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特開2024-43297電子会議支援方法、プログラム及び電子会議支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043297
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】電子会議支援方法、プログラム及び電子会議支援システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/15 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
H04N7/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148409
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】521010849
【氏名又は名称】株式会社Michele Holdings
(74)【代理人】
【識別番号】110004093
【氏名又は名称】弁理士法人アクセル特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉掛 正治
(72)【発明者】
【氏名】荒川 清晟
(72)【発明者】
【氏名】山田 大典
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA10
5C164MA03S
5C164VA00P
(57)【要約】
【課題】電子会議の円滑な進行を支援する。
【解決手段】複数の情報処理装置がネットワークを介して接続される電子会議支援システムが実行する電子会議支援方法であって、電子会議の参加者から発信される発信情報を取得する発信情報取得ステップと、前記発信情報を基に前記参加者へ共有するための共有情報を生成する共有情報生成ステップと、前記共有情報を所定のタイミングにて前記参加者へ提示する提示ステップと、を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報処理装置がネットワークを介して接続される電子会議支援システムが実行する電子会議支援方法であって、
電子会議の参加者から発信される発信情報を取得する発信情報取得ステップと、
前記発信情報を基に前記参加者へ共有するための共有情報を生成する共有情報生成ステップと、
前記共有情報を所定のタイミングにて前記参加者へ提示する提示ステップと、
を行う電子会議支援方法。
【請求項2】
前記電子会議支援システムは、前記電子会議の仮想の参加者として前記参加者へ向けて表示する司会者アバタを生成すると共に、前記提示ステップにおいて前記共有情報を当該司会者アバタから前記参加者へ向けて提示する、
請求項1に記載の電子会議支援方法。
【請求項3】
前記電子会議支援システムは、前記提示ステップにおいて、前記共有情報を前記司会者アバタの所定の動作と共に提示する、
請求項2に記載の電子会議支援方法。
【請求項4】
前記電子会議支援システムは、前記発信情報の特徴を判定すると共に、前記発信情報の特徴が所定の特徴にマッチする場合は前記発信情報が前記所定の特徴にマッチしないように前記発信情報の表現を変換した後に前記共有情報を生成する、
請求項1に記載の電子会議支援方法。
【請求項5】
前記共有情報は、前記発信情報を要約した情報である、
請求項1に記載の電子会議支援方法。
【請求項6】
前記電子会議支援システムは、前記発信情報取得ステップにて前記発信情報の特徴を判定すると共に、前記共有情報生成ステップにて前記発信情報の特徴が所定の特徴にマッチする場合は前記発信情報が前記所定の特徴にマッチしないように前記発信情報の表現を変換した変換済情報を生成し、当該変換済情報を要約した前記共有情報を生成する、
請求項1に記載の電子会議支援方法。
【請求項7】
電子会議の参加者から発信される発信情報を取得する発信情報取得ステップと、
前記発信情報を基に前記参加者へ共有するための共有情報を生成する共有情報生成ステップと、
前記共有情報を所定のタイミングにて前記参加者へ提示する提示ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
複数の情報処理装置がネットワークを介して接続される電子会議支援システムであって、
電子会議の参加者から発信される発信情報を取得する発信情報取得ステップと、
前記発信情報を基に前記参加者へ共有するための共有情報を生成する共有情報生成ステップと、
前記共有情報を所定のタイミングにて前記参加者へ提示する提示ステップと、
を行う電子会議支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子会議支援方法、プログラム及び電子会議支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、電子会議システムが開示されている。この電子会議システムでは、複数の情報処理装置がネットワークを介して接続されており、電子会議の参加者はそれぞれ情報処理装置を介して各自の発言等を、ネットワークを介して他の参加者と共有することで電子会議を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-164203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子会議においては、一般的に参加者を写した映像及び参加者の発した音声のやり取りにて会議を行うが、映像や音声からは判別し難いニュアンスの違いなどから齟齬が生じてスムーズな会議進行が難航する可能性があり、この点において改良の余地がある。
【0005】
本発明は上記課題を考慮し、電子会議の円滑な進行を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態にかかる電子会議支援方法は、複数の情報処理装置がネットワークを介して接続される電子会議支援システムが実行する電子会議支援方法であって、電子会議の参加者から発信される発信情報を取得する発信情報取得ステップと、前記発信情報を基に前記参加者へ共有するための共有情報を生成する共有情報生成ステップと、前記共有情報を所定のタイミングにて前記参加者へ提示する提示ステップと、を行う。
【0007】
一実施形態にかかるプログラムは、電子会議の参加者から発信される発信情報を取得する発信情報取得ステップと、前記発信情報を基に前記参加者へ共有するための共有情報を生成する共有情報生成ステップと、前記共有情報を所定のタイミングにて前記参加者へ提示する提示ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0008】
一実施形態にかかる電子会議支援システムは、複数の情報処理装置がネットワークを介して接続される電子会議支援システムであって、電子会議の参加者から発信される発信情報を取得する発信情報取得ステップと、前記発信情報を基に前記参加者へ共有するための共有情報を生成する共有情報生成ステップと、前記共有情報を所定のタイミングにて前記参加者へ提示する提示ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、電子会議の円滑な進行を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る電子会議支援システムの概要を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係るサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る利用者端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態に係るサーバの機能構成を示すブロック図である。
図5】第1実施形態に係る利用者端末の機能構成を示すブロック図である。
図6】第1実施形態に係る学習済モデルの一構成例を説明するための模式図である。
図7】第1実施形態に係る電子会議支援システムのサーバ側の動作の一例を示すフローチャートである。
図8】第1実施形態に係る電子会議支援システムの利用者端末側の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態に係る電子会議支援システムの概要を示す概略図である。
図10】第2実施形態に係るサーバの機能構成を示すブロック図である。
図11】第2実施形態に係る利用者端末の機能構成を示すブロック図である。
図12】第2実施形態に係る電子会議支援システムにて実施中の電子会議の表示例を示す概略図である。
図13】第2実施形態に係る電子会議支援システムのサーバ側の動作の一例を示すフローチャートである。
図14】第2実施形態に係る電子会議支援システムの利用者端末側の動作の一例を示すフローチャートである。
図15】第3実施形態に係るサーバの機能構成を示すブロック図である。
図16】第3実施形態に係る電子会議支援システムのサーバ側の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図1図8を用いて、本発明に係る電子会議支援システムの第1実施形態について説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
<システム概要>
まず、本実施形態に係る電子会議支援システム10の概要について説明する。図1に示されるように、電子会議支援システム10は、複数の参加者P間にて電子会議を行うシステムである。具体的には、参加者Pがそれぞれ使用する情報処理装置としての利用者端末12と、システムを管理する図示しない管理者により管理される情報処理装置としてのサーバ14との間で情報の共有を行い、リアルタイムに例えば、映像、音声、テキスト、などの各種データを用いてコミュニケーションを実現するものである。
【0013】
電子会議支援システム10は、参加者Pの発言などといった音声情報、テキスト入力情報及び選択操作入力情報を請求項1に記載の「発信情報」として取得し、他の参加者Pへ共有することが可能とされている。なお、テキスト化されていない発信情報についてはこれをテキスト化して他の参加者Pへ共有可能とされている。発信情報は、内容、情報量又は操作などによりテキスト情報として要約化することも可能とされている。これら他の参加者Pへ共有されるテキスト化された要約情報が請求項1に記載の「共有情報」に相当する。
【0014】
<システム構成>
本実施形態に係る電子会議支援システム10は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続された、サーバ14と利用者端末12と、を備える。ネットワークNは、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、インターネット、公衆回線網、モバイルデータ通信網、又はこれらの組み合わせである。図1の例では、電子会議支援システム10は、サーバ14を1つ、利用者端末12を2つ備えるが、これに限らず、それぞれ2つ以上備えてもよい。
【0015】
サーバ14は、電子会議の実施と進行を支援する各種機能を利用者端末12へ提供する情報処理装置である。サーバ14は、例えばPC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、またはマイクロコンピュータであるが、これに限られない。サーバ14について、詳しくは後述する。
【0016】
利用者端末12は、参加者Pから発信される発信情報をサーバ14へ送信すると共に、電子会議を表示する情報処理装置である。利用者端末12は、一例として、PC、スマートフォン、タブレット端末、またはマイクロコンピュータであるが、これに限られない。利用者端末12及び発信情報については、詳しくは後述する。
【0017】
<ハードウェア構成(サーバ)>
次に、サーバ14のハードウェア構成について説明する。図2は、サーバ14のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、サーバ14は、バスBを介して相互に接続された、プロセッサ140と、メモリ142と、ストレージ144と、通信I/F146と、入出力I/F148と、出力装置150と、入力装置152と、ドライブ装置154と、を備える。
【0018】
プロセッサ140は、ストレージ144に記憶されたプログラムをメモリ142に展開して実行することにより、サーバ14の各構成を制御し、サーバ14の機能を実現する。プロセッサ140がプログラムを実行することにより、サーバ14の機能が実現される。プロセッサ140は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はこれらの組み合わせである。
【0019】
メモリ142は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はこれらの組み合わせである。ROMは、例えば、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、又はこれらの組み合わせである。RAMは、例えば、DRAM(Dynamic RAM)、SRAM(Static RAM)、MRAM(Magnetoresistive RAM)、又はこれらの組み合わせである。
【0020】
ストレージ144は、OS等のプログラム及び各種のデータを記憶する。ストレージ144は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、SCM(Storage Class Memories)、又はこれらの組み合わせである。
【0021】
通信I/F146は、サーバ14を、ネットワークNを介して、外部装置に接続し、通信を制御するためのインタフェースである。通信I/F146は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Ethernet(登録商標)、又は光通信(例えば、Fibre Channel)に準拠したアダプタであるが、これに限られない。
【0022】
入出力I/F148は、サーバ14に入力装置152及び出力装置150を接続するためのインタフェースである。
【0023】
出力装置150は、サーバ14が保持した各種の情報を出力する装置である。出力装置150は、例えば、ディスプレイ、プロジェクタ、プリンタ、スピーカ、バイブレータ、又はこれらの組み合わせである。
【0024】
入力装置152は、管理者の操作を受け付け、受け付けた操作に応じた情報をサーバ14に入力するための装置である。入力装置152は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、マイク、スキャナ、カメラ、各種センサ、操作ボタン、又はこれらの組み合わせである。
【0025】
ドライブ装置154は、ディスクメディア156のデータを読み書きする。ドライブ装置154は、例えば、磁気ディスクドライブ、光学ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、又はこれらの組み合わせである。ディスクメディア156は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、FD(Floppy Disk)、MO(Magneto-Optical disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、又はこれらの組み合わせである。
【0026】
なお、サーバ14のハードウェア構成は、上記の例に限られない。サーバ14は、上記のハードウェア機能構成の一部を備えてもよいし、上記以外のハードウェア構成を備えてもよい。
【0027】
また、各種のプログラムは、サーバ14の製造段階でメモリ142又はストレージ144に書き込まれてもよいし、ネットワークNを介してサーバ14に提供されてもよいし、ディスクメディア156などの非一時的でコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介してサーバ14に提供されてもよい。
【0028】
<ハードウェア構成(利用者端末)>
次に、利用者端末12のハードウェア構成について説明する。図3は、利用者端末12のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示すように、利用者端末12は、バスBを介して相互に接続された、プロセッサ120と、メモリ122と、ストレージ124と、通信I/F126と、入出力I/F128と、出力装置132と、入力装置134と、を備える。
【0029】
プロセッサ120は、ストレージ124に記憶されたプログラムをメモリ122に展開して実行することにより、利用者端末12の各構成を制御し、利用者端末12の機能を実現する。プロセッサ120がプログラムを実行することにより、利用者端末12の機能が実現される。プロセッサ120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はこれらの組み合わせである。
【0030】
メモリ122は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はこれらの組み合わせである。ROMは、例えば、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、又はこれらの組み合わせである。RAMは、例えば、DRAM(Dynamic RAM)、SRAM(Static RAM)、MRAM(Magnetoresistive RAM)、又はこれらの組み合わせである。
【0031】
ストレージ124は、OS等のプログラム及び各種のデータを記憶する。ストレージ124は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、SCM(Storage Class Memories)、又はこれらの組み合わせである。
【0032】
通信I/F126は、利用者端末12を、ネットワークNを介して、外部装置に接続し、通信を制御するためのインタフェースである。通信I/F126は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Ethernet(登録商標)、又は光通信(例えば、Fibre Channel)に準拠したアダプタであるが、これに限られない。
【0033】
入出力I/F128は、利用者端末12に入力装置134及び入力装置134を接続するためのインタフェースである。
【0034】
入力装置134は、参加者Pの操作を受け付け、受け付けた操作に応じた情報を利用者端末12に入力するための装置である。入力装置134は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、マイク、スキャナ、カメラ、各種センサ、操作ボタン、又はこれらの組み合わせである。
【0035】
出力装置132は、利用者端末12が保持した各種の情報を出力する装置である。入力装置134は、例えば、ディスプレイ、プロジェクタ、プリンタ、スピーカ、バイブレータ、又はこれらの組み合わせである。
【0036】
なお、利用者端末12のハードウェア構成は、上記の例に限られない。利用者端末12は、上記のハードウェア機能構成の一部を備えてもよいし、上記以外のハードウェア構成を備えてもよい。
【0037】
また、各種のプログラムは、利用者端末12の製造段階でメモリ122又はストレージ124に書き込まれてもよいし、ネットワークNを介して利用者端末12に提供されてもよいし、ディスクメディア156(図2参照)などの非一時的でコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介して利用者端末12に提供されてもよい。
【0038】
<機能構成(サーバ)>
図4は、サーバ14の機能構成の一例を示す図である。図4に示すように、サーバ14は、通信部20と、記憶部22と、処理部24と、を備える。
【0039】
通信部20は、通信I/F146(図2参照)により実現される。通信部20は、利用者端末12との間で電子会議プログラム220、映像、音声、テキスト等の情報の送受信を行う。
【0040】
記憶部22は、メモリ142及びストレージ144(図2参照)により実現される。記憶部22は、処理部24が実行する電子会議プログラム220を記憶すると共に、学習済モデル222、ユーザDB224、発信情報DB226及び変換情報DB228を含む各種の情報を記憶する。
【0041】
図6に示されるように、学習済モデル222は、発信情報の入力に対して、当該発信情報が持つ特徴を予測して出力するように予め機械学習された学習済みの学習済モデルである。具体的には、学習済モデル222は、入力された発信情報の特徴を判定し所定の特徴を持つか否かを予測すると共に、所定の特徴を持つ場合には当該特徴ごとに所定の特徴を持たないように言い換えた表現(換言すると、対義的な表現を使った言い換え表現、以下、単に「特徴を持たない表現」と称する。)を出力するよう学習されている。学習済モデル222は、一例として、2クラス分類手法により発信情報の特徴を予測するが、これに限られない。なお、判定する特徴とは、一例として、「ポジティブ」であるか「ネガティブ」であるかに大きく分けられると共に、「ネガティブ」である場合にはさらに「荒い表現」、「非生産的」、「各種ハラスメント」、「政治的」、「差別的」及び「その他会議にふさわしくない」の分類に分けられる。「所定の特徴」とは、このうち「ネガティブ」な特徴に属するものとされている。
【0042】
学習済モデル222の学習処理及び再学習処理は、例えば、サーバ14により行われるが、これに限られない。学習済モデル222の学習処理及び再学習処理は、サーバ14以外の他の装置で行われ、サーバ14に提供されてもよい。学習済モデル222は、例えば、DNN(Deep Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)、CNN(Convolutional Neural Network)、LSTM(Long Short-Term Memory)等のニューラルネットワークであるが、これに限られない。学習済モデル222は、決定木、SVM(Support Vector Machine)等の学習済モデルであってもよい。また、学習済モデル222の学習方法において、パラメトリックモデルを用いる場合のパラメータ更新方法は、例えば、勾配降下法、確率的勾配降下法であり、多層ニューラルネットワークにおける勾配計算方法は誤差逆伝播法であるが、これに限られない。
【0043】
図4に示されるように、ユーザDB224は、参加者Pに関する情報が格納されるデータベースである。ユーザDB224は、例えば、利用者端末12を介して登録された参加者Pの識別情報である固有のID情報、参加済または今後参加する予定の電子会議の識別情報である会議ID情報、参加済の電子会議における発信情報などである。なお、ユーザDB224に格納される情報はこれらに限らず、参加者Pの職業、職位、居住地等その他の情報を含んでもよい。
【0044】
発信情報DB226は、利用者端末12より取得された過去の発信情報が格納されるデータベースである。
【0045】
変換情報DB228は、発信情報における所定の特徴に該当する表現及び所定の特徴を持たない表現の例が予め格納されたデータベースである。
【0046】
処理部24は、プロセッサ140がメモリ142(図2参照)からプログラムを読み出して実行し、他のハードウェア構成と協働することにより実現される。処理部24は、会議制御部242と、発信情報取得部244と、文字情報生成部246と、判定部248と、変換部250と、要約生成部252と、共有制御部254と、表示処理部256と、を備える。
【0047】
会議制御部242は、電子会議の開始、終了を制御すると共に、電子会議を実施中の利用者端末12との間で電子会議実施のための各種情報の送受信の制御を行う。
【0048】
発信情報取得部244は、利用者端末12から送信された発信情報を受信する。受信された発信情報は、発信情報の発信元である利用者端末12ひいては参加者Pと紐付けられて発信情報DB226に格納される。
【0049】
文字情報生成部246は、取得された発信情報のうち予めテキスト情報とされた情報以外をテキスト化する。テキスト化される発信情報は、一例として、音声情報や画像情報とされている。音声情報の場合は、図示しない音声文字化処理部により音声情報を元にテキスト化(いわゆる文字起こし)される。画像情報の場合は、図示しないOCR処理部により画像情報を元にテキスト化される。
【0050】
判定部248は、学習済モデル222を利用して発信情報の特徴を判定する。すなわち、発信情報取得部244にて取得されたテキストによる発信情報及び文字情報生成部246にてテキスト化された発信情報を学習済モデル222へ入力することで、発信情報が所定の特徴を持つか否か判定する。そして、発信情報が所定の特徴を持つと判定された場合は、判定された発信情報に対応してラベルを付与する。なお、この付与については、一例として、特徴毎に異なるラベルが付与される。
【0051】
変換部250は、ラベルが付与された発信情報に対して表現を変換する。すなわち、変換部250は、ラベルが付与された発信情報について、当該ラベルに基づいて特徴を判定し、当該特徴を持たない表現へ変換する。変換については、学習済モデル222からの出力結果を利用してもよいし、変換情報DB228に格納された該当する情報を利用してもよい。一例として、ラベルが付与された発信情報の特徴が「荒い表現」に該当する場合は、対義的な「穏やかな表現」を使った言い換え表現へと変換される。
【0052】
要約生成部252は、取得した発信情報の要約を生成する。要約の生成については、図示しない学習済モデル等を用いて要約を生成する。また、要約生成部252は、要約を生成するために必要な情報量を取得できたタイミングや要約を生成するように操作されたタイミングなど、様々なタイミングにて要約の生成が可能とされている。また、要約を生成する対象となる発信情報については、参加者Pごとの発信情報に基づいて要約を生成してもよいし、電子会議全体での発信情報に基づいて要約を生成してもよい。その他にも、会議のトピックごとやグループごとなど任意の発信情報に基づいて要約を生成してもよい。
【0053】
共有制御部254は、共有情報を参加者Pへ共有するか否か、及び共有する場合の共有情報を参加者Pへ提示するタイミングを決定する。一例として、共有情報として要約を共有するよう操作指示がなされた場合は要約を参加者Pへ共有することを決定すると共に、要約を提示する所定のタイミングを決定して電子会議中における当該所定のタイミングに一致した場合に生成された要約を参加者Pへ提示するように表示処理部256へ指示を行う。なお、「所定のタイミング」とは、共有情報を参加者Pへ提示するのに適したタイミングのことであり、具体的には、「参加者Pの発言が止まった時」、「会議のトピック(話題)が変わった時」、「予め決められた時間になった時」、「共有情報を提示するように操作がなされた時」及び「要約が適切に生成できる発信情報の情報量が取得できた時」などが該当する。
【0054】
表示処理部256は、共有制御部254から要約を参加者Pへ提示する指示を受けた際に、当該共有情報が参加者Pの利用者端末12にそれぞれ表示されるように共有情報の送信を行う。具体的な例としては、テキスト化された要約を電子会議中の画面の一部に表示するように表示処理部256が利用者端末12へ情報の送信を行う。
【0055】
<機能構成(利用者端末)>
図5は、利用者端末12の機能構成の一例を示す図である。図5に示すように、利用者端末12は、通信部30と、記憶部32と、処理部36と、を備える。
【0056】
通信部30は、通信I/F126(図3参照)により実現される。通信部30は、サーバ14との間で映像、音声、テキスト等の情報の送受信を行う。
【0057】
記憶部32は、メモリ122及びストレージ124(図3参照)により実現される。記憶部32は、処理部36が実行する電子会議プログラム220を含む各種の情報を記憶する。
【0058】
処理部36は、プロセッサ120がメモリ122(図3参照)からプログラムを読み出して実行し、他のハードウェア構成と協働することにより実現される。処理部36は、会議制御部362と、発信情報取得部364と、表示処理部366と、を備える。
【0059】
会議制御部362は、参加者Pによる電子会議の開始操作、終了操作及び電子会議中の各種操作を取得してサーバ14へ送信及び利用者端末12自体の制御を行うと共に、サーバ14との間で電子会議の実施のための各種情報の送受信の制御を行う。
【0060】
発信情報取得部364は、利用者端末12の入力装置134から取得される各種情報を取得して発信情報を生成する。すなわち、入力装置134を介して参加者Pが入力したテキスト情報、選択結果情報、音声情報、共有ファイル情報、及び、参加者Pの顔画像などを含む映像などの各種情報を元に発信情報を生成する。発信情報取得部364は、生成した発信情報を適宜サーバ14へと送信する。
【0061】
表示処理部366は、サーバ14から受信した共有情報を利用者端末12の出力装置132(図3参照)に表示する。一例として、表示処理部366は、電子会議の様子を画面に表示している出力装置132において、前述のようにテキスト化された共有情報を電子会議中の画面の一部に表示する。
【0062】
<サーバ14が実行する処理>
次に、電子会議支援システム10の作用について説明する。図7は、サーバ14による電子会議支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。プロセッサ140がストレージ144に記憶された電子会議プログラム220を読み出して、メモリ142に展開して実行することにより、電子会議支援処理が行われる。なお、図示しないが、プロセッサ140は、電子会議支援システム10の作動終了操作情報、又は実施中の電子会議において参加者全員の利用者端末Pより参加終了の情報(これらを単に「終了操作」と称する)を受信した場合は、処理中の電子会議プログラム220に基づく処理を終了する。
【0063】
プロセッサ140は、電子会議が実施されている際に、利用者端末12から送信された発信情報を受信したか否かを判定する(ステップS100)。発信情報を受信していない場合(ステップS100:NO)、プロセッサ140は、ステップS100へ処理を移行する。一方、発信情報を受信した場合(ステップS100:YES)、プロセッサ140は、発信情報を取得する(ステップS102)。そして、プロセッサ140は、発信情報のうち音声情報などテキスト以外の情報についてテキスト化を行う(ステップS104)。
【0064】
プロセッサ140は、取得した及びテキスト化した発信情報が要約を生成するために必要な所定量に達したか否かを判定する(ステップS105)。所定量に達していない場合(ステップS105:NO)、プロセッサ140は、ステップS100へ処理を移行する。一方、所定量に達した場合(ステップS105:YES)、プロセッサ140は、後述するステップS106へ処理を移行する。なお、ステップS100からステップS105が請求項1に記載の「発信情報取得ステップ」に相当する。また、本実施形態では、ステップS105では取得及びテキスト化した発信情報が要約を生成するために必要な所定量に達したか否かを判定するが、これに限らず、その他の判定をしてもよい。一例として、ステップS105として発信情報のトピックが変化したか否かを判定し、トピックが変化していない場合(ステップS105:NO)、プロセッサ140は、ステップS100へ処理を移行する。一方、トピックが変化した場合(ステップS105:YES)、プロセッサ140は、後述するステップS106へ処理を移行するようにしてもよい。
【0065】
プロセッサ140は、取得したテキスト化された発信情報の要約を生成する(ステップS106)。ここで要約とは、一例として、発信情報を構成する文章を要約するものである。この要約生成の手法は、発信情報における重要な部分を抽出することで要約とするいわゆる抽出型要約による手法、発信情報の全体の意味を捉えてそれを基に要約を作成するいわゆる抽象型要約による手法、又はこれらを組み合わせた手法により行われるが、これらに限られない。
【0066】
プロセッサ140は、生成された要約を元に特徴を判定する(ステップS108)。そして、プロセッサ140は、要約が所定の特徴を持つか否かを判定する(ステップS110)。要約が所定の特徴を持っていない場合(ステップS110:NO)、プロセッサ140は、当該要約を共有情報として、後述するステップS115へ処理を移行する。一方、要約が所定の特徴を持っている場合(ステップS110:YES)、プロセッサ140は、判定された要約に対応してラベルを付与する(ステップS112)。
【0067】
プロセッサ140は、ラベルが付与された要約に対して表現を変換した変換済情報から共有情報を生成する(ステップS114)。そして、プロセッサ140は、共有情報の生成が完了したか否かを判定する(ステップS115)。共有情報の生成が完了していない場合(ステップS115:NO)、プロセッサ140は、ステップS106へ処理を移行する。一方、共有情報の生成が完了した場合(ステップS115:YES)、プロセッサ140は、後述するステップS116へ処理を移行する。なお、ステップS106からステップS115が請求項1に記載の「共有情報生成ステップ」に相当する。
【0068】
プロセッサ140は、電子会議の状態が、予め設定された共有情報を提示する所定のタイミングに一致するか否かを判定する(ステップS116)。電子会議の状態が所定のタイミングに一致しない場合(ステップS116:NO)、プロセッサ140は、ステップS116へ処理を移行する。
【0069】
電子会議の状態が所定のタイミングに一致した場合(ステップS116:YES)、プロセッサ140は、当該タイミングにて共有情報を提示するよう利用者端末12へ共有情報を送信する(ステップS120)。その後、プロセッサ140は、一回の表示処理にて共有情報の全てが表示できない場合等を考慮して全ての共有情報が送信されたか否かを判定する(ステップS122)。全ての共有情報が送信されていない場合(ステップS122:NO)、プロセッサ140は、ステップS116へ処理を移行する。一方、全ての共有情報が送信された場合(ステップS122:YES)、プロセッサ140は、電子会議プログラム220に基づく処理を終了する。なお、ステップS116からステップS122が請求項1に記載の「提示ステップ」の一部に相当する。また、上述のフローチャートでは、「発信情報取得ステップ」と「共有情報生成ステップ」と「提示ステップ」の一部と、が順に処理されているが、これに限らず、「発信情報取得ステップ」、「共有情報生成ステップ」及び「提示ステップ」の一部、のいずれかのステップの処理中にその他のステップを同時並行的に処理してもよい。
【0070】
<利用者端末12が実行する処理>
図8は、利用者端末12による電子会議支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。プロセッサ120がストレージ124に記憶された電子会議プログラム220を読み出して、メモリ122に展開して実行することにより、電子会議支援処理が行われる。
【0071】
プロセッサ120は、電子会議が実施されている際に、参加者Pから各種情報が入力されたか否かを判定する(ステップS200)。各種情報が入力されていない場合(ステップS200:NO)、プロセッサ120は、後述するステップS206へ処理を移行する。一方、各種情報が入力された場合(ステップS200:YES)、プロセッサ120は、入力された各種情報から発信情報を生成し(ステップS202)、当該発信情報をサーバ14へ送信し(ステップS204)、後述するステップS210へ処理を移行する。
【0072】
プロセッサ120は、サーバ14より共有情報を受信したか否かを判定する(ステップS206)。要約情報を受信していない場合(ステップS206:NO)、プロセッサ120は、後述するステップS210へ処理を移行する。一方、共有情報を受信した場合(ステップS206:YES)、プロセッサ120は、当該共有情報を出力装置132に表示させて(ステップS208)、後述するステップS210へ処理を移行する。なお、ステップS206からステップS208が請求項1に記載の「提示ステップ」の一部に相当する。
【0073】
プロセッサ120は、電子会議への参加終了操作が参加者Pによりされたか否かを判定する(ステップS210)。参加終了操作がされていない場合(ステップS210:NO)、プロセッサ120は、ステップS200へ処理を移行する。一方、参加終了操作がされた場合(ステップS210:YES)、プロセッサ120は、当該操作が入力された利用者端末12において電子会議を終了する旨をサーバ14へ送信すると共に、電子会議プログラム220に基づく処理を終了する。なお、上述したステップS200にて、参加者Pから各種情報が入力された場合の処理(ステップS202からステップS204)と、参加者Pから各種情報が入力されていない場合の処理(ステップS206からステップS208)とは、それぞれが同時並行的に処理してもよい。
【0074】
(第1実施形態の作用効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0075】
本実施形態に係る電子会議支援システム10によれば、電子会議の参加者Pから発信される発信情報を取得する発信情報取得ステップと、発信情報を基に参加者Pへ共有するための共有情報を生成する共有情報生成ステップと、共有情報を所定のタイミングにて参加者Pへ提示する提示ステップと、が実行される。つまり、電子会議支援システム10が参加者Pの立場や役割などに依らず中立的な立場から共有情報を提示することから、電子会議にて参加者P間で対立が起こるような場合でも、参加者Pが共有情報を比較的受け入れやすくなる。
【0076】
また、電子会議支援システム10は、所定のタイミング、すなわち「参加者Pの発言が止まった時」、「会議のトピック(話題)が変わった時」、「予め決められた時間になった時」、「要約を提示するように操作がなされた時」及び「要約が適切に生成できる発信情報の情報量が取得できた時」などで共有情報を提示することから、共有情報の提示が会議でのコミュニケーションの障害となるのを抑制することができる。さらに、コミュニケーションが取り留めのない状態になった場合にも、共有情報の提示によって会議の仕切り直しを促すことができる。これらにより、電子会議の円滑な進行を支援することができる。
【0077】
さらにまた、電子会議支援システム10は、発信情報の特徴を判定すると共に、発信情報の特徴が所定の特徴(例えば上述のように「ネガティブ」な特徴)にマッチする場合は発信情報が所定の特徴にマッチしないような表現(換言するとポジティブな表現)で発信情報を言い換えるよう変換した変換済情報を生成し、変換済情報を要約した共有情報を生成する。したがって、共有情報から参加者Pへ与える印象を建設的なものにすることができるので、参加者P間にて前向きな議論及び前向きな結論を促すことができる。
【0078】
さらに、電子会議支援システム10は、共有情報として要約情報を生成して共有することが可能となることから、参加者Pが効率的に共有情報の把握を行うことができる。
【0079】
(第2実施形態)
次に、図9図14を用いて、本発明の第2実施形態に係る電子会議支援システム40について説明する。図9に示される第2実施形態に係る電子会議支援システム40は、基本的な構成は第1実施形態と同様とされ、仮想現実空間上にて電子会議が実施されかつ仮想の参加者として参加する司会者アバタが生成される点に特徴がある。
【0080】
すなわち、本実施形態に係る電子会議支援システム40は、図12に示されるように、参加者PとしてのアバタPA及び仮想の参加者として司会者アバタFAが行動する仮想現実空間SP上にて電子会議が実施可能とされている。仮想現実空間SPとは、コンピュータ上に構築された現実を模した世界あるいは作成された世界のことである。また、アバタPAとは、仮想現実空間SP上における参加者Pの分身となるキャラクタのことであり、ユーザキャラクタと呼称されることもある。さらに、司会者アバタFAは、仮想現実空間SP上において実施される電子会議をファシリテートする役割として、電子会議支援システム40が生成した仮想のキャラクタである。なお、仮想現実空間SP、アバタPA及び司会者アバタFAは、いずれも3次元表現のみに限らず、2次元表現でもよい。そして、図9に示されるように、電子会議支援システム40は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続された、サーバ42と利用者端末44と、を備える。
【0081】
<ハードウェア構成(利用者端末)>
利用者端末44のハードウェア構成について説明する。利用者端末44は、バスBを介して相互に接続された、プロセッサ120と、メモリ122と、ストレージ124と、通信I/F126と、入出力I/F128(図3参照)と、出力装置442と、入力装置444と、を備える。
【0082】
出力装置442は、一例として、参加者Pが自身の頭に装着するヘッドマウントディスプレイ型の装置とされている。参加者Pは、出力装置442を装着し、装置内にて表示される映像を目視することで、仮想現実空間SPを視認することができる。また、出力装置442には、図示しないスピーカが内蔵されており、参加者Pはスピーカから電子会議での音声を聴取可能とされている。
【0083】
入力装置444は、一例として、参加者Pが手で把持した状態で各種キー操作ができるコントローラとされている。入力装置444の操作によって、参加者Pは仮想現実空間SP上の自身に対応したアバタPAの行動や、参加者Pが仮想現実空間SP上にて視認する方向などの操作を行うことができる。また、入力装置444には、図示しないマイクが内蔵されており、参加者Pはマイクを介して自身の音声を電子会議にて共有することができる。
【0084】
<機能構成(サーバ)>
図10は、サーバ42の機能構成の一例を示す図である。図10に示すように、サーバ42は、通信部50と、記憶部52と、処理部54と、を備える。
【0085】
記憶部52は、メモリ142及びストレージ144(図2参照)により実現される。記憶部52は、処理部54が実行する電子会議プログラム522を記憶すると共に、学習済モデル222、ユーザDB224、発信情報DB226及び変換情報DB228を含む各種の情報を記憶する。
【0086】
処理部54は、プロセッサ140(図2参照)がメモリ142からプログラムを読み出して実行し、他のハードウェア構成と協働することにより実現される。処理部54は、会議制御部362と、発信情報取得部244と、文字情報生成部246と、変換部250と、要約生成部252と、判定部248と、共有制御部542と、表示処理部544と、を備える。
【0087】
会議制御部362は、仮想現実空間SP上にて実施される電子会議に係る処理を実行する。すなわち、仮想現実空間SP上にて参加者PのアバタPAや仮想の参加者としての司会者アバタFAを生成して映像として出力するように制御する。参加者PのアバタPAは、参加者Pの入力装置444による操作に応じて仮想現実空間SP上で動作やコメントの投稿などが可能とされている。また、司会者アバタFAは、電子会議プログラム522に基づくサーバ42の処理に応じて仮想現実空間SP上で動作やコメントの投稿などが可能とされている。さらに、会議制御部362は、電子会議の開始、終了を制御すると共に、電子会議を実施中の利用者端末44との間で各種情報の送受信の制御を行う。
【0088】
共有制御部542は、第1実施形態の共有制御部254と同様に、共有情報を参加者Pへ共有するか否か、及び共有する場合の共有情報を参加者Pへ提示するタイミングを決定する。また、共有制御部542は、共有情報を司会者アバタFAから所定の動作と共に参加者P(のアバタPA)へ向けて提示するように司会者アバタFAの動作を制御する。なお、「所定の動作」とは、司会者アバタFAが共有情報を提示する際の動作のことであり、具体的には、「ホワイトボードに共有情報を記載する動作」、「(予め共有情報が記載されている)ホワイトボードをひっくり返す動作」及び「仮想現実空間SP上に提示された共有情報を指した動作(図12参照)」などが該当する。
【0089】
表示処理部544は、会議制御部362にて制御された仮想現実空間SP上にて実施される電子会議の様子を利用者端末44にて表示するように情報の送信を行う。また、共有制御部542から共有情報を参加者Pへ提示する指示を受けた際に、当該共有情報が参加者Pの利用者端末44にそれぞれ表示されるように共有情報の送信を行う。本実施形態では、一例として、司会者アバタFAの所定の動作と共にテキスト化された共有情報を電子会議中の画面の一部に表示するように表示処理部544が利用者端末44へ情報の送信を行う。
【0090】
<機能構成(利用者端末)>
図11は、利用者端末44の機能構成の一例を示す図である。図11に示すように、利用者端末44は、通信部30と、記憶部60と、処理部62と、を備える。
【0091】
記憶部60は、メモリ122及びストレージ124(図3参照)により実現される。記憶部60は、処理部62が実行する電子会議プログラム522を含む各種の情報を記憶する。
【0092】
処理部62は、プロセッサ120(図3参照)がメモリ122からプログラムを読み出して実行し、他のハードウェア構成と協働することにより実現される。処理部62は、会議制御部622と、発信情報取得部364と、表示処理部624と、を備える。
【0093】
会議制御部622は、参加者Pによる電子会議の開始操作、終了操作及び電子会議中の各種操作を取得してサーバ42へ送信及び利用者端末44自体の制御を行うと共に、サーバ42との間で各種情報の送受信の制御を行う。一例として、会議制御部622は、仮想現実空間SP上のアバタPAの動作を制御するために、入力装置444の操作情報を取得してサーバ42へ送信する。
【0094】
表示処理部624は、サーバ42から受信した共有情報を利用者端末12の出力装置442に表示する。一例として、表示処理部624は、図12に示されるように、仮想現実空間SP上の電子会議の様子を画面に表示している出力装置442において、テキスト化された共有情報を司会者アバタFAの所定の動作と共に電子会議中の画面の一部に表示する。
【0095】
<サーバ42が実行する処理>
次に、電子会議支援システム40の作用について説明する。図13は、サーバ42による電子会議支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。プロセッサ140がストレージ144に記憶された電子会議プログラム522を読み出して、メモリ142に展開して実行することにより、電子会議支援処理が行われる。なお、第1実施形態と同一の処理については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0096】
ステップS116において、電子会議の状態が所定のタイミングに一致した場合(ステップS116:YES)、プロセッサ140は、当該タイミングにて共有情報を司会者アバタFAの所定の動作と共に提示するよう利用者端末44へ共有情報を送信する(ステップS300)。
【0097】
<利用者端末44が実行する処理>
図14は、利用者端末44による電子会議支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。プロセッサ120がストレージ124に記憶された電子会議プログラム522を読み出して、メモリ122に展開して実行することにより、電子会議支援処理が行われる。なお、第1実施形態と同一の処理については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0098】
ステップS206において、プロセッサ120は、共有情報を受信した場合(ステップS206:YES)、プロセッサ120は、当該共有情報を司会者アバタFAの所定の動作と共に提示するよう出力装置442に表示させる(ステップS400)。
【0099】
(第2実施形態の作用・効果)
次に、第2実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0100】
上記構成によっても仮想現実空間SP上にて電子会議が実施されかつ仮想の参加者として参加する司会者アバタFAが生成される点以外は第1実施形態の電子会議支援システム10と同様に構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、電子会議支援システム40は、電子会議の仮想の参加者として参加者Pへ向けて表示する司会者アバタFAを生成すると共に、提示ステップにおいて共有情報を当該司会者アバタFAから前記参加者へ向けて提示する。つまり、司会者アバタFAが参加者Pの立場や役割などに依らず中立的な立場から共有情報を提示することから、電子会議にて参加者P間で対立が起こるような場合でも、参加者Pが共有情報を比較的受け入れやすくなる。これにより、仮想現実空間SP上にて実施される電子会議においても、電子会議の円滑な進行を支援することができる。
【0101】
また、電子会議支援システム40は、提示ステップにおいて、共有情報を司会者アバタFAの所定の動作と共に提示する。したがって、参加者Pの注意を共有情報へ向けやすくなるので、参加者Pがより効率的に共有情報の把握を行うことができる。
【0102】
(第3実施形態)
次に、図15図16を用いて、本発明の第3実施形態に係る電子会議支援システム70について説明する。この第3実施形態に係る電子会議支援システム70は、基本的な構成は第2実施形態と同様とされ、発信情報をより会議にふさわしい表現へ変換される点に特徴がある。
【0103】
<機能構成(サーバ)>
図15は、電子会議支援システム70の一部を構成するサーバ72の機能構成の一例を示す図である。図15に示すように、サーバ72は、通信部50と、記憶部74と、処理部76と、を備える。
【0104】
記憶部74は、メモリ142及びストレージ144(図2参照)により実現される。記憶部74は、処理部76が実行する電子会議プログラム742を記憶すると共に、学習済モデル744、ユーザDB224、発信情報DB226及び変換情報DB746を含む各種の情報を記憶する。
【0105】
学習済モデル744は、基本的には第1実施形態の学習済モデル222と同様とされており、発信情報が持つ特徴の判定において特徴の分類がさらに多く設定されている点に特徴がある。すなわち、当該特徴の分類として、「ポジティブ」であるか「ネガティブ」であるかに大きく分けられると共に、「ポジティブ」である場合にはさらに「会議の場にふさわしい表現」か「会議の場にふさわしくない表現」か、に分けられる。なお、「ネガティブ」である場合のさらに細かい分類については、学習済モデル222と同様に設定されている。また、本実施形態における「所定の特徴」とは、このうち「ネガティブ」な特徴に属するものと、「ポジティブ」な特徴に属するもののうち「会議の場にふさわしくない表現」とされている。
【0106】
変換情報DB746は、発信情報における所定の特徴に該当する表現及び所定の特徴を持たない表現の例が予め格納されたデータベースである。
【0107】
処理部76は、プロセッサ140(図2参照)がメモリ142からプログラムを読み出して実行し、他のハードウェア構成と協働することにより実現される。処理部76は、会議制御部362と、発信情報取得部244と、文字情報生成部246と、判定部248と、変換部762と、要約生成部252と、共有制御部542と、表示処理部544と、を備える。
【0108】
変換部762は、ラベルが付与された発信情報に対して表現を変換する。すなわち、変換部762は、ラベルが付与された発信情報について具体的な特徴を判定し、当該特徴を持たない表現へ変換する。変換については、学習済モデル744からの出力を利用してもよいし、変換情報DB746に格納された該当する情報を利用してもよい。一例として、ラベルが付与された発信情報の特徴が「会議の場にふさわしくない表現」に該当する場合は、対義的な「会議の場にふさわしい表現」を使った言い換え表現へと変換される。
【0109】
<サーバが実行する処理>
次に、電子会議支援システム40の作用について説明する。図16は、サーバ72による電子会議支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。プロセッサ140がストレージ144に記憶された電子会議プログラム742を読み出して、メモリ142に展開して実行することにより、電子会議支援処理が行われる。なお、第1及び第2実施形態と同一の処理については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0110】
ステップS108の処理後、プロセッサ140は、判定された発信情報に対応してラベルを付与する(ステップS500)。その後、プロセッサ140は、ラベルが付与された発信情報ごとの特徴が「ネガティブ」か否かを判定する(ステップS502)。特徴が「ネガティブ」である場合(ステップS502:YES)、プロセッサ140は、ネガティブである共有情報の表現を会議の場にふさわしい表現(単に「会議表現」とも称する。)に言い換えるよう変換し(ステップS504)、ステップS115へ処理を移行する。
【0111】
一方、特徴が「ネガティブ」でない場合(ステップS502:NO)、プロセッサ140は、特徴が「会議の場にふさわしい表現」か否かを判定する(ステップS506)。特徴が「会議の場にふさわしい表現」である場合(ステップS506:YES)、プロセッサ140は、ステップS115の処理へ移行する。一方、特徴が「会議の場にふさわしい表現」でない場合(ステップS506:NO)、プロセッサ140は、会議の場にふさわしくない表現である共有情報の表現を会議の場にふさわしい表現に言い換えるように変換し(ステップS508)、ステップS115へ処理を移行する。
【0112】
(第3実施形態の作用・効果)
次に、第3実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0113】
上記構成によっても、発信情報をより会議にふさわしい表現へ変換される点以外は第2実施形態の電子会議支援システム40と同様に構成されているので、第2実施形態と同様の効果が得られる。また、電子会議支援システム70は、共有情報がポジティブな表現であっても、「会議の場にふさわしい表現」でない場合には、「会議の場にふさわしい表現」へと変換されることから、共有情報から参加者Pへ与える印象を一層建設的なものにすることができるので、参加者P間にて前向きな議論及び前向きな結論をより一層促すことができる。
【0114】
なお、上述した第1~第3実施形態では、共有情報をテキストとして提示する構成とされているが、これに限らず、共有情報に対して各参加者が各自のサポートやコミットなどの意思を操作によって入力し、この結果を共有情報に含めて提示する構成としてもよい。これにより、共有情報への参加者Pの把握具合や作業分担などが明確になる。
【0115】
また、第2、第3実施形態では、仮想現実空間SP上の所定の位置に共有情報が表示される構成とされているが、これに限らず、参加者PのそれぞれのアバタPAから視認可能な位置に共有情報の表示をしてもよいし、仮想現実空間SP上の複数の位置に共有情報を表示してもよい。さらに、アバタPAが仮想現実空間SP上にて移動した際にも、共有情報の表示がこれに付随して動くことで、常に視認できるようにしてもよい。さらにまた、参加者Pが提示された共有情報を見ている際には、仮想現実空間SP上のアバタPAも共有情報を視認しているように表示してもよい。これにより、他の参加者Pが他のアバタPAの動きを通じて共有情報を見ているか否かを判別することができる。
【0116】
また、発信情報及び共有情報は、テキスト情報とされているが、これに限らず、音声情報など他の情報を含んでもよいし、テキスト情報以外の情報のみで構成されていてもよい。
【0117】
さらに、要約は、発信情報を構成する文章を要約するものとされているが、これに限らず、発信情報をある程度まとめたものを要約する、いわゆる議事録を作成するものでもよい。さらにまた、共有情報は、発信情報を要約した後の情報を共有情報として生成する構成とされているが、これに限らず、要約が生成できる程の発信情報を取得できない場合など、状況に応じて発信情報を要約せずに共有情報を生成してもよい。
【0118】
<付記>
本実施形態は、以下の開示を含む。
【0119】
(付記1)
複数の情報処理装置がネットワークを介して接続される電子会議支援システムが実行する電子会議支援方法であって、
電子会議の参加者から発信される発信情報を取得する発信情報取得ステップと、
前記発信情報を基に前記参加者へ共有するための共有情報を生成する共有情報生成ステップと、
前記共有情報を所定のタイミングにて前記参加者へ提示する提示ステップと、
を行う電子会議支援方法。
【0120】
(付記2)
前記電子会議支援システムは、前記電子会議の仮想の参加者として前記参加者へ向けて表示する司会者アバタを生成すると共に、前記提示ステップにおいて前記共有情報を当該司会者アバタから前記参加者へ向けて提示する、
付記1に記載の電子会議支援方法。
【0121】
(付記3)
前記電子会議支援システムは、前記提示ステップにおいて、前記共有情報を前記司会者アバタの所定の動作と共に提示する、
付記2に記載の電子会議支援方法。
【0122】
(付記4)
前記電子会議支援システムは、前記発信情報の特徴を判定すると共に、前記発信情報の特徴が所定の特徴にマッチする場合は前記発信情報が前記所定の特徴にマッチしないように前記発信情報の表現を変換した後に前記共有情報を生成する、
付記1に記載の電子会議支援方法。
【0123】
(付記5)
前記共有情報は、前記発信情報を要約した情報である、
付記1に記載の電子会議支援方法。
【0124】
(付記6)
前記電子会議支援システムは、前記発信情報取得ステップにて前記発信情報の特徴を判定すると共に、前記共有情報生成ステップにて前記発信情報の特徴が所定の特徴にマッチする場合は前記発信情報が前記所定の特徴にマッチしないように前記発信情報の表現を変換した変換済情報を生成し、当該変換済情報を要約した前記共有情報を生成する、
付記1に記載の電子会議支援方法。
【0125】
(付記7)
電子会議の参加者から発信される発信情報を取得する発信情報取得ステップと、
前記発信情報を基に前記参加者へ共有するための共有情報を生成する共有情報生成ステップと、
前記共有情報を所定のタイミングにて前記参加者へ提示する提示ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0126】
(付記8)
複数の情報処理装置がネットワークを介して接続される電子会議支援システムであって、
電子会議の参加者から発信される発信情報を取得する発信情報取得ステップと、
前記発信情報を基に前記参加者へ共有するための共有情報を生成する共有情報生成ステップと、
前記共有情報を所定のタイミングにて前記参加者へ提示する提示ステップと、
を有する電子会議支援システム。
【0127】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
10 電子会議支援システム
14 サーバ(情報処理装置)
40 電子会議支援システム
42 サーバ(情報処理装置)
70 電子会議支援システム
72 サーバ(情報処理装置)
FA 司会者アバタ
N ネットワーク
P 参加者

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16