(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043301
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】経路情報提供装置、経路情報提供方法及びコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240322BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240322BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240322BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20240322BHJP
【FI】
G01C21/34
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148416
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000102739
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 潤子
(72)【発明者】
【氏名】北橋 洋三郎
(72)【発明者】
【氏名】宮園 紘一
(72)【発明者】
【氏名】松田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】瀬之間 哲
(72)【発明者】
【氏名】岩田 直樹
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129BB03
2F129CC16
2F129CC17
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD20
2F129DD63
2F129EE02
2F129EE17
2F129EE43
2F129EE52
2F129EE79
2F129EE80
2F129EE82
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF12
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF63
2F129FF64
2F129FF66
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH20
2F129HH21
2F129HH22
(57)【要約】
【課題】ユーザーに対してより利便性の高い経路情報を提供することを可能にすること。
【解決手段】出発地情報と、中継地情報と、目的地情報とを含む経路条件情報を取得する経路条件情報取得部と、前記出発地情報が示す出発地から、前記中継地情報が示す中継地を経由して前記目的地情報が示す目的地へ到達する経路のうち移動時間に関する所定の条件を満たす経路候補を判定する経路候補判定部と、前記経路候補判定部によって判定された経路候補を示す情報を他の装置に送信する経路情報提供部と、を備える経路情報提供装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地情報と、中継地情報と、目的地情報とを含む経路条件情報を取得する経路条件情報取得部と、
前記出発地情報が示す出発地から、前記中継地情報が示す中継地を経由して前記目的地情報が示す目的地へ到達する経路のうち移動時間に関する所定の条件を満たす経路候補を判定する経路候補判定部と、
前記経路候補判定部によって判定された経路候補を示す情報を他の装置に送信する経路情報提供部と、
を備える経路情報提供装置。
【請求項2】
前記経路候補判定部は、第一の出発地と第二の出発地とからそれぞれ同一の目的地に至るそれぞれの経路候補を判定する、請求項1に記載の経路情報提供装置。
【請求項3】
出発地情報と、中継地情報と、目的地情報とを含む経路条件情報を取得する経路条件情報取得ステップと、
前記出発地情報が示す出発地から、前記中継地情報が示す中継地を経由して前記目的地情報が示す目的地へ到達する経路のうち移動時間に関する所定の条件を満たす経路候補を判定する経路候補判定ステップと、
前記経路候補判定ステップにおいて判定された経路候補を示す情報を他の装置に送信する経路情報提供ステップと、
を有する経路情報提供方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の経路情報提供装置としてコンピューターを機能させるためのコンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーに対して経路の情報を提供するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーに対して現在位置から目的地までの経路の情報を提供する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。このような技術では、所定の目的地を指定することによって、その目的地までの距離が最短の経路を示す情報や、時間が最短となる経路を示す情報などがユーザー端末に対して提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムでは必ずしもユーザーの要望に対して十分に応えきれているとは言えなかった。例えば、目的地に向かう途中で、誰かと合流したり、所望の施設に寄ったりすることについて検討することができていなかった。例えば、複数の目的地の候補があるときに、誰かと同じ目的地に向かうにあたって最適な目的地を選択することもできなかった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、ユーザーに対してより利便性の高い経路情報を提供することを可能にする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、出発地情報と、中継地情報と、目的地情報とを含む経路条件情報を取得する経路条件情報取得部と、前記出発地情報が示す出発地から、前記中継地情報が示す中継地を経由して前記目的地情報が示す目的地へ到達する経路のうち移動時間に関する所定の条件を満たす経路候補を判定する経路候補判定部と、前記経路候補判定部によって判定された経路候補を示す情報を他の装置に送信する経路情報提供部と、を備える経路情報提供装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上記経路情報提供装置であって、前記経路候補判定部は、第一の出発地と第二の出発地とからそれぞれ同一の目的地に至るそれぞれの経路候補を判定する。
【0008】
本発明の一態様は、出発地情報と、中継地情報と、目的地情報とを含む経路条件情報を取得する経路条件情報取得ステップと、前記出発地情報が示す出発地から、前記中継地情報が示す中継地を経由して前記目的地情報が示す目的地へ到達する経路のうち移動時間に関する所定の条件を満たす経路候補を判定する経路候補判定ステップと、前記経路候補判定ステップにおいて判定された経路候補を示す情報を他の装置に送信する経路情報提供ステップと、を有する経路情報提供方法である。
【0009】
本発明の一態様は、上記の経路情報提供装置としてコンピューターを機能させるためのコンピュータープログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ユーザーに対してより利便性の高い経路情報を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の経路情報提供システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】経路情報提供装置30の機能構成を示す概略ブロック図である。
【
図3】経路候補判定部333によって判定される経路候補の具体例を示す図である。
【
図4】経路候補判定部333によって判定される経路候補の具体例を示す図である。
【
図5】経路候補判定部333によって判定される経路候補の具体例を示す図である。
【
図6】経路候補判定部333によって判定される経路候補の具体例を示す図である。
【
図7】経路情報提供システム100の動作の流れの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の経路情報提供システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。経路情報提供システム100は、複数のユーザー端末10、情報提供装置20及び経路情報提供装置30を備える。各装置は、ネットワーク90を介して通信する。ネットワーク90は、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワーク90は、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。
【0013】
ユーザー端末10は、ユーザーによって携帯される情報処理装置である。ユーザー端末10は、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等の装置である。ユーザー端末10は、自装置の位置情報を取得する。位置情報は、位置を示す情報であればどのように定義されてもよい。例えば、位置情報は、緯度及び軽度を示す情報として定義されてもよい。例えば、位置情報は、予め所定の地表を複数に分割することによって得られる領域を示す識別情報として定義されてもよい。
【0014】
ユーザー端末10は、例えばGPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを利用することによって自装置の位置情報を取得してもよい。ユーザー端末10は、例えば1又は複数の基地局装置やアクセスポイントと無線通信することによって、自装置の位置情報を取得してもよい。ユーザー端末10が自装置の位置情報を取得するための仕組みは、どのようなものが使用されてもよい。ユーザー端末10は、自装置の位置情報を所定のタイミングで経路情報提供装置30に送信する。所定のタイミングは、例えばユーザー端末10のユーザーが経路情報の提供を要求したタイミングであってもよい。所定のタイミングは、例えば経路情報の提供を受けるためのアプリケーションが起動されていることを条件として予め定められた周期(例えば1分ごと、10分ごと、1時間ごと)であってもよいし、位置が変化したタイミングであってもよい。所定のタイミングは、上述した具体例とは異なってもよく、どのようなタイミングであってもよい。
【0015】
ユーザー端末10は、経路情報提供装置30から提供情報を受信する。ユーザー端末10は、受信された提供情報をユーザーに対して出力する。提供情報の出力は、例えば文字や画像が表示装置に表示されることによって行われてもよいし、例えば音声がスピーカーから出力されることによって行われてもよいし、どのような態様で行われてもよい。
【0016】
情報提供装置20は、所定の情報を経路情報提供装置30に提供する情報処理装置である。情報提供装置20は、例えば所定の領域における地図情報(例えば道路の情報や店舗の情報や施設等の情報)を経路情報提供装置30に提供してもよい。情報提供装置20は、例えば交通の状況(例えば各道路における交通量に関する情報や渋滞に関する情報や通行止めに関する情報)を経路情報提供装置30に提供してもよい。情報提供装置20は、例えば人がその地域を通れなくなる原因となる事象(以下「移動制約事象」という。)に関する情報を経路情報提供装置30に提供してもよい。移動制約事象の具体例として、例えば洪水、浸水、崩落、落石などがある。
【0017】
情報提供装置20は、例えば所定の出来事の発生を経路情報提供装置30に提供してもよい。情報提供装置20は、例えば、所定の大きさ以上の地震が発生した場合には、発生した地震に関する情報を経路情報提供装置30に提供してもよい。より具体的には、情報提供装置20は、緊急地震速報(予報)や緊急地震速報(警報)に関する情報を提供してもよい。
【0018】
情報提供装置20は、例えば、所定の条件を満たす自然現象(例えば、気象に関する現象)が生じた場合には、その自然現象に関する情報を経路情報提供装置30に提供してもよい。情報提供装置20は、気象に関する特別警報、警報、注意報又は早期注意情報を経路情報提供装置30に提供してもよい。例えば、情報提供装置20が送信する情報には、発生しうる自然現象の種別又は規模を示す情報と、そのような自然現象が生じうる地域を示す情報が含まれていてもよい。
【0019】
経路情報提供装置30は、パーソナルコンピューターやサーバー装置等の情報処理装置を用いて構成される。
図2は、経路情報提供装置30の機能構成を示す概略ブロック図である。経路情報提供装置30は、通信部31、記憶部32及び制御部33を備える。経路情報提供装置30は、ユーザーに提供される経路候補を示す情報(以下「経路情報」という。)を判定して他の装置(例えばユーザー端末10)に提供する。経路情報の提供はユーザー端末10とは異なる装置であってもよい。経路候補は、例えば出発地から目的地へ到達するまでに要する時間(以下「移動時間」という。)に基づいて判定されてもよい。中継地が経由される経路では、中継地を経由した場合の時間が移動時間として取得される。
【0020】
通信部31は、通信インターフェースを用いて構成される。通信部31は、無線通信又は有線通信でネットワーク90に接続し、他の装置との間でデータ通信する。
【0021】
記憶部32は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部32は、制御部33によって記録されるデータを記憶する。記憶部32に記憶されているデータは、制御部33によって読み出される。記憶部32は、例えば位置情報記憶部321、ユーザー情報記憶部322、グループ情報記憶部323及び地図情報記憶部324として機能する。
【0022】
位置情報記憶部321は、各ユーザー端末10から送信された位置情報を記憶する。ユーザー情報記憶部322は、経路情報提供システム100のサービスを受けるユーザーや、そのユーザーの関係者に関する情報を記憶する。
【0023】
ユーザー情報記憶部322は、例えばユーザー及び関係者の識別情報と、属性情報と、登録位置情報と、を記憶する。識別情報は、ユーザー又は関係者を一意に示す情報である。属性情報は、例えば年齢、性別、所属(学生であれば通学先の学校、勤労者であれば通勤先の職場、主婦であれば自宅など)を示す情報、を含む。登録位置情報は、その者が居る可能性の高い位置を示す情報として予め登録されている情報である。登録位置情報は、例えば日時情報(例えば曜日及び時刻)と対応付けて登録されてもよい。
【0024】
グループ情報記憶部323は、グループ毎に、そのグループに属するユーザー又は関係者の識別情報を記憶する。グループの具体例として、例えば家族がある。4人家族であれば、その4名の識別情報が家族という属性のグループとして登録されていてもよい。グループの他の具体例として、例えば介護チームがある。3名の介護スタッフと4人の要介護者であれば、合計7名の識別情報が介護という属性のグループとして登録されていてもよい。この場合、各人物の属性情報として、介護スタッフという情報や要介護者という情報がユーザー情報記憶部322に記憶されていてもよい。
【0025】
地図情報記憶部324は、地図情報を記憶する。地図情報は、例えば道に関する情報と、施設や店舗に関する情報と、を含む。地図情報は、例えば情報提供装置20から所定のタイミングで提供されてもよい。
【0026】
制御部33は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーとメモリとを用いて構成される。制御部33は、CPUがプログラムを実行することによって、位置情報取得部331、経路条件情報取得部332、経路候補判定部333、経路情報提供部334として機能する。なお、制御部33の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。プログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されても良い。
【0027】
位置情報取得部331は、ユーザー端末10から、識別情報と位置情報とを取得する。識別情報は、例えば送信元のユーザー端末10を示す識別情報であってもよいし、ユーザーそのものを示す識別情報であってもよい。識別情報は、例えばユーザー端末10が備えるハードウェア(例えばSIMカードや端末装置)に予め付与されている識別情報であってもよい。識別情報は、ユーザー端末10にインストールされているアプリケーションにおいて付与されている識別情報であってもよい。識別情報は、ユーザーに付与されている識別情報(例えばユーザーID、電話番号、メールアドレス)であってもよい。位置情報取得部331は、取得された識別情報及び位置情報を、それらの情報が取得された日時を示す情報と対応づけて位置情報記憶部321に記録する。
【0028】
位置情報取得部331は、ユーザーの関係者が携帯する情報機器から識別情報と位置情報とを取得してもよい。このような情報機器の具体例として、ユーザー端末10と同様の携帯電話機、スマートフォン、タブレット等の装置がある。このような情報機器の他の具体例として、位置情報の取得を主たる目的とした装置(例えばビーコン装置)がある。このような装置は、例えば通信装置と位置情報取得装置とバッテリーとを有した小型の機器として構成されてもよい。識別情報は、例えば送信元の情報機器を示す識別情報であってもよいし、この情報機器を携帯する関係者を示す識別情報であってもよい。識別情報は、例えば情報機器が備えるハードウェア(例えばSIMカードや情報機器自体)に予め付与されている識別情報であってもよい。位置情報取得部331は、取得された識別情報及び位置情報を、それらの情報が取得された日時を示す情報と対応づけて位置情報記憶部321に記録する。
【0029】
経路条件情報取得部332は、経路候補を判定するために必要となる条件を示す情報(以下「経路条件情報」という。)を取得する。経路条件情報取得部332は、例えばユーザー情報記憶部322やグループ情報記憶部323から情報を読み出すことによって経路条件情報の一部又は全部を取得してもよい。経路条件情報取得部332は、例えばユーザー端末10と通信することによってユーザー端末10から経路条件情報の一部又は全部を取得してもよい。
【0030】
経路条件情報の具体例として、例えば出発地情報と中継地情報と目的地情報とがある。出発地情報は、経路の出発地の位置に関する情報である。出発地情報と中継地情報は、処理対象となるグループに含まれるユーザー及び関係者の位置として設定されてもよい。出発地情報は、例えばユーザーや関係者の識別情報として取得されてもよい。この場合、出発地の位置は、識別情報と対応付けて位置情報記憶部321に記憶されている位置情報を用いて判定されてもよい。出発地情報は、位置を示す座標等の情報として取得されてもよい。
【0031】
中継地情報は、経路の中継地の位置に関する情報である。中継地情報は、例えばユーザーや関係者の識別情報として取得されてもよい。この場合、中継地の位置は、識別情報と対応付けて位置情報記憶部321に記憶されている位置情報を用いて判定されてもよい。この場合、ユーザーや関係者が移動することに応じて、中継地情報が時間の結果とともに変化してもよい。この場合、後述する経路候補判定部333が繰り返し判定処理を実行する場合には、その都度最新の中継地情報に基づいて処理が行われてもよい。中継地情報は、位置を示す座標等の情報として取得されてもよい。中継地情報は、施設や店舗を示す情報として取得されてもよい。施設や店舗を示す情報は、例えば施設や店舗の種別や属性を示す情報(例えば、小売店、コンビニエンスストア、自動販売機、など)として取得されてもよいし、特定の施設や店舗そのものを示す情報(名前、座標など)として取得されてもよい。
【0032】
中継地情報には複数の種別が設けられてもよい。例えば、中継地の種別として、必須中継地と任意中継地とが設けられてもよい。必須中継地は、かならず経由しなければならない中継地である。任意中継地は、所定の条件が満たされる範囲内で、経由される中継地である。所定の条件として、例えば所定の時間内に目的地まで到達できることが定義されてもよい。所定の条件として、例えば中継地を経由しない場合に要する目的地までの時間と、中継地を経由した場合に要する目的地までの時間と、の差(以下「増加時間」という。)が所定の値以内であることが定義されてもよいし、経由しない場合に要する時間に対する増加時間の割合(増加率)が所定の値以内であることが定義されてもよい。
【0033】
また、中継地を経由する場合には、その中継地で要する時間を含めた移動時間が判定されてもよい。例えば、コンビニエンスストアのような小売店が中継地として設定された場合には、一般的に買い物に要すると想定される時間(例えば1分、5分など)を移動時間に加算して経路候補が判定されてもよい。このような中継地で要する時間は、中継地の属性に応じて設定されていてもよい。例えば大型の店舗であれば小型の店舗に比べて相対的に長い時間が設定されてもよい。所定の条件が満たされない場合には、その任意中継地は経由地として用いられない。なお、経由地として用いられない任意中継地は、経路に含まれず出発地から出発するユーザーや関係者が立ち寄ることのない地点となる。
【0034】
目的地情報は、経路の目的地の位置に関する情報である。目的地情報は、例えばユーザーや関係者の識別情報として取得されてもよい。この場合、目的地の位置は、識別情報と対応付けて位置情報記憶部321に記憶されている位置情報を用いて判定されてもよい。目的地情報は、位置を示す座標等の情報として取得されてもよい。
【0035】
目的地情報は、施設や店舗を示す情報として取得されてもよい。施設や店舗を示す情報は、例えば施設や店舗の種別や属性を示す情報(例えば、小売店、コンビニエンスストア、自動販売機、など)として取得されてもよいし、特定の施設や店舗そのものを示す情報(名前、座標など)として取得されてもよい。このとき、目的地情報として、所定の領域が設定されてもよい。この場合、設定された領域内に位置する特定の施設や店舗が目的地として判定される。
【0036】
目的地情報は、特定の条件に応じて決定することによって取得されてもよい。例えば、目的地情報は、所定の出来事の発生を情報提供装置20から通知された場合に、発生した出来事に応じて定められた避難所として決定されてもよい。目的地情報として避難所が定められた場合には、複数の避難所の情報が目的地情報の候補として取得されてもよい。例えば、出発地情報及び中継地情報との距離に基づいて所定の領域内に位置する1又は複数の避難所が候補として取得されてもよい。
【0037】
経路条件情報の具体例として、使用される移動手段を示す情報が設定されてもよい。移動手段の具体例として、例えば徒歩、自転車、車いす、自動車、公共交通機関がある。移動手段は、例えば所定の区間(例えば出発地と中継地との間など)毎に設定されてもよい。経路条件情報の具体例として、複数の目的地候補が存在しうる場合に、一つのグループにおいて同じ目的地を設定するか、それぞれの出発地に応じて目的地が異なってもよいか、を示す情報が定義されてもよい。
【0038】
経路候補判定部333は、経路条件情報取得部332によって取得された経路条件を満たす経路候補を判定する。このとき、経路候補判定部333は、経路条件を満たす経路候補が複数存在する場合には、所定の条件に従って1又は複数(所定数)の経路候補を判定する。所定の条件は、例えば出発地から目的地までに要する時間が最短のものから順に所定数という条件であってもよい。
【0039】
所定の条件は、例えば出発地が複数ある場合には、出発地から目的地までの複数の経路のうち最も時間の要する経路の時間が最短のものから順に所定数という条件であってもよい。所定の条件は、例えば出発地が複数ある場合には、出発地から目的地までの複数の経路に要する合計時間が最短のものから順に所定数という条件であってもよい。上述した具体例の“時間”を“道のり”や“距離”に置き換えた条件が用いられてもよい。
【0040】
経路候補判定部333は、所定のタイミングで繰り返し経路候補を判定してもよい。例えば、所定の周期(1分毎、5分毎、10分毎など)で判定が繰り返し実行されてもよい。
【0041】
経路情報提供部334は、経路候補判定部333によって判定された所定数の経路候補をユーザー端末10に送信することによって経路情報を提供する。経路情報提供部334は、経路候補判定部333によって所定のタイミングで繰り返し判定が実行される場合には、判定が実行される度に新しい経路候補の情報を提供してもよい。
【0042】
図3は、経路候補判定部333によって判定される経路候補の具体例を示す図である。
図3において、目的地情報として特定の目的地の位置が設定されておらず、複数の目的地の候補(目的地候補1及び目的地候補2)の情報のみが取得されている。例えば、目的地候補1及び目的地候補2は、2つの出発地から所定の範囲内に位置する二つの目的地候補である。
図3では、全ての出発地から同一の目的地に移動することが条件として設定されている。
図3において、ノードa及びノードbは、それぞれ出発地である。ノードc及びノードdは、それぞれ中継地(必須中継地)である。なお、
図3~
図6において、実際に判定される経路は実際の地図上の道に沿った経路が判定されるが、説明の便宜のためこれらの図では出発地、中継地及び目的地を結ぶ経路を直線で示す。また、直線の脇に付された文字は、ノードとノードとの間の移動に要すると推定される時間を示す。
【0043】
図3の例では、いくつかの経路が判定されうるが、その中でも
図3に示されるような経路が一つ判定された。この例では、ノードaからノードdに移動するのに要する時間Ladと、ノードdから目的地候補1へ移動するのに要する時間Ldと、ノードbからノードcに移動するのに要する時間Lbcと、ノードcから目的地候補1へ移動するのに要する時間Lcと、の合計(総移動時間)が、他の経路の候補における合計時間よりも最も短い。すなわち、中継地c及び中継地dはいずれも必須中継点であるため、出発点のa又はbのどちらか一方からのびる経路によって経由される必要がある。これらの条件に基づいて経路が判定された結果、
図3に示すような経路が判定された。
【0044】
図4は、経路候補判定部333によって判定される経路候補の具体例を示す図である。
図4において、目的地情報として特定の目的地の位置が設定されておらず、複数の目的地の候補(目的地候補1及び目的地候補2)の情報のみが取得されている。例えば、目的地候補1及び目的地候補2は、2つの出発地から所定の範囲内に位置する二つの目的地候補である。
図4では、全ての出発地から同一の目的地に移動することが条件として設定されている。
図4において、ノードa及びノードbは、それぞれ出発地である。ノードc、ノードd、ノードe及びノードfは、それぞれ中継地(任意中継地)である。
【0045】
図4の例では、いくつかの経路が判定されうるが、その中でも
図4に示されるような経路が一つ判定された。この例では、ノードaからノードdに移動するのに要する時間Ladと、ノードdからノードeに移動するのに要する時間Ldeと、ノードeから目的地候補1へ移動するのに要する時間Leと、ノードbからノードcに移動するのに要する時間Lbcと、ノードcから目的地候補1へ移動するのに要する時間Lcと、の合計(総移動時間)が、他の経路の候補における合計時間よりも最も短い。一方で、任意中継地であるノードfを経由してしまうと、出発地ノードaから出発した経路であっても、出発地ノードbから出発した経路であっても条件を満たさなくなってしまう。そのため、任意中継地であるノードfはどちらの経路にも含まれていない。これらの条件に基づいて経路が判定された結果、
図4に示すような経路が判定された。
【0046】
図5は、経路候補判定部333によって判定される経路候補の具体例を示す図である。
図5において、目的地情報として特定の目的地の位置が設定されておらず、複数の目的地の候補(目的地候補1及び目的地候補2)の情報のみが取得されている。例えば、目的地候補1及び目的地候補2は、2つの出発地から所定の範囲内に位置する二つの目的地候補である。
図5では、全ての出発地から同一の目的地に移動することが条件として設定されている。
図5において、ノードa及びノードbは、それぞれ出発地である。ノードc及びノードdはそれぞれ必須中継地であり、コンビニエンスストアは任意中継地である。
【0047】
図5の例では、いくつかの経路が判定されうるが、その中でも
図5に示されるような経路が判定された。この例では、ノードaからノードdに移動するのに要する時間Ladと、ノードdから目的地候補1に移動するのに要する時間Ldと、ノードbからノードcに移動するのに要する時間Lbcと、ノードcから目的地候補1へ移動するのに要する時間Lcと、の合計(総移動時間)が、他の経路の候補における合計時間よりも最も短い。また、ノードdからコンビニエンスストアを経由して目的地候補1に移動するのに要する時間Ld1+Ld2は、ノードdから直接目的地候補1に移動するのに要する時間Ldとの差が所定の条件を満たししている。そのため、任意中継地であるコンビニエンスストアを経由する経路候補も選択されている。すなわち、コンビニエンスストアを経由しない経路候補とコンビニエンスストアを経由する経路候補と、の二つの経路候補がユーザーに対して提示される。
【0048】
図6は、経路候補判定部333によって判定される経路候補の具体例を示す図である。
図6において、目的地情報として特定の目的地の位置が設定されておらず、複数の目的地の候補(目的地候補1及び目的地候補2)の情報のみが取得されている。例えば、目的地候補1及び目的地候補2は、2つの出発地から所定の範囲内に位置する二つの目的地候補である。
図6では、全ての出発地から同一の目的地に移動することが条件として設定されている。
図6において、ノードa及びノードbは、それぞれ出発地である。ノードc及びノードdはそれぞれ必須中継地である。
【0049】
図6の例では、いくつかの経路が判定されうるが、その中でも
図6の実線に示されるような経路が判定された。この例では、ノードaからノードdに移動するのに要する時間Ladと、ノードdから目的地候補1に移動するのに要する時間Ldと、ノードbからノードcに移動するのに要する時間Lbcと、ノードcから目的地候補1へ移動するのに要する時間Lc1と、の合計(総移動時間)が、他の経路の候補における合計時間よりも最も短い。
図6では、ノードcから目的地候補1へ移動するための最短経路で要する時間Lcよりも敢えて遠回りとなる経路(要する時間はLc1)が選択されている。その理由は、Lcの時間で到達できる最短経路では、その途中に移動制約領域が発生しているためである。
【0050】
移動制約領域とは、移動が困難となっている領域や、所定時間内(ユーザーが移動しようとしている間)に移動が困難となると推定される領域である。移動制約領域は、例えばその領域内において移動制約事象が発生していることに応じて移動が困難となっていてもよい。移動制約領域は、例えば情報提供装置20から提供される情報に基づいて判定されてもよい。移動制約領域は、例えばハザードマップなど予め定義されている情報に基づいて経路候補判定部333によって判定されてもよい。移動制約領域は、例えば各領域の交通量などの統計データ等に基づいて経路候補判定部333によって推定されてもよい。情報提供装置20から提供される情報に基づいて判定されてもよい。移動制約領域の具体例として、浸水が既に発生している領域、浸水が発生すると予想される領域、通行止めが生じている領域、通行止めが生じると予想される領域、渋滞が生じている領域、渋滞が生じると予想される領域、がある。情報収集の対象となる移動制約領域は、例えば以下の様に判定されてもよい。まず、目的地となりうる施設(より具体的には、発生した出来事に応じて定められた避難所など)が、特定の指定地点(例えば出発地や中継地)を中心とした所定の幾何学図形(例えば円や正方形)内に所定数以上含まれるような大きさの上記幾何学図形が判定される。そして、この大きさの幾何学図形内に含まれる領域において、移動制約領域の情報が収集されてもよい。
【0051】
経路情報提供部334は、経路判定が繰り返し実行される際には、過去の判定処理で判定された移動時間と現時点における移動時間との変化を示す情報をさらに提供してもよい。例えば、過去の判定処理で判定されたときに目的地までの移動時間として判定された時間よりも、現時点における移動時間の方が長くなっている場合には、ユーザーに対して通常の出力とは異なる形(警告の態様)で経路情報が提示されるように情報が提供されてもよい。また、移動時間の時系列変化を示す情報(例えばグラフ)が提示されてもよい。このように移動時間が変化する要因としては、中継地の変化(例えば中継地に相当するユーザーや関係者の移動)や、移動制約領域の発生などがある。
【0052】
図7は、経路情報提供システム100の動作の流れの具体例を示す図である。経路情報提供装置30は、各ユーザー端末10や関係者の位置情報を取得する(ステップS101)。経路情報提供装置30は、経路条件情報を取得する(ステップS102)。経路条件情報は、例えば経路を検索しようとするユーザーによって操作されるユーザー端末10から送信されてもよい。経路情報提供装置30は、取得された経路条件を満たす経路候補を判定する(ステップS103)。経路情報提供装置30は、判定された1又は複数の経路候補を示す情報をユーザー端末10に送信する(ステップS104)。ユーザー端末10は、受信された経路候補を示す情報を画像や音声として出力する(ステップS105)。
【0053】
このように構成された経路情報提供システム100によれば、ユーザーに対してより利便性の高い経路情報を提供することが可能となる。具体的には以下の通りである。経路情報提供システム100では、複数の出発地から出発する者同士が、同一の目的地に到達できるような経路候補が判定される。このとき、中継点を経由して目的地へ到達する経路を検索することが可能となる。そのため、それぞれ異なる出発地から出発した者が同一の目的地で合流することが可能となる。より具体的には、グループとして家族(父、母、子2名)が設定されている場合には、父と母がそれぞれ1名ずつ子と中継地で合流し、その後に同一の目的地(例えば避難場所)に合流するための経路候補を容易に知ることが可能となる。また、このような経路候補として、総移動時間が最短となるような経路や、複数の目的地から延びる経路の中で最長の経路で要する移動時間が最短となるような経路などが判定される。そのため、例えば移動が避難を意味する場合には、より安全に避難することが可能となる。
【0054】
また、任意中継地については、所定の条件が満たされる限りは経路として選択される。一方で、所定の条件が満たされない場合には経路に含まれない。そのため、可能な範囲で1又は複数の任意中継地を経由することが可能となる。より具体的には、グループとして介護チーム(介護スタッフ2名、要介護者4名)が設定されている場合には、各介護スタッフが可能な範囲で要介護者を経由し、同一の目的地(例えば避難場所)に合流するための経路候補を容易に知ることが可能となる。
【0055】
また、移動制約領域が設定される場合にはそれを回避するための経路候補が判定される。そのため、より安全且つ確実に移動可能な経路を容易に知ることが可能となる。
【0056】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、情報提供装置20と経路情報提供装置30とが一体の装置として構成されてもよい。また、経路情報提供装置30は、複数の情報処理装置を通信可能に接続することによって経路情報提供システムとして構築されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
100…経路情報提供システム, 10…ユーザー端末, 20…情報提供装置, 30…経路情報提供装置, 31…通信部, 32…記憶部, 321…位置情報記憶部, 322…ユーザー情報記憶部, 323…グループ情報記憶部, 324…地図情報記憶部, 33…制御部, 331…位置情報取得部, 332…経路条件情報取得部, 333…経路候補判定部, 334…経路情報提供部
【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地情報と、中継地情報と、目的地情報とを含む経路条件情報を取得する経路条件情報取得部と、
前記出発地情報が示す出発地から、前記中継地情報が示す中継地を経由して前記目的地情報が示す目的地へ到達する経路のうち移動時間に関する所定の条件を満たす経路候補を判定する経路候補判定部と、
前記経路候補判定部によって判定された経路候補を示す情報をユーザー端末に送信する経路情報提供部と、
を備え、
前記経路候補判定部は、複数のユーザーに関して異なる出発地から同一の目的地へ到達するように前記経路候補を判定し、
前記経路候補判定部は、移動が困難となっている領域や所定時間内に移動が困難となると推定される領域である移動制約領域を避けて前記経路候補を判定する、経路情報提供装置。
【請求項2】
前記中継地は、必ず経由しなければならない必須中継地と、中継に関する所定の条件が満たされる範囲内で経由される中継地である任意中継地と、を含み、
前記経路候補判定部は、前記経路候補を判定する際に、前記必須中継地を必ず経由し、且つ、前記中継に関する所定の条件が満たされる範囲内で前記任意中継地を経由する経路候補を判定する、請求項1に記載の経路情報提供装置。
【請求項3】
前記中継に関する所定の条件は、前記任意中継地を経由しない場合に要する目的地までの時間と前記任意中継地を経由した場合に要する目的地までの時間との差である増加時間が所定の値以内であること、又は、前記任意中継地を経由しない場合に要する時間に対する前記増加時間の割合が所定の値以内であること、の少なくともいずれか一方である、請求項2に記載の経路情報提供装置。
【請求項4】
前記経路候補判定部は、前記中継地で要する時間を含めた前記移動時間に基づいて前記経路候補を判定する、請求項1に記載の経路情報提供装置。
【請求項5】
グループ毎に、そのグループに属するユーザー又は関係者の識別情報を記憶するグループ情報記憶部をさらに備え、
前記経路候補判定部は、前記グループに属するユーザー又は関係者に応じて経路候補を判定する、請求項1に記載の経路情報提供装置。
【請求項6】
出発地情報と、中継地情報と、目的地情報とを含む経路条件情報を取得する経路条件情報取得ステップと、
前記出発地情報が示す出発地から、前記中継地情報が示す中継地を経由して前記目的地情報が示す目的地へ到達する経路のうち移動時間に関する所定の条件を満たす経路候補を複数のユーザーそれぞれについて判定する経路候補判定ステップと、
前記経路候補判定ステップにおいて判定された経路候補を示す情報をユーザー端末に送信する経路情報提供ステップと、
を有し、
前記経路候補判定ステップにおいて、複数のユーザーに関して異なる出発地から同一の目的地へ到達するように前記経路候補を判定し、
前記経路候補判定ステップにおいて、移動が困難となっている領域や所定時間内に移動が困難となると推定される領域である移動制約領域を避けて前記経路候補を判定する、経路情報提供方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の経路情報提供装置としてコンピューターを機能させるためのコンピュータープログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
しかしながら、従来のシステムでは必ずしもユーザーの要望に対して十分に応えきれているとは言えなかった。