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特開2024-43345半導体装置、及び、半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043345
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】半導体装置、及び、半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 41/42 20230101AFI20240322BHJP
   H10B 41/49 20230101ALI20240322BHJP
   H10B 41/46 20230101ALI20240322BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H01L27/11531
H01L27/11546
H01L27/11539
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148476
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大村 祐弥
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP63
5F083EP68
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083JA02
5F083JA05
5F083JA32
5F083JA36
5F083JA39
5F083MA06
5F083MA16
5F083NA01
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR21
5F083PR43
5F083PR44
5F083PR45
5F083PR46
5F083PR53
5F083PR54
5F083PR55
5F083PR56
5F101BA02
5F101BA45
5F101BB02
5F101BC02
5F101BD02
5F101BD20
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH14
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】CMOSトランジスタと、コンデンサと、抵抗素子とを効率よく製造することができ、かつ、コンデンサと抵抗素子とを面積効率よく配置することができる、半導体装置、及び、半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】
ゲート誘電体膜13を有するゲート絶縁膜14と、金属材料からなるゲート電極15と、を備えたMOSトランジスタHV、LV、VLVと、抵抗容量素子RCとを有する。抵抗容量素子RCは、半導体基板10の上面に、第1絶縁膜41と、第1導電層42と、ストッパー絶縁膜43と、第2絶縁膜47と、第2導電層46とが積層して設けられている。第2絶縁膜47は、ゲート絶縁膜14を構成するゲート誘電体膜13を有する。第2導電層46は、ゲート電極15と同じ前記金属材料からなる。第1導電層42は、第2導電層46よりも高抵抗の導電性材料を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記半導体基板の上面に設けられ、高誘電体膜を有するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上面に設けられ、金属材料からなるゲート電極と、
を含むトランジスタと、
前記半導体基板の上面に設けられた第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜の上面に設けられた第1導電層と、
前記第1導電層の上面に設けられた第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜の上面に設けられた第3絶縁膜と、
前記第3絶縁膜の上面に設けられた第2導電層と、
を含む抵抗容量素子とを備え、
前記第3絶縁膜は、前記ゲート絶縁膜を構成する前記高誘電体膜を有し、
前記第2導電層は、前記ゲート電極と同じ前記金属材料からなり、
前記第1導電層は、前記第2導電層よりも高抵抗の導電性材料を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記導電性材料はポリシリコンであり、前記第2絶縁膜はシリコン酸化膜である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記トランジスタと前記抵抗容量素子とは、前記半導体基板に設けられた素子分離領域によって電気的に分離されており、
前記抵抗容量素子は、
前記第1導電層と電気的に接続される第1コンタクトプラグと、
前記第2導電層と電気的に接続される第2コンタクトプラグと、
前記抵抗容量素子が設けられている領域の前記半導体基板と電気的に接続される第3コンタクトプラグと、
をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2導電層の表面積は、前記第1導電層の表面積より小さく、前記第1導電層の上面の前記第2導電層が設けられていない領域に、前記第1コンタクトプラグが接続されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1コンタクトプラグは、前記第2導電層と前記第2絶縁膜と前記第3絶縁膜とを貫通して前記第1導電層表面に達するスルーホール内に設けられている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ゲート電極の上面と前記第2導電層の上面は同じ高さである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体基板上面に、第1絶縁膜を形成することと、
前記第1絶縁膜上面に、導電性材料からなる第1導電膜を形成することと、
前記第1導電膜上面の一部分に、絶縁性材料からなる第2絶縁膜を形成することと、
前記第1導電膜上面、および、前記第2絶縁膜上面に、前記導電性材料からなる第2導電膜を形成することと、
前記第2絶縁膜の周縁を含む領域に、前記第2導電膜上面から前記半導体基板の所定の深さまで達する第1トレンチを形成し、前記第1トレンチ内に素子分離絶縁膜を埋め込むことと、
前記第1トレンチにより分離された一方の領域である第1領域において、前記第2導電膜、前記第2絶縁膜、前記第1導電膜を、予め設定された抵抗配線兼容量電極の形状に加工することと、
前記第1トレンチにより分離された他方の領域である第2領域において、前記第2導電膜と前記第1導電膜とを、予め設定されたゲート電極の形状に加工することと、
加工された前記第2導電膜、前記第2絶縁膜、前記第1導電膜の側壁を覆うように、前記絶縁性材料からなるサイドウォールを形成することと、
前記絶縁性材料に対する選択比が高い条件を用いて前記導電性材料をエッチングし、前記サイドウォールの内部に第2トレンチを形成することと、
前記第2トレンチの内壁に、高誘電材料からなる誘電体膜を形成することと、
前記第2トレンチ内に金属材料からなる第3導電膜を埋め込んで、前記誘電体膜の表面に、前記ゲート電極、及び、抵抗配線兼容量電極を形成することと、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1領域において、前記第2導電膜、前記第2絶縁膜、前記第1導電膜を、予め設定された抵抗配線兼容量電極の形状に加工する際に、前記第2導電膜の幅を、前記第1導電膜の幅よりも狭く加工することと、
前記第2導電膜からなる前記抵抗配線兼容量電極の側方であって前記第1導電膜からなる前記抵抗配線兼容量電極の上面に接続されるコンタクトプラグを形成することと、
をさらに含む、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1領域において、前記第2導電膜、前記第2絶縁膜、前記第1導電膜を、予め設定された抵抗配線兼容量電極の形状に加工する際に、前記第2導電膜の幅を、前記第1導電膜の幅と同じ幅に加工することと、
前記第3導電膜からなる前記抵抗配線兼容量電極と、前記高誘電体膜と、前記第2絶縁膜とを貫通し、前記第1導電膜からなる前記抵抗配線兼容量電極の上面に達するスルーホールを形成することと、
前記スルーホール内にコンタクトプラグを形成することと、
をさらに含む、請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置、及び、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコン酸化膜より誘電率が高い材料を用いたゲート絶縁膜と、多結晶シリコンより低抵抗な金属材料を用いたゲート電極とで構成された、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタ(以下、トランジスタと示す)が開発されている。一方、半導体装置には、トランジスタの他にコンデンサや抵抗素子も形成される。抵抗素子は、その性質上、高抵抗な材料で形成されることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-132096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、MOSトランジスタと、コンデンサと、抵抗素子とを効率よく製造することができ、かつ、コンデンサと抵抗素子とを面積効率よく配置することができる、半導体装置、及び、半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の半導体装置は、前記半導体基板の上面に設けられ、高誘電体膜を有するゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上面に設けられ、金属材料からなるゲート電極と、を含むトランジスタを備えている。また、前記半導体基板の上面に設けられた第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜の上面に設けられた第1導電層と、前記第1導電層の上面に設けられた第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜の上面に設けられた第3絶縁膜と、前記第3絶縁膜の上面に設けられた第2導電層と、を含む抵抗容量素子を備えている。前記第3絶縁膜は、前記ゲート絶縁膜を構成する前記高誘電体膜を有する。前記第2導電層は、前記ゲート電極と同じ前記金属材料からなり、前記第1導電層は、前記第2導電層よりも高抵抗の導電性材料を含む。
【0006】
本実施形態の半導体装置の製造方法は、半導体基板上面に、第1絶縁膜を形成することと、前記第1絶縁膜上面に、導電性材料からなる第1導電膜を形成することと、前記第1導電膜上面の一部分に、絶縁性材料からなる第2絶縁膜を形成することと、前記第1導電膜上面、および、前記第2絶縁膜上面に、前記導電性材料からなる第2導電膜を形成することと、を含む。また、前記第2絶縁膜の周縁を含む領域に、前記第2導電膜上面から前記半導体基板の所定の深さまで達する第1トレンチを形成して前記第1トレンチ内に素子分離絶縁膜を埋め込むことと、前記第1トレンチにより分離された一方の領域である第1領域において、前記第2導電膜、前記第2絶縁膜、前記第1導電膜を、予め設定された抵抗配線兼容量電極の形状に加工することと、前記第1トレンチにより分離された他方の領域である第2領域において、前記第2導電膜と前記第1導電膜とを予め設定されたゲート電極の形状に加工することと、を含む。さらに、加工された前記第2導電膜、前記第2絶縁膜、前記第1導電膜の側壁を覆うように、前記絶縁性材料からなるサイドウォールを形成することと、前記絶縁性材料に対する選択比が高い条件を用いて前記導電性材料をエッチングし、前記サイドウォールの内部に第2トレンチを形成することと、前記第2トレンチの内壁に、高誘電材料からなる誘電体膜を形成することと、前記第2トレンチ内に金属材料からなる第3導電膜を埋め込んで、前記誘電体膜の表面に、前記ゲート電極、及び、抵抗配線兼容量電極を形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態にかかる半導体装置の構造を模式的に説明する断面図。
図2】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図3】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図4】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図5】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図6】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図7】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図8】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図9】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図10】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図11】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図12】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図13】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図14】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図15】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図16】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図17】実施形態にかかる半導体装置の別の構造を模式的に説明する断面図。
図18】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図19】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図20】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図21】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図22】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図23】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図24】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図25】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
図26】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0009】
以下の説明では、直交座標系の一例であるXYZ座標系を用いる。すなわち、半導体装置1を構成する半導体基板10の表面と平行な平面をXY平面とし、XY平面と直交する方向をZ軸とする。また、X軸とY軸は、XY平面内における直交する2方向とする。なお、以下においては、説明の便宜上、半導体基板10の上下方向は、Z軸正方向側(トランジスタなどの回路素子が設けられる面)を上側とする相対的な上下関係を用いて説明するが、鉛直方向に従った上下関係を表すものではない。また、図面は模式的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
(1.半導体装置の構造)
図1は、実施形態にかかる半導体装置の構造を模式的に説明する断面図である。実施形態の半導体装置1は、例えば、NAND型フラッシュメモリなどの制御に用いられる周辺回路に適用可能である。半導体装置1は、回路素子として、高電圧トランジスタHV(High Voltage Transistor)と、低電圧トランジスタLV(Low Voltage Transistor)と、超低電圧トランジスタVLV(Very Low Voltage Transistor)と、抵抗容量素子RCとを有する。図1では、左側から順に、高電圧トランジスタHV、超低電圧トランジスタVLV、低電圧トランジスタLV、抵抗容量素子RCが図示されている。抵抗容量素子RCとは、抵抗素子としても、コンデンサとしても使用できる回路素子である。これらの回路素子は、半導体基板10上の設計された適切な位置にそれぞれ形成されており、必ずしも図1に示すように隣接して形成されていない場合がある。図1は、説明の便宜上、これらの回路素子をX方向に並べて図示したものである。
【0010】
半導体基板10は、上面に素子分離領域20が形成されている。素子分離領域20は、例えば、半導体基板10の上面から所定の深さまで形成されたトレンチにシリコン酸化膜などの絶縁膜が埋め込まれた構造を有する。素子分離領域20は、半導体基板10上面において、回路素子が形成される領域であるアクティブ領域を規定するものであり、一のアクティブ領域を他のアクティブ領域と電気的に分離するために、隣接するアクティブ領域の間に形成される。高電圧トランジスタHV、低電圧トランジスタLV、超低電圧トランジスタVLV、および、抵抗容量素子RCは、素子分離領域20によって電気的に分離された異なるアクティブ領域にそれぞれ形成される。
【0011】
まず、高電圧トランジスタHVの構造について説明する。アクティブ領域の半導体基板10上に、ゲート酸化膜11h、層間膜12、ゲート誘電体膜13を介して、ゲート電極15が形成されている。ゲート酸化膜11と層間膜12は、例えば、シリコン酸化膜である。ゲート誘電体膜13は、例えば、ハフニウムシリケート(HfSiO)などの高誘電率を有する絶縁膜である。ゲート酸化膜11h、層間膜12、ゲート誘電体膜13の3層の積層された膜は、高電圧トランジスタHVのゲート絶縁膜14hを構成する。ゲート電極15は、例えば、タングステン(W)やアルミニウム(Al)などの金属材料で形成されている。層間膜12とゲート誘電体膜13とは、ゲート電極15の側面も覆うように形成されている。また、ゲート電極15の側面に形成された層間膜12の外側の面、すなわち、層間膜12において、ゲート誘電体膜13と接している面と対向する面を被覆するように、側壁膜(サイドウォール)16が形成されている。サイドウォール16は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0012】
ゲート電極15のX方向右側と左側の半導体基板10中には、LDD(Lightly Doped Drain)領域21と、ソース・ドレイン領域22が形成されている。例えば、高電圧トランジスタHVがn型のMOSトランジスタ(NMOSトランジスタ)である場合、LDD領域21には、例えば、ヒ素(As)やリン(P)などのn型不純物が注入されている。また、ソース・ドレイン領域22には、例えば、ヒ素(As)やリン(P)などの不純物が注入されており、所定の深さまで拡散されている。ソース・ドレイン領域22は、LDD領域21よりも不純物濃度が高く形成されており、また、LDD領域21よりも半導体基板10上面から深い位置まで形成されている。高電圧トランジスタHVが形成されるアクティブ領域の半導体基板10中には、ウェル拡散層23が形成されている。高電圧トランジスタHVがNMOSトランジスタである場合、ウェル拡散層23には、例えば、ホウ素(B)などの不純物が注入されており、所定の深さまで拡散されている。
【0013】
ゲート電極15の上面、サイドウォール16、および、ソース・ドレイン領域22を覆うように、層間絶縁膜30が形成されている。層間絶縁膜30は、例えば、シリコン酸化膜である。層間絶縁膜30より上層には、図示しない配線層が形成されている。ゲート電極15の上側には、図示しない配線層とゲート電極15とを電気的に接続するためのコンタクトプラグ31が形成されている。すなわち、配線層の電位が、コンタクトプラグ31を介してゲート電極15に供給される。ソース・ドレイン領域22の上側には、図示しない配線層とソース・ドレイン領域22とを電気的に接続するためのコンタクトプラグ32が形成されている。すなわち、配線層の電位が、コンタクトプラグ32を介してソース・ドレイン領域22に供給される。
【0014】
低電圧トランジスタLVは、ゲート絶縁膜14l以外、高電圧トランジスタHVと同一の要素で構成されている。低電圧トランジスタLVのゲート絶縁膜14lは、ゲート酸化膜11lと、層間膜12と、ゲート誘電体膜13とから構成される。ゲート酸化膜11lは、例えばシリコン酸化膜である。ゲート酸化膜11lの膜厚は、高電圧トランジスタHVのゲート絶縁膜14hを構成するゲート酸化膜11hの膜厚よりも薄く形成されている。
【0015】
超低電圧トランジスタVLVは、ゲート絶縁膜14v以外、高電圧トランジスタHVと同一の要素で構成されている。超電圧トランジスタVLVのゲート絶縁膜14vは、層間膜12と、ゲート誘電体膜13とから構成される。
【0016】
次に、抵抗容量素子RCの構造について説明する。抵抗容量素子RCは、アクティブ領域の半導体基板10上に、第1絶縁膜41を介して、第1導電層42が形成されている。第1絶縁膜41は、ゲート酸化膜11lと同じ材料(例えば、シリコン酸化膜)で形成されており、ゲート酸化膜11lと同じ厚さである。第1導電層42は、例えば、多結晶シリコン(以下、ポリシリコンと示す)を用いて形成されている。第1導電層42の高さ(半導体基板10下面から第1導電層42上面までの高さ)は、ゲート電極15の高さ(半導体基板10下面からゲート電極15上面までの高さ)よりも低く形成されており、例えば、ゲート電極15の半分くらいの高さである。
【0017】
第1導電層42上には、ストッパー絶縁膜43、層間膜44、誘電体膜45を介して、第2導電層46が形成されている。ストッパー絶縁膜43は、例えばシリコン酸化膜で形成されている。層間膜44は、層間膜12と同じ材料(例えば、シリコン酸化膜)で形成されており、層間膜12と同じ膜厚である。誘電体膜45は、ゲート誘電体膜13と同じ材料(例えば、ハフニウムシリケート(HfSiO))で形成されており、ゲート誘電体膜13と同じ膜厚である。第2導電層46は、ゲート電極15と同じ材料(例えば、タングステン(W)やアルミニウム(Al)など)で形成されている。第2導電層46の幅(X方向の長さ)は、第1導電層42の幅よりも小さく形成されている。すなわち、第2導電層46のX方向右側と左側には、第1導電層42の上面が露出している。第2導電層46の高さ(半導体基板10下面から第2導電層46上面までの高さ)は、ゲート電極15の高さ(半導体基板10下面からゲート電極15上面までの高さ)と同じ高さである。第2絶縁膜47は、ストッパー絶縁膜43、層間膜44、および、誘電体膜45の3層の膜から構成される。層間膜44と誘電体膜45とは、第2導電層46の側面も覆うように形成されている。
【0018】
第2導電層46の側面に形成された層間膜44の外側の面、すなわち、層間膜44において、誘電体膜45と接している面と対向する面を被覆するように、サイドウォール48が形成されている。第1導電層42の側面にも、サイドウォール49が形成されている。サイドウォール48、49は、サイドウォール16と同じ材料(例えば、シリコン酸化膜)で形成されている。
【0019】
第1導電層42のX方向右側と左側の半導体基板10中には、第1不純物領域50と、第2不純物領域51が形成されている。第1不純物領域50は、高電圧トランジスタHV、低電圧トランジスタLV、超低電圧トランジスタVLVのいずれかのLDD領域21と同じ不純物が注入されている。第2不純物領域51は、高電圧トランジスタHV、低電圧トランジスタLV、超低電圧トランジスタVLVのいずれかのソース・ドレイン領域22と同じ不純物が注入されており、所定の深さまで拡散されている。抵抗容量素子RCが形成されるアクティブ領域の半導体基板10中には、ウェル拡散層52が形成されている。ウェル拡散層52、高電圧トランジスタHV、低電圧トランジスタLV、超低電圧トランジスタVLVのいずれかのウェル拡散層23と同じ不純物が注入されおり、所定の深さまで拡散されている。
【0020】
第1導電層42の上面、第2導電層46の上面、サイドウォール48、49、および、第2不純物領域51を覆うように、層間絶縁膜30が形成されている。層間絶縁膜30は、例えば、シリコン酸化膜である。層間絶縁膜30より上層には、図示しない配線層が形成されている。第1導電層42の上側には、図示しない配線層と第1導電層42とを電気的に接続可能とする第1コンタクトプラグ53が形成されている。第2導電層46の上側には、図示しない配線層と第2導電層46とを電気的に接続可能とする第2コンタクトプラグ54が形成されている。第2不純物領域51の上側には、図示しない配線層と第2不純物領域51とを電気的に接続可能とする第3コンタクトプラグ55が形成されている。
【0021】
抵抗容量素子RCは、2つのコンデンサが積層して形成された構造を有する。1つめのコンデンサ(第1コンデンサ)は、半導体基板10を一方電極とし、第1絶縁膜41を介して形成された第1導電層42を他方の電極とするものである。半導体基板10に形成された第2不純物領域51に接続されている第3コンタクトプラグ55と、第1導電層42に接続されている第1コンタクトプラグ53とを、図示しない配線層に接続することで、抵抗容量素子RCを第1コンデンサとして用いることができる。
【0022】
2つめのコンデンサ(第2コンデンサ)は、第1導電層42を一方の電極とし、第2絶縁膜47を介して形成された第2導電層46を他方の電極とするものである。第1導電層42に接続されている第1コンタクトプラグ53と、第2導電層46に接続されている第2コンタクトプラグ54とを、図示しない配線層に接続することで、抵抗容量素子RCを第2コンデンサとして用いることができる。
【0023】
また、第1導電層42は、ポリシリコンなど金属材料よりも高抵抗な材料で形成されている。従って、第1導電層42は抵抗配線として用いることができる。第1導電層42は
に形成された2つの第1コンタクトプラグと、図示しない配線層とを接続することで、抵抗容量素子RCを抵抗素子として用いることができる。なお、第2導電層46も、抵抗素子として使用することも可能である。すなわち、第1導電層42と第2導電層46とは、抵抗配線兼容量電極として形成されている。このように、抵抗容量素子RCは、図示しない配線層と、第1~第3コンタクトプラグ53~55との接続の仕方を変えることで、コンデンサとしても抵抗素子としても使用することができる。
(2.半導体装置の製造方法)
次に、実施形態にかかる半導体装置1の製造方法について、図2図16を用いて説明する。図2図16は、実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図である。まず、図2に示すように、半導体基板10上面から所定深さまでの部分に、イオン注入技術及び拡散技術を用いて不純物を注入・拡散させ、ウェル拡散層23、52を形成する。ウェル拡散層23の形成において、高電圧トランジスタHVの形成領域、低電圧トランジスタLVの形成領域、超低電圧トランジスタVLVの形成領域には、それぞれのトランジスタのキャリアに応じた不純物が注入される。キャリアが正孔であるPMOSトランジスタの場合、ヒ素(As)やリン(P)などのn型不純物が注入され拡散される。また、キャリアが電子であるNMOSトランジスタの場合、ボロン(B)などのp型不純物が注入され拡散される。抵抗容量素子RCにおけるウェル拡散層52には、高電圧トランジスタHVの形成領域、低電圧トランジスタLVの形成領域、超低電圧トランジスタVLV、のいずれかのウェル拡散層23に注入される不純物と同じものが注入される。
【0024】
続いて、熱酸化技術を用いて、高電圧トランジスタHVの形成領域にシリコン酸化膜61を形成する。また、熱酸化技術を用いて、低電圧トランジスタLVの形成領域、および、抵抗容量素子RCの形成領域に、シリコン酸化膜62を形成する。シリコン酸化膜61の膜厚は、シリコン酸化膜62の膜厚よりも厚く形成される。シリコン酸化膜61は、後の工程においてゲート絶縁膜14hに加工される。シリコン酸化膜62は、後の工程において、ゲート絶縁膜14lと第1絶縁膜41とに加工される。
【0025】
次に、図3に示すように、半導体基板10の上方全面に、CVD(Chemical Vapor Deposition)技術などを用いてポリシリコン膜63を成膜する。高電圧トランジスタHV、低電圧トランジスタLV、および、超低電圧トランジスタVLV形成領域のポリシリコン膜63は、後の工程において、ゲート電極15を形成するためのダミーゲートに加工される。抵抗容量素子RC形成領域のポリシリコン膜63は、後の工程において、第1導電層42に加工される。なお、第1導電層42を抵抗素子として用いる場合、抵抗値を調整するために、イオン注入技術などを用いてポリシリコン膜63に不純物を注入してもよい。
【0026】
続いて、図4に示すように、CVD技術を用いて、半導体基板10の上方全面にシリコン酸化膜64を成膜する。そして、フォトリソグラフィ技術と、RIE(Reactive Ion Etching)などの異方性エッチング技術を用い、抵抗容量素子RC形成領域以外のシリコン酸化膜64を選択的に除去する。抵抗容量素子RCに形成されたシリコン酸化膜64は、ストッパー絶縁膜43として機能する。なお、ストッパー絶縁膜43は、後述するポリシリコン膜65をエッチングする際にエッチングされにくい膜(選択比が高い膜)であればよく、シリコン酸化膜以外の材料で形成してもよい。そして、図5に示すように、半導体基板10の上方全面に、CVD技術などを用いてポリシリコン膜65を成膜する。ポリシリコン膜65は、後の工程において、にゲート電極15と第2導電層46とを形成するためのダミーゲートに加工される。さらに、図6に示すように、ポリシリコン膜65の上面に、CVD技術などを用いてシリコン窒化膜66を成膜する。
【0027】
次に、素子分離領域20を形成する。まず、高電圧トランジスタHV、低電圧トランジスタLV、超低電圧トランジスタVLV、および、抵抗容量素子RCの、それぞれのアクティブ領域以外の半導体基板10に、フォトリソグラフィ技術と異方性エッチング技術を用い、トレンチを形成する。そして、CVD技術などを用いて、半導体基板10の上方全面にシリコン酸化膜を成膜する。続いて、CMP(Chemical Mechanical Polishing)技術などを用いてシリコン窒化膜66をストッパーとしてシリコン酸化膜をエッチングし、シリコン窒化膜66の上面位置より上方のシリコン酸化膜を除去することで、図7に示すように、トレンチ内にシリコン酸化膜を埋め込む。このトレンチに埋め込まれたシリコン酸化膜が、素子分離領域20を形成する。
【0028】
続いて、半導体基板10の上方全面にレジスト67を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト67をパターニングする。このとき、抵抗容量素子RCのアクティブ領域以外の領域と、抵抗容量素子RCのアクティブ領域であって第1導電層42が形成される領域とがレジスト67で覆われるように、レジスト67はパターニングされる。そして、異方性エッチング技術を用い、レジスト67の開口から露出しているシリコン窒化膜66、ポリシリコン膜65、および、シリコン酸化膜64を順にエッチングし、開口の底面にポリシリコン膜63を露出させる(図8参照)。
【0029】
そして、抵抗容量素子RCのアクティブ領域であって第1導電層42が形成される領域を覆っているレジスト67をスリミング処理し、X方向のレジスト67の幅を細くする。より具体的には、抵抗容量素子RCのアクティブ領域については、サイドウォール48が形成される領域に囲まれた領域であって、第2導電層46、層間膜44、および、誘電体膜45が形成される領域のみがレジスト67に覆われるように、レジスト67をスリミング処理する。スリミング処理によって、図9に示すように、レジスト67のX方向右側と左側に、シリコン窒化膜66が露出する。
【0030】
この状態で、異方性エッチング技術を用いて、図10に示すように、シリコン窒化膜66、ポリシリコン膜65、シリコン酸化膜64、ポリシリコン膜63を選択的に除去する。シリコン窒化膜66、ポリシリコン膜65、およびシリコン酸化膜64は、レジスト67をマスクとしてエッチングされる。すなわち、シリコン窒化膜66、ポリシリコン膜65、およびシリコン酸化膜64において、上方にレジスト67が形成されていない部分が選択的に除去される。図8から図10を用いて説明した工程により、ポリシリコン膜65からなるダミーゲート68が形成される。また、シリコン酸化膜64からなるストッパー絶縁膜43が形成される。
【0031】
また、ポリシリコン膜63は、ポリシリコン膜65がエッチングされる際に、同時にエッチングされる。このとき、ポリシリコン膜63は、ポリシリコン膜65をマスクとしてエッチングされる。すなわち、上方にポリシリコン膜65が形成されていない部分(図8において、レジスト67が形成された領域以外の部分)が選択的に除去され、ポリシリコン膜63からなる第1導電層42が形成される。
【0032】
次に、高電圧トランジスタHV、低電圧トランジスタLV、超低電圧トランジスタVLVのゲート電極15を形成するためのダミーゲート69を形成する。それぞれのトランジスタのアクティブ領域において、サイドウォール16が形成される領域に囲まれた領域であって、ゲート電極15、層間膜12、および、ゲート誘電体膜13が形成される領域のみがレジストに覆われるように、フォトリソグラフィ技術を用いてレジストをパターニングする。このとき、抵抗容量素子RCのアクティブ領域は、レジストで覆われるようにする。そして、異方性エッチング技術を用いて、レジストの開口から露出しているシリコン窒化膜66、ポリシリコン膜65、ポリシリコン膜63を順にエッチングする。これにより、高電圧トランジスタHV、低電圧トランジスタLV、超低電圧トランジスタVLVのそれぞれのアクティブ領域において、ポリシリコン膜65とポリシリコン膜63の2層のポリシリコン膜からなるダミーゲート69が形成される。
【0033】
レジストを除去後、イオン注入技術を用いて、ダミーゲート68、69のX方向左側と右側の半導体基板10中(上面からごく浅い領域)に不純物を注入し、LDD領域21と第1不純物領域50とを形成する(図11参照)。形成されるトランジスタがNMOSトランジスタの場合、例えば、ヒ素(As)やリン(P)などのn型不純物が注入される。形成されるトランジスタがPMOSトランジスタの場合、例えば、ボロン(B)などのp型不純物が注入される。抵抗容量素子RCのアクティブ領域には、高電圧トランジスタHVの形成領域、低電圧トランジスタLVの形成領域、超低電圧トランジスタVLV、のいずれかのLDD領域21に注入される不純物と同じものが注入される。
【0034】
続いて、半導体基板10の上方全面に、CVD技術などを用いてシリコン酸化膜を成膜する。さらに、成膜したシリコン酸化膜を、異方性エッチング技術を用いてエッチバックし、サイドウォールを形成する。具体的には、ダミーゲート69の側面にサイドウォール16を形成し、ダミーゲート68の側面にサイドウォール48を形成し、第1導電層42の側面にサイドウォール49を形成する。
【0035】
イオン注入技術を用いて、サイドウォール16、49のX方向左側と右側の半導体基板10に不純物を注入し、ソース・ドレイン領域22と第2不純物領域51とを形成する(図12参照)。形成されるトランジスタがNMOSトランジスタの場合、例えば、ヒ素(As)やリン(P)などのn型不純物が注入される。形成されるトランジスタがPMOSトランジスタの場合、例えば、ボロン(B)などのp型不純物が注入される。抵抗容量素子RCのアクティブ領域には、高電圧トランジスタHVの形成領域、低電圧トランジスタLVの形成領域、超低電圧トランジスタVLV、のいずれかのソース・ドレイン領域22に注入される不純物と同じものが注入される。
【0036】
次に、半導体基板10の上方全面に、CVD技術などを用いてシリコン酸化膜70を成膜する。CMP技術などを用いてシリコン窒化膜66をストッパーとしてシリコン酸化膜70をエッチングし、図13に示すように、シリコン窒化膜66の上面位置より上方のシリコン酸化膜70を除去する。
【0037】
続いて、シリコン窒化膜を選択的に除去可能な薬液(例えば、熱リン酸)などを用いた等方性エッチング技術により、シリコン窒化膜66を除去する。なお、シリコン窒化膜66の除去は、シリコン酸化膜70をマスクする異方性エッチングにより行ってもよい。そして、ポリシリコンを選択的に除去可能な薬液(例えば、フッ硝酸)を用いた等方性エッチング技術により、ダミーゲート68、69を除去する。ダミーゲート68、69の除去も、シリコン酸化膜70をマスクとする異方性エッチングにより行ってもよい。この2段階の除去工程により、図14に示すように、サイドウォール16、48の内側にトレンチが形成される。
【0038】
次に、半導体基板10の上方全面に、CVD技術などを用いてシリコン酸化膜71を成膜する。続いて、シリコン酸化膜71の表面に、CVD技術などを用いて高誘電体材料(例えば、ハフニウムシリケート(HfSiO))を用いた絶縁膜72を成膜する。続いて、絶縁膜72の表面に、CVD技術などを用いて金属材料(例えば、タングステン(W)やアルミニウム(Al))を用いた導電膜73を成膜する。3回の成膜によって、図15に示すような構造が形成される。
【0039】
そして、CMP技術などを用いて、シリコン酸化膜70をストッパーとして導電膜73、絶縁膜72、及び、シリコン酸化膜71をエッチングし、層間絶縁膜30の上面位置より上方のこれらの膜を除去することで、図16に示す構造が形成される。具体的には、サイドウォール16の内側に形成されたトレンチ内に、導電膜73からなるゲート電極15が形成され、ゲート電極15の下面と側面とを覆うように、絶縁膜72からなるゲート誘電体膜13が形成され、ゲート誘電体膜13の下面と側面とを覆うように、シリコン酸化膜71からなる層間膜12が形成される。また、サイドウォール48の内側に形成されたトレンチ内に、導電膜73からなる第2導電層46が形成され、第2導電層46の下面と側面とを覆うように、絶縁膜72からなる誘電体膜45が形成され、誘電体膜45の下面と側面とを覆うように、シリコン酸化膜71からなる層間膜44が形成される。
【0040】
続いて、半導体基板10の上方全面に、CVD技術などを用いてシリコン酸化膜を成膜し、ゲート電極15の上面と第2導電層46の上面とを覆う。このシリコン酸化膜と、先に形成されたシリコン酸化膜70とにより、層間絶縁膜30が形成される。そして、フォトリソグラフィ技術と異方性エッチング技術を用いて、層間絶縁膜30を貫通し、半導体基板10のソース・ドレイン領域22に底面が達する孔(コンタクトホール)を形成する。層間絶縁膜30には、同時に、ゲート電極15に底面が達するコンタクトホール、半導体基板10の第2不純物領域51に底面が達するコンタクトホール、第1導電層42に底面が達するコンタクトホール、第2導電層46に底面が達するコンタクトホールも形成される。最後に、CVD技術などを用いてコンタクトホール内に金属材料を埋め込んでコンタクトプラグ31、32、および、第1~第3コンタクトプラグ53~55を形成する。以上に示す一連の手順を実行することで、図1に示す構造の半導体装置1が形成される。
【0041】
このように、本実施形態の半導体装置は、抵抗容量素子RCが、半導体基板10、第1絶縁膜41、第1導電層42、第2絶縁膜47、第2導電層46を積層して形成されている。第1導電層42はポリシリコンで形成されており、第2導電層46は、金属材料で形成されている。このような構成により、半導体基板10、第1絶縁膜41、第1導電層42の3層を用いることで、抵抗容量素子RCを第1コンデンサとして使用することができる。また、第1導電層42、第2絶縁膜47、第2導電層46の3層を用いることで、抵抗容量素子RCを第2コンデンサとして使用することができる。また、ポリシリコンで形成された第1導電層42は、金属材料を用いた配線よりも高抵抗であるので、抵抗素子として用いることができる。第1コンデンサと、第2コンデンサを積層して形成し、また、コンデンサの電極の少なくとも1つをポリシリコンで形成することで同電極を抵抗として使用することができる。故に、実施形態の半導体装置は、コンデンサと抵抗素子とを面積効率よく配置することができる。
【0042】
また、本実施形態の半導体装置の製造方法によれば、MOSトランジスタ(高電圧トランジスタHV、低電圧トランジスタLV、超低電圧トランジスタVLV)を製造する際に、ポリシリコンでダミーゲート69を形成後に、ダミーゲート69を除去して金属材料を用いた導電膜と置換する工程を用いて、抵抗容量素子RCの第1導電層42、第2絶縁膜47、第2導電層46を形成している。具体的には、MOSトランジスタは、ポリシリコン膜63、65を順に堆積させて、2層構造のダミーゲート69を形成する。抵抗容量素子RCは、ポリシリコン膜63を堆積後に、シリコン酸化膜64を堆積してからポリシリコン膜65を堆積させ、ポリシリコン膜65のみでダミーゲート68を形成する。MOSトランジスタのダミーゲート69を構成する2層のポリシリコン膜63、65を一括で除去する工程において、抵抗容量素子RCのダミーゲート68は、シリコン酸化膜64がエッチングストッパーとなり、上層のポリシリコン膜65のみが除去されて、下層のポリシリコン膜63は残存する。また、シリコン酸化膜64も除去されずに残存する。すなわち、MOSトランジスタを形成する工程を用いて、抵抗素子と、2つのコンデンサとが積層された抵抗容量素子RCを形成することができる。故に、実施形態の半導体装置の製造方法によれば、CMOSトランジスタと、コンデンサと、抵抗素子とを効率よく製造することができる。
【0043】
なお、図1に示す実施形態の半導体装置は、抵抗容量素子RCを構成する第1導電層42と第2導電層46の幅を第1導電層42の幅より狭く形成し、第1導電層42と第2導電層46とで階段構造を形成しているが、階段構造とせずに第1導電層42の幅と第2導電層46の幅を同じ幅で形成してもよい。
【0044】
図17は、実施形態にかかる半導体装置の別の構造を模式的に説明する断面図である。図17に示す半導体装置1'は、抵抗容量素子RC'の構造が、図1に示す半導体装置1の構造と異なる。高電圧トランジスタHV、低電圧トランジスタLV、超低電圧トランジスタVLVの構造は、図1に示す半導体装置1と同様である。図1に示す半導体装置1と同じ構成要素については同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成要素について以下に説明する。
【0045】
図17に示す半導体装置1'の抵抗容量素子RC'は、アクティブ領域の半導体基板10上に、第1絶縁膜41を介して、第1導電層42が形成されている。第1導電層42上には、ストッパー絶縁膜43、層間膜44、誘電体膜45を介して、第2導電層46'が形成されている。第2導電層46'の幅(X方向の長さ)は、第1導電層42の幅と同じ幅で形成されている。第1導電層42の側面、及び、第2導電層46の側面に形成された層間膜44の外側の面、すなわち、層間膜44において、誘電体膜45と接している面と対向する面を被覆するように、サイドウォール48'が形成されている。層間絶縁膜30は、第2導電層46'の上面、サイドウォール48'、および、第2不純物領域51を覆うように形成されている。
【0046】
第2導電層46'には、スルーホール56が形成されている。図17では、2つのスルーホール56がX方向に並べて形成されている。スルーホール56は、第2導電層46'の上面から第1導電層42の上面までの貫通する孔であって、スルーホール56の内壁には、例えばシリコン酸化膜で形成されたスペーサ絶縁膜57が形成されている。スペーサ絶縁膜57の内側には、導電性材料からなる第4コンタクトプラグ58が形成されている。第4コンタクトプラグ58の上側には、図示しない配線層と第4コンタクトプラグ58とを電気的に接続可能とする、第5コンタクトプラグ59が形成されている。第1導電層42は、第5コンタクトプラグ59と第4コンタクトプラグ58とを介して、図示しない配線層と電気的に接続可能である。
【0047】
図17に示す半導体装置1'の製造方法について説明する。ウェル拡散層23,52の形成から素子分離領域20の形成までは、図2図7に示す半導体装置1の製造工程と同様であるので、説明を省略する。素子分離領域20形成後の製造方法について、図18図26を用いて説明する。図18図26は、実施形態の半導体装置の製造工程の一例を示す断面図である。図7に示すように素子分離領域20まで形成した後、半導体基板10の上方全面にレジスト67を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト67をパターニングする。このとき、抵抗容量素子RC'のアクティブ領域以外の領域と、抵抗容量素子RCのアクティブ領域であって第1導電層42が形成される領域とがレジスト67で覆われるように、レジスト67はパターニングされる。そして、異方性エッチング技術を用い、レジスト67の開口から露出しているシリコン窒化膜66、ポリシリコン膜65、シリコン酸化膜64、および、ポリシリコン膜63を順にエッチングし、開口の底面にシリコン酸化膜62を露出させる(図18参照)。このエッチングにより、ポリシリコン膜65からダミーゲート68が形成され、シリコン酸化膜64からストッパー絶縁膜43が形成され、ポリシリコン膜63から第1導電層42が形成される。
【0048】
続いて、次に、高電圧トランジスタHV、低電圧トランジスタLV、超低電圧トランジスタVLVのゲート電極15を形成するためのダミーゲート69を形成する。それぞれのトランジスタのアクティブ領域において、サイドウォール16が形成される領域に囲まれた領域であって、ゲート電極15、層間膜12、および、ゲート誘電体膜13が形成される領域のみがレジストに覆われるように、フォトリソグラフィ技術を用いてレジストをパターニングする。このとき、抵抗容量素子RC'のアクティブ領域は、レジストで覆われるようにする。そして、異方性エッチング技術を用いて、レジストの開口から露出しているシリコン窒化膜66、ポリシリコン膜65、ポリシリコン膜63を順にエッチングする。これにより、高電圧トランジスタHV、低電圧トランジスタLV、超低電圧トランジスタVLVのそれぞれのアクティブ領域において、ポリシリコン膜65とポリシリコン膜63の2層のポリシリコン膜からなるダミーゲート69が形成される。
【0049】
レジストを除去後、イオン注入技術を用いて、ダミーゲート68、69のX方向左側と右側の半導体基板10中(上面からごく浅い領域)に不純物を注入し、LDD領域21と第1不純物領域50とを形成する(図19参照)。抵抗容量素子RC'のアクティブ領域には、高電圧トランジスタHVの形成領域、低電圧トランジスタLVの形成領域、超低電圧トランジスタVLV、のいずれかのLDD領域21に注入される不純物と同じものが注入される。
【0050】
続いて、半導体基板10の上方全面に、CVD技術などを用いてシリコン酸化膜を成膜する。さらに、RIEなどの異方性エッチング技術を用いて成膜したシリコン酸化膜をエッチバックし、サイドウォールを形成する。具体的には、ダミーゲート69の側面にサイドウォール16を形成し、ダミーゲート68と第1導電層42の側面にサイドウォール48'を形成する。
【0051】
イオン注入技術を用いて、サイドウォール16、48'のX方向左側と右側の半導体基板10に不純物を注入し、ソース・ドレイン領域22と第2不純物領域51とを形成する(図20参照)。抵抗容量素子RC'のアクティブ領域には、高電圧トランジスタHVの形成領域、低電圧トランジスタLVの形成領域、超低電圧トランジスタVLV、のいずれかのソース・ドレイン領域22に注入される不純物と同じものが注入される。
【0052】
次に、半導体基板10の上方全面に、CVD技術などを用いてシリコン酸化膜70を成膜する。CMP技術などを用いてシリコン窒化膜66をストッパーとしてシリコン酸化膜70をエッチングし、図21に示すように、シリコン窒化膜66の上面位置より上方のシリコン酸化膜70を除去する。
【0053】
続いて、薬液(例えば、熱リン酸)などを用いた等方性エッチング技術により、シリコン窒化膜66を除去する。なお、シリコン窒化膜66の除去は、シリコン酸化膜70をマスクする異方性エッチングにより行ってもよい。そして、薬液(例えば、フッ硝酸)を用いた等方性エッチング技術により、ダミーゲート68、69を除去する。ダミーゲート68、69の除去も、シリコン酸化膜70をマスクとする異方性エッチングにより行ってもよい。この2段階の除去工程により、図22に示すように、サイドウォール16、48'の内側にトレンチが形成される。
【0054】
次に、半導体基板10の上方全面に、CVD技術などを用いてシリコン酸化膜71を成膜する。続いて、シリコン酸化膜71の表面に、CVD技術などを用いて高誘電体材料(例えば、ハフニウムシリケート(HfSiO))を用いた絶縁膜72を成膜する。続いて、絶縁膜72の表面に、CVD技術などを用いて金属材料(例えば、タングステン(W)やアルミニウム(Al))を用いた導電膜73を成膜する。3回の成膜によって、図23に示すような構造が形成される。
【0055】
そして、CMP技術などを用いてシリコン酸化膜70をストッパーとして導電膜73、絶縁膜72、及び、シリコン酸化膜71をエッチングし、層間絶縁膜30の上面位置より上方のこれらの膜を除去することで、図24に示す構造が形成される。具体的には、サイドウォール16の内側に形成されたトレンチ内に、導電膜73からなるゲート電極15が形成され、ゲート電極15の下面と側面とを覆うように、絶縁膜72からなるゲート誘電体膜13が形成され、ゲート誘電体膜13の下面と側面とを覆うように、シリコン酸化膜71からなる層間膜12が形成される。また、サイドウォール48'の内側に形成されたトレンチ内に、導電膜73からなる第2導電層46'が形成され、第2導電層46'の下面と側面とを覆うように、絶縁膜72からなる誘電体膜45が形成され、誘電体膜45の下面と側面とを覆うように、シリコン酸化膜71からなる層間膜44が形成される。
【0056】
続いて、図25に示すように、フォトリソグラフ技術と異方性エッチング技術とを用いて、第2導電層46'の上面から、第2導電層46'、誘電体膜45、層間膜44、ストッパー絶縁膜43、の各層を貫通して第1導電層42の上面に達する孔(スルーホール)56を形成する。
【0057】
そして、CVD技術と異方性エッチング技術とを用いて、スルーホール56の内壁に、例えばシリコン酸化膜からなるスペーサ絶縁膜57を形成する。このとき、スルーホール56の底面において第1導電層42が露出するように、スルーホール56の底面に形成されたシリコン酸化膜は除去する。そして、CVD技術またはスパッタリング技術などを用いて、例えば、タングステン(W)やアルミニウム(Al)などの導電性材料(金属材料)をスルーホール56内に充填し、図26に示すように第4コンタクトプラグ58を形成する。
【0058】
さらに、半導体基板10の上方全面に、CVD技術などを用いてシリコン酸化膜を成膜し、ゲート電極15の上面と第2導電層46の上面とを覆う。このシリコン酸化膜と、先に形成されたシリコン酸化膜70とにより、層間絶縁膜30が形成される。そして、フォトリソグラフィ技術と異方性エッチング技術を用いて、層間絶縁膜30を貫通し、半導体基板10のソース・ドレイン領域22に底面が達する孔(コンタクトホール)を形成する。層間絶縁膜30には、同時に、ゲート電極15に底面が達するコンタクトホール、半導体基板10の第2不純物領域51に底面が達するコンタクトホール、第4コンタクトプラグ58に底面が達するコンタクトホール、第2導電層46に底面が達するコンタクトホールも形成される。最後に、CVD技術などを用いてコンタクトホール内に金属材料を埋め込んでコンタクトプラグ31、32、第1コンタクトプラグ53、第2コンタクトプラグ54、及び、第5コンタクトプラグ59を形成する。以上に示す一連の手順を実行することで、図17に示す構造の半導体装置1'が形成される。
【0059】
上述した構造の半導体装置1'は、第2導電層46'の幅が第1導電層42の幅と等しく形成されているので、第1導電層42、第2絶縁膜47、第2導電層46'の3層で形成される第2コンデンサの電極面積を増加させることができる。故に、第2コンデンサの容量を増加させることができる。また、第2導電層46'の上面であれば任意の場所にスルーホール56を形成することができるので、半導体装置1'の回路設計の自由度が増す。
【0060】
以上に説明した本発明の実施形態は、一例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1…半導体装置、10…半導体基板、11h、11l…ゲート酸化膜、12…層間膜、13…ゲート誘電体膜、14h、14l、14v…ゲート絶縁膜、15…ゲート電極、16…側壁膜(サイドウォール)、20…素子分離領域、21…LDD領域、22…ソース・ドレイン領域、23…ウェル拡散層、30…層間絶縁膜、31、32…コンタクトプラグ、41…第1絶縁膜、42…第1導電膜、43…ストッパー絶縁膜、44…層間膜、45…誘電体膜、46…第2導電層、47…第2絶縁膜、48、49…サイドウォール、50…第1不純物領域、51…第2不純物領域、53…第1コンタクトプラグ、54…第2コンタクトプラグ、55…第3コンタクトプラグ、
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