一例では、図4に示す構成の送受光部を用いる。図4では、光通信媒体を送信する送信部10tと、光通信媒体を受信する受信部10rとが別構成である態様を示す。送信部10tは、電気-光変換部10taからの信号を受けてレーザー光源10tbから発せられたレーザー光(光通信媒体)が、コリメータレンズ10tcを介して外部に送信される構成となっている。一方の受信部10rは、外部からのレーザー光をレンズ10raによって集光した後に受光素子10rbにて受光し、電気-光変換部10rcによって電気信号に変換される構成となっている。
【0037】
(通信制御部20)
図3に示す通信制御部20については、上述の例示的実施形態1において説明した通信制御部20と同等の機能を有するものを採用できるが、以下に、図5を用いて、本例示的実施形態における光空間通信装置1に具備される通信制御部20の構成を説明する。
【0038】
図5は、通信制御部20の構成を示すブロック図である。通信制御部20は、判定部21と、数制御部22と、品質測定部23とを備える。
【0039】
判定部21は、複数の送受光部10-1~10-nを介した通信のための必要通信容量を判定する。必要通信容量および予測(判定)方法については上述の例示的実施形態1において説明したためここでの説明は省略する。
【0040】
数制御部22は、判定部21によって予測(判定)された必要通信容量に基づき、通信のために使用する送受光部10-1~10-nの数を制御する。数制御部22は、通信のために使用する送受光部10-1~10-nの数を、通信容量に対応付けられたテーブル等を使用して決定する。数制御部22は、通信のために使用する送受光部10-1~10-nの数を決定すると、決定した送受光部10-1~10-nを使用して光通信媒体を送受信させる。
【0041】
数制御部22は、一例として、予想した必要通信容量にマージン(ノイズまたは遮断等による変動分)を加えた容量が通信可能なように、使用する送受光部の数(チャネル数)を制御する。数制御部22は、必要通信容量にマージンを加えた容量に基づいて、通信のために使用する送受光部の数を制御することにより、通信可能容量を超える通信が行われることによる遅延を避けることが可能である。
【0042】
品質測定部23は、通信のために使用する送受光部の数が、送受光部の総数(10-1~10-n)よりも少ない場合に、通信のために使用しない送受光部を用いて、ノイズまたは通信品質を測定する。通信品質は、一例として、ビットエラーレート、受信強度、遅延、再送率等がある。品質測定部23によって測定されたノイズまたは通信品質の測定結果は、必要通信容量の予測に利用できる。また、品質測定部23によって測定された通信品質が悪い場合は、パケットロス・データ損失を避けるために、別の通信経路よりデータを送信するといった対処にも利用できる。
【0043】
第2の光空間通信装置101は、第1の光空間通信装置1と同一構成の装置を採用できる。すなわち、図4に示す送受光部130-1~130-nは送受光部10-1~10-nと同一構成を採用でき、通信制御部120は通信制御部20と同一構成を採用できる。したがって、これらについての詳細な説明は省略する。
【0044】
(光空間通信装置の効果)
本例示的実施形態に係る光空間通信装置(第1の光空間通信装置1および第2の光空間通信装置101)、およびこれら光空間通信装置を含む光空間通信システム400においては、複数の送受光部と、複数の送受光部を介した通信を制御する通信制御部20と、を備え、通信制御部20は、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する送受光部の数を制御する構成が採用されている。このため、本例示的実施形態によれば、通信に必要のない送受光部を使用しないことにより、省電力化を実現することができるという効果が得られる。
【0045】
また、本例示的実施形態に係る光空間通信装置(第1の光空間通信装置1および第2の光空間通信装置101)は、通信のために使用する送受光部の数が、送受光部の総数(10-1~10-n)よりも少ない場合に、通信のために使用しない送受光部を用いて、ノイズまたは通信品質を測定する構成が採用されている。このため、本例示的実施形態によれば、通信に使用しない送受光部を有効に利用することができる。また、その測定結果を、必要通信容量の予測にも利用できる。
【0046】
(光空間通信方法の流れ)
本例示的実施形態に係る光空間通信方法S1の流れについて、図6を参照して説明する。図6は、本例示的実施形態に係る光空間通信システムによる光空間通信方法S1の流れを示すフロー図である。
【0047】
図6に示すように、光空間通信方法S1は、複数の送受光手段を介した通信を制御すること(通信制御工程、ステップS10)を含み、このステップS10は、ステップS11、ステップS12、ステップS13を含む。
【0048】
(ステップS11)
ステップS11では、通信制御部20の判定部21が、通信のための必要通信容量を判定する。必要通信容量および判定の詳細については上述したためここでは説明を省略する。
【0049】
(ステップS12)
ステップS12では、通信制御部20の数制御部22が、通信のために使用する送受光部10-1~10-nの数を決定し、使用する送受光部10-1~10-nを制御して、送受光処理を実行させる。ここでの具体的な処理内容についても上述したためここでは説明を省略する。
【0050】
(ステップS13)
ステップS13では、ステップS12の制御結果に基づいて、通信制御部20の品質測定部23が、ノイズまたは通信品質を測定する。
【0051】
以上のように、本例示的実施形態に係る光空間通信方法においては、複数の送受光手段を介した通信を制御することを含み、前記通信を制御することには、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する前記送受光手段の数を制御することが含まれた方法が採用されている。本例示的実施形態によれば、通信に必要のない送受光部を使用しないように制御するため、省電力化を実現することができるという効果が得られる。
【0052】
〔ソフトウェアによる実現例〕
光空間通信装置1、101の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0053】
後者の場合、光空間通信装置1、101は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図7に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを光空間通信装置1、101として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、光空間通信装置1、101の各機能が実現される。
【0054】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0055】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0056】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0057】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0058】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0059】
(付記1)
光空間通信装置であって、
複数の送受光手段と、
前記複数の送受光手段を介した通信を制御する通信制御手段と、を備え、
前記通信制御手段は、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する前記送受光手段の数を制御する、
ことを特徴とする光空間通信装置。
【0060】
前記の構成によれば、通信に必要のない送受光部を使用しないように制御するため、省電力化を実現することができる。
【0061】
(付記2)
前記通信制御手段は、過去の通信における通信容量に基づいて前記必要通信容量を判定する、
ことを特徴とする付記1に記載の光空間通信装置。
【0062】
(付記3)
前記通信制御手段は、前記通信のために使用する前記送受光手段の数が、前記送受光手段の総数よりも少ない場合に、前記通信のために使用しない前記送受光手段を用いて、ノイズまたは通信品質を測定する、
ことを特徴とする付記1に記載の光空間通信装置。
【0063】
前記の構成によれば、通信に使用しない送受光部を有効に利用することができる。また、その測定結果を、必要通信容量の予測にも利用できる。
【0064】
(付記4)
複数の光空間通信装置を含み、
前記複数の光空間通信装置のうち、少なくとも何れか複数の光空間通信装置は、
前記複数の送受光手段と、
前記複数の送受光手段を介した通信を制御する通信制御手段と、を備え、
前記通信制御手段は、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する前記送受光手段の数を制御する、
ことを特徴とする光空間通信システム。
【0065】
前記の構成によれば、通信に必要のない送受光部を使用しないように制御するため、省電力化を実現することができる。
【0066】
(付記5)
光空間通信方法であって、
複数の送受光手段を介した通信を制御することを含み、
前記通信を制御することには、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する前記送受光手段の数を制御することが含まれる、
ことを特徴とする光空間通信方法。
【0067】
前記の構成によれば、通信に必要のない送受光部を使用しないように制御するため、省電力化を実現することができる。
【0068】
(付記6)
コンピュータを付記1から4の何れか一に記載の光空間通信装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを前記各手段として機能させる、ことを特徴とするプログラム。
【0069】
(付記7)
少なくとも1つのプロセッサを備えた光空間通信装置であって、
前記プロセッサは、
複数の送受光手段を介して通信を行う通信処理と、
前記通信を制御する通信制御処理と、を実行し、
前記通信制御処理では、前記通信のための必要通信容量を判定し、当該必要通信容量に基づいて、当該通信のために使用する前記送受光手段の数を制御する、
光空間通信装置。
【0070】
なお、この光空間通信装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記各処理を前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 第1の光空間通信装置
101 第2の光空間通信装置
10、130、10-1~10-n、130-1~130-n 送受光部(送受光手段)
20、120 通信制御部(通信制御手段)
21 判定部
22 数制御部
23 品質測定部
400 光空間通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7