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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043202
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】受光素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/02 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
H01L31/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148252
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】夏目 和俊
【テーマコード(参考)】
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
5F149AA03
5F149AB07
5F149BA30
5F149CB05
5F149CB06
5F149CB14
5F149CB15
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5F149EA04
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5F849FA13
5F849FA17
5F849GA06
5F849HA03
5F849XB04
(57)【要約】
【課題】電界の集中を緩和することが可能な受光素子を提供する。
【解決手段】半導体層と、前記半導体層の面に設けられ、前記半導体層に電気的に接続された電極と、を具備し、前記半導体層から複数のメサが形成され、前記複数のメサは2次元アレイ状に配列され、前記複数のメサのそれぞれに前記電極が設けられ、前記電極と前記半導体層とが接触する部分である接触部の外周は閉曲線である受光素子。
【選択図】 図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層と、
前記半導体層の面に設けられ、前記半導体層に電気的に接続された電極と、を具備し、
前記半導体層から複数のメサが形成され、
前記複数のメサは2次元アレイ状に配列され、
前記複数のメサのそれぞれに前記電極が設けられ、
前記電極と前記半導体層とが接触する部分である接触部の外周は閉曲線である受光素子。
【請求項2】
前記接触部の外周の半分以上は曲線である請求項1に記載の受光素子。
【請求項3】
前記接触部の外周の曲率半径は、10μm以上、かつ前記接触部の幅の半分以下である請求項1または請求項2に記載の受光素子。
【請求項4】
前記メサを覆う絶縁膜を具備し、
前記絶縁膜は前記メサの上に開口部を有し、
前記開口部から前記半導体層の前記面が露出し、
前記開口部から露出する前記面に前記電極が接触し、
前記開口部の外周は前記閉曲線である請求項1または請求項2に記載の受光素子。
【請求項5】
前記メサの平面形状は曲線を含み、
前記メサの曲線の曲率半径は5μm以上である請求項1または請求項2に記載の受光素子。
【請求項6】
前記メサの幅は前記接触部の幅より大きく、
前記接触部の外周から前記メサの外周までの距離は10μm以下である請求項1または請求項2に記載の受光素子。
【請求項7】
前記電極は金属層とバンプとを有し、
前記金属層は前記半導体層の前記面に接触し、
前記バンプは前記金属層のうち前記半導体層とは反対の面に設けられている請求項1または請求項2に記載の受光素子。
【請求項8】
前記バンプの外周から前記メサの外周までの距離は5μm以下である請求項7に記載の受光素子。
【請求項9】
前記半導体層は、順番に積層された第1半導体層、受光層、第2半導体層および第3半導体層を含み、
前記第1半導体層は第1導電型を有し、
前記第2半導体層および前記第3半導体層は、前記第1導電型とは異なる第2導電型を有し、
前記接触部において、前記電極が前記第3半導体層の面に接触する請求項1または請求項2に記載の受光素子。
【請求項10】
半導体層に複数のメサを形成する工程と、
前記複数のメサに、前記半導体層に電気的に接続される電極を形成する工程と、を有し、
前記複数のメサは2次元アレイ状に配列され、
前記電極は前記半導体層の面に設けられ、
前記電極と前記半導体層とが接触する部分である接触部の外周は閉曲線である受光素子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は受光素子およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MIMキャパシタにおいて、電極の面積を変更することで、電極における電界集中を緩和する技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-241864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受光素子は、光を吸収し、電気信号を出力する。受光素子の電極に逆バイアス電圧が印加される。電極の一部に電界が集中することで静電破壊(ESD破壊)が発生する恐れがある。そこで、電界の集中を緩和することが可能な受光素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る受光素子は、半導体層と、前記半導体層の面に設けられ、前記半導体層に電気的に接続された電極と、を具備し、前記半導体層から複数のメサが形成され、前記複数のメサは2次元アレイ状に配列され、前記複数のメサのそれぞれに前記電極が設けられ、前記電極と前記半導体層とが接触する部分である接触部の外周は閉曲線である。
【0006】
本開示に係る受光素子の製造方法は、半導体層に複数のメサを形成する工程と、前記複数のメサに、前記半導体層に電気的に接続される電極を形成する工程と、を有し、前記複数のメサは2次元アレイ状に配列され、前記電極は前記半導体層の面に設けられ、前記電極と前記半導体層とが接触する部分である接触部の外周は閉曲線である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば電界の集中を緩和することが可能な受光素子およびその製造方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は第1実施形態に係る受光素子を例示する平面図である。
図2A図2Aはメサを拡大した平面図である。
図2B図2B図2Aの線A-Aに沿った断面図である。
図3A図3Aは受光素子の製造方法を例示する平面図である。
図3B図3B図3Aの線A-Aに沿った断面図である。
図4A図4Aは受光素子の製造方法を例示する平面図である。
図4B図4B図4Aの線A-Aに沿った断面図である。
図5A図5Aは受光素子の製造方法を例示する平面図である。
図5B図5B図5Aの線A-Aに沿った断面図である。
図6A図6Aは受光素子の製造方法を例示する平面図である。
図6B図6B図6Aの線A-Aに沿った断面図である。
図7A図7Aは受光素子の製造方法を例示する平面図である。
図7B図7B図7Aの線A-Aに沿った断面図である。
図8図8は比較例に係る受光素子を例示する平面図である。
図9図9は第2実施形態に係る受光素子を例示する平面図である。
図10A図10Aは第3実施形態に係る受光素子を例示する平面図である。
図10B図10Bは第4実施形態に係る受光素子を例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0010】
本開示の一形態は、(1)半導体層と、前記半導体層の面に設けられ、前記半導体層に電気的に接続された電極と、を具備し、前記半導体層から複数のメサが形成され、前記複数のメサは2次元アレイ状に配列され、前記複数のメサのそれぞれに前記電極が設けられ、前記電極と前記半導体層とが接触する部分である接触部の外周は閉曲線である受光素子である。接触部の外周が閉曲線であるため、電界の集中を緩和することができる。ESD破壊を抑制することができる。
(2)上記(1)において、前記接触部の外周の半分以上は曲線でもよい。電界の集中を効果的に緩和することができる。
(3)上記(1)または(2)において、前記接触部の外周の曲率半径は、10μm以上、かつ前記接触部の幅の半分以下でもよい。電界の集中を効果的に緩和することができる。
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記メサを覆う絶縁膜を具備し、前記絶縁膜は前記メサの上に開口部を有し、前記開口部から前記半導体層の前記面が露出し、前記開口部から露出する前記面に前記電極が接触し、前記開口部の外周は前記閉曲線でもよい。電界の集中を緩和することで、絶縁破壊を抑制することができる。
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記メサの平面形状は曲線を含み、前記メサの曲線の曲率半径は5μm以上でもよい。電界の集中を効果的に緩和することができる。
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記メサの幅は前記接触部の幅より大きく、前記接触部の外周から前記メサの外周までの距離は10μm以下でもよい。メサにかかる電界が均一に近づく。
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記電極は金属層とバンプとを有し、前記金属層は前記半導体層の前記面に接触し、前記バンプは前記金属層のうち前記半導体層とは反対の面に設けられてもよい。バンプを用いて受光素子を外部の機器に接続することができる。
(8)上記(7)において、前記バンプの外周から前記メサの外周までの距離は5μm以下でもよい。メサにかかる電界が均一に近づく。
(9)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、前記半導体層は、順番に積層された第1半導体層、受光層、第2半導体層および第3半導体層を含み、前記第1半導体層は第1導電型を有し、前記第2半導体層および前記第3半導体層は、前記第1導電型とは異なる第2導電型を有し、前記接触部において、前記電極が前記第3半導体層の面に接触してもよい。pin接合を形成することができる。逆バイアス電圧を印加することで、空乏層が形成される。
(10)半導体層に複数のメサを形成する工程と、前記複数のメサに、前記半導体層に電気的に接続される電極を形成する工程と、を有し、前記複数のメサは2次元アレイ状に配列され、前記電極は前記半導体層の面に設けられ、前記電極と前記半導体層とが接触する部分である接触部の外周は閉曲線である受光素子の製造方法である。接触部の外周が閉曲線であるため、電界の集中を緩和することができる。ESD破壊を抑制することができる。
【0011】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る受光素子およびその製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0012】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係る受光素子100を例示する平面図である。受光素子100の平面形状は矩形である。受光素子100の2つの辺は、X軸方向に平行である。別の2つの辺はY軸方向に平行である。受光素子100の表面はXY平面に平行である。Z軸方向は、受光素子100の表面の法線方向である。X軸、Y軸、およびZ軸は互いに直交する。受光素子100のX軸方向の長さL1は例えば10mmである。Y軸方向の長さL2は例えば4.5mmである。
【0013】
受光素子100は例えばフォーカルプレーンアレイ(FPA:Focal Plane Array)センサである。複数のメサ10および電極30が、受光素子100の表面に2次元アレイ状に配列されている。隣接する2つのメサ10間のピッチPは例えば10μm以上であり、30μm、50μm、90μmとしてもよい。受光素子100は、近赤外光などの光を受光し、光の強度に応じた電気信号(電流)を出力する。
【0014】
図2Aはメサ10を拡大した平面図であり、1つのメサ10を図示している。図2B図2Aの線A-Aに沿った断面図である。
【0015】
図2Bに示すように、受光素子100は、基板12、半導体層14(第1半導体層)、受光層16、半導体層18、半導体層20、半導体層22(第2半導体層)、コンタクト層24(第3半導体層)を有する。基板12の上面に、半導体層14、受光層16、半導体層18、半導体層20がこの順番で積層されている。半導体層20は凸部を有する。半導体層20の凸部の上に半導体層22およびコンタクト層24が設けられている。
【0016】
半導体層20、半導体層22およびコンタクト層24はメサ10を形成する。メサ10は、受光素子100のメサ10以外の部分よりもZ軸方向に突出する。半導体層20、半導体層18、受光層16および半導体層14は、複数のメサ10の下、およびメサ10の間に広がる。絶縁膜26は、メサ10の上面および側面、半導体層20の上面を覆う。絶縁膜26は、メサ10の上に開口部27を有する。開口部27からはコンタクト層24が露出する。
【0017】
電極30はメサ10の上に設けられ、コンタクト層24に電気的に接続される。電極30は金属層32およびバンプ34を有する。バンプ34は金属層32の上面に設けられる。金属層32のうち周縁部は絶縁膜26の上に乗り上げ、中央部は絶縁膜26の開口部27の内側に位置する。金属層32は、開口部27を通じてコンタクト層24の上面に接触する。金属層32とコンタクト層24とが接触する部分を接触部40とする。
【0018】
基板12は、例えば厚さが0.5mmの半絶縁性インジウムリン(InP)で形成されている。基板12には例えば鉄(Fe)がドープされている。半導体層14は、例えば厚さが2μmのn型(第1導電型)インジウムリン(n-InP)で形成されている。n型のドーパントは例えばシリコン(Si)である。受光層16は、例えば厚さが4μmのインジウムガリウム砒素(InGaAs)で形成されている。半導体層18は、例えば厚さが0.05μmのノンドープのインジウムガリウム砒素リン(InGaAsP)で形成されている。半導体層20は、例えば厚さが0.5μmのn-InPで形成されている。半導体層22は、例えば厚さが0.2μmのp型(第2導電型)インジウムリン(p-InP)で形成されている。コンタクト層24は、例えば厚さが0.2μmのp型のInGaAsで形成されている。p型のドーパントは例えば亜鉛(Zn)である。基板12および半導体層は、上記以外の化合物半導体で形成されてもよい。
【0019】
基板12のうち半導体層14が設けられる面とは反対の面(下面)に反射防止膜25が設けられている。反射防止膜25および絶縁膜26は、窒化シリコン(SiN)などの絶縁体で形成される。
【0020】
金属層32は金属で形成されており、例えばコンタクト層24に近い方から順に設けられた、チタン、白金および金を積層した積層体(Ti/Pt/Au)などである。バンプ34はインジウム(In)などの金属で形成される。
【0021】
図2Bの電極30は、p型のコンタクト層24に接続されている。複数の電極30のうち一部はn型の半導体層14に接続される。つまり、受光素子100は、p型の電極とn型の電極とを有する。バンプ34を用いて、受光素子100を読み出し回路などの外部機器に接続する。p型の電極に負の電圧を印加し、n型の電極に正の電圧を印加する(逆バイアス電圧)。
【0022】
基板12のバンドギャップは例えば赤外光のエネルギーより大きい。赤外光は基板12で吸収されにくく、受光層16に吸収される。受光層16は赤外光を吸収し、キャリア(電子正孔対)を生成する。キャリアが移動し、電流が流れる。受光素子100から外部の機器に電流が出力される。
【0023】
図2Aにメサ10、電極30、接触部40が図示されている。メサ10の内側に電極30が位置する。接触部40の内側にバンプ34が位置する。メサ10の幅W1は例えば100μm以下であり、85μmでもよい。電極30の金属層32の幅W2は、メサ10の幅W1より小さい。開口部27の幅W3(接触部40の幅)は、金属層32の幅W2より小さく、例えば80μmである。接触部40の外周42からメサ10の外周までの最短距離L3は10μm以下および5μm以下などであり、2μm、2.5μmなどである。
【0024】
バンプ34の平面形状は円形である。金属層32の平面形状、および接触部40の平面形状は、それぞれ閉曲線である。閉曲線は、楕円弧などの曲線を有し、直線を含んでもよいが、頂点を有さない。
【0025】
メサ10の外周は、直線部10aと曲線部10bとを有する。4つの直線部10aのうち2つはX軸方向に平行である。別の2つはY軸方向に平行である。曲線部10bは例えば円弧であり、2つの直線部10aに連続する。曲線部10bの曲率半径は例えば10μm以上であり、20μm以上、30μm以上でもよい。
【0026】
絶縁膜26の開口部27の端部が、接触部40の外周42となる。外周42は閉曲線である。外周42は、2つの直線部44および2つの曲線部46を有する。直線部44はX軸方向に平行である。曲線部46は2つの直線部44に連続し、接触部40の外に向けて凸である。曲線部46は楕円弧または円弧などである。曲線部46は直線部44より長い。外周42の長さのうち、例えば半分以上を2つの曲線部46が占める。曲線部46の曲率半径は、例えば10μm以上であり、20μm以上、30μm以上でもよく、開口部27の幅(接触部40の幅に等しい)W3の半分(W4)以下である。つまり曲線部46の曲率半径は最大でW4とすることができる。
【0027】
電極30の金属層32の外周は、接触部40の外周42と同様に閉曲線であり、例えば外周42を定数倍拡大した形状である。金属層32は曲線部32aを有する。曲線部32aは、楕円弧または円弧などである。曲線部32aの曲率半径は、曲線部46の曲率半径R1よりも例えば1μm大きい。
【0028】
(製造方法)
図3A図4A図5A図6Aおよび図7Aは受光素子100の製造方法を例示する平面図であり、1つのメサ10に対応する部分を図示している。図3B図4B図5B図6Bおよび図7Bは対応する平面図の線A-Aに沿った断面図である。
【0029】
有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)などにより、基板12の1つの面に半導体層14、受光層16、半導体層18、20および22、コンタクト層24を、順番にエピタキシャル成長する。図3Aおよび図3Bに示すように、コンタクト層24が表面となる。
【0030】
図4Aおよび図4Bに示すように、メサ10を形成する。コンタクト層24に不図示のマスクを設ける。マスクの形状によってメサ10の平面形状を調整することができる。マスクから露出する部分にエッチングを行う。エッチングは半導体層20の途中まで進む。エッチングはドライエッチングまたはウェットエッチングである。エッチング後、マスクを除去する。
【0031】
図5Aおよび図5Bに示すように、例えばプラズマ化学気相成長法(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)により絶縁膜26を形成する。絶縁膜26はメサ10の側面および上面を覆う。基板12の下面には反射防止膜25が成膜される。図6Aおよび図6Bに示すように、エッチングにより絶縁膜26のうちメサ10の上の部分に開口部27を形成する。絶縁膜26には不図示のマスクを設ける。絶縁膜26のうちマスクから露出する部分が、エッチングによって除去される。マスクの形状によって開口部27の形状が定まる。エッチング後、マスクは除去する。
【0032】
図7Aおよび図7Bに示すように、例えば真空蒸着およびリフトオフによって、メサ10の上に金属層32を形成する。金属層32は、開口部27から露出するコンタクト層24に接触する。リフロー処理によって、金属層32の上にバンプ34を形成する。以上の工程によって、受光素子100が製造される。
【0033】
(比較例)
図8は比較例に係る受光素子を例示する平面図であり、1つのメサ10を図示している。メサ10、電極30の金属層32、および接触部40の平面形状は矩形である。矩形の頂点はとがった形状でもよいし、曲線の形状でもよい。図8の例においては頂点が曲線である。メサ10の頂点の曲率半径は例えば1μmである。接触部40は4つの直線部47、4つの頂点48を有する。接触部40の頂点48の曲率半径は例えば5μmである。頂点48の角度は90°である。逆バイアス電圧を印加すると、頂点48に電界が集中しやすい。電界の集中によって、頂点48付近でESD破壊が発生する恐れがある。絶縁膜26が絶縁破壊され、溶けることもある。
【0034】
第1実施形態によれば、接触部40において、電極30の金属層32がコンタクト層24に接触する。受光素子100に逆バイアス電圧を印加すると、接触部40の真下に電界がかかる。図2Aに示すように、第1実施形態の接触部40の外周42は閉曲線であり、頂点を有さない。接触部40における電界の集中が緩和されるため、ESD破壊を抑制することができる。
【0035】
図2Aに示すように、接触部40の外周42は、2つの直線部44と2つの曲線部46とを有する。曲線部46は例えば楕円弧または円弧である。曲線部46においては電界が集中しにくい。外周42が曲線部46を有することで、電界集中を効果的に緩和し、ESD破壊を抑制することができる。外周42のうち、半分以上は曲線部46である。電界集中を効果的に緩和することができる。外周42の長さのうち曲線部46が占める割合は、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、80%以上、90%以上でもよい。外周42は3つ以上の曲線部46を有してもよい。外周42の全体が曲線部46でもよい。
【0036】
外周42の曲線部46の曲率半径R1は、開口部27の幅W3の半分の長さW4以下である。曲率半径R1をW4とすることで、曲線部46を長くすることができる。電界集中を効果的に緩和することができる。曲率半径R1は、幅W3の50%でもよいし、40%以上、30%以上でもよいし、10%以上でもよい。曲率半径R1は、10μm以上、20μm以上、30μm以上などでもよい。
【0037】
電極30の金属層32の平面形状は閉曲線であり、例えば接触部40を拡大したような形状である。電界集中を効果的に緩和することができる。金属層32の曲線部32aの曲率半径R2は、接触部40の曲率半径R1より大きくてもよいし、R1に等しくてもよいし、R1より小さくてもよい。
【0038】
図2Bに示すように、半導体層20および22、ならびにコンタクト層24はメサ10を形成する。絶縁膜26はメサ10を覆う。絶縁膜26は、メサ10の上に開口部27を有する。電極30は、開口部27から露出するコンタクト層24に接触する。すなわち、図2Aに示すように、接触部40は開口部27の内側に形成される。開口部27の端部が接触部40の外周42となる。絶縁膜26に設けるエッチングマスクの形状によって、外周42の形状を定めることができ、図2Aのような閉曲線の形状とすることができる。電界の集中を緩和することで、絶縁破壊を抑制することができる。
【0039】
メサ10の平面形状は直線部10aおよび曲線部10bを含む。メサ10が曲線部10bを含むことで、電界集中を効果的に抑制することができる。曲線部10bの曲率半径R3は、外周42の曲線部46の曲率半径R1と同じでもよいし、R1より小さくてもよいし、R1より大きくてもよい。曲線部10bの曲率半径R3は、メサ10の幅W1の10%以上、30%以上、40%以上、50%などでもよい。曲率半径R3は、5μm以上、10μm以上、20μm以上、30μm以上でもよい。メサ10の周長のうち、曲線部10bの占める割合は20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上などでもよい。メサ10は、例えば接触部40を拡大したような形状でもよい。
【0040】
メサ10の幅W1は、金属層32の幅W2および接触部40の幅W3より大きい。接触部40の外周42から、メサ10の外周までの最短距離L3は、例えば10μm以下である。接触部40の下に電界がかかり、空乏層が形成されやすい。接触部40の外周42をメサ10の外周に近づけることで、メサ10の広い範囲に電界がかかる。受光素子100の受光感度が向上する。距離L3は15μm以下、10μm以下、5μm以下、3μm以下などでもよい。
【0041】
電極30はバンプ34を有する。バンプ34を用いて、受光素子100を外部の機器に電気的に接続し、電圧の印加、電流の出力などを行うことができる。図1に示すように、複数のメサ10が2次元アレイ状に配列されている。受光素子100は、複数の画素を有するFAPである。メサ10間のピッチPは例えば数十μmとする。メサ10同士は分離させ、かつメサ10を大きくする。例えば、メサ10の幅W1はピッチPよりも数μm小さい。メサ10を大きくすることで、光を受光できる面積が大きくなる。受光素子100の受光感度が向上する。複数のメサ10において電界の集中を緩和し、ESD破壊を抑制することができる。
【0042】
受光素子100は、半導体層14、受光層16、半導体層18、20および22、コンタクト層24を有する。n型の半導体層14、受光層16、p型の半導体層22およびコンタクト層24によって、pin接合が形成される。受光素子100に逆バイアス電圧が印加されることで、空乏層が形成される。受光層16は光を吸収し、キャリアを発生させる。キャリアが移動し、電流が流れる。すなわち、受光素子100は光を検知し、電流を出力する。接触部40において、電極30がコンタクト層24に接触する。電界集中が抑制されるため、ESD破壊を抑制することができる。p型の半導体層とn型の半導体層の積層の順番は図2Bの例とは逆でもよい。
【0043】
<第2実施形態>
図9は第2実施形態に係る受光素子を例示する平面図であり、1つのメサ10を図示している。第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0044】
図9に示すように、電極30のバンプ34は、接触部40よりも内側に位置する。バンプ34の平面形状は閉曲線であり、例えば円形である。バンプ34の幅W5(直径)は、接触部40の幅W3よりも数μm小さい。バンプ34の端部から接触部40の外周42までの最短距離L4は例えば5μm以下であり、3μm以下、2μm以下、1μm以下でもよい。バンプ34の端部からメサ10の端部までの距離L5は10μm以下でもよく、5μm以下でもよい。
【0045】
第2実施形態によれば、バンプ34が、接触部40と同様に閉曲線の形状を有する。電界集中を効果的に緩和することができる。逆バイアス電圧を印加した際に、バンプ34の下に、過渡的に電界が発生する。第1実施形態に比べて、バンプ34が大きいため、メサ10にかかる電界を均一に近づけることができる。電界がメサ10の全体に広がるため、電界の集中を抑制し、ESD破壊を抑制することができる。
【0046】
バンプ34の外周から接触部40の外周42までの最短距離L4は例えば5μm以下、10μm以下、3μm以下などでもよい。バンプ34の端部からメサ10の端部までの距離L5は10μm以下、5μm以下、4μm以下でもよい。距離L4およびL5が小さくなることで、メサ10の上面の面積に対して、バンプ34の占める割合が大きくなる。メサ10にかかる電界を均一に近づけることができる。
【0047】
表1に寸法の例を示す。表1のNo.1からNo.3のいずれにもおいても、図9のように接触部40の外周42、金属層32それぞれの平面形状は閉曲線である。バンプ34の平面形状は円形である。
【表1】
【0048】
表1のNo.1において、メサ10のピッチPは90μmであり、メサ10の幅W1は85μmである。接触部40の幅W3は80μmである。接触部40の曲線部46の曲率半径R1は最大で40μmである。金属層32の曲線部32aの曲率半径R2は41μmである。バンプ34の直径W5は78μmである。
【0049】
表1のNo.2において、メサ10のピッチPは50μmであり、メサ10の幅W1は47μmである。接触部40の幅W3は42μmである。曲線部46の曲率半径R1は最大で21μmである。曲線部32aの曲率半径R2は22μmである。バンプ34の直径W5は40μmである。
【0050】
表1のNo.3において、メサ10のピッチPは30μmであり、メサ10の幅W1は27μmである。接触部40の幅W3は23μmである。曲線部46の曲率半径R1は最大で11μmである。曲線部32aの曲率半径R2は12μmである。バンプ34の直径W5は21μmである。
【0051】
<第3実施形態>
図10Aは第3実施形態に係る受光素子を例示する平面図であり、1つのメサ10を図示している。第1実施形態または第2実施形態と同じ構成については説明を省略する。電極30の金属層32、バンプ34、および接触部40の平面形状はいずれも楕円である。金属層32の中心、バンプ34の中心および接触部40の中心は同一である。
【0052】
<第4実施形態>
図10Bは第4実施形態に係る受光素子を例示する平面図であり、1つのメサ10を図示している。第1実施形態または第2実施形態と同じ構成については説明を省略する。電極30の金属層32、バンプ34、および接触部40の平面形状はいずれも円である。金属層32の中心、バンプ34の中心および接触部40の中心は同一である。
【0053】
第3実施形態および第4実施時形態によれば、接触部40、金属層32およびバンプ34それぞれの形状は楕円または円であり、直線および頂点を有さない。電界の集中を効果的に緩和することができるため、ESD破壊を抑制することができる。
【0054】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 メサ
10a、44、47 直線部
10b、32a、46 曲線部
18、20 半導体層
14 半導体層(第1半導体層)
22 半導体層(第2半導体層)
24 コンタクト層(第3半導体層)
16 受光層
25 反射防止膜
26 絶縁膜
27 開口部
30 電極
32 金属層
34 バンプ
40 接触部
42 外周
48 頂点
100 受光素子
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B