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特開2024-43323加工ジョブ生成装置、シート加工システム及び加工ジョブ生成プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043323
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】加工ジョブ生成装置、シート加工システム及び加工ジョブ生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/00 20060101AFI20240322BHJP
   B26D 11/00 20060101ALI20240322BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B26D5/00 B
B26D11/00
B26D7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148446
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】山田 健太
(57)【要約】
【課題】シートの加工効率を向上させる加工ジョブ生成装置、加工ジョブプログラム、及び、この加工ジョブ生成装置を備えたシート加工システム、を提供する。
【解決手段】加工ジョブ生成装置は、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報に基づいて、少なくとも1つの第1切断位置の候補を探索し、第1切断位置の候補の中から、第1加工装置が排出可能な、第1方向におけるシートの外形線と成果物の外形線との間の第1余白領域の最大サイズと、第2加工装置の搬送可能な、第1方向における中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、に基づいて、第1加工装置及び第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択した第1切断位置で加工を行う、加工ジョブを生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの成果物が配置されたシートを自機の搬送方向である第1方向に搬送し、前記シートを停止させた状態で加工ジョブに従って少なくとも1つの第1切断位置で切断して中間シートを排出する第1加工装置と、前記第1加工装置から排出された前記中間シートを、前記加工ジョブに従って加工して成果物を排出する第2加工装置と、を備えるシート加工システムにおいて、前記第1加工装置及び前記第2加工装置でそれぞれ実施する加工内容を指示する前記加工ジョブを生成する加工ジョブ生成装置であって、
前記加工ジョブ生成装置は、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報に基づいて、少なくとも1つの前記第1切断位置の候補を探索し、前記第1切断位置の候補の中から、
前記第1加工装置が排出可能な、前記第1方向における前記シートの外形線と前記成果物の外形線との間の第1余白領域の最大サイズと、
前記第2加工装置の搬送可能な、前記第1方向における前記中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、に基づいて、
前記第1加工装置及び前記第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択し、選択した第1切断位置で加工を行う加工ジョブを生成する、
加工ジョブ生成装置。
【請求項2】
前記加工ジョブ生成装置は、前記第1加工装置において前記シートを複数の前記中間シートに分割する場合、
与えられた、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報と、
前記第2加工装置の搬送可能な、前記第1方向における前記中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、
前記第2加工装置が加工可能な前記中間シートの外形線と前記成果物の外形線との間の第2余白領域の前記第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、
前記成果物のサイズと、
を基に、新たなレイアウト情報を作成し、
前記新たなレイアウト情報に基づいて少なくとも1つの前記第1切断位置の候補を探索して、前記加工ジョブを生成する、
請求項1に記載の加工ジョブ生成装置。
【請求項3】
前記加工ジョブ生成装置は、前記複数の中間シートにおけるそれぞれの前記成果物のレイアウトが前記複数の中間シートで同一になるように、前記レイアウト情報を作成する、
請求項2に記載の加工ジョブ生成装置。
【請求項4】
前記加工ジョブ生成装置は、前記第1切断位置の候補の中から、
前記第1加工装置が排出可能な前記第1余白領域の前記第1方向の最大サイズと、
前記第2加工装置の搬送可能な前記中間シートの前記第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、
前記第2加工装置が加工可能な前記中間シートの外形線と前記成果物の外形線との間の第2余白領域の前記第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、
に基づいて、前記第1加工装置及び前記第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択する、
請求項1に記載の加工ジョブ生成装置。
【請求項5】
前記加工ジョブ生成装置は、前記第1加工装置において前記シートを複数の前記中間シートに分割する場合、
与えられた、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報と、
前記第2加工装置の搬送可能な前記中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、
前記第2加工装置が加工可能な前記中間シートの前記第2余白領域の前記第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、
前記第2加工装置が加工可能な1つの前記中間シートに配置され、隣り合う位置に配置された前記成果物間の第3余白領域の前記第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、
前記成果物のサイズと、
を基に、新たなレイアウト情報を作成し、
前記新たなレイアウト情報に基づいて少なくとも1つの前記第1切断位置の候補を探索して、前記加工ジョブを生成する、
請求項4に記載の加工ジョブ生成装置。
【請求項6】
前記加工ジョブ生成装置は、前記第1方向における前記シートの先端と最先端側の成果物との間に、第1切断位置を設定したシート加工ジョブを作成する、
請求項1に記載の加工ジョブ生成装置。
【請求項7】
少なくとも1つの成果物が配置されたシートを、前記シートを停止させた状態で加工ジョブに従って加工して中間シートを排出する第1加工装置と、
前記第1加工装置から排出された前記中間シートを、前記加工ジョブに従って加工して成果物を排出する第2加工装置と、
前記第1加工装置及び前記第2加工装置でそれぞれ実施する加工内容を指示する前記加工ジョブを生成する加工ジョブ生成装置と、を備え、
前記第1加工装置は、
前記シートを第1方向に搬送する第1搬送部と、
前記第1方向に搬送する前記シートを、前記加工ジョブとして設定された少なくとも1つの第1切断位置で、前記第1方向に直交する第2方向に切断することで、複数の前記中間シートに分割、または、前記成果物を含まない余白部と前記成果物を含む前記中間シートとに分割する第1切断部と、を備え、
前記第2加工装置は、
前記第1加工装置から排出された前記中間シートを、前記第2方向に搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部により搬送された前記中間シートを加工し、前記成果物を排出する第2加工部と、を備え、
前記加工ジョブ生成装置は、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報に基づいて、少なくとも1つの前記第1切断位置の候補を探索し、前記第1切断位置の候補の中から、前記第1方向における前記第1加工装置が排出可能な前記シートの外形線と前記成果物の外形線との間の第1余白領域の最大サイズと、前記第1方向における前記第2加工装置の搬送可能な前記中間シートの最大サイズおよび最小サイズとに基づいて、前記第1加工装置及び前記第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択した第1切断位置で加工を行う、加工ジョブを生成する、
シート加工システム。
【請求項8】
前記加工ジョブ生成装置は、前記第1加工装置において前記シートを複数の前記中間シートに分割する場合、与えられたシートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報と、前記第2加工装置の搬送可能な、前記第1方向における前記中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、前記第2加工装置が加工可能な前記中間シートの外形線と前記成果物の外形線との間の第2余白領域の前記第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、前記成果物のサイズと、を基に、新たなレイアウト情報を作成し、前記新たなレイアウト情報に基づいて少なくとも1つの前記第1切断位置の候補を探索して、前記加工ジョブを生成する、
請求項7に記載のシート加工システム。
【請求項9】
前記加工ジョブ生成装置は、前記複数の中間シートにおけるそれぞれの前記成果物のレイアウトが前記複数の中間シートで同一になるように、前記レイアウト情報を作成する、
請求項8に記載のシート加工システム。
【請求項10】
前記加工ジョブ生成装置は、前記第1切断位置の候補の中から、前記第1加工装置が排出可能な前記第1余白領域の前記第1方向の最大サイズと、前記第2加工装置の搬送可能な前記中間シートの前記第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、前記第2加工装置が加工可能な前記中間シートの外形線と前記成果物の外形線との間の第2余白領域の前記第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、に基づいて、前記第1加工装置及び前記第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択する、
請求項7に記載のシート加工システム。
【請求項11】
前記加工ジョブ生成装置は、前記第1加工装置において前記シートを複数の前記中間シートに分割する場合、与えられた、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報と、前記第2加工装置の搬送可能な前記中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、前記第2加工装置が加工可能な前記中間シートの前記第2余白領域の前記第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、前記第2加工装置が加工可能な1つの前記中間シートに配置され、隣り合う位置に配置された前記成果物間の第3余白領域の前記第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、前記成果物のサイズと、を基に、新たなレイアウト情報を作成し、前記新たなレイアウト情報に基づいて少なくとも1つの前記第1切断位置の候補を探索して、前記加工ジョブを生成する、
請求項10に記載のシート加工システム。
【請求項12】
前記加工ジョブ生成装置は、前記第1方向における前記シートの先端と最先端側の成果物との間に、第1切断位置を設定したシート加工ジョブを作成する、
請求項7に記載のシート加工システム。
【請求項13】
前記第1加工装置は、前記第2方向に移動する第1回転刃を有し、
前記第2加工装置は、前記第2方向に搬送される前記中間シートを、前記第1方向に切断するギロチン式の刃と、前記第2方向に切断し、前記第1方向に位置調整可能な第2回転刃と、を有する、
請求項7に記載のシート加工システム。
【請求項14】
少なくとも1つの成果物が配置されたシートを自機の搬送方向である第1方向に搬送し、前記シートを停止させた状態で加工ジョブに従って少なくとも1つの第1切断位置で切断して中間シートを排出する第1加工装置と、前記第1加工装置から排出された前記中間シートを、前記加工ジョブに従って加工して成果物を排出する第2加工装置と、を備えるシート加工システムにおいて、前記第1加工装置及び前記第2加工装置でそれぞれ実施する加工内容を指示する前記加工ジョブを集積回路によって生成させる加工ジョブ生成プログラムであって、
前記集積回路が、
シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報を取得し、
前記レイアウト情報に基づいて、少なくとも1つの前記第1切断位置の候補を探索し、
前記第1切断位置の候補の中から、前記第1加工装置が排出可能な、前記第1方向における前記シートの外形線と前記成果物の外形線との間の第1余白領域の最大サイズと、前記第2加工装置の搬送可能な、前記第1方向における前記中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、に基づいて、前記第1加工装置及び前記第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択し、
選択した第1切断位置で加工を行う加工ジョブを生成する、
ことを実行させるための加工ジョブ生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工ジョブ生成装置、シート加工システム及び加工ジョブ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに印刷された、例えばチケット等の成果物をシートから裁断して取り出すシート加工システムが知られている。例えば、特許文献1には、成果物(単票)が印刷された大きいサイズのシートを第1加工装置(第1シート裁断装置)で裁断して、サイズを小型化した加工処理後のシートを第2加工装置(第2シート裁断装置)で個々の成果物に裁断する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-35429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1加工装置及び第2加工装置は設定された加工ジョブに従ってシートを加工する。シートの加工効率を向上させることで、より短時間でシート加工を完了することが望まれている。
【0005】
したがって、本発明の目的は、シートの加工効率を向上させる加工ジョブ生成装置、加工ジョブプログラム、及び、この加工ジョブ生成装置を備えたシート加工システム、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加工ジョブ生成装置は、少なくとも1つの成果物が配置されたシートを自機の搬送方向である第1方向に搬送し、前記シートを停止させた状態で加工ジョブに従って少なくとも1つの第1切断位置で切断して中間シートを排出する第1加工装置と、第1加工装置から排出された中間シートを、加工ジョブに従って加工して成果物を排出する第2加工装置と、を備えるシート加工システムにおいて、第1加工装置及び第2加工装置でそれぞれ実施する加工内容を指示する加工ジョブを生成する加工ジョブ生成装置である。加工ジョブ生成装置は、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報に基づいて、少なくとも1つの第1切断位置の候補を探索し、第1切断位置の候補の中から、第1加工装置が排出可能な、第1方向におけるシートの外形線と成果物の外形線との間の第1余白領域の最大サイズと、第2加工装置の搬送可能な、第1方向における中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、に基づいて、第1加工装置及び第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択した第1切断位置で加工を行う、加工ジョブを生成する。
【0007】
本発明のシート加工システムは、少なくとも1つの成果物が配置されたシートを、前記シートを停止させた状態で加工ジョブに従って加工して中間シートを排出する第1加工装置と、第1加工装置から排出された中間シートを、加工ジョブに従って加工して成果物を排出する第2加工装置と、第1加工装置及び第2加工装置でそれぞれ実施する加工内容を指示する加工ジョブを生成する加工ジョブ生成装置と、を備える。第1加工装置は、シートを第1方向に搬送する第1搬送部と、第1方向に搬送するシートを、加工ジョブとして設定された少なくとも1つの第1切断位置で、第1方向に直交する第2方向に切断することで、複数の中間シートに分割、または、成果物を含まない余白部と成果物を含む中間シートとに分割する第1切断部と、を備える。第2加工装置は、第1加工装置から排出された中間シートを、第2方向に搬送する第2搬送部と、第2搬送部により搬送された中間シートを加工し、成果物を排出する第2加工部と、を備える。加工ジョブ生成装置は、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報に基づいて、少なくとも1つの第1切断位置の候補を探索し、第1切断位置の候補の中から、第1方向における第1加工装置が排出可能なシートの外形線と成果物の外形線との間の第1余白領域の最大サイズと、第1方向における第2加工装置の搬送可能な中間シートの最大サイズおよび最小サイズとに基づいて、第1加工装置及び第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択した第1切断位置で加工を行う、加工ジョブを生成する。
【0008】
本発明の加工ジョブ生成プログラムは、少なくとも1つの成果物が配置されたシートを自機の搬送方向である第1方向に搬送し、前記シートを停止させた状態で加工ジョブに従って少なくとも1つの第1切断位置で切断して中間シートを排出する第1加工装置と、第1加工装置から排出された中間シートを、加工ジョブに従って加工して成果物を排出する第2加工装置と、を備えるシート加工システムにおいて、第1加工装置及び第2加工装置でそれぞれ実施する加工内容を指示する加工ジョブを集積回路によって生成させる加工ジョブ生成プログラムであって、集積回路が、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報を取得し、前記レイアウト情報に基づいて、少なくとも1つの第1切断位置の候補を探索し、第1切断位置の候補の中から、第1加工装置が排出可能な、第1方向におけるシートの外形線と成果物の外形線との間の第1余白領域の最大サイズと、第2加工装置の搬送可能な、第1方向における中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、に基づいて、第1加工装置及び第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択し、選択した第1切断位置で加工を行う加工ジョブを生成する、ことを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートの加工効率を向上させる加工ジョブ生成装置、加工ジョブプログラム、及び、この加工ジョブ生成装置を備えたシート加工システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態におけるシート加工システムの全体構成を示す平面図
図2】加工ジョブ生成装置の構成を示すブロック図
図3】第1レイアウト情報の一例を説明する説明図
図4】第2レイアウト情報の一例を説明する説明図
図5】切断位置候補の探索を説明する説明図
図6】切断位置候補の探索を説明する説明図
図7】切断位置候補の探索を説明する説明図
図8】切断位置候補の探索を説明する説明図
図9】面付の一例を説明する説明図
図10】加工ジョブを生成する流れを示すフローチャート
図11】加工ジョブを生成する流れを示すフローチャート
図12】切断位置候補の探索を説明する説明図
図13】切断位置候補の探索を説明する説明図
図14】新たに作成した第3レイアウト情報の一例を示す説明図
図15】第1レイアウト情報の一例を示す説明図
図16A】新たに作成した第5レイアウト情報の一例を示す説明図
図16B】新たに作成した第6レイアウト情報の一例を示す説明図
図17】切断位置候補の探索を説明する説明図
図18】切断位置候補の位置の調整を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1態様によれば、加工ジョブ生成装置は、少なくとも1つの成果物が配置されたシートを自機の搬送方向である第1方向に搬送し、前記シートを停止させた状態で加工ジョブに従って少なくとも1つの第1切断位置で切断して中間シートを排出する第1加工装置と、第1加工装置から排出された中間シートを、加工ジョブに従って加工して成果物を排出する第2加工装置と、を備えるシート加工システムにおいて、第1加工装置及び第2加工装置でそれぞれ実施する加工内容を指示する加工ジョブを生成する加工ジョブ生成装置である。加工ジョブ生成装置は、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報に基づいて、少なくとも1つの第1切断位置の候補を探索し、第1切断位置の候補の中から、第1加工装置が排出可能な、第1方向におけるシートの外形線と成果物の外形線との間の第1余白領域の最大サイズと、第2加工装置の搬送可能な、第1方向における中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、に基づいて、第1加工装置及び第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択した第1切断位置で加工を行う、加工ジョブを生成する。
【0012】
シートを停止させて切断する第1加工装置での切断回数を少なくすることで、シート加工システム全体の加工に要する時間を短縮できるとともに、第1加工装置の切断刃の摩耗を抑えることができる。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、加工ジョブ生成装置は、少なくとも1つの成果物が配置されたシートを自機の搬送方向である第1方向に搬送し、加工ジョブに従って少なくとも1つの第1切断位置で切断して中間シートを排出する第1加工装置と、第1加工装置から排出された中間シートを、加工ジョブに従って加工して成果物を排出する第2加工装置と、を備えるシート加工システムにおいて、第1加工装置及び第2加工装置でそれぞれ実施する加工内容を指示する加工ジョブを生成する加工ジョブ生成装置である。加工ジョブ生成装置は、第1加工装置においてシートを複数の中間シートに分割する場合、与えられた、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報と、第2加工装置の搬送可能な、第1方向における中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、第2加工装置が加工可能な中間シートの外形線と成果物の外形線との間の第2余白領域の第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、成果物のサイズと、を基に、新たなレイアウト情報を作成する。加工ジョブ生成装置は、新たなレイアウト情報に基づいて、少なくとも1つの第1切断位置の候補を探索し、第1切断位置の候補の中から、第1加工装置が排出可能な、第1方向におけるシートの外形線と成果物の外形線との間の第1余白領域の最大サイズと、第2加工装置の搬送可能な、第1方向における中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、に基づいて、第1加工装置及び第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択した第1切断位置で加工を行う、加工ジョブを生成する。
【0014】
レイアウト情報と、中間シートの最大サイズと最小サイズと、第2余白領域の第1方向の最大サイズと最小サイズと、成果物のサイズとを基に、新たにレイアウト情報を作成することで、第1加工装置で切断する回数を少なくし、中間シートにおける余白部のサイズを搬送しつつ切断可能な第2加工装置で切断可能な余白部のサイズすることで、シート加工システム全体の加工に要する時間を短縮できるとともに、第1加工装置の切断刃の摩耗を抑えることができる。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、第2の態様の加工ジョブ生成装置において、加工ジョブ生成装置は、複数の中間シートにおけるそれぞれの成果物のレイアウトが複数の中間シートで同一になるように、レイアウト情報を作成する。
【0016】
第2加工装置に搬送される中間シートを同一のレイアウトにするように、レイアウト情報を作成することで第2加工装置での切断刃の位置の調整を低減することができる。
【0017】
本発明の第4の態様によれば、第1の態様の加工ジョブ生成装置において、加工ジョブ生成装置は、第1切断位置の候補の中から、第1加工装置が排出可能な第1余白領域の第1方向の最大サイズと、第2加工装置の搬送可能な中間シートの第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、第2加工装置が加工可能な中間シートの外形線と成果物の外形線との間の第2余白領域の第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、に基づいて、第1加工装置及び第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択する。
【0018】
第2加工装置で加工可能な範囲に収まる範囲内で、シートを停止させて切断する第1加工装置での切断回数を減らすことで、シート加工システム全体の加工に要する時間を短縮できるとともに、第1加工装置の切断刃の摩耗を抑えることができる。
【0019】
本発明の第5の態様によれば、第4の態様の加工ジョブ生成装置において、加工ジョブ生成装置は、第1加工装置においてシートを複数の中間シートに分割する場合、与えられたシートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報と、第2加工装置の搬送可能な中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、第2加工装置が加工可能な中間シートの第2余白領域の第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、第2加工装置が加工可能な1つの中間シートに配置され、隣り合う位置に配置された成果物間の第3余白領域の第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、成果物のサイズと、を基に、新たなレイアウト情報を作成し新たなレイアウト情報に基づいて少なくとも1つの第1切断位置の候補を探索して、加工ジョブを生成する。
【0020】
中間シートの最大サイズと最小サイズと、第2余白領域の第1方向の最大サイズと最小サイズと、第3余白領域の第1方向の最大サイズと最小サイズと、成果物のサイズとを基に、レイアウト情報を作成することで、第1加工装置での切断回数を少なくすることで、シート加工システム全体の加工に要する時間を短縮できるとともに、第1加工装置の切断刃の摩耗を抑えることができる。
【0021】
本発明の第6の態様によれば、第1の態様の加工ジョブ生成装置において、加工ジョブ生成装置は、第1方向におけるシートの先端と最先端側の成果物との間に、第1切断位置を設定したシート加工ジョブを作成する。
【0022】
第1方向におけるシートの先端と最先端側の成果物との間に、第1切断位置を設定することで、シートの斜行補正を行うことができる。
【0023】
本発明の第7の態様によれば、シート加工システムは、少なくとも1つの成果物が配置されたシートを、前記シートを停止させた状態で加工ジョブに従って加工して中間シートを排出する第1加工装置と、第1加工装置から排出された中間シートを、加工ジョブに従って加工して成果物を排出する第2加工装置と、第1加工装置及び第2加工装置でそれぞれ実施する加工内容を指示する加工ジョブを生成する加工ジョブ生成装置と、を備える。第1加工装置は、シートを第1方向に搬送する第1搬送部と、第1方向に搬送するシートを、加工ジョブとして設定された少なくとも1つの第1切断位置で、第1方向に直交する第2方向に切断することで、複数の中間シートに分割、または、成果物を含まない余白部と成果物を含む中間シートとに分割する第1切断部と、を備える。第2加工装置は、第1加工装置から排出された中間シートを、第2方向に搬送する第2搬送部と、第2搬送部により搬送された中間シートを加工し、成果物を排出する第2加工部と、を備える。加工ジョブ生成装置は、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報に基づいて、少なくとも1つの第1切断位置の候補を探索し、第1切断位置の候補の中から、第1方向における第1加工装置が排出可能なシートの外形線と成果物の外形線との間の第1余白領域の最大サイズと、第1方向における第2加工装置の搬送可能な中間シートの最大サイズおよび最小サイズとに基づいて、第1加工装置及び第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択した第1切断位置で加工を行う、加工ジョブを生成する。
【0024】
本発明の第8の態様によれば、シート加工システムは、少なくとも1つの成果物が配置されたシートを、加工ジョブに従って加工して中間シートを排出する第1加工装置と、第1加工装置から排出された中間シートを、加工ジョブに従って加工して成果物を排出する第2加工装置と、第1加工装置及び第2加工装置でそれぞれ実施する加工内容を指示する加工ジョブを生成する加工ジョブ生成装置と、を備える。第1加工装置は、シートを第1方向に搬送する第1搬送部と、第1方向に搬送するシートを、加工ジョブとして設定された少なくとも1つの第1切断位置で、第1方向に直交する第2方向に切断することで、複数の中間シートに分割、または、成果物を含まない余白部と成果物を含む中間シートとに分割する第1切断部と、を備える。第2加工装置は、第1加工装置から排出された中間シートを、第2方向に搬送する第2搬送部と、第2搬送部により搬送された中間シートを加工し、成果物を排出する第2加工部と、を備える。加工ジョブ生成装置は、第1加工装置においてシートを複数の中間シートに分割する場合、与えられたシートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報と、第2加工装置の搬送可能な、第1方向における中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、第2加工装置が加工可能な中間シートの外形線と成果物の外形線との間の第2余白領域の第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、成果物のサイズと、を基に、新たなレイアウト情報を作成する。加工ジョブ生成装置は、新たなレイアウト情報に基づいて、少なくとも1つの第1切断位置の候補を探索し、第1切断位置の候補の中から、第1方向における第1加工装置が排出可能なシートの外形線と成果物の外形線との間の第1余白領域の最大サイズと、第1方向における第2加工装置の搬送可能な中間シートの最大サイズおよび最小サイズとに基づいて、第1加工装置及び第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択した第1切断位置で加工を行う、加工ジョブを生成する。
【0025】
本発明の第9の態様によれば、第8の態様のシート加工システムにおいて、加工ジョブ生成装置は、複数の中間シートにおけるそれぞれの成果物のレイアウトが複数の中間シートで同一になるように、レイアウト情報を作成する。
【0026】
本発明の第10の態様によれば、第7の態様のシート加工システムにおいて、加工ジョブ生成装置は、第1切断位置の候補の中から、第1加工装置が排出可能な第1余白領域の第1方向の最大サイズと、第2加工装置の搬送可能な中間シートの第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、第2加工装置が加工可能な中間シートの外形線と成果物の外形線との間の第2余白領域の第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、に基づいて、第1加工装置及び第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択する。
【0027】
本発明の第11の態様によれば、第10の態様のシート加工システムにおいて、加工ジョブ生成装置は、第1加工装置においてシートを複数の中間シートに分割する場合、与えられたシートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報と、第2加工装置の搬送可能な中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、第2加工装置が加工可能な中間シートの第2余白領域の第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、第2加工装置が加工可能な1つの中間シートに配置され、隣り合う位置に配置された成果物間の第3余白領域の第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、成果物のサイズと、を基に、新たなレイアウト情報を作成し、新たなレイアウト情報に基づいて少なくとも1つの第1切断位置の候補を探索して、加工ジョブを生成する。
【0028】
本発明の第12の態様によれば、第7から第11の態様のいずれかのシート加工システムにおいて、加工ジョブ生成装置は、第1方向におけるシートの先端と最先端側の成果物との間に、第1切断位置を設定したシート加工ジョブを作成する。
【0029】
本発明の第13の態様のシート加工システムにおいて、第1加工装置は、第2方向に移動する第1回転刃を有し、第2加工装置は、第2方向に搬送される中間シートを第1方向に切断するギロチン式の刃と、第1方向に位置調整可能な第2回転刃と、を有する。
【0030】
第2加工装置は、中間シートを搬送しながら第2回転刃により第2方向に沿って切断することができるので、第1加工装置よりも効率よくシート切断を行うことができる。
【0031】
本発明の第14の態様によれば、加工ジョブ生成プログラムは、少なくとも1つの成果物が配置されたシートを自機の搬送方向である第1方向に搬送し、前記シートを停止させた状態で加工ジョブに従って少なくとも1つの第1切断位置で切断して中間シートを排出する第1加工装置と、前記第1加工装置から排出された前記中間シートを、前記加工ジョブに従って加工して成果物を排出する第2加工装置と、を備えるシート加工システムにおいて、前記第1加工装置及び前記第2加工装置でそれぞれ実施する加工内容を指示する前記加工ジョブを集積回路によって生成させる加工ジョブ生成プログラムである。加工ジョブ生成プログラムは、集積回路は、シートに配置された成果物の位置に関する情報であるレイアウト情報に基づいて、少なくとも1つの前記第1切断位置の候補を探索させ、集積回路は、前記第1切断位置の候補の中から、前記第1加工装置が排出可能な、前記第1方向における前記シートの外形線と前記成果物の外形線との間の第1余白領域の最大サイズと、前記第2加工装置が搬送可能な、前記第1方向における前記中間シートの最大サイズおよび最小サイズと、に基づいて、前記第1加工装置及び前記第2加工装置が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択した第1切断位置で加工を行う、加工ジョブを生成させる。
【0032】
シートを停止させて切断する第1加工装置での切断回数を少なくすることで、シート加工システム全体の加工に要する時間を短縮できるとともに、第1加工装置の切断刃の摩耗を抑えることができる。
【0033】
以下、本発明に係る部品供給装置の例示的な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。
【0034】
(実施の形態)
以下、図1を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1は、実施の形態におけるシート加工システムの全体構成を示す平面図である。
【0035】
[シート加工システム1の全体構成]
本実施形態のシート加工システム1は、搬送方向上流側から順に、印刷装置8、給紙装置10、第1加工装置20、クロスコンベア装置30、挿入ユニット40、第2加工装置50、及びコンベアスタッカ装置60を備える。また、シート加工システム1は、第1加工装置20及び第2加工装置50が加工する内容である加工ジョブを生成する加工ジョブ生成装置70を備える。
【0036】
近年、汎用的な印刷機における印刷可能な最大シートサイズが大きくなる傾向にあり、例えば、B3サイズを超える印刷サイズも印刷可能となる場合が多くなってきている。本シート加工システム1は、印刷装置8によって印刷された一定サイズ以上の大きさのシートShを受け入れて、第1加工装置20が印刷済のシートShの余白部分を裁断して中間シートSh1作成し、第2加工装置50が印刷部分である成果物Pのみを残す加工処理を施している。なお、第1加工装置20は、シートShから先端側の余白部分Sh2を切除してもよい。
【0037】
第2加工装置50は、従来から市場で一般的によく用いられる汎用のシート裁断装置であって、加工可能な最大シートサイズは、例えば、B3サイズである。また、第1加工装置20は、第2加工装置50よりも大きなサイズのシートを加工可能であり、例えば、B3サイズを超えるサイズも加工可能である。本シート加工システム1は、第1加工装置20により、第2加工装置50が受入れ可能なシートサイズに裁断加工してから、第2加工装置50に加工済みシートを受け渡すように構成されている。
【0038】
印刷装置8は、シートShにレイアウト情報に基づいて成果物Pを印刷する。印刷されシートShは、給紙装置10に搬送され、そのまま第1加工装置20へ搬送されるか、給紙装置10内に貯蔵される。また、印刷装置8は、給紙装置10とは接続されておらず、印刷されたシートShは、オペレータによって、給紙装置10まで運ばれることもある。
【0039】
給紙装置10は、本実施の形態においては、最大B2サイズのシートを給紙できるように構成されている。給紙装置10はシートShを第1加工装置20に搬送し、第1加工装置20の先端検出センサ21にシートShの先端が到達したタイミングに基づいて、第1加工装置20において、シートShが加工される。
【0040】
第1加工装置20は、汎用の第2加工装置50が受入れ可能なシートサイズに予め裁断加工(一次加工)する為に設置されており、給紙装置10から搬送されたシートShの先端が到達したことを検出する先端検出センサ21(21a、21b)と、シートShの先端と予めシートShに付与されたレジマークの位置を検出し、シート搬送方向に対する印刷画像の傾斜角度を検出するレーザーセンサ27(27a、27b)を有している。なお、先端検出センサ21とレーザーセンサ27は、それぞれ、シート搬送方向と直交方向の幅方向2箇所に配置されている。
【0041】
また、第1加工装置20は、前記レーザーセンサ27にて検出した印刷画像の傾斜角度を元に、クロスカット部の裁断機構20aの角度を、印刷画像の搬送方向に対して直角になるように角度調整することが可能な角度調整手段を有する。裁断機構20aは、予め、設定した裁断位置にシートShを停止後、シートShを搬送する方向と直交する幅方向に、上下一対の回転刃20aaを移動することによりシートShを裁断する。移動刃ユニットの上下一対の回転刃20aaは、シートShが搬送される経路を介して、上側と下側にそれぞれ対向配置されている。このようにして、第1加工装置20は、加工ジョブにしたがって、搬送されたシートShを第1切断位置で裁断することで、中間シートSh1と不必要な余白部分Sh2とに分離する。不必要な余白部分Sh2は搬送される経路から排出されて破棄される。第1切断位置は、第1加工装置20によりシートShが裁断されるシートSh上の切断線であり、1本でもよいし、複数本あってもよい。
【0042】
裁断後の中間シートSh1は、搬送ローラ対によりクロスコンベア装置30に排出される。中間シートSh1の排出については排出センサ29により検出される。なお、大判サイズのシートShを予め裁断加工(一次加工)する裁断刃として、ギロチン式の裁断刃を使う場合、シートの幅方向に長い刃が要求される為、反りや歪が問題となる。それに対して、シート搬送方向に可動する上下一対の回転刃を用いれば、反りや歪の問題は解消されるので、第1加工装置20に適している。
【0043】
クロスコンベア装置30は、第1加工装置20で裁断加工されて第1方向に搬送されて来た中間シートSh1を受けて、第1方向に対して交差した第2方向に搬送して、第2加工装置50へ送り込むようになっている。なお、クロスコンベア装置30は、第1加工装置20の後段に配置されており、第1加工装置20から排出された中間シートSh1を無端状ベルト31(所定幅を有する一本ベルト)上に受け取り、受け取った中間シートSh1の端縁をガイド壁32に沿わせるように、中間シートSh1をガイド壁32に向けて斜めに搬送しながら、搬送方向下流へ向けて搬送する、斜行搬送手段を備える。
【0044】
クロスコンベア装置30の後段には、クロスコンベア装置30から排出された中間シートSh1を第2加工装置50における給紙口に受け渡す挿入ユニット40が配置されている。なお、挿入ユニット40は、受け取った中間シートSh1の端縁をガイド壁41に沿わせるように、中間シートSh1をガイド壁41に向けて斜めにエア吸引搬送しながら、搬送方向下流へ向けて搬送する、斜行搬送手段を備える。
【0045】
第2加工装置50は、従来から市場で汎用的によく用いられるシート裁断装置であって、第1加工装置20により、第2加工装置50が受入れ可能なシートサイズに予め裁断加工(一次加工)された中間シートSh1は、挿入ユニット40から第2加工装置50の給紙口に受け渡される。その後、中間シートSh1を一枚ずつシート搬送方向に送り出し、送り出された中間シートSh1を、加工ジョブ生成装置70から送られる加工ジョブの内容に基づいて、装置本体にて搬送しながら裁断加工し、裁断加工後の成果物Pを装置本体から排出する。第2加工装置50は、第2方向に搬送される中間シートSh1を停止させて第1方向に裁断するギロチン式の刃50aと、第2方向に中間シートSh1を搬送させながら第2方向に裁断する回転刃50bとを備える。第2加工装置50で加工可能な中間シートShの最大サイズ以下になるよう、第1加工装置20の回転刃20aaで、シートShを裁断する必要がある。第1加工装置20の回転刃20aaは切断時に、シートShの搬送を停止させてから、回転刃20aaを第2方向に移動させてシートShを切断するため、回転刃20aaによる加工は時間がかかってしまう。それに対して、第2加工装置50の回転刃50bの位置は第1方向に調整可能であり、回転刃50bは中間シートSh1を第2方向に搬送しながら裁断することができるので、加工時間を短縮することができる。したがって、シートShへの第2方向の裁断は、第1加工装置20において実施するよりも、第2加工装置50において実施する方が加工時間を短縮することができる。
【0046】
第2加工装置50は、縦裁断及び横裁断加工により成果物Pに加工する以外にも、中間シートSh1に対して、例えば、ミシン目加工、縦折り型加工、横折り型加工、丸め加工、エンボス加工、ダイカット加工、縦折り加工、横折り加工、疑似接着、接着または製本加工等を実施してもよい。成果物Pは、シート加工システム1がシートShを加工処理した結果、成果として得られる物であり、例えば、半券付チケットおよび半券付きチラシが含まれる。
【0047】
第2加工装置50の排出側にコンベアスタッカ装置60を結合してもよい。コンベアスタッカ装置60は、第2加工装置50から排出された裁断加工後の成果物Pを、ベルトコンベアによってゆっくり搬送し、その端部に設けたスタッカー61に斜めに立てた状態で単票を積み重ねるようにした装置である。
【0048】
[加工ジョブ生成装置]
次に、図2を参照して加工ジョブ生成装置70についてさらに詳細に説明する。加工ジョブ生成装置70は、レイアウト情報作成部71と、加工位置探索部73と、判定部75と、加工ジョブ生成部77と、記憶部79と、を備える。
【0049】
レイアウト情報作成部71は、成果物Pの長手方向及び短手方向のそれぞれのサイズと、成果物Pが印刷されるシートShのサイズとを基に、予め定められた手順に沿ってシートShに成果物Pを配置した第1レイアウト情報81を作成する。レイアウト情報作成部71は、成果物Pを複製し、複製した成果物Pの位置を成果物Pのサイズを基に設定することで面付を行い、第1レイアウト情報81を作成する。例えば、図3に示すように、シートShに成果物Pが4行3列に配置されている。なお、明細書において、成果物PがシートShに第1方向に配置された数を面付数と呼ぶ。面付数は、シートShの第1方向のサイズSz1と成果物Pの第1方向のサイズSz2とを基に設定される。
【0050】
レイアウト情報作成部71は、成果物Pを面付する際に、シートShの先端から成果物Pの外形線Paの先端までのシート先端余白幅Aw1を最小先端カット幅Cw1以上であって、第1加工装置20が排出可能な最大サイズ以下に設定する。シート先端余白幅Aw1は、第1方向におけるシートShの外形線SL1と成果物Pの外形線Paとの間の先端側の余白領域Ar1の長さである。最小先端カット幅Cw1は、例えば、15mmである。ここで、成果物Pの外形線Paとは、成果物PがシートShに複数配置されている場合、複数の成果物Pを含む領域の外形線のことである。なお、最小先端カット幅Cw1とは、第1加工装置20で切断可能なシートShの最小先端カット幅のことを指す。
【0051】
レイアウト情報作成部71は、成果物Pを面付する際に、シートShの後端から成果物Pの外形線Paの後端までのシート後端余白幅Aw2を最小後端カット幅Cw2以上であって、第1加工装置20が排出可能な最大サイズ以下に設定する。シート後端余白幅Aw2は、第1方向におけるシートShの外形線SL1と成果物Pの外形線Paとの間の後端側の余白領域Ar2の長さである。余白領域Ar1及び余白領域Ar2は、それぞれ、第1余白領域に相当する。最小後端カット幅Cw2は、例えば、10mmである。また、レイアウト情報作成部71は、第1方向に配置されたそれぞれの成果物Pの間に余白幅Mw1~Mw3をそれぞれ設定する。余白幅の個数は面付数よりも1つ少ない。なお、最小後端カット幅Cw2とは、第1加工装置20で切断可能なシートShの最小後端カット幅のことを指す。
【0052】
レイアウト情報作成部71は、第1レイアウト情報81のシートShが第1加工装置20で切断された後の第2レイアウト情報82も生成する。第2レイアウト情報は、中間シートSh1に配置された成果物Pの位置に関する情報である。第2レイアウト情報82において、中間シートSh1の第1方向におけるサイズSz3が、クロスコンベア装置30及び第2加工装置50が搬送可能な最大サイズと最小サイズの範囲内のサイズに設定され、例えば、190~370mmに設定される。
【0053】
レイアウト情報作成部71は、第2レイアウト情報82において、中間シートSh1の先端から成果物Pの外形線Pbの先端までのシート先端余白幅Aw3、及び、中間シートSh1の後端から成果物Pの外形線Pbの後端までのシート後端余白幅Aw4を処理可能幅Cw3の範囲内に設定する。シート先端余白幅Aw3は、中間シートSh1の外形線SL2と成果物Pの外形線Pbとの間の第1方向における先端側の余白領域Ar3の長さである。シート後端余白幅Aw4は、中間シートSh1の外形線SL2と成果物Pの外形線Pbとの間の第1方向における後端側の余白領域Ar4の長さである。余白領域Ar3及び余白領域Ar4はそれぞれ第2余白領域に相当する。処理可能幅Cw3は、上流側の第1加工装置20で切断した後の、第1加工装置20の搬送方向における、中間シートSh1の上流端と下流端の余白長さの許容範囲である。第1方向における中間シートSh1の上流側のシート先端余白幅Aw3と下流側のシート後端余白幅Aw4とが処理可能幅Cw3の範囲を超える場合、第2加工装置50で中間シートSh1を加工することができない。処理可能幅Cw3は、最小値と最大値とを有しその範囲は、例えば、4.2~55mmである。ここで、成果物Pの外形線Pbとは、成果物Pが中間シートSh1に複数配置されている場合、複数の成果物Pを含む領域の外形線のことである。
【0054】
レイアウト情報作成部71は、第2レイアウト情報82において、第1方向に配置されたそれぞれの成果物Pの間の余白領域Ar5の第1方向の余白幅Dw3を処理可能幅Mw5の範囲内に設定する。余白領域Ar5は第3余白領域に相当する。処理可能幅Mw5は、第2加工装置50で加工可能な成果物P間の余白長さの許容範囲である。処理可能幅Mw5は、最小値と最大値とを有し、その範囲は、例えば、5~15mmである。このように、第1方向における成果物P間の余白長さと、中間シートSh1の上流端及び下流端における余白長さの許容範囲は異なることがある。
【0055】
第2レイアウト情報82において、中間シートSh1の第1方向の面付数は、第2加工装置50の性能に応じて変更される。中間シートSh1の第1方向の面付数は、例えば、1~5に設定される。
【0056】
レイアウト情報作成部71は、加工位置探索部73の第1切断位置の候補を探索した後で、再びレイアウト情報を作成してもよい。
【0057】
加工位置探索部73は、第1加工装置20によって切断される第1切断位置の候補を探索する切断位置候補探索部73aと、探索された切断位置候補から適切な候補を選択する切断位置候補選択部73bと、を有する。
【0058】
切断位置候補探索部73aは、第1レイアウト情報81を基に、図5に示すように、第1加工装置20によって切断される第1切断位置の候補を以下の条件を基に探索する。
第1条件:「処理可能幅Cw3の最小値+最小先端カット幅Cw1<シート先端余白幅Aw1」を満たすシート先端余白に第1切断位置の候補Cp1を設定する。
第2条件:「処理可能幅Cw3の最小値×2<成果物P間の余白幅Bw1、Bw2、Bw3」を満たす成果物P間の余白に第1切断位置の候補Cp2、3、4を設定する。
第3条件:「処理可能幅Cw3の最小値+最小後端カット幅Cw2<シート後端余白幅Aw2」を満たすシート後端余白に第1切断位置の候補Cp5を設定する。
【0059】
切断位置候補探索部73aは、さらに、第2加工装置50が搬送可能な第1方向のシートサイズを基に、第1切断位置の候補の組み合わせ候補も生成する。
【0060】
切断位置候補選択部73bは、切断位置候補探索部73aによって探索された候補のうち適切でないものを消去する。例えば、図6に示すように、シートShにおいて、シート先端余白幅Aw1内に第1切断位置の候補Cp1だけを候補の1つとして探索した場合に、シート後端から第1切断位置の候補Cp1までの第1方向のサイズSz3aが第2加工装置50に挿入可能な最大幅を超える場合、この候補は消去される。
【0061】
また、図7に示すように、シートShにおいて、「シート先端余白幅Aw1内の第1切断位置の候補Cp1」と「成果物P間の余白幅のうち下端側の余白幅Bw3内の第1切断位置の候補Cp4」との組み合わせを候補の1つとして探索した場合において、シート後端から第1切断位置の候補Cp4までの第1方向のサイズSz3cが第2加工装置50に挿入可能な最小幅より小さい場合、この組みあわせ候補は消去される。
【0062】
切断位置候補選択部73bは、予め定められた候補設定ルールに基づいて、さらに、第1切断位置の組み合わせ候補の中から適切な第1切断位置を選択してもよい。例えば、図8に示すように、切断後の複数の中間シートSh1の第2レイアウト情報82が全て同じとなるような第1切断位置を設定するルールを設けてもよい。この場合、第1切断位置の候補Cp1とCp3との間のサイズと第1切断位置の候補Cp3とCp5との間のサイズは共にSz3fとなり、同一になる。このような第1切断位置であれば、第2加工装置50の処理位置の切り替えをすること無く、第2加工装置50で連続的に処理が可能になるので処理速度を速くすることができる。また、シート先端余白幅Aw1内に第1切断位置を基本的に設定するルールを設けてもよい。これにより、シートShの斜行、または、シートShに印刷された印刷画像の斜行を補正することができる。
【0063】
また、面付分割数をルールとして設定してもよい。図8において、4面付を2面付×2としているので、面付分割数は2である。図9のように、5面付を2面付と3面付に面付分割をしてもよい。
【0064】
判定部75は、加工位置探索部73により探索された第1切断位置の候補で第1加工装置20が切断可能であるか否かを判定する。また、第1切断位置で切断され分割された中間シートSh1が第2加工装置50で搬送可能であるか否かを判定する。判定部75は、両方の判定結果が可能である場合探索された候補が処理可能であると判定し、両方の判定結果の少なくともいずれかが不可である場合探索された候補が処理不能であると判定する。
【0065】
加工ジョブ生成部77は、判定部75が処理可能であると判定した第1切断位置の候補を基に、第1加工装置20及び第2加工装置50で加工処理する加工ジョブを生成する。
【0066】
加工ジョブには、シートの大きさおよび種類、成果物の大きさおよびシート上における配置、シートに施す加工の位置、種類、数および寸法等の情報が含まれる。すなわち、加工ジョブに含まれる情報としては、加工位置の情報のみでもよいし、加工位置および加工種類の組み合わせでもよいし、加工位置および成果物の配置の組み合わせでもよいし、加工位置、加工種類および成果物の配置の組み合わせ情報でもよい。
【0067】
記憶部79は、例えば、ROM、RAM、HDD及びSSDの少なくとも1つで構成され、加工ジョブの生成等に必要なプログラムあるいはデータ等を記憶する。シートShに印刷される成果物の情報は、例えば、記憶部79または外部装置(図示せず)に記憶されている。外部装置は、例えば、パソコン、スマートフォンまたはタブレットPCであり、ネットワークを介して加工ジョブ生成装置70に接続される。
【0068】
レイアウト情報作成部71、加工位置探索部73、判定部75、及び加工ジョブ生成部77は、1つまたは複数の集積回路、例えば、CPUまたはFPGAで構成され、集積回路が記憶部79に格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行うことによりそれぞれの機能が実現される。
【0069】
次に、図10及び図11を参照して、加工ジョブ生成装置70が加工ジョブを生成する流れを説明する。図10及び図11は、加工ジョブを生成する流れを示すフローチャートである。
【0070】
ステップS1において、加工ジョブ生成装置70は、ユーザから加工ジョブ生成の指示が入力されると、レイアウト情報作成部71が、中間シートSh1のサイズと成果物Pのサイズを基に、予め定められた方法にしたがって第1レイアウト情報81を生成して取得する。なお、加工ジョブ生成装置70が第1レイアウト情報81を生成する代わりに記憶部79または外部装置(図示せず)から第1レイアウト情報81を取得してもよい。
【0071】
ステップS2において、上述したように、加工位置探索部73の切断位置候補探索部73aが第1レイアウト情報81において第1切断位置の候補を探索する。
【0072】
ステップS3において、上述したように、加工位置探索部73の切断位置候補選択部73bが探索された複数の切断位置の候補の中から適切な候補を選択する。なお、候補の選択について図12を参照してさらに詳細に説明する。
【0073】
切断位置候補選択部73bは、シート先端余白幅Aw1と第1切断位置の候補Cpが設定されている成果物P間の余白幅Dw1とを用いて以下の第4~第6条件を含む選択条件1を基に、切断位置の候補を選択する。
第4条件:シート先端余白幅Aw1≦(成果物P間の余白幅Dw1)/2
第5条件:第1加工装置20でのシート斜行補正機能がオフ設定されている。
これら第4条件及び第5条件を全て満たす場合、シート先端余白幅Aw1において第1切断位置の候補Cp1が設定されていない候補を選択する。
【0074】
第6条件:シート後端余白幅Aw2≦処理可能幅Cw3の最大値
この第6条件を満たす場合、シート後端余白幅Aw2において第1切断位置の候補Cp5が設定されていない候補を選択する。
【0075】
したがって、選択条件1を満たす場合、図8に示す第1切断位置の候補Cp1、Cp3、Cp5の組みあわせ候補よりも、図12に示す第1切断位置の候補Cp3だけを選択する。なお、第4条件及び第5条件の両方の条件と、第6条件とのいずれかだけを満たす場合、それぞれの条件に適合する候補を選択してもよい。
【0076】
ステップS4において、判定部75は、ステップS3で選択された切断位置の候補による処理が実施可能であるか否かを判定する。判定部75は、加工内容が仕様の範囲内であるか否かを判定しており、例えば、図4に示すように、第1加工装置20で加工処理した後の中間シートSh1の第1方向のサイズSz3が第2加工装置50で搬送可能な最大サイズおよび最小サイズの範囲内の搬送シート幅であるか否か、中間シートSh1の先端と成果物Pの外形線Pbまでのシート先端余白幅Aw3が処理可能幅Cw3の範囲内であるか否か、中間シートSh1の後端と成果物Pの外形線Pbまでのシート後端余白幅Aw4が処理可能幅Cw3の範囲内であるか否か、第1方向における中間シートSh1の成果物P間の余白幅が処理可能幅Mw5の範囲内であるか否かを判断基準にしている。
【0077】
図10において、判定部75が選択された加工位置の候補による処理は実施可能であると判定すると(ステップS4のYes)、ステップS5において、加工ジョブ生成部77は選択した切断位置の候補を採用して加工ジョブを生成する。このようにして、第1加工装置20及び第2加工装置50が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択し、選択した第1切断位置で加工を行う、加工ジョブを生成することができる。
【0078】
判定部75が選択された加工位置の候補による処理は実施不可能であると判定した場合(ステップS4のNo)、及び、ステップS3の選択条件1で候補が選択出来なかった場合、ステップS6において、レイアウト情報作成部71が新たな第3レイアウト情報を作成する。
【0079】
図13に示すように、レイアウト情報作成部71は、第1レイアウト情報81において、シート先端余白幅Aw1に第1切断位置の候補Cp1が設定され、シート後端余白幅Aw2に第1切断位置の候補Cp5が設定されている候補を抽出する。抽出された候補の第1レイアウト情報81において、第1方向の後端の成果物Pからシート後端までのシート後端余白幅Aw2と、第2加工装置において加工可能な中間シートのシート後端余白幅Aw4の処理可能幅Cw3の最大値との差分K1を算出する。算出された差分K1を第1切断位置の候補Cpが設定されていない成果物P間の余白の数で割った値A1を、第1切断位置の候補Cpが設定されていない成果物P間の余白幅Dw2に加えて余白幅Dw2a(図14参照)とする。すなわち、Dw2+A1=Dw2aとなる。図13において、第1方向において第1切断位置の候補Cpが設定されていない成果物P間の余白の数は2である。ただし、余白幅Dw2aは処理可能幅Mw5の範囲内である必要があるので、例えば、15mm以下とする。そして、シート後端余白幅Aw2は、算出した差分K1を引いた値Aw2aに変更する。さらに、シート後端余白幅Aw2に設定されていた第1切断位置の候補Cp5を削除する。このように、レイアウト情報作成部71は、成果物PをシートShに配置し直して新たに第3レイアウト情報83を生成する(図14参照)。
【0080】
ステップS7において、判定部75は、新たな第3レイアウト情報83及び、第3レイアウト情報83の第1切断位置の候補Cp1、Cp3で切断された第4レイアウト情報84が、実施可能であるか否かを判定する。判定基準は、ステップS4と同様であるが、さらに、シート後端余白幅Aw2が予め定められた閾値よりも大きい場合、実施可能でないと判定してもよい。ここで、第4レイアウト情報84とは、第3レイアウト情報83で設定された第1切断位置の候補CpでシートShが切断されることで発生する中間シートSh1に配置された成果物Pの位置に関する情報である。
【0081】
判定部75が新たな第3レイアウト情報83及び第4レイアウト情報84による処理は実施可能であると判定すると(ステップS7のYes)、ステップS5において、加工ジョブ生成部77は新たに作成した第3レイアウト情報83及び第4レイアウト情報84を採用して加工ジョブを生成する。
【0082】
判定部75が新たな第3レイアウト情報83及び第4レイアウト情報84による処理は実施不可能であると判定した場合(ステップS7のNo)、及び、ステップS6において第3レイアウト情報83を作成できなかった場合、ステップS8において、レイアウト情報作成部71が新たな第5レイアウト情報85を作成する。
【0083】
例えば、図15に示すように、図13に示すような第1レイアウト情報81よりもシートShに対する成果物Pのサイズの比率が小さい場合、シート後端余白幅Aw2が大きな領域になる場合がある。
【0084】
このような場合、ステップS8において、レイアウト情報作成部71が図16Aに示すような新たな第5レイアウト情報85を作成する。レイアウト情報作成部71は、図15に示すような、第1レイアウト情報81において、成果物Pのサイズを基に面付けされおり、シート先端余白幅Aw1に第1切断位置の候補Cp1が設定され、シート後端余白幅Aw2に第1切断位置の候補Cp5が設定されている候補を既に抽出している。なお、抽出された候補の第1レイアウト情報81において、第1切断位置の候補Cpが設定されていない成果物P間の余白幅Dw2は、第2加工装置50で処理可能な最大幅に予め設定されている。
【0085】
レイアウト情報作成部71は、シートShの先端からシートShの先端に最も近い位置の第1切断位置の候補Cp1までの距離Cr1を、第1加工装置20で処理可能な幅に設定するが、この例では最小先端カット幅Cw1に設定する。第1切断位置の候補Cp3が設定されている成果物P間の余白幅Dw1bは、例えば、図15の第1レイアウト情報81におけるシート後端余白幅Aw2と、第1切断位置の候補Cp3が設定されている成果物P間の余白幅Dw1と、シート先端余白幅Aw1と距離Cr1との差分K2と、の和を中間シートSh1の数Nで割った値が設定される。つまり、下式により算出される。
Dw1b=(Aw2+Dw1+(Aw1-Cr1))/N
なお、図16Aの例では、シートShから2つの中間シートSh1が生成されるので、N=2である。
【0086】
第5レイアウト情報85におけるシート先端余白幅Aw1bは、例えば、距離Cr1と、成果物P間の余白幅Dw1bの半値との和により算出される。つまり下式により設定される。
Aw1b=Cr1+(Dw1b/2)
【0087】
第5レイアウト情報85におけるシート後端余白幅Aw2bは、図15におけるシート後端余白幅Aw2から、シート先端余白幅Aw1bと図15におけるシート先端余白幅Aw1との差K3と、成果物P間の余白幅Dw1bと図15における成果物P間の余白幅Dw1との差K4を差し引くことにより算出される。つまり下式により設定される。
Aw2b=Aw2-(Aw1b-Aw1)-(Dw1b-Dw1)
【0088】
図16Aに示す第5レイアウト情報85は、図15に示す変更前の第1レイアウト情報81と比べて、シートShの中央の第1切断位置の候補Cp3の位置およびシートShに対する成果物Pの位置も変化している。このように第5レイアウト情報を新たに作成し、作成された第5レイアウト情報を基に第1加工装置20がシートShを設定された第1切断位置の候補Cp1、Cp3で裁断すると、図16Bに示すように、2つの中間シートSh1a、Sh1bが生成される。
【0089】
中間シートSh1aのシート先端余白幅Aw3aと中間シートSh1bのシート先端余白幅Aw3bとは同じ長さであり、中間シートSh1aのシート後端余白幅Aw4aと中間シートSh1bのシート後端余白幅Aw4bとは同じ長さである。また、中間シートSh1aの成果物P間の余白幅Dw3aと中間シートSh1bの成果物P間の余白幅Dw3bとは、共に、図16AにおけるシートShの成果物P間の余白幅Dw2と等しい。したがって、中間シートSh1aと中間シートSh1bにおいて、それぞれの成果物Pのレイアウト配置は同じであるので、第2加工装置50において、中間シートSh1aと中間シートSh1bとを回転刃50bの第1方向の調整をすることなく、連続して加工することができる。
【0090】
なお、新たに作成した第5レイアウトに基づいて、ステップS2及びS3を実施してもよい。すなわち、新たに作成した第5レイアウトに基づいて、加工位置探索部73が再び、切断位置候補探索部73aが第1レイアウト情報81において第1切断位置の候補を探索し、加工位置探索部73の切断位置候補選択部73bが探索された複数の切断位置の候補の中から適切な候補を選択する。
【0091】
ステップS10において、判定部75は、ステップS4と同様に、新たな第5レイアウト情報85及び、第5レイアウト情報85の第1切断位置の候補Cp1、Cp3で切断された第6レイアウト情報が、実施可能であるか否かを判定する。ここで、第6レイアウト情報とは、第5レイアウト情報85で設定された第1切断位置の候補Cp、Cp3でシートShが切断されることで発生する中間シートSh1に配置された成果物Pの位置に関する情報である。
【0092】
判定部75が新たな第5レイアウト情報85及び第6レイアウト情報による処理は実施可能であると判定すると(ステップS10のYes)、ステップS5において、加工ジョブ生成部77は新たに作成した第5レイアウト情報85及び第6レイアウト情報を採用して加工ジョブを生成する。
【0093】
判定部75が新たな第5レイアウト情報85及び第6レイアウト情報による処理は実施不可能であると判定した場合(ステップS10のNo)、及び、ステップS8において第5レイアウト情報85を作成できなかった場合、ステップS11に進む。
【0094】
ステップS11において、切断位置候補選択部73bは、図17に示すように以下の選択条件2を満たす場合、第1切断位置の候補Cpの位置を調整する。
第7条件:シート先端余白幅Aw1内に第1切断位置の候補が2つ(Cp1、Cp6)ある場合、成果物Pに近い方の第1切断位置の候補Cp1の位置を先端側へ変更する。この場合、第1方向における第1切断位置の候補Cp1の位置からシートShの先端までのサイズは、Sz3dである。変更後のCp1の位置をCp1aとした場合、第1方向における第1切断位置の候補Cp1aの位置からシートShの先端までのサイズはSz3daとなる。このサイズSz3daは、第1加工装置20の排出可能な最大排出サイズ未満である。最大排出サイズは、例えば、190mmである。
第8条件:シート後端余白幅Aw2内に第1切断位置の候補が2つ(Cp5、Cp7)ある場合、成果物Pに近い方の第1切断位置の候補Cp5の位置を後端側へ変更する。この場合、第1方向における第1切断位置の候補Cp5の位置からシートShの後端までのサイズはSz3eである。変更後のCp5の位置をCp5aとした場合、第1方向における第1切断位置の候補Cp5aの位置からシートShの後端までのサイズはSz3eaとなる。このサイズSz3eaは、第1加工装置20の排出可能な最大排出サイズ未満である。このとき、第1切断位置の候補Cp1aと成果物Pの外形線Paとの距離La、および、第1切断位置の候補Cp5aと成果物Pの外形線Paとの距離Lbは、処理可能幅Cw3の範囲内でなければならず、例えば、4.2~55mmである。
【0095】
第7条件を満たす場合、図18に示すように、新たに、第1切断位置の候補Cp1aが候補Cp1よりも先端側に設定され、第1切断位置の候補Cp6が削除される。また、第8条件を満たす場合、新たに、第1切断位置の候補Cp5aが候補Cp5よりも下端側に設定され第1切断位置の候補Cp7が削除される。このように、第1切断位置の候補Cp1a及びCp5aを設定できた場合(ステップS12のYes)、ステップS13へ進む。
【0096】
ステップS13において、判定部75は、第1レイアウト情報81における新たな第1切断位置の候補Cp1a、Cp5a及び第1切断位置の候補Cp1a、Cp5aで切断された第2レイアウト情報が、実施可能であるか否かを判定する。
【0097】
判定部75が新たな第1切断位置の候補による処理は実施可能であると判定すると(ステップS13のYes)、ステップS5において、加工ジョブ生成部77は新たに設定した第1切断位置の候補Cp1a及びCp5aを採用して加工ジョブを生成する。
【0098】
判定部75が新たな第1切断位置の候補による処理は実施不可能であると判定した場合(ステップS13のNo)、または、ステップS11において第1切断位置の候補Cp1a及びCp5aを設定できなかった場合(ステップS12のNo)、ステップS2で探索された候補のうち第1切断位置の候補の数が最も少ない候補を選択し、加工ジョブを生成して終了する。
【0099】
このように、実施形態の加工ジョブ生成装置70は、少なくとも1つの第1切断位置の候補Cpを探索し、第1切断位置の候補Cpの中から、第1加工装置20が排出可能な、第1方向におけるシートShの外形線と成果物Pの外形線Paとの間の余白領域Ar1、Ar2のシート先端余白幅Aw1及びシート後端余白幅Aw2の最大サイズと、第2加工装置50の搬送可能な、第1方向における中間シートSh1の最大サイズおよび最小サイズと、に基づいて、第1加工装置20及び第2加工装置50が加工可能であって、第1切断位置の数が少ない候補を選択した第1切断位置で加工を行う、加工ジョブを生成する。
【0100】
第1加工装置20においてシートShを停止させて切断する切断回数を少なくすることで、シート加工システム1全体の加工に要する時間を短縮できるとともに、シートShを切断する第1加工装置20の回転刃20aaの摩耗を抑えることができる。
【0101】
また、加工ジョブ生成装置70は、第1加工装置20においてシートShを複数の中間シートSh1に分割する場合、与えられた、シートShに配置された成果物Pの位置に関する情報である第1レイアウト情報81と、第2加工装置50の搬送可能な中間シートSh1の最大サイズおよび最小サイズと、第2加工装置50が加工可能な中間シートSh1の余白領域Ar3、Ar4の第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、第2加工装置50が加工可能な1つの中間シートSh1に配置され、隣り合う位置に配置された成果物P間の余白領域Ar5の第1方向の最大サイズおよび最小サイズと、成果物Pのサイズと、を基に、新たな第5レイアウト情報85を作成し、新たな第5レイアウト情報85に基づいて少なくとも1つの前記第1切断位置の候補を探索して、加工ジョブを生成する。
【0102】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施形態における要素の組合せや順序の変化は、本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【0103】
上述した実施の形態において、レイアウト情報作成部71は、例えば、図12に示すように、シートShを1つの切断線で裁断する場合、図16Bに示すように、第1切断位置の候補Cp3に対して成果物Pの配置が線対称になるように成果物Pの配置を変更して新たなレイアウト情報を作成してもよい。
【0104】
なお、前記様々な実施形態および変形例のうちの任意の実施形態あるいは変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明に係る加工ジョブ生成装置、シート加工システム及び加工ジョブ生成プログラムは、シートを切断して成果物を得る装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 シート加工システム
8 印刷装置
10 給紙装置
20 第1加工装置
20a 裁断機構
20aa 回転刃
21 先端検出センサ
30 クロスコンベア装置
40 挿入ユニット
50 第2加工装置
50a 刃
50b 回転刃
60 コンベアスタッカ装置
70 加工ジョブ生成装置
71 レイアウト情報作成部
73 加工位置探索部
73a 切断位置候補探索部
73b 切断位置候補選択部
75 判定部
77 加工ジョブ生成部
79 記憶部
81 第1レイアウト情報
82 第2レイアウト情報
83 第3レイアウト情報
85 第5レイアウト情報
Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5 余白領域
Aw1 シート先端余白幅
Aw2 シート後端余白幅
Aw3 シート先端余白幅
Aw4 シート後端余白幅
Cp 第1切断位置の候補
Cw1 最小先端カット幅
Cw2 最小後端カット幅
Cw3 処理可能幅
Dw1 余白幅
Dw2 余白幅
Dw3 余白幅
Mw5 処理可能幅
P 成果物
Sh シート
SL 外形線
Sz1 シートサイズ
Sz2 成果物サイズ
Sz3 サイズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18