(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043242
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】情報処理装置及び生成方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20240322BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20240322BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240322BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/14
H02J3/32
H02J13/00 301A
H02J13/00 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148318
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 剛
(72)【発明者】
【氏名】丹生谷 正義
(72)【発明者】
【氏名】大高 実
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB21
5G066HA15
5G066HB02
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G066KA04
5G066KA06
(57)【要約】
【課題】異常が発生した設備や機器の対処法を提示する。
【解決手段】本願に係る情報処理装置(100)は、運転計画生成部(153)を有する。運転計画生成部(153)は、電力の需給予測を受信した場合に、需給予測を基にして制御システムに含まれる蓄電装置の蓄電を開始させ、対象期間に減少させる消費電力量が設定された抑制要求を受信した場合に、抑制要求を受信する前に許容されていた消費電力量と、蓄電装置の電力を消費する消費電力量とを加算した消費電力量から、抑制要求に設定された消費電力量を減算した消費電力量を、新たに許容された消費電力量として算出し、対象期間に制御システムによって消費される消費電力量が、許容された消費電力量を超えないように、制御システムの運転計画を生成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムの運転計画を生成する運転計画生成部を有する情報処理装置であって、
前記運転計画生成部は、
電力の需給予測を受信した場合に、前記需給予測を基にして前記制御システムに含まれる蓄電装置の蓄電を開始させ、
対象期間に減少させる消費電力量が設定された抑制要求を受信した場合に、前記抑制要求を受信する前に許容されていた消費電力量と、前記蓄電装置の電力を消費する消費電力量とを加算した消費電力量から、前記抑制要求に設定された消費電力量を減算した消費電力量を、新たに許容された消費電力量として算出し、
対象期間に前記制御システムによって消費される消費電力量が、前記許容された消費電力量を超えないように、前記制御システムの運転計画を生成する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御システムは、前記運転計画に基づいて稼働する場合に、設定値に基づいて稼働し、
前記制御システムの稼働状態が最適な状態となる設定値を設定する最適値設定部を更に有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記運転計画生成部は、複数の制御システムを対象とする抑制要求を受信した場合に、制御システム毎に、対象期間において減少させる消費電力量を特定し、制御システム毎に、対象期間において減少させる消費電力量を基にして、制御システム毎の運転計画を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
電力の需給予測を受信した場合に、前記需給予測を基にして制御システムに含まれる蓄電装置の蓄電を開始させ、
対象期間に減少させる消費電力量が設定された抑制要求を受信した場合に、前記抑制要求を受信する前に許容されていた消費電力量と、前記蓄電装置の電力を消費する消費電力量とを加算した消費電力量から、前記抑制要求に設定された消費電力量を減算した消費電力量を、新たに許容された消費電力量として算出し、
対象期間に前記制御システムによって消費される消費電力量が、前記許容された消費電力量を超えないように、前記制御システムの運転計画を生成する
ことを特徴とする生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適な運転計画を生成することができる情報処理装置及び生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費電力量のピーク時間帯における需要をコントロールすることを目的として、DR(Demand Response)指令を発動させ、消費電力量を抑制することが行われている。従来では、DR指令を確認した事業所の管理者が、手動で装置を停止することが一般的に行われている。
【0003】
なお、DR要請に関する従来技術として、特許文献1がある。この特許文献1では、DR要請を基にして、電力や熱の使用量を特定し、特定した電力や熱の使用量を基にして、管理対象となる複数の熱源電源機器の運転計画を演算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、DR指令を確認した事業所の管理者が、手動で装置を停止する際、手作業によるミスが発生すると、工場・プラントの操業に関して悪影響が発生する。
【0006】
たとえば、管理者は、プラントの設備が複雑な場合、設備の制約を考慮したうえで装置の発停操作を行い、設備の設定値を最適値に変更する必要があり、管理者に与える負担が大きい。
【0007】
また、特許文献1を利用することで、工場の装置の運転計画を自動的に得ることができ、装置の操業に反映させることができるが、DR要請が発生した場合に、DR要請が発生した時点における工場の装置の状態から、最適な運転計画を演算するが難しい場合もあった。たとえば、蓄電池や蓄熱層に十分なエネルギを事前にため込んでいない場合に、急激に、工場の装置の電力消費量を抑制することができない。
【0008】
本願はこのような課題を解決するためのものであり、最適な運転計画を演算することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に係る情報処理装置は、制御システムの運転計画を生成する運転計画生成部を有する。運転計画生成部は、電力の需給予測を受信した場合に、需給予測を基にして制御システムに含まれる蓄電装置の蓄電を開始させ、対象期間に減少させる消費電力量が設定された抑制要求を受信した場合に、抑制要求を受信する前に許容されていた消費電力量と、蓄電装置の電力を消費する消費電力量とを加算した消費電力量から、抑制要求に設定された消費電力量を減算した消費電力量を、新たに許容された消費電力量として算出し、対象期間に制御システムによって消費される消費電力量が、許容された消費電力量を超えないように、制御システムの運転計画を生成する。
【0010】
上記情報処理装置は、制御システムの稼働状態が最適な状態となる設定値を設定する最適値設定部を更に有していてもよい。
【0011】
上記情報処理装置において、運転計画生成部は、複数の制御システムを対象とする抑制要求を受信した場合に、制御システム毎に、対象期間において減少させる消費電力量を特定し、制御システム毎に、対象期間において減少させる消費電力量を基にして、制御システム毎の運転計画を生成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
上述した監視装置によれば、最適な運転計画を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るシステムを示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、その他のシステムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0015】
[システムについて]
本実施形態に係るシステムの一例について説明する。
図1は、本実施形態に係るシステムを示す図である。
図1に示すように、このシステム1は、需給予測サーバ30、アグリゲーションサーバ40、制御システム50、情報処理装置100を有する。情報処理装置100は、ネットワークを介して、需給予測サーバ30、アグリゲーションサーバ40、制御システム50に接続される。たとえば、制御システム50、情報処理装置100は、事業所内に設置される。
【0016】
需給予測サーバ30は、気象予報、発電計画等を基にして、電力需給バランスに関する情報を含む需給予測データを、情報処理装置100に送信する。需給予測サーバ30は、近日中に、電力需給のひっ迫が予測される場合は、需給注意報(需給予測データ)を、情報処理装置100に送信する。たとえば、需給予測サーバ30は、電力需給のひっ迫の有無にかかわらず、定期的に、需給予測データを情報処理装置100に送信する。
【0017】
アグリゲーションサーバ40は、管理者(アグリゲーター等)によるDR(Demand Response)指令の発行要求を受付けた場合に、DR指令データを、情報処理装置100に送信する。たとえば、DR指令データには、対象期間と、対象期間において、減少させる消費電力量が設定される。
【0018】
制御システム50は、複数の装置から構成されるシステムである。たとえば、制御システム50には、製造装置50a、動力装置50b、蓄電装置50cが含まれる。製造装置50aは、商品を製造する装置である。動力装置50bは、燃料油、燃料ガス等を用いて、電力を発電する装置である。蓄電装置50cは、電力を蓄電する装置(バッテリー)である。
【0019】
製造装置50aは、外部から購入した電力となる第1電力と、動力装置50bが発電した第2電力と、蓄電装置50cに蓄電された第3電力とを消費して、稼働する。第1電力、第2電力、第3電力のうち、DR指令データによって、消費電力量が制限される電力は、第1電力となる。以下の説明では、製造装置50a、動力装置50b、蓄電装置50cをまとめて、適宜「対象装置」と表記する。
【0020】
ここで、制御システム50には、運転計画データ10aと、設定値データ10bとが、情報処理装置100によって設定される。運転計画データ10aには、対象装置毎に、対象装置が稼働を開始する日時、対象装置が稼働を停止する日時が設定される。たとえば、製造装置50aは、稼働中に、商品を製造する。動力装置50bは、稼働中に、電力を発電する。蓄電装置50cは、妥当中に、第1電力、第2電力の少なくとも一方を用いて、蓄電を開始する。
【0021】
設定値データ10bには、対象装置毎に、設定値が設定される。たとえば、製造装置50aは、設定値が大きいほど、より多くの電力量を消費して、より多くの商品を製造する。動力装置50bは、設定値が大きいほど、より多くの燃料油、燃料ガスを消費して、より多くの電力を発電する。なお、設定値データ10bの設定値は、上記の設定値以外の設定値であってもよい。
【0022】
制御システム50の対象装置は、運転計画データ10aおよび設定値データ10bを基にして、稼働する。
【0023】
情報処理装置100は、許容される消費電力量を基にして、運転計画データ10a、設定値データ10bを生成し、制御システム50に設定する装置である。たとえば、蓄電装置50cが蓄電しておらず、DR指令データを受信していない段階では、制御システム50に対する、許容される消費電力量は、外部からの第1電力と、動力装置50bが発電した第2電力とを消費する消費電力量となる。
【0024】
たとえば、情報処理装置100は、需給予測サーバ30から、需給予測データを受信し、需給予測データとして、需給注意報を受信した場合には、運転計画データ10aを更新して、事前に、蓄電装置50cの蓄電を開始させる。これにより、制御システム50は、DR指令データを受信後に、蓄電装置50cの第3電力を利用可能となる。
【0025】
続いて、情報処理装置100は、アグリゲーションサーバ40から、DR指令データを受信した場合、対象期間において、第1電力を消費する消費電力量から、DR指令データに設定される消費電力量を減算した消費電力量を「目標消費電力量」として算出する。
【0026】
情報処理装置100は、対象期間において、動力装置50bから発電される第2電力を消費する消費電力量と、蓄電装置50cから出力される第3電力を消費する消費電力量と、目標消費電力量とを加算した「合計消費電力量」を算出する。
【0027】
情報処理装置100は、対象期間のおける、制御システム50の消費電力量が、合計消費電力量を超えないように、運転計画データ10aを生成し、制御システム50に設定する。また、情報処理装置100は、生成した運転計画データ10aで稼働する対象装置の稼働効率が最適となる設定値データ10bを生成し、制御システム50に設定する。
【0028】
[情報処理装置の機能構成の一例]
以下、
図1に示した情報処理装置100の機能構成の一例について説明する。
図2は、本実施形態に係る情報処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、この情報処理装置100は、通信部110と、入力部120と、表示部130と、記憶部140と、制御部150とを有する。
【0029】
通信部110は、ネットワークを介して、需給予測サーバ30、アグリゲーションサーバ40、制御システム50との間で情報の送受信を行う。たとえば、通信部110は、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0030】
入力部120は、情報処理装置100の制御部150に各種の情報を入力する入力装置である。たとえば、入力部120は、キーボードやマウス、タッチパネル等に対応する。
【0031】
表示部130は、制御部150から出力される情報を表示する表示装置である。
【0032】
記憶部160は、各種の情報を記憶する記憶装置であり、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。たとえば、記憶部160には、運転計画データ10a、設定値データ10bが含まれる。
【0033】
運転計画データ10aは、制御システム50に含まれる各対象装置に対して、稼働を開始する日時、稼働を停止する日時が設定される。運転計画データ10aは、後述する運転計画生成部153によって生成される。
【0034】
設定値データ10bは、制御システム50に含まれる各対象装置に対する設定値が設定される。たとえば、製造装置50aは、設定値が大きいほど、より多くの電力量を消費して、より多くの商品を製造する。動力装置50bは、設定値が大きいほど、より多くの燃料油、燃料ガスを消費して、より多くの電力を発電する。なお、設定値データ10bの設定値は、上記の設定値以外の設定値であってもよい。
【0035】
制御部150は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部150は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部150は、需給予測受信部151、DR指令管理部152、運転計画生成部153、最適値設定部154、設定処理部155を有する。
【0036】
需給予測受信部151は、需給予測サーバ30から、定期的に、需給予測データを受信する。需給予測受信部151は、需給予測サーバ30から、需給注意報を受信した場合には、需給注意報を受信した旨を、運転計画生成部153に出力する。
【0037】
DR指令管理部152は、アグリゲーションサーバ40から、DR指令データを受信する。たとえば、DR指令データには、対象期間と、対象期間において、減少させる消費電力量が設定される。DR指令管理部152は、DR指令データに設定された対象期間と、消費電力量との情報を、運転計画生成部153に出力する。
【0038】
運転計画生成部153は、制御システム50に設定する運転計画データ10aを生成する。たとえば、制御システム50で許容される所定期間の消費電力量(第1電力を消費する消費電力量)の上限は、予め設定されているものとする。
【0039】
以下の説明において、第1段階、第2段階、第3段階の運転計画生成部153の処理の一例について説明する。第1段階は、情報処理装置100が、需給注意報およびDR指令データを受信する前の段階である。第2段階は、情報処理装置100が、需給注意報を受信し、DR指令データを受信していない段階である。第3段階は、需給注意報およびDR指令データを受信した後の段階である。
【0040】
運転計画生成部153の第1段階の処理の一例について説明する。運転計画生成部153は、所定期間に関し、予め設定された消費電力量と、第2電力を消費する消費電力量とを加算した消費電力量を超えないという条件(以下、第1条件)を満たすように、制御システム50の製造装置50a、動力装置50bの稼働を開始する日時、稼働を停止する日時を設定した運転計画データ10aを生成し、記憶部140に登録する。運転計画生成部153は、係る第1段階では、運転計画データ10aに設定する、蓄電装置50cの稼働を停止とする。
【0041】
運転計画生成部153の第2段階の処理の一例について説明する。運転計画生成部153は、需給予測受信部151から、需給注意報を受信した旨を受け付けると、運転計画データ10aに含まれる対象装置のうち、蓄電装置50cの稼働を開始する日時を、現在の日時に設定することで、運転計画データ10aを更新する。運転計画生成部153は、蓄電装置50cの稼働を開始することで、第1条件を満たさなくなる場合には、第1条件を満たすように、運転計画データ10aに含まれる一部の製造装置50aの稼働期間が短くなるように、稼働を開始する日時、稼働停止する日時を更新してもよい。
【0042】
運転計画生成部153の第3段階の処理の一例について説明する。運転計画生成部153は、DR指令データに指定された対象期間において、第1電力を消費する消費電力量から、DR指令データに設定される消費電力量を減算した目標消費電力量を算出する。運転計画生成部153は、対象期間において、動力装置50bから発電される第2電力を消費する消費電力量と、蓄電装置50cから出力される第3電力を消費する消費電力量と、目標消費電力量とを加算した合計消費電力量を算出する。
【0043】
運転計画生成部153は、対象期間のおける、制御システム50の消費電力量が、合計消費電力量を超えないという条件(以下、第2条件)を満たすように、運転計画データ10aの、製造装置50a、動力装置50bの稼働を開始する日時、稼働を停止する日時を更新する。
【0044】
なお、運転計画生成部153は、ある期間における消費電力量が閾値を超えないように、運転計画を生成する処理自体は、いかなる従来技術を利用してもよい。たとえば、運転計画生成部153は、特許文献1等を基にして、運転計画データ10aを生成してもよい。
【0045】
最適値設定部154は、制御システム50に設定する設定値データ10bを生成する。最適値設定部154は、運転計画データ10aに基づいて、制御システム50の対象装置を稼働させる場合に、稼働状態が最適となる設定値を特定する。最適値設定部154は、特定した設定値を、設定値データ10bとして、記憶部140に登録する。
【0046】
たとえば、最適値設定部154は、許容される消費電力量の上限、最適評価関数を設定した、多変数モデル予測制御コントローラ等を用いて、稼働状態となる設定値を算出する。また、最適値設定部154は、文献「田原 哲也、藤江 真也、<モデル予測制御に基づいた高度プロセス制御ソリューション>」等に記載された技術を用いて、稼働状態が最適となる設定値を特定してもよい。
【0047】
更に、最適値設定部154は、各対象装置の稼働期間、各対象装置の設定値を入力とし、対象装置の稼働効率を出力とする訓練済みのNN(Neural Network)を用いて、稼働効率が所定効率以上となる各対象装置の設定値を特定してもよい。
【0048】
最適値設定部154は、運転計画データ10aが更新されるたびに、対象装置の稼働状態が最適となる設定値を特定し、記憶部140の設定値データ10bを更新する。最適値設定部154は、設定値を変更する場合には、前回の設定値と、今回の設定値との差が閾値未満となるように、制約を設けて、設定値を変更してもよい。
【0049】
設定処理部155は、記憶部140に登録された運転計画データ10a、設定値データ10bを、制御システム50に送信して、設定する。設定処理部155は、運転計画データ10a、設定値データ10bが更新される度に、上記処理を繰り返し実行する。
【0050】
[本実施形態における情報処理装置の処理の一例]
次に、本実施形態における情報処理装置100の処理手順の一例について説明する。前提として、制御システム10は、第1条件を満たす運転計画データ10a、設定値データ10bを基にして、稼働しているものとする。
【0051】
図3は、情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図3に示すように、情報処理装置100の需給予測受信部151は、需給予測サーバ30から、需給予測注意報を受信したか否かを判定する(ステップS101)。需給予測受信部151は、需給予測注意報を受信しない場合には(ステップS101,No)、再度、ステップS101に移行する。
【0052】
一方、需給予測受信部151は、需給予測注意報を受信した場合には(ステップS101,Yes)、ステップS102に移行する。情報処理装置100の運転計画生成部153は、運転計画データ10aを更新し、蓄電装置50cの蓄電を開始させる(ステップS102)。
【0053】
情報処理装置100のDR指令管理部152は、アグリゲーションサーバ40から、DR指令データを受信したか否かを判定する(ステップS103)。DR指令管理部152は、DR指令データを受信しない場合には(ステップS103,No)、再度、ステップS103に移行する。
【0054】
一方、DR指令管理部152は、DR指令データを受信した場合には(ステップS103,Yes)、ステップS104に移行する。運転計画生成部153は、第2条件を満たすように、運転計画データ10aを更新する(ステップS104)。情報処理装置100の最適値設定部154は、設定値データを更新する(ステップS105)。
【0055】
情報処理装置100の設定処理部155は、更新された運転計画データ10aおよび設定値データ10bを、制御システム50に設定する(ステップS106)。
【0056】
[実施形態における効果]
以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置100は、需給注意報を受信した場合に、蓄電装置50cの蓄電を開始させておき、DR指令データを受信した場合には、外部からの第1電力、動力装置50bからの第2電力に加えて、蓄電装置50cに蓄電された第3電力を用いて、運転計画データ10aを生成する。これによって、最適な運転計画を生成することができる。
【0057】
情報処理装置100は、運転計画データ10aを生成することに加えて、制御システム50の対象装置の稼働状態が最適な状態となる設定値データ10bを生成する。これによって、制御システム50の各対象装置を最適に稼働させ、商品等の製造効率を向上させることができる。
【0058】
[実施形態の拡張]
図1に示したシステムでは、一つの事業所に設定された、情報処理装置100と、制御システム50とを用いて説明したが、これに限定されるものではない。
図4は、その他のシステムの一例を示す図である。
図4に示す例では、このシステム2は、需給予測サーバ30、アグリゲーションサーバ40、制御システム50,60、情報処理装置100を有する。情報処理装置100は、ネットワークを介して、需給予測サーバ30、アグリゲーションサーバ40、制御システム50に接続される。たとえば、制御システム50,60は、それぞれ、別々の事業所に設置される。
【0059】
需給予測サーバ30、アグリゲーションサーバ40、制御システム50に関する説明は、
図1で行った説明と同様である。制御システム60は、制御システム50と同様にして、複数の対象装置を有し、対象装置は、運転計画データ、設定値データを基にして、稼働する。対象装置は、製造装置、動力装置、蓄電装置等である。
【0060】
情報処理装置100が実行する処理は、基本的には、
図1等で説明した情報処理装置100が実行する処理に対応する。以下において、
図4に示す情報処理装置100の固有の処理について説明する。
【0061】
情報処理装置100は、需給予測サーバ30から、需給予測データを受信し、需給予測データとして、需給注意報を受信した場合には、制御システム50,60の蓄電装置の蓄電を開始させる。
【0062】
情報処理装置100は、アグリゲーションサーバ40から、DR指令データを受信した場合、DR指令データに設定される消費電力量(減少させる消費電力量)を基にして、制御システム50に割り当てる消費電力量と、制御システム60に割り当てる消費電力量とを特定する。たとえば、制御システム50の分担割合をX%、制御システム60の分担割合をY%(Y%=100%-X%)とする。
【0063】
情報処理装置100は、対象期間において、制御システム50が第1電力を消費する消費電力量から、DR指令データに設定される消費電力量×(X/100)を減算した消費電力量を「第1目標消費電力量」として算出する。
【0064】
情報処理装置100は、対象期間において、制御システム50の動力装置50bから発電される第2電力を消費する消費電力量と、制御システム50の蓄電装置50cから出力される第3電力を消費する消費電力量と、第1目標消費電力量とを加算した「第1合計消費電力量」を算出する。
【0065】
情報処理装置100は、対象期間のおける、制御システム50の消費電力量が、第1合計消費電力量を超えないように、運転計画データを生成し、制御システム50に設定する。また、情報処理装置100は、生成した運転計画データで稼働する対象装置の稼働効率が最適となる設定値データを生成し、制御システム50に設定する。
【0066】
一方、情報処理装置100は、対象期間において、制御システム60が第1電力を消費する消費電力量から、DR指令データに設定される消費電力量×(Y/100)を減算した消費電力量を「第2目標消費電力量」として算出する。
【0067】
情報処理装置100は、対象期間において、制御システム60の動力装置から発電される第2電力を消費する消費電力量と、制御システム60の蓄電装置から出力される第3電力を消費する消費電力量と、第2目標消費電力量とを加算した「第2合計消費電力量」を算出する。
【0068】
情報処理装置100は、対象期間のおける、制御システム60の消費電力量が、第2合計消費電力量を超えないように、運転計画データを生成し、制御システム60に設定する。また、情報処理装置100は、生成した運転計画データで稼働する対象装置の稼働効率が最適となる設定値データを生成し、制御システム50に設定する。
【0069】
上記のように、情報処理装置100は、DR指令データを受信した場合、DR指令データに設定される消費電力量(減少させる消費電力量)を基にして、制御システム50に割り当てる消費電力量と、制御システム60に割り当てる消費電力量とを特定し、運転計画データ、設定値データを生成する。これによって、情報処理装置100が、複数の制御システムを管理する場合でも、最適な運転計画データ、設定値データを生成することができる。
【0070】
以上、実施形態の一例を説明したが、これらは例示であり、本実施形態は上記した説明に限定されるものではない。発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、実施形態の構成や詳細は、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で実施することができる。一例として、上述の実施例ではNN(Neural Network)を用いて、稼働効率が所定効率以上となる各対象装置の設定値を特定することとしたが、NNに代えて/加えて、カルマンフィルタなどの適切な推定アルゴリズムを用いても構わない。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0071】
1,2 システム
10a 運転計画データ
10b 設定値データ
50,60 制御システム
100 情報処理装置
110 通信部
120 入力部
130 表示部
140 記憶部
150 制御部
151 需給予測受信部
152 DR指令管理部
153 運転計画生成部
154 最適値設定部
155 設定処理部