(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043286
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240322BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H01L29/78 301G
H01L29/78 301D
H01L29/06 301M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148388
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 和宏
(72)【発明者】
【氏名】泉 直希
(72)【発明者】
【氏名】清水 雄介
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AA19
5F140AA23
5F140AC01
5F140AC21
5F140BA01
5F140BA02
5F140BA16
5F140BD05
5F140BE07
5F140BF04
5F140BF32
5F140BF37
5F140BF42
5F140BG28
5F140BG32
5F140BH30
5F140BK13
5F140CB01
(57)【要約】
【課題】ゲート絶縁膜の損傷を抑制できる半導体装置を提供することである。
【解決手段】半導体装置は、n型の半導体層の表層部に形成されたp型のドリフト領域およびn型のボディ領域と、ドリフト領域の表層部に形成されたp型のドレイン領域と、ボディ領域の表層部に形成されたp型のソース領域と、半導体層の表面上に、ドリフト領域とボディ領域とに跨るようにして形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたポリシリコンゲートとを含み、ボディ領域内のソース領域からドリフト領域におけるボディ領域側の側縁までの領域がチャネル領域であり、ポリシリコンゲートは、ゲート絶縁膜を挟んで、チャネル領域の少なくとも一部と対向するp型の第1部分と、ゲート絶縁膜を挟んで、ドリフト領域の少なくとも一部と対向するn型の第2部分とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型の半導体層と、
前記半導体層の表層部に形成されたp型のドリフト領域と、
前記半導体層の表層部に、前記ドリフト層と間隔を空けてまたは前記ドリフト層に隣接して形成されたn型のボディ領域と、
前記ドリフト領域の表層部に形成されたp型のドレイン領域と、
前記ボディ領域の表層部に形成されたp型のソース領域と、
前記半導体層の表面上に、前記ドリフト領域と前記ボディ領域とに跨るようにして形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたポリシリコンゲートとを含み、
前記ボディ領域内の前記ソース領域から前記ドリフト領域における前記ボディ領域側の側縁までの領域がチャネル領域であり、
前記ポリシリコンゲートは、
前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記チャネル領域の少なくとも一部と対向するp型の第1部分と、
前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記ドリフト領域の少なくとも一部と対向するn型の第2部分とを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第1部分は、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記チャネル領域のうち、前記ドリフト領域側寄りの領域を除いた領域と対向しており、
前記第2部分は、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記チャネル領域のうち前記ドリフト領域側寄りの領域と、前記ドリフト領域における前記チャネル領域側寄りの領域に対向している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体層の表面上には、前記ゲート絶縁膜と前記ドレイン領域との間に、前記ドリフト領域を選択的に被覆し、前記ゲート絶縁膜に連なるフィールド絶縁膜が形成されており、
前記第2部分は、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記チャネル領域のうち前記ドリフト領域側寄りの領域と、前記ドリフト領域のうち前記ドリフト領域の前記チャネル領域の側縁から前記フィールド絶縁膜までの領域とに対向している、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ポリシリコンゲートは、前記ゲート絶縁膜の上から前記フィールド絶縁膜の上に引き出された引き出し部を含み、
前記引き出し部は、p型の第3領域を含む、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ゲート絶縁膜は、前記フィールド絶縁膜の厚さ未満の厚さを有している、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ゲート絶縁膜が、酸化シリコン膜を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記フィールド絶縁膜が、LOCOS膜を含む、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ボディ領域の表層部に形成されたn型のボディコンタクト領域を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
n型の半導体層の表層部に、n型のボディ領域とp型のドリフト領域とを、間隔を空けてまたは隣接して形成する工程と、
前記半導体層の表面に前記ボディ領域および前記ドリフト領域に跨るようにゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にポリシリコンゲートを形成する工程と、
前記ポリシリコンゲート内にp型の第1部分を形成する工程と、
前記ポリシリコンゲート内にn型の第2部分を形成する工程と、
前記ボディ領域の表層部にp型のソース領域を形成する工程と、
前記ドリフト領域の表層部にp型のドレイン領域を形成する工程とを含み、
前記ボディ領域内の前記ソース領域から前記ドリフト領域における前記ボディ領域側の側縁までの領域をチャネル領域とすると、前記第1部分が、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記チャネル領域の少なくとも一部と対向しており、
前記第2部分が、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記ドリフト領域の少なくとも一部と対向している、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1部分は、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記チャネル領域のうち、前記ドリフト領域側寄りの領域を除いた領域と対向しており、
前記第2部分は、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記チャネル領域のうち前記ドリフト領域側寄りの領域と、前記ドリフト領域における前記チャネル領域側寄りの領域に対向している、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記半導体層の表面上に、前記ゲート絶縁膜と前記ドレイン領域との間に、前記ドリフト領域を選択的に被覆し、前記ゲート絶縁膜に連なるフィールド絶縁膜を形成する工程を含み、
前記第2部分は、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記チャネル領域のうち前記ドリフト領域側寄りの領域と、前記ドリフト領域のうち前記ドリフト領域の前記チャネル領域の側縁から前記フィールド絶縁膜までの領域とに対向している、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シリコン基板上に形成されたディープnウェルと、ディープnウェルの表層部に形成されたp型領域と、ディープnウェルの表層部にp型領域と間隔を空けて形成されたn型ウェルと、p型領域の表層部に形成されたp型ドレイン領域と、n型ウェルの表層部に形成されたp型ソース領域と、ディープnウェルの表面上に、p型領域とn型ウェルとに跨って形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを含むDMOSFET(Double diffused Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が開示されている。特許文献1では、p型領域は、p型ドリフト層とp型ウェルとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、ゲート絶縁膜の損傷を抑制できる半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態は、n型の半導体層と、前記半導体層の表層部に形成されたp型のドリフト領域と、前記半導体層の表層部に、前記ドリフト層と間隔を空けてまたは前記ドリフト層に隣接して形成されたn型のボディ領域と、前記ドリフト領域の表層部に形成されたp型のドレイン領域と、前記ボディ領域の表層部に形成されたp型のソース領域と、前記半導体層の表面上に、前記ドリフト領域と前記ボディ領域とに跨るようにして形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたポリシリコンゲートとを含み、前記ボディ領域内の前記ソース領域から前記ドリフト領域における前記ボディ領域側の側縁までの領域がチャネル領域であり、前記ポリシリコンゲートは、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記チャネル領域の少なくとも一部と対向するp型の第1部分と、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記ドリフト領域の少なくとも一部と対向するn型の第2部分とを含む、半導体装置を提供する。
【0006】
この構成では、ゲート絶縁膜の損傷を抑制できる。
【0007】
本開示の一実施形態は、n型の半導体層の表層部に、前記n型のボディ領域と、p型のドリフト領域とを、間隔を空けてまたは隣接して形成する工程と、前記半導体層の表面に前記ボディ領域および前記ドリフト領域に跨るようにゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にポリシリコンゲートを形成する工程と、前記ポリシリコンゲート内にp型の第1部分を形成する工程と、前記ポリシリコンゲート内にn型の第2部分を形成する工程と、前記ボディ領域の表層部にp型のソース領域を形成する工程と、前記ドリフト領域の表層部にp型のドレイン領域を形成する工程とを含み、前記ボディ領域内の前記ソース領域から前記ドリフト領域における前記ボディ領域側の側縁までの領域がチャネル領域とすると、前記第1部分が、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記チャネル領域の少なくとも一部と対向しており、前記第2部分が、前記ゲート絶縁膜を挟んで、前記ドリフト領域の少なくとも一部と対向している、半導体装置の製造方法を提供する。
【0008】
この製造方法では、ゲート絶縁膜の損傷を抑制できる半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の主要部の構造を示す模式的な部分断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の主要部の構造を示す模式的な部分断面図であって、
図1とY方向位置が異なる部分断面図である。
【
図3】
図3は、比較例におけるp型のゲート電極、ゲート絶縁膜およびp型のドリフト領域それぞれに対するエネルギーバンドと、本実施形態におけるゲート電極のn型の第2部分、ゲート絶縁膜およびp型のドリフト領域それぞれに対するエネルギーバンドとを示すエネルギーバンド図である。
【
図4】
図4は、比較例におけるp型のゲート電極とp型のドリフト領域とをゲート絶縁膜を介して接合したときのエネルギーバンドと、本実施形態におけるゲート電極のn型の第2部分とp型のドリフト領域とをゲート絶縁膜を介して接合したときのエネルギーバンドとを示すエネルギーバンド図である。
【
図5】
図5は、比較例に対して、ソース領域に0Vを印可し、ドレイン領域に-80Vを印可し、ゲート電極に-1.5Vを印可したときのエネルギーバンドと、本実施形態に対して、ソース領域、ドレイン領域およびゲート電極に同様の電圧を印可したときの、エネルギーバンドとを示すエネルギーバンド図である。
【
図6A】
図6Aは、
図1および
図2に示す半導体装置の製造工程の一例を示す断面図であって、
図1の切断面に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の主要部の構造を示す模式的な部分断面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の主要部の構造を示す模式的な部分断面図であって、
図1とY方向位置が異なる部分断面図である。
【0012】
説明の便宜上、以下では、
図1および
図2に示した+X方向、-X方向、+Y方向および-Y方向を用いることがある。+X方向は、平面視において、半導体基板2の表面に沿う所定の方向であり、+Y方向は、平面視において、半導体基板2の表面に沿う方向であって、+X方向に直交する方向である。-X方向は、+X方向と反対の方向である。-Y方向は、+Y方向と反対の方向である。+X方向および-X方向を総称するときには単に「X方向」という。+Y方向および-Y方向を総称するときには単に「Y方向」という。
【0013】
半導体装置1は、この実施形態では、pチャネルLDMOSFET(Lateral Double diffused Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0014】
半導体装置1は、半導体基板2と、半導体基板2上に形成されたエピタキシャル層3とを含む。半導体装置1は、半導体基板2とエピタキシャル層3との境界部に、半導体基板2とエピタキシャル層3とに跨って、選択的に形成された埋め込み層4を含む。なお、
図1および
図2には現れていないが、エピタキシャル層3は、埋め込み層4が形成されていない箇所では、半導体基板2の表面に接している。
【0015】
半導体基板2は、この実施形態では、シリコン(Si)基板から構成されている。半導体基板2は、炭化シリコン(SiC)基板等のシリコン基板以外の基板であってもよい。半導体基板2は、この実施形態では、p型である。半導体基板2は、例えば、1×1014cm-3~5×1018cm-3の不純物濃度を有している。この実施形態では、半導体基板2のp型不純物濃度は、1.5×1015cm-3程度である。半導体基板2の厚さは、例えば、研磨前で500μm~800μmである。
【0016】
エピタキシャル層3は、半導体基板2側と反対側に素子主面3aを有する。エピタキシャル層3は、本開示の「半導体層」の一例である。エピタキシャル層3は、この実施形態では、シリコン(Si)から構成されている。エピタキシャル層3は、炭化シリコン(SiC)等のシリコン以外の素材から構成されていてもよい。エピタキシャル層3は、n型である。n型不純物としては、例えば、P(リン)、As(砒素)、Sb(アンチモン)等を適用することができる(以下、同様である)。
【0017】
エピタキシャル層3のn型不純物は、例えば、5×1014cm-3~1×1017cm-3程度である。この実施形態では、エピタキシャル層3のn型不純物は、4×1014cm-3程度である。エピタキシャル層3の膜厚は、例えば、3μm~20μmである。この実施形態では、エピタキシャル層3の膜厚は、10μm程度である。
【0018】
埋め込み層4は、n型である。埋め込み層4は、エピタキシャル層3よりも高いn型不純物濃度を有している。埋め込み層4の膜厚は、例えば、2μm~10μmである。この実施形態では、埋め込み層4の膜厚は、5μm程度である。
【0019】
エピタキシャル層3の素子主面3a側の表層部には、p型のドリフト領域10が形成されている。ドリフト領域10は、平面視でY方向に延びた四角形状部分を含む。p型不純物としては、例えば、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)等を適用することができる(以下、同様である)。ドリフト領域10のp型不純物濃度は、例えば、5.0×1015cm-3~2.0×1016cm-3である。この実施形態では、ドリフト領域10のp型不純物濃度は、1.0×1016cm-3である。
【0020】
ドリフト領域10の表層部には、ドリフト領域10よりも高いp型不純物濃度を有するp型のドレイン領域11が形成されている。ドレイン領域11は、平面視において、Y方向に長い四角形状を有している。
【0021】
また、エピタキシャル層3の素子主面3a側の表層部には、ドリフト領域10と間隔を空けて、n型のボディ領域12が形成されている。
図1および
図2では、ボディ領域12は、ドリフト領域10に対して、-X側に配置されている。なお、ボディ領域12は、ドリフト領域10に接していてもよい。つまり、ボディ領域12は、ドリフト領域10に隣接して形成されていてもよい。ボディ領域12は、平面視において、Y方向に長い四角形状を有している。
【0022】
ボディ領域12のn型不純物濃度は、例えば、5.0×1016cm-3~2.0×1017cm-3である。この実施形態では、ボディ領域12のn型不純物濃度は、例えば、1.0×1017cm-3である。
【0023】
この実施形態では、X方向に関して、ボディ領域12とドリフト領域10の間には、エピタキシャル層3が存在している。以下において、ボディ領域12とドリフト領域12との間に存在しているエピタキシャル層3を、エピタキシャル層3の幅狭部分3bという場合がある。
【0024】
ボディ領域12の表層部には、ドリフト領域10よりも高いp型不純物濃度を有するp型のソース領域13(
図1参照)と、ボディ領域12よりも高いn型不純物濃度を有するn型のボディコンタクト領域14(
図2参照)とがY方向に交互に並んで形成されている。
【0025】
ボディ領域12およびエピタキシャル層3の幅狭部分3bの表層部において、ソース領域13とドリフト領域10との間の領域がチャネル領域20である。チャネル領域20は、ドレイン/ソース間の導通および非導通が制御される領域である。
【0026】
エピタキシャル層3の素子主面3aには、ドリフト領域10を選択的に被覆するフィールド絶縁膜21が形成されている。この実施形態では、フィールド絶縁膜21は、LOCOS(Local oxidation of silicon)酸化膜から構成されている。
【0027】
図1および
図2では、フィールド絶縁膜21のボディ領域12側の側縁は、ドリフト領域10のボディ領域12側の側縁よりも+X側に位置している。以下において、平面視において、ドリフト領域10におけるフィールド絶縁膜21のボディ領域12側の側縁よりもボディ領域12側の部分を、ドリフト領域10のチャネル側領域10aという場合がある。
【0028】
フィールド絶縁膜21のボディ領域12側の側縁とは反対側の側縁は、ドレイン領域11の-X側の側縁と一致している。
【0029】
ソース領域13とフィールド絶縁膜21との間において、エピタキシャル層3の素子主面3a上には、ゲート絶縁膜23が形成されている。ゲート絶縁膜23の+X側の側縁はフィールド絶縁膜21の-X側の側縁に接続されている。ゲート絶縁膜23は、ドリフト領域10とボディ領域12とに跨るようにして形成されている。ゲート絶縁膜23は、酸化シリコン膜を含むことが好ましい。
【0030】
ゲート絶縁膜23は、フィールド絶縁膜21の厚さ未満の厚さを有している。ゲート絶縁膜23は、チャネル領域20およびドリフト領域10のチャネル側領域10aを被覆している。ゲート絶縁膜23は、具体的には、ボディ領域12におけるソース領域13(ボディコンタクト領域14)よりもドリフト領域10側の部分と、エピタキシャル層3の幅狭部分3bと、ドリフト領域10のチャネル側領域10aとを被覆している。
【0031】
ゲート絶縁膜23上には、ゲート電極24が形成されている。ゲート電極24は、平面視でY方向に延びた四角形状の部分を含む。この実施形態では、ゲート電極24は、導電性ポリシリコンを含む。このようなゲート電極24は、「ポリゲート(poly-gate)」または「ポリシリコゲート」と称されてもよい。
【0032】
ゲート電極24は、ゲート絶縁膜23を介して、チャネル領域20およびドリフト領域10のチャネル側領域10aと対向している。ゲート電極24は、具体的には、ゲート絶縁膜23を介して、ボディ領域12におけるソース領域13(ボディコンタクト領域14)よりもドリフト領域10側の部分と、エピタキシャル層3の幅狭部分3bと、ドリフト領域10のチャネル側領域10aとに対向している。
【0033】
ゲート電極24は、この実施形態では、ゲート絶縁膜23の上からフィールド絶縁膜21の上に引き出された引き出し部25を含む。引き出し部25は、平面視において、ドレイン領域11からドリフト領域10のボディ領域12側の縁側に間隔を空けて形成されており、フィールド絶縁膜21を介してドリフト領域10に対向している。
【0034】
ゲート電極(ポリシリコンゲート)24は、ゲート絶縁膜23を挟んで、チャネル領域20の少なくとも一部と対向するp型の第1部分31と、ゲート絶縁膜23を挟んで、ドリフト領域10の少なくとも一部と対向するn型の第2部分32とを含む。
【0035】
この実施形態では、第1部分31は、ゲート絶縁膜23を挟んで、チャネル領域20のうち、ドリフト領域10側寄りの領域を除いた領域Qと対向している。具体的には、第1部分31は、ゲート絶縁膜23を挟んで、ボディ領域12における、ソース領域13(ボディコンタクト領域14)からボディ領域12のドリフト領域10側の側縁までの領域Q1と、エピタキシャル層3の幅狭部分3bのうち、ドリフト領域10側寄りの領域を除いた領域Q2とに対向している。
【0036】
この実施形態では、第2部分32は、ゲート絶縁膜23を挟んで、チャネル領域20のうちドリフト領域10側寄りの領域S1と、ドリフト領域10におけるチャネル領域20側寄りの領域S2に対向している。具体的には、第2部分32は、ゲート絶縁膜23を挟んで、チャネル領域20のうちドリフト領域10側寄りの領域S1と、ドリフト領域10のうちドリフト領域10のチャネル領域20の側縁からフィールド絶縁膜21までの間の領域S2(チャネル側領域10a)とに対向している。
【0037】
より具体的には、第2部分32は、ゲート絶縁膜23を挟んで、エピタキシャル層3の幅狭部分3bのうちドリフト領域10側寄りの領域S1と、ドリフト領域10のうちドリフト領域10におけるボディ領域12側の側縁から第1フィールド絶縁膜21までの間の領域S2(チャネル側領域10a)とに対向している。
【0038】
この実施形態では、引き出し部25は、ゲート絶縁膜23を挟んで、ドリフト領域10の少なくとも一部と対向するp型の第3部分33とを含む。
【0039】
半導体装置1は、複数のドレインコンタクト電極41、複数のソースコンタクト電極42、複数のボディコンタクト電極43および複数のゲートコンタクト電極44を含む。
【0040】
複数のドレインコンタクト電極41は、Y方向に間隔を空けて配置されている。各ドレインコンタクト電極41は、ドレイン領域11に電気的に接続されている。ドレインコンタクト電極41は、ドレイン領域11にドレイン電位Vdを付与する。
【0041】
複数のソースコンタクト電極42は、Y方向に間隔を空けて配置されている。各ソースコンタクト電極42は、ソース領域13に電気的に接続されている。ソースコンタクト電極42は、ソース領域13にソース電位Vsを付与する。
【0042】
複数のボディコンタクト電極43は、Y方向に間隔を空けて配置されている。各ボディコンタクト電極43は、ボディコンタクト領域14に電気的に接続されている。ボディコンタクト電極43は、ボディコンタクト領域14にソース電位Vsを付与する。
【0043】
複数のゲートコンタクト電極44は、Y方向に間隔を空けて配置されている。各ゲートコンタクト電極44は、ゲート電極24に電気的に接続されている。ゲートコンタクト電極44は、ゲート電極24にゲート電位Vgを付与する。
【0044】
半導体装置1は、オン動作時においてドレイン/ソース電流を流すように構成されている。オン動作時では、ソース領域13にソース電位Vs(例えばVs=0V)が印可され、ドレイン領域11にドレイン電位Vd(例えばVd=-80V)が印可され、ゲート電極24にゲート電位Vg(例えばVd=-1.5V)が印可される。
【0045】
以下において、
図1の半導体装置1において、第2部分32がn型ではなくp型である半導体装置を比較例ということにする。つまり、比較例では、ゲート電極24は、p型のポリシリコンから構成されている。
【0046】
比較例においては、ゲート絶縁膜23が損傷するおそれあることが判明した。比較例では、オン動作時に、ソース-ドレイン間に印可された電圧によって電子が加速され、原子に衝突することにより、電子(ホットエレクトロン)・正孔対が発生する。つまり、インパクトイオン化により、ドリフト領域10内に電子・正孔対が発生する。インパクトイオン化は、電界が集中しやすい、ドリフト領域10内におけるn型エピタキシャル層3との境界付近で、発生しやすい。なお、ボディ領域12がドリフト領域10に接するように形成されている場合には、インパクトイオン化は、ドリフト領域10内におけるボディ領域12との境界付近で、発生しやすい。
【0047】
インパクトイオン化によって発生した電子・正孔対によって、ゲート絶縁膜23とエピタキシャル層3との界面に界面準位が形成される。界面準位が形成されると、界面準位に電子が捕獲される。界面準位に捕獲された電子によって、ゲート絶縁膜34に強電界が発生し、ゲート絶縁膜34が損傷する。これにより、ゲートリーク電流が増加する。
【0048】
本実施形態では、ゲート電極24は、ゲート絶縁膜23を挟んで、ドリフト領域10の少なくとも一部と対向するn型の第2部分32を含んでいるので、ゲート絶縁膜23の損傷を抑制できる。以下、この理由について、説明する。
【0049】
ドリフト領域のp型不純物濃度が高いほど、インパクトイオン化が起こりやすくなる。本実施形態では、ゲート電極24は、ゲート絶縁膜23を挟んで、ドリフト領域10の少なくとも一部と対向するn型の第2部分32を含んでいる。これにより、p型のドリフト領域10における第2部分32に対向する領域のうちのゲート絶縁膜23近傍は、電子を引き寄せやすく(n型反転しやすく)なる。これにより、p型のドリフト領域10における第2部分32に対向する領域のうちのゲート絶縁膜23近傍は、正孔が少ない状態、つまり、p型不純物濃度(アクセプタ濃度)が低い状態となる。これにより、インパクトイオン化率が低減しホットエレクトロンの発生が抑制される。これにより、ゲート絶縁膜23に捕獲される電子の数を低減させることができるので、ゲート絶縁膜23の損傷を抑制できる。
【0050】
n型の第2部分32は、ゲート絶縁膜23を挟んで、ゲート電極24における、ドリフト領域10内のインパクトイオン化が起こりやすい領域に対向していることが好ましい。そこで、本実施形態では、第2部分32は、ゲート絶縁膜23を挟んで、チャネル領域20のうちドリフト領域10側寄りの領域と、ドリフト領域10におけるチャネル領域20側寄りの領域に対向するように、形成されている。
【0051】
以下、p型のドリフト領域10における第2部分32に対向する領域のうちのゲート絶縁膜23近傍が、電子を引き寄せやすく(n型反転しやすく)なる理由について説明する。
【0052】
図3の左側は、比較例におけるp型のゲート電極(
図3に「p型ゲート」と表記)、ゲート絶縁膜23およびp型のドリフト領域10それぞれに対するエネルギーバンドを示している。
図3の右側は、本実施形態におけるゲート電極24の第2部分32(
図3にn型ゲート」と表記)、ゲート絶縁膜23およびp型のドリフト領域10それぞれに対するエネルギーバンドを示している。
【0053】
図3において、Ecは伝導帯端エネルギーを示し、Efはフェルミ準位を示し、Evは価電子帯端エネルギーを示している。
図4および
図5においても同じ。
【0054】
比較例ではゲート電極がp型であるため、ゲート電極のフェルミ準位Efは価電子帯端エネルギーEvに近い位置に存在する。一方、本実施形態では、ゲート電極24の第2部分32はn型であるため、ゲート電極24の第2部分32のフェルミ準位Efは伝導帯端エネルギーEcに近い位置に存在する。
【0055】
図4の左側は、比較例におけるp型のゲート電極とp型のドリフト領域10とをゲート絶縁膜23を介してして接合したときのエネルギーバンド(熱平衡状態でのエネルギーバンド)を示している。
図4の右側は、本実施形態におけるゲート電極24のn型の第2部分32とp型のドリフト領域10とをゲート絶縁膜23を介して接合したときのエネルギーバンド(熱平衡状態でのエネルギーバンド)を示している。
【0056】
比較例では、p型のドリフト領域10のエネルギーバンドは、ゲート絶縁膜23側の表面において、価電子帯端エネルギーEvがフェルミ準位Efに近づくように曲がる。このため、p型のドリフト領域10の表層部に正孔が蓄積しやすい状態となる。
【0057】
本実施形態のゲート電極24のn型の第2部分32の伝導帯端エネルギーEcは、比較例のゲート電極の伝導帯端エネルギーEcに対して、1V程度大きい。これにより、本実施形態では、p型のドリフト領域10のエネルギーバンドは、ゲート絶縁膜23側の表面において、伝導帯端エネルギーEcがフェルミ準位Efに近づくように曲がる。このため、p型のドリフト領域10の表層部に電子が蓄積しやすい状態となる。
【0058】
図5の左側は、比較例に対して、ソース領域13に0Vを印可し、ドレイン領域11に-80Vを印可し、ゲート電極に-1.5Vを印可したときのエネルギーバンドを示している。
図5の右側は、本実施形態に対して、ソース領域13、ドレイン領域11およびゲート電極24に同様の電圧を印可したときの、エネルギーバンドを示している。
【0059】
このような電圧を印可した場合、ゲート絶縁膜には3V程度の電位差が生じる。このため、比較例および実施形態において、p型のドリフト領域10のエネルギーバンドは、熱平衡状態から3V分だけ上側に持ち上げられる。
【0060】
これにより、本実施形態では、p型のドリフト領域10のゲート絶縁膜23側の表面において、伝導帯端エネルギーEcにおけるフェルミ準位Ef側への垂れ下がり部の落差が大きくなる。これにより、p型のドリフト領域10の表層部に電子がより蓄積しやすい状態となる。つまり、p型のドリフト領域10の表層部がn型反転しやすい状態となる。
【0061】
比較例においても、p型のドリフト領域10のゲート絶縁膜23側の表面において、伝導帯端エネルギーEcがフェルミ準位Efに近づくように曲がるようになる。しかし、伝導帯端エネルギーEcにおけるフェルミ準位Ef側への垂れ下がり部の落差が小さいため、本実施形態に比べてp型のドリフト領域10の表層部への電子の蓄積効果は低い。
【0062】
図6A~
図6Lを参照して、
図1に示す半導体装置1の製造工程について説明する。
図6A~
図6Lは、半導体装置1の製造工程の一例を説明するための断面図であって、
図1の切断面に対応する断面図である。
【0063】
まず、p型の半導体基板2が用意される。次に、半導体基板2の表面にn型の埋め込み層4を形成するためのn型不純物が選択的に注入される。そして、例えば1100℃以上の加熱状態下で、n型不純物を添加しながら半導体基板2の上にシリコンをエピタキシャル成長させる。これにより、
図6Aに示すように、半導体基板2上にn型のエピタキシャル層3が形成される。
【0064】
エピタキシャル層3の成長に際して、半導体基板2に注入されたn型不純物は、エピタキシャル層3の成長方向に拡散する。これにより、半導体基板2とエピタキシャル層3との境界を跨ぐn型の埋め込み層4が形成される。
【0065】
次に、
図6Bに示すように、例えば、熱酸化等の方法によって、エピタキシャル層3の素子主面3aに、ベース絶縁膜71(たとえば、5nm~50nm厚)が形成される。ベース絶縁膜71は、この実施形態では、酸化シリコン(SiO
2)から構成されている。
【0066】
次に、
図6Cに示すように、例えば、減圧CVD法等の方法によって、ベース絶縁膜71上にマスク絶縁膜72(例えば、80nm~200nm厚)を堆積させる。マスク絶縁膜72は、この実施形態では、窒化シリコン(SiN)から構成されている。
【0067】
次に、
図6Dに示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングによって、マスク絶縁膜72におけるフィールド絶縁膜21が形成される領域に対向する領域に開口73が形成される。
【0068】
次に、
図6Eに示すように、マスク絶縁膜72の開口73から露出するエピタキシャル層3の部分を熱酸化することによって、ベース絶縁膜71が厚膜化し、エピタキシャル層3の素子主面3a側の表層部に、LOCOS酸化膜からなるフィールド絶縁膜21が形成される。
【0069】
次に、
図6Fに示すように、例えば、フッ化水素水等のエッチングによって、マスク絶縁膜72が除去される。この後、エピタキシャル層3の素子主面3a側の表層部に、n型のボディ領域12が形成される。ボディ領域12を形成するには、まず、ボディ領域12を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示略)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型不純物がエピタキシャル層3に注入される。これにより、ボディ領域12が形成される。この後、イオン注入マスクは、除去される。
【0070】
次に、
図6Gに示すように、エピタキシャル層3の素子主面3a側の表層部に、p型のドリフト領域10が形成される。ドリフト領域10を形成するには、まず、ドリフト領域10を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示略)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型不純物がエピタキシャル層3に注入される。これにより、ドリフト領域10が形成される。この後、イオン注入マスクは、除去される。
【0071】
次に、
図6Hに示すように、ベース絶縁膜71およびフィールド絶縁膜21の表面が熱酸化される。これにより、ベース絶縁膜71が厚膜化し、ゲート絶縁膜23が形成される。
【0072】
次に、例えば、減圧CVD法等の方法によって、エピタキシャル層3の素子主面3aの全面にポリシリコンを堆積させ、その後、フォトリソグラフィ工程を経ることによって、
図6Iに示すように、ポリシリコンからなるゲート電極24が形成される。
【0073】
次に、
図6Jに示すように、ボディ領域12の表層部にn型のボディコンタクト領域14(
図2参照)が形成されるとともに、ゲート電極24にn型の第2部分32が形成される。ボディコンタクト領域14および第2部分32を形成するには、まず、ボディコンタクト領域14を形成すべき領域および第2部分32を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示略)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型不純物がボディ領域12およびゲート電極24に注入される。これにより、ボディコンタクト領域14および第2部分32が形成される。この後、イオン注入マスクは、除去される。
【0074】
次に、
図6Kに示すように、ボディ領域12の表層部にp型のソース領域13が形成され、ドリフト領域10の表層部にp型のドレイン領域11が形成され、ゲート電極24にp型の第1部分31および第3部分33が形成される。
【0075】
ソース領域13、ドレイン領域11ならびにゲート電極24の第1部分31および第3部分33を形成するには、まず、ソース領域13、ドレイン領域11、第1部分31および第3部分33をそれぞれ形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示略)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型不純物がボディ領域12、ドリフト領域10およびゲート電極24に注入される。これにより、ソース領域13、ドレイン領域11ならびにゲート電極24の第1部分31および第3部分33が形成される。この後、イオン注入マスクは、除去される。
【0076】
次に、
図6Lに示すように、ゲート絶縁膜23の不要な部分を除去するため、選択的に開口を有するハードマスク(図示略)がエピタキシャル層3上に形成される。そして、当該ハードマスクを介してゲート絶縁膜23の不要な部分にエッチング処理が施される。これにより、所定のゲート絶縁膜23が形成される。これにより、ドレイン領域11、ソース領域13およびボディコンタクト領域14の表面が露出される。この後、ハードマスクが除去される。
【0077】
最後に、ドレイン領域11に電気的に接続される複数のドレインコンタクト電極41、ソース領域13に電気的に接続される複数のソースコンタクト電極42、ボディコンタクト領域14に電気的に接続される複数のボディコンタクト電極43およびゲート電極18に電気的に接続される複数のゲートコンタクト電極44が形成される。これにより、
図1および
図2に示す半導体装置1が得られる。
【0078】
前述の実施形態では、ボディコンタクト領域14、ソース領域13およびドレイン領域11は、
図6Iでポリシリコンからなるゲート電極24が形成された後に形成されているが、ゲート電極24が形成される前に形成されてもよい。
【0079】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本開示の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本開示はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本開示の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【0080】
この明細書および図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。
【0081】
[付記1-1]
n型の半導体層(3)と、
前記半導体層(3)の表層部に形成されたp型のドリフト領域(10)と、
前記半導体層(3)の表層部に、前記ドリフト層(10)と間隔を空けてまたは前記ドリフト層(10)に隣接して形成されたn型のボディ領域(12)と、
前記ドリフト領域(10)の表層部に形成されたp型のドレイン領域(11)と、
前記ボディ領域(12)の表層部に形成されたp型のソース領域(13)と、
前記半導体層(3)の表面上に、前記ドリフト領域(10)と前記ボディ領域(12)とに跨るようにして形成されたゲート絶縁膜(23)と、
前記ゲート絶縁膜(23)上に形成されたポリシリコンゲート(24)とを含み、
前記ボディ領域(12)内の前記ソース領域(13)から前記ドリフト領域(10)における前記ボディ領域(12)側の側縁までの領域がチャネル領域(20)であり、
前記ポリシリコンゲート(24)は、
前記ゲート絶縁膜(23)を挟んで、前記チャネル領域(20)の少なくとも一部と対向するp型の第1部分(31)と、
前記ゲート絶縁膜(23)を挟んで、前記ドリフト領域(10)の少なくとも一部と対向するn型の第2部分(32)とを含む、半導体装置。
【0082】
[付記1-2]
前記第1部分(31)は、前記ゲート絶縁膜(23)を挟んで、前記チャネル領域(20)のうち、前記ドリフト領域(10)側寄りの領域(S1)を除いた領域(Q)と対向しており、
前記第2部分(32)は、前記ゲート絶縁膜(23)を挟んで、前記チャネル領域(20)のうち前記ドリフト領域(10)側寄りの領域(S1)と、前記ドリフト領域(10)における前記チャネル領域(20)側寄りの領域(S2)に対向している、[付記1-1]に記載の半導体装置。
【0083】
[付記1-3]
前記半導体層(3)の表面上には、前記ゲート絶縁膜(23)と前記ドレイン領域(11)との間に、前記ドリフト領域(10)を選択的に被覆し、前記ゲート絶縁膜(23)に連なるフィールド絶縁膜(21)が形成されており、
前記第2部分(32)は、前記ゲート絶縁膜(23)を挟んで、前記チャネル領域(20)のうち前記ドリフト領域(10)側寄りの領域(S1)と、前記ドリフト領域(10)のうち前記ドリフト領域(10)の前記チャネル領域(20)の側縁から前記フィールド絶縁膜(21)までの領域(S2)とに対向している、[付記1-2]に記載の半導体装置。
【0084】
[付記1-4]
前記ポリシリコンゲート(24)は、前記ゲート絶縁膜(23)の上から前記フィールド絶縁膜(21)の上に引き出された引き出し部(25)を含み、
前記引き出し部(25)は、p型の第3領域(33)を含む、[付記1-3]に記載の半導体装置。
【0085】
[付記1-5]
前記ゲート絶縁膜(23)は、前記フィールド絶縁膜(21)の厚さ未満の厚さを有している、[付記1-3]に記載の半導体装置。
【0086】
[付記1-6]
前記ゲート絶縁膜(23)が、酸化シリコン膜を含む、[付記1-1]~[付記1-5]のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0087】
[付記1-7]
前記フィールド絶縁膜(21)が、LOCOS膜を含む、[付記1-3]に記載の半導体装置。
【0088】
[付記1-8]
前記ボディ領域(12)の表層部に形成されたn型のボディコンタクト領域(14)を含む、[付記1-1]~[付記1-7]のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0089】
[付記1-9]
n型の半導体層(3)の表層部に、n型のボディ領域(12)とp型のドリフト領域(10)とを、間隔を空けてまたは隣接して形成する工程と、
前記半導体層(3)の表面に前記ボディ領域(12)および前記ドリフト領域(10)に跨るようにゲート絶縁膜(23)を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜(23)上にポリシリコンゲート(24)を形成する工程と、
前記ポリシリコンゲート(24)内にp型の第1部分(31)を形成する工程と、
前記ポリシリコンゲート(24)内にn型の第2部分(32)を形成する工程と、
前記ボディ領域(12)の表層部にp型のソース領域(13)を形成する工程と、
前記ドリフト領域(10)の表層部にp型のドレイン領域(11)を形成する工程とを含み、
前記ボディ領域(12)内の前記ソース領域(13)から前記ドリフト領域(20)における前記ボディ領域(12)側の側縁までの領域をチャネル領域(20)とすると、前記第1部分(31)が、前記ゲート絶縁膜(23)を挟んで、前記チャネル領域(20)の少なくとも一部と対向しており、
前記第2部分(32)が、前記ゲート絶縁膜(23)を挟んで、前記ドリフト領域(10)の少なくとも一部と対向している、半導体装置の製造方法。
【0090】
[付記1-10]
前記第1部分(31)は、前記ゲート絶縁膜(23)を挟んで、前記チャネル領域(20)のうち、前記ドリフト領域(10)側寄りの領域(S1)を除いた領域(Q)と対向しており、
前記第2部分(32)は、前記ゲート絶縁膜(23)を挟んで、前記チャネル領域(20)のうち前記ドリフト領域(10)側寄りの領域(S1)と、前記ドリフト領域(10)における前記チャネル領域(20)側寄りの領域(S2)に対向している、[付記1-9]に記載の半導体装置。
【0091】
[付記1-11]
前記半導体層(3)の表面上に、前記ゲート絶縁膜(23)と前記ドレイン領域(10)との間に、前記ドリフト領域(10)を選択的に被覆し、前記ゲート絶縁膜(23)に連なるフィールド絶縁膜(21)を形成する工程を含み、
前記第2部分(32)は、前記ゲート絶縁膜(23)を挟んで、前記チャネル領域(20)のうち前記ドリフト領域(10)側寄りの領域(S1)と、前記ドリフト領域(10)のうち前記ドリフト領域(10)の前記チャネル領域(20)の側縁から前記フィールド絶縁膜(21)までの領域(S2)とに対向している、[付記1-9]に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0092】
1 半導体装置
2 半導体基板
3 エピタキシャル層
3a 素子主面
3b 幅狭部分
10 ドリフト領域
10a チャネル側領域
11 ドレイン領域
12 ボディ領域
13 ソース領域
14 ボディコンタクト領域
20 チャネル領域
21 フィールド絶縁膜
23 ゲート絶縁膜
24 ゲート電極
25 引き出し部
31 第1部分
32 第2部分
33 第3部分
41 ドレインコンタクト電極
42 ソースコンタクト電極
43 ボディコンタクト電極
44 ゲートコンタクト電極
71 ベース絶縁膜
72 マスク絶縁膜
73 開口