(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043340
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】建物の外壁構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/76 20060101AFI20240322BHJP
E04B 1/80 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
E04B1/76 400A
E04B1/76 500G
E04B1/80 100L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148469
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹川 拓也
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DB01
2E001DB02
2E001DD01
2E001EA06
2E001FA04
2E001GA29
2E001GA82
2E001HD01
2E001JA22
2E001LA06
2E001NA07
2E001NB05
2E001ND11
2E001ND12
(57)【要約】
【課題】建物の外壁内において、通気性能を確保しつつ、断熱性能を確保することができる建物の外壁構造を得る。
【解決手段】建物10の外壁34における外壁フレーム36では、第1方向から見て縦桟42と重なるように通気層62が設けられており、天井大梁22及び床大梁28の第2方向他方側かつ中間横桟44の第2方向一方側に断熱層64が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物ユニットの建物躯体の一部を構成する天井大梁と、
前記建物躯体の一部を構成すると共に建物高さ方向から見て前記天井大梁と重なるように配置された床大梁と、
前記建物ユニットの外壁における外壁躯体の一部を構成し、前記天井大梁及び前記床大梁の延在方向に延在しかつ前記天井大梁に対して固定された上側横桟と、当該延在方向に延在しかつ前記床大梁に対して固定された下側横桟と、当該上側横桟と当該下側横桟とを建物高さ方向に繋ぐ一対の縦桟と、当該上側横桟よりも建物高さ方向下側かつ当該下側横桟よりも建物高さ方向上側に位置すると共に当該縦桟間に掛け渡された中間横桟と、を備えた外壁フレームと、
前記延在方向から見て前記縦桟と重なるように設けられた通気層と、
前記天井大梁及び前記床大梁の屋外側かつ前記中間横桟の屋内側に設けられた断熱層と、
を有する建物の外壁構造。
【請求項2】
前記上側横桟及び前記下側横桟における前記外壁の厚さ方向の長さは、前記中間横桟の当該厚さ方向の長さよりも長い長さに設定されており、
前記縦桟は、前記上側横桟及び前記下側横桟の屋外側の部分同士を連結している、
請求項1に記載の建物の外壁構造。
【請求項3】
前記外壁躯体は、複数の前記外壁フレームを備えており、
隣接する前記外壁フレームのうち一方の前記外壁フレームの前記上側横桟及び前記下側横桟の前記厚さ方向の長さが他方の前記外壁フレームの前記上側横桟及び前記下側横桟の前記厚さ方向の長さよりも長い長さに設定されている、
請求項2に記載の建物の外壁構造。
【請求項4】
前記天井大梁と前記外壁フレームの建物上方側の部分との間には、当該外壁フレームを支持する上側スペーサが介在しており、
前記床大梁と前記外壁フレームの建物下方側の部分との間には、当該外壁フレームを支持する下側スペーサが介在している、
請求項1に記載の建物の外壁構造。
【請求項5】
前記外壁躯体は、複数の前記外壁フレームを備えており、
隣接する前記外壁フレームのうち一方の前記外壁フレームを支持する前記上側スペーサ及び前記下側スペーサの前記外壁の厚さ方向の長さが他方の前記外壁フレームを支持する前記上側スペーサ及び前記下側スペーサの前記厚さ方向の長さよりも長い長さに設定されている、
請求項4に記載の建物の外壁構造。
【請求項6】
前記断熱層は、繊維系断熱材で主な部分が構成された断熱部材を備えている、
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の建物の外壁構造。
【請求項7】
前記断熱層は、発泡プラスチック系断熱材で構成された断熱部材を備えている、
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の建物の外壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、外壁断熱構造に関する発明が開示されている。この外壁断熱構造では、建物高さ方向から見て床大梁及び天井大梁と重なる位置に断熱材が配置されており、この断熱材によって断熱層が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物の外壁の断熱性能を高めるには、建物の屋外側にさらに断熱層を配置できることが好ましい。この点、上記特許文献に係る発明では、床大梁及び天井大梁の屋外側に配置されているのは通気層であり、この通気層は、建物の断熱性能よりも外壁内の湿度の管理に対してより寄与している。すなわち、上記特許文献に係る発明において、通気層を単純に断熱層に変更すると、外壁内の湿度の管理が困難なものとなる。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、建物の外壁内において、通気性能を確保しつつ、断熱性能を確保することができる建物の外壁構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る建物の外壁構造は、建物ユニットの建物躯体の一部を構成する天井大梁と、前記建物躯体の一部を構成すると共に建物高さ方向から見て前記天井大梁と重なるように配置された床大梁と、前記建物ユニットの外壁における外壁躯体の一部を構成し、前記天井大梁及び前記床大梁の延在方向に延在しかつ前記天井大梁に対して固定された上側横桟と、当該延在方向に延在しかつ前記床大梁に対して固定された下側横桟と、当該上側横桟と当該下側横桟とを建物高さ方向に繋ぐ一対の縦桟と、当該上側横桟よりも建物高さ方向下側かつ当該下側横桟よりも建物高さ方向上側に位置すると共に当該縦桟間に掛け渡された中間横桟と、を備えた外壁フレームと、前記延在方向から見て前記縦桟と重なるように設けられた通気層と、前記天井大梁及び前記床大梁の屋外側かつ前記中間横桟の屋内側に設けられた断熱層と、を有している。
【0007】
第1の態様に係る建物の外壁構造では、建物ユニットの建物躯体の一部が、天井大梁及び床大梁で構成されており、建物高さ方向から見て天井大梁と床大梁とが重なっている。そして、建物ユニットの外壁における外壁躯体の一部が外壁フレームで構成されている。
【0008】
この外壁フレームは、上側横桟、下側横桟、一対の縦桟及び中間横桟を備えている。詳しくは、上側横桟は、天井大梁及び床大梁の延在方向(以下、延在方向と称する)に延在すると共に、天井大梁に対して固定されている。一方、下側横桟は、延在方向に延在すると共に、床大梁に対して固定されている。そして、上側横桟と下側横桟とは、一対の縦桟によって建物高さ方向に繋がれている。
【0009】
また、中間横桟は、上側横桟よりも建物高さ方向下側かつ下側横桟よりも建物高さ方向上側に位置すると共に、縦桟間に掛け渡されている。
【0010】
ここで、本態様では、延在方向から見て縦桟と重なるように通気層が設けられており、天井大梁及び床大梁の屋外側かつ中間横桟の屋内側に断熱層が設けられている。
【0011】
このため、本態様では、通気層によって外壁内の湿度を管理することができると共に、断熱層によって外壁の屋外側と屋内側との熱の伝達を抑制することができる。
【0012】
第2の態様に係る建物の外壁構造は、第1の態様に係る建物の外壁構造において、前記上側横桟及び前記下側横桟における前記外壁の厚さ方向の長さは、前記中間横桟の当該厚さ方向の長さよりも長い長さに設定されており、前記縦桟は、前記上側横桟及び前記下側横桟の屋外側の部分同士を連結している。
【0013】
第2の態様に係る建物の外壁構造では、外壁フレームの上側横桟及び下側横桟における外壁の厚さ方向(以下、厚さ方向と称する)の長さは、中間横桟の厚さ方向の長さよりも長い長さに設定されている。また、縦桟は、上側横桟及び下側横桟の屋外側の部分同士を連結している。
【0014】
このため、本態様では、外壁フレームにおける屋外側の部分において、延在方向から見て縦桟と重なる部分に空間を確保して、当該空間によって通気層を形成することができる。また、天井大梁及び床大梁と中間横桟との間に断熱材を配置して、断熱層を形成することができる。
【0015】
第3の態様に係る建物の外壁構造は、第2の態様に係る建物の外壁構造において、前記外壁躯体は、複数の前記外壁フレームを備えており、隣接する前記外壁フレームのうち一方の前記外壁フレームの前記上側横桟及び前記下側横桟の前記厚さ方向の長さが他方の前記外壁フレームの前記上側横桟及び前記下側横桟の前記厚さ方向の長さよりも長い長さに設定されている。
【0016】
第3の態様に係る建物の外壁構造では、外壁躯体が複数の外壁フレームを備えている。そして、隣接する外壁フレームのうち一方の外壁フレームの上側横桟及び下側横桟の厚さ方向の長さが、他方の外壁フレームの上側横桟及び下側横桟の厚さ方向の長さよりも長い長さに設定されている。
【0017】
このため、本態様では、一方の外壁フレームに取り付けられる外壁材の壁面を、他方の外壁フレームに取り付けられる外壁材の壁面よりも屋外側に配置することができ、その結果、建物の外壁の意匠面に凹凸を形成することができる。
【0018】
第4の態様に係る建物の外壁構造は、第1の態様に係る建物の外壁構造において、前記天井大梁と前記外壁フレームの建物上方側の部分との間には、当該外壁フレームを支持する上側スペーサが介在しており、前記床大梁と前記外壁フレームの建物下方側の部分との間には、当該外壁フレームを支持する下側スペーサが介在している。
【0019】
第4の態様に係る建物の外壁構造では、天井大梁と外壁フレームの建物上方側の部分との間に、外壁フレームを支持する上側スペーサが介在している。一方、床大梁と外壁フレームの建物下方側の部分との間には、外壁フレームを支持する下側スペーサが介在している。
【0020】
このため、本態様では、外壁フレームの構成を変更することなく、天井大梁及び床大梁と外壁フレームとの間にスペースを確保し、このスペースに断熱材を配置して、断熱層を形成することができる。
【0021】
第5の態様に係る建物の外壁構造は、第4の態様に係る建物の外壁構造において、前記外壁躯体は、複数の前記外壁フレームを備えており、隣接する前記外壁フレームのうち一方の前記外壁フレームを支持する前記上側スペーサ及び前記下側スペーサの前記外壁の厚さ方向の長さが他方の前記外壁フレームを支持する前記上側スペーサ及び前記下側スペーサの前記厚さ方向の長さよりも長い長さに設定されている。
【0022】
第5の態様に係る建物の外壁構造では、外壁躯体が複数の外壁フレームを備えている。そして、隣接する外壁フレームのうち一方の外壁フレームを支持する上側スペーサ及び下側スペーサの厚さ方向の長さが、他方の外壁フレームを支持する上側スペーサ及び下側スペーサの厚さ方向の長さよりも長い長さに設定されている。
【0023】
このため、本態様では、外壁フレームの構成を変更することなく、一方の外壁フレームに取り付けられる外壁材の壁面を、他方の外壁フレームに取り付けられる外壁材の壁面よりも屋外側に配置することができる。その結果、建物の外壁の意匠面に凹凸を形成することができる。
【0024】
第6の態様に係る建物の外壁構造は、第1態様~第5の態様の何れか一態様に係る建物の外壁構造において、前記断熱層は、繊維系断熱材で主な部分が構成された断熱部材を備えている。
【0025】
第6の態様に係る建物の外壁構造では、断熱層が断熱部材を備えており、この断熱部材は、その主な部分が繊維系断熱材で構成されている。このため、本態様では、断熱部材を、断熱部材の周辺の部材に沿うように変形させて配置することができる。
【0026】
第7の態様に係る建物の外壁構造は、第1態様~第5の態様の何れか一態様に係る建物の外壁構造において、前記断熱層は、発泡プラスチック系断熱材で構成された断熱部材を備えている。
【0027】
第7の態様に係る建物の外壁構造では、断熱層が断熱部材を備えており、この断熱部材は、発泡プラスチック系断熱材で構成されている。このため、断熱部材を、断熱部材の周辺の部材で支持された状態で配置することができ、断熱部材の位置決めが容易となる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、第1の態様に係る建物の外壁構造では、建物の外壁内において、通気性能を確保しつつ、断熱性能を確保することができるという優れた効果を有する。
【0029】
第2の態様に係る建物の外壁構造では、外壁フレームに対して、通気層及び断熱層を設けることができるという優れた効果を有する。
【0030】
第3の態様に係る建物の外壁構造では、建物の外壁内における通気性能及び断熱性能の確保を図りつつ、建物の意匠性を確保することができるという優れた効果を有する。
【0031】
第4の態様に係る建物の外壁構造では、建物の外壁を構成する部品の共通化を図りつつ、建物の外壁内における通気性能及び断熱性能の確保を図ることができるという優れた効果を有する。
【0032】
第5の態様に係る建物の外壁構造では、建物の外壁を構成する部品の共通化を図りつつ、建物の意匠性を確保することができるという優れた効果を有する。
【0033】
第6の態様に係る建物の外壁構造では、断熱部材とその周辺の部材との隙間をなくして建物の外壁の断熱性能をより向上させることができるという優れた効果を有する。
【0034】
第7の態様に係る建物の外壁構造では、断熱部材の設置にかかる工数を低減することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1実施形態に係る建物の外壁構造が適用された外壁において外壁パネルの構成を模式的に示す分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る建物の外壁構造が適用された外壁において外壁パネルの構成を模式的に示す断面図(
図1の2-2線に沿って切断した状態を示す断面図)である。
【
図3】第1実施形態に係る建物の外壁構造が適用された外壁において外壁の構成を模式的に示す平面図である。
【
図4】第2実施形態に係る建物の外壁構造が適用された外壁において外壁パネルの構成を模式的に示す断面図(
図2に対応する断面図)である。
【
図5】第2実施形態に係る建物の外壁構造が適用された外壁において外壁の構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
<第1実施形態>
以下、
図1~
図3を用いて、本発明の第1実施形態に係る建物の外壁構造について説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る建物の外壁構造が適用された「建物10」は、複数の「建物ユニット12」を備えたユニット建物とされている。
【0037】
なお、以下では、建物10の長手方向すなわち桁行方向を第1方向と称し、建物10の短手方向すなわち梁間方向を第2方向と称し、建物高さ方向を第3方向と称することとする。また、各図において、第1方向が矢印Xで示されており、第2方向が矢印Yで示されており、第3方向が矢印Zで示されている。
【0038】
建物ユニット12は、長手方向を第1方向とされて配置されており、建物躯体としての「躯体フレーム14」を備えている。この躯体フレーム14は、四隅に立設された柱16と、柱16の上端部同士を連結する天井フレーム18と、柱の下端部同士を連結する床フレーム20とを含んで構成されている。
【0039】
天井フレーム18は、溝形鋼で構成されて第1方向に延在する一対の「天井大梁22」と、同じく溝形鋼で構成されて第2方向に延在すると共に天井大梁22よりも短い一対の天井大梁24とを備えている。そして、天井大梁22及び天井大梁24が、矩形枠状に配置されると共に、これらが4つの仕口部26で連結されることで、天井フレーム18の外枠が構成されている。
【0040】
一方、床フレーム20は、基本的に天井フレーム18と同様の構成とされており、第1方向に延在する一対の「床大梁28」と、第2方向に延在すると共に床大梁28よりも短い一対の床大梁30と、これらを連結する4つの仕口部32とを含んで構成されている。なお、天井フレーム18と床フレーム20とは、天井大梁22と床大梁28とが第3方向から見て重なるように配置されている。
【0041】
そして、天井大梁22及び床大梁28には、複数の外壁パネル33が第1方向に並んで配置されており、建物10の「外壁34」の一部を構成している。
【0042】
外壁パネル33は、
図2にも示されるように、外壁34の「外壁躯体35」の一部を構成する「外壁フレーム36」と、後述する外壁材58とを含んで構成されている。
【0043】
外壁フレーム36は、外壁34の骨格の一部を構成すると共に、「上側横桟38」、「下側横桟40」、一対の「縦桟42」及び一対の「中間横桟44」が、第2方向から見て梯子状に組み合わされることで構成されている。
【0044】
詳しくは、上側横桟38は、外壁フレーム36の第3方向上側の部分を構成すると共に、第1方向に延在している。この上側横桟38は、溝形鋼で構成されており、第2方向に間隔をあけて配置された一対のフランジ部38Aと、これらを第2方向に繋ぐウェブ部38Bとを含んで、第1方向から見た断面が第3方向上側に開放されたU字状となるように配置されている。
【0045】
また、上側横桟38の第2方向一方側すなわち屋内側のフランジ部38Aの第2方向他方側すなわち屋外側の面には、第1方向に間隔をあけた複数箇所にウエルドナット46が設けられている。なお、第2方向一方側のフランジ部38Aにおけるウエルドナット46が設けられている箇所には、図示しない挿通孔が形成されている。一方、天井大梁22のウェブ部22Aには、ウエルドナット46に対応する挿通孔49(
図1参照)が形成されている。
【0046】
そして、第2方向一方側のフランジ部38Aがウェブ部22Aに当接された状態で、ウェブ部22Aの第2方向一方側からボルト47がウエルドナット48に螺合されることで、上側横桟38が天井大梁22に固定されている。
【0047】
一方、下側横桟40は、第1方向から見た断面がL状とされると共に下側横桟40の第2方向一方側の部分を構成する内側構成部材50と、第1方向から見た断面がL状とされると共に下側横桟40の第2方向他方側の部分を構成する外側構成部材52とを含んで構成されている。そして、下側横桟40は、第1方向から見た断面が第3方向下側に開放されたU字状となるように配置されている。
【0048】
また、下側横桟40の第2方向一方側のフランジ部40Aの第2方向他方側の面には、第1方向に間隔をあけた複数箇所にウエルドナット54が設けられている。なお、第2方向一方側のフランジ部40Aにおけるウエルドナット54が設けられている箇所には、図示しない挿通孔が形成されている。一方、床大梁28のウェブ部28Aには、ウエルドナット54に対応する挿通孔57(
図1参照)が形成されている。
【0049】
そして、第2方向一方側のフランジ部40Aがウェブ部28Aに当接された状態で、ウェブ部28Aの第2方向一方側からボルト56がウエルドナット54に螺合されることで、下側横桟40が床大梁28に固定されている。
【0050】
縦桟42は、溝形鋼で構成されると共に、そのウェブ部42Aを外壁パネル33の幅方向外側とされて配置されている。そして、上側横桟38の第1方向の端部において、縦桟42の上端部がウェブ部38Bにおける第2方向他方側の部分に溶接等による図示しない接合部で接合されている。また、下側横桟40の第1方向の端部において、縦桟42の下端部が下側横桟40のウェブ部40Bにおける第2方向他方側の部分に溶接等による図示しない接合部で接合されている。これにより、上側横桟38と下側横桟40とが第3方向に繋がれている。
【0051】
中間横桟44は、溝形鋼で構成されると共に、上側横桟38よりも第3方向下方側かつ下側横桟40よりも第3方向上側において、互いに対して第3方向に間隔をあけて配置されている。そして、中間横桟44は、縦桟42のフランジ部42B間に収まった状態で、第1方向の端部が縦桟42に溶接等による図示しない接合部で接合されることで、一対の縦桟42間に掛け渡された状態となっている。
【0052】
また、本実施形態では、上側横桟38及び下側横桟40の第2方向の長さ(外壁34の厚さ方向の長さ)T1が、中間横桟44の第2方向の長さT2よりも長い長さに設定されている。
【0053】
外壁材58は、窯業系サイディングでその主な部分が構成されると共に、第2方向から見て第3方向を長手方向とされた矩形の板状とされている。この外壁材58は、第2方向他方側の壁面58Aにタイル等の化粧材や外装モール材が貼り付けられており、この壁面58Aは、建物10の外壁34の意匠面34Aの一部を構成している。そして、外壁材58は、外壁フレーム36に図示しない取付部材で第3方向他方側から取り付けられている。
【0054】
一方、天井大梁22及び床大梁28の第2方向他方側かつ中間横桟44の第2方向一方側には、「断熱部材60」が配置されている。この断熱部材60は、グラスウール等の図示しない繊維系断熱材がフィルム材60Aで包まれることで構成されている。そして、断熱部材60は、外壁フレーム36に接着剤等による図示しない接合部で第2方向一方側から接合されている。
【0055】
上記のように構成された外壁34では、第1方向から見て外壁フレーム36の縦桟42と重なるように「通気層62」が設けられている。また、天井大梁22及び床大梁28の第2方向他方側かつ中間横桟44の第2方向一方側に断熱部材60を含む「断熱層64」が設けられている。
【0056】
また、本実施形態では、
図3に示されるように、隣接する外壁フレーム36のうち、一方の外壁フレーム36における上側横桟38及び下側横桟40の第2方向の長さT1が、他方の外壁フレーム36における上側横桟38及び下側横桟40の第2方向の長さT1よりも長い長さに設定されている。
【0057】
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0058】
本実施形態では、
図1に示されるように、建物ユニット12の躯体フレーム14の一部が、天井大梁22及び床大梁28で構成されており、第3方向から見て天井大梁22と床大梁28とが重なっている。そして、建物ユニット12の外壁34における外壁躯体35の一部が外壁フレーム36で構成されている。
【0059】
この外壁フレーム36は、
図2にも示されるように、上側横桟38、下側横桟40、一対の縦桟42及び中間横桟44を備えている。詳しくは、上側横桟38は、天井大梁22及び床大梁28の延在方向すなわち第1方向に延在すると共に、天井大梁22に対して固定されている。一方、下側横桟40は、第1方向に延在すると共に、床大梁28に対して固定されている。そして、上側横桟38と下側横桟40とは、一対の縦桟42によって第3方向に繋がれている。
【0060】
また、中間横桟44は、上側横桟38よりも第3方向方向下側かつ下側横桟40よりも第3高さ方向上側に位置すると共に、縦桟42間に掛け渡されている。
【0061】
ここで、本実施形態では、第1方向から見て縦桟42と重なるように通気層62が設けられており、天井大梁22及び床大梁28の第2方向他方側かつ中間横桟44の第2方向一方側に断熱層64が設けられている。
【0062】
このため、本実施形態では、通気層62によって外壁34内の湿度を管理することができると共に、断熱層64によって外壁34の屋外側と屋内側との熱の伝達を抑制することができる。
【0063】
したがって、本実施形態では、建物10の外壁34内において、通気性能を確保しつつ、断熱性能を確保することができる。
【0064】
詳しくは、本実施形態において、外壁フレーム36の上側横桟38及び下側横桟40における外壁34の厚さ方向すなわち第2方向の長さは、中間横桟44の第2方向の長さよりも長い長さに設定されている。また、縦桟42は、上側横桟38及び下側横桟40の第2方向他方側の部分同士を連結している。
【0065】
このため、本態様では、外壁フレーム36における第2方向他方側の部分において、第1方向から見て縦桟42と重なる部分に空間を確保して、当該空間によって通気層62を形成することができる。また、天井大梁22及び床大梁28と中間横桟44との間に断熱部材60を配置して、断熱層64を形成することができる。
【0066】
したがって、本実施形態では、外壁フレーム36に対して、通気層62及び断熱層64を設けることができる。
【0067】
また、本実施形態では、
図3に示されるように、外壁躯体35が複数の外壁フレーム36を備えている。そして、隣接する外壁フレーム36のうち一方の外壁フレーム36の上側横桟38及び下側横桟40の第2方向の長さT1が、他方の外壁フレーム36の上側横桟38及び下側横桟40の第2方向の長さT2よりも長い長さに設定されている。
【0068】
このため、本実施形態では、一方の外壁フレーム36に取り付けられる外壁材58の壁面58Aを、他方の外壁フレーム36に取り付けられる外壁材58の壁面58Aよりも第2方向他方側に配置することができ、その結果、建物10の外壁34の意匠面34Aに凹凸を形成することができる。
【0069】
したがって、本実施形態では、建物10の外壁34内における通気性能及び断熱性能の確保を図りつつ、建物10の意匠性を確保することができる。
【0070】
図2に戻り、本実施形態では、断熱層64が断熱部材60を備えており、この断熱部材60は、繊維系断熱材がフィルム材60Aで包まれることで構成されている。このため、本実施形態では、断熱部材60を、断熱部材60の周辺の部材に沿うように変形させて配置することができる。
【0071】
したがって、本実施形態では、断熱部材60とその周辺の部材との隙間をなくして建物10の外壁34の断熱性能をより向上させることができる。
【0072】
<第2実施形態>
以下、
図4及び
図5を用いて、本発明の第2実施形態に係る建物の外壁構造について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については同一番号を付してその説明を省略する。
【0073】
本実施形態に係る建物の外壁構造では、外壁フレーム36が「上側スペーサ70」及び「下側スペーサ72」を介して躯体フレーム14に取り付けられている点に特徴がある。
【0074】
詳しくは、上側スペーサ70は、溝形鋼で構成されると共に第1方向に延在しており、第1方向から見た断面が第3方向下側に開放されたU字状となるように配置されている。
【0075】
また、上側スペーサ70の第2方向一方側のフランジ部70Aにおける第2方向他方側の面には、ウエルドナット74が第1方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0076】
そして、第2方向一方側のフランジ部70Aが天井大梁22のウェブ部22Aに当接された状態で、ウェブ部22Aの第2方向一方側からボルト76がウエルドナット74に螺合されることで、上側スペーサ70が天井大梁22に固定されている。
【0077】
また、第2方向他方側のフランジ部70Aには、上側横桟38の第2方向一方側のフランジ部38Aに設けられたウエルドナット46に対応する図示しない挿通孔が形成されている。そして、第2方向一方側のフランジ部38Aが第2方向他方側のフランジ部70Aに当接された状態で、フランジ部70Aの第2方向一方側からボルト47がウエルドナット46に螺合されることで、上側横桟38が上側スペーサ70に固定されている。
【0078】
一方、下側スペーサ72は、溝形鋼で構成されると共に第1方向に延在しており、第1方向から見た断面が第3方向上側に開放されたU字状となるように配置されている。
【0079】
また、下側スペーサ72の第2方向一方側のフランジ部72Aにおける第2方向他方側の面には、ウエルドナット78が第1方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0080】
そして、第2方向一方側のフランジ部72Aが床大梁28のウェブ部28Aに当接された状態で、ウェブ部28Aの第2方向一方側からボルト80がウエルドナット78に螺合されることで、下側スペーサ72が床大梁28に固定されている。
【0081】
一方、第2方向他方側のフランジ部72Aには、下側横桟40の第2方向一方側のフランジ部40Aに設けられたウエルドナット54に対応する図示しない挿通孔が形成されている。そして、第2方向一方側のフランジ部40Aが第2方向他方側のフランジ部72Aに当接された状態で、フランジ部72Aの第2方向一方側からボルト56がウエルドナット54に螺合されることで、下側横桟40が下側スペーサ72に固定されている。
【0082】
また、本実施形態では、全ての外壁フレーム36において、上側横桟38及び下側横桟40の第2方向の長さT1が、中間横桟44の第2方向の長さT2と同程度の長さに設定されている。
【0083】
一方で、本実施形態では、隣接する外壁フレーム36のうち、一方の外壁フレーム36を支持する上側スペーサ70及び下側スペーサ72の第2方向の長さS1が、他方の外壁フレーム36を支持する上側スペーサ70及び下側スペーサ72の第2方向の長さS1よりも長い長さに設定されている。
【0084】
また、本実施形態では、断熱層64の一部を構成する「断熱部材82」が、発泡プラスチック系断熱材で構成されると共に、第2方向から見て長手方向を第3方向とされた矩形の板状とされている。そして、断熱部材82は、上側スペーサ70及び下側スペーサ72で支持されている。
【0085】
このような構成によれば、上述した第1実施形態と同様に、第1方向から見て縦桟42と重なるように通気層62が設けると共に、天井大梁22及び床大梁28の第2方向他方側かつ中間横桟44の第2方向一方側に断熱層64を設けることができる。このため、本実施形態においても、基本的に上述した第1実施形態と同様の作用並びに効果を奏する。
【0086】
また、本実施形態では、隣接する外壁フレーム36のうち一方の外壁フレーム36を支持する上側スペーサ70及び下側スペーサ72の第2方向の長さS1が、他方の外壁フレーム36を支持する上側スペーサ70及び下側スペーサ72の第2方向の長さS1よりも長い長さに設定されている。
【0087】
このため、本実施形態では、外壁フレーム36の構成を変更することなく、一方の外壁フレーム36に取り付けられる外壁材58の壁面58Aを、他方の外壁フレーム36に取り付けられる外壁材58の壁面58Aよりも第2方向他方側に配置することができる。その結果、建物10の外壁34の意匠面34Aに凹凸を形成することができる。
【0088】
したがって、本実施形態では、建物10の外壁34を構成する部品の共通化を図りつつ、建物10の意匠性を確保することができる。
【0089】
また、本実施形態では、断熱層64が断熱部材82を備えており、この断熱部材82は、発泡プラスチック系断熱材で構成されている。このため、断熱部材82を、断熱部材82の周辺の部材で支持された状態で配置することができ、断熱部材82の位置決めが容易となる。したがって、本実施形態では、断熱部材82の設置にかかる工数を低減することができる。
【0090】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した第1実施形態では、断熱層64に断熱部材60を採用していたが、外壁フレーム36の構成等に応じて、断熱層64に断熱部材84を採用してもよいし、断熱層64に繊維系断熱材を樹脂や接着剤で固めた断熱部材を採用してもよい。
【0091】
(2) 上述した第2実施形態では、断熱層64に断熱部材84を採用していたが、外壁フレーム36の構成等に応じて、断熱層64に断熱部材60を採用してもよいし、断熱層64に繊維系断熱材を樹脂や接着剤で固めた断熱部材を採用してもよい。
【0092】
(3) さらに、上述した第2実施形態では、上側スペーサ70及び下側スペーサ72が溝形鋼で構成されていたが、外壁フレーム36の構成等に応じて、上側スペーサ70及び下側スペーサ72の構成を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 建物
12 建物ユニット
14 躯体フレーム(建物躯体)
22 天井大梁
28 床大梁
34 外壁
35 外壁躯体
36 外壁フレーム
38 上側横桟
40 下側横桟
42 縦桟
44 中間横桟
60 断熱部材
62 通気層
64 断熱層
70 上側スペーサ
72 下側スペーサ
82 断熱部材