(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043352
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 5/14 20060101AFI20240322BHJP
G11C 16/30 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
G11C5/14 550
G11C16/30 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148491
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 克彰
(72)【発明者】
【氏名】立神亨
【テーマコード(参考)】
5B225
【Fターム(参考)】
5B225CA15
5B225CA25
5B225EA05
5B225EG02
5B225EG10
5B225FA02
(57)【要約】
【課題】 ピーク電流を抑制する。
【解決手段】 実施形態の半導体記憶装置は、レベルシフタを含む第1領域と、レベルシフタを含む第2領域と、第1電源電圧が供給される電源入力用パッドと、前記第1電源電圧を用いて内部電源電圧を生成し生成した前記内部電源電圧を前記第1及び第2領域に供給する内部電源生成回路と、を具備し、前記内部電源生成回路は、前記第1領域の第1動作の動作開始を指示する第1信号と、前記第2領域の第2動作の動作開始を指示する第2信号とを個別に送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベルシフタを含む第1領域と、
レベルシフタを含む第2領域と、
第1電源電圧が供給される電源入力用パッドと、
前記第1電源電圧を用いて内部電源電圧を生成し生成した前記内部電源電圧を前記第1及び第2領域に供給する内部電源生成回路と、を具備し、
前記内部電源生成回路は、前記第1領域の第1動作の動作開始を指示する第1信号と、前記第2領域の第2動作の動作開始を指示する第2信号とを個別に送信する
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1及び第2領域は、それぞれ、異なるプレーン内の領域である
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記プレーンは、メモリセルアレイと、前記メモリセルアレイを駆動するセンスアンプ及びロウデコーダとにより構成される
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記内部電源生成回路は、前記第1動作の動作期間と前記第2動作の動作期間とを、異なる期間に設定する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記内部電源生成回路は、前記第1動作の動作期間と前記第2動作の動作期間とを、相互に重複しない期間に設定する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記内部電源生成回路は、
前記第1電源電圧を用いて、第1タイミングまでに初期電圧レベルの前記内部電源電圧を生成し、前記第1タイミング以降の第2タイミングまでに通常電圧レベルの前記内部電源電圧を生成する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記内部電源生成回路は、前記第2タイミング以降に前記第1及び第2信号を送信する
請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
チップアドレスが供給されるチップアドレス指定パッドをさらに含み、
前記内部電源生成回路は、第1信号と第2信号の送信タイミングを前記チップアドレスに応じて調整する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1領域は、
前記レベルシフタ と前記内部電源電圧 との間に接続されたP型の第1トランジスタと、
前記レベルシフタの出力端子と接地電圧との間に接続されたN型の第2トランジスタとを含み、
前記第1信号は、前記第1トランジスタのゲートと前記第2トランジスタのゲートとに供給される、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体記憶装置としてNAND型メモリが普及している。
【0003】
このような半導体記憶装置においては、ピーク電流を抑制するという要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、ピーク電流を抑制することができる半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体記憶装置は、レベルシフタを含む第1領域と、レベルシフタを含む第2領域と、第1電源電圧が供給される電源入力用パッドと、前記第1電源電圧を用いて内部電源電圧を生成し生成した前記内部電源電圧を前記第1及び第2領域に供給する内部電源生成回路と、を具備し、前記内部電源生成回路は、前記第1領域の第1動作の動作開始を指示する第1信号と、前記第2領域の第2動作の動作開始を指示する第2信号とを個別に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に関わるメモリシステムの構成例を示すブロック図。
【
図2】本実施形態の不揮発性メモリの構成例を示すブロック図。
【
図3】
図2中の複数のプレーンの具体的な構成の一例を示すブロック図。
【
図4】本実施形態の不揮発性メモリ2における3次元構造のNANDメモリセルアレイ23のブロックBLKの等価回路を示す図。
【
図5】本実施形態の不揮発性メモリ2における3次元構造のNANDメモリセルアレイ23のブロックBLKの構成例を示す図。
【
図6】MUXスイッチ29及びロウデコーダ25の構成の一例を示すブロック図。
【
図7】ブロックデコーダの構成の一例を示すブロック図。
【
図8】レベル変換回路の構成の一例を示すブロック図。
【
図9】チップ内電源生成回路40の具体的構成の一例を示すブロック図。
【
図10】レベルシフタを含む回路の一例を示す回路図。
【
図11】レベルシフタの動作を説明するための波形図。
【
図12】動作許可信号VDDREADYn_Cの出力を考慮したレベルシフタの出力を説明するための波形図。
【
図13】レベルシフタの利用例を説明するための説明図。
【
図14】レベルシフタの利用例を説明するための説明図。
【
図15】各プレーンPBに供給される動作許可信号VDDREADYn_Cを説明するための説明図。
【
図16】実施形態におけるICC電流のピークを説明するための説明図。
【
図18】チップ内電源生成回路50の構成の一例を示すブロック図。
【
図19】偶数チップアドレスのメモリチップ2による第1グループと奇数チップアドレスのメモリチップ2による第2グループとを示す説明図。
【
図20】上段に第1グループ、下段に第2グループの各メモリチップ2における動作許可信号VDDREADYn_Cを説明するための説明図。
【
図21】第2の実施形態におけるICC電流を示す波形図。
【
図22】各メモリチップ2に構成されるレベルシフタの例を示す図。
【
図23】第2実施形態におけるICC電流のピークを説明するための説明図。
【
図25】変形例におけるICC電流のピークを説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
本実施の形態は、動作開始(リセット解放)タイミングを調整することで、ピーク電流を抑制するものである。
【0010】
(メモリシステムの構成)
図1は、実施形態に関わるメモリシステムの構成例を示すブロック図である。本実施形態のメモリシステムは、メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2とを備える。メモリシステムは、ホストと接続可能である。ホストは、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末などの電子機器である。
【0011】
不揮発性メモリ2は、データを不揮発に記憶する半導体記憶装置であり、例えば、NAND型メモリにより構成される。本実施形態では、不揮発性メモリ2は、メモリセルトランジスタあたり3bitを記憶可能なメモリセルトランジスタを有するNANDメモリ、すなわち3bit/Cell(TLC:Triple Level Cell)のNANDメモリであるとして説明するが、これに限定されるものではない。不揮発性メモリ2は、3次元化されている。
【0012】
メモリコントローラ1は、ホストからの書き込みリクエストに従って不揮発性メモリ2へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ1は、ホストからの読み出しリクエストに従って不揮発性メモリ2からのデータの読み出しを制御する。メモリコントローラ1は、RAM(Random Access Memory)11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC(Error Check and Correct)回路14およびメモリインターフェイス15を備える。RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC回路14およびメモリインターフェイス15は、互いに内部バス16により接続される。
【0013】
ホストインターフェイス13は、ホストから受信したリクエスト、ユーザデータである書き込みデータなどを内部バス16に出力する。また、ホストインターフェイス13は、不揮発性メモリ2から読み出されたユーザデータ、プロセッサ12からの応答などをホストへ送信する。
【0014】
メモリインターフェイス15は、プロセッサ12の指示に基づいてユーザデータ等を不揮発性メモリ2へ書き込む処理および不揮発性メモリ2から読み出す処理を制御する。
【0015】
プロセッサ12は、メモリコントローラ1を統括的に制御する。プロセッサ12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。プロセッサ12は、ホストからホストインターフェイス13経由でリクエストを受けた場合に、そのリクエストに従った制御を行う。例えば、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、不揮発性メモリ2へのユーザデータおよびパリティの書き込みをメモリインターフェイス15へ指示する。また、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、不揮発性メモリ2からのユーザデータおよびパリティの読み出しを、メモリインターフェイス15へ指示する。
【0016】
プロセッサ12は、RAM11に蓄積されるユーザデータに対して、不揮発性メモリ2上の格納領域(以下、メモリ領域という)を決定する。ユーザデータは、内部バス16経由でRAM11に格納される。プロセッサ12は、メモリ領域の決定を、書き込み単位であるページ単位のデータ、すなわちページデータ、に対して実施する。本明細書では、不揮発性メモリ2の1ページに格納されるユーザデータをユニットデータと定義する。ユニットデータは、例えば、符号化されて符号語として不揮発性メモリ2に格納される。
【0017】
なお、符号化は必須ではない。メモリコントローラ1は、符号化せずにユニットデータを不揮発性メモリ2に格納してもよいが、
図1では、一構成例として符号化を行う構成を示している。メモリコントローラ1が符号化を行わない場合には、ページデータはユニットデータと一致する。また、1つのユニットデータに基づいて1つの符号語が生成されてもよいし、ユニットデータが分割された分割データに基づいて1つの符号語が生成されてもよい。また、複数のユニットデータを用いて1つの符号語が生成されてもよい。
【0018】
プロセッサ12は、ユニットデータごとに書き込み先の不揮発性メモリ2のメモリ領域を決定する。不揮発性メモリ2のメモリ領域には物理アドレスが割当てられている。プロセッサ12は、ユニットデータの書き込み先のメモリ領域を、物理アドレスを用いて管理する。プロセッサ12は、決定したメモリ領域の物理アドレスを指定してユーザデータを不揮発性メモリ2へ書き込むようメモリインターフェイス15へ指示する。プロセッサ12は、ユーザデータの論理アドレス(ホストが管理する論理アドレス)と物理アドレスとの対応を管理する。プロセッサ12は、ホストからの論理アドレスを含む読み出しリクエストを受信した場合は、論理アドレスに対応する物理アドレスを特定し、物理アドレスを指定してユーザデータの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0019】
ECC回路14は、RAM11に格納されたユーザデータを符号化して符号語を生成する。また、ECC回路14は、不揮発性メモリ2から読み出された符号語を復号する。
RAM11は、ホストから受信したユーザデータを不揮発性メモリ2へ記憶するまでに一時格納したり、不揮発性メモリ2から読み出したデータをホストへ送信するまでに一時格納する。RAM11は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの汎用メモリである。
【0020】
図1では、メモリコントローラ1が、ECC回路14とメモリインターフェイス15をそれぞれ備える構成例を示した。しかしながら、ECC回路14がメモリインターフェイス15に内蔵されていてもよい。また、ECC回路14が、不揮発性メモリ2に内蔵されていてもよい。
【0021】
ホストから書き込みリクエストを受信した場合、メモリコントローラ1は次のように動作する。プロセッサ12は、書き込みデータをRAM11に一時記憶させる。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを読み出し、ECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力されたデータを符号化し、符号語をメモリインターフェイス15に与える。メモリインターフェイス15は、入力された符号語を不揮発性メモリ2に書き込む。
【0022】
ホストから読み出しリクエストを受信した場合、メモリコントローラ1は次のように動作する。メモリインターフェイス15は、不揮発性メモリ2から読み出した符号語をECC回路14に与える。ECC回路14は、入力された符号語を復号し、復号されたデータをRAM11にストアする。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを、ホストインターフェイス13を介してホストに送信する。
【0023】
(不揮発性メモリの概略構成)
図2は、本実施形態の不揮発性メモリの構成例を示すブロック図である。また、
図3は
図2中の複数のプレーンの具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
不揮発性メモリ2は、ロジック制御回路21、入出力回路22、レジスタ26、シーケンサ27、入出力用パッド群32、ロジック制御用パッド群34、電源入力用パッド群35及び、複数のプレーンPB0,PB1,…(以下、これらのプレーンPB0,PB1,…を区別する必要がない場合にはプレーンPBという)を備えている。なお、
図2ではプレーンPBのプレーン数が4の例を示しているが、不揮発性メモリ2が備えるプレーンの数はこれに限られるものではない。例えば、不揮発性メモリ2が備えるプレーンの数は2、3、8、16等であってもよい。
【0025】
入出力用パッド群32は、メモリコントローラ1との間でデータを含む各信号の送受信を行うため、信号DQ<7:0>、及び、データストローブ信号DQS、/DQSに対応する複数の端子(パッド)を備えている。
【0026】
先頭に記号"/"が付された信号 は、アクティブ・ローまたは負論理であることを示す。すなわち、先頭に記号"/"が付されていない信号は、"H"レベルのときにアクティブになるのに対して、先頭に記号"/"が付された信号は、"L"レベルのときにアクティブになる。
【0027】
ロジック制御用パッド群34は、メモリコントローラ1との間で各信号の送受信を行うため、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE、/RE、ライトプロテクト信号/WP、及びレディー/ビジー信号R/Bに対応する複数の端子(パッド)を備えている。
【0028】
信号/CEは、不揮発性メモリ2の選択を可能にする。信号CLEは、信号DQとして送信されるコマンドをコマンドレジスタにラッチすることを可能にする。信号ALEは、信号DQとして送信されるアドレスをアドレスレジスタにラッチすることを可能にする。信号/WEは、書き込みを可能にする。信号RE,/REは、読み出しを可能にする。信号/WPは、書き込み及び消去を禁止する。信号R/Bは、不揮発性メモリ2がレディー状態(外部からの命令を受け付けることが可能である状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けることができない状態)であるかを示す。メモリコントローラ1は、信号R/Bを受けることで、不揮発性メモリ2の状態を知ることができる。
【0029】
電源入力用パッド群35は、外部から不揮発性メモリ2に、種々の動作電源を供給するため、電源電圧VCC、VCCQ、VPPと、接地電圧VSSを入力する複数の電源パッドを備えている。電源電圧VCCは、動作電源として一般的に外部から与えられる回路電源電圧であり、例えば3.3V程度の電圧である。電源電圧VCCQは、例えば1.2Vの電圧である。電源電圧VCCQは、メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2との間で信号を送受信する際に用いられる。電源電圧Vppは、電源電圧VCCよりも高圧の電源電圧であり、例えば12Vの電圧である。
【0030】
電源入力用パッド群35からの各種電圧は、チップ内電源生成回路40に供給される。チップ内電源生成回路40は、後述するように、不揮発性メモリ2内で用いる各種電源電圧を生成して、不揮発性メモリ2内の各部に供給する。
【0031】
ロジック制御回路21及び入出力回路22は、NANDバスを介して、メモリコントローラ1に接続される。入出力回路22は、メモリコントローラ1との間でNANDバスを介して、信号DQ(例えばDQ0~DQ7)を送受信する。
【0032】
ロジック制御回路21は、メモリコントローラ1からNANDバスを介して、外部制御信号(例えば、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、書き込みイネーブル信号/WE、読み出しイネーブル信号RE,/RE、及びライトプロテクト信号/WP)を受信する。また、ロジック制御回路21は、NANDバスを介して、メモリコントローラ1にレディー/ビジー信号R/Bを送信する。
【0033】
レジスタ26は、コマンドレジスタ、アドレスレジスタ、及びステータスレジスタなどを備える。コマンドレジスタは、コマンドを一時的に保持する。アドレスレジスタは、アドレスを一時的に保持する。ステータスレジスタは、不揮発性メモリ2の動作に必要なデータを一時的に保持する。レジスタ26は、例えばSRAMから構成される。
【0034】
制御回路としてのシーケンサ27は、レジスタ26からコマンドを受け、このコマンドに基づくシーケンスに従って不揮発性メモリ2を制御する。
【0035】
各プレーンPBには、それぞれメモリセルアレイ23が設けられている。メモリセルアレイ23は、複数のブロックを備える。複数のブロックBLKの各々は、複数のメモリセルトランジスタ(メモリセル)を備える。メモリセルアレイ23には、メモリセルトランジスタに印加する電圧を制御するために、複数のビット線、複数のワード線、及びソース線などが配設される。
【0036】
図3に示されるプレーンPB0~PB3は、相互に同一構成であり、各プレーンPBは、レベルシフタLS、電圧生成回路28、MUXスイッチ29、メモリセルアレイ23、センスアンプ24及びロウデコーダ25を備えている。
【0037】
レベルシフタLSは、シーケンサ27からの信号のレベルを、後段の各回路の駆動に適したレベルに変換して出力する。なお、実際には、各プレーンPBには、それぞれ後段の各回路の駆動に適したレベルを生成するための複数のレベルシフタが設けられているが、
図3では電圧生成回路28の駆動に適した1つのレベルシフタLSを示している。
【0038】
電圧生成回路28は、不揮発性メモリ2の外部から電源電圧を受け、この電源電圧を用いて、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を生成する。電圧生成回路28は、図示しないチャージポンプやレギュレータ等により構成されて、各種電圧を生成し、生成した電圧をMUXスイッチ29を介してプレーンPB内のメモリセルアレイ23、センスアンプ24、及びロウデコーダ25などに供給する。
【0039】
即ち、メモリセルアレイ23、センスアンプ24、ロウデコーダ25が書き込み及び読み出しにおいて用いる電圧は、電圧生成回路28において生成される。電圧生成回路28は、書き込み時に必要な各種電圧、読み出しに必要な各種電圧及び消去に必要な各種電圧を発生してMUXスイッチ29に出力する。MUXスイッチ29は、電圧生成回路28が発生した各種電圧を、書き込み及び読み出しのシーケンスに従っていずれの配線に供給するかを切換える。
【0040】
ロウデコーダ25は、レジスタ26からロウアドレスを受け、このロウアドレスをデコードする。ロウデコーダ25は、デコードされたロウアドレスに基づいて、ワード線の選択動作を行う。そして、ロウデコーダ25は、選択されたブロックに、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を転送する。
【0041】
センスアンプ24は、レジスタ26からカラムアドレスを受け、このカラムアドレスをデコードする。センスアンプ24は、各ビット線に接続されたセンスアンプユニット群24Aを有しており、センスアンプユニット群24Aは、デコードされたカラムアドレスに基づいて、いずれかのビット線を選択する。また、センスアンプユニット群24Aは、データの読み出し時には、メモリセルトランジスタからビット線に読み出されたデータを検知及び増幅する。また、センスアンプユニット群24Aは、データの書き込み時には、書き込みデータをビット線に転送する。
【0042】
センスアンプ24は、データレジスタ24Bを有しており、データレジスタ24Bは、データの読み出し時には、センスアンプユニット群24Aにより検出したデータを一時的に保持し、これをシリアルに入出力回路22へ転送する。また、データレジスタ24Bは、データの書き込み時には、入出力回路22からシリアルに転送されたデータを一時的に保持し、これをセンスアンプユニット群24Aへ転送する。データレジスタ24Bは、SRAMなどで構成される。
【0043】
(メモリセルアレイのブロック構成)
図4は本実施形態の不揮発性メモリ2における3次元構造のNANDメモリセルアレイ23のブロックBLKの等価回路を示す図である。
図4はメモリセルアレイ23を構成する複数のブロックのうちの1つのブロックBLKを示している。メモリセルアレイの他のブロックも
図4と同様の構成を有する。なお、本実施形態は、2次元構造のメモリセルアレイにも適用可能である。
【0044】
図示するように、ブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU0~SU3(以下、これらを代表してストリングユニットSUという)を含む。また各々のストリングユニットSUは、複数のメモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)と、選択ゲートトランジスタST1,ST2とを含むNANDストリングNSを有する。なお、NANDストリングNSに含まれるメモリセルトランジスタMTの個数は、
図4では8個とするが、更に多数個であってもよい。選択ゲートトランジスタST1,ST2は、電気回路上は1つのトランジスタとして示しているが、構造上はメモリセルトランジスタと同じでもよい。また、選択ゲートトランジスタST1,ST2として、それぞれ複数の選択ゲートトランジスタを用いてもよい。さらに、メモリセルトランジスタMTと選択ゲートトランジスタST1,ST2との間には、ダミーセルトランジスタが設けられていてもよい。
【0045】
メモリセルトランジスタMTは、選択ゲートトランジスタST1,ST2間において、直列接続されるようにして配置されている。一端側(ビット線側)のメモリセルトランジスタMT7が、選択ゲートトランジスタST1に接続され、他端側(ソース線側)のメモリセルトランジスタMT0が、選択ゲートトランジスタST2に接続されている。
【0046】
ストリングユニットSU0~SU3の各々の選択ゲートトランジスタST1のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD3(以下、これらを代表して選択ゲート線SGDという)に接続される。また、ストリングユニットSU0~SU3の各々の選択ゲートトランジスタST2のゲートは、選択ゲート線SGSに共通接続される。
【0047】
同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMT0~MT7のゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通接続される。すなわち、ワード線WL0~WL7は、同一ブロックBLK内の複数のストリングユニットSU0~SU3間で共通に接続されているのに対し、選択ゲート線SGDは、同一ブロックBLK内であってもストリングユニットSU0~SU3毎に独立している。ブロックBLK内において同一行にあるメモリセルトランジスタMTiのゲートは、同一のワード線WLiに接続される。
【0048】
各NANDストリングNSは、対応するビット線に接続されている。従って、各メモリセルトランジスタMTは、NANDストリングNSに含まれる選択ゲートトランジスタST1,ST2や他のメモリセルトランジスタMTを介して、ビット線に接続されている。一般に、同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMTのデータは、一括して消去される。一方、データの読み出し及び書き込みは、典型的には、1つのストリングユニットSUに配設された1本のワード線WLに共通接続された複数のメモリセルトランジスタMTに対して、一括して行われる。このような、1つのストリングユニットSU内でワード線WLを共有するメモリセルトランジスタMTの組を、メモリセルグループMGと呼ぶ。
【0049】
メモリセルグループMGに対する書き込み動作及び読み出し動作は、ページを単位として実行される。例えば、各セルが、3ビット(8値)のデータを保持可能なTLC(Triple Level Cell)である場合、1つのメモリセルグループMGが、3ページ分のデータを保持することができる。各メモリセルトランジスタMTが保持することができる3ビットは、それぞれこの3ページに対応する。
【0050】
図5は本実施形態の不揮発性メモリ2における3次元構造のNANDメモリセルアレイ23のブロックBLKの構成例を示す図である。
図5はメモリセルアレイ23を構成する複数のブロックのうちの1つのブロックBLKを示している。メモリセルアレイの他のブロックも
図5と同様の構成を有する。
【0051】
より具体的には、
図5は、本実施形態の不揮発性メモリ2におけるNANDメモリセルアレイ23のブロックBLKの一部断面図である。
図5に示すように、半導体基板601上に、例えばセンスアンプ24やロウデコーダ25等の周辺回路に含まれるトランジスタが形成され、その上層に、メモリセルアレイ23に含まれるメモリセルトランジスタが形成される。以下の説明において、半導体基板601の表面に水平な直交する2方向をx方向及びy方向とし、半導体基板601表面に垂直な方向をz方向とする。
【0052】
図5において、半導体基板601の上面部分に形成されたp型又はn型のウェル領域と、各ウェル領域内に形成された不純物拡散領域と、ウェル領域間を絶縁する素子分離領域のそれぞれの図示は省略されている。半導体基板601上には、ゲート絶縁膜(図示せず)を介して、導電体GCが設けられている。また、半導体基板601に導電体GCを挟むように設けられた複数の不純物拡散領域(図示せず)には、複数のコンタクト661が設けられている。複数のコンタクト661には、配線パターンとしての複数の導電体641が、それぞれ接続されている。例えば、導電体GCはトランジスタのゲート電極として機能し、導電体641はトランジスタのソース電極またはドレイン電極として機能する。
【0053】
例えば、導電体641上にはコンタクト662が設けられ、コンタクト662には配線パターンとしての導電体642が接続されており、導電体642上にはコンタクト663が設けられ、コンタクト663には配線パターンとしての導電体643が接続されている。導電体641、642、643が設けられる配線層を、それぞれ配線層D0、D1、D2と呼ぶ。配線層D0、D1、D2は、不揮発性メモリ2の下層部分に設けられている。なお、不揮発性メモリ2の下層部分に設けられる配線層は3層に限られない。2つ以下の配線層で構成されていてもよいし、あるいは4つ以上の配線層が設けられていてもよい。
【0054】
導電体643の上方には、例えば層間絶縁膜(図示せず)を介して導電体644が設けられている。導電体644は、例えば、xy平面に平行な板状に形成されており、ソース線SLとして機能する。導電体644の上方には、例えば、導電体645~654が層間絶縁膜(図示せず)を介してz方向に順に積層されている。
【0055】
導電体645~654のそれぞれは、例えばxy平面に平行な板状に形成されている。例えば、導電体645は、選択ゲート線SGSとして機能し、導電体646~653は、それぞれワード線WL0~WL7として機能し、導電体654は、選択ゲート線SGDとして機能する。
【0056】
導電体645~654のそれぞれを貫通し、導電体644に接触するように、柱状のメモリピラー634が設けられている。メモリピラー634は、例えば、中心側の半導体層638と、半導体層638の外側に形成されるトンネル絶縁膜637と、トンネル絶縁膜637の外側に形成される電荷蓄積膜636と、電荷蓄積膜636の外側に形成されるブロック絶縁膜635を含む。メモリピラー634と導電体646~654のそれぞれとが交差する部分が、メモリセルトランジスタ(メモリセル)MTとして機能する。また、メモリピラー634と導電体645、654のそれぞれとが交差する部分が、選択トランジスタSTとして機能する。
【0057】
メモリピラー634の上面よりも上層には、層間絶縁膜(図示せず)を介して、導電体655が設けられている。導電体655は、x方向に延伸したライン状に形成されており、ビット線BLとして機能する。複数の導電体655は、y方向において間隔をおいて配列されている。導電体655は、ストリングユニットSU毎に対応する1つのメモリピラー634内の半導体層638と、コンタクトプラグCPを介して、電気的に接続されている。
【0058】
具体的には、各ストリングユニットSUにおいて、例えば各メモリホール634内の半導体層638上にコンタクトプラグCPが設けられ、コンタクトプラグCP上に1つの導電体645が設けられる。なお、このような構成に限定されず、例えば、半導体層638と導電体655とは、さらに複数のコンタクトや配線などを介して接続されていてもよい。
【0059】
導電体655が設けられた層よりも上層には、層間絶縁膜(図示せず)を介して導電体656が設けられている。導電体656が設けられた層よりも上層には、層間絶縁膜(図示せず)を介して導電体657が設けられている。
【0060】
導電体656及び657は、例えばメモリセルアレイ23に設けられた配線と、メモリセルアレイ23の下層に設けられた周辺回路とを接続するための配線として機能する。導電体655、656、657が設けられた層を、それぞれ、配線層M0、M1、M2と呼ぶ。
【0061】
(ロウデコーダ)
図6は、MUXスイッチ29及びロウデコーダ25の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図6においてはMUXスイッチ29の一部の構成のみを示している。
【0062】
図6において、MUXスイッチ29は、切換スイッチ29A,29B,29Cを含む。切換スイッチ29Aは、信号線SG0~SG4にそれぞれ電圧生成回路28からの電圧を供給する。また、複数の切換スイッチ29Bは、信号線CG0~CG7にそれぞれ電圧生成回路28からの電圧を供給する。また、切り替えスイッチ29C及びトランジスタTinのゲートには、リセット状態を制御する動作許可信号VDDREADYn_cが与えられる。動作許可信号VDDREADYn_cは、後述するように、初期化時にはハイレベル(Hレベル)であり、初期化が終了してリセット解放タイミングになるとローレベル(Lレベル)となる。切り替えスイッチ29Cは、動作許可信号VDDREADYn_Cが立ち下がると、電圧生成回路28からの電圧VGBSTをブロックデコーダ25Bに供給する。
【0063】
信号線SG0~SG4,CG0~CG7は、ロウデコーダ25によって分岐されて、各ブロックBLKの配線に接続される。すなわち、信号線SG0~SG3は、グローバルドレイン側選択ゲート線として機能し、ロウデコーダ25を介して、各ブロックBLKにおけるローカル選択ゲート線としての選択ゲート線SGD0~SGD3に接続される。信号線CG0~CG7は、グローバルワード線として機能し、ロウデコーダ25を介して、各ブロックBLKにおけるローカルワード線としてのワード線WL0~WL7に接続される。信号線SG4は、グローバルソース側選択ゲート線として機能し、ロウデコーダ25を介して、各ブロックBLKにおけるローカル選択ゲート線としての選択ゲート線SGSに接続される。
【0064】
電圧生成回路28はシーケンサ27に制御されて、各種の電圧を生成する。切換スイッチ29A,29Bは、電圧生成回路28において生成された各種電圧を、対応する信号線SG0~SG4及び信号線CG0~CG7にそれぞれ供給する。例えば、各切換スイッチ29Bは、読み出し動作における動作の対象(ロウアドレス)に応じて、対応するワード線WLに対して、電圧VCGRV、電圧VREAD、電圧VCG_ER等の電圧を選択して供給する。
【0065】
ロウデコーダ25は、各ブロックにそれぞれ対応した複数のスイッチ回路群25Aと、複数のスイッチ回路群25Aにそれぞれ対応して設けられる複数のブロックデコーダ25Bとを有している。各スイッチ回路群25Aは、信号線SG0~SG3と選択ゲート線SGD0~SGD3とをそれぞれ接続する複数のトランジスタTR_SG0~TR_SG3、信号線CG0~CG7とワード線WL0~WL7とをそれぞれ接続する複数のトランジスタTR_CG0~TR_CG7、信号線SG4と選択ゲート線SGSとを接続するトトランジスタTR_SG4を含む。トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7の各々は、高耐圧トランジスタである。
【0066】
各ブロックデコーダ25Bは、ロウアドレスによって自身が指定された場合、トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7のゲートに、ブロック選択信号BLKSELを供給する。これにより、ロウアドレスによって指定されるブロックデコーダ25Bからブロック選択信号BLKSELが供給されるスイッチ回路群25Aでは、トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7がオン状態となって導通するため、電源生成回路28から信号線SG0~SG4及び信号線CG0~CG7に供給される電圧が、動作対象となるブロックBLKに含まれる選択ゲート線SGD0~SGD3、SGSおよびワード線WL0~WL7に供給される。
【0067】
即ち、電圧生成回路28、MUXスイッチ29及びロウデコーダ25により、各ワード線WLには動作に必要な各種電圧が供給される。また、例えば、動作対象となるストリングユニットSUに属する選択ゲートトランジスタST1に接続されるセレクトゲート線SGD(SGDsel)には電圧VSGDが供給され、動作対象となるストリングユニットSUに属さない選択ゲートトランジスタST1に接続されるセレクトゲート線SGD(SGDusel)には電圧VSSが供給され、各ブロックBLKで選択ゲートトランジスタST2に一括して接続される選択ゲートセレクトゲート線SGSには電圧VSGSが供給される。
【0068】
ブロックデコーダ25Bは、スイッチ回路群25Aの各トランジスタを導通させるために、電圧VPGMよりも高い電圧のブロック選択信号BLKSELを発生する必要がある。ブロックデコーダ25Bは、このような高い電圧のブロック選択信号BLKSELをMUXスイッチ29の切換スイッチ29Cから供給される電圧VGBSTを用いて発生する。
【0069】
なお、各ブロックデコーダ25Bの出力端子は、トランジスタTinの電流経路を介して基準電位点(VSS)に接続されている。トランジスタTinは、電源投入直後において動作許可信号VDDREADYn_Cが立ち上がることでオンとなって、ブロックデコーダ25Bの出力端子の電位をVSSに初期化する。
【0070】
図7はブロックデコーダの構成の一例を示すブロック図である。ブロックデコーダ25Bは、例えば、論理回路LCと、論理積回路ANDと、インバータNV1と、レベル変換回路TLとを有する。
【0071】
論理回路LCは、レジスタ26から入力されたブロックアドレス信号BLKADDに基づき、出力信号を出力する。論理回路LCは、ブロックアドレス信号BLKADDがヒットするブロックデコーダ25Bにおいては、全ての出力信号が"H"レベルとなり、ヒットしないブロックデコーダ25Bにおいては、いずれかの出力信号が"L"レベルとなる。論理積回路ANDは、論理回路LCの出力信号の論理積結果を信号RDECADとしてインバータNV及びレベル変換回路TLに出力する。つまり、ブロックアドレス信号BLKADDがヒットし、かつ対応するブロックBLKが正常であると判定されたブロックデコーダ25Bにおいては"H"レベルの信号RDECADが出力される。また、ブロックアドレス信号BLKADDがヒットしない、又は対応するブロックBLKが異常であると判定されたブロックデコーダ25Bにおいては"L"レベルの信号RDECADが出力される。なお、信号RDECADにおいて、"H"レベルの電圧は、電圧VRDであり、"L"レベルの電圧は、接地電圧VSS(0V)である。例えば、電圧VRDは2.5Vである。インバータNV1は、論理積回路ANDから出力される信号RDECADを反転させる。インバータNV1は、反転の結果、信号RDECADnを出力する。
【0072】
レベル変換回路TLは、電圧VRDに応じた信号RDECADを、高い電源電圧(VGBST)に応じた信号BLKSELへ変換する。具体的には、レベル変換回路TLは、電源電圧VRDに応じた"H"レベルの信号RDECADおよび"L"レベルの信号RDECADnが入力された場合、その信号を電源電圧VGBSTに応じた"H"レベルの信号BLKSELに変換して出力する。また、レベル変換回路TLは、"L"レベルの信号RDECADおよび"H"レベルの信号RDECADnが入力された場合、"L"レベルの信号RDECADを"L"レベルの信号BLKSELとして出力する。なお、電源電圧VGBTは、選択されたブロックに対応するスイッチ回路群25Aの、トランジスタTR_SG0~TR_SG4およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7を全てオン状態にする電圧が設定される。また、読み出し動作時は、電源電圧VGBTは、電圧VREADよりも高い電圧(例えば15V)に設定される。
【0073】
図8は、レベル変換回路の構成の一例を示すブロック図である。レベル変換回路TLは、デプレッション型のNMOSトランジスタNM1と、高耐圧のPMOSトランジスタPM1とを含む。NMOSトランジスタNM1の一端には、電源電圧VGBSTが入力される。NMOSトランジスタNM1の他端は、PMOSトランジスタPM1の一端と接続されている。PMOSトランジスタPM1の他端には、信号RDECADが入力される。信号RDECADは、NMOSトランジスタNM1のゲートにも入力される。また、信号RDECADnは、PMOSトランジスタPM1のゲートに入力される。PMOSトランジスタPM1の他端から、信号BLKSELが出力される。また、PMOSトランジスタPM1の他端と信号RDECADの入力端子と信号BLKSELの出力端子との接続点n1と、信号RDECADの入力端子との間には、逆流防止回路251が設けられている。
【0074】
信号RDECADが"H"レベル、すなわち、電圧VRDであり、信号RDECADnが"L"レベル、すなわち電圧VSSである場合、NMOSトランジスタNM1とPMOSトランジスタPM1はともにオン状態となる。従って、NMOSトランジスタNM1の一端に入力される電源電圧VGBSTが、信号BLKSELとして出力される。なお、電源電圧VGBST>電圧VSSであるが、逆流防止回路251がもうけられているため、信号RDECADの入力端子側への流出は防止される。故に、信号BLKSELの出力レベルは電源電圧VGBSTに維持される。
【0075】
信号RDECADが"L"レベル、すなわち、電圧VSSであり、信号RDECADnが"H"レベル、すなわち電圧VRDである場合、NMOSトランジスタNM1はデプレッション型であるので、完全にオフ状態にはならない。このため、NMOSトランジスタNM1は電流I1が流れるため、NMOSトランジスタNM1とPMOSトランジスタPM1との接続点n2の電圧は、例えば、2.0V程度に昇圧される。一方、PMOSトランジスタPM1のゲートには、電圧VRDが印加される。電圧VRDは、例えば2.5Vであるので、ゲートへの印加電圧は接続点n2の電圧よりも大きくなる。故に、PMOSトランジスタPM1はオフ状態となる。従って、信号BLKSELとして電圧VSSが出力される。
【0076】
(ピーク電流)
電源入力用パッド群35の各電源パッドには、外部の電源回路から、直接又はメモリコントローラ1経由で上述した各種電源電圧が供給される。チップ内電源生成回路40は、電源入力用パッド群35を介して供給される電源電圧を用いて不揮発性メモリ2の各部を動作させるための内部電源電圧を生成する。即ち、チップ内電源生成回路40は、電源入力用パッド群35の各電源パッドを介して電圧VPP,VCC,VCCQ,VSSが与えられ、電圧VCC,VCCQ,VSSをそのまま不揮発性メモリ2の各部に供給すると共に、基準電圧VREF,動作電圧VDDを生成して不揮発性メモリ2の各部に供給する。
【0077】
チップ内電源生成回路40は、電源パッドVCCを介して入力された電圧VCCを用いて動作電圧VDDを生成し、生成した動作電圧VDDを、VDD供給配線を経由して不揮発性メモリ2の各部に供給する。電源パッドVCCに流れるICC電流は、概ね、不揮発性メモリ2の全体において流れる電流に相当する。
【0078】
不揮発性メモリ2内においてVDD供給配線に接続された各部は、チップ内電源生成回路40から動作電圧VDDを供給する際の回路負荷となる。例えば、VDD供給配線に接続されたトランジスタの容量、VDD供給配線に接続された安定化容量、VDD供給配線自体の容量等が回路負荷に含まれる。電源投入直後は、不揮発性メモリ2の各部に、チップ内電源生成回路40から動作電圧VDDを供給する必要がある。すなわち、電源投入直後は、チップ内電源生成回路40は大きな回路負荷に動作電圧VDDを供給する必要がある。したがって、電源投入直後には、VDD供給配線に接続された不揮発性メモリ2の各部を充電する際に、ICC電流のピークが発生する。
【0079】
また、
図8に示したレベル変換回路TLと同様の構成を有するレベルシフタは、ブロックデコーダ25Bだけでなく、不揮発性メモリ2内の各部に多数設けられている。従って、電源投入後、不揮発性メモリ2内の全てのレベルシフタが同一の動作を行う際にも、ICC電流のピークが発生する。
【0080】
例えば、電源投入直後においては、論理回路やレベルシフタ(以下、レベルシフタ等という)の誤動作を防止するために、レベルシフタ等をリセットする。例えば、
図6のブロックデコーダ25Bについては、トランジスタTinをオンにしてブロックデコーダ25Bの出力端子の電位をVSSに初期化する。そして、VDD供給配線が充電され動作電圧VDDが規定値に到達すると、リセット状態を解放する。このリセット解放のタイミングにおいて、リセットされていたレベルシフタ等の出力が変化(
図6ではブロックデコーダ25Bの出力端子の電位が変化)して、ICC電流がピークとなる。特に、複数のプレーンPBを有するマルチプレーン構成の不揮発性メモリ2においては、電源投入直後においてICC電流の電流ピークが想定する電流を超えやすい。
【0081】
そこで、第1の実施形態においては、リセット解放タイミングをプレーンPB毎に調整して、プレーンPB毎にリセット解放の動作期間をずらすことでピーク電流の発生を分散して、ピーク電流を抑制する。
【0082】
(チップ内電源生成回路)
図9はチップ内電源生成回路40の具体的構成の一例を示すブロック図である。
【0083】
チップ内電源生成回路40は、初期充電回路41、VREF生成回路42、レギュレータ43、タイマ44及び動作許可信号生成回路45を含む。チップ内電源生成回路40には、電源入力用パッド群35の各電源パッドから電源電圧VCC(例えば2.5V),VCCQ(例えば1.2V),VSS(例えば0V),VPPを与える。チップ内電源生成回路40は、電源電圧VCCQ,VSS,VPPをそのまま不揮発性メモリ2の各部に供給する。
【0084】
電源投入直後においては、不揮発性メモリ2内においてチップ内電源生成回路40から供給される動作電圧VDDが上昇していないため、電源投入直後に不揮発性メモリ2内の論理回路を起動させると論理回路の出力論理が不定となり誤動作が生じる可能性がある。また、レベルシフタは、一般的に比較的高い電圧で動作することから、論理不定になると比較的大きな貫通電流が流れてしまう可能性がある。そこで、電源投入直後においては、後述する動作許可信号生成回路45において生成する動作許可信号VDDREADYn_cにより、不揮発性メモリ2内の論理回路やレベルシフタ等をリセット状態とする。また、初期充電回路41によって、VDD供給配線に接続された回路負荷に、論理回路等の動作を安定させることができる程度の初期動作電圧VDDint(初期電圧レベル)を供給する。更に、レギュレータ43によってVDD供給配線に接続された回路負荷の充電レベルを初期動作電圧VDDintから動作電圧VDD(通常電圧レベル)まで上昇させた後、リセット状態を解放して、レベルシフタ等の動作を開始させる。
【0085】
このような電源投入直後の動作を管理するためにタイマ44が採用される。タイマ44は、電源投入からの時間を計測して時刻情報を出力する。タイマ44の時刻情報は、レギュレータ43及び動作許可信号生成回路45に供給される。
【0086】
初期充電回路41には、電源入力用パッド群35の電源パッドVCCから電源電圧VCCが与えられる。初期充電回路41は、電源電圧VCCが供給される電源ラインにトランジスタTR1のドレインが接続され、トランジスタTR1のソースは抵抗R1,R2を介して基準電位点に接続される。トランジスタTR1のゲートには、動作許可信号生成回路45から、Lレベルの充電許可信号VDDCLAMPENn_Cが与えられている。
【0087】
また、電源ライン(電源電圧VCC)は、トランジスタTR2のドレインに接続され、トランジスタTR2のソースは初期充電回路41の出力端に接続される。トランジスタTR2のゲートには、抵抗R1,R2の接続点の電圧が印加される。初期充電期間においては、外部から供給される電源電圧VCCが、トランジスタTR2を介して、VDD供給配線に接続された回路負荷へ供給される。抵抗R1,R2の抵抗値によって、初期充電期間においてVDD供給配線に接続された回路負荷へ供給される初期動作電圧VDDintのレベルを調節できる。
電源投入直後においては、初期充電回路41は、例えば、1.3V程度の初期動作電圧VDDint(初期電圧レベル)を、VDD供給配線に接続された回路負荷へ与える。
【0088】
VREF生成回路42には、電源電圧VCCが与えられる。VREF生成回路42は、公知のBGR(バンドギャップリファレンス)回路により構成することができ、所定の基準電圧VREFを生成する。VREF生成回路42は、生成した基準電圧VREFを不揮発性メモリ2の各部に供給すると共に、レギュレータ43にも与える。
【0089】
タイマ44は、電源供給が開始されたのち、VDD供給配線に接続された回路負荷を初期充電電圧VDDintに充電するために必要な時間が経過したこと及び/又は基準電圧VREFが規定の電圧に到達して安定するために必要な時間が経過したことが検知されると、レギュレータ43及び動作許可信号生成回路45に、信号を出力する。タイマ44から出力された信号を受信すると、レギュレータ43は動作を開始する。レギュレータ43は、基準電圧VREFを用いて、動作電圧VDD(例えば2.0V)を生成する。レギュレータ43は生成した動作電圧VDDをVDD供給配線を介して不揮発性メモリ2の各部に供給する。また、タイマ44から出力された信号を受信すると、動作許可信号生成回路45は、充電許可信号VDDCLAMPENn_CをLレベルからHレベルに変化させる。これにより、初期充電回路41においてトランジスタTR1がオフし、それにともないトランジスタTR2もオフする。これにより、電源電圧VCCとVDD供給配線とが切断される。
【0090】
このように、チップ内電源生成回路40は、初期充電期間においては初期充電回路41によりVDD供給配線に初期動作電圧VDDintを供給するとともに、初期充電期間に続くVDD充電期間においてはレギュレータ43によりVDD供給配線に供給されている電圧を初期動作電圧VDDintから動作電圧VDDに上昇させる。即ち、チップ内電源生成回路40は、電源電圧VCCの供給が開始されてから2段階でVDD供給配線に接続される回路負荷を充電しており、1段階で電源電圧VDDを充電する場合に比べて電流ピークの上昇を抑制することができる。
【0091】
なお、
図9ではチップ内電源生成回路40のレギュレータ43は動作電圧VDD及び基準電圧VREFを作成するものと説明したが、チップ内電源生成回路40において、不揮発性メモリ2内の各部に供給する各種チップ内部電圧Vsupを作成することが可能である。例えば、チップ内電源生成回路40は、図示しないチャージポンプ回路やリニアレギュレータ等を備え、外部から供給される電源電圧VCCをこれらの回路に与えることで、チップ内部電源電圧Vsupを作成して出力することも可能である。
【0092】
上述したように、電源投入直後においては、レベルシフタ等の各種回路はリセット状態となっている。レベルシフタ等の各種回路のリセット状態を解放して動作を許可する動作許可信号VDDREADYn_Cは、動作許可信号生成回路45において発生する。動作許可信号生成回路45は、タイマ44の出力によって、動作許可信号VDDREADYn_Cを発生するタイミングを決定する。本実施形態においては、動作許可信号生成回路45は、プレーンPB毎に、個別の動作許可信号VDDREADYn_Cを発生することが可能であり、プレーンPB毎に異なるタイミングでリセット解放を指示する動作許可信号VDDREADYn_Cを発生するようになっている。
【0093】
なお、チップ内電源生成回路40からの動作許可信号VDDREADYn_Cは、各プレーンPBに供給されるだけでなく、リセット解放を行う不揮発性メモリ2内のレベルシフタ等にも供給される。
【0094】
(レベルシフタの具体例)
図10はレベルシフタを含む回路の一例を示す回路図であり、
図11はレベルシフタの動作を説明するための波形図である。また、
図12は動作許可信号VDDREADYn_Cの出力を考慮したレベルシフタの出力を説明するための波形図である。
【0095】
レベルシフタLSは、差動入力、シングル出力である。レベルシフタLSは、入力端子In1,In2にそれぞれ差動入力IN,INBが入力され、出力端子O1から出力信号OUTを出力する。レベルシフタLSは、差動対のNMOSトランジスタT1,T2とPMOSトランジスタT3,T4により構成されるクロスカップル回路と、PMOSトランジスタT5,T6とを含む。
【0096】
チップ内電源生成回路40からのチップ内部電源電圧Vsupは、PMOSトランジスタT7を介してレベルシフタLSに供給される。トランジスタT7は、ソースがチップ内電源生成回路40の出力端に接続され、ドレインがトランジスタT5,T6のソースに接続され、ゲートには動作許可信号VDDREADYn_Cが供給される。トランジスタT5,T6のドレインは、それぞれトランジスタT3,T4のソースに接続される。トランジスタT3のドレインはトランジスタT4のゲートに接続されると共に、トランジスタT1のドレインにも接続される。トランジスタT4のドレインはトランジスタT3のゲートに接続されると共に、トランジスタT2のドレインにも接続される。トランジスタT1,T2のソースは基準電位点に接続される。
【0097】
入力端子In1には、例えば動作電圧VDDレベルの差動入力INが入力され、入力端子In2には差動入力INの反転信号である動作電圧VDDレベルの差動入力INBが入力される。差動入力INは、トランジスタT1,T5のゲートに供給され、差動入力INBは、トランジスタT2,T6のゲートに供給される。トランジスタT2のドレインは出力端子O1に接続される。出力端子O1はNMOSトランジスタT8のドレインに接続され、トランジスタT8のソースは基準電位点に接続される。トランジスタT8のゲートには動作許可信号VDDREADYn_Cが印加される。
【0098】
図10は、チップ内電源生成回路40のチップ内部電源電圧Vsupがアナログ回路71に供給される例を示している。アナログ回路71は、チップ内電源生成回路40からチップ内部電源電圧Vsupの供給を受けて所定の動作を行う。即ち、この場合のチップ内部電源電圧Vsupは、アナログ回路71を適切に駆動するための電圧に設定される。アナログ回路71は、グランドラインがトランジスタT9のドレインに接続される。トランジスタT9は、ソースが基準電位点に接続され、ゲートにはレベルシフタLSの出力端子O1からの出力信号OUTが供給される。
【0099】
いま、トランジスタT7がオン、トランジスタT8がオフであるものとする。入力端子In1の差動入力INがHレベルで入力端子In2の差動入力INBがLレベルになると、トランジスタT1がオン、トランジスタT2がオフとなる。なお、トランジスタT6はオンであり、トランジスタT5は、オンから次第にオフに切り替わる。この場合には、トランジスタT3のドレインとトランジスタT1のドレインとの接続点はLレベルとなり、トランジスタT4のドレインとトランジスタT2のドレインとの接続点はHレベルとなる。即ち、T3のゲートにはHレベルが印加され、T4のゲートにはLレベルが印加されて、トランジスタT3はオフ、トランジスタT4はオンとなり、トランジスタT4のドレインに現れる電圧は、次第に上昇してチップ内部電源電圧Vsupに到達する。即ち、差動入力IN,INBの変化がトリガーとなって、クロスカップル回路は正帰還で動作し、出力信号OUTをチップ内部電源電圧Vsupまで上昇させる。
【0100】
逆に、入力端子In2の差動入力INBがHレベルで入力端子In1の差動入力INがLレベルの場合には、トランジスタT1がオフ、トランジスタT2がオンとなる。この場合には、出力端子OUTはLレベルとなる。トランジスタT3,T4によるクロスカップル回路により、トランジスタT4はオフとなって、出力端子OUTはLレベルに維持される。
【0101】
図11に示すように、差動入力IN,INBのレベルは、動作電圧VDDレベルである。一方、出力信号OUTのレベルは、チップ内電源生成回路40からのチップ内部電源電圧Vsupレベル(例えば、2.2Vや4V等)となる。こうして、レベルシフタLSは、動作電圧VDDレベルの信号を、チップ内部電源電圧Vsupレベルの信号にレベルシフトすることが可能である。
【0102】
図12は電源投入直後の電圧波形を示している。
図12に示すように、電源投入直後において、動作許可信号VDDREADYn_CはHレベルに設定される。即ち、電源投入によってチップ外部からの電源電圧VCCは上昇し、電源電圧VCCが例えば0.5Vに到達することで動作許可信号VDDREADYn_CもHレベルとなる。電源電圧VCCの上昇により、例えばシーケンサ27が動作を開始し、差動入力IN,INB等を発生するものとする。例えば
図12に示すように、電源投入直後において差動入力INはHレベルとなる。しかし、この場合には、動作許可信号VDDREADYn_CもHレベルである。従って、トランジスタT7はオフ、トランジスタT8はオンであり、出力端子O1の出力信号OUTはLレベルを維持する。従って、トランジスタT9はオフのままであり、アナログ回路71は動作を開始しない。
【0103】
動作許可信号VDDREADYn_CがLレベルになると、トランジスタT7がオン、トランジスタT8がオフとなって、差動入力INに従った論理でチップ内部電源電圧Vsupの出力信号OUTが出力端子O1から出力される。出力信号OUTがHレベルになると、トランジスタT9がオンとなり、アナログ回路71が動作を開始する。
【0104】
(レベルシフタの利用例)
図13及び
図14はレベルシフタの利用例を説明するための説明図である。
【0105】
ロウデコーダ25以外にも、初期化が必要なレベルシフタが存在する。例えば、シーケンサ27の出力は、1.5V~2.0V程度の動作電圧VDDレベルであることがある。これに対し、ロウデコーダ25、メモリセルアレイ23、センスアンプ24等は、動作電圧VDDレベルでは駆動することができない場合がある。そこで、
図3等では省略されているが、シーケンサ27の出力をレベルシフタLSに与えて、ロウデコーダ25、メモリセルアレイ23、センスアンプ24等を駆動する電圧レベルに変換するようになっている。
【0106】
図13は各プレーンPBの電圧生成回路28に、それぞれレベルシフタLSと同様の構成のLSP1~LSP3によりシーケンサ27からの信号を供給する例を示している。
図13は供給すべき電圧レベルに応じたチップ内部電源電圧Vsupとして、レベルシフタLSP1にはセンスアンプ用の動作電圧VDDSA(例えば2.2V)、レベルシフタLSP2にはアナログ電源生成回路用の動作電圧VDDA(例えば2.2V)、レベルシフタLSP3にはセンスアンプ・データレジス等に必要な電源電圧VX2(例えば4V)を与える例を示している。
【0107】
シーケンサ27には、チップ内電源生成回路40から動作電圧VDD(例えば、1.5V~2.0V)が与えられる。シーケンサ27の動作電圧VDDレベルの信号をレベルシフタLSP1~LSP3に出力する。チップ内電源生成回路40のリニアレギュレータ40aは、電源電圧VCCから動作電圧VDDSAを作成してレベルシフタLSP1、電圧生成回路28、メモリセルアレイ23及びセンスアンプ24に与える。チップ内電源生成回路40のリニアレギュレータ40bは、電源電圧VCCから動作電圧VDDAを作成してレベルシフタLSP2、電圧生成回路28、MUXスイッチ29及びロウデコーダ25に与える。また、チップ内電源生成回路40のチャージポンプ40cは、電源電圧VXを作成してレベルシフタLSP3、電圧生成回路28、MUXスイッチ29及びデータレジスタ24Bに与える。
【0108】
レベルシフタLSP1~LSP3は、動作許可信号VDDREADYn_CがLレベルの期間に、シーケンサ27の出力に基づいて、入力された電源電圧レベルの出力を電圧生成回路28に供給する。なお、動作許可信号VDDREADYn_CがHレベルの場合にはレベルシフタLSP1~LSP3の出力はLレベルのままである。
【0109】
図13ではプレーンPB毎に1つのレベルシフタを示したが、実際には、複数のレベルシフタが用いられる。
図14は
図13のレベルシフタLSP1を含むプレーンPBに用いられるレベルシフタの例を示している。
【0110】
図14の例では、電圧生成回路28には、複数のレベルシフタLS1を介してシーケンサ27の出力が与えられる。同様に、メモリセルアレイ23は、複数のレベルシフタLS2を介してシーケンサ27の出力が与えられ、センスアンプ24には、複数のレベルシフタLS3を介してシーケンサ27の出力が与えられる。レベルシフタLS1~LS3は、リニアレギュレータ40aからの動作電圧VDDSAが与えられ、シーケンサ27の出力を動作電圧VDDSAレベルにレベルシフトさせて、それぞれ電圧生成回路28、メモリセルアレイ23又はセンスアンプ24に出力する。
【0111】
これらのレベルシフタLS1~LS3には、動作許可信号VDDREADYn_Cが供給されている。動作許可信号VDDREADYn_CのHレベル時には、レベルシフタLS1~LS3の出力はLレベルであり、動作許可信号VDDREADYn_CがLレベルになると、レベルシフタLS1~LS3は、動作電圧VDDSAレベルの出力を出力する。
【0112】
次に、このように構成された実施形態の動作について
図15及び
図16を参照して説明する。
図15は各プレーンPBに供給される動作許可信号VDDREADYn_Cを説明するための説明図である。
図16は実施形態におけるICC電流のピークを説明するための説明図である。
【0113】
図15の例は、不揮発性メモリ2を各プレーンPB0~PB3とその他の周辺回路2Aに分け、チップ内電源生成回路40から不揮発性メモリ2の領域毎に動作許可信号VDDREADYn_Cを供給する例を示している。例えば、チップ内電源生成回路40は、周辺回路2A及びプレーンPB0には動作許可信号VDDREADYn_C<0>を供給し、プレーンPB1には動作許可信号VDDREADYn_C<1>を供給し、プレーンPB2には動作許可信号VDDREADYn_C<2>を供給し、プレーンPB3には動作許可信号VDDREADYn_C<3>を供給する。なお、周辺回路2Aに、プレーンPB0とは別の系統の動作許可信号VDDREADYn_Cを供給するようになっていてもよい。
【0114】
図15の下段は、動作許可信号VDDREADYn_C<0>~VDDREADYn_C<3>の信号の変化を示しており、ローアクティブである動作許可信号VDDREADYn_C<0>~VDDREADYn_C<3>は、同時にアクティブとならずに、順次アクティブに変化することを示している。
【0115】
図16は上段に、不揮発性メモリ2内における電源電圧VCC、動作電圧VDD、基準電圧VREFの変化と、動作許可信号VDDREADYn_C<0>~VDDREADYn_C<3>がアクティブとなるタイミングと、パワーオンのシーケンスが完了したことを示す信号LOWVDDnの変化を示している。また、
図16の下段は、ICC電流の変化を示している。
【0116】
時刻t0において電源投入が行われると、チップ内電源生成回路40の初期充電回路41は、電源入力用パッド群35からの電源電圧VCCによる初期充電を開始する。
図16に示す初期充電期間において、初期充電回路41の出力端に現れる初期動作電圧VDDintは次第に上昇し、例えば1.3Vに到達する。初期充電回路41により、VDD供給配線の電圧を一段階で通常電圧レベルの電源電圧VDD(2.0V)まで上昇させずに、一旦初期動作電圧VDDintまで上昇させるようになっていることから、ICC電流のピークを抑制することが可能である。なお、動作許可信号VDDREADYn_Cについても初期充電時に立ち上がる。
【0117】
チップ内電源生成回路40のVREF生成回路42は、電源電圧VCCを用いて、基準電圧VREFを生成する。VREF生成回路42は生成した基準電圧VREFをレギュレータ43に供給する。タイマ44によって、初期充電回路41からの初期動作電圧VDDint及びVREF生成回路42からの基準電圧VREFがいずれも規定の電圧レベルで安定するために必要となる時間が経過したと判断される時刻t1において、レギュレータ43が動作を開始する。レギュレータ43は、
図16のVDD充電期間において、2.0Vの動作電圧VDDを生成する。
【0118】
タイマ44によって、動作電圧VDDによる回路負荷への充電が完了するために必要となる時間が経過したと判断される時刻t2以降において、動作許可信号生成回路45は、リセット解放を実施する。即ち、動作許可信号生成回路45は、
図15に示す動作許可信号VDDREADYn_C<0>~VDDREADYn_C<3>を順次発生する。
図16では、これらの動作許可信号VDDREADYn_C<0>~VDDREADYn_C<3>がローアクティブになったタイミングを下向き矢印にて示している。即ち、先ず、周辺回路2A及びプレーンPB0内の論理回路やレベルシフタが動作許可信号VDDREADYn_C<0>によってリセット解放され、次いで、プレーンPB1,PB2,PB3の順で、それぞれのプレーン内に構成された論理回路やレベルシフタが動作許可信号VDDREADYn_C<1>~VDDREADYn_C<3>によって順次リセット解放される。
【0119】
これにより、
図16に示すように、ICC電流のピークは分散され、ピーク電流は比較的小さい。リセット解放が終了すると、パワーオンシーケンスが終了したことを示す信号LOWVDDnがアクティブ(“H”)となる。
【0120】
このように、本実施形態においては、電源投入時において、不揮発性メモリ2内を複数の領域に分け、領域毎にリセット解放タイミングを調整しており、ピーク電流を抑制することができる。
【0121】
(第2の実施形態)
図17は第2の実施形態を示すブロック図である。
図17において
図2と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。また、
図18はチップ内電源生成回路50の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態はマルチチップ構成の場合において電流ピークを抑制するものである。
【0122】
本実施形態における不揮発性メモリ2は、チップ内電源生成回路40に代えてチップ内電源生成回路50を採用する。チップ内電源生成回路50は、マルチチップに対応するものであり、例えば、チップ毎に動作許可信号VDDREADYn_Cの発生タイミングを制御するものである。
【0123】
チップ化された不揮発性メモリ2(以下、メモリチップ2という)は複数積層されて、マルチチップ構成でパッケージ化されることがある。この場合には、1つのメモリコントローラ1によって、パッケージに含まれる複数のメモリチップ2が制御されることがある。即ち、各種制御信号及び電源を供給する各種配線は、パッケージ内の各メモリチップ2で共有される。すなわち、パッケージにおいては、信号ALE,CLE,DQ,DQS,/DQS,/WE,/RE,RE等が共有される。これらの信号線が供給されるグループをチャネルともいう。
【0124】
パッケージ内は1つ又は複数のチップイネーブル信号/CEにより駆動される。共通のチップイネーブル信号/CEにより駆動されるメモリチップ2のグループにおいて、各メモリチップ2を選択するために、チップアドレスCADDが用いられる。例えば、3ビットのチップアドレスによって8つのメモリチップ2を特定できる。なお、チップアドレスCADDによって特定されるメモリチップ2をLUNという。
【0125】
図17において、チップ内電源生成回路50には、チップアドレス指定パッドを介してチップアドレスCADDが供給される。チップ内電源生成回路50は、チップ内電源生成回路40と同様に、プレーンPB毎に異なるタイミングの動作許可信号VDDREADYn_Cを発生して、不揮発性メモリ2内のプレーンPB等の各領域に出力する。更に、本実施形態においては、チップ内電源生成回路50は、メモリチップ2毎に異なるタイミングの動作許可信号VDDREADYn_Cを発生する。この制御のために、チップ内電源生成回路50は、チップアドレス指定パッドからチップアドレスCADDを取得する。
【0126】
図18において、チップ内電源生成回路50は、動作許可信号生成回路45に代えて動作許可信号生成回路53を採用すると共に、アドレス検出回路51及びアドレスレジスタ52を有する点が
図9のチップ内電源生成回路40と異なる。メモリチップ2のチップアドレス指定パッドを介して入力されたチップアドレスCADDは、アドレス検出回路51に与えられる。アドレス検出回路51は、自チップのチップアドレスCADDを検出して、検出したチップアドレスCADDをアドレスレジスタ52に与えて記憶させる。こうして、アドレスレジスタ52には、自メモリチップ2を特定するチップアドレスCADDが格納される。
【0127】
動作許可信号生成回路53は、動作許可信号VDDREADYn_Cの発生に際してアドレスレジスタ52のチップアドレスCADDを読み出す。動作許可信号生成回路53は、読み出したチップアドレスCADDに対応する期間において、プレーンPB毎に異なるタイミングで動作許可信号VDDREADYn_Cを出力するようになっている。例えば、動作許可信号生成回路53は、チップアドレスCADDが偶数チップアドレスか奇数チップアドレスかに基づいて、動作許可信号VDDREADYn_Cを出力する期間を異ならせてもよい。例えば、動作許可信号生成回路53は、読み出したチップアドレスCADDが偶数チップアドレスの場合には、リセット解放期間の開始直後の第1時刻からプレーンPB毎に動作許可信号VDDREADYn_Cを出力し、奇数チップアドレスの場合には、第1時刻から所定の遅延時間後の第2時刻からプレーンPB毎に動作許可信号VDDREADYn_Cを出力するようになっていてもよい。
【0128】
このように、マルチチップ構成のメモリチップ2においては、メモリチップ2毎に、動作許可信号VDDREADYn_Cが発生する期間を異ならせることが可能である。例えば、チップアドレスCADDが偶数のメモリチップ2とチップアドレスCADDが奇数のメモリチップ2とで、異なる期間に動作許可信号VDDREADYn_Cを発生させることも可能である。
【0129】
次に、このように構成された実施形態の動作について
図19から
図23を参照して説明する。
図19は偶数チップアドレスのメモリチップ2(以下、偶数メモリチップ2という)による第1グループと奇数チップアドレスのメモリチップ2(以下、奇数メモリチップ2という)による第2グループとを示す説明図である。
図20は上段に第1グループ、下段に第2グループの各メモリチップ2における動作許可信号VDDREADYn_Cを説明するための説明図である。
図21は第2の実施形態におけるICC電流を示す波形図である。
図23は第2実施形態におけるICC電流のピークを説明するための説明図である。
【0130】
図19から
図23はパッケージ内の各メモリチップ2を偶数チップアドレスの第1グループと奇数チップアドレスの第2グループとに分け、第1グループと第2グループとで、異なる期間に動作許可信号VDDREADYn_Cを発生させる例を示している。なお、パッケージ内の各メモリチップ2においてICC電流のピークを分散させればよく、パッケージ内のメモリチップ2のグループ分けは上記第1,第2グループに限定されるものではなく、3つ以上のグループに分けてもよい。
【0131】
図19の例では、チップアドレスCADDがCADD=0,2,4,6の偶数チップアドレスを有する第1グループのメモリチップ2と、チップアドレスCADDがCADD=1,3,5,7の奇数チップアドレスを有する第1グループのメモリチップ2とに分ける例を示している。
【0132】
本実施形態においても、チップ内電源生成回路50は、周辺回路2A及びプレーンPB0には動作許可信号VDDREADYn_C<0>を供給し、プレーンPB1には動作許可信号VDDREADYn_C<1>を供給し、プレーンPB2には動作許可信号VDDREADYn_C<2>を供給し、プレーンPB3には動作許可信号VDDREADYn_C<3>を供給する。
図20に示すように、ローアクティブである動作許可信号VDDREADYn_C<0>~VDDREADYn_C<3>は、同時にアクティブとならずに、順次アクティブに変化する。
【0133】
本実施形態においては、チップ内電源生成回路50は、アドレスレジスタ52から読み出したチップアドレスCADDにより、自チップが第1グループに属するか第2グループに属するかを判定する。チップ内電源生成回路50は、第1グループに属するか第2グループに属するかに応じた異なるタイミングで、動作許可信号VDDREADYn_C<0>~VDDREADYn_C<3>を出力する。
【0134】
図20をこの状態を示しており、偶数チップアドレスの第1グループに属するメモリチップ2の動作許可信号生成回路53は、第1時刻t3から動作許可信号VDDREADYn_C<0>~VDDREADYn_C<3>を順次出力する。その後に、奇数チップアドレスの第2グループに属するメモリチップ2の動作許可信号生成回路53は、第2時刻t4から動作許可信号VDDREADYn_C<0>~VDDREADYn_C<3>を順次出力する。
【0135】
図21は奇数メモリチップ2におけるICC電流、偶数メモリチップ2におけるICC電流及びパッケージ全体のICC電流を示している。動作許可信号VDDREADYn_C<0>~VDDREADYn_C<3>が第1グループと第2グループとで異なる期間に出力されることから、
図21に示すように、偶数メモリチップ2におけるリセット解放によるICC電流のピークと奇数メモリチップ2におけるリセット解放によるICC電流のピークとは異なるタイミングに発生する。偶数メモリチップ2のICC電流のピークと、奇数メモリチップ2のICC電流のピークとが分散される結果、パッケージ全体としてのICC電流ピークは抑制される。
【0136】
図22は、各メモリチップ2に構成されるレベルシフタの例を示す図である。
図22の例では、各メモリチップ2には、
図10と同様の構成のレベルシフタLSが設けられている。各メモリチップ2の各レベルシフタLSには、動作許可信号VDDREADYn_Cが供給されて、動作が制御されるようになっている。
【0137】
図23は
図16と同様の表記方法によって、第2実施形態におけるICC電流のピーク抑制を示している。
【0138】
時刻t0における電源投入から時刻t2のVDD充電期間の終了までの動作は、第1の実施形態と同様である。本実施形態においては、VDD充電期間終了後の第1時刻t3において、偶数チップアドレスのメモリチップ2の動作許可信号生成回路53から動作許可信号VDDREADYn_C<0>~VDDREADYn_C<3>が順次発生する。これにより、チップアドレスCADD=0,2,4,6を有する第1グループの各メモリチップ2の周辺回路2A及びプレーンPB0内の論理回路やレベルシフタが動作許可信号VDDREADYn_C<0>によってリセット解放され、次いで、プレーンPB1,PB2,PB3の順で、それぞれのプレーン内に構成された論理回路やレベルシフタが動作許可信号VDDREADYn_C<1>~VDDREADYn_C<3>によって順次リセット解放される。
【0139】
偶数チップアドレスの各メモリチップ2においてリセット解放が終了した後の第2時刻t4において、奇数チップアドレスのメモリチップ2の動作許可信号生成回路53から動作許可信号VDDREADYn_C<0>~VDDREADYn_C<3>が順次発生する。これにより、チップアドレスCADD=1,3,5,7を有する第2グループの各メモリチップ2の周辺回路2A及びプレーンPB0内の論理回路やレベルシフタが動作許可信号VDDREADYn_C<0>によってリセット解放され、次いで、プレーンPB1,PB2,PB3の順で、それぞれのプレーン内に構成された論理回路やレベルシフタが動作許可信号VDDREADYn_C<1>~VDDREADYn_C<3>によって順次リセット解放される。
【0140】
これにより、
図23に示すように、各メモリチップ2内においてICC電流のピークが分散されると共に、パッケージ内においてICC電流のピークが2つに分散されることになり、パッケージ全体としてピーク電流を抑制することができる。
【0141】
このように、本実施形態においては、第1の実施形態と同様の効果が得られると共に、マルチチップ構成においてパッケージ全体としてピーク電流を抑制することが可能である。
【0142】
(変形例)
図24は変形例を示すブロック図である。
図24において
図18と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。上記各実施形態においては、リセット解放タイミングをメモリチップ2内の領域毎やメモリチップ2毎に分散することで、ICC電流のピークを抑制した。本変形例は、VDD充電のタイミングをメモリチップ2毎に分散することで、ICC電流のピークを抑制するものである。
【0143】
本変形例は、チップ内電源生成回路50に代えてチップ内電源生成回路60を採用した点が
図17の第2実施形態と異なる。チップ内電源生成回路60は、レギュレータ43に代えてレギュレータ61を採用した点が
図18のチップ内電源生成回路50と異なる。
【0144】
レギュレータ61は、タイマ44からの時刻情報だけでなく、アドレスレジスタ52からのチップアドレスCADDも利用して、VDD充電を行う。即ち、レギュレータ61は、アドレスレジスタ52から読み出したチップアドレスCADDに対応する期間において、メモリチップ2毎に異なる期間にVDD充電を実施するようになっている。
【0145】
例えば、レギュレータ61は、チップアドレスCADDが偶数チップアドレスか奇数チップアドレスかに基づいて、VDD充電期間を異ならせてもよい。例えば、レギュレータ61は、読み出したチップアドレスCADDが偶数チップアドレスの場合には、タイマ44からの時刻情報に基づく第3時刻からVDD充電を開始し、奇数チップアドレスの場合には、第3時刻から所定の遅延時間後の第4時刻からVDD充電を開始するようになっていてもよい。
【0146】
次に、このように構成された変形例の動作について
図25を参照して説明する。
図25は変形例におけるICC電流のピークを説明するための説明図である。
図25は
図23と同様の表記方法によって、変形例におけるICC電流のピーク抑制を示している。
【0147】
時刻t0における電源投入からVDD充電の開始までの動作は、第2の実施形態と同様である。本変形例においては、タイマ44からの時刻情報に基づくVDD充電期間の開始時刻、即ち、第3時刻t1aにおいて、偶数チップアドレスのメモリチップ2のレギュレータ61がVDD充電動作を開始する。これにより、偶数メモリチップ2において、VDD供給配線は約2.0Vの通常電圧レベルの動作電圧VDDとなる。なお、奇数チップアドレスのメモリチップ2のレギュレータ61は、第3時刻t1aになってもVDD充電動作を開始しない。これにより、
図25に示すように、偶数メモリチップ2においてICC電流が増加する一方、奇数メモリチップ2においてはICC電流は増加しない。
【0148】
偶数チップアドレスの各メモリチップ2においてVDD充電が終了した後の第4時刻t1bにおいて、奇数チップアドレスのメモリチップ2のレギュレータ61がVDD充電動作を開始する。これにより、奇数メモリチップ2において、VDD供給配線は約2.0Vの通常電圧レベルの動作電圧VDDとなる。これにより、
図25に示すように、奇数メモリチップ2においてICC電流が増加する一方、奇数メモリチップ2においてはVDD充電期間を終了しており、ICC電流は増加しない。
【0149】
他の動作は第2実施形態と同様である。これにより、
図25に示すように、各メモリチップ2内においてリセット解放に伴うICC電流のピークが分散されると共に、パッケージ内においてVDD充電動作及びリセット解放についてICC電流のピークが2つに分散されることになり、パッケージ全体としてピーク電流を抑制することができる。
【0150】
このように、本実施形態においては、第2の実施形態と同様の効果が得られると共に、VDD充電期間におけるピーク電流を抑制することが可能である。
【0151】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0152】
メモリコントローラ、2…不揮発性メモリ、11…RAM、12…プロセッサ、13…ホストインターフェイス、14…ECC回路、15…メモリインターフェイス、16…内部バス、21…ロジック制御回路、22…入出力回路、23…メモリセルアレイ、24…センスアンプ、24A…センスアンプユニット群、24B…データレジスタ、25…ロウデコーダ、、26…レジスタ、27…シーケンサ、28…電圧生成回路、29…MUXスイッチ、2A…周辺回路、32…入出力用パッド群、34…ロジック制御用パッド群、35…電源入力用パッド群、40…チップ内電源生成回路、41…初期充電回路、42…VREF生成回路、43…レギュレータ、44…タイマ、45…動作許可信号生成回路、50…チップ内電源生成回路、51…アドレス検出回路、52…アドレスレジスタ、53…動作許可信号生成回路、60…チップ内電源生成回路、61…レギュレータ。