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特開2024-43240制御装置、印刷制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043240
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】制御装置、印刷制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A45D 29/18 20060101AFI20240322BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
A45D29/18
B41J2/01 451
B41J2/01 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148310
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉井 雅一
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB20
2C056EC26
2C056FB01
2C056KC01
2C056KC22
(57)【要約】
【課題】印刷対象物に適したインクを用いて印刷を行うことができる。
【解決手段】印刷装置1の制御装置10が、印刷対象物が生体である爪Tか否かを判別する判別部、印刷に用いられるインクカートリッジ41の種別を検出する検出部、判別部として判別された印刷対象物と、検出部として検出されたインクカートリッジ41の種別とが互いに対応するか否かを判定する対応判定部として機能する制御部11と、対応判定部として判定結果を報知する報知部としての表示部23と、を備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象物が生体であるか否かを判別する判別部と、
印刷に用いられるインクカートリッジの種別を検出する検出部と、
前記判別部により判別された印刷対象物と、前記検出部により検出された前記インクカートリッジの種別とが互いに対応するか否かを判定する対応判定部と、を備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記判別部により前記印刷対象物が生体であると判別された場合は、前記検出部により検出された前記インクカートリッジの種別が生体に対応するものでない場合には印刷動作を許可しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記対応判定部による判定結果を報知する報知部を備え、
前記判別部により前記印刷対象物が生体以外であると判別された場合は、前記対応判定部による前記判定結果を前記報知部により報知させた上で印刷動作を許可する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記対応判定部による判定結果を報知する報知部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記生体は、人の爪である、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記生体以外の前記印刷対象物は、ネイルチップ、シールを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
印刷対象物が生体であるか否かを判別する判別工程と、
印刷に用いられるインクカートリッジの種別を検出する検出工程と、
前記判別工程において判別された印刷対象物と、前記検出工程において検出された前記インクカートリッジの種別とが互いに対応するか否かを判定する対応判定工程と、を含む
ことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、
印刷対象物が生体であるか否かを判別する判別機能と、
印刷に用いられるインクカートリッジの種別を検出する検出機能と、
前記判別機能により判別された印刷対象物と、前記検出機能により検出された前記インクカートリッジの種別とが互いに対応するか否かを判定する対応判定機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、印刷制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すように、ネイルデザインの印刷を行う印刷装置(ネイルプリンタ)が知られている。
このような印刷装置(ネイルプリンタ)における印刷対象物としては、爪の他、ネイルチップやネイルシール等がある。
各種の印刷対象物に印刷を行う場合、印刷対象物ごとに印刷に適したインクがあり、インクカートリッジ(印刷ヘッド)も各インクに対応したものが用意される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003-534083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、異なるインクを貯留する複数種類のインクカートリッジ(印刷ヘッド)がある場合、印刷装置(ネイルプリンタ)にセットされたインクカートリッジ(印刷ヘッド)が、印刷対象物としてセットされたものに適さないインクを貯留するものである場合がある。
印刷対象物に適合しないインクカートリッジ(印刷ヘッド)を用いてそのまま印刷を行うと、望むような発色等を実現できないことがある。
またネイルチップやネイルシール等、爪以外の印刷対象物に適したインクの中には、必ずしも爪に塗布することが推奨されない成分を含むものもあり得る。
【0005】
本発明は、上記のような課題を鑑みてなされたものであり、印刷対象物に適したインクを用いて印刷を行うことができる制御装置、印刷制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る制御装置は、
印刷対象物が生体であるか否かを判別する判別部と、
印刷に用いられるインクカートリッジの種別を検出する検出部と、
前記判別部により判別された印刷対象物と、前記検出部により検出された前記インクカートリッジの種別とが互いに対応するか否かを判定する対応判定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷対象物に適したインクを用いて容易に印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における印刷装置の要部外観構成を示す斜視図である。
図2】印刷装置の内部要部構成を示す図であり、(a)は、印刷装置の内部を上から見た平面図であり、(b)は、印刷装置の内部を装置正面側から見た模式的な断面図である。
図3】載置部にネイルチップ用の補助具を取り付けて、印刷対象物としてネイルチップをセットした状態を模式的に示す説明図である。
図4】載置部に紙用の補助具を取り付けて、印刷対象物としてネイルシール等のシートをセットした状態を模式的に示す説明図である。
図5】本実施形態において互いに連携する印刷装置、端末装置の概略の制御構成を示す要部ブロック図である。
図6】本実施形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
図7】インクカートリッジの一変形例と、印刷対象物として爪をセットした状態の載置部とを模式的に示す説明図である。
図8】インクカートリッジの一変形例と、印刷対象物としてネイルチップをセットした状態の載置部とを模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図6を参照しつつ、本発明に係る制御装置を含む印刷装置、印刷制御方法及びプログラムの一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
[印刷装置の構成]
図1は、本実施形態における制御装置を含む印刷装置(ネイルプリント装置)の要部外観構成を示す斜視図である。なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、図1に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向、Z方向は、図1に示した方向をいうものとする。図2(a)及び図2(b)は、印刷装置の内部要部構成を示す図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。筐体2は上下方向のほぼ中央部から上下に分かれており、上側部分は、図示しないヒンジ部等を介して上方向(図1に示す矢印参照)に回動可能な蓋部2aとなっている。蓋部2aを開被することで、筐体内部に設けられている、後述する載置部3やインクカートリッジ41(印刷ヘッド)等にアクセス可能となる。
印刷装置1の筐体2の前面側(図2においてY方向の手前側)であって装置の左右方向(図2におけるX方向)のほぼ中央部には、開口部21が形成されている。開口部21は、印刷対象物となる爪Tに対応する指U(図2(a)及び図2(b)参照)を装置内に挿入する指挿入口であり、指Uを出し入れ可能な程度の幅及び高さを有している。
本実施形態では、筐体2の内部であって開口部21の内側に、印刷対象物となる爪T及び爪Tに対応する指Uを配置する載置部3が設けられている。
【0012】
図2(a)及び図2(b)に示すように、載置部3の下側面は、開口部21から挿入された指Uの腹部分を受ける指受け部31となっている。なお、指受け部31には、例えば樹脂等の柔軟性を有する材料で形成されたクッション部材が設けられていてもよい。
載置部3の奥側(装置後方側)の上面には開口部21から指Uが挿入され指受け部31により保持された場合に、指Uの爪T部分を露出させる窓部32が形成されている。
また本実施形態では、載置部3の手前側(図1におけるY方向の手前側)に指Uの上方を囲うような枠状部33が設けられている。載置部3に配置された指Uの上側は、この枠状部33の天面に突き当てられるように構成されている。これにより、枠状部33の天面が指Uの上方向の位置を規制する指押えとして機能し、指Uが上方向に上がりすぎるのを防いで、指Uの高さ方向を位置決めすることができる。
【0013】
載置部3の高さや幅、奥行き方向の長さは、指Uを安定して配置できる程度の高さや幅等であればよく、具体的にどの程度とするかは適宜設定される。
なお、載置部3の少なくとも一部(例えば指Uを受ける指受け部31)は、上下方向に可動するように構成されていてもよい。
開口部21から挿入された指Uは、載置部3の指受け部31上に載置され、指Uの上面が枠状部33の天面によって規定されることで、爪Tが後述のインクカートリッジ41(印刷ヘッド)による印刷に適した適正位置に配置された状態で保持される。
【0014】
また、本実施形態では爪Tの他、爪T以外の印刷対象物に対しても印刷を行うことが可能となっている。
本実施形態では、爪T以外の印刷対象物として、例えばネイルチップNt(図3参照)、シールS(図4参照)を想定している。
本実施形態の載置部3は、これらネイルチップNtやシールSに印刷を行う場合に載置部3の本体部に装着して、これらの印刷対象物を所定の位置に配置する補助具34を着脱可能に備えている。
【0015】
補助具34は、爪T以外の各印刷対象物に応じて用意されており、具体的には、ネイルチップNt(図3参照)に対応して図3に示す補助具34aが用意され、シールS(図4参照)に対応して図4に示す補助具34bが用意されている。
そして、爪Tに印刷する際は載置部3を本体部のみの状態(図2(a)及び図2(b)に示す状態)とし、ネイルチップNtに印刷する際は載置部3に補助具34aを装着した状態(図3に示す状態)とし、シールSに印刷する際は載置部3に補助具34bを装着した状態(図4に示す状態)とする。これにより、少なくとも幅方向の中央部の高さ方向(図1図4においてZ方向)の位置は、爪T、ネイルチップNt、シールSいずれの場合にも一定に保たれ、インクカートリッジ41(インクカートリッジ41のインク吐出面411)までの距離がほぼ一定となる。
【0016】
すなわち、ネイルチップNtは付け爪として爪Tの表面に貼り付けて使用することが想定されたものであり、爪様に湾曲した部材であって、爪Tと同様に幅方向の中央部の高さが最も高い。このため、ネイルチップNt用の補助具34aは、図3に示すように、爪Tが印刷対象物であるときに爪Tの幅方向の中央部が位置する高さとほぼ面一にネイルチップNtの最も高さの高い部分が配置されるような寸法に形成されている。
またシールSは、湾曲がない平板状のシート状の部材であり、例えば手の甲等の皮膚に貼り付けて使用することが想定されるタトゥーシール等である。このため、シールS用の補助具34bは、図4に示すように、シールSの印刷対象面全体が、爪Tが印刷対象物であるときに爪Tの幅方向の中央部が位置する高さとほぼ面一に配置されるような寸法に形成されている。
【0017】
補助具34a,34bは、例えば載置部3の窓部32を覆うように載置部3の上側に取り付けられる。
補助具34a,34bを載置部3に取り付ける際には、筐体2の蓋部2aを開被して、載置部3の上面を露出させ、補助具34a,34bを載置部3の窓部32等に係止させる。
なお、補助具34a,34bの具体的な取り付け方は特に限定されない。例えば載置部3と補助具34a,34bとに互いに嵌り合う図示しない凹凸部等を設けて、これを嵌め合わせることにより補助具34a,34bを載置部3に嵌め込んで係止・固定させてもよい。
【0018】
ここで本実施形態における爪T以外の印刷対象物であるネイルチップNtは、例えば合成樹脂等で形成された爪様のチップである。
またシールSは、平板状の媒体であり、補助具34bに載置可能な所定の大きさ(例えば3cm×3cm程度)の矩形にカットされたものが用いられる。シールSの種類としては印刷に適した各種紙質のものであれば特に限定されない。なお、補助具34bに載置される平板状の媒体(シールS)は紙でなくてもよく、例えば合成樹脂等で形成されたプレートやフィルムのようなものでもよい。なお、補助具34a,34bにセットされるネイルチップNt、シールSは、例えば印刷装置1に同梱等された専用のものでもよいし、ユーザが適宜用意したものでもよい。
【0019】
本実施形態では、ネイルチップNt、シールSは、ともに表面(印刷対象面)にインク受容層を有しており、着弾したインクを表面に定着させることができる。ネイルチップNt、シールSとしては白色のものが用いられるが、これに限定されない。例えば薄いピンク色やベージュ等であってもよい。なおこのように表面(印刷対象面)が白色等であり、インク受容層が形成されている印刷対象物に対しては、爪Tに印刷する場合のように、デザイン印刷を行う前に下地印刷を行う必要がない。
【0020】
筐体2の上面(天板)には操作部22が設置されている。
操作部22は、ユーザが各種入力を行うものである。
操作部22は、例えば、印刷装置1の電源をON/OFFする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、印刷開始を指示する印刷開始釦等、各種の入力を行うための操作釦で構成されている。
操作部22が操作されると操作に応じた操作信号が制御装置10の制御部11に出力され、制御部11が操作信号に従った制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。
【0021】
また筐体2の上面には、表示部23が配置されている。
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(有機ELD)、その他のディスプレイ(フラットディスプレイ)を含んでいる。表示部23は、後述の制御部11から入力される表示信号に基づいて、ディスプレイに各種画像や情報を表示させる。
本実施形態の表示部23のディスプレイは、タッチパネルと一体的に構成されていてもよく、この場合にはタッチパネルが、ユーザによるタッチ操作を受け付け、各種入力を行う操作部22としても機能する。
【0022】
また本実施形態では、後述する制御部11が、載置部3にセットされている印刷対象物を判別するとともにインクカートリッジ41(印刷ヘッド)の種別を検出し、検出されたインクカートリッジ41(印刷ヘッド)の種別と印刷対象物とが対応するか否かを判定するようになっており、表示部23はこの判定結果を報知する報知部として機能する。
例えば表示部の図示しない表示画面には、「載置部に爪が配置されていることが確認されました」「現在装置にセットされている使用可能なインクカートリッジはネイルチップ用です」といった情報や、「載置部に配置されている印刷対象物とインクカートリッジとが対応していません」「インクカートリッジを爪印刷用のものに交換してください」等のメッセージを表示させ、ユーザに注意喚起する。
なお報知部は表示部23に限定されず、例えばスピーカ等の音声出力部を備え、音声出力によりユーザに報知するもの等でもよい。
【0023】
図2(a)、図2(b)等に示すように、筐体2内には、印刷機構4や撮影部5等が収容されている。
【0024】
印刷機構4は、インクカートリッジ41(印刷ヘッド)を収容するホルダ42と、インクカートリッジ41(インクカートリッジ41を保持するホルダ42)を移動させる移動手段としてのX方向移動モータ45、Y方向移動モータ47(図5参照)とを備えている。インクカートリッジ41(印刷ヘッド)は印刷データに基づいて印刷対象物に印刷を行う印刷手段である。
本実施形態においてインクカートリッジ41(印刷ヘッド)は、図示しないインク貯留部を内蔵するとともに、インク貯留部内のインクを微細な液滴として吐出させ、印刷対象面に印刷を施すインクジェット方式のインク吐出機構(図示せず)を一体的に備えているカートリッジ一体型の印刷ヘッドである。
【0025】
インクカートリッジ41(印刷ヘッド)における印刷対象面(本実施形態では、爪T等印刷対象物の表面)に対向する面には、インク吐出面(ノズル面)411が一体に形成されている。インク吐出面411には、それぞれの色のインクを噴射する複数のノズルからなるノズルアレイの吐出口(ノズル口、インク吐出口、図示せず)が列状に形成されている。
インクカートリッジ41(印刷ヘッド)は、印刷制御部として機能する制御部11がインク吐出機構を制御することで、適宜所定のインクをノズル口から吐出させ、印刷を行うようになっている。
なお、インクカートリッジ41(印刷ヘッド)は、ここに例示したような構成のものに限定されない。例えば、インク貯留部を別個に有し、印刷に使用される際には、別体として構成されるインク貯留部とインク吐出機構とが接続されるように構成されていてもよい。また、インクカートリッジ41(印刷ヘッド)がインクを吐出させる構成等、印刷を行うための具体的な構成は特に限定されない。
【0026】
本実施形態において、印刷対象物に対する印刷に用いるインクカートリッジ41(印刷ヘッド)として3種類のインクカートリッジ41(第一のカートリッジ41a、第二のカートリッジ41b及び第三のカートリッジ41c、なお、単にインクカートリッジ41としたときはこれらすべてを含むものとする)が用意されている。
例えば第一のカートリッジ41aは、印刷対象物として生体である人の爪Tに印刷するのに適したインクがそのインク貯留部に収容されている。また第二のカートリッジ41b及び第三のカートリッジ41cは、生体である爪T以外の印刷対象物に印刷するのに適したインクがそのインク貯留部に収容されている。このうち第二のカートリッジ41bはネイルチップNt印刷用であり、第三のカートリッジ41cはシールS印刷用である。
なお、インクカートリッジ41(印刷ヘッド)は爪T印刷用と、爪T以外(本実施形態では例えばネイルチップNtやシールS)印刷用の2種類であってもよい。また爪T以外(本実施形態では例えばネイルチップNtやシールS)に印刷を行うインクカートリッジ41(印刷ヘッド)が印刷対象の材質等によってさらに細かく種類分けされて3種類以上用意されていてもよい。
【0027】
これらのインクカートリッジ41(第一のカートリッジ41aから第三のカートリッジ41c)は、例えばシアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)の色インクに対応するインク貯留部を有しており、デザイン(ネイルデザイン)をカラー印刷するデザイン印刷用のインクカートリッジ41(印刷ヘッド)である。なお、インクカートリッジ41によって印刷可能なインクはここに上げたものに限定されない。これ以外の色のインクを有し、吐出可能となっていてもよい。
また爪T印刷用の第一のカートリッジ41aは上記のような色インクを貯留するデザイン印刷用のインクカートリッジ41(印刷ヘッド)に限定されない、例えばデザイン印刷前に爪Tの上に白色等(白色若しくはこれに近いピンクやブルー等)の下地を形成する下地印刷用のインクカートリッジ41(印刷ヘッド)であってもよい。下地印刷用のインクカートリッジは内部に下地用インクを貯留するインク貯留部を有している。
【0028】
第一のカートリッジ41aに貯留されるインクと第二のカートリッジ41b、第三のカートリッジ41cに貯留されるインクとでは、それぞれインクを構成する成分が異なり、生体である爪Tを印刷対象としないインク(すなわち、第二のヘッド41b及び第三のカートリッジ41cに貯留されるインク)では、発色や伸びのよさ等が重視され、必ずしも人体に影響を及ぼさないとは言えない成分を含んでいる可能性がある。また、CMYの印刷データとして指定される色は同じ色であってもインクによって実際に印刷したときの発色具合が異なる可能性もある。なお、このためRGBデータを印刷用のCMYデータに変換する変換テーブル等も印刷対象物ごとに異なるものが用意されることが好ましい。
このため印刷を行う際には、各印刷の印刷対象物に適したインクを有するインクカートリッジ41(印刷ヘッド)を用いて印刷することが好ましい。
【0029】
ホルダ42に装着されているインクカートリッジ41(印刷ヘッド)がどのような印刷対象物に適合するインクを貯留するものであるか等の種別情報は、例えばホルダ42に設けられた図示しない読み取り部において読み取り可能となっている。なお、インクカートリッジ41の種別情報を読み取る手法は特に限定されず、例えばホルダ42に読み取り用の基板等を設けておき、インクカートリッジ41側の対応する位置にも、インクカートリッジ41の種別情報を含むチップ等が読み取り可能な状態で取り付けておいて、ホルダ42にインクカートリッジ41が装着されると種別情報が読み取られるように構成されていてもよい。
【0030】
またインクカートリッジ41の種別(貯留するインクの種別)ごとに異なる位置に凸部や切欠き部を設けておき、ホルダ42側にスイッチ等を設けておいて、インクカートリッジ41(印刷ヘッド)の凸部等により押されるスイッチが異なるようにすることでホルダ42に装着されたインクカートリッジ41の種別を読み取ることができてもよい。さらにインクカートリッジ41の側面等に各種コード情報を貼付しておき、ホルダ42側であってこれを読み取ることのできる位置にセンサ等を設け、センサによりコード情報を読み取ることで種別情報が取得できてもよい。その他インクカートリッジ41の種別(貯留するインクの種別)を読み取る手法は特に限定されず、どのような手法を用いてもよい。
ホルダ42等において読み取られた種別情報は後述の制御部11において取得される。
なお、インクカートリッジ41の種別(貯留するインクの種別)はホルダ42装着時等に自動的に装置側に読み取られる場合に限定されない。例えばユーザが操作部22等から手動でホルダ42に装着したインクカートリッジ41の種別を入力してもよい。この場合には入力された情報が種別情報として制御部11に取得される。
【0031】
本実施形態ではインクカートリッジ41(印刷ヘッド)が装置の左右方向(X方向)及び前後方向(Y方向)に移動可能となっており、X方向移動モータ45はインクカートリッジ41をX方向に移動させるX方向移動機構450(図2(a)及び図2(b)参照)を構成し、Y方向移動モータ47はインクカートリッジ41をY方向に移動させるY方向移動機構470(図2(a)参照)を構成する。X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47は、例えばステッピングモータであり、後述する印刷制御部として機能する制御部11によりその動作を制御される。
【0032】
撮影部5は、カメラ51と、光源52とを備えている。
カメラ51は、窓部32を含む載置部3周辺を撮影することで、載置部3に配置された印刷対象物(すなわち本実施形態では、爪T、ネイルチップNt、シールS)を撮影し、その画像を取得する。カメラ51によって取得された画像は、制御部11に送られる。
また、光源52は、例えば白色LED等の照明灯である。
【0033】
撮影部5のカメラ51は、印刷対象物として爪Tが載置部3に配置された場合には、爪Tや爪Tを含む指Uを撮影して図示しない爪画像を取得する。本実施形態では、後述する制御部11により、カメラ51で取得された爪画像から印刷領域である爪領域を画する爪の輪郭線(爪輪郭)が検出される。
また載置部3に配置された印刷対象物が爪T等の生体でない場合(例えばネイルチップNt、シールS等である場合)にもカメラ51で撮影された印刷対象物の画像は制御部11に送られて、画像解析され、その輪郭形状等が検出される。
【0034】
図5は、印刷装置及びこれと連携する端末装置の概略の制御構成を示す要部ブロック図である。
図5に示すように、印刷装置1は前述の印刷機構4等を備える他、通信部25及び制御装置10等を備えている。
【0035】
通信部25は、外部装置との間で通信する通信手段である。なお、本実施形態において「外部装置」とは、例えば後述の端末装置7等である。
印刷装置1と端末装置7等との間での通信は、例えば無線LAN等により行われる。なお、印刷装置1と端末装置7等との間での通信はこれに限定されず、いかなる方式によるものでもよい。例えば、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。また、この通信は無線接続方式に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。通信部25は通信することが想定される各種外部装置の通信方式、通信規格に対応するアンテナチップ等を備えている。
【0036】
印刷装置1に搭載される制御装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有する制御部11と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を有する記憶部12とを備えるコンピュータである。
記憶部12のROM等には、印刷装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
ROM等に格納された各種プログラムを制御部11がRAMの作業領域に展開して実行することによって、印刷装置1の各部の動作を統合的に制御する。
すなわち、制御部11はプログラム(例えば印刷制御処理プログラム等)との協働により、印刷装置1が印刷制御処理等を行うための各種機能を実現する。
【0037】
本実施形態において制御部11は、主として表示部23の動作を制御する表示制御手段、印刷機構4各部の動作を制御する印刷制御手段、撮影部5各部の動作を制御する撮影制御手段、通信部25の動作を制御する通信制御手段等として機能する。
【0038】
表示制御手段としての制御部11は、表示部23のディスプレイに表示させる表示データを生成し、表示部23に出力する。例えば制御部11は、撮影部5により取得された爪画像等を表示させるための画像データや、デザイン(ネイルデザイン)等を表示部23に表示させるための表示データ、各種メッセージ画面、案内画面、エラー表示画面等を表示部23のディスプレイに表示させる表示データ等を生成する。
【0039】
特に本実施形態では、制御部11が対応判定部として、印刷対象物とインクカートリッジ41(印刷ヘッド)とが互いに対応しているか否かの判定を行ったときに、この判定結果をユーザ等に報知する報知部として表示部23が機能する。
このため、載置部3にどのような印刷対象物が配置されているか(すなわち本実施形態では、爪T、ネイルチップNt、シールSのうちのいずれが置かれているか)の判別結果や、ホルダ42に装着されているインクカートリッジ41(印刷ヘッド)の種別情報を表示部23の表示画面に表示させたり、印刷対象物とインクカートリッジ41(印刷ヘッド)とが対応している又は対応していないといった情報を表示させる。そして印刷対象物とインクカートリッジ41(印刷ヘッド)とが対応していないときには、印刷対象物に対応するインクカートリッジ41(印刷ヘッド)に付け替えたり切り替えたりするようにユーザに促すメッセージ等を表示画面に表示するように制御部11が表示部23を制御する。
【0040】
印刷制御手段としての制御部11は、印刷機構4の動作を制御する。具体的には制御部11は印刷データに基づいてインクカートリッジ41(印刷ヘッド)のインク吐出機構を制御し、適宜インクを吐出させ、印刷対象物に対する印刷を行わせる。また、印刷制御手段としての制御部11は、適宜X方向移動モータ45、Y方向移動モータ47を動作させて適宜インクカートリッジ41(印刷ヘッド)をXY方向に移動させる。
【0041】
撮影制御手段としての制御部11は、撮影部5のカメラ51及び光源52の動作を制御して、光源52によって爪T等の印刷対象物やその周辺を照明させ、カメラ51によって爪画像等の画像を取得させる。
【0042】
通信制御手段としての制御部11は、通信部25を制御して端末装置7の通信部75との間で通信を行わせ、例えばデザイン(ネイルデザイン)の元画像データ等を端末装置7から受信させる。
また、本実施形態では、印刷開始の指示等、各種の指示を端末装置7側から受信することで印刷装置1が動作するようになっており、印刷装置1の制御部11は、これらの指示を、通信部25を介して受信する。端末装置7等から指示を受信すると、制御部11は、指示にしたがった動作を装置各部に行わせる。
なお、デザイン(ネイルデザイン)が端末装置7等の外部装置で選択された場合には、選択されたデザインのデータ等を、端末装置7等の外部装置から受信するように制御部11が通信部25を制御する。
【0043】
さらに、本実施形態の制御部11は、撮影部5から印刷対象物(すなわち、載置部3に載置されている爪T、ネイルチップNt、シールS)の画像を取得して、画像解析等を行うことにより、載置部3に配置されている印刷対象物が何であるかを判別する判別部として機能する。
なお画像から印刷対象物の種類を判別(検出)する具体的な手法は特に限定されない。
【0044】
例えば制御部11は、画像が爪Tを含む指Uの画像(爪画像)である場合、これを画像解析することにより画像中に指Uが含まれているか否かを検出する。例えば載置部3を黒色等、皮膚と明確に区別することのできる色としておくことで、色や輝度等の差から指の有無を判断することができる。また制御部11は輝度等の違いから指Uと区別される爪領域を画する爪輪郭を検出する。なお、爪Tの曲率レベルや傾斜レベル(爪幅方向の曲がり具合や爪Tの傾き具合)を検出できる場合には、これらについても検出することが好ましい。
また判別部としての制御部11は、印刷対象物の画像から、印刷領域(すなわち、印刷対象物の印刷対象面)の形状が矩形であれば印刷対象物がシールSであると判断し、矩形以外の円形状や楕円形状である場合には印刷対象物がネイルチップNtと判断する。また判別には形状の他大きさ等各種要素を加味してもよい。
【0045】
その他、例えば撮影部のカメラ51がライブビュー表示可能な動画像撮影を行うものである場合には、印刷対象物を動画像や連続撮影画像等で撮影して動きの有無を検出し、動きのあるものであれば生体(爪T)と判断し、動きがなければ生体以外(すなわちネイルチップNtやシールS)と判断してもよい。
また載置部3の指受け部31等に血流センサ等の生体センサを設けておき、生体反応(血流等)があるものであれば生体(爪T)と判断し、動きがなければ生体以外(すなわちネイルチップNtやシールS)と判断してもよい。
【0046】
また制御部11は、印刷に用いられるインクカートリッジ41(印刷ヘッド)の種別を検出する検出部として機能する。具体的には、印刷機構4に設けられているインクカートリッジ41(印刷ヘッド)の種別情報を取得して、その種類を判別する。
制御部11がインクカートリッジ41の種別を検出する手法は特に限定されないが、例えばインクカートリッジ41がホルダ42に装着されると、ホルダ42側の図示しないセンサやスイッチによりどのような種類のインクカートリッジ41が装着されたかを読み取ることができるようになっており、読み取られた結果が制御部11に送られて取得される。
なお、インクカートリッジ41(印刷ヘッド)の種別情報は、インクカートリッジ41がホルダ42に装着された際に読み取られると、記憶部12等に保存され、インクカートリッジ41が交換等のためにホルダから取り外されるまでは読み出し可能な状態で保持される。そしてホルダ42に新たなインクカートリッジ42が装着されると、種別情報がリセットされる。
【0047】
さらに、本実施形態の制御部11は、判別部として判別した印刷対象物(印刷対象物の種類)と、検出部として検出したインクカートリッジ41(印刷ヘッド)の種別とが互いに対応するか否かを判定する対応判定部として機能する。例えば載置部3にセットされた印刷対象物が爪Tであると判別された場合に、ホルダ42に装着されているインクカートリッジ41が爪T印刷用の第一のカートリッジ41aであれば、制御部11は両者が対応すると判定する。他方例えば載置部3にセットされた印刷対象物がシールSであると判別された場合に、ホルダ42に装着されているインクカートリッジ41がネイルチップ印刷用の第二のカートリッジ41bであれば、制御部11は両者が対応していないと判定する。
【0048】
なお、印刷対象物が爪T(生体)であると判別した場合であって、インクカートリッジ41(印刷ヘッド)の種別が生体に対応するものでない場合には、制御部11は印刷動作を許可しないように印刷機構4を制御する。
また、印刷対象物が爪T(生体)ではないと判別した場合(例えば印刷対象物がネイルチップNt)であって、インクカートリッジ41(印刷ヘッド)の種別が生体以外のものに対応するものでない場合には、制御部11は判定結果を報知部としての表示部23に表示させる等によりユーザに報知させた上で印刷機構4の印刷動作を許可する。
【0049】
爪T(生体)に対応していないインクには必ずしも人体に塗布して安全とは言い切れない成分が含まれている場合もある。このため、ネイルチップNtやシールSに印刷する用のインクカートリッジ41(第二のカートリッジ41や第三のカートリッジ41c)がホルダ42にセットされている場合には、爪T(生体)に対応していないインクが爪T(生体)に塗布されないように、適切なインクカートリッジ41(爪Tに対応する第一の印刷カートリッジ41a)がホルダ42にセットされるまでは印刷が行われないようにする。
他方で印刷対象物がネイルチップNtやシールSである場合には、爪Tに対応する第一のカートリッジ41aによって印刷が行われても、発色や見栄え等に差が出る程度であり、安全性の問題はないことから、印刷対象物に対応したインクでないために仕上がり具合が想定と違うものとなる可能性をユーザが理解し了承すれば、印刷を停止させる必要はない。印刷対象物が爪T(生体)以外である場合にはこのようなフレキシブルな対応とすることで、例えば爪T印刷用のインクカートリッジ41(第一のカートリッジ41a)しか用意していないが、シールS等への印刷も試みてみたいとユーザが考えた場合等に、ユーザのニーズに柔軟に対応することができる。
【0050】
[端末装置の構成]
端末装置7は、例えば、スマートフォン、タブレット型の端末装置(以下「タブレットPC(Personal Computer)」、携帯電話機等の携帯型の端末装置である。なお、端末装置7はこうした携帯型の端末装置に限定されず、例えばノートPC、デスクトップPC等であってもよい。
【0051】
図5に示すように、端末装置7は、制御装置70、操作部73、表示部74、通信部75等を備えている。
【0052】
操作部73は、ユーザの操作に応じて各種の入力・設定等を行うことができるようになっており、例えば後述する表示部74の図示しないディスプレイに一体的に設けられたタッチパネルである。
本実施形態で操作部73は、印刷装置1(及び印刷装置1と連携する端末装置7)により実現される印刷制御処理についてユーザの各種指示を入力する。
操作部73が操作されると、当該操作に対応する入力信号が制御部71に送信され、制御部71が操作信号に従った制御を行う。
【0053】
表示部74は、例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイ(フラットディスプレイ)を含んでおり、制御部71から入力される表示信号に基づいて、ディスプレイに各種画像や情報、メッセージ画面等を表示させる。
本実施形態の表示部74のディスプレイは、タッチパネルと一体的に構成されていてもよく、この場合タッチパネルには、制御部71の制御にしたがって各種の操作画面が表示される。ユーザはタッチパネルへのタッチ操作によって各種の入力・設定等の操作を行うことができ、タッチパネルが、ユーザによるタッチ操作を受け付け、各種入力を行う操作部73として機能する。なお、各種の入力・設定等の操作を行う操作部73はタッチパネルである場合に限定されない。
【0054】
さらに端末装置7は、印刷装置1等の外部装置から各種情報を受け付けるとともに、爪Tに印刷するデザイン(ネイルデザイン)の元画像データ等を印刷装置1に対して出力するようになっている。印刷装置1等との間では、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信、無線LAN等による通信、有線接続による通信によって、データの送受信を行うようになっており、端末装置7は、こうした通信に対応する通信部75を備えている。
なお、具体的な通信の方式等は特に限定されない。いくつかの通信方式の中から適宜選択できてもよい。
【0055】
制御装置70は、図示しないCPU等のプロセッサを有する制御部71と、ROM及びRAM等(いずれも図示せず)を有する記憶部72等を備えるコンピュータである。記憶部72には、端末装置7の各部を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
【0056】
制御部71は、記憶部72に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出して、RAMのワークエリアに展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行して、端末装置7の各部を制御する。
特に本実施形態では、記憶部72にネイルプリントアプリケーションプログラム721(以下、「ネイルプリントAP」とする。)が格納されており、制御部71は、こうしたプログラムとの協働により、印刷装置1を用いたネイルプリントに関する各種機能を実現する。
具体的には制御部71は、表示部74の動作を制御する表示制御部、通信部75の動作を制御する通信制御部等として機能する。
【0057】
また本実施形態では、記憶部72にデザイン(ネイルデザイン)の元画像データ(RGBデータ)が記憶されており、制御部71は表示制御部としてデザインを表示部74に表示させ、ユーザに選択するよう促す。そしていずれかのデザインが選択されると、当該デザインの元画像データを、通信部75を介して印刷装置1に送信するようになっている。
【0058】
[印刷制御処理、印刷装置の動作]
続いて、図6等を参照しつつ、本実施形態における印刷装置の動作、印刷制御処理について説明する。
本実施形態の印刷装置1を用いてネイルプリントを行う場合には、ユーザは、印刷装置1の操作部22(操作ボタン)等を操作して電源を入れ起動させる。また端末装置7についても電源を入れて端末装置7の操作部73からネイルプリント処理の実行を選択する。これによりネイルプリントAP721が起動する。
なお本実施形態では、印刷装置1及び端末装置7が起動すると、ユーザは、端末装置7の操作部73等から爪Tに印刷したいデザイン(ネイルデザイン)を選択、設定する入力操作を行うことができる。デザインが選択されると、当該デザインの元画像データ(RGBデータ)が印刷装置1に送信される。印刷装置1では当該デザインについて、印刷対象物に応じた(出力用の)印刷データを生成する。
【0059】
図6は、本実施形態における印刷制御処理を示すフローチャートである。
図6に示すように、印刷装置1により印刷を行う際には、まず載置部3上にセットされた印刷対象物をカメラ51で撮影させ、撮影された画像を制御部11が取得する(ステップS1)。
制御部11は、取得した画像(爪画像を含む)に対して画像解析を行い、当該画像から指Uを検出したか否かを判断する(ステップS2)。すなわち制御部11は判別部として、載置部3上に配置された印刷対象物が生体であるか否かを判別する。
【0060】
画像解析等の結果、画像から指を検出することができた場合(ステップS2;YES)には、制御部11は印刷対象物は生体である爪Tである、と判断(判別)する(ステップS3)。なお、画像から指を検出する手法は特に限定されない。例えば載置部3との色や輝度の差から指の有無を判断する。例えば載置部3の指受け部31等を黒色等にしておけば指の皮膚の色と明確に区別することができる。
他方、指を検出できなかった場合(ステップS2;NO)には、制御部11はさらに載置部3に配置されている印刷対象物の形状がネイルチップNt(図6において単に「チップ」とする)であるか否かを判断する(ステップS4)。前述のようにネイルチップNtやシールSは白色等の部材であり、周りの部材から比較的区別しやすい。そこで画像中白色等の部分の形状を見ることで印刷対象物の形状を認識することができる。画像解析等の結果印刷対象物の形状が楕円形等、爪Tに近い形状である場合(ステップS4;YES)には印刷対象物がネイルチップNtであると判断し(ステップS5)、それ以外の形状(例えば矩形等)であれば(ステップS4;NO)、印刷対象物がシールSであると判断する(ステップS6)。
【0061】
前述のステップS3において印刷対象物が爪Tであると判断(判別)した場合には、制御部11は、さらに検出部として、印刷に用いられるインクカートリッジの種別を検出する。具体的には例えば記憶部12等に記憶されている情報から、ホルダ42に現在装着されているインクカートリッジ41の種別情報を取得する(ステップS7)。
そして、制御部11は対応判定部として、ホルダ42に現在装着されているインクカートリッジ41が印刷対象物(ここでは爪T)に対応したものであるか否かを判定する(ステップS8)。そして、インクカートリッジ41が印刷対象物に対応するものである場合(この例ではホルダ42に第一のカートリッジ41aが装着されている場合、ステップS8;YES)には、制御部11は印刷機構4を制御して印刷処理を行わせ(ステップS9)、一連の処理を終了する。
【0062】
他方、インクカートリッジ41が印刷対象物に対応するものでない場合(この例ではホルダ42に第二のカートリッジ41b又は第三のカートリッジ41cが装着されている場合、ステップS8;NO)には、制御部11は、報知部である表示部23の表示画面等に、印刷対象物(ここでは爪T)に対応したインクカートリッジ41がホルダ42に装着されていないことを表示させる等によりユーザに報知し、印刷対象物(ここでは爪T)に対応したインクカートリッジ41への交換をユーザに促すメッセージ等を表示部23に表示させる(ステップS10)。なお、インクカートリッジ41の交換を促す際には、ユーザに分かりやすいように、例えば交換すべきインクカードリッジの名称や型番号等の情報を合わせて表示させてもよい。
【0063】
そして制御部11は、例えば所定回数繰り返してメッセージを表示させたか否かを判断し(ステップS11)、所定回数に達していない場合(ステップS11;NO)には、ステップS7に戻り、ホルダ42に装着されているインクカートリッジ41と印刷対象物との対応を確認する。
一方所定回数に達した場合(ステップS11;YES)には、制御部11は表示部23等に「印刷を継続できない」等のエラーメッセージを表示させて、印刷を中止させ、処理を終了する。なお、ステップS11にいう「所定回数」は特に限定されず、例えば5回等である。またエラーと判断するのは所定回数繰り返したときに限定されず、例えば5分間等、所定時間を経過してもインクカートリッジ41の交換等がされなかった場合に、ステップS12のエラー処理に進むようにしてもよい。
【0064】
また、印刷対象物が生体(爪T)以外のものであった場合(すなわち、ステップS5又はステップS6の場合)にも、制御部11は、検出部として、印刷に用いられるインクカートリッジの種別を検出する。具体的には例えば記憶部12等に記憶されている情報から、ホルダ42に現在装着されているインクカートリッジ41の種別情報を取得する(ステップS13)。
そして、制御部11は対応判定部として、ホルダ42に現在装着されているインクカートリッジ41が印刷対象物(ここではネイルチップNtやシールS)に対応したものであるか否かを判定する(ステップS14)。そして、インクカートリッジ41が印刷対象物に対応するものである場合(ステップS14;YES)には、制御部11は印刷機構4を制御して印刷処理を行わせ(ステップS9)、一連の処理を終了する。なお、インクカートリッジ41が印刷対象物に対応する場合とは、例えば印刷対象物がネイルチップNtである場合にはホルダ42に第二のカートリッジ41bが装着されている場合や、印刷対象物がシールSである場合にはホルダ42に第三のカートリッジ41cが装着されている場合である。
【0065】
他方、インクカートリッジ41が印刷対象物に対応するものでない場合(この例ではホルダ42に第一のカートリッジ41a等が装着されている場合、ステップS14;NO)には、制御部11は、報知部である表示部23の表示画面等に、印刷対象物(ここではネイルチップNt又はシールS)に対応したインクカートリッジ41がホルダ42に装着されていないことを表示させる等によりユーザに報知し、印刷対象物(ここではネイルチップNt又はシールS)に対応したインクカートリッジ41への交換をユーザに促すメッセージ等を表示部23に表示させる(ステップS15)。なお、インクカートリッジ41の交換を促す際に交換すべきインクカードリッジの名称や型番号等の情報を合わせて表示させることが好ましい点はステップS10の場合と同様である。
【0066】
そして制御部11は、例えば所定の許可操作があったか否かを判断し(ステップS16)、許可操作がない場合(ステップS16;NO)には、ステップS13に戻り、ホルダ42に装着されているインクカートリッジ41と印刷対象物との対応を確認する。
一方許可操作がなされた場合(ステップS16;YES)には、制御部11は印刷機構4を制御して印刷処理を行わせ(ステップS9)、一連の処理を終了する。
なお、ここで所定の「許可操作」とは、例えば表示部23等にエラーメッセージを表示させユーザに報知した後に、ユーザが印刷ボタンを押す等、印刷を促すような操作を行った場合である。またエラーメッセージを表示させた後、所定時間(例えば1分等)経過した場合には、ユーザが印刷を黙認したものとみなし、印刷の「許可操作」が行われたものとして印刷処理(ステップS9)に進むようにしてもよい。
【0067】
このようにすれば、ネイルチップNt等、生体ではないものに印刷するためのインクで爪Tに印刷が行われるのを確実に防ぐことができるとともに、ネイルチップNt等生体ではないものに印刷する際には、インクカートリッジ41の対応を厳しく求めないことで、柔軟に対応することができる。
【0068】
以上のように、本実施形態の制御装置10を含む印刷装置1は、判別部として印刷対象物が生体(例えば爪)であるか否かを判別するとともに、印刷に用いられるインクカートリッジ41の種別を検出し、判別された印刷対象物と、検出されたインクカートリッジ41の種別とが互いに対応するか否かを判定する対応判定部としての制御部11を備えている。
印刷に適したインク(インクの成分等)は印刷対象物ごとに異なるところ、載置部3にセットされた印刷対象物とホルダ42に装着されているインクカートリッジ41の種別との対応の適否を判断することで、印刷対象物に適合しないインクによって印刷が行われるのを事前に回避することができる。これにより本来想定した通りの仕上がりとなる、適切な印刷を行うことができる。
【0069】
また本実施形態のように、対応判定部としての制御部11の判定結果を報知する報知部(実施形態において表示部23)を備えた場合には、印刷前にユーザに注意喚起することができ、印刷対象物に適合しないインクで印刷されようとしていることをユーザに気づかせることができる。
このため、印刷対象物に適合しないインクによって印刷が行われるのを事前に回避して、適切な印刷を行うことができる。
【0070】
また本実施形態において、生体は、人の爪Tである。
爪Tはデリケートな部位であり、誤って人体に害を与えるような成分を含むインクが印刷に使用されると、意図せずに爪Tを痛めてしまうおそれがある。
この点、本実施形態では印刷対象物に適合しないインクで印刷されようとしている場合にはこれを事前にユーザに気づかせることができる。このため、爪Tに印刷するのに適さないインクによって印刷が行われるのを回避することができる。
【0071】
また本実施形態において、生体以外の印刷対象物は、ネイルチップNtやシールSを含んでいる。
印刷対象物の材質等によってインクの伸びや発色等には差異があり、対応していない対象物に印刷すると必ずしも高精細な印刷結果を得られない場合がある。
この点、ネイルチップNtやシールSについても、これらに対応するインクカートリッジ41が装着されているか否かを判断するため、適切なインクによって仕上がりのきれいな印刷を行うことができる。
【0072】
また本実施形態では、判別部としての制御部11により印刷対象物が生体(爪T)であると判別された場合は、検出されたインクカートリッジ41の種別が生体(爪T)に対応するものでない場合には印刷動作を許可しない。
前述のように、爪T印刷用でないインクには、人体に悪影響を及ぼすような成分が含まれているおそれがある。この点、印刷対象物が爪Tである場合には、ユーザが積極的に印刷注視の指示をしなくても印刷させないとすることで、不適合なインクで爪Tに印刷が行われるのを確実に防ぐことができる。
【0073】
また本実施形態では、判別部としての制御部11により印刷対象物が生体以外(すなわち、例えばネイルチップNtやシールS)であると判別された場合は、対応判定部として判定した判定結果を報知部である表示部23に表示させる等により報知させた上で、印刷動作を許可する。
例えばネイルチップNtやシールSの場合、爪T印刷用のインク等で印刷が行われると、発色等の見た目が本来予定されるものと異なる場合があるが、人体への安全性のような重大な問題は生じない。このため、この場合には、多少見栄えが劣ってもいいから印刷したいというユーザの意思を尊重し、印刷を行わせる。これにより、ユーザが印刷対象物に対応するインクカートリッジ41を持っていない場合等でも柔軟に対応することができる。
【0074】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0075】
例えば本実施形態ではホルダ42にインクカートリッジ41が1つ搭載される場合を例としたが、例えば、1つのホルダ42にインクカートリッジ41が2つ以上搭載できてもよい。例えば図7図8に示すように、1つのホルダ42に爪T印刷用のインクカートリッジ41(第一のカートリッジ41a)と爪T以外印刷用のインクカートリッジ41(例えばネイルチップNt印刷用の第二のカートリッジ41bやシールS印刷用の第三のカートリッジ41c)とが両方搭載されていてもよい。
【0076】
この場合には、印刷対象物に対応するインクカートリッジ41が印刷に用いられるものとして設定されていなくても、印刷対象物が判別された時点で制御部11が自動的に切り替えればよく、ユーザにインクカートリッジ41の交換を求める必要はない。この場合、当該切り替えについて報知部である表示部23等に表示させてユーザに報知してもよいし、報知せずに処理を進めてもよい。なおこの場合には報知部である表示部23を備えない構成とすることもできる。
なお、ホルダ42に複数種類のインクカートリッジ41が搭載される場合、切り替えスイッチ等を設けてユーザ側で切り替え指示を入力するようにしてもよい。ユーザ側で切り替える場合には、印刷に用いるには適切でないインクカートリッジ41が選ばれている場合、制御部11が表示部23等にメッセージを表示させてユーザに対してインクカートリッジ41を切り替える指示入力を行うよう促してもよい。
【0077】
また、1つのホルダ42にインクカートリッジ41が2つ以上搭載できる場合にも、ホルタ42に搭載される複数のインクカートリッジ42は同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
例えば印刷対象物が爪Tである場合には、1つのホルダ42にデザイン印刷用の印刷ヘッドと下地印刷用の印刷ヘッドとがホルダ42に装着されてもよい。このようにすれば、下地からデザインまでを連続的に印刷することができる。
【0078】
さらに印刷装置1が備えるホルダ42は1つに限定されず、複数のホルダ42が設けられ、各ホルダ42にインクカートリッジ41を搭載可能となっていてもよい。この場合にはホルダ42によって装着可能なインクカートリッジ41が異なるようにしてもよく、いずれのホルダ42にインクカートリッジ41が装着されたかを検出することで、印刷に使用可能なインクカートリッジ41の種別が分かるようにしてもよい。
【0079】
なお、複数搭載できるホルダ42のいずれにも印刷対象物に対応するインクカートリッジ41が装着されていない場合や、複数のホルダ42にそれぞれ装着されているインクカートリッジ41がいずれも印刷対象物に対応していない場合には、制御部11は、報知部である表示部23等にその旨を表示させ、ユーザにインクカートリッジ41の交換を促す。
【0080】
また本実施形態では、爪T以外に印刷する場合にも、載置部3に補助具34a,34bを設けることで、爪Tに印刷する場合と同様の位置(装置内の幅方向、奥行き方向の位置)で印刷する場合を例示したが、爪T以外の印刷対象物を配置する位置は実施例に限定されない。
また例えば、印刷機構4のインクカートリッジ41(印刷ヘッド)がX方向、Y方向だけでなく高さ方向(図1から図4のZ方向)にも移動可能な構成である場合には、ネイルチップNtやシールSを載置部3ではなく、例えば載置部3の横のスペース等に配置させて印刷を行ってもよい。この場合にも、ネイルチップNtやシールSの一番高い部分とインクカートリッジ41のインク吐出面411との間の距離が爪Tの場合の一番高い部分とインクカートリッジ41のインク吐出面411との間の距離とほぼ等しくなるように調整されることが好ましい。
【0081】
さらに、印刷対象物ごとに異なる場所に配置するように設定した場合には、印刷装置1にセットされた印刷対象物が何であるかを、それがどの場所に配置されているかによって判断(判別)してもよい。
【0082】
また、載置部3の指受け部31の表面、補助具34a,34bの表面にそれぞれ異なるマーク等を付しておき、これを読み取るだけで印刷装置1にセットされた印刷対象物が何であるかを判断できるようにしてもよい。画像から容易に区別がつくようなマークとしておけば、簡易に印刷対象物の種類(すなわち、爪Tか、ネイルチップNtやシールSか)を判別することができる。
【0083】
さらに、印刷装置1にセットされた印刷対象物が何であるかを認識する手法は、印刷対象物の表面状態を認識する対象認識手段としての制御部11が載置部3を撮影した画像から自動的に印刷対象物を認識する手法に限定されない。
例えば、爪Tに対する印刷(本印刷)を行うか、ネイルチップNtやシールSといったダミー部材に対するテスト印刷を行うかをユーザが操作部22等から選択、入力できるようにしてもよく、この場合には、制御部11は操作部22等から入力された操作信号に基づいて印刷の種類を認識し、印刷対象物が爪TであるかネイルチップNtやシールSであるかを認識する。
【0084】
また、印刷対象物の判別は、生体(爪T)かそれ以外かだけを判断し、印刷対象物以外については特に区別しないとしてもよい。この場合にはインクカートリッジ41も、爪T印刷用と、それ以外用の2種類用意すればよい。
【0085】
さらに、本実施形態では、印刷対象物が生体(爪T)以外の場合にはユーザが認めれば印刷を許可する(続行させる)ようにしたが、印刷対象物が生体(爪T)以外の場合にも、インクカートリッジ41が対応するものでない限り印刷を認めないようにしてもよい。また、爪以外の印刷対象物であっても、その種類によって対応を変えるようにしてもよい。例えばネイルチップNtであれば、爪T印刷用のカートリッジ(第一のカートリッジ41a)等が装着されていても印刷を許可してもよいが、シールSの場合には、対応するインクカートリッジ41(第三のカートリッジ41c)が装着されるまで印刷を許可しないとする等、仕上がり具合への影響の程度等で対応を分けてもよい。
【0086】
また、本実施形態では印刷対象物が生体(爪T)の場合には印刷を許可しないとしたが、例えば第二のカートリッジ41bが装着されている場合には印刷を許可しないが、第三のカートリッジ41cが装着されている場合にはユーザが求めれば印刷を許可する等、インクの成分等により対応を変えて、印刷を許可する場合があってもよい。
いずれの場合にも現状セットされているインクカートリッジ41を用いて印刷を行った場合の仕上がりイメージや各種影響等を、報知部である表示部23等においてユーザに十分示すことが好ましい。
【0087】
また上記実施形態では、端末装置7の記憶部72にデザイン(ネイルデザイン)の元画像データが記憶されている場合を例示したが、デザイン(ネイルデザイン)の元画像データは記憶部72に記憶されている場合に限定されない。例えば印刷装置1又は端末装置7と情報の送受信可能とされたデータ管理サーバ、クラウド上にある仮想サーバ等、インターネット経由でアクセスすることができるものであってもよい。この場合にはより多くのデータを用意しておくことができ、デザインのバリエーションが豊富になる。
なお、デザイン(ネイルデザイン)の元画像データは印刷装置1の記憶部12に記憶されていてもよい。この場合には通信環境のないところでも印刷装置1のみでネイルデザインの印刷を完結させることができる。
【0088】
また、上記実施形態では、印刷装置1の制御部11が、印刷対象物が生体(例えば爪)であるか否かを判別する判別部、印刷に用いられるインクカートリッジ41の種別を検出する検出部、判別された印刷対象物と検出されたインクカートリッジ41の種別とが対応するか否かを判定する対応判定部、として機能する場合を例示したが、これらの機能部は制御部11である場合に限定されない。例えば印刷装置1と通信可能な端末装置7の制御部71が判別部、検出部、対応判定部として機能してもよい。
この場合には、印刷装置1の撮影部5により画像が取得されると、この画像データが端末装置7に送られて、制御部71において画像解析等が行われる。
このように、各種の処理を印刷装置1外で行うようにした場合には、印刷装置1は撮影部5と印刷機構4とを動作させることができればよく、制御装置10等の構成を簡易なものとすることができる。
【0089】
また、本実施形態では、端末装置7が、ユーザの有するスマートフォン等の携帯端末である場合を想定したが、端末装置7は、ユーザ自らが有するものに限定されない。例えば印刷装置1が店舗等に置かれている装置である場合に、端末装置7は店舗備付の操作端末等であってもよい。また、端末装置7は、印刷装置1と別体の装置でなくてもよく、例えば印刷装置1に付属する操作端末のようなものであってもよい。
【0090】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0091】
1 印刷装置
11 制御部
12 記憶部
3 載置部
4 印刷機構
41 インクカートリッジ(印刷ヘッド)
41a 第一のカートリッジ
41b 第二のカートリッジ
41c 第三のカートリッジ
5 撮影部
51 カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8