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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043343
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】車両用の温調システムおよび温調方法
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148472
(22)【出願日】2022-09-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】足立 知康
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 徹三
(72)【発明者】
【氏名】中川 信也
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】野山 英人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 克弘
(72)【発明者】
【氏名】森下 昌俊
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211AA11
3L211BA23
3L211BA25
3L211CA16
3L211CA18
3L211CA19
3L211DA26
3L211DA27
3L211DA28
(57)【要約】
【課題】熱媒体の回路としての区分可能な第1回路と第2回路とを備えるとともに、熱媒体の温度変化による体積の変化に対応可能な機構を備えるシステムの改善に関する。
【解決手段】熱媒体回路は、高圧側熱交換器と、低圧側熱交換器と、室外熱交換器と、温調機器と、第1ポンプおよび第2ポンプのそれぞれの吸込部が接続可能に構成されるリザーブタンクと、第1ポンプおよび第2ポンプに対し、リザーブタンクへの接続状態として、一方が接続される一方接続状態と、両方が接続される両方接続状態とのいずれかを与える接続弁とを備える。熱媒体回路は、低圧側熱交換器を含み、第1ポンプに対応する第1回路と、高圧側熱交換器を含み、第2ポンプに対応する第2回路とを並列的に設定可能に構成されるとともに、直列に配置される低圧側熱交換器および高圧側熱交換器を含み、第1ポンプおよび第2ポンプに対応する直列回路を設定可能に構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の温調システムであって、
圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器を含み、冷凍サイクルに従って冷媒が循環可能に構成される冷媒回路と、
前記冷媒に対して熱を授受する熱媒体が循環可能に構成される熱媒体回路と、を備え、
前記熱媒体回路は、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記高圧側熱交換器と、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記低圧側熱交換器と、
前記熱媒体を圧送可能に構成される第1ポンプおよび第2ポンプと、
外気と前記熱媒体とを熱交換させる室外熱交換器と、
前記熱媒体により加熱または冷却される温調対象に相当する、または温調対象の加熱または冷却に用いられる温調機器と、
前記熱媒体を貯留可能であって、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプのそれぞれの吸込部が接続可能に構成されるリザーブタンクと、
前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対し、前記リザーブタンクへの接続状態として、一方が接続される一方接続状態と、両方が接続される両方接続状態とのいずれかを与えることが可能に構成される接続弁と、を備え、
前記熱媒体回路は、
前記低圧側熱交換器を含み、前記第1ポンプに対応する第1回路と、前記高圧側熱交換器を含み、前記第2ポンプに対応する第2回路とを並列的に設定可能に構成されるとともに、
直列に配置される前記低圧側熱交換器および前記高圧側熱交換器を含み、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対応する直列回路を設定可能に構成される、
車両用温調システム。
【請求項2】
前記接続弁は、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対し、前記第1回路および前記第2回路が設定されるときは前記両方接続状態を与え、前記直列回路が設定されるときは前記一方接続状態を与えることが可能に構成される、
請求項1に記載の車両用温調システム。
【請求項3】
前記室外熱交換器から前記熱媒体を迂回させる室外バイパス経路を備えるとともに、
前記直列回路を用いる運転モードとして、
前記高圧側熱交換器から流出した前記熱媒体が、前記温調機器を経由して前記低圧側熱交換器に流入し、さらに前記室外バイパス経路を通り、前記高圧側熱交換器に流入する圧縮機熱源モードを備える、
請求項1または2に記載の車両用温調システム。
【請求項4】
前記接続弁は、前記第2ポンプの吸込部と前記リザーブタンクの液出入部との間に設けられる開閉弁に相当する、
請求項1または2に記載の車両用温調システム。
【請求項5】
前記接続弁は、前記第1ポンプの吸込部と前記リザーブタンクの液出入部との間に設けられる開閉弁に相当する、
請求項1または2に記載の車両用温調システム。
【請求項6】
前記接続弁は、前記第1ポンプの吸込部と、前記第2ポンプの吸込部と、前記リザーブタンクの液出入部とに対応する三方弁に相当する、
請求項1または2に記載の車両用温調システム。
【請求項7】
前記第1回路および前記第2回路の一方のみを用いる運転モードを備え、
前記運転モードでは、前記第1回路および前記第2回路の一方は使用回路であって、他方は不使用回路であり、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対して前記両方接続状態が与えられ、
前記運転モード時に、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプのうち前記使用回路に対応する一方のポンプが故障した場合には、前記不使用回路に対応する他方のポンプを作動させることで、前記使用回路には、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプのそれぞれの前記吸込部を前記リザーブタンクに接続する連通経路と、前記不使用回路の一部とが組み込まれる、
請求項1または2に記載の車両用温調システム。
【請求項8】
車両用の温調システムを用いる温調方法であって、
前記温調システムは、
圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器を含み、冷凍サイクルに従って冷媒が循環可能に構成される冷媒回路と、
前記冷媒に対して熱を授受する熱媒体が循環可能に構成される熱媒体回路と、を備え、
前記熱媒体回路は、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記高圧側熱交換器と、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記低圧側熱交換器と、
前記熱媒体を圧送可能に構成される第1ポンプおよび第2ポンプと、
外気と前記熱媒体とを熱交換させる室外熱交換器と、
前記熱媒体により加熱または冷却される温調対象に相当する、または温調対象の加熱または冷却に用いられる温調機器と、
前記熱媒体を貯留可能であって、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプのそれぞれの吸込部が接続可能に構成されるリザーブタンクと、
前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対し、前記リザーブタンクへの接続状態として、一方が接続される一方接続状態と、両方が接続される両方接続状態とのいずれかを与えることが可能に構成される接続弁と、を備え、
前記熱媒体回路は、
前記低圧側熱交換器を含み、前記第1ポンプに対応する第1回路と、前記高圧側熱交換器を含み、前記第2ポンプに対応する第2回路とを並列的に設定可能に構成されるとともに、
直列に配置される前記低圧側熱交換器および前記高圧側熱交換器を含み、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対応する直列回路を設定可能に構成され、
前記温調方法は、
前記第1回路および前記第2回路が設定されるときは、前記接続弁により前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対して前記両方接続状態を与え、前記直列回路が設定されるときは、前記接続弁により前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対して前記一方接続状態を与える、
車両用温調方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に装備される温調システム、およびそれを用いる温調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車や、エンジンおよび電動機から車両走行用の駆動力を得る所謂ハイブリッド自動車等の車両においては、熱源が不足しがちな中、冷暖房、除湿、換気等の車両に要求される空調機能の他、バッテリー等の車載機器の熱管理や排熱利用が要求される。そうした要求に対して、従来、ヒートポンプシステムに加え、バッテリーを冷却するチラーやバッテリーを加温するヒータを含むシステム、あるいは、ラジエーターの排熱により加温された水をポンプで温調対象に搬送するシステム等の複数のシステムが用いられてきた。
【0003】
車両用熱管理システムとしては、冷媒が冷凍サイクルに従って循環する一次ループと、熱媒体(水等)をポンプにより室内空調ユニットに搬送する二次ループとを備えたシステムが提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【0004】
特許文献1に記載のシステムは、冷却水を使用して電装品およびバッテリーを冷却することを開示する。かかるシステムは、ラジエーターにより冷却される冷却水を貯留するリザーブタンクと、ラジエーターおよびリザーブタンクを含み、リザーブタンクから電装品へと供給される冷却水が循環する冷却水ラインと、同一のリザーブタンクを通り、リザーブタンクからバッテリーへと供給される冷却水が循環する他の冷却水ラインとを備えている。各冷却水ラインにはポンプとバルブとが設けられ、バルブの開閉状態に応じて、電装品およびバッテリーのいずれか一方または両方が冷却される。
なお、リザーブタンクは、温度上昇により熱媒体の体積が増加した際に余剰の熱媒体を受け入れ、温度低下時には熱媒体を配管内に補給する機能を有している。
【0005】
また、特許文献2に記載のシステムは、複数の機器に熱媒体を供給可能な構成を開示する。かかるシステムは、クーラコアおよび第1ポンプを含む冷水回路と、ヒータコアおよび第2ポンプを含む温水回路と、第1切替弁および第2切替弁とを備えている。温水回路には、熱媒体を貯留するとともに熱媒体の圧力を適正範囲に保つ密閉式のリザーブタンクが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-37931号公報
【特許文献2】特許第6064753号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のシステムでは、ラジエーターを含む冷却水ラインと、他の冷却水ラインとが、同一のリザーブタンクを通っている。そのため、両方のラインを連結し、両方のラインを含む冷却水の経路が設定された状態でシステムが運転されるとすると、経路を流れる冷却水は、リザーブタンクよりも先にある本来の経路を流れずに、タンクを通り抜けて短い経路を流れる。つまり、リザーブタンクを通じて、本来の経路に対して圧力損失がより小さい経路を冷却水が流れてしまう。
【0008】
また、特許文献2に記載のシステムの温水回路には密閉式のリザーブタンクが設けられているが、冷水回路にはリザーブタンクが設けられていない。そのため、温水回路と冷水回路とが区分された状態でシステムが運転される場合には、冷水回路の熱媒体の温度上昇に伴い冷水回路の配管内の圧力が高くなる。これを避けるため、冷水回路にもリザーブタンクを設けることは、コストの増加やシステムの大型化、また、2つのリザーブタンク内の貯液量の偏りに起因する空気の混入の発生を考慮すると難しい。
【0009】
以上より、本開示は、熱媒体の回路としての区分可能な第1回路と第2回路とを備えるとともに、熱媒体の温度変化による体積の変化に対応可能な機構を備えるシステムに関する。本開示は、第1回路と第2回路とが連続した状態でも熱媒体が所定の経路を流れることで必要な能力を担保することが可能であって、また、第1回路と第2回路とが区分されても配管内圧が過大になることを避けることが可能な車両用の温調システムおよび温調方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、車両用の温調システムであって、圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器を含み、冷凍サイクルに従って冷媒が循環可能に構成される冷媒回路と、冷媒に対して熱を授受する熱媒体が循環可能に構成される熱媒体回路と、を備える。
熱媒体回路は、冷媒と熱媒体とを熱交換させる高圧側熱交換器と、冷媒と熱媒体とを熱交換させる低圧側熱交換器と、熱媒体を圧送可能に構成される第1ポンプおよび第2ポンプと、外気と熱媒体とを熱交換させる室外熱交換器と、熱媒体により加熱または冷却される温調対象に相当する、または温調対象の加熱または冷却に用いられる温調機器と、熱媒体を貯留可能であって、第1ポンプおよび第2ポンプのそれぞれの吸込部が接続可能に構成されるリザーブタンクと、第1ポンプおよび第2ポンプに対し、リザーブタンクへの接続状態として、一方が接続される一方接続状態と、両方が接続される両方接続状態とのいずれかを与えることが可能に構成される接続弁と、を備える。
熱媒体回路は、低圧側熱交換器を含み、第1ポンプに対応する第1回路と、高圧側熱交換器を含み、第2ポンプに対応する第2回路とを並列的に設定可能に構成されるとともに、直列に配置される低圧側熱交換器および高圧側熱交換器を含み、第1ポンプおよび第2ポンプに対応する直列回路を設定可能に構成される。
【0011】
また、本開示は、車両用温調方法に展開することが可能である。
【発明の効果】
【0012】
熱媒体回路に設定される回路の構成に応じて、リザーブタンクへの第1、第2ポンプの吸込部の接続状態として、第1、第2ポンプの一方のみが接続される一方接続状態と、両方が接続される両方接続状態とのいずれかを接続弁により選択することが可能である。そうすると、熱媒体の回路としての第1回路と第2回路とが区分されていても、第1、第2回路のいずれについても、熱媒体の配管の内圧が過大となったり、配管内が負圧となったりすることを避けることができる。また、第1回路と第2回路とが連結された状態に相当する直列回路が使用される状態であっても、リザーブタンクに第1、第2ポンプの吸込部を連通させる経路を通じて熱媒体が熱交換器をバイパスする流れが発生することを避けて、必要な能力を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る車両用温調システムを示す回路図である(冷房モード)。
図2図1に記載のシステムのヒートポンプモードによる運転状態を示す図である。
図3図1に記載のシステムのヒータモードによる運転状態を示す図である。
図4】第1実施形態の第1変形例に係る車両用温調システムを示す回路図である(ヒータモード)。
図5】第1実施形態の第2変形例に係る車両用温調システムを示す回路図である(ヒータモード)。
図6】第1実施形態の第3変形例に係る車両用温調システムを示す回路図である(ヒータモード)。
図7】第1実施形態の第4変形例に係る車両用温調システムを示す回路図である(ヒータモード)。
図8】第1実施形態の第5変形例に係る車両用温調システムを示す回路図である(除湿暖房)。
図9】第2実施形態に係る車両用温調システムを示す回路図である(冷房モード)。
図10図9に記載のシステムのポンプ故障時の運転状態を示す図である(冷房モード)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1に示す車両用の温調システム1は、例えば、エンジンを備えておらず走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得る電気自動車、あるいは、エンジンおよび電動機から車両走行用の駆動力を得る所謂ハイブリッド自動車等の図示しない車両に装備されている。温調システム1は、乗員が搭乗する車室8の冷暖房、除湿、換気等の空調の他、車両に搭載されているバッテリー装置(電源装置)、走行用モータ、発熱する電子機器等の車載装置の熱管理、排熱回収等を担う。適切な温度や湿度に空調したり、車載装置を適温に管理したりすることを「熱管理」と総称するものとする。
温調システム1、および車載装置に備わる電動機器や電子機器には、車載のバッテリー装置に蓄えられた電力が供給される。車載のバッテリー装置は、車両停止時に外部電源から充電される。
【0015】
〔全体構成〕
温調システム1は、冷媒が循環可能に構成される冷媒回路10と、冷媒に対して熱を授受する熱媒体が循環可能に構成される熱媒体回路20と、温調システム1を所定の運転モードに設定し、運転モードに応じて温調システム1の運転状態を制御する制御装置5とを備えている。
また、温調システム1は、例えば、外気温を検知するセンサ、車室8に吹き出される空調空気の温度を検知するセンサ等の図示しないセンサ等を含む。
【0016】
温調システム1は、乗員によりあるいは制御装置5により選択される複数の運転モードを備えている。本実施形態は、温調システム1の運転モードとして、冷房モード(図1)、ヒートポンプモード(図2)、およびヒータモード(図3)を例示する。
【0017】
〔冷媒回路の構成〕
冷媒回路10は、図1に構成の一例を示すように、圧縮機11と、凝縮器12と、膨張弁13と、蒸発器14とを備えている。冷媒回路10には、冷凍サイクルに従って冷媒が循環する。
冷媒回路10に封入される冷媒としては、公知の適宜な単一冷媒あるいは混合冷媒を用いることができる。例えば、本実施形態の冷媒として、R410A、R32等のHFC(Hydro Fluoro Carbon)冷媒や、R1234ze、R1234yf等のHFO(Hydro Fluoro Olefin)冷媒、あるいは、プロパン、イソブタン等の炭化水素(HC)系冷媒を用いることが可能である。特に、本実施形態の冷媒としてR1234yfを用いることが好ましい。
【0018】
上記に列挙したフロン系または炭化水素系の冷媒を用いる場合は、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルが構成される。
冷媒として二酸化炭素(CO)を用いる場合は、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える遷臨界冷凍サイクルが構成される。その場合でも、本実施形態の凝縮器12と同様に高圧側熱交換器により冷媒が放熱し、本実施形態の蒸発器14と同様に低圧側熱交換器により冷媒が吸熱する作用が得られるから、二酸化炭素冷媒のように遷臨界冷凍サイクルを構成する冷媒も冷媒回路10に採用することができる。
【0019】
圧縮機11は、図示しないモータを備えた電動圧縮機に相当する。圧縮機11は、図示しないハウジング内に吸入される冷媒を圧縮機構により断熱圧縮して吐出する。
【0020】
凝縮器12は、圧縮機11から吐出された冷媒ガスを熱媒体と熱交換させる。
膨張弁13(減圧部)は、凝縮器12から流出した冷媒を減圧させることで断熱膨張させる。膨張弁13としては、制御装置5からの指令に基づき開度を制御可能な電子膨張弁の他、温度式膨張弁を採用することができる。あるいは、膨張弁13の代わりにキャピラリーチューブを採用することができる。
【0021】
蒸発器14は、膨張弁13から流出した冷媒を熱媒体と熱交換させる。蒸発器14により蒸発した冷媒は、圧縮機11により吸入される。
蒸発器14と圧縮機11との間には、図示しないアキュムレータ(気液分離器)を設けることができる。
【0022】
凝縮器12には相対的に高い冷媒圧力(高圧)が与えられ、蒸発器14には相対的に低い冷媒圧力(低圧)が与えられる。冷媒は、高圧と低圧との圧力差に基づき冷媒回路10を循環する。
図1において、低圧側の冷媒の流れは太い実線により示され、高圧側の冷媒の流れは太い破線により示されている。他の図も同様である。
【0023】
圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13、蒸発器14、およびそれらの要素を接続する冷媒配管は、車室8の外に設置することができる。
【0024】
〔熱媒体回路の構成〕
熱媒体回路20は、凝縮器12および蒸発器14により冷媒と熱を授受可能な熱媒体が循環可能に構成されている。熱媒体は、少なくとも1つの温調対象の冷却または加熱に用いられる。本実施形態における温調対象は、車室8内の空気に相当する。
熱媒体回路20に封入される熱媒体は、液相の状態を維持して熱媒体回路20を循環する水やブライン等の液体である。ブラインとしては、例えば、水およびプロピレングリコールの混合液、あるいは、水およびエチレングリコールの混合液を例示することができる。
【0025】
熱媒体回路20は、図1に構成の一例を示すように、凝縮器12と、蒸発器14と、第1ポンプ21および第2ポンプ22と、室外熱交換器23と、室外バイパス経路24と、室内熱交換器25と、リザーブタンク27と、開閉弁28と、複数の流路切替弁としての第1切替弁31、第2切替弁32、および第3切替弁33とを備えている。
【0026】
図1および図2に示す例では、凝縮器流量調整弁12Vによる流量調整により、第1切替弁31から凝縮器12に向けて流れる熱媒体の全量が、凝縮器バイパス経路12Aへは流入せずに凝縮器12へと流入する。また、蒸発器流量調整弁14Vによる流量調整により、第1切替弁31から蒸発器14に向けて流れる熱媒体の全量が、蒸発器バイパス経路14Aへは流入せずに蒸発器14へと流入する。
【0027】
第1ポンプ21および第2ポンプ22はいずれも、図示しないモータにより駆動される電動のポンプに相当する。第1ポンプ21は、蒸発器14および蒸発器バイパス経路14Aの少なくとも一方から流出した熱媒体を吸入して吐出することで熱媒体を圧送する。第2ポンプ22は、凝縮器12および凝縮器バイパス経路12Aの少なくとも一方から流出した熱媒体を吸入して吐出することで熱媒体を圧送する。
【0028】
室外熱交換器23は、車室8の外側の外気と、熱媒体とを熱交換させる。室外熱交換器23は、例えば、車両の空気導入口の付近に配置されるラジエーターに相当する。車両の走行と、室外送風機23Aの作動とによって室外熱交換器23に供給される外気は、外気と熱媒体との温度差に基づいて、放熱または吸熱する。
【0029】
室内熱交換器25は、室内送風機25Aにより送られる空気と熱媒体とを熱交換させることで車室8内に空調空気を与える。室内送風機25Aは、モータにより駆動され、車室8内の空気(内気)または外気、あるいは内気と外気との混合気体を室内熱交換器25に向けて吹き付ける。
HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)ユニットUは、室内熱交換器25と、室内送風機25Aと、室内送風機25Aにより送られる空気が流れる図示しないダクトとを含んで構成されている。
【0030】
熱媒体回路20は、室内熱交換器25から熱媒体を迂回させる室内バイパス経路26を備えることが好ましい。
温調システム1が温調対象としてバッテリー装置6(図8)等の車載機器を備える場合であって、車室8内の空調を行わないとき、室内バイパス経路26を通じて室内熱交換器25から迂回させた熱媒体をバッテリー装置6に供給することができる。
【0031】
室内熱交換器25を除く熱媒体回路20の各要素、つまり、凝縮器12、蒸発器14、第1ポンプ21、第2ポンプ22、室外熱交換器23、室外バイパス経路24、および第1~第3切替弁31~33は、車室8の外に設置することができる。
【0032】
リザーブタンク27は、図示しない大気開放口を通じて大気に開放されており、熱媒体を出入り可能に貯留する。このリザーブタンク27は、熱媒体の温度変化による体積変化に対応可能な機構に相当するとともに、第1ポンプ21および第2ポンプ22のうち、接続される少なくとも一方のポンプの吸込部を大気圧に保つ役割を担う。熱媒体回路20には、リザーブタンク27が1つだけ設けられている。
【0033】
リザーブタンク27は、熱媒体回路20に封入されている熱媒体が温度上昇に伴い膨張したとき、熱媒体回路20の配管の容積を超える熱媒体をタンクの内側に受け入れる。また、温度低下に伴い熱媒体の体積が減少したとき、リザーブタンク27から熱媒体回路20の配管へと熱媒体が補給されるので、配管内は熱媒体が充填されている状態に維持される。つまり、リザーブタンク27により、配管の内圧が過大となったり、配管内が負圧となったりすることを避けることができる。この作用を得るために、リザーブタンク27は、熱媒体回路20の少なくとも一箇所に接続されていれば足りる。
【0034】
リザーブタンク27は、第1ポンプ21の吸込部21Aおよび第2ポンプ22の吸込部22Aのいずれに対しても、直接的に、あるいは連通配管403等を介して接続可能に構成されている。本実施形態のリザーブタンク27は、互いに近接して配置されるポンプ21,22のそれぞれの吸込部21A,22Aの近傍に配置されている。
【0035】
なお、冷媒回路10や熱媒体回路20の部材の組付性や、温調システム1の設置スペースへの部材の収まり等を考慮して、蒸発器14および凝縮器12は対称に配置されることが好ましい。蒸発器14および凝縮器12に倣い、第1ポンプ21および第2ポンプ22も対称に、かつ近づけて配置されることが好ましい。
【0036】
蒸発器14と第1ポンプ21との間の配管401と、凝縮器12と第2ポンプ22との間の配管402とを結ぶ連通配管403には、リザーブタンク27の液出入口27Aが接続されている。液出入口27Aは通常、リザーブタンク27の底部に設けられている。図示しない大気開放口は、リザーブタンク27内の最大の液位よりも上方、通常はリザーブタンク27の上部に形成されている。
【0037】
本実施形態において、第1ポンプ21の吸込部21Aは、運転モードを問わず、連通配管403を通じてリザーブタンク27に接続されている。一方、第2ポンプ22の吸込部22Aは、熱媒体回路20に設定される回路の構成に基づき所定のモード(M1,M2)のときだけ、連通配管403に設けられる開閉弁28を開くことでリザーブタンク27に接続される。
【0038】
開閉弁28は、制御装置5により発せられる制御指令に応じて開閉される電磁弁に相当する。本実施形態の開閉弁28は、連通配管403におけるリザーブタンク27と第2ポンプ22との間に配置されている。
【0039】
図1に示す冷房モードM1および図2に示すヒートポンプモードM2のとき、開閉弁28は開いているので、第1ポンプ21および第2ポンプ22の両方がリザーブタンク27に接続されている(両方接続状態SBoth)。
一方、図3に示すヒータモードM3のとき、開閉弁28は閉じているので、第2ポンプ22はリザーブタンク27には接続されていない。このときは、第1ポンプ21のみがリザーブタンク27に接続されている(一方接続状態SOne)。
【0040】
つまり、開閉弁28は、第1ポンプ21および第2ポンプ22に対して、リザーブタンク27への接続状態として、一方接続状態SOneまたは両方接続状態SBothを与える接続弁に相当する。
図3に示すように黒く塗りつぶされた開閉弁28は、閉じられている。他の図でも同様である。
【0041】
第1~第3切替弁31~33のいずれも、制御装置5からの指令に基づき開閉制御が可能な電動弁であり、各運転モードに応じて熱媒体の流路を切り替え可能に構成される。
本実施形態において、第1切替弁31および第2切替弁32は四方弁であり、第3切替弁33は三方弁に相当する。
第1~第3切替弁31~33は、各運転モードの実現に必要な経路を熱媒体回路20に設定するために、適宜な構造の適宜な数の電動弁に代替可能である。
【0042】
第1~第3切替弁31,32,33の少なくとも1つにより熱媒体の流れが切り替えられることで、熱媒体回路20は、第1回路C1および第2回路C2を並列的に設定可能に構成されるとともに(図1および図2)、直列回路CCを設定可能に構成される(図3)。
【0043】
蒸発器14から流出して蒸発器14に戻る低圧側回路C1と、凝縮器12から流出して凝縮器12に戻る熱媒体の第2回路C2とは、区分されている。以下において、第1回路C1および第2回路C2のことを並列回路C1,C2と称する場合がある。
【0044】
並列回路C1,C2を示す図1および図2において、第1ポンプ21により圧送されて第1回路C1を循環する相対的に低温の熱媒体(低温熱媒体)の流れが実線で示され、第2ポンプ22により圧送されて第2回路C2を循環する相対的に高温の熱媒体(高温熱媒体)の流れが一点鎖線で示されている。低温熱媒体および高温熱媒体のいずれも圧送されていない経路(不使用の経路)は、破線で示されている。
【0045】
一方、直列回路CCは、直列に配置される蒸発器14および凝縮器12を含む一つの連続した回路に相当する。直列回路CCが設定されるとき、例えば図3に示すように、凝縮器12から流出した熱媒体が蒸発器14に流入し、さらに、蒸発器14から流出して凝縮器12に流入する。このとき熱媒体は、熱媒体回路20に形成される一つの連続した直列回路CCを循環し、熱媒体の流れに関して、蒸発器14と凝縮器12とは直列に配置されている。
【0046】
直列回路CCを示す図3においても、相対的に低温の熱媒体の流れが実線で示され、相対的に高温の熱媒体の流れが一点鎖線により示されている。図3を参照すると、並列回路C1,C2が設定される場合とは異なり、蒸発器14から流出し、凝縮器12に流入するまでの熱媒体の流れが実線で示され、凝縮器12から流出し、蒸発器14に流入するまでの熱媒体の流れが一点鎖線で示されている。これは、熱媒体が蒸発器14に流入すると、冷媒への放熱により熱媒体の温度が低下することを表し、熱媒体が凝縮器12に流入すると、冷媒からの吸熱により熱媒体の温度が上昇することを表している。
【0047】
温調システム1は、並列回路C1,C2または直列回路CCを用いる複数の運転モードを備えている。少なくとも並列回路C1,C2を用いる運転モードのときは、第1ポンプ21および第2ポンプ22のいずれも必要である。本実施形態の温調システム1は、直列回路CCが用いられる場合でも両方のポンプ21,22を作動させる。この場合、第1ポンプ21と第2ポンプ22とは直列に配置される。
【0048】
〔各運転モードの作用〕
以下、温調システム1の各運転モードの作用を説明する。
冷房モードM1(図1):
冷房モードM1により車室8内を冷房するときは、第1~第3切替弁31~33による熱媒体の流れの切り替えにより、熱媒体回路20には、蒸発器14、第1ポンプ21、および室内熱交換器25を含む第1回路C1と、凝縮器12、第2ポンプ22、および室外熱交換器23を含む第2回路C2とが設定される。
【0049】
蒸発器14により冷媒へと放熱した熱媒体は、第1ポンプ21により吸い込まれて吐出されると、第3切替弁33を経由して室内熱交換器25へと流入し、車室8内に吹き出される空気を冷却する。室内熱交換器25から流出した熱媒体は、第1切替弁31を経由して蒸発器14へと戻る。
一方、凝縮器12により冷媒から吸熱した熱媒体は、第2ポンプ22により吸い込まれて吐出されると、第2切替弁32を経由して室外熱交換器23に流入し、外気へと放熱される。室外熱交換器23から流出した熱媒体は、第1切替弁31を経由して凝縮器12へと戻る。
【0050】
並列回路C1,C2が設定されるとき、開閉弁28が開かれることにより、第1ポンプ21および第2ポンプ22に対して両方接続状態SBothが与えられる。
このとき、第1回路C1の熱媒体の圧力は、第1ポンプ21の作動により、吸込圧力である大気圧Pから所定の吐出圧力Pまで上昇する。第1ポンプ21から吐出された熱媒体の圧力は、配管等の抵抗により次第に降下し、それに伴い流速は増加する。第1回路C1の熱媒体の圧力は、第1ポンプ21の吸込部21Aにおいて大気圧Pまで低下すると、第1ポンプ21の作動により再び吐出圧力Pまで上昇する。
【0051】
第1回路C1と同様に、第2回路C2の熱媒体の圧力は、第2ポンプ22の作動により、吸込圧力である大気圧Pから所定の吐出圧力Pまで上昇した後、配管等の抵抗により次第に降下する。熱媒体の圧力は、第2ポンプ22の吸込部21Aにおいて大気圧Pまで低下すると、第2ポンプ22の作動により再び吐出圧力Pまで上昇する。
【0052】
並列回路C1,C2が設定されるとき、第1ポンプ21の吸込部21Aと第2ポンプ22の吸込部22Aのいずれも大気圧に保たれる。そのため、連通配管403の両端のいずれか一方側から他方側に向けての連続的な熱媒体の流れは発生しない。
【0053】
また、熱媒体の温度変化に伴い配管の内圧が変化したとしても、区分されている第1回路C1と第2回路C2とはそれぞれリザーブタンク27に接続されているから、熱媒体は、第1回路C1および第2回路C2のいずれからでもリザーブタンク27に流入可能であり、また、リザーブタンク27から第1回路C1および第2回路C2のいずれに向けても流出可能である。そのため、第1回路C1および第2回路C2のいずれの配管の内圧も適切な値に維持される。そうすると、第1回路C1および第1回路C2のいずれについても、配管の内圧過大による配管部材等の損傷や、配管内の負圧に起因して継手等から配管内に入り込んだ空気により熱媒体に気泡が発生することを防ぐことができる。
【0054】
ヒートポンプモードM2(図2):
ヒートポンプモードM2は、熱源としての外気から熱を汲み上げて車室8内を暖房する。ヒートポンプモードM2のとき、熱媒体回路20には、蒸発器14、第1ポンプ21、および室外熱交換器23を含む第1回路C1と、凝縮器12、第2ポンプ22、および室内熱交換器25を含む第2回路C2とが設定される。
【0055】
蒸発器14により冷媒へと放熱した熱媒体は、第1ポンプ21により吸い込まれて吐出されると、室外熱交換器23により外気から吸熱し、蒸発器14へと戻る。
一方、凝縮器12により冷媒から吸熱した熱媒体は、第2ポンプ22により吸い込まれて吐出されると、室内熱交換器25へと流入し、車室8内に吹き出される空気を加温する。室内熱交換器25から流出した熱媒体は、凝縮器12へと戻る。
【0056】
並列回路C1,C2が設定されるとき、上述したように、開閉弁28が開かれることにより、第1ポンプ21および第2ポンプ22に対して両方接続状態SBothが与えられる。つまり、第1ポンプ21の吸込部21Aおよび第2ポンプ22の吸込部22Aのいずれも大気圧Pに保たれるので、連通配管403の両端のいずれか一方側から他方側に向けての連続的な熱媒体の流れは発生しない。
また、両方接続状態SBothに基づき、第1回路C1および第2回路C2はそれぞれリザーブタンク27に接続されているので、温度変化に伴い熱媒体がリザーブタンクに対して出入りする作用により、第1回路C1および第1回路C2のいずれの配管の内圧も、適切な値に維持される。
【0057】
ヒータモードM3(図3):
ヒータモードM3は、外気温が低いために外気から熱媒体への吸熱ができない場合の暖房に適する。ヒータモードM3は、熱媒体から外気への放熱を避けつつ、熱源としての圧縮機11の動力に相応の熱量を熱媒体により車室8に搬送する。そうすることで、外気温が0℃を大幅に下回る状況であっても暖房能力を担保することができる。
【0058】
ヒータモードM3のとき、熱媒体回路20には直列回路CCが設定され、第1回路C1と第2回路C2とが区分されずに連結されている。このとき、蒸発器14と凝縮器12とは直列に配置され、開閉弁28は閉じられる(一方接続状態SOne)。
【0059】
凝縮器12により冷媒から吸熱した熱媒体は、第2ポンプ22に吸い込まれて吐出されると、第3切替弁33を経由して室内熱交換器25に流入し、車室8内の暖房に供される。室内熱交換器25から流出した熱媒体は、第1切替弁31を経由して蒸発器14に流入する。蒸発器14により冷媒へと放熱した熱媒体は、第1ポンプ21により吸い込まれて吐出されると、外気への放熱を避けるため、第2切替弁32から室外バイパス経路24を流れる。室外バイパス経路24を流れた熱媒体は、凝縮器12へと戻る。
【0060】
直列回路CCが設定されるとき、一方接続状態SOneに基づき、第1ポンプ21の吸込部21Aのみがリザーブタンク27に接続されている状態で、熱媒体は、熱媒体回路20の蒸発器14側と凝縮器12側とに亘る直列回路CCを循環する。この直列回路CCにおいては、蒸発器14と凝縮器12とが直列に配置され、第1ポンプ21と第2ポンプ22とが直列に配置されている。
そうすると、熱媒体は、第1ポンプ21により大気圧Pで吸い込まれ所定の吐出圧力Pで吐出されると、第2切替弁32および凝縮器12を経由して流れる間に圧力が降下し、第2ポンプ22により所定の吸込圧力Pで吸い込まれる。そして第2ポンプ22により所定の吐出圧力Pで吐出された熱媒体は、第3切替弁33、室内熱交換器25、第1切替弁31、および蒸発器14を経由して大気圧Pまで降下し、第1ポンプ21に吸い込まれる。
【0061】
直列回路CCの使用時は、第1ポンプ21を基準とすれば、第1ポンプ21から吐出される熱媒体が、第2ポンプ22を経て第1ポンプ21まで戻る連続した流れが形成されている。このとき、仮に開閉弁28が開いていた場合は、第1、第2ポンプ21,22の吸込部21A,22Aのいずれもリザーブタンク27に接続されているとしても、第1ポンプ21の吐出部から第2ポンプ22の吸込部22Aまでの圧力損失と第2ポンプ22の吐出部から第1ポンプ21の吸込部21Aまでの圧力損失とが相違するため、第1ポンプ21の吸込部21Aの圧力Pと、第2ポンプ22の吸込部22Aの圧力Pとは相違する。
【0062】
こうした圧力差による熱媒体の移動を防ぐため、開閉弁28を閉じることで、第1、第2ポンプ21,22の一方である第1ポンプ21の吸込部21Aだけをリザーブタンク27に接続させている。そうすると、連通配管403を介して第1ポンプ21側と第2ポンプ22側とは連通していないので、第1ポンプ21の吸込部21Aと第2ポンプ22の吸込部22Aとの間に圧力差が存在するとしても、凝縮器12から第2ポンプ22へと向かう熱媒体の一部が連通配管403を通じて第2ポンプ22側から第1ポンプ21側へと流出することを避けることができる。
【0063】
仮に、直列回路CCの使用時に開閉弁28が開いているとすると、凝縮器12から第2ポンプ22に向かう熱媒体の流れの一部は、本来の経路に対して圧力損失がより小さい連通配管403を通じて第1ポンプ21側に流出する。この場合は、連通配管403を通じて室内熱交換器25や蒸発器14から熱媒体が迂回し、第1ポンプ21に吸い込まれるので、加熱能力が低下してしまう。
開閉弁28を閉じて、室内熱交換器25および蒸発器14から熱媒体がバイパスすることを避けることにより、必要な加熱能力を担保することができる。
【0064】
直列回路CCが設定されるときに開閉弁28が閉じられると、第1、第2ポンプ21,22の一方である第1ポンプ21の吸込部21Aのみがリザーブタンク27に接続されるが、このときは熱媒体が一つの直列回路CCを循環するので、直列回路CC上の一箇所でリザーブタンク27に接続されていれば足りる。本実施形態のヒータモードM3では、熱媒体の温度変化に伴い、第1ポンプ21の吸込部21Aからリザーブタンク27へ熱媒体が流入したり、リザーブタンク27から第1ポンプ21の吸込部21Aへと熱媒体が流出したりすることで、配管の内圧が適切な値に維持される。
【0065】
第1ポンプ21から吐出されて第2ポンプ22に吸い込まれるまでの熱媒体の経路における圧力降下と、第2ポンプ22から吐出されて第1ポンプ21に吸い込まれるまでの熱媒体の経路における圧力降下とを比べると、後者の経路の方が、室内熱交換器25を通るため経路長が長く、また、より多くの熱交換器(室内熱交換器25および蒸発器14)を経由するため、圧力降下が大きい。
これに基づくと、直列回路CCの使用時に直列配置されるポンプ21,22のうち、吸込部が大気開放される前段のポンプから後段のポンプまでの圧力降下を抑えることにより、後段ポンプの吸込部で負圧となるのを避けたい。そのために、連通配管403におけるリザーブタンク27よりも第2ポンプ22側に開閉弁28が設けられることが好ましい。この場合、前段ポンプが第1ポンプ21に相当し、後段ポンプが第2ポンプ22に相当する。
【0066】
起動時ヒータモード:
直列回路CCを用いる運転モードは、ヒータモードM3には限られない。温調システム1は、例えば、低外気温時に温調システム1が長時間停止していた後の温調システム1の起動時を想定した起動時ヒータモード(図示しない)を備えていてもよい。この起動時モードのときも、熱媒体の流れに関して蒸発器14と凝縮器12とは直列に配置される。ここで、ヒータモードM3とは異なり、冷媒の加温を車室8内の暖房に優先させるため、熱媒体を凝縮器12には流入させずに、凝縮器バイパス経路12Aに迂回させる。これによって冷媒の熱媒体への放熱を防ぐ。
【0067】
起動時ヒータモードでは、室外熱交換器23により外気から熱媒体に吸熱させるため、室外熱交換器23に熱媒体を流入させる。また、室内熱交換器25から流出した熱媒体を蒸発器14において冷媒へと放熱させる。さらには、熱媒体と空気との熱交換を抑えるために、室内バイパス経路26を通じて室内熱交換器25から熱媒体を迂回させるとともに、室内送風機25Aの作動を停止させることが好ましい。
【0068】
0℃を大幅に下回る外気温と同程度に熱媒体の温度が低い状態で温調システム1が起動された直後は、冷媒が熱媒体を冷却することで冷媒回路10の低圧が降下し、冷媒の蒸発温度は外気温よりも低くなる。しかし、起動時ヒータモードによれば、外気から熱媒体に吸熱した熱を冷媒に継続的に伝達することで、冷媒回路10の低圧を次第に上昇させて、冷媒回路10を早期に定常運転に至らしめることができる。起動時ヒータモードの後、ヒータモードM3に移行すると良い。
【0069】
起動時ヒータモードのときも、ヒータモードM3と同様に開閉弁28は閉じられる。そのため、熱媒体の配管の内圧が適切な値に維持されるとともに、連通配管403を通じてバイパスする熱媒体の流れが発生することを避けて、冷媒回路10の立ち上げを促進させることができる。
【0070】
〔本実施形態による主な効果〕
以上で説明したように、熱媒体回路20に設定される構成に応じて、リザーブタンク27への第1、第2ポンプ21,22の吸込部21A,22Aの接続状態が開閉弁28により選択可能である。そのため、並列回路C1,C2を用いる運転モードおよび直列回路CCを用いる運転モードのいずれにおいても、熱媒体の配管の内圧が過大となったり、配管内が負圧となったりすることを避けることができるとともに、直列回路CCの使用時に連通配管403を通じて熱交換器25,14をバイパスする流れが発生することを避けて暖房能力を担保することができる。
【0071】
[第1実施形態の第1変形例]
開閉弁28は、図4に示すように、リザーブタンク27と第1ポンプ21との間、つまり、連通配管403におけるリザーブタンク27よりも第1ポンプ21側に設けられていてもよい。ヒータモードM3時に開閉弁28が閉じられると、第2ポンプ22の吸込部22Aがリザーブタンク27に接続され、第1ポンプ21の吸込部21Aはリザーブタンク27に接続されない(一方接続状態SOne)。
【0072】
ヒータモードM3時に、第2ポンプ22の吸込圧力は大気圧Pに相当し、第1ポンプ21の吸込圧力は、第2ポンプ22の吐出圧力から配管抵抗等により降下した圧力に相当する。第1ポンプ21の吸込部21Aと第2ポンプ22の吸込部22Aとに圧力差があるとしても、開閉弁28は閉じられているので、連通配管403を通じて、熱媒体が第1ポンプ21側から第2ポンプ22側へと流出しない。
また、第2ポンプ22の吸込部22Aがリザーブタンク27に接続されていることで、温度変化に伴う熱媒体のリザーブタンク27に対する出入りは可能である。
【0073】
つまり、上記第1実施形態と同様に、ヒータモードM3あるいは起動時ヒータモード等、直列回路CCの使用時に連通配管403を通じた熱媒体のバイパスにより加熱能力が低下することを避けて、必要な加熱能力を担保することができるとともに、熱媒体の配管の内圧を適切な値に維持することができる。
【0074】
[第1実施形態の第2変形例]
図5に示すように、第1ポンプ21が第1連通配管403Aを介してリザーブタンク27に接続されるとともに、第2ポンプ22が第2連通配管403Bを介してリザーブタンク27に接続されていてもよい。リザーブタンク27には、第1、第2連通配管403A,403Bがそれぞれ接続される液出入口が形成されている。
【0075】
開閉弁28は、第1変形例とほぼ同様に、第1ポンプ21側に位置する第1連通配管403Aに設けられている。但し、第1実施形態とほぼ同様に、第2ポンプ22側に位置する第2連通配管403Bに開閉弁28が設けられていてもよい。
【0076】
第2変形例によっても、上記第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0077】
[第1実施形態の第3変形例]
図6に示す接続弁としての三方弁28-3により、第1、第2ポンプ21,22に対して一方接続状態SOneまたは両方接続状態SBothを与えることも可能である。図6に示すように三方弁28-3の黒く塗られたポートが閉じられているとき、上記第1実施形態の開閉弁28が閉じられているときと同様に、第1ポンプ21の吸込部21Aはリザーブタンク27に接続され、第2ポンプ22の吸込部22Aはリザーブタンク27に接続されていない。
三方弁28-3の閉じるポートを変更することで、第1変形例と同様に第2ポンプ22の吸込部22Aをリザーブタンク27に接続させることも可能である。
【0078】
第3変形例によっても、上記第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0079】
[第1実施形態の第4変形例]
図7に示すように、第1、第2ポンプ21,22の位置を変更するとともに、それに伴いリザーブタンク27および開閉弁28の位置も変更してもよい。
第1ポンプ21は、室外熱交換器23と第1切替弁31とを結ぶ配管404に設けられ、第2ポンプ22は、室内熱交換器25と第1切替弁31とを結ぶ配管405に設けられている。これら第1ポンプ21および第2ポンプ22は、第1切替弁31を挟み、近接して配置されることが好ましい。
【0080】
リザーブタンク27は、第1ポンプ21の吸込部21Aと第2ポンプ22の吸込部22Aとを結ぶ連通配管403に接続されている。開閉弁28は、連通配管403における第2ポンプ22側、あるいは第1ポンプ21側に設けられる。
【0081】
なお、第1ポンプ21が第1切替弁31と凝縮器12との間の配管406に設けられ、第2ポンプ22が第1切替弁31と蒸発器14との間の配管407に設けられていてもよい。この場合にも、第1ポンプ21の吸込部21Aと第2ポンプ22の吸込部22Aとを連通配管により連通させるとともに、この連通配管にリザーブタンク27および開閉弁28を設けるとよい。
【0082】
第4変形例によれば、ポンプ21,22やリザーブタンク27の位置が異なっていても、上記第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0083】
[第1実施形態の第5変形例]
図8に示す温調システム1-5は、温調対象としてのバッテリー装置6を備えるとともに、車室8内の除湿暖房を行うために2つの室内熱交換器25-1,25-2を備えている。第1室内熱交換器25-1は、空気の流れの上流に配置され、第2室内熱交換器25-2は、空気の流れの下流に配置されている。
【0084】
図8に示すヒートポンプモードM2時に、蒸発器14から流出した低温熱媒体は第1室内熱交換器25-1に供給され、凝縮器12から流出した高温熱媒体は第2室内熱交換器25-2に供給される。そのため、室内送風機25Aから送られる空気は、第1室内熱交換器25-1による低温熱媒体との熱交換により露点以下まで冷やされるのに伴い除湿された後、第2室内熱交換器25-2による高温熱媒体との熱交換により加温されて車室8内に吹き出される。
【0085】
バッテリー装置6は、具体的な図示を省略するが、蓄電池であるバッテリー本体と、必要に応じてバッテリー本体に設けられるバッテリー用熱交換器や放熱部材とを備えている。
熱媒体回路20は、バッテリー装置6と熱媒体とが直接的にまたは空気等を介して間接的に熱交換可能に構成される熱交換経路414,415と、熱交換経路414,415にそれぞれ対応し、開路/閉路を切り替える四方弁としてのバッテリー用切替弁34,35とを備えている。
【0086】
ヒートポンプモードM2のとき、例えば、第1室内熱交換器25-1から流出した低温熱媒体を第1バッテリー用切替弁34から第1熱交換経路414を通じてバッテリー装置6に供給することができる。
第5変形例のヒータモードM3の図示は省略するが、ヒータモードM3のときは、第2室内熱交換器25-2から流出した高温熱媒体を第1バッテリー用切替弁34から第1熱交換経路414を通じてバッテリー装置6に供給することができる。
【0087】
第5変形例によっても、上記第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0088】
[第2実施形態]
次に、図9および図10を参照して本開示の第2実施形態を説明する。第2実施形態の温調システム2は、冷媒回路10を循環する冷媒が供給される冷媒熱交換器14-2を室内側に備えている。
【0089】
温調システム2の冷媒回路10-2は、第1実施形態の冷媒回路10と同様に、圧縮機11、凝縮器12、第1減圧部としての第1膨張弁13-1、および蒸発器14-1を冷媒が循環可能に構成される第1冷媒回路R1と、圧縮機11、凝縮器12、第2減圧部としての第2膨張弁13-2、および蒸発器としての冷媒熱交換器14-2を冷媒が循環可能に構成される第2冷媒回路R2とを備えている。冷媒熱交換器14-2は、冷媒と空気とを熱交換させる。
【0090】
第1冷媒回路R1および第2冷媒回路R2は、それぞれ単独で冷凍サイクルを形成することができる。第1冷媒回路R1および第2冷媒回路R2の両方が同時に使用されるとき、第1冷媒回路R1および第2冷媒回路R2のそれぞれの膨張弁および蒸発器は、並列に接続される。
第2冷媒回路R2は、凝縮器12の冷媒流出側に接続される配管501と、蒸発器14の冷媒吐出側に接続される配管502とを備えている。
【0091】
温調システム2によれば、第1実施形態およびその変形例の温調システムと同様に、冷房モード、除湿暖房モード、ヒートポンプモード、ヒータモード、起動時ヒータモード等を実現可能である。ここでは、冷房モードM1を例示する。
【0092】
温調システム2に備わる熱媒体回路20は、第1実施形態の熱媒体回路20とほぼ同様に構成されている。但し、第2切替弁32は四方弁から三方弁に変更されている。
【0093】
冷媒熱交換器14-2は、冷媒熱交換器14-2および室内熱交換器25に空気を送る室内送風機25Aによる空気流の上流側に配置されている。室内熱交換器25は、空気流の下流側に配置されている。
【0094】
冷房モードM1や、図示しないヒートポンプモードのとき、熱媒体回路20には、蒸発器14から流出した後に蒸発器14に流入する熱媒体の第1回路C1と、凝縮器12から流出した後に凝縮器12に流入する熱媒体の第2回路C2とが設定されている。但し、冷房モードM1を含む一部のモードのとき、第1回路C1は使用されない。そのため、第1回路C1の熱媒体を圧送する第1ポンプ21の作動は停止させる。
【0095】
図示しないヒータモードまたは起動時ヒータモードのとき、熱媒体回路20には、直列に配置される凝縮器12と蒸発器14とを含む直列回路CCが設定される。
【0096】
さて、図9を参照して冷媒および熱媒体のそれぞれの流れを説明する。
冷房モードM1は、第1冷媒回路R1および第2冷媒回路R2のうち第2冷媒回路R2のみを使用する。そのため、第1冷媒回路R1の第1膨張弁13-1は閉じられる。
また、冷房モードM1のとき、第2回路C2(使用回路)のみが使用され、第1回路C1(不使用回路)は使用されない。そのため、第1回路C1の熱媒体を圧送する第1ポンプ21の作動は停止させる。
【0097】
熱媒体回路20には並列回路C1,C2が設定されているため、開閉弁28は開かれている。つまり第1ポンプ21の吸込部21Aと第2ポンプ22の吸込部22Aとはリザーブタンク27に接続されている(両方接続状態SBoth)。ポンプ21,22が作動しているか否かにかかわらず、第1、第2回路C1,C2のいずれもリザーブタンク27に接続されているため、熱媒体配管の内圧は適切な値に維持される。また、第1ポンプ21の吸込部21Aおよび第2ポンプ22の吸込部22Aのいずれも大気圧に保たれるので、熱媒体は連通配管403を流れない。
【0098】
第2冷媒回路R2の冷媒の流れを説明する。圧縮機11に吸入された冷媒ガスは、圧縮機11により断熱圧縮されて吐出され、凝縮器12における熱媒体との熱交換により液化する。さらに、冷媒は配管501を通じて第2膨張弁13-2に流入し、第2膨張弁13-2による減圧により断熱膨張するので、これにより温度低下した冷媒が冷媒熱交換器14-2へと流入する。冷媒熱交換器14-2を流れる冷媒により、室内送風機25Aから送られる空気が冷却されることで、車室8内の冷房が行われる。冷媒熱交換器14-2を出た冷媒は、配管502を流れて圧縮機11に吸入される。
【0099】
熱媒体の流れとしては、第2回路C2の熱媒体が、凝縮器12により冷媒から受け取った熱を室外熱交換器23に搬送する。室外熱交換器23により外気へと放熱した熱媒体は、第1切替弁31を経由して凝縮器12へと戻る。
【0100】
温調システム2の冷房モードM1によれば、冷熱源である蒸発器としての冷媒熱交換器14-2に供給される冷媒により、熱媒体を介さずに温調対象を直接的に冷却することが可能となる。そのため、冷房能力を向上させることができるとともに、温調対象や外気の温度変化に対する制御の追従性も向上させることができる。
【0101】
図10は、第2回路C2(使用区間)に対応する第2ポンプ22が故障により停止した場合に、第1回路C1(不使用回路)に対応する第1ポンプ21を作動させることで、冷房モードM1の運転が継続される様子を示している。
制御装置5は、第2ポンプ22が故障したことを例えば冷媒の圧力計測値から検知すると、制御指令により第1ポンプ21を作動させる。すると、図10に示すように、故障した第1ポンプ21の吸込部21Aと第2ポンプ22の吸込部22Aとが連通配管403を介して連通するので、第1ポンプ21により圧送される熱媒体が、室外熱交換器23と凝縮器12とを循環する。このとき、第2回路C2には、連通経路403と、第1回路C1の一部とが組み込まれている。
【0102】
第2実施形態の冷房モードM1における熱媒体の圧送手段としては、第2ポンプ22を第1ポンプ21に置き換えることができるとともに、第1ポンプ21を第2ポンプ22に置き換えることも可能である。つまり、図10に示すように第1ポンプ21を作動させて冷房モードM1を実施しているときに第1ポンプ21が故障したのならば、図9に示すように、第2ポンプ22を作動させることで冷房モードM1を継続することができる。
【0103】
冷房モードM1に限らず、第1、第2ポンプ21,22のいずれかが熱媒体回路20の不使用区間に配置される場合、つまり第1回路C1,C2の一方のみが使用される場合は、上記と同様のポンプの置き換えが可能である。
【0104】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0105】
[付記]
以上の開示により、以下に記す構成が把握される。
〔1〕車両用の温調システムであって、
圧縮機(11)、高圧側熱交換器(12)、減圧部(13)、および低圧側熱交換器(14)を含み、冷凍サイクルに従って冷媒が循環可能に構成される冷媒回路(10)と、
前記冷媒に対して熱を授受する熱媒体が循環可能に構成される熱媒体回路(20)と、を備え、
前記熱媒体回路(20)は、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記高圧側熱交換器(12)と、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記低圧側熱交換器(14)と、
前記熱媒体を圧送可能に構成される第1ポンプ(21)および第2ポンプ(22)と、
外気と前記熱媒体とを熱交換させる室外熱交換器(23)と、
前記熱媒体により加熱または冷却される温調対象に相当する、または温調対象の加熱または冷却に用いられる温調機器(25)と、
前記熱媒体を貯留可能であって、前記第1ポンプ(21)および前記第2ポンプ(22)のそれぞれの吸込部(21A,22A)が接続可能に構成されるリザーブタンク(27)と、
前記第1ポンプ(21)および前記第2ポンプ(22)に対し、前記リザーブタンク(27)への接続状態として、一方が接続される一方接続状(SOne)と、両方が接続される両方接続状態(SBoth)とのいずれかを与えることが可能に構成される接続弁(28)と、を備え、
前記熱媒体回路(20)は、
前記低圧側熱交換器(14)を含み、前記第1ポンプ(21)に対応する第1回路(C1)と、前記高圧側熱交換器(12)を含み、前記第2ポンプ(22)に対応する第2回路(C2)とを並列的に設定可能に構成されるとともに、直列に配置される前記低圧側熱交換器(14)および前記高圧側熱交換器(12)を含み、前記第1ポンプ(21)および前記第2ポンプ(22)に対応する直列回路(CC)を設定可能に構成される。車両用温調システム。
【0106】
〔2〕前記接続弁(28)は、前記第1ポンプ(21)および前記第2ポンプ(22)に対し、前記第1回路(C1)および前記第2回路(C2)が設定されるときは前記両方接続状態(SBoth)を与え、前記直列回路(CC)が設定されるときは前記一方接続状態(SOne)を与えることが可能に構成される、
〔1〕項に記載の車両用温調システム。
【0107】
〔3〕前記室外熱交換器から前記熱媒体を迂回させる室外バイパス経路(24)を備えるとともに、
前記直列回路(CC)を用いる運転モードとして、
前記高圧側熱交換器(12)から流出した前記熱媒体が、前記温調機器(25)を経由して前記低圧側熱交換器(14)に流入し、さらに前記室外バイパス経路(24)を通り、前記高圧側熱交換器(12)に流入する圧縮機熱源モード(M3)を備える、
〔1〕または〔2〕項に記載の車両用温調システム。
【0108】
〔4〕前記接続弁(28)は、前記第2ポンプ(22)の吸込部(22A)と前記リザーブタンク(27)の液出入部(27A)との間に設けられる開閉弁(28)に相当する、
〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の車両用温調システム。
【0109】
〔5〕前記接続弁(28)は、前記第1ポンプ(21)の吸込部(21A)と前記リザーブタンク(27)の液出入部(27A)との間に設けられる開閉弁(28)に相当する、
〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の車両用温調システム。
【0110】
〔6〕前記接続弁(28-3)は、前記第1ポンプ(21)の吸込部(21A)と、前記第2ポンプ(22)の吸込部(22A)と、前記リザーブタンク(27)の液出入部(27A)とに対応する三方弁(28-3)に相当する、
〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の車両用温調システム。
【0111】
〔7〕前記第1回路(C1)および前記第2回路(C2)の一方のみを用いる運転モードを備え、
前記運転モードでは、前記第1回路(C1)および前記第2回路(C2)の一方は使用回路であって、他方は不使用回路であり、前記第1ポンプ(21)および前記第2ポンプ(22)に対して前記両方接続状態(SBoth)が与えられ、
前記運転モード時に、前記第1ポンプ(21)および前記第2ポンプ(22)のうち前記使用回路に対応する一方のポンプが故障した場合には、前記不使用回路に対応する他方のポンプを作動させることで、前記使用回路には、前記第1ポンプ(21)および前記第2ポンプ(22)のそれぞれの前記吸込部(21A,22A)を前記リザーブタンク(27)に接続する連通経路(403)と、前記不使用回路の一部とが組み込まれる、
〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の車両用温調システム。
【0112】
〔8〕車両用の温調システムを用いる温調方法であって、
前記温調システムは、
圧縮機(11)、高圧側熱交換器(12)、減圧部(13)、および低圧側熱交換器(14)を含み、冷凍サイクルに従って冷媒が循環可能に構成される冷媒回路(10)と、
前記冷媒に対して熱を授受する熱媒体が循環可能に構成される熱媒体回路(20)と、を備え、
前記熱媒体回路(20)は、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記高圧側熱交換器(12)と、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記低圧側熱交換器(14)と、
前記熱媒体を圧送可能に構成される第1ポンプ(21)および第2ポンプ(22)と、
外気と前記熱媒体とを熱交換させる室外熱交換器と、
前記熱媒体により加熱または冷却される温調対象に相当する、または温調対象の加熱または冷却に用いられる温調機器(25)と、
前記熱媒体を貯留可能であって、前記第1ポンプ(21)および前記第2ポンプ(22)のそれぞれの吸込部(21A,22A)が接続可能に構成されるリザーブタンク(27)と、
前記第1ポンプ(21)および前記第2ポンプ(22)に対し、前記リザーブタンク(27)への接続状態として、一方が接続される一方接続状態(SOne)と、両方が接続される両方接続状態(SBoth)とのいずれかを与えることが可能に構成される接続弁(28)と、を備え、
前記熱媒体回路(20)は、
前記低圧側熱交換器(14)を含み、前記第1ポンプ(21)に対応する第1回路(C1)と、前記高圧側熱交換器(12)を含み、前記第2ポンプ(22)に対応する第2回路(C2)とを並列的に設定可能に構成されるとともに、直列に配置される前記低圧側熱交換器(14)および前記高圧側熱交換器(12)を含み、前記第1ポンプ(21)および前記第2ポンプ(22)に対応する直列回路(CC)を設定可能に構成され。
前記温調方法は、
前記第1回路(C1)および前記第2回路(C2)が設定されるときは、前記接続弁(28)により前記第1ポンプ(21)および前記第2ポンプ(22)に対して前記両方接続状態(SBoth)を与え、前記直列回路(CC)が設定されるときは、前記接続弁(28)により前記第1ポンプ(21)および前記第2ポンプ(22)に対して前記一方接続状態(SOne)を与える、
車両用温調方法。
【符号の説明】
【0113】
1,1-5,2 温調システム(車両用温調システム)
5 制御装置
6 バッテリー装置
8 車室
10,10-2 冷媒回路
11 圧縮機
12 凝縮器(高圧側熱交換器)
12A 凝縮器バイパス経路
12V 凝縮器流量調整弁
13 膨張弁(減圧部)
14,14-1 蒸発器(低圧側熱交換器)
14-2 冷媒熱交換器
14A 蒸発器バイパス経路
14V 蒸発器流量調整弁
20 熱媒体回路
21 第1ポンプ
21A 吸込部
22 第2ポンプ
22A 吸込部
23 室外熱交換器
23A 室外送風機
24 室外バイパス経路
25 室内熱交換器
25A 室内送風機
26 室内バイパス経路
27 リザーブタンク
27A 液出入口(液出入部)
28 開閉弁(接続弁)
28-3 三方弁(接続弁)
31 第1切替弁
32 第2切替弁
33 第3切替弁
34 第1バッテリー用切替弁
35 第2バッテリー用切替弁
401,402,404~407 配管
403 連通配管(連通経路)
403A 第1連通配管
403B 第2連通配管
414 第1熱交換経路
415 第2熱交換経路
501,502 配管
C1 第1回路
C2 第2回路
CC 直列回路
M1 冷房モード
M2 ヒートポンプモード
M3 ヒータモード
R1 第1冷媒回路
R2 第2冷媒回路
One 一方接続状態
Both 両方接続状態
U HVACユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の温調システムであって、
圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器を含み、冷凍サイクルに従って冷媒が循環可能に構成される冷媒回路と、
前記冷媒に対して熱を授受する熱媒体が循環可能に構成される熱媒体回路と、を備え、
前記熱媒体回路は、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記高圧側熱交換器と、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記低圧側熱交換器と、
前記熱媒体を圧送可能に構成される第1ポンプおよび第2ポンプと、
外気と前記熱媒体とを熱交換させる室外熱交換器と、
前記熱媒体により加熱または冷却される温調対象に相当する、または温調対象の加熱または冷却に用いられる温調機器と、
前記熱媒体を貯留可能であって、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプのそれぞれの吸込部が接続可能に構成されるリザーブタンクと、
前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対し、前記リザーブタンクへの接続状態として、一方が接続される一方接続状態と、両方が接続される両方接続状態とのいずれかを与えることが可能に構成される接続弁と、を備え、
前記熱媒体回路は、
前記低圧側熱交換器を含み、前記第1ポンプに対応する第1回路と、前記高圧側熱交換器を含み、前記第2ポンプに対応する第2回路とを並列的に設定可能に構成されるとともに、
直列に配置される前記低圧側熱交換器および前記高圧側熱交換器を含み、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対応する直列回路を設定可能に構成され
前記接続弁は、前記第2ポンプの吸込部と前記リザーブタンクの液出入部との間に設けられる開閉弁に相当する、
車両用温調システム。
【請求項2】
車両用の温調システムであって、
圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器を含み、冷凍サイクルに従って冷媒が循環可能に構成される冷媒回路と、
前記冷媒に対して熱を授受する熱媒体が循環可能に構成される熱媒体回路と、を備え、
前記熱媒体回路は、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記高圧側熱交換器と、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記低圧側熱交換器と、
前記熱媒体を圧送可能に構成される第1ポンプおよび第2ポンプと、
外気と前記熱媒体とを熱交換させる室外熱交換器と、
前記熱媒体により加熱または冷却される温調対象に相当する、または温調対象の加熱または冷却に用いられる温調機器と、
前記熱媒体を貯留可能であって、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプのそれぞれの吸込部が接続可能に構成されるリザーブタンクと、
前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対し、前記リザーブタンクへの接続状態として、一方が接続される一方接続状態と、両方が接続される両方接続状態とのいずれかを与えることが可能に構成される接続弁と、を備え、
前記熱媒体回路は、
前記低圧側熱交換器を含み、前記第1ポンプに対応する第1回路と、前記高圧側熱交換器を含み、前記第2ポンプに対応する第2回路とを並列的に設定可能に構成されるとともに、
直列に配置される前記低圧側熱交換器および前記高圧側熱交換器を含み、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対応する直列回路を設定可能に構成され、
前記接続弁は、前記第1ポンプの吸込部と前記リザーブタンクの液出入部との間に設けられる開閉弁に相当する、
車両用温調システム。
【請求項3】
前記接続弁は、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対し、前記第1回路および前記第2回路が設定されるときは前記両方接続状態を与え、前記直列回路が設定されるときは前記一方接続状態を与えることが可能に構成される、
請求項1または2に記載の車両用温調システム。
【請求項4】
前記室外熱交換器から前記熱媒体を迂回させる室外バイパス経路を備えるとともに、
前記直列回路を用いる運転モードとして、
前記高圧側熱交換器から流出した前記熱媒体が、前記温調機器を経由して前記低圧側熱交換器に流入し、さらに前記室外バイパス経路を通り、前記高圧側熱交換器に流入する圧縮機熱源モードを備える、
請求項1または2に記載の車両用温調システム。
【請求項5】
前記接続弁は、前記第1ポンプの吸込部と、前記第2ポンプの吸込部と、前記リザーブタンクの液出入部とに対応する三方弁に相当する、
請求項1または2に記載の車両用温調システム。
【請求項6】
前記第1回路および前記第2回路の一方のみを用いる運転モードを備え、
前記運転モードでは、前記第1回路および前記第2回路の一方は使用回路であって、他方は不使用回路であり、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対して前記両方接続状態が与えられ、
前記運転モード時に、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプのうち前記使用回路に対応する一方のポンプが故障した場合には、前記不使用回路に対応する他方のポンプを作動させることで、前記使用回路には、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプのそれぞれの前記吸込部を前記リザーブタンクに接続する連通経路と、前記不使用回路の一部とが組み込まれる、
請求項1または2に記載の車両用温調システム。
【請求項7】
車両用の温調システムを用いる温調方法であって、
前記温調システムは、
圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器を含み、冷凍サイクルに従って冷媒が循環可能に構成される冷媒回路と、
前記冷媒に対して熱を授受する熱媒体が循環可能に構成される熱媒体回路と、を備え、
前記熱媒体回路は、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記高圧側熱交換器と、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記低圧側熱交換器と、
前記熱媒体を圧送可能に構成される第1ポンプおよび第2ポンプと、
外気と前記熱媒体とを熱交換させる室外熱交換器と、
前記熱媒体により加熱または冷却される温調対象に相当する、または温調対象の加熱または冷却に用いられる温調機器と、
前記熱媒体を貯留可能であって、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプのそれぞれの吸込部が接続可能に構成されるリザーブタンクと、
前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対し、前記リザーブタンクへの接続状態として、一方が接続される一方接続状態と、両方が接続される両方接続状態とのいずれかを与えることが可能に構成される接続弁と、を備え、
前記熱媒体回路は、
前記低圧側熱交換器を含み、前記第1ポンプに対応する第1回路と、前記高圧側熱交換器を含み、前記第2ポンプに対応する第2回路とを並列的に設定可能に構成されるとともに、
直列に配置される前記低圧側熱交換器および前記高圧側熱交換器を含み、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対応する直列回路を設定可能に構成され、
前記接続弁は、前記第2ポンプの吸込部と前記リザーブタンクの液出入部との間に設けられる開閉弁に相当し、
前記温調方法は、
前記第1回路および前記第2回路が設定されるときは、前記接続弁により前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対して前記両方接続状態を与え、前記直列回路が設定されるときは、前記接続弁により前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対して前記一方接続状態を与える、
車両用温調方法。
【請求項8】
車両用の温調システムを用いる温調方法であって、
前記温調システムは、
圧縮機、高圧側熱交換器、減圧部、および低圧側熱交換器を含み、冷凍サイクルに従って冷媒が循環可能に構成される冷媒回路と、
前記冷媒に対して熱を授受する熱媒体が循環可能に構成される熱媒体回路と、を備え、
前記熱媒体回路は、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記高圧側熱交換器と、
前記冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる前記低圧側熱交換器と、
前記熱媒体を圧送可能に構成される第1ポンプおよび第2ポンプと、
外気と前記熱媒体とを熱交換させる室外熱交換器と、
前記熱媒体により加熱または冷却される温調対象に相当する、または温調対象の加熱または冷却に用いられる温調機器と、
前記熱媒体を貯留可能であって、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプのそれぞれの吸込部が接続可能に構成されるリザーブタンクと、
前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対し、前記リザーブタンクへの接続状態として、一方が接続される一方接続状態と、両方が接続される両方接続状態とのいずれかを与えることが可能に構成される接続弁と、を備え、
前記熱媒体回路は、
前記低圧側熱交換器を含み、前記第1ポンプに対応する第1回路と、前記高圧側熱交換器を含み、前記第2ポンプに対応する第2回路とを並列的に設定可能に構成されるとともに、
直列に配置される前記低圧側熱交換器および前記高圧側熱交換器を含み、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対応する直列回路を設定可能に構成され、
前記接続弁は、前記第1ポンプの吸込部と前記リザーブタンクの液出入部との間に設けられる開閉弁に相当し、
前記温調方法は、
前記第1回路および前記第2回路が設定されるときは、前記接続弁により前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対して前記両方接続状態を与え、前記直列回路が設定されるときは、前記接続弁により前記第1ポンプおよび前記第2ポンプに対して前記一方接続状態を与える、
車両用温調方法。