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特開2024-43232積層体、包装袋、自立型包装袋及び紙製容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043232
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】積層体、包装袋、自立型包装袋及び紙製容器
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/10 20060101AFI20240322BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20240322BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240322BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20240322BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B32B27/10
B32B27/30 102
B32B27/20 A
B65D30/02
B65D65/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148300
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 基晴
(72)【発明者】
【氏名】澤木 恵子
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E064AA04
3E064AA08
3E064AA09
3E064AB23
3E064BA24
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA37
3E064BA40
3E064BA54
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064BC20
3E064EA06
3E064EA07
3E064EA30
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB01
3E086BB21
3E086BB62
3E086BB71
3E086CA01
3E086CA11
3E086CA28
4F100AA08B
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK01D
4F100AK21B
4F100AT00D
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100CA13B
4F100DG02A
4F100DG10A
4F100EH46
4F100EJ41
4F100EJ86
4F100GB15
4F100HB00B
4F100HB31
4F100JD02
4F100JK15
4F100JK15B
4F100JL10B
4F100JL12C
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】折割れの抑制ならびに絵柄再現性の向上が可能な積層体、並びに、それを用いた包装袋、自立型包装袋及び紙製容器を提供すること。
【解決手段】積層体は、シート状であって紙製の本体、及び、本体の一方面を覆う樹脂の塗布物であるコート層を有する樹脂コート基材と、本体の他方面の少なくとも一部を覆うシール層と、コート層の露出面上に位置するインキと、を備える。本体の坪量が、30g/m以上125g/m以下であり、樹脂コート基材の透気度が、1000秒以上20000秒以下であり、樹脂の塗布量が、2g/m以上10g/m以下であり、コート層が、ポリビニルアルコール系樹脂及び顔料を含有し、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が、顔料100質量部に対し、20質量部以上70質量部以下であり、コート層の露出面のベック平滑度が、200秒以上1000秒以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状であって紙製の本体、及び、前記本体の一方面を覆う樹脂の塗布物であるコート層を有する樹脂コート基材と、
前記本体の他方面の少なくとも一部を覆うシール層と、
前記コート層の露出面上に位置するインキと、
を備え、
前記本体の坪量が、30g/m以上125g/m以下であり、
前記樹脂コート基材の透気度が、1000秒以上20000秒以下であり、
前記樹脂の塗布量が、2g/m以上10g/m以下であり、
前記コート層が、ポリビニルアルコール系樹脂及び顔料を含有し、
前記ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が、前記顔料100質量部に対し、20質量部以上70質量部以下であり、
前記コート層の前記露出面のベック平滑度が、200秒以上1000秒以下である、積層体。
【請求項2】
前記顔料が白色顔料である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記樹脂コート基材の透気度が、1000秒以上11000秒以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記樹脂の塗布量が、2g/m以上5g/m以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項5】
前記ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が、前記顔料100質量部に対し、20質量部以上40質量部以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項6】
前記インキを覆うオーバーコート層を更に備える、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の積層体を備え、
前記本体の厚さ方向において互いに重なり合う前記シール層の一部と他の一部とが封止されている、包装袋。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の積層体によって形成される側胴部と、
前記側胴部に固定される底材と、を備える自立型包装袋。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の積層体の成形体である、紙製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、包装袋、自立型包装袋及び紙製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PET(ポリエチレンテレフタレート)等を基材としたプラスチックフィルムから形成される包装袋が利用されている。例えば、下記特許文献1には、ポリエステル基材にガスバリア層が積層されてなるポリエステル積層体を含有する包装用袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-150807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、上記特許文献1に例示される樹脂基材を用いた包装袋の代わりに、例えばコート紙を基材とした包装袋が用いられつつある。しかしながら、コート紙を基材とした包装袋に関しては、絵柄再現性はよいものの、コート部分に折割れが発生するという問題があった。一方で、例えばクラフト紙のようなコートされていない紙を基材とした包装袋に関しては、絵柄再現性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明の一側面の目的は、折割れの抑制ならびに絵柄再現性の向上が可能な積層体、並びに、それを用いた包装袋、自立型包装袋及び紙製容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る積層体は、シート状であって紙製の本体、及び、上記本体の一方面を覆う樹脂の塗布物であるコート層を有する樹脂コート基材と、上記本体の他方面の少なくとも一部を覆うシール層と、上記コート層の露出面上に位置するインキと、を備える。上記本体の坪量が、30g/m以上125g/m以下であり、上記樹脂コート基材の透気度が、1000秒以上20000秒以下であり、上記樹脂の塗布量が、2g/m以上10g/m以下であり、上記コート層が、ポリビニルアルコール系樹脂及び顔料を含有し、上記ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が、上記顔料100質量部に対し、20質量部以上70質量部以下であり、上記コート層の上記露出面のベック平滑度が、200秒以上1000秒以下である。
【0007】
上記積層体が備える樹脂コート基材は、シート状であって紙製の本体の一方面を覆う樹脂の塗布物であるコート層を有する。樹脂の塗布量は2g/m以上10g/m以下である。樹脂の塗布量が2g/m以上であることにより、絵柄再現性が向上する。上記コート層の、上記本体とは反対側の面(露出面)のベック平滑度は、200秒以上1000秒以下である。ベック平滑度が200秒以上であることにより、絵柄再現性が向上する。ベック平滑度が1000秒以下であることにより、折割れに対する耐性を向上できる。インキは、顔料を含有する樹脂コート基材上に位置する。この場合、紙製の本体に直接インキが付される場合と比較して、絵柄再現性を向上できる。また、コート層が、顔料100質量部に対して20質量部以上70質量部以下のポリビニルアルコール系樹脂を含有する。ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が、顔料100質量部に対して20質量部以上であることで、コート層の折割れに対する耐性を向上できる。
【0008】
上記顔料が、白色顔料であってよい。この場合、インキの発色を強調でき、絵柄再現性がより向上する。
【0009】
上記樹脂コート基材の透気度が、1000秒以上11000秒以下であってよい。この場合、コート層の折割れに対する耐性を確実に向上できる。
【0010】
上記樹脂の塗布量が、2g/m以上5g/m以下であってよい。この場合、コート層の折割れに対する耐性を確実に向上できる。
【0011】
上記ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が、上記顔料100質量部に対し、20質量部以上40質量部以下であってよい。この場合、コート層を迅速に形成できる。
【0012】
上記積層体は、上記インキを覆うオーバーコート層を更に備えていてよい。
【0013】
本発明の一側面に係る包装袋は、上記積層体を備え、上記本体の厚さ方向において重なり合う上記シール層の一部と他の一部とが封止されている。
【0014】
本発明の一側面に係る自立型包装袋は、上記積層体によって形成される側胴部と、上記側胴部に固定される底材と、を備える。
【0015】
本発明の一側面に係る紙製容器は、上記積層体の成形体である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、折割れの抑制ならびに絵柄再現性の向上が可能な積層体、並びに、それを用いた包装袋、自立型包装袋及び紙製容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、積層体1の概略断面図である。
図2図2は、包装袋2の概略平面図である。
図3図3は、変形例に係る包装袋2Aの概略平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った概略断面図である。
図5図5は、変形例に係る包装袋2Aを展開して得られる積層体1の平面図である。
図6図6は、変形例に係る包装袋2Bの概略正面図である。
図7図7は、変形例に係る包装袋2Bの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。本明細書において、所定の物質の質量部及び質量%のそれぞれは、乾燥固形分あるいは実質成分の値を示す。
【0019】
<積層体>
図1を参照しながら、積層体1について詳細に説明する。図1は、積層体1の概略断面図である。積層体1は、図2に示される包装袋2、図3に示される包装袋2A、図6に示される包装袋2B等を形成するために用いられる包装用紙(包装用積層体)である。積層体1は、要求される性能(例えば、ガスバリア性、遮光性、耐水性、耐温湿性、機械的強度、印刷容易性、印刷適性、装飾容易性等)を備え得る。なお、ガスバリア性は、酸素、水蒸気等のガス透過を防止または抑制する性能(透気防止性)を意味する。耐水性は、包装袋2等が濡れたときの強度低下率によって評価される。積層体1は、本体11及びコート層12を有する樹脂コート基材10と、シール層13と、インキ14と、オーバーコート層15とを備える。樹脂コート基材10と、シール層13と、オーバーコート層15とは、本体11の厚さ方向(以下、単に「厚さ方向」ともいう。)において互いに重なっている。
【0020】
本体11は、抄紙された紙自体から形成されるフィルム状部材であり、主面11a,11bを有する。主面11a,11bは、本体11の厚さ方向に対して交差する面である。積層体1から包装袋2が形成されたとき、主面11aは包装袋2の外表面側に位置する一方面であり、主面11bは包装袋2の内表面側に位置する他方面である。本体11を構成する紙は特に限定されず、例えば、上質紙、特殊上質紙、アート紙、和紙、模造紙、クラフト紙等である。本実施形態では、本体11は、晒クラフト紙であるが、これに限られない。本体11は、例えば、未晒クラフト紙でもよい。包装袋2の外表面における美粧性の観点から、本体11は、雲龍紙でもよいし、混抄紙でもよい。
【0021】
本体11の質量は、例えば、本体11と、コート層12と、シール層13と、インキ14と、オーバーコート層15との合計質量に対して51%以上である。この場合、成形性よく積層体1から包装袋を製造できる。
【0022】
本体11の坪量は、30g/m以上125g/m以下である。本体11の坪量が30g/m以上である場合、積層体1の一部と他部との貼り合わせ加工を実施するとき、積層体1を袋形状に成形するときなどに、本体11に破損が生じにくくなる。積層体1に視認し得る破損等が生じることをより抑制できる観点から、本体11の坪量の下限値は、例えば40g/mでもよいし、50g/mでもよいし、60g/mでもよい。本体11の坪量が125g/m以下である場合、積層体1が硬くなりすぎないので、当該積層体1を袋形状に成形しやすくなる。加えて、シール層13がヒートシールされる場合、本体11を介してシール層13に良好に伝熱されるので、良好なシール性が発揮される。本体11の坪量の上限値は、110g/mでもよいし、100g/mでもよいし、90g/mでもよいし、80g/mでもよい。本体11の坪量は、50g/m以上100g/m以下でもよい。
【0023】
コート層12は、本体11の主面11aを覆うフィルム状部材であり、主面12a,12bを有する。積層体1の透気防止性の観点から、コート層12は、本体11の主面11aの全面を覆う。主面12a,12bは、本体11の厚さ方向に対して交差する面である。主面12aは、コート層12における露出面であり、コート層12の本体11とは反対側の面に相当する。主面12bは、厚さ方向において本体11に対向する面である。主面12bは、本体11の主面11aに接触してもよい。コート層12は、ポリビニルアルコール系樹脂(PVA系樹脂)及び顔料を含有する。コート層12は、樹脂の塗布物である。
【0024】
コート層12を構成する樹脂の塗布量は、2g/m以上10g/m以下である。本明細書において、塗布量とは乾燥固形分としての数値を意味する。当該塗布量が2g/m以上である場合、積層体1の絵柄再現性(印刷再現性)が良好になる。上記塗布量の下限値は、3g/mでもよいし、4g/mでもよい。上記塗布量が10g/m以下である場合、樹脂コート基材10の形成時におけるシワ発生を防止できる。上記塗布量の上限値は、8g/mでもよいし、6g/mでもよいし、5g/mでもよい。上記塗布量は、2g/m以上5g/m以下でもよい。なお、絵柄再現性が高いとは、積層体1に印刷される絵柄が、表示装置等に表示される元図の絵柄に近いことを意味する。また、コート層12の厚さは、例えば1μm以上10μm以下である。コート層12の厚さは、3μmでもよいし、5μmでもよいし、8μmでもよい。
【0025】
コート層12を構成する樹脂は、絵柄再現性を向上させる観点から、顔料を含有する。顔料は、インキ14の発色を強調でき、絵柄再現性がより向上する観点から、白色顔料であってよい。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリンクレー、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等が挙げられる。
【0026】
コート層12は、顔料100質量部に対して20質量部以上70質量部以下のポリビニルアルコール系樹脂を含有する。コート層12が、顔料100質量部に対して20質量部以上のポリビニルアルコール系樹脂を含有する場合、コート層12の折割れに対する耐性を向上できる。ポリビニルアルコール系樹脂の含有量の下限値は、25質量部でもよいし、30質量部でもよい。ポリビニルアルコール系樹脂の含有量の上限値は、60質量部でもよいし、50質量部でもよいし、40質量部でもよい。ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、20質量部以上40質量部以下であってよい。
【0027】
コート層12の主面12aのベック平滑度は、絵柄再現性の向上の観点、及び、折割れに対する耐性向上の観点から、200秒以上1000秒以下である。コート層12の主面12aのベック平滑度の下限値は、250秒でもよいし、300秒でもよいし、350秒でもよい。コート層12の主面12aのベック平滑度の上限値は、900秒でもよいし、850秒でもよいし、800秒でもよい。ベック平滑度は、JIS P 8119:1998「紙及び板紙-ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠して求められる値である。
【0028】
樹脂コート基材10の透気度は、1000秒以上20000秒以下である。樹脂コート基材10の透気度が1000秒以上である場合、樹脂コート基材10を含む積層体1は、良好な透気防止性を示すことができる。樹脂コート基材10の透気度が20000秒以下である場合、樹脂コート基材10の形成時におけるシワの発生を防止できる。コート層12の折割れに対する耐性確保の観点から、樹脂コート基材10の透気度は、1000秒以上11000秒以下でもよい。樹脂コート基材10の透気度は、JIS P 8117:2009「紙及び板紙-透気度及び透気度抵抗度試験方法」に準拠して求められる値である。
【0029】
シール層13は、積層体1の一部と他部とを貼り付けるために用いられており、本体11の主面11b上に位置する。このため、シール層13は、厚さ方向において本体11を挟んでコート層12の反対側に位置する。また、積層体1から包装袋を形成したとき、シール層13は、本体11よりも内側に位置する。本実施形態では、シール層13は、主面11bの全部を覆うが、これに限られず、一部のみを覆っていてもよい。
【0030】
シール層13は、ヒートシールニスであってもよく、コールドシールニスであってもよい。シール層13は、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合及びそれらの混合材料を含んでいてよい。より具体的には、シール層13は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)を含んでいてよい。また、シール層13は、アクリル系水性エマルジョン、水性ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)系、酢酸ビニル系、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコン、ポリブテン等の水性エマルジョンであってもよい。シール層13は、上述した樹脂のうち1種類の樹脂を含んでもよいし、複数種類の樹脂を含んでもよい。シール層13は、フィラー等を含んでもよい。シール層13は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のシーラントであってもよい。
【0031】
シール層13の厚さは、シール性の観点から、0.5μm以上5μm以下であってよく、1μm以上4μm以下であってよく、2μm以上3μm以下であってもよい。
【0032】
インキ14は、積層体1において印刷された部分に相当し、コート層12の主面12a上に位置する。コート層12上に位置するインキ14によって、積層体1に図柄等が形成される。本実施形態では、インキ14は、例えば水性もしくは油性のインクが印刷された部分であり、コート層12の主面12aに付着している。インキ14に含まれるインクの少なくとも一部は、主面12aに浸み込んでもよい。インキ14は、複数のインクの混合又は複数のインクの重ね合わせによって形成されていてよい。印刷適性、コスト等の観点から、インキ14の厚さは、例えば0.1μm以上2μm以下である。本実施形態では、インキ14の厚さは、1μm程度である。インキ14は、コート層12の主面12aの全体に付着していてもよく、主面12aの一部のみに付着していてもよい。積層体1がインキ14を備えることで、積層体及び包装袋の意匠性が向上する。
【0033】
オーバーコート層15は、包装袋2の最外面に相当し、インキ14及びコート層12の主面12aを保護する。オーバーコート層15は、コート層12の主面12a及びインキ14を覆う。本実施形態では、オーバーコート層15は、コート層12の主面12aに完全に重なっているが、これに限られない。オーバーコート層15は、例えば、ニス等の塗料、紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を含む。意匠性及び成形性の観点から、オーバーコート層15の厚さは、例えば0.1μm以上5μm以下であってよい。塗料を用いた場合、コスト、コーティング性能等の観点から、塗料を用いた場合のオーバーコート層15の厚さは、0.1μm以上3μm以下でもよい。紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂を用いた場合、オーバーコート層15の厚さは、1μm以上5μm以下でもよい。コスト、コーティング性能等の観点から、上記樹脂を用いた場合におけるオーバーコート層15の厚さは、1μm以上3μm以下でもよい。
【0034】
積層体1は、蒸着層、ナイロン層等を更に備えてもよい。蒸着層は、バリアコート層の機能、耐水コート層の機能、耐油コート層の機能及び補強層の機能の少なくとも一つを有してもよい。蒸着層は、例えば、シリカ蒸着層、アルミナ蒸着層、アルミ蒸着層等である。蒸着層は、例えば物理気相成長法によって形成される。蒸着層は、本体11上に形成され得るが、これに限られない。
【0035】
<包装袋の概要>
図2を参照しながら、本実施形態に係る包装袋2について説明する。図2は、包装袋2の概略平面図である。
【0036】
図2に示される包装袋2は、固体等を収容する密封容器であり、例えば紙製包装袋である。紙製包装袋は、日本の資源有効利用促進法に基づき、紙製容器包装の識別表示が付される包装体(紙製容器)である。本実施形態に係る包装袋2の主成分は、紙でもよい。この場合、包装袋2の合計質量のうち、紙の質量が51%以上である。包装袋2は、積層体1(図1を参照)から構成されると共に、内容物を収容していてよい。包装袋2は、例えば内容物を挟むように二つ折りにした積層体1の端部を封止することによって、袋形状に成形される。換言すると、包装袋2は、例えば積層体1の成形体である。内容物は、特に限定されず、例えば飲食物、医薬品、化粧品、化学品、電子機器、工具、文房具等である。内容物は、固体に限られず、液体、気体でもよい。内容物は、個包装されてもよい。
【0037】
包装袋2は、内容物が収容される本体部4と、本体部4の端部に位置するシール部5と、積層体1が折り曲げられた折曲部6とを有する。本体部4の形状は、特に限定されず、例えば所定の方向から見て矩形状を呈する。本体部4の外表面における少なくとも一部には、印刷が施されている(不図示)。本体部4には、例えば、内容物に加えて窒素等の特定の気体が収容されてもよい。シール部5は、積層体1の一部と他部とが貼り合わされる部分である。シール部5においては、積層体1の一部と他部とが互いに密着している。シール部5は、例えば積層体1の一部と他部とが加熱及び圧縮される(すなわち、ヒートシールされる)ことによって形成されるが、これに限られない。例えば、シール部5は、コールドシール等によって形成されてもよい。本実施形態では、所定の方向から見て、折曲部6が本体部4の一辺を構成し、シール部5が本体部4の残り三辺を構成する。折曲部6の両端と、シール部5とは重なっている。
【0038】
以下では、積層体1を用いて包装袋2を製造する方法の一例について説明する。まず、シート状であって紙製の本体11を準備する(第1工程)。第1工程では、例えば公知の抄紙条件、抄紙方式にて、本体11を形成する。本体11の厚さ方向から見て、本体11は、略矩形状を呈する。本体11の主材料として、クラフトパルプのみが用いられてもよいし、古紙パルプのみが用いられてもよいし、クラフトパルプと古紙パルプとの混合物が用いられてもよい。クラフトパルプの種類、及び古紙パルプの種類のそれぞれは、特に限定されない。本体11を形成するとき、硫酸バンド、ロジン等のサイズ剤、ポリアミド、澱粉等の紙力増強剤、濾水歩留まり向上剤、ポリアミドポリアミンエピクロヒドリン等の耐水化剤、染料などが使用されてもよい。
【0039】
次に、本体11の主面11aを覆うコート層12を形成する(第2工程)。第2工程においては、ポリビニルアルコール系樹脂及び顔料が溶解された溶液を、主面11aに塗布し、乾燥させる。溶液の塗布には、ロールコート法、エアナイフ法、ドクターブレード法、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、デジタル印刷、キャストコート等の公知の手法が用いられる。第1工程及び第2工程により、樹脂コート基材10が形成される。
【0040】
次に、コート層12の主面12a上に、インキ14を形成する(第3工程)。第3工程では、公知の印刷方法にて主面12a上にインクを印刷することによって、インキ14を形成する。公知の印刷方法は、例えばグラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、デジタル印刷等である。
【0041】
次に、本体11の主面11bの一部を覆うシール層13を形成する(第4工程)。第4工程では、まず、例えばヒートシールニス等の樹脂が溶解された溶液(コーティング液)を、主面11bにコーティングする。続いて、上記コーティング液から溶媒を除去することによって、シール層13を形成する。溶媒の除去は、例えばコーティング液が塗布された本体11を室温よりも高い温度環境に静置することによって、実施される。
【0042】
次に、コート層12の主面12a及びインキ14を覆うオーバーコート層15を形成する(第5工程)。第5工程では、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、ロールコート法、エアナイフ法、ドクターブレード法等の周知の方法によって、コート層12の主面12aの全体に対してオーバーコート層15を形成する。オーバーコート層15が熱可塑性樹脂を含む場合、例えばエクストルーダー加工(押出成形加工)によってオーバーコート層15が形成されてもよい。
【0043】
次に、このようにして得られた積層体1を曲げ、シール層13の一部と他の一部とを接着することによって、袋形状の包装袋2を形成する(第6工程)。第6工程では、まず、積層体1を二つ折りにする。このとき、シール層13が内側に位置し、且つ、二つ折りされた積層体1の一方と他方との縁が揃うように、積層体1を折り曲げる。二つ折りされた積層体1は、略矩形状を呈している。積層体1において折り曲げられた部分を除く3つの縁は、開放端となっている。続いて、折り曲げた積層体1の間に内容物を供給した後、上記3つの縁及びその周辺を加熱条件下で加圧する。このとき、当該縁及びその周辺にて接しているシール層13の一部と他部とが接着される。これにより、内容物を収容する密封容器である包装袋2が形成される。
【0044】
上記実施形態では、第1工程から第6工程を順次実施することによって包装袋が製造されるが、これに限られない。第1工程から第6工程の順番は、適宜変更されてもよい。例えば、第4工程が第2工程の前に実施されてもよい。
【0045】
以上に説明した本実施形態に係る製造方法で製造される包装袋2によって得られる作用効果について、以下にて説明する。包装袋2は、紙製の本体11及びコート層12を有する樹脂コート基材10と、シール層13と、インキ14と、オーバーコート層15とを有する積層体1を用いて形成される。
【0046】
本実施形態では、本体11の坪量は30g/m以上125g/m以下である。本体11の坪量が30g/m以上である場合、積層体1の一部と他部との貼り合わせ加工を実施するとき、積層体1を袋形状に成形するときなどに、本体11に破損が生じにくくなる。本体11の坪量が125g/m以下である場合、積層体1が硬くなりすぎないので、当該積層体1を袋形状に成形しやすくなる。加えて、シール層13がヒートシールされる場合、本体11を介してシール層13に良好に伝熱されるので、良好なシール性が発揮される。
【0047】
本実施形態では、コート層12は、本体11の一方面を覆う樹脂の塗布物である。樹脂の塗布量は2g/m以上10g/m以下である。当該塗布量が2g/m以上である場合、積層体1の絵柄再現性(印刷再現性)が良好になる。上記塗布量が10g/m以下である場合、樹脂コート基材10の形成時におけるシワ発生を防止できる。また、コート層12の主面12aのベック平滑度は、200秒以上1000秒以下である。ベック平滑度が200秒以上であることにより、絵柄再現性が向上する。ベック平滑度が1000秒以下であることにより、折割れに対する耐性を向上できる。加えて、コート層12が、顔料100質量部に対して20質量部以上70質量部以下のポリビニルアルコール系樹脂を含有する。コート層12が、顔料100質量部に対して20質量部以上のポリビニルアルコール系樹脂を含有する場合、コート層12の折割れに対する耐性を向上できる。コート層12が、顔料100質量部に対して70質量部以下のポリビニルアルコール系樹脂を含有する場合、当該樹脂が乾燥しやすい。このため、コート層12の製造時間を短縮できる(コート層12を迅速に形成できる)。
【0048】
本実施形態では、樹脂コート基材10の透気度は、1000秒以上20000秒以下である。樹脂コート基材10の透気度が1000秒以上である場合、樹脂コート基材10を含む積層体1は、良好な透気防止性を示すことができる。樹脂コート基材10の透気度が20000秒以下である場合、樹脂コート基材10の形成時におけるシワの発生を防止できる。
【0049】
本実施形態では、インキ14は、コート層12上に位置する。コート層12は顔料を含有する。本体11の表面には色むらが発生することがあるが、コート層12に含有される顔料により、本体11の表面を所望の色に均一に着色することができる。そのため、紙製の本体11に直接インキが付される場合と比較して、絵柄再現性が向上する。
【0050】
以上より、本実施形態によれば、折割れの抑制ならびに絵柄再現性の向上が可能な包装袋2を提供できる。
【0051】
以下では、図3図5を参照しながら、上記実施形態の変形例について説明する。以下の変形例において、上記実施形態と重複する箇所の説明は省略する。したがって以下では、上記実施形態と異なる箇所を主に説明する。図3は、変形例に係る包装袋2Aの概略平面図である。図4は、図3のIV-IV線に沿った概略断面図である。図5は、変形例に係る包装袋2Aを展開して得られる積層体1の平面図である。
【0052】
変形例に係る包装袋2Aは、上記実施形態と同様に積層体1から構成されるピロー包装袋である。ピロー包装袋は、例えば公知のピロー包装充填機等を用いることによって形成できる。本変形例では、上記包装充填機等を用いて、シール層13が内側に位置するように積層体1を曲げた後、シール層13の一部と他の一部とを接着することによって、ピロー包装袋である包装袋2Aが形成される。包装袋2Aの本体11は、筒形状を呈する本体部21と、フランジ部22とを有する。以下では、本体部21の軸方向を図3に示される方向Xとし、方向Xに直交する方向を方向Yとする。方向Yは、図5に示されるように本体11の展開時において、本体11の厚さ方向及び方向Xに直交する方向に相当する。
【0053】
本体部21は、包装袋2Aの内容物が収容される部分である。本体部21は、積層体1を方向Yに沿って丸めることによって形成される。方向Xにおける本体部21の両端23は、シール層13によって封止されている。内容物の収容製の観点から、方向Xに沿った本体部21の寸法は、例えば、方向Xに沿った本体11の寸法の80%以上である。両端23のシール性の観点から、方向Xに沿った本体部21の寸法は、例えば、方向Xに沿った本体11の寸法の90%以下である。包装袋2Aを容易に破るため、本体部21には切り込みが設けられてもよい。この場合、両端23の一方のみに切り込みが設けられてもよい。
【0054】
フランジ部22は、包装袋2Aの形成時に設けられる部分であり、方向Xに沿って延在すると共に本体部21から突出する。フランジ部22は、方向Xにおける包装袋2Aの一端から他端まで延在する。フランジ部22は、本体11の展開時の方向Yにおける本体11の一対の端部11c,11dがシール層13によって貼り合わされた部分に相当する(図5を参照)。本体11の展開時において、方向Yに沿ったフランジ部22の寸法は、例えば、方向Yに沿った本体11の寸法の2%以上5%以下である。この場合、包装袋2Aの容積を確保しつつ、フランジ部22が良好に貼り合わせられる。シール層13を介した一対の端部11c,11dの貼り合わせは、シール層13を介した本体部21の両端23の封止と同時に実施される。
【0055】
本変形例においても、上記実施形態と同様に、折割れの抑制ならびに絵柄再現性の向上が可能である。
【0056】
図4においては、本体11、コート層12、シール層13及びインキ14のみが積層されているが、これに限られない。例えば、オーバーコート層等が積層されてもよい。
【0057】
以下では、図6及び図7を参照しながら、上記実施形態の別の変形例2Bについて説明する。以下の変形例において、上記実施形態と重複する箇所の説明は省略する。したがって以下では、上記実施形態と異なる箇所を主に説明する。図6は、別の変形例に係る包装袋2Bの概略正面図である。図7は、別の変形例に係る包装袋2Bの概略断面図である。
【0058】
変形例に係る包装袋2Bは、上記実施形態に係る積層体1と、その他の部材とから構成される自立型包装袋(スタンディングパウチ)である。自立型包装袋は、公知の方法で製造することができる。図6,7に示されるように、包装袋2Bは、積層体1によって形成されると共に第一の側胴部31及び第二の側胴部32を有する側胴部30と、上記その他の部材によって形成されると共に側胴部30に固定される底材33と、サイドシール部34とを備える。なお、底材33は、積層体1によって形成されてもよい。
【0059】
側胴部30は、包装袋2Bの本体部として機能する部材である。本変形例では、第一の側胴部31と第二の側胴部32とのそれぞれは、同一の積層体1によって形成されるが、これに限られない。第一の側胴部31は、例えば包装袋2Bの正面として用いられ、第二の側胴部32は、例えば包装袋2Bの裏面として用いられる。包装袋2Bを台上に自立した状態において、第一の側胴部31の下端部31aと、第二の側胴部32の下端部32aとのそれぞれは、当該台に接触する。このため、下端部31a,32aのそれぞれは、包装袋2Bの底部として機能する。なお、下端部31aは、積層体1の長手方向における一端部に相当し、下端部32aは、積層体1の長手方向における他端部に相当する。また、各側胴部の上端部は、解放されていてもよく、各側胴部の上端部同士がシールされていてもよい。
【0060】
底材33は、包装袋2Bにおいて内容物を受け止めるシート部材であり、山折り部33aと、端部33b,33cを有する。端部33bは、第一の側胴部31の下端部31aに接触し、端部33cは、第二の側胴部32の下端部32aに接触する。包装袋2Bが台上に自立した状態において、底材33は、逆V字状に配置される。このとき、端部33b,33cは、上記台に接触し得る。
【0061】
包装袋2Bには、サイドシール部34と、底シール部35,36とが設けられる。これにより、包装袋2Bは密封される。サイドシール部34は、側胴部30の一部と他部とが貼り合わされる部分である。本変形例では、サイドシール部34は、第一の側胴部31の各側端部と、第二の側胴部32の各側端部とが貼り合わされる部分である。底シール部35は、第一の側胴部31の下端部31aと、底材33の端部33bとが貼り合わされる部分である。底シール部36は、第二の側胴部32の下端部32aと、底材33の端部33cとが貼り合わされる部分である。
【0062】
本発明の一側面に係る積層体、包装袋及び紙製容器は、以下の[1]~[9]に記載するとおりであり、上記実施形態及び上記変形例に基づいてこれらを詳細に説明した。
[1] シート状であって紙製の本体、及び、前記本体の一方面を覆う樹脂の塗布物であるコート層を有する樹脂コート基材と、前記本体の他方面の少なくとも一部を覆うシール層と、前記コート層の露出面上に位置するインキと、を備え、前記本体の坪量が、30g/m以上125g/m以下であり、前記樹脂コート基材の透気度が、1000秒以上20000秒以下であり、前記樹脂の塗布量が、2g/m以上10g/m以下であり、前記コート層が、ポリビニルアルコール系樹脂及び顔料を含有し、前記ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が、前記顔料100質量部に対し、20質量部以上70質量部以下であり、前記コート層の前記露出面のベック平滑度が、200秒以上1000秒以下である、積層体。
[2] 前記顔料が白色顔料である、[1]に記載の積層体。
[3] 前記樹脂コート基材の透気度が、1000秒以上11000秒以下である、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記樹脂の塗布量が、2g/m以上5g/m以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 前記ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が、前記顔料100質量部に対し、20質量部以上40質量部以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] 前記インキを覆うオーバーコート層を更に備える、[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の積層体を備え、前記本体の厚さ方向において互いに重なり合う前記シール層の一部と他の一部とが封止されている、包装袋。
[8] [1]~[6]のいずれかに記載の積層体によって形成される側胴部と、前記側胴部に固定される底材と、を備える自立型包装袋。
[9] [1]~[6]のいずれかに記載の積層体の成形体である、紙製容器。
【0063】
本発明の一側面に係る積層体、包装袋及び紙製容器は、上記実施形態、上記変形例及び上記[1]~[9]に限られない。例えば、上記実施形態では、積層体は、本体、コート層、シール層、インキ及びオーバーコート層を備えるが、これに限られない。例えば、積層体は、バリアコート層、耐水コート層及び耐油コート層の少なくとも一つを備えてもよい。バリアコート層、耐水コート層及び耐油コート層の少なくとも一つは、例えば、本体とシール層との間に位置してもよいし、本体とコート層との間に位置してもよいし、コート層とインキとの間に位置してもよい。バリアコート層、耐水コート層及び耐油コート層は、例えば既存の手法、材料にて形成できる。あるいは、積層体は、物理的強度を向上させるための補強層を備えてもよい。補強層は、例えば、本体とシール層との間に位置してもよいし、本体とコート層との間に位置してもよいし、本体とインキとの間に位置してもよい。補強層は、例えば未延伸フィルムでもよいし、延伸フィルムでもよい。この場合、補強層は、例えばポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を含む。もしくは、シール層上に上記バリアコート層、補強層等が形成されてもよい。この場合、これらの層は、シール層の接着時に破壊可能な厚さであればよい。破壊可能な厚さは、例えば5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよく、1μm以下であってもよい。
【0064】
包装袋2、変形例に係る包装袋2A、別の変形例に係る包装袋2B及び上記紙製容器も、上述したバリアコート層、耐水コート層、耐油コート層、補強層等を備えてもよい。例えば別の変形例に係る包装袋2Bは、本体11とシール層13との間にバリアコート層を備えていてよい。
【0065】
包装袋2及び変形例に係る包装袋2Aは、上述したように積層体1を二つ折りにして製造されてよいし、複数回屈曲されて製造されてもよい。また、包装袋2、変形例に係る包装袋2A、及び、別の変形例に係る包装袋2Bは、積層体1を折り曲げることなく製造されてもよい。この場合、例えば互いに重ね合わせた2枚の積層体1の端部を封止することによって、各包装袋を製造する。また、包装袋2、変形例に係る包装袋2A、及び、別の変形例に係る包装袋2Bは、必ずしも密封されなくてもよい。例えば、各包装袋の少なくとも一部が開放されてもよい。もしくは、各包装袋の一部には、開閉自在な部分が形成されてもよい。同様に、紙製容器も、密封されなくてもよい。この場合、紙製容器は、例えば側壁部と側壁部の一方端を封鎖する底面部とを備える。側壁部と底面部とは、同一の積層体から形成されてもよいし、互いに異なる積層体からそれぞれ形成されてもよい。密封されない紙製容器は、例えば、紙皿、紙コップ等である。
【実施例0066】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例及び比較例において示す質量部及び質量%は、乾燥固形分あるいは実質成分の値を示す。また、塗布量(g/m)は乾燥固形分の値を示す。
【0067】
(実施例1)
<積層体>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)70質量%(固形分)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)30質量%(固形分)を混合した。更に、内添サイズ剤0.2質量%、内添紙力剤0.5質量%を添加して、本体となる原紙(クラフト紙)を抄造した。このとき、原紙の坪量は65g/mに調整し、矩形状に成形した。次に、顔料である軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社製、「TP-121」)100質量部に対して、PVA系樹脂(株式会社クラレ製、「クラレポバール11-98」)30質量部を混合し、塗工液を得た。得られた塗工液を5g/mの塗布量で本体の一方面上に塗布した。次に、塗布した塗工液を乾燥させて、カレンダー処理を行い、上記一方面の全体を覆うコート層を有する樹脂コート基材(コート紙)を得た。次に、所望する文字及び絵柄が描かれた元図を用意した。コート層の露出面に当該元図が現れるように、当該露出面に色インキをグラビア印刷で印刷した。当該色インキを乾燥した。乾燥後の色インキの厚さが約1μmになるように、色インキの印刷が実施された。
【0068】
次に、ヒートシールニス(HSニス、三井化学株式会社製、「ケミパール」)を、本体の他方面上に塗工した。このとき、HSニスの乾燥後の厚さが3μmになるように塗工した。そして、顔料混合HSニスを90℃で20秒間乾燥処理することによって、本体の片側の面上に厚さ3μmのシール層を形成した。
【0069】
乾燥後の色インキ上に、グラビア印刷でオーバープリントニス(OPニス)を印刷した。OPニスとしては、サカタインクス株式会社製、「グラトーンPCN OPニス」を用いた。OPニスは、色インキ及びコート層を覆うように印刷された。乾燥後のOPニスの厚さがおよそ1μmになるように、上記印刷が実施された。このようにして、OPニス、インキ、樹脂コート基材及びシール層を有する積層体を形成した。
【0070】
<ピロー包装袋>
まず、上記積層体をシール層が内側に位置するように曲げ、両端を約1cm重ね合わせてヒートシールした。これにより、背シールが形成された筒状体を得た。続いて、筒状体の軸方向に沿って所定間隔ごとに筒状体を区切るためのヒートシールをした。そして、仕上げにスリット加工を実施することにより、不要な部分を切り落とした。これにより、背シールと、幅約1cmのエンドシール及びトップシールとが形成されたピロー包装袋を得た。以上の操作は、縦型ピロー製袋機(株式会社イシダ製、「INSPIRA」)を用いて行った。当該ヒートシールは、180℃、0.2MPa、0.5secの条件で実施した。
【0071】
<平滑度>
JIS P8119:1998「紙及び板紙-ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠して、色インキを印刷する前のコート層の露出面の平滑度を求めた。露出面の平滑度測定は、熊谷理機工業株式会社製、ベック平滑試験機HK型「0518-P」を用いて行った。
【0072】
<透気度>
透気度は、JIS P 8117:2009に基づき、ガーレー式デンソメーター(株式会社東洋精機製作所製)を用いて測定した。ガーレー式デンソメーターの試験機内の密封流体は油とした。
【0073】
<絵柄再現性>
まず、無作為に選択されたパネラー30名を準備した。続いて、各パネラーは、積層体にグラビア印刷機で印刷された文字及び絵柄と、ディスプレイ装置等の表示装置に表示される元図の文字及び絵柄とを見比べた。続いて、各パネラーは、積層体に印刷された文字及び絵柄の形状、色又は質感について、元図の文字及び絵柄を再現できているか否かを判断した。元図の文字及び絵柄が再現されていると判断したパネラーが30名中20名以上であれば「A」とし、30名中19名以下であれば「B」とした。
【0074】
<折割れ>
積層体について、ゲルボフレックス試験を行った。まず、積層体を一定回数以上ひねった。その後、積層体の表面に割れがあるかないかを確認した。500回以上ひねっても割れが視認されない場合を「A」、400回ひねった時点で割れが視認されない場合を「B」、300回ひねった時点で割れが視認されない場合を「C」、200回ひねった時点で割れが視認されない場合を「D」、100回ひねった時点で割れが視認されない場合を「E」、100回未満ひねった場合に割れが視認される場合を「F」とした。
【0075】
<透気防止性>
積層体を用いてピロー包装袋を製作し、空気の漏れがなければ「A」、空気の漏れがあれば「B」とした。
【0076】
(実施例2~11、比較例1~7)
表1,2に示す構成、コート種、樹脂の塗布量としたこと以外は、基本的に実施例1と同様にして積層体及びピロー包装袋を作成し、絵柄再現性、折割れ及び透気防止性を評価した。ただし、実施例9、10及び比較例7においては、HSニスを塗工する代わりに、本体の他方面上に透明蒸着PET12を積層した。実施例2~11、比較例1~7について、実施例1と同様にコート層の平滑度及び透気度も測定し、表1に示した。実施例9及び比較例7については、自立型包装袋も作製した。「透明蒸着PET12」としては、凸版印刷株式会社製、「GL-RD」(厚さ12μm)を用いた。「PET12」としては、東洋紡株式会社製、「E5100」(厚さ12μm)を用いた。PE15、PE30及びPE50としては、タマポリ株式会社製、「SE625N」を用いた。NY15としては、ユニチカ株式会社製、「ONBC」を用いた。「ラテックス」としては、日本エイアンドエル株式会社製、「PB2901」を用いた。結果を表2に示す。なお、実施例6及び実施例7の平滑度及び透気度が異なっているのは、カレンダー処理の条件が異なるためである。
【0077】
<自立型包装袋(スタンディングパウチ)>
実施例9及び比較例7で作製した積層体にスリット加工をし、側胴部のための部材と底部のための部材とを切り出した。側胴部のための部材を製袋機上で半分に切断し、得られた2枚の部材と、底部のための部材とをシールした。シールは、前述の3つの部材を図7のように位置合わせした状態で行った。シール後にスリット加工を実施することにより、不要な部分を切り落とした。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【符号の説明】
【0080】
1…積層体、2、2A、2B…包装袋、4…本体部、5…シール部、6…折曲部、10…樹脂コート基材、11…本体、11a…主面(一方面)、11b…主面(他方面)、11c,11d…端部、12…コート層、12a、12b…主面、13…シール層、14…インキ、15…オーバーコート層、21…本体部、22…フランジ部、23…両端、30…側胴部、31…第一の側胴部、32…第二の側胴部、31a、32a…下端部、33…底材、33a…山折り部、33b、33c…端部、34…サイドシール部、35、36…底シール部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7