(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043324
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】錠剤パック及び開封検知システム
(51)【国際特許分類】
B65D 75/34 20060101AFI20240322BHJP
A61J 1/03 20230101ALI20240322BHJP
A61J 7/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B65D75/34
A61J1/03 370
A61J7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148448
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品田 英俊
(72)【発明者】
【氏名】新島 大樹
【テーマコード(参考)】
3E067
4C047
【Fターム(参考)】
3E067AA17
3E067AB82
3E067AC04
3E067BA15A
3E067BA34A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BC04A
3E067CA21
3E067EA29
3E067EB19
3E067EB29
3E067EE33
3E067FA01
3E067FB02
3E067FB04
3E067FC01
3E067GD10
4C047AA25
4C047GG22
4C047GG24
(57)【要約】
【課題】被検体の状態を正確に検出すること。
【解決手段】錠剤パックは、錠剤が個別に包装される複数の個包装部の各々を通過するように配置された導線と、前記導線の各々に並列接続された抵抗器とを有する検出用回路と、前記検出用回路と接続されたICチップと、を備え、前記抵抗器の抵抗値は、前記検出用回路に設けられた複数の抵抗器から1つ以上の抵抗器を選択するときの全ての組み合わせにおける前記選択した1つ以上の抵抗器の抵抗値の和が互いに異なるように設定されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤が個別に包装される複数の個包装部の各々を通過するように配置された導線と、前記導線の各々に並列接続された抵抗器とを有する検出用回路と、
前記検出用回路と接続されたICチップと、を備え、
前記抵抗器の抵抗値は、
前記検出用回路に設けられた複数の抵抗器から1つ以上の抵抗器を選択するときの全ての組み合わせにおける前記選択した1つ以上の抵抗器の抵抗値の和が互いに異なるように設定されている、
錠剤パック。
【請求項2】
請求項1に記載の錠剤パックであって、
前記検出用回路及び前記ICチップに接続され、外部からの磁界によって誘導起電力を励起する無線通信用アンテナを、さらに備えた、
錠剤パック。
【請求項3】
請求項1に記載の錠剤パックであって、
前記抵抗値は、それぞれ異なる素数に設定されている、
錠剤パック。
【請求項4】
請求項1に記載の錠剤パックであって、
前記抵抗値は、それぞれ、任意の第一の値と、前記第一の値よりも大きな第二の値と、前記第一の値と前記第二の値の和よりも大きな第三の値と、前記第一の値と前記第二の値と前記第三の値の和よりも大きな第四の値に基づいて設定される、
錠剤パック。
【請求項5】
請求項1に記載の錠剤パックであって、
前記ICチップに当該錠剤パックの固有情報が記憶された、
錠剤パック。
【請求項6】
請求項1に記載の錠剤パックであって、
前記検出用回路が複数設けられ、
複数の前記検出用回路は、マルチプレクサを介して前記ICチップと接続されている、
錠剤パック。
【請求項7】
錠剤が個別に包装される複数の個包装部の各々を通過するように配置された導線と、前記導線の各々に並列接続された抵抗器とを有する検出用回路と、前記検出用回路と接続されたICチップと、前記検出用回路及び前記ICチップに接続されており外部からの磁界によって誘導起電力を励起する無線通信用アンテナと、を有し、前記抵抗器の抵抗値が前記検出用回路に設けられた複数の抵抗器から1つ以上の抵抗器を選択するときの全ての組み合わせにおける前記選択した1つ以上の抵抗器の抵抗値の和が互いに異なるように設定されている錠剤パックと、
前記無線通信用アンテナに磁界を発生するとともに前記ICチップから前記抵抗値に関するデータを取得し、取得した前記データに基づいて前記錠剤パックにおける前記個包装部の状態を特定する情報処理端末と、を備えた、
開封検知システム。
【請求項8】
請求項7に記載の開封検知システムであって、
前記錠剤パックにおいて、前記抵抗値は、それぞれ異なる素数に設定されている、
開封検知システム。
【請求項9】
請求項7に記載の開封検知システムであって、
前記抵抗値は、それぞれ、任意の第一の値と、前記第一の値よりも大きな第二の値と、前記第一の値と前記第二の値の和よりも大きな第三の値と、前記第一の値と前記第二の値と前記第三の値の和よりも大きな第四の値に基づいて設定される、
開封検知システム。
【請求項10】
請求項7に記載の開封検知システムであって、
前記ICチップに当該錠剤パックの固有情報が記憶された、
開封検知システム。
【請求項11】
請求項7に記載の開封検知システムであって、
前記検出用回路が複数設けられ、
複数の前記検出用回路は、マルチプレクサを介して前記ICチップと接続されている、
開封検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤パック及び開封検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、薬剤などの錠剤用のブリスター包装である開封検出シートにおいて、錠剤が収容される個包装部が開封されたか否かを検出可能とする開封検出システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようなシステムでは、錠剤を包装する個包装部のうち開封された箇所の数を検出することができても、開封された位置まで検出することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、錠剤パックにおいて、開封された個包装部の位置を正確に検知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、錠剤が個別に包装される複数の個包装部の各々を通過するように配置された導線と、前記導線の各々に並列接続された抵抗器とを有する検出用回路と、前記検出用回路と接続されたICチップと、を備え、前記抵抗器の抵抗値は、前記検出用回路に設けられた複数の抵抗器から1つ以上の抵抗器を選択するときの全ての組み合わせにおける前記選択した1つ以上の抵抗器の抵抗値の和が互いに異なるように設定されている。
【発明の効果】
【0007】
本態様によれば、抵抗器の抵抗値は、回路に設けられた複数の抵抗器から1つ以上の抵抗器を選択するときの全ての組み合わせにおける、選択した1つ以上の抵抗器の抵抗値の和が互いに異なるように設定されているため、選択した抵抗器の抵抗値は、他の各抵抗器の抵抗値、及び他のいずれの抵抗器同士の抵抗値の和とも重複することがなく、錠剤パックにおいて、開封された個包装部の位置を正確に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る開封検知システムを説明する模式図である。
【
図2】
図2は、錠剤パックの一例を説明する平面図である。
【
図3】
図3は、抵抗器の設定例2を説明するための図である。
【
図4】
図4は、錠剤パックに設けられるICチップを説明する構成図である。
【
図5】
図5は、情報処理端末の一例を説明する構成図である。
【
図6】
図6は、情報処理装置の一例を説明する構成図である。
【
図7】
図7は、情報処理装置の記憶部に記憶される情報の一例を説明する図である。
【
図8】
図8は、開封検知システムにおいて実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、変形例として示す錠剤パックの外観を説明する模式図である。
【
図10】
図10は、変形例として示す錠剤パックを説明する平面図である。
【
図11】
図11は、変形例として示す錠剤パックに設けられるICチップを説明する構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[開封検知システム]
以下、本発明の実施形態に係る開封検知システム1について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る開封検知システム1を説明する模式図である。
【0011】
図1に示される開封検知システム1は、開封状態の検知対象である錠剤パック200と、錠剤パック200と非接触通信が可能な情報処理端末2とを備え、錠剤パック200において開封された個包装部211(211a~211j)(
図2参照)の位置を検知するシステムである。
【0012】
本実施形態に係る開封検知システム1は、さらに、情報処理端末2とネットワークNWを介して通信可能な情報処理装置3を有する。
【0013】
<錠剤パックの構成>
図2は、錠剤パック200の一例を説明する平面図である。
【0014】
本実施形態において、錠剤には、薬剤、サプリメント、機能性食品等が含まれる。錠剤パック200は、シート基材210を有し、シート基材210に、錠剤が封入される個包装部211(211a,211b,211c,211d,211e,211f,211g,211h,211i,211j)が形成された、いわゆるブリスタパックである。
【0015】
シート基材210には、複数の個包装部211と、個包装部211に対応する複数の抵抗器241が配置されている。個包装部211a,211b,211c,211d,211e,211f,211g,211h,211i,211jのそれぞれに隣接する位置には、抵抗器241(241a,241b,241c,241d,241e,241f,241g,241h,241i,241j)が配置されている。
【0016】
また、個包装部211a,211b,211c,211d,211e,211f,211g,211h,211i,211jのそれぞれを通過するように導線251(251a,251b,251c,251d,251e,251f,251g,251h,251i,251j)が配置されている。
【0017】
抵抗器241と導線251とは、並列接続されてポケット261(261a,261b,261c,261d,261e,261f,261g、261h、261i、261j)を形成している。
【0018】
複数のポケット261のそれぞれは、互いに直列接続されて、さらにベース抵抗器241kと接続されている。ベース抵抗器241kの先は、グランドに接続されている。すなわち、複数のポケット261のそれぞれと、ベース抵抗器241kとが直列接続されて、検出用回路270を構成している。
【0019】
ポケット261においては、抵抗器241よりも導線251の方が低抵抗であるため、導線251が破断していない状態では、抵抗器241よりも導線251に優先的に電流が流れるようになっている。一方、個包装部211が開封されて、ポケット261における導線251が破断すると、抵抗器241に電流が流れるようになっている。
【0020】
検出用回路270を上記のように構成することにより、複数のポケット261のそれぞれは、互いに直列接続されるため、後述するICチップ231への信号線を1本とすることができる。したがって、個包装毎に開封を検知する検出回路を設置する場合に比べて、配線の本数を削減することができる。
【0021】
シート基材210の一部には、ループアンテナ221が形成されている。また、ループアンテナ221には、ICチップ231が接続されている。検出用回路270は、ICチップ231に接続されている。ループアンテナ221は、外部(本実施形態においては、情報処理端末2)からの磁界によって誘導起電力を励起する。
【0022】
ループアンテナ221及びICチップ231は、非接触通信によって情報を送受するRFID(Radio Frequency Identification)技術に対応したものである。
【0023】
本実施形態においては、ループアンテナ221は、3MHzから30MHzのHF帯、特に、13.56MHzの特定周波数帯域を利用する通信距離10cm程度の近距離無線通信(Near Field Communication:NFC)に対応した無線通信用アンテナである。
【0024】
ループアンテナ221は、銅やアルミニウム等の金属膜、導電性インキ、又は金属線により形成することができる。ループアンテナ221は、異方導電性ペースト又は導電性フィルムを用いた焼付け接合によりICチップ231に電気的及び物理的に接続されている。
【0025】
ICチップ231は、ループアンテナ221と電気的に接続されるとともに、ループアンテナ221を介してシート基材210の表面に接合されている。
【0026】
錠剤パック200では、リーダ/ライタ(本実施形態では、情報処理端末2)が近づけられた際に、リーダ/ライタによる誘導起電力によって、ループアンテナ221に生じる電流を電流源として、抵抗器241a~241jに電流が流れる。
【0027】
錠剤パック200では、例えば、個包装部211a~211jのいずれかから錠剤が取り出されると、個包装部211が押し潰されるので、当該個包装部211に配置された導線251が変形或いは破断する。これにより、導線251がスイッチオフとして機能し、電流は、抵抗器241に流れる。
【0028】
したがって、個包装部211a~211jから錠剤が取り出されたことを、ICチップ231において、検出用回路270の抵抗値変化に基づく電圧値の変化として検出することができる。
【0029】
また、錠剤パック200は、情報処理端末2との間における近距離無線通信により、錠剤パックID及び個包装部211a~211jの開封による検出信号を情報処理端末2に送信することができる。
【0030】
<抵抗器>
本実施形態において、抵抗器241a~241jの抵抗値のそれぞれは、互いに異なる値である。さらに、複数の抵抗器241a~241jから1つ以上の抵抗器241を選択するときの全ての組み合わせにおいて、選択された抵抗器241の抵抗値の和も、互いに異なるような値に設定されている。
【0031】
一例として、錠剤パック200に開封検知対象である個包装部211がn個あるとき、個包装部211のそれぞれに対応する抵抗器241の抵抗値は、それぞれ、R1,R2,R3,・・・,Rnと表すことができる。
【0032】
本実施形態においては、R1≠R2,R1≠R3,・・・,R1≠Rn、R2≠R3,R2≠R4,・・・,R2≠Rn、Rn-1≠Rnのように、各抵抗器241の抵抗値のそれぞれが互いに同一の値にならない。
【0033】
また、R1+R2≠R3,・・・,R1+R2≠Rn等のように、各抵抗器241の何れの組み合わせの和も、個々の抵抗器241の抵抗値と一致しない。さらには、複数の抵抗器241から選択された1個以上の抵抗器の抵抗値の和が、複数の抵抗器241から選択されなかった抵抗器から選ばれた1個以上の抵抗器の抵抗値の和とも一致しないように、各抵抗器241の抵抗値が設定されている。
【0034】
(抵抗値の設定例1)
互いに異なる値であって、複数の抵抗器241a~241jから1つ以上の抵抗器241を選択するときの全ての組み合わせにおいて、選択された抵抗器241の抵抗値の和も、互いに異なるような値の一例として、素数がある。すなわち、本実施形態においては、素数を各抵抗器241の抵抗値として設定することができる。
【0035】
具体的に、異なる10個の素数を抵抗器241a~241jの抵抗値に設定する場合について説明する。一例として、10000未満(4桁)の素数であって、大きい方から10個の素数、9973,9967,9941,9907,9839,9719,9421,8839,7681,5437を適用する。
【0036】
上記素数に基づいて、それぞれ、99.73kΩ,99.67kΩ,99.41kΩ,99.07kΩ,98.39kΩ,97.19kΩ,94.21kΩ,88.39kΩ,76.81kΩ,54.37kΩを抵抗値とする抵抗器を設計し、抵抗器241a~241jとして使用する。なお、ベース抵抗器241kには、1kΩを設定する。
【0037】
そこで、
図1に示す錠剤パック200において、抵抗値が99.73kΩの抵抗器241aを1番の個包装部211aに対応付けて配置し、抵抗値が99.67kΩの抵抗器241bを2番の個包装部211bに対応付けて配置する。このようにして、抵抗器241jまでの抵抗値を設定し、1番から10番までの番号を抵抗器241a~241jに対応付ける。
【0038】
これにより、例えば、個包装部211bが開封されると、ポケット261bにおいて、導電251bが断線することにより抵抗器241aに通電される。各ポケット261は、直列接続されているので、検出用回路270全体の抵抗値が抵抗器241bの抵抗値である、99.67kΩだけ上昇し、その結果として、検出用回路270における電圧値が変化する。したがって、2番の個包装部211bが開封されたことを検知することができる。
【0039】
このように、互いに異なる10個の素数を抵抗値とする抵抗器241a~241jを使用することにより、検出用回路270の電圧値を検出することによって、開封された抵抗器又は開封された抵抗器の組み合わせをユニークに特定することができる。
【0040】
したがって、錠剤パック200毎に、抵抗器241a~241jのそれぞれと、抵抗器241a~241jが配置された位置とを予め紐付けしておくことにより、開封された個包装部211の位置を検知することができる。
【0041】
本実施形態においては、複数の個包装部211のうち幾つかが開封されたことは、開封された個包装部211に対応する抵抗器241の抵抗値の和に基づく電圧値として検出される。
【0042】
このため、抵抗器241の抵抗値は、互いに差分が大きくなるような素数を設定することが好ましい。隣接する素数を使用するよりも、値の離れた素数を選択することが好ましい。抵抗値差を検出し易くするためには、例えば、抵抗器241a~241jの抵抗値として、それぞれ桁数の大きな素数を選択することが好ましい。
【0043】
(抵抗値の設定例2)
抵抗値の決め方の別の例として、次の値を使用することができる。
【0044】
まず、任意の第一の値を決定し、第一の値よりも大きな第二の値を決定し、第一の値と第二の値の和よりも大きな第三の値を決定し、第一の値と第二の値と第三の値の和よりも大きな第四の値を決定する。
【0045】
このような関係を満たす第一の値、第二の値、第三の値及び第四の値は、互いに異なる値であって、複数の抵抗器241から1つ以上の抵抗器241を選択するときの全ての組み合わせにおいて、選択された抵抗器241の抵抗値の和も互いに異なる。
【0046】
さらに、第一の値から第四の値と同様の要領で、第五の値、第六の値、・・・のようにして、錠剤パック200に備えられる抵抗器の総数分の値を決定することができる。
【0047】
設定例2は、E48系列、E96系列、E192系列等の抵抗値のE系列に基づいて設定することができる。
【0048】
図3は、抵抗器の設定例2を説明するための図であり、E192系列の抵抗値表である。
【0049】
図3に示すE192系列に基づけば、例えば、第一の値を10.0と決定した場合、第二の値を、第一の値(10.0)よりも大きな10.2と決定することができる。
【0050】
続いて、第一の値(10.0)と第二の値(10.2)の和である20.2よりも大きな第三の値を20.5に決定することができる。
【0051】
さらに、第一の値(10.0)と第二の値(10.3)と第三の値(20.5)の和である40.7よりも大きな第四の値を41.2に決定することができる。
【0052】
以上のことから、第一の値、第二の値、第三の値、及び第四の値に基づいて、抵抗器の抵抗値を0.100kΩ、0.102kΩ、0.205kΩ、0.412kΩ、・・・のように決定することができる。
【0053】
このように、各抵抗器の抵抗値、或いは、開封された抵抗器の抵抗値の組み合わせの値がユニークになる値を設定することにより、検出用回路270の電圧値を検出することによって、開封された抵抗器又は開封された抵抗器の組み合わせを特定することができる。
【0054】
したがって、錠剤パック200毎に、抵抗器241a~241jのそれぞれと、抵抗器241a~241jが配置された位置とを予め紐付けしておくことにより、開封された個包装部211の位置を検知することができる。
【0055】
<ICチップ>
次に、ICチップ231の一例について説明する。
【0056】
図4は、錠剤パック200に設けられるICチップ231を説明する構成図である。
【0057】
図4に示すように、ICチップ231は、近距離無線通信インタフェース(以下、NFC I/Fと記す)232、定電流源回路233、AD変換回路234、バッファ回路235及び処理部236を備える。また、ICチップ231は、ポケット261a~261jを有する検出用回路270と接続されている。
【0058】
NFC I/F232は、情報処理端末2からの磁界によってループアンテナ221に生じた誘導起電力を入力する、又は情報処理端末2と通信するための信号変換等を行う。
【0059】
定電流源回路233は、ループアンテナ221において誘導起電力により生じた電流を定電流に変換する。
【0060】
AD変換回路234は、検出用回路270において検出された電圧値に基づくアナログ信号をデジタル信号に変換する回路である。本実施形態においては、10個の抵抗器241a~241jを備えた検出用回路270の抵抗値変化を検出できるように、高分解能のAD変換回路が使用される。
【0061】
一例として、抵抗値の設定例1に示すように、素数を用いた場合、抵抗値としてそれぞれ、99.73kΩ,99.67kΩ,99.41kΩ,99.07kΩ,98.39kΩ,97.19kΩ,94.21kΩ,88.39kΩ,76.81kΩ,54.37kΩを有する抵抗器を設計し、これらを抵抗器241a~241jとして使用した場合には、検出用回路270から送られた電圧値に基づくアナログ信号を、少なくとも1024通りのデジタル信号として検出することができれば、開封状態に応じて異なる電位差の値を区別することが可能となる。
【0062】
すなわち、最小電位差0.15mVを検知できることが要求される。このため、本実施形態においては、分解能が24bitのAD変換回路234を使用する。
【0063】
また、抵抗値を決める法則としては、1~10000未満の素数を昇順に1,2,4,8,16,32,64,128,256,512番目の値を使用してもよい。このように設定した場合には、ベース抵抗器241kの抵抗値として1kΩを使用する。
【0064】
バッファ回路235は、検出用回路270からの電圧値に基づくアナログ信号をAD変換回路234に入力する際に、ノイズを除去するとともに、信号を減衰させないための回路である。
【0065】
処理部236は、ICチップ231において実行される各種データを記憶するROM(Read Only Memory)や、後述するコントロールロジック(Control Logic)のワークエリアとしてのRAM(Random Access Memory)を含む。
【0066】
本実施形態において、ROMは、書き換え可能なEEPROMである。RAM,ROMとして、SSD(Solid State Drive)等を用いることができる。
【0067】
本実施形態においては、処理部236におけるROMに、錠剤パック200を識別するための固有情報(以下、錠剤パックIDと記す)が記憶されている。
【0068】
また、処理部236におけるROM(EEPROM)には、錠剤パック200の錠剤パックIDのほか、錠剤パック200に形成された個包装部211の数、錠剤パック200の残薬数等が記憶されている。
【0069】
本実施形態に係る抵抗器241a~241jは、リーダ/ライタ(本実施形態では、情報処理端末2)が近づけられた際に、リーダ/ライタによる誘導起電力によってループアンテナ221に生じる電流を電流源とする。
【0070】
本実施形態では、錠剤パック200は、ループアンテナからの誘導起電力を電流源とする代わりに、各抵抗器241へ定電流を流すための電圧源としてバッテリを備えていてもよい。
【0071】
[情報処理端末]
続いて、本実施形態における情報処理端末2について説明する。
【0072】
図5は、本実施形態に係る情報処理端末2の一例を説明する構成図である。
【0073】
図5に示すように、情報処理端末2は、ネットワークインタフェース21(以下、NW I/F21と記す)と、近距離無線通信インタフェース22(以下、NFC I/F22と記す)とを有する。
【0074】
NW I/F21は、ネットワークNWを介して、情報処理端末2と情報処理装置3との間で情報の送受を行う。また、NFC I/F22は、近距離無線通信により錠剤パック200からの検出信号を取得する取得部として機能する。
【0075】
情報処理端末2は、タッチパネル付きディスプレイ23を有する。タッチパネル付きディスプレイ23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)であって、LCDを起動するLCDドライブによって、錠剤パック200の開封状態や、錠剤パック200から検出信号を取得するための操作手順の表示を行う。また、錠剤パック200の開封状態を表示するための処理を実行するための使用者からの操作入力を受け付ける。
【0076】
情報処理端末2は、音声入出力部24を有する。音声入出力部24は、図示しないが、デジタルデータを音声に変換する回路、スピーカ、及びマイクを有する。
【0077】
情報処理端末2は、更に、処理部25と、記憶部26とを有する。処理部25は、CPUによって構成されている。記憶部26は、各種制御プログラムを記憶するROMや、後述するCPUのワークエリアとしてのRAMを含む。記憶部26としては、SSD等を用いることができる。
【0078】
処理部25は、CPUの機能構成として、信号取得モジュール25Aと、開封検知モジュール25Bとを備える。
【0079】
信号取得モジュール25Aは、NFC I/F22による錠剤パック200からの錠剤パックIDの取得を実行する。また、信号取得モジュール25Aは、錠剤パック200からの検出信号の読み取りを実行する。
【0080】
開封検知モジュール25Bは、錠剤パック200から取得した錠剤パックIDに基づいて、錠剤パックIDに紐付けられた錠剤パック200に関する個包装部211や備えられた抵抗器241の抵抗値等の情報を情報処理装置3から取得し、錠剤パック200から取得された検出信号に基づいて、開封された個包装部211の位置を検知する。
【0081】
本実施形態において、これらモジュールは、CPUによって実現される機能構成であるが、各モジュールの機能を実行する物理的構成であってもよい。
【0082】
また、処理部25は、記憶部26に保存された各種制御プログラムに従って、NW I/F21、NFC I/F22、タッチパネル付きディスプレイ23、音声入出力部24の各部を制御する。
【0083】
記憶部26には、情報処理装置3から送信された各種情報が記憶される。情報処理装置3から送信される情報としては、錠剤パック200の錠剤パックIDのほか、錠剤パックIDと、抵抗器241の数、抵抗器241それぞれの抵抗値、抵抗器241が配置された位置とが紐付けされて記憶されている。また、錠剤パック200の残薬数等が記憶されている。
【0084】
また、記憶部26には、処理部25がNW I/F21、NFC I/F22、タッチパネル付きディスプレイ23、音声入出力部24の各部を制御するための各種制御プログラムも保存されている。
【0085】
NW I/F21、NFC I/F22、タッチパネル付きディスプレイ23、音声入出力部24、処理部25及び記憶部26は、内部バス27によって互いに接続されている。
【0086】
以上の構成を有することにより、情報処理端末2は、錠剤パック200との間で近距離無線通信に準拠する非接触通信を行って、錠剤パック200から検出電圧値に基づく検出信号を取得することができる。また、情報処理端末2は、NW I/F21を介して、情報処理装置3から錠剤パック200に関する情報を取得することができる。
【0087】
[情報処理装置]
次に、本実施形態における情報処理装置3について説明する。
【0088】
図6は、本実施形態に係る情報処理装置3を説明する構成図である。
【0089】
図6に示すように、情報処理装置3は、ネットワークNWに無線接続するためのネットワークインタフェース31(以下、NW I/F31と記す)を有する。これにより、情報処理装置3は、ネットワークNWを介して情報処理端末2との間で無線通信を行う、いわゆるサーバとして機能する。
【0090】
情報処理装置3は、管理者からの入力を受け付ける入力部32と、表示部33と、処理部34とを有する。
【0091】
処理部34は、錠剤パック200の錠剤パックIDと、検出用回路270による検出信号とをNW I/F31を介して情報処理端末2から取得する。
【0092】
また、処理部34は、錠剤パック200において個包装部211の開封又は未開封を判定する判定アルゴリズムを情報処理端末2に送信する。
【0093】
情報処理装置3は、記憶部35を有する。記憶部35は、各種制御プログラムを記憶するROMやCPUのワークエリアとしてのRAMを含む。記憶部35としては、HDD(Hard Disk Drive)或いはSSD等を用いることができる。
【0094】
NW I/F31、入力部32、表示部33、処理部34及び記憶部35は、内部バス36によって互いに接続されている。
【0095】
記憶部35には、錠剤パック200の錠剤パックIDのほか、錠剤パックIDと、錠剤パック200に設けられた抵抗器241の数、抵抗器241それぞれの抵抗値、抵抗器241が配置された位置とが紐付けされて記憶されている。また、錠剤パック200の残薬数等も記憶されている。
【0096】
図7は、記憶部35に記憶される情報の一例を説明する図である。
【0097】
抵抗器241aの抵抗値をR1、抵抗器241bの抵抗値をR2、抵抗器241cの抵抗値をR3、抵抗器241dの抵抗値をR4、抵抗器241eの抵抗値をR5、抵抗器241fの抵抗値をR6、抵抗器241gの抵抗値をR7、抵抗器241hの抵抗値をR8、抵抗器241iの抵抗値をR9、抵抗器241jの抵抗値をR10とする(ただし、R1~R10はそれぞれ互いに異なる抵抗値を有する)。
【0098】
このとき、検出用回路270においては、通電している抵抗器241に応じた電圧値が検出される。すなわち、通電している抵抗器241に対応して、検出用回路270において検出される電圧値もまた一意に決定される。
【0099】
個包装部211aが開封された場合には、抵抗器241aが電流経路となり、
図7に示すように、検出用回路270における検出電圧値は、V
11となる。また、個包装部211aと個包装部211bが開封された場合には、抵抗器241a,241bが電流経路となり、検出用回路270における検出電圧値は、V
12となる。
【0100】
また、個包装部211cが開封された場合には、抵抗器241cが電流経路となり、検出用回路270における検出電圧値は、V31となる。
【0101】
したがって、錠剤パック200毎に、複数の抵抗器241のそれぞれと、抵抗器241が配置された位置(例えば、
図1における1~10の番号に対応する位置)とを予め紐付けておくとともに、複数の抵抗器241の組み合わせと検出電圧値との対応関係を検出値テーブルとして予め記憶しておくことで、検出電圧値から開封された個包装部211の位置を検知することができる。
【0102】
例えば、検出電圧値がV
33であった場合には、抵抗器241a,241c,241dが電流経路となっており、個包装部211a,211c,211d(
図1における1番、3番、4番)が開封されたことを検知できる。
【0103】
錠剤パック200は、内包される錠剤に応じて個包装部211の形状が異なる。また、錠剤に応じて個包装部211の数が異なる場合もある。このため、本実施形態では、
図7に示した検出値テーブルが錠剤パック200毎に、すなわち、錠剤パック200の錠剤パックIDに紐付けられて用意されており、記憶部35に記憶されている。
【0104】
記憶部35に記憶された検出値テーブルは、必要に応じて、情報処理端末2に送信され、情報処理端末2の記憶部26に記憶される。
【0105】
以上の構成を有することにより、情報処理装置3は、錠剤パック200に備えられた複数の個包装部211のうち、開封された個包装部211の位置を検知することができる。また、開封された個包装部211の位置を検知するために必要となる検出値テーブル等の情報を、ネットワークNWを介して、情報処理端末2に送信することができる。また、情報処理装置3の記憶部35には、錠剤パック200における開封検知結果(残薬数、開封位置)等を保存することができる。
【0106】
[開封検知処理]
続いて、本実施形態に係る開封検知システム1における錠剤パック200の開封を検出する処理について説明する。
【0107】
図8は、開封検知システム1において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【0108】
使用者は、情報処理端末2にインストールされている錠剤パック200を読み取るためのプログラムを立ち上げて、情報処理端末2を錠剤パック200にかざして、読み取りを開始する。
【0109】
ステップS1において、情報処理端末2は、錠剤パック200に錠剤パックIDを要求する。
【0110】
ステップS2において、錠剤パック200は、情報処理端末2に錠剤パックIDを通知する。
【0111】
ステップS3において、情報処理端末2は、受信した錠剤パックIDを情報処理装置3に送信する。
【0112】
ステップS4において、情報処理装置3は、錠剤パックIDを受信し、受信した錠剤パックIDと記憶部35に保存された錠剤パックIDとを照合できた場合には、情報処理装置3は、記憶部35に保存されている錠剤パックIDに紐付けられた、錠剤パック200に設けられた抵抗器241a~241jと、これらの抵抗器241の各抵抗値の組み合わせに対する検出電圧値の検出値テーブル(一例として
図7)を情報処理端末2に送信する。
【0113】
ステップS5において、情報処理端末2は、検出用回路270の電圧値の検出信号を要求する。情報処理端末2は、信号取得モジュール25Aにより、錠剤パック200からの検出信号の読み取りを実行する。
【0114】
ステップS6において、錠剤パック200は、検出信号を情報処理端末2に送信する。
【0115】
ステップS7において、情報処理端末2は、錠剤パック200から取得した検出信号と情報処理装置3から取得した検出値テーブルとに基づいて、開封位置を検知する。
【0116】
ステップS8において、検知結果を表示するとともに、検知結果を情報処理装置3に送信する。
【0117】
ステップS9において、情報処理装置3は、情報処理端末2から送られた検知結果を保存する。これにより、情報処理装置3は、開封位置の検知結果に基づいて、服用頻度の判定を行って、使用者に通知したり、錠剤や服用に関する情報を使用者に提供したりすることができる。
【0118】
一例として、情報処理端末2には、当該情報処理端末2の使用者が服用する薬が封入された錠剤パックの錠剤パックIDや、錠剤パックの個包装部の数等の情報などを含む服薬管理情報を記憶することができる。また、服薬管理情報には、服用日、時間等の情報を含めることができる。
【0119】
情報処理端末2は、開封位置の検知結果と、上述した服薬管理情報とを比較することで、薬が正しい量で、正しいタイミングで服用されたか否かを判定することもできる。
【0120】
正しく服用されていないと判定された場合には、情報処理端末2は、服用が正しくない旨の情報等を表示してもよい。
【0121】
上述した一例としての処理は、情報処理装置3において実行されて、判定結果が情報処理端末2に送信されるようになっていてもよい。
【0122】
[錠剤パックの変形例]
図9は、変形例として示す錠剤パック400の外観を説明する模式図であり、
図10は、変形例として示す錠剤パック400の一例を説明する平面図である。
【0123】
錠剤パック400は、シート基材310を有し、シート基材310に個包装部411(411a,411b,411c,411d,411e,411f,411g,411h,411i,411j,411k,411l,411m,411n,411o,411p)が形成された、ブリスタパックである。
【0124】
錠剤パック400は、情報処理端末2と非接触通信可能なループアンテナ321と、ループアンテナ321に接続されたICチップ330とを備える。
【0125】
図10に示されるように、錠剤パック400では、4つ個包装部411から構成された一つのグループ毎に検出用回路470が形成されている。
【0126】
検出用回路470の一つ検出用回路470Aは、個包装部411a,411b,411c,411dのそれぞれに隣接する位置に配置された抵抗器441(441a,441b,441c,441d)を有する。
【0127】
また、個包装部411a,411b,411c,411dのそれぞれを通過するように導線451(451a,451b,451c,451d)を有する。
【0128】
抵抗器441と導線451とは、並列接続されてポケット461(461a,461b,461c,461d)を形成している。
【0129】
ポケット461a,461b,461c,461dのそれぞれは、互いに直列接続されて、さらにベース抵抗器441zと接続されている。ベース抵抗器441zの先は、グランドに接続されている。複数のポケット461のそれぞれと、ベース抵抗器441zとは直列接続されて、検出用回路470Aを構成している。
【0130】
抵抗器441(441a,441b,441c,441d)における抵抗値のそれぞれは、検出用回路470Aを構成する複数の抵抗器441a~441dにおける1つ以上の抵抗器441を選択するときの全ての組み合わせにおける、選択した1つ以上の抵抗器441の抵抗値の和が互いに異なるように設定されている。このような値としては、素数が適用可能である。
【0131】
抵抗器441(441a,441b,441c,441d)における抵抗値は、例えば、4つの素数に基づいて、それぞれ、99.73kΩ,99.67kΩ,99.41kΩ,99.07kΩに設定することができる。
【0132】
錠剤パック400は、4つ個包装部411から構成されたグループを一つの検出用回路とした、4つの検出用回路470A,470B,470C,470Dを有する。4つの検出用回路470A,470B,470C,470Dには、同一の回路を適用することができる。このため、
図10において、検出用回路470C,470Dの各構成の詳細は、図示を省略している。
【0133】
なお、
図9において、錠剤パック400の個包装部411a~411pには、説明のために、1~16の番号が付されているが、実際の錠剤パック400に、番号は印刷されていなくともよい。
【0134】
図11は、変形例として示す錠剤パック400に設けられるICチップ330を説明する構成図である。
【0135】
図11に示すように、ICチップ330は、NFCインタフェース(NFC I/F)331、定電流源回路332、デマルチプレクサ333、マルチプレクサ334、AD変換回路335及び処理部336を備える。ICチップ330は、検出用回路470A,470B,470C,470Dのそれぞれと接続されている。
【0136】
NFC I/F331は、情報処理端末2からの磁界によってループアンテナ321に生じた誘導起電力を入力する、又は情報処理端末2と通信するための信号変換等を行う。
【0137】
定電流源回路332は、ループアンテナ321において誘導起電力により生じた電流を定電流に変換する。
【0138】
デマルチプレクサ333は、検出用回路470A~470Dのいずれかに定電流源回路332からの定電流を流す。
【0139】
マルチプレクサ334は、検出用回路470A~470Dのうち、デマルチプレクサ333によって選択された検出用回路を選択し、選択された検出用回路からの検出信号をAD変換回路335に送る。
【0140】
AD変換回路335は、デマルチプレクサ333及びマルチプレクサ334によって切り換えられることで、検出用回路470A~470Dのいずれかにおいて検出された電圧値に基づくアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0141】
処理部336は、ICチップ330において実行される各種データを記憶するROMや、コントロールロジック、コントロールロジックのワークエリアとしてのRAMを含む。
【0142】
本変形例においては、16個の個包装部411a~411pにおける抵抗値変化は、4つの抵抗器を備えた4つの検出用回路を切り換えることで、それぞれを区別して検出することができる。
【0143】
このため、検出用回路470Aであれば、4つの抵抗器441a,441b,441c,441dの抵抗値変化による電圧値を検出できる分解能を有するAD変換回路であれば、使用可能である。
【0144】
変形例によれば、同一の検出用回路470を複数用意し、4つの異なる抵抗値を有する抵抗器441及び導線451により構成された4つのポケット461を備えた検出用回路を4つ使用して、デマルチプレクサ333及びマルチプレクサ334のチャンネルに割り当てることにより、ICチップ330に接続されている検出用回路470A~470Dを区別することができる。
【0145】
これにより、個包装部411の数が増加したとしても、抵抗器441の抵抗値の設定が複雑化することを防止できる。また、全ての個包装部411に対応する抵抗値変化による検出信号を受信可能とするための高分解能のAD変換回路を適用しなくても、複数の個包装部411(本変形例においては、16個)全ての個包装部411の開封位置を検知することができる。
【0146】
[その他の実施形態]
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0147】
本実施形態において、「錠剤」とあるのは、カプセル形態も含まれる。
【0148】
本実施形態では、シート基材210が備えるアンテナは、ループアンテナ以外に、ダイポールアンテナであってもよい。また、UHF帯(300MHz~3GHz、特に860MHz~960MHz)に対応しアンテナであってもよい。
【0149】
本実施形態においては、NFC I/F232が情報処理端末2からの磁界によってループアンテナ221に生じた誘導起電力を入力する、又は情報処理端末2と通信するための信号変換等を行う。このほか、電界の作用、又は電波等により、ICチップ231を駆動するための電源を得る方式を適用することもできる。
【0150】
本実施形態において、処理部25及び処理部34は、それぞれ複数のマイクロコンピュータによって構成されていてもよい。
【0151】
記憶部26は、処理部25の動作プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であり、情報処理端末2に対して着脱可能に構成されていてもよい。記憶部35も同様に、情報処理装置3に対して着脱可能に構成されていてもよい。
【0152】
図8に示された処理において、情報処理端末2及び情報処理装置3において実行されるステップは、全て、情報処理端末2において実行されてもよい。また、情報処理装置3が錠剤パック200のリーダ/ライタを備える場合には、情報処理端末2及び情報処理装置3において実行されるステップは、全て、情報処理装置3において実行されてもよい。
【0153】
さらに、情報処理端末2は、少なくともリーダ/ライタの機能と画面表示機能を有しており、錠剤パック200との通信、及び、リーダ/ライタとしての処理以外の処理は、全て、情報処理装置3において実行されてもよい。
【0154】
また、
図8に示されたステップのいくつかは、ネットワークNWに接続された図示しない別の端末或いは別の装置において実行されてもよい。
【0155】
本実施形態において、開封検知システム1における各処理を実行するための各種プログラムは、例えばCD-ROM、半導体メモリ等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【0156】
本実施形態においては、
図7を用いて説明した検出値テーブルには、抵抗器241a~241jと、抵抗器241a~241jから選択された抵抗器に導通したときの検出用回路270において検出される電圧値の全ての組み合わせとが対応付けられていると説明したが、抵抗器241aに導通抵抗値と個包装部211bが開封された場合には、抵抗器241a~241jのそれぞれが電流経路となったときの検出用回路270において検出される電圧値だけが1対1に対応付けられたテーブルであってもよい。
【0157】
例えば、
図7に示した抵抗器241a,241bが電流経路となるときの検出用回路270における検出電圧値V
12は、この場合には、検出値テーブルを受信した情報処理端末2において演算により算出される。
【0158】
これにより、検出値テーブルの情報量を低減させることができ、情報処理装置3から情報処理端末2に送信される検出値テーブルの通信容量を低減させることができる。
【符号の説明】
【0159】
1 開封検知システム
2 情報処理端末
3 情報処理装置
21 ネットワークインタフェース(NW I/F)
22 近距離無線通信インタフェース(NFC I/F)
23 タッチパネル付きディスプレイ
24 音声入出力部
25 処理部
25A 信号取得モジュール
25B 開封検知モジュール
26 記憶部
27 内部バス
31 ネットワークインタフェース(NW I/F)
32 入力部
33 表示部
34 処理部
35 記憶部
36 内部バス
200,400 錠剤パック
210,310 シート基材
211(211a,211b,211c,211d,211e,211f,211g,211h,211i,211j) 個包装部
221,321 ループアンテナ
231,330 ICチップ
232 NFCインタフェース(NFC I/F)
233 定電流源回路
234 AD変換回路
235 バッファ回路
236 処理部
241(241a,241b,241c,241d,241e,241f,241g,241h,241,241j) 抵抗器
241k ベース抵抗器
251(251a,251b,241c,241d,241e,241f,241g,251h,251i,251j) 導線
261(261a,261b,261c,261d,261e,261f,261g,261h,261i,261j) ポケット
270 検出用回路
330 ICチップ
331 NFCインタフェース(NFC I/F)
332 定電流源回路
333,334 マルチプレクサ
335 AD変換回路
336 処理部
411(411a,411b,411c,411d,411e,411f,411g,411h,411i,411j,411k,411l,411m,411n,411o,411p) 個包装部
441(441a,441b,441c,441d) 抵抗器
441z ベース抵抗器
451(451a,451b,451c,451d) 導線
461(461a,461b,461c,461d) ポケット
470(470A,470B,470C,470D) 検出用回路
NW ネットワーク