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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043189
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】磁気ディスク基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/84 20060101AFI20240322BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240322BHJP
   G11B 5/73 20060101ALI20240322BHJP
   B24B 1/00 20060101ALI20240322BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240322BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20240322BHJP
【FI】
G11B5/84 A
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
G11B5/73
B24B1/00 D
B24B37/00 H
B24B37/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148230
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】戸田 勝章
【テーマコード(参考)】
3C049
3C158
5D006
5D112
【Fターム(参考)】
3C049AA07
3C049AC04
3C049CA01
3C049CB01
3C049CB03
3C158AA07
3C158CA01
3C158CA04
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB25
3C158EB26
3C158ED05
3C158ED10
3C158ED23
3C158ED26
5D006CB04
5D006CB07
5D006EA03
5D112AA02
5D112AA03
5D112AA24
5D112BA06
5D112BA09
5D112BD06
5D112GA12
5D112GA14
(57)【要約】
【課題】一態様において、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のうねりの低減とを両立でき、生産性に優れる磁気ディスク基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本開示は、一態様において、研磨液組成物及び研磨パッドを用いて被研磨基板を研磨し、研磨後の基板厚みが0.6mm以下となる研磨工程を含み、前記研磨液組成物は、シリカ粒子(成分A)と酸(成分B)と水系媒体とを含有し、成分Aの平均二次粒子径は40nm以下であり、pHが0.5以上4.0以下の研磨液組成物であり、前記研磨パッドは、前記研磨液組成物との接触角が70°以下であり、かつ、表面粗さが3μm以下のスエードタイプの研磨パッドである、磁気ディスク基板の製造方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨液組成物及び研磨パッドを用いて被研磨基板を研磨し、研磨後の基板厚みが0.6mm以下となる研磨工程を含み、
前記研磨液組成物は、シリカ粒子(成分A)と酸(成分B)と水系媒体とを含有し、成分Aの平均二次粒子径は40nm以下であり、pHが0.5以上4.0以下の研磨液組成物であり、
前記研磨パッドは、前記研磨液組成物との接触角が70°以下であり、かつ、表面粗さが3μm以下のスエードタイプの研磨パッドである、磁気ディスク基板の製造方法。
【請求項2】
前記研磨パッドの表面粗さが0.6μm以上2μm以下である、請求項1に記載の磁気ディスク基板の製造方法。
【請求項3】
被研磨基板が、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板である、請求項1又は2に記載の磁気ディスク基板の製造方法。
【請求項4】
前記研磨工程は、仕上げ研磨工程である、請求項1から3のいずれかに記載の磁気ディスク基板の製造方法。
【請求項5】
研磨液組成物との接触角が70°以下であり、かつ表面粗さが3μm以下のスエードタイプの研磨パッドを用いて被研磨基板を研磨し、研磨後の基板厚みが0.6mm以下となる研磨工程において用いられる研磨液組成物であって、
シリカ粒子(成分A)と、酸(成分B)と、水系媒体と、を含有し、
成分Aの平均二次粒子径が40nm以下であり、
pHが0.5以上4.0以下である、研磨液組成物。
【請求項6】
酸化剤(成分C)をさらに含有する、請求項5に記載の研磨液組成物。
【請求項7】
複素環芳香族化合物(成分D)、脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物(成分E)、及び、アニオン性水溶性高分子(成分F)から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する、請求項5又は6に記載の研磨液組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気ディスク基板の製造方法及び研磨液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化するために、単位記録面積を縮小し、弱くなった磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、表面粗さ、うねり、端面ダレ(ロールオフ)の低減に代表される平滑性・平坦性の向上とスクラッチ、突起、ピット等の低減に代表される欠陥低減に対する要求が厳しくなっている。
【0003】
このような要求に対して、例えば、特許文献1には、磁気ディスク基板の研磨において、研磨パッドと研磨対象物との間に供給されて該研磨対象物を研磨するために用いられる研磨用組成物であって、砥粒としてのシリカ粒子と、水と、を含み、前記シリカ粒子は、SEM画像解析によるアスペクト比が1.10以上である粒子SHARと、SEM画像解析によるアスペクト比が1.10未満である粒子SLARとを含み、前記粒子SHARの個数NAを前記粒子SLARの個数NBで除した値が0.10以上1.40以下である、研磨用組成物が提案されている。
特許文献2には、磁気ディスク用基板の製造方法であって、研磨パッドと基板を相対的に摺動させることにより、前記基板の主表面を研磨する研磨処理と、開口が形成されていない研磨パッドの素材を前記研磨パッドにするために、前記研磨処理前に、前記素材の表面を削って前記表面に開口を形成させる開口処理と、を含み、前記研磨パッドの素材として前記表面の表面粗さのうち算術平均粗さRaが0.65μm以下である素材を用いる、磁気ディスク用基板の製造方法が提案されている。
特許文献3には、測定波長2.5~80μmにおける表面粗さRaが0.40~1.40μmであり、かつ、測定波長2.5~800μmにおける表面粗さRaが0.40~2.00μmである、研磨面を有する軟質研磨パッドを用いてガラス基板の主表面を研磨する研磨工程を含む、磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-531008号公報
【特許文献2】特開2018-41526号公報
【特許文献3】特開2014-154187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁気ディスクドライブの大容量化に伴い、基板の表面品質に対する要求特性はさらに厳しくなっており、研磨速度の向上とともに基板表面のうねりをいっそう低減できる研磨液組成物の開発が求められている。一般的に、研磨速度とうねりとはトレードオフの関係にあり、一方が改善すれば一方が悪化するという問題がある。
さらに、近年では、基板の薄板化も進んでいるが、研磨後の基板の重量が軽くなることから、両面研磨後の基板が上定盤に付着しやすく、基板の回収に時間がかかって生産性が低下するという新たな問題が生じる。ここでいう生産性とは単位時間当たりの基板の生産枚数のことである。
【0006】
そこで、本開示は、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のうねりの低減とを両立でき、さらに生産性に優れる磁気ディスク基板の製造方法及び研磨液組成物を提供する。本開示では、単位時間当たりの生産基板枚数が高いものを生産性がよいものとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、一態様において、研磨液組成物及び研磨パッドを用いて被研磨基板を研磨し、研磨後の基板厚みが0.6mm以下となる研磨工程を含み、前記研磨液組成物は、シリカ粒子(成分A)と酸(成分B)と水系媒体とを含有し、成分Aの平均二次粒子径は40nm以下であり、pHが0.5以上4.0以下の研磨液組成物であり、前記研磨パッドは、前記研磨液組成物との接触角が70°以下であり、かつ、表面粗さが3μm以下のスエードタイプの研磨パッドである、磁気ディスク基板の製造方法に関する。
【0008】
本開示は、一態様において、研磨液組成物との接触角が70°以下であり、かつ表面粗さが3μm以下のスエードタイプの研磨パッドを用いて被研磨基板を研磨し、研磨後の基板厚みが0.6mm以下となる研磨工程において用いられる研磨液組成物であって、シリカ粒子(成分A)と、酸(成分B)と、水系媒体と、を含有し、成分Aの平均二次粒子径が40nm以下であり、pHが0.5以上4.0以下である、研磨液組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、一態様において、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のうねりの低減とを両立でき、さらに生産性に優れる磁気ディスク基板の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
磁気ディスク基板の製造における課題の一つとして、生産性と面質(うねり)の両立が知られている。従来、生産性の課題を解決する方法として、研磨時間の短縮化(例えば、研磨速度の向上)が提案されている。
しかし、近年、基板の薄板化が進んでおり、新たな生産性の課題が見出された。この新たな生産性の課題について以下に説明する。
一般的に、磁気ディスク基板の研磨には、両面研磨機が広く使用されている。両面研磨機とは、複数枚の被研磨基板を一度に研磨するバッチ式の装置であり、回転定盤である上定盤と下定盤との間に被研磨基板を挟み込んだ状態で研磨することにより、被研磨基板の両面を研磨するものである。上定盤及び下定盤の研磨面にはそれぞれ研磨パッドが貼り付けられている。両面研磨機を用いて研磨する場合、まず、下定盤に被研磨基板をセットし、上定盤を下降させて被研磨基板を上定盤と下定盤との間に挟み込んだ状態で研磨を開始し、研磨が終了すると、上定盤を上昇させ、下定盤上の基板を回収することが行われている。しかし、研磨後の基板の厚みが薄くなるほど(例えば、基板厚み0.6mm以下)、基板の重量が軽くなるため、研磨後の基板が上定盤(研磨パッド)に付着しやすくなる。上定盤(研磨パッド)に付着した基板は、下定盤に落とした後、手作業で回収する必要があり、基板の回収に時間がかかり、生産性が低下するという新たな問題が生じる。
本開示は、研磨後の基板厚みが0.6mm以下となる研磨工程において、平均二次粒子径が40nm以下のシリカ粒子を含む研磨液組成物と特定の接触角及び特定の表面粗さを有する研磨パッドとを組み合わせて用いることで、研磨速度を向上しつつ、研磨後の基板表面のうねりを低減でき、さらに、研磨後の基板の定盤(研磨パッド)への付着を抑制して生産性を向上できるという知見に基づく。
【0011】
すなわち、本開示は、一態様において、研磨液組成物及び研磨パッドを用いて被研磨基板を研磨し、研磨後の基板厚みが0.6mm以下となる研磨工程(以下、「本開示の研磨工程」ともいう)を含み、前記研磨液組成物は、シリカ粒子(成分A)と酸(成分B)と水系媒体とを含有し、成分Aの平均二次粒子径は40nm以下であり、pHが0.5以上4.0以下の研磨液組成物であり、前記研磨パッドは、前記研磨液組成物との接触角が70°以下であり、かつ、表面粗さが3μm以下のスエードタイプの研磨パッドである、磁気ディスク基板の製造方法(以下、「本開示の基板製造方法」ともいう)に関する。
【0012】
本開示の効果発現のメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推察される。
基板面質の指標の一つであるうねりはパッドの粗さとトレードオフの関係にある。パッドの表面粗さが高くなると研磨中にパッド表面の粗さが基板表面に転写されることで、基板のうねりが悪化する。逆にパッドの表面粗さが低すぎるとパッドと基板との間に砥粒のシリカ粒子が入り込めず研磨が進行しにくくなる。基板の生産性については研磨速度、研磨後基板の回収時間の短縮が寄与する。研磨速度には研磨砥粒の粒経が大きく関係しており、研磨砥粒の粒径を大きくすると物理力が大きくなるため、研磨速度が速くなる。ただし、ある一定以上の粒子径になると、研磨砥粒がパッドと基板との間に入り込めず、研磨速度低下およびうねりの悪化因子となる。薄板化基板の生産性向上には基板の回収時間を短縮することが求められる。これを解消するためには基板のパッド表面への付着を抑制すること、パッド表面への研磨液の接触角が重要になる。接触角が高いパッドを用いると研磨中に基板とパッドとの間に意図せず入り込んだ微量な空気が抜け出せず、この空気が起因となりパッドが吸盤のように働き定盤に付着することがある。以上より、本開示では、パッドの接触角と粗さ、研磨砥粒の選定を適切に制御することで高いレベルでの生産性と基板品質の両立が可能となる。
但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
【0013】
一般に、磁気ディスクは、研削工程を経た被研磨基板が、粗研磨工程、仕上げ研磨工程を経て研磨され、記録部形成工程にて磁気ディスク化されて製造される。前記研磨の各工程の間には、リンス工程、洗浄工程が含まれることがある。本開示の基板製造方法における研磨工程は、最終の基板品質をより向上させる観点から、仕上げ研磨工程に適応されることが好ましい。本開示の基板製造方法は、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。
【0014】
本開示において、基板の「うねり」とは、粗さよりも波長の長い基板表面の凹凸をいう。本開示において、例えば、60~160μmの波長により観測されるうねりを「短波長うねり」といい、例えば、500~5000μmの波長により観測されるうねりを「長波長うねり」という。研磨後の基板表面のうねり(短波長うねり及び長波長うねり)が低減されることにより、磁気ディスクドライブにおいて磁気ヘッドの浮上高さを低くすることができ、磁気ディスクの記録密度の向上が可能となる。基板表面のうねり(短波長うねり及び長波長うねり)は、例えば、実施例に記載の方法により測定できる。本開示において、「うねりの低減」とは、短波長うねり及び長波長うねりの少なくとも一方が低減されることをいう。
【0015】
[研磨工程]
本開示の研磨工程は、研磨液組成物及び研磨パッドを用いて被研磨基板を研磨し、研磨後の基板厚みが0.6mm以下となる研磨工程である。
研磨後の基板厚みは、研磨機定盤への基板の付着抑制効果が発揮される観点から、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.6mm以下である。研磨後の基板厚みは、ノギスにより測定でき、具体的には、実施例に記載の方法により測定できる。
【0016】
本開示の研磨工程は、一又は複数の実施形態において、研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨する工程である。
【0017】
研磨工程が多段階で行われる場合は、本開示の研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程又は仕上げ研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨基板を洗浄することが好ましい。さらに、使用した研磨液を再利用する循環研磨においても、本開示の研磨液組成物は使用できる。本開示の研磨工程で使用される研磨機としては、特に限定されず、基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。研磨機としては、例えば、両面研磨機が挙げられる。
【0018】
本開示の研磨工程における研磨荷重は、研磨速度向上の観点から、好ましくは5.9kPa以上、より好ましくは6.9kPa以上、更に好ましくは7.5kPa以上であり、そして、うねり低減の観点から、20kPa以下が好ましく、より好ましくは18kPa以下、更に好ましくは16kPa以下である。本開示において研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。また、研磨荷重の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行うことができる。
【0019】
本開示の研磨工程における研磨液組成物の供給速度は、うねり低減の観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.05mL/分以上15mL/分以下であり、より好ましくは0.06mL/分以上10mL/分以下、更に好ましくは0.07mL/分以上1mL/分以下、更に好ましくは0.07mL/分以上0.5mL/分以下である。
【0020】
本開示の研磨工程において、本開示の研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本開示の研磨液組成物となる。
【0021】
[研磨液組成物]
本開示の磁気ディスク基板における研磨工程で使用される研磨液組成物(以下、「本開示の研磨液組成物」ともいう)は、シリカ粒子(成分A)と酸(成分B)と水系媒体とを含有し、成分Aの平均二次粒子径は40nm以下であり、pHが0.5以上4.0以下の研磨液組成物である。すなわち、本開示、一態様において、研磨液組成物との接触角が70°以下であり、かつ表面粗さが3μm以下のスエードタイプの研磨パッドを用いて被研磨基板を研磨し、研磨後の基板厚みが0.6mm以下となる研磨工程において用いられる研磨液組成物であって、シリカ粒子(成分A)と、酸(成分B)と、水系媒体と、を含有し、成分Aの平均二次粒子径が40nm以下であり、pHが0.5以上4.0以下である、研磨液組成物に関する。
【0022】
<シリカ粒子(成分A)>
本開示の研磨液組成物に含まれるシリカ粒子(以下「成分A」ともいう)としては、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、粉砕シリカ、それらを表面修飾したシリカ等が挙げられるが、コロイダルシリカが好ましい。成分Aは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
【0023】
成分Aの平均二次粒子径は、研磨速度向上の観点から、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、15nm以上が更に好ましく、そして、うねり低減の観点から、40nm以下であって、38nm以下が好ましく、35nm以下がより好ましい。より具体的には、成分Aの平均二次粒子径は、5nm以上40nm以下が好ましく、10nm以上38nm以下がより好ましく、15nm以上35nm以下が更に好ましい。本開示において、「シリカ粒子の平均二次粒子径」とは、動的光散乱法により測定される値であり、例えば、動的光散乱法において検出角90°で測定される散乱強度分布に基づく平均二次粒子径とすることができる。シリカ粒子の平均二次粒子径は、具体的には実施例に記載の方法により求めることができる。
【0024】
本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量は、研磨速度向上の観点から、SiO2換算で、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、そして、うねり低減の観点から、SiO2換算で、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量は、SiO2換算で、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下が更に好ましい。成分Aが2種以上のシリカ粒子からなる場合、成分Aの含有量は、それらの合計含有量をいう。
【0025】
<酸(成分B)>
本開示の研磨液組成物は、酸(成分B)を含有する。本開示において、酸の使用は、酸又はその塩の使用を含む。成分Bは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
【0026】
成分Bとしては、例えば、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸;有機リン酸、有機ホスホン酸、カルボン酸等の有機酸;等が挙げられる。中でも、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、無機酸及び有機ホスホン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。無機酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸及びリン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、硫酸及びリン酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。有機ホスホン酸としては、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、HEDPがより好ましい。これらの酸の塩としては、例えば、上記の酸と、金属、アンモニア及びアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種との塩が挙げられる。上記金属としては、周期表の1~11族に属する金属が挙げられる。
【0027】
本開示の研磨液組成物中の成分Bの含有量は、研磨速度向上の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、そして、パッド表面粗さの悪化抑制の観点から、8質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましく、4質量%以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物中の成分Bの含有量は、0.1質量%以上8質量%以下が好ましく、0.5質量%以上6質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上4質量%以下が更に好ましい。成分Bが2種以上の組合せである場合、成分Bの含有量はそれらの合計含有量をいう。
【0028】
本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量と成分Bの含有量との質量比A/Bは、パッド表面粗さの悪化抑制の観点から、0.01以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましく、そして、研磨速度向上の観点から、200以下が好ましく、30以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。同様の観点から、本開示の研磨液組成物中の質量比A/Bは、0.01以上200以下が好ましく、0.1以上30以下がより好ましく、0.5以上10以下が更に好ましい。
【0029】
<水系媒体>
本開示の研磨液組成物に含まれる水系媒体としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等の水、又は、水と溶媒との混合溶媒等が挙げられる。上記溶媒としては、水と混合可能な溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)が挙げられる。水系媒体が、水と溶媒との混合溶媒の場合、混合媒体全体に対する水の割合は、本開示の効果が妨げられない範囲であれば特に限定されなくてもよく、経済性の観点から、例えば、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%が更に好ましい。被研磨基板の表面清浄性の観点から、水系媒体としては、イオン交換水及び超純水が好ましい。本開示の研磨液組成物中の水系媒体の含有量は、成分A、成分B、及び必要に応じて配合される後述する任意成分を除いた残余とすることができる。
【0030】
<酸化剤(成分C)>
本開示の研磨液組成物は、研磨速度の更なる向上及びうねりの更なる低減の観点から、酸化剤(以下、「成分C」ともいう)をさらに含有してもよい。成分Cは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
【0031】
成分Cとしては、研磨速度の更なる向上及びうねりの更なる低減の観点から、例えば、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、研磨速度の更なる向上の観点、被研磨基板の表面に金属イオンが付着しない観点及び入手容易性の観点から、過酸化水素がより好ましい。
【0032】
本開示の研磨液組成物が成分Cを含有する場合、本開示の研磨液組成物中の成分Cの含有量は、研磨速度の更なる向上及びうねりの更なる低減の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、4質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Cの含有量は、0.01質量%以上4質量%以下が好ましく、0.05質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上1.5質量%以下が更に好ましい。成分Cが2種以上の組合せである場合、成分Cの含有量はそれらの合計含有量をいう。
【0033】
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、複素環芳香族化合物(成分D)、脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物(成分E)、及び、アニオン性水溶性高分子(成分F)から選ばれる少なくとも1種をさらに含有してもよい。成分D~成分Fについて以下に説明する。
【0034】
<複素環芳香族化合物(成分D)>
本開示の研磨液組成物は、うねりの更なる低減の観点から、複素環芳香族化合物(その塩も含む)(以下、「成分D」ともいう)をさらに含有してもよい。成分Dは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
【0035】
成分Dとしては、うねりの更なる低減の観点から、複素環内に窒素原子を2個以上含む複素環芳香族化合物であることが好ましく、複素環内に窒素原子を3個以上有することがより好ましく、3個以上9個以下が更に好ましく、3個以上5個以下が更に好ましく、3又は4個が更に好ましい。
【0036】
成分Dとしては、一又は複数の実施形態において、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、5-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1H-テトラゾール、5-アミノテトラゾール、1H-ベンゾトリアゾール(BTA)、1H-トリルトリアゾール、2-アミノベンゾトリアゾール、3-アミノベンゾトリアゾール、及びこれらのアルキル置換体若しくはアミン置換体から選ばれる少なくとも1種が好ましい。前記アルキル置換体のアルキル基としては、例えば、炭素数1~4の低級アルキル基が挙げられ、一又は複数の実施形態において、メチル基、エチル基が挙げられる。前記アミン置換体としては、一又は複数の実施形態において、1-[N,N-ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]トリルトリアゾールが挙げられる。
【0037】
本開示の研磨液組成物が成分Dを含有する場合、本開示の研磨液組成物中の成分Dの含有量は、うねりの更なる低減の観点から、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましく、そして、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Dの含有量は、0.005質量%以上10質量%以下が好ましく、0.01質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.02質量%以上1質量%以下が更に好ましく、0.02質量%以上0.2質量%以下が更に好ましい。成分Dが2種以上の組合せである場合、成分Dの含有量はそれらの合計含有量をいう。
【0038】
<脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物(成分E)>
本開示の研磨液組成物は、うねりの更なる低減の観点から、脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物(以下、「成分E」ともいう)をさらに含有してもよい。うねりの更なる低減の観点から、成分Eの分子内の窒素原子数又はアミノ基若しくはイミノ基の併せた数は、2個以上4個以下が好ましい。成分Fは1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
【0039】
前記脂肪族アミン化合物としては、一又は複数の実施形態において、うねりの更なる低減の観点から、モノエタノールアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、3-(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジブチルアミノ)プロピルアミン、3-(メチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N-アミノエチルエタノールアミン(AEA)、N-アミノエチルイソプロパノールアミン、及びN-アミノエチル-N-メチルエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、N-アミノエチルエタノールアミン(AEA)がより好ましい。
【0040】
前記脂環式アミン化合物としては、一又は複数の実施形態において、うねりの更なる低減の観点から、ピペラジン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、1-アミノ-4-メチルピペラジン、N-メチルピペラジン、及びヒドロキシエチルピペラジン(HEP)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ヒドロキシエチルピペラジン(HEP)がより好ましい。
【0041】
本開示の研磨液組成物が成分Eを含有する場合、本開示の研磨液組成物中の成分Eの含有量は、うねりの更なる低減の観点から、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.015質量%以上が更に好ましく、そして、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Eの含有量は、0.005質量%以上10質量%以下が好ましく、0.01質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.015質量%以上1質量%以下が更に好ましくは、0.015質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。成分Eが2種以上の組合せである場合、成分Eの含有量はそれらの合計含有量をいう。
【0042】
<アニオン性水溶性高分子(成分F)>
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、うねりの更なる低減の観点から、アニオン性水溶性高分子(以下、「成分F」ともいう)をさらに含有してもよい。アニオン性水溶性高分子とは、分子内にアニオン性基を有する水溶性高分子である。本開示において、「水溶性」とは、水(20℃)に対して0.5g/100mL以上の溶解度、好ましくは2g/100mL以上の溶解度を有することをいう。
成分Fは、うねりの更なる低減の観点から、分子内に繰り返し単位とスルホン酸基又はその塩を有するものであり、繰り返し単位の主鎖に芳香環を有する構造であることが好ましい。芳香環としては、例えば、フェノール骨格、ナフタレン骨格が挙げられる。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が挙げられる。成分Fは、1種であってもよいし、2種以上の組合せでもよい。
【0043】
成分Fとしては、一又は複数の実施形態において、不飽和カルボン酸由来の構成単位と分子内にスルホン酸基を有するモノマー由来の構成単位を含む共重合体が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。分子内にスルホン酸基を有するモノマーとしては、例えば、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。不飽和カルボン酸由来の構成単位と分子内にスルホン酸基を有するモノマー由来の構成単位を含む共重合体としては、例えば、アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸共重合体(AA/AMPS)が挙げられる。
成分Fとしては、一又は複数の実施形態において、スルホン酸基又はその塩を有する芳香族モノマーの縮合物又はその塩、スルホン酸基又はその塩を有する芳香族モノマー由来の構成単位と該構成単位以外の構成単位を含む縮合物又はその塩等が挙げられる。塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が挙げられる。
スルホン酸基又はその塩を有する芳香族モノマーの縮合物又はその塩としては、うねりの更なる低減の観点から、主鎖を構成する芳香環の少なくとも1つの水素原子がスルホン酸基に置換された構造を有する縮合物又はその塩が好ましく、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。例えば、フェノールスルホン酸(PhS)のホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物(NaS)が挙げられる。
スルホン酸基又はその塩を有する芳香族モノマー由来の構成単位と該構成単位以外の構成単位を含む縮合物又はその塩としては、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(BisS)とフェノールスルホン酸(PhS)のホルマリン縮合物(BisS/PhS)等が挙げられる。
【0044】
成分Fの重量平均分子量は、うねりの更なる低減の観点から、500以上が好ましく、1000以上がより好ましく、1500以上が更に好ましく、そして、50000以下が好ましく、30000以下がより好ましく、20000以下が更に好ましい。より具体的には、成分Fの重量平均分子量は、500以上50000以下が好ましく、1000以上30000以下がより好ましく、1500以上20000以下が更に好ましい。
【0045】
本開示の研磨液組成物が成分Fを含有する場合、本開示の研磨液組成物中の成分Fの含有量は、うねりの更なる低減の観点から、0.001質量%以上が好ましく、そして、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Fの含有量は、0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、0.001質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.001質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。成分Fが2種以上の組合せである場合、成分Fの含有量はそれらの合計含有量をいう。
【0046】
[その他の成分]
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、必要に応じてさらにその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、成分F以外の高分子、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤、可溶化剤等が挙げられる。
【0047】
<研磨液組成物のpH>
本開示の研磨液組成物のpHは、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、0.5以上であって、0.8以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、そして、4.0以下であって、3.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物のpHは、0.5以上4.0以下であって、0.8以上3.0以下が好ましく、1.0以上3.0以下がより好ましい。pHは、上述した酸(成分B)や公知のpH調整剤等を用いて調整することができる。本開示において、上記pHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、例えば、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値とすることができる。
【0048】
<研磨液組成物の製造方法>
本開示の研磨液組成物は、例えば、成分A、成分B及び水系媒体と、さらに所望により任意成分(成分C、成分D、成分E、成分F及びその他の成分)とを公知の方法で配合することにより製造できる。すなわち、本開示は、その他の態様において、少なくとも成分A、成分B及び水系媒体を配合する工程を含む、研磨液組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A、成分B及び水系媒体、並びに必要に応じて任意成分(成分C、成分D、成分E、成分F及びその他の成分)を同時に又は任意の順に混合することを含む。成分Aは、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。成分Aが複数種類のシリカ粒子からなる場合、複数種類のシリカ粒子は、同時に又はそれぞれ別々に配合できる。成分Bが複数種類の酸からなる場合、複数種類の酸は同時に又はそれぞれ別々に配合できる。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。研磨液組成物の製造方法における各成分の好ましい配合量は、上述した本開示の研磨液組成物中の各成分の好ましい含有量と同じとすることができる。
【0049】
本開示において「研磨液組成物中の各成分の含有量」とは、使用時、すなわち、研磨液組成物の研磨への使用を開始する時点における前記各成分の含有量をいう。
本開示の研磨液組成物は、その保存安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存及び供給されてもよい。この場合、製造及び輸送コストを更に低くできる点で好ましい。本開示の研磨液組成物の濃縮物は、使用時に、必要に応じて前述の水系媒体で適宜希釈して使用すればよい。希釈倍率は、希釈した後に上述した各成分の含有量(使用時)を確保できれば特に限定されるものではなく、例えば、10~100倍とすることができる。
【0050】
[研磨パッド]
本開示の研磨工程で使用される研磨パッド(以下、「本開示の研磨パッド」ともいう)は、本開示の研磨液組成物との接触角が70°以下であり、かつ、表面粗さが3μm以下のスエードタイプの研磨パッドである。
【0051】
本開示の研磨パッドは、一又は複数の実施形態において、ベース層と発泡したポリウレタンエラストマーからなる表面層(以下、「発泡層」ともいう)とを有するスエードタイプの研磨パッドである。
前記研磨パッドの発泡層(表面層)としては、一又は複数の実施形態において、独立発泡タイプと連続発泡タイプのものが使用できるが、研磨屑の排出性の観点から、連続発泡タイプのものが好ましく使用される。連続発泡タイプの研磨パッドとしては、例えば、「CMP技術基礎実例講座シリーズ第2回メカノケミカルポリシング(CMP)の基礎と実例(ポリシングパッド編)1998年5月27日資料 グローバルネット株式会社編」、或いは「CMPのサイエンス 柏木正広編 株式会社サイエンスフォーラム 第4章」に記載されたような研磨パッドが使用できる。ここでスエードタイプとは、一又は複数の実施形態において、特開平11-335979号公報に記載されているような、ベース層とベース層に対して垂直な紡錘状気孔を有する発泡層とを有する構造のことをいう。前記スエードタイプの研磨パッドは、一又は複数の実施形態において、以下の方法により製造される。ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるベース層上に、ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶剤にポリウレタンエラストマーを溶解させた溶液を塗布し、これを水或いは水とポリウレタンエラストマー溶液の溶剤との混合溶液中に浸漬して湿式凝固を行い、脱溶剤のための水洗、乾燥を行なう。これにより、ベース層に対して垂直な紡錘状気孔を有する発泡層がベース層上に形成される。そして、得られた発泡層の表面をサンドペーパー等で研磨することによって、表面に気孔部を有し、かつ、ベース層に対して垂直な紡錘状気孔を有する発泡層を備えたスエードタイプ研磨パッドが得られる。
前記研磨パッドのベース層の材質としては、一又は複数の実施形態において、綿等の天然繊維や合成繊維からなる不織布、スチレンブタジエンゴム等のゴム状物質を充填して得られるベース層等が挙げられ、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリエステルフィルムが好ましく、PETフィルムがより好ましい。
前記研磨パッドの発泡層(表面層)の材質としては、一又は複数の実施形態において、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、合成ゴム等が挙げられ、研磨速度向上とうねり低減とを両立する観点から、ポリウレタンエラストマーが好ましい。
【0052】
<研磨パッドの表面粗さ>
本開示の研磨パッドの表面粗さは、うねり低減の観点から、3μm以下であって、2.5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、そして、研磨速度向上の観点から、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.6μm以上が更に好ましく、0.7μm以上が更に好ましい。より具体的には、研磨パッドの表面粗さは、0.1μm以上3μm以下が好ましく、0.5μm以上2.5μm以下がより好ましく、0.6μm以上2μm以下が更に好ましく、0.7μm以上2μm以下が更に好ましい。本開示において、研磨パッドの表面粗さは、前記研磨液組成物を用いて研磨するときの研磨パッドの表面粗さであり、例えば、実施例に記載の方法により測定することができる。研磨パッドの表面粗さは、一又は複数の実施形態において、研磨パッドの表面層の表面粗さであり、例えば、発泡層の表層側の気孔径サイズや発泡層の表面を研磨するパッドドレッサーの粗さにより制御できる。
【0053】
<研磨パッドの接触角>
本開示の研磨パッドの本開示の研磨液組成物との接触角は、研磨機定盤への基板の付着抑制の観点から、70°以下であって、68°以下が好ましく、66°以下がより好ましく、そして、研磨機定盤への基板の付着抑制の観点から、15°以上が好ましく、20°以上がより好ましく、25°以上が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨パッドの本開示の研磨液組成物との接触角は、15°以上70°以下が好ましく、20°以上68°以下がより好ましく、25°以上66°以下が更に好ましい。接触角は、例えば、実施例に記載の方法により測定できる。
【0054】
<研磨パッドの平均開孔径>
本開示の研磨パッドの表面の気孔部の平均開孔径は、研磨速度向上とうねり低減とを両立する観点から、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは15μm以上80μm以下、更に好ましくは20μm以上60μm以下、更に好ましくは25μm以上55μm以下である。
研磨パッドの表面の気孔部の平均開孔径は、ポリウレタンエラストマー原料に対し、カーボンブラック等の顔料や、発泡を促進させる親水性活性剤、あるいはポリウレタンエラストマーの湿式凝固を安定化させる疎水性活性剤等の添加剤を添加することにより制御できる。本開示において、平均開孔径は、以下の方法で求めることができる。
先ず、研磨パッド表面を走査型電子顕微鏡で観察(好適には100~300倍)して、画像をパーソナルコンピュータ(PC)に取り込む。そして、取り込んだ画像についてPCにて画像解析ソフトにより解析を行い、気孔部の円相当径の平均径として平均開孔径を求めることができる。上記画像解析ソフトとしては、例えばWinROOF(三谷商事)を用いることができる。
【0055】
<研磨パッドの厚さ>
本開示の研磨パッドの厚さは、研磨速度向上とうねり低減とを両立する観点から、好ましくは0.7mm以上2.5mm以下、より好ましくは0.8mm以上2.0mm以下、更に好ましくは0.8mm以上1.7mm以下、更に好ましくは0.9mm以上1.5mm以下である。
【0056】
[被研磨基板]
被研磨基板は、一又は複数の実施形態において、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である。一又は複数の実施形態において、被研磨基板の表面を本開示の研磨液組成物を用いて研磨する工程の後、スパッタ等でその基板表面に磁性層を形成する工程を行うことにより磁気ディスク基板を製造できる。
【0057】
本開示において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属及びこれらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板に好適である。被研磨基板としては、例えば、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板や、結晶化ガラス、強化ガラス、アルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス等のガラス基板がより適しており、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板が更に適している。本開示において「Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板」とは、アルミニウム合金基材の表面を研削後、無電解Ni-Pメッキ処理したものをいう。
【0058】
被研磨基板の形状としては、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状が挙げられる。中でも、ディスク状の被研磨基板が適している。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば2~97mm程度であり、その厚みは例えば0.3~2mm程度である。
【0059】
[研磨液キット]
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を製造するためのキット(以下、「本開示の研磨液キット」ともいう)に関する。本開示の研磨液キットとしては、例えば、成分A及び水系媒体を含むシリカ分散液と、成分Bを含む添加剤水溶液と、を相互に混合されない状態で含み、これらが使用時に混合され、必要に応じて水系媒体を用いて希釈される、研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。前記シリカ分散液に含まれる水系媒体は、研磨液組成物の調製に使用する水の全量でもよいし、一部でもよい。前記添加剤水溶液には、研磨液組成物の調製に使用する水系媒体の一部が含まれていてもよい。前記シリカ分散液及び前記添加剤水溶液にはそれぞれ必要に応じて、上述した任意成分(成分C~F及びその他の成分)が含まれていてもよい。本開示の研磨液キットによれば、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のうねりの低減を両立でき、生産性に優れる研磨液組成物を得ることができる。
【0060】
[研磨方法]
本開示は、一態様として、本開示の研磨液組成物及び本開示の研磨パッドを用いて被研磨基板を研磨し、研磨後の基板厚みが0.6mm以下となる研磨工程を含む、基板の研磨方法(以下、「本開示の研磨方法」ともいう)に関する。本開示の研磨方法によれば、研磨速度の向上と研磨後の基板表面のうねりの低減とを両立でき、生産性に優れる本開示の研磨液組成物を用いることで、高品質の磁気ディスク基板を高収率で、生産性よく製造できる。本開示の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。本開示の研磨方法における、研磨の方法及び条件は、上述した本開示の基板製造方法と同じ方法及び条件とすることができる。
【0061】
本開示の研磨方法における研磨工程は、一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨する工程である。
【実施例0062】
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
【0063】
1.研磨液組成物の調製(実施例1~5、比較例1~6)
成分A(コロイダルシリカ)、成分B(硫酸)、添加剤(成分C、成分D、成分E、成分F)及びイオン交換水を配合して撹拌することにより、表1に示す実施例1~5及び比較例1~6の研磨液組成物を調製した。各研磨液組成物中の各成分の含有量(質量%、有効量)は、表1に示すとおりである。イオン交換水の含有量は、成分A、成分B、及び添加剤(成分C、成分D、成分E、成分F)を除いた残余である。
【0064】
各研磨液組成物の調製において、成分B及び添加剤(成分C~成分F)には以下のものを使用した。
(成分B)
硫酸[濃度62.5質量%、テイカ社製]
(成分C)
過酸化水素水[濃度35質量%、ADEKA社製]
(成分D)
BTA[1,2,3-ベンゾトリアゾール、東京化成工業社製]
(成分E)
アミノアルコール[N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、日本乳化剤社製]
(成分F)
BisS/PhS[ビスフェノールS/フェノールスルホン酸ホルマリン縮合物、小西化学社製、モル比(BisS/PhS):20/80、重量平均分子量:5,000]
【0065】
2.各パラメータの測定
[コロイダルシリカ(成分A)の平均二次粒子径]
研磨液組成物の調製に用いた成分A(コロイダルシリカ)と成分B(硫酸)とをイオン交換水に添加し、撹拌することにより、標準試料を作製した。標準試料中における成分A及び成分Bの含有量はそれぞれ、6.0質量%、1.2質量%とした。この標準試料を動的光散乱装置(大塚電子社製DLS-6500)により、同メーカーが添付した説明書に従って、200回積算した際の検出角90°におけるCumulant法によって得られる散乱強度分布の面積が全体の50%となる粒径を求め、コロイダルシリカの平均二次粒子径とした。結果を表1に示す。
【0066】
[アニオン性水溶性高分子(成分F)の重量平均分子量]
成分Fの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により下記条件で測定した。結果を表1に示す。
<測定条件>
カラム:TSKgel GMPWXL+TSKgel GMPWXL(東ソー社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=7/3(体積比)
温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料サイズ:2mg/mL
検出器:RI
標準物質:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(重量平均分子量:1,100、3,610、14,900、152,000、POLMER STANDARDS SERVICE社製)
【0067】
[pHの測定]
研磨液組成物のpHは、pHメータ(東亜ディーケーケー社製)を用いて25℃にて測定し、電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値を採用した。結果を表1に示す。
【0068】
[研磨パッドの表面粗さ]
表面粗さの測定に使用した研磨パッドは、両面9B研磨機でダイヤモンドドレスを使用して各粗さに調整後、研磨パッドの表面粗さ(Ra)を触診式の表面粗さ計(商品名:SURFTEST SJ-210、ミツトヨ社製)を用いて測定した。測定パッドは両面9B研磨機の外周部から3cm、外周部から10cm、内周部から3cmの各3点の計9点の粗さ測定を行いの平均値を採用した。
<測定条件>
粗さ規格:ISO1997
測定速度:0.5mm/S
カットオフ値0.8mm
【0069】
[接触角]
接触角の測定に使用した研磨パッドは、両面9B研磨機でダイヤモンドドレスを使用して所定の粗さに調整後に水洗し、48時間風乾させたパッドを用いた。2cm四方に切り取った研磨パッドに対し、テフロン(登録商標)製の針先(18G)に研磨液1μlの水滴を作り、これを測定パッドに近づけてパッドと水滴とを接触させた。その後、30秒後の接触角を協和界面科学(株)製「Drop Master DMo-501」を用いて測定した。パッドは両面9B研磨機の外周部から3cm、外周部から10cm、内周部から3cmから各3個ずつ切り出した9個のパッド片を測定し平均接触角の値を採用した。測定は25℃で行った。結果を表1に示す。
【0070】
3.研磨方法
前記のように調製した実施例1~5及び比較例1~6の研磨液組成物及び研磨パッドを用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。次いで、研磨速度及びうねりを後述する測定方法により測定した。その結果を表1に示す。
【0071】
[被研磨基板]
被研磨基板として、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。この被研磨基板は、厚さが0.6mmまたは1.27mm、外径が97mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nmであった。
【0072】
[研磨パッド]
研磨パッドは、フジボウ社製スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー、厚さ0.9mm、平均開孔径40μm)を使用した。両面9B研磨機でダイヤモンドドレス(#600)を使用して所定の粗さになるまで、ドレスを行った。
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
水供給量:2000mL/分
下定盤回転数:30rpm
研磨荷重:3.0kPa
ドレス基板の枚数:6枚
【0073】
[研磨条件(仕上げ研磨)]
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.076mL/分)
下定盤回転数:30rpm
研磨荷重:13.7kPa
研磨時間:5分間
基板の枚数:10枚
【0074】
[研磨後の基板厚み]
研磨後の各基板1枚当たりの厚みをノギス(Mitutoyo社製、CD-15)を用いて測定し、各基板の10枚の平均値を求めた。
【0075】
4.評価
[研磨速度の評価]
研磨前後の各基板1枚当たりの重さを計り(Sartorius社製、「BP-210S」)を用いて測定し、各基板の質量変化から質量減少量を求めた。全10枚の平均の質量減少量を研磨時間で割った値を研磨速度とし、下記式により算出した。研磨速度の測定結果を、比較例1を100とした相対値として表1に示す。
質量減少量(mg)={研磨前の質量(mg)- 研磨後の質量(mg)}
研磨速度(mg/分)=質量減少量(mg)/ 研磨時間(分)
【0076】
[うねりの評価]
研磨して減少する重量を50mg以上および80mg以下となるように研磨時間を各々設定し(実施例1~5及び比較例1~4、6の研磨時間:5分、比較例5の研磨時間:30分)、研磨時間以外は上記3.研磨方法と同じ研磨条件で上記被研磨基板(厚さ0.6mm)を研磨した。研磨後の基板厚み0.6mmの基板のうねりを下記条件にて測定した。うねりは1面あたり3点、表面裏面を2枚で合計6点計測し平均値を得た。比較例1を100としたときの相対値を表1に示す。
<測定条件>
測定機:New View 7300(Zygo社製)
レンズ:2.5倍
ズーム:0.5倍
測定波長領域:60~160μm
測定位置:基板中心より半径28mm
解析ソフト:Zygo Metro Pro(Zygo社製)
【0077】
[定盤付着の測定]
上記被研磨基板10枚(厚みは統一)を上記研磨条件で仕上げ研磨した後、定盤を引き上げた際に上定盤についている基板の枚数を数えた。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
上記表1に示すとおり、平均二次粒子径40nm以下のシリカ粒子を含むpH0.5~4.0の研磨液組成物と所定の研磨パッドを用いた実施例1~5では、研磨パッドの表面粗さが3μmを超える比較例1及び4、シリカ粒子の平均二次粒子径が40nm超で、研磨パッドの表面粗さが3μmを超える比較例2、シリカ粒子の平均二次粒子径が40nm超である比較例3、研磨液組成物のpHが4.0を超える比較例5、研磨パッドの研磨液組成物との接触角が70°を超える比較例6に比べて、研磨速度が向上し、うねりが低減していた。さらに、実施例1~5では、厚み0.6mmの基板の定盤への付着が抑制されており、生産性に優れることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示によれば、例えば、高記録密度化に適した磁気ディスク基板を提供できる。