(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043355
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】音発生ダクト構造
(51)【国際特許分類】
B60Q 5/00 20060101AFI20240322BHJP
G10K 11/22 20060101ALI20240322BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B60Q5/00 680E
B60Q5/00 620A
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 670A
G10K11/22
G10K15/04 302J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148499
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122183
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】船村 和彦
(72)【発明者】
【氏名】村上 友一
(57)【要約】
【課題】レイアウトの自由度が高い音発生ダクト構造を提供する。
【解決手段】音発生ダクト構造35は、音発生装置と、音発生装置から出た音を所定位置に導くダクト36と、を備える。ダクト36は、出口側の開口36aが車室と反対側へ向いている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音発生装置と、
前記音発生装置から出た音を所定位置に導くダクトと、を備え、
前記ダクトは、出口側の開口が車室と反対側へ向いていることを特徴とする音発生ダクト構造。
【請求項2】
前記ダクトは、ゴム材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の音発生ダクト構造。
【請求項3】
車両用灯具と、
前記車両用灯具に隣接する車両外装部品と、を更に備え、
前記ダクトは、前記開口が前記車両用灯具の照射方向に向いていることを特徴とする請求項1又は2に記載の音発生ダクト構造。
【請求項4】
前記ダクトは、前記開口が前記車両外装部品の背面と対向していることを特徴とする請求項3に記載の音発生ダクト構造。
【請求項5】
前記車両外装部品はバンパーであり、
前記ダクトは、前記開口の縁部が前記バンパーと接していることを特徴とする請求項4に記載の音発生ダクト構造。
【請求項6】
前記ダクトは、前記車両外装部品と前記車両用灯具の外側にある透明部材との隙間と対向する位置に前記開口が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の音発生ダクト構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音発生ダクト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車のようにモータを走行駆動源とする車両では、低速時におけるモータ音が静粛であるため他車両や歩行者が自車両に気づき難い。そこで、モータ音とは別の疑似音を発生させ、この疑似音を他車両や歩行者に対する警告音とする技術が提案されている。
【0003】
例えば、光源と、車両用灯具を構成するアウタレンズに固定され、電気信号を受けて振動によりアウタレンズを発音させる振動子と、を備える車両用灯具が考案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の振動子は、音を発生させるアウタレンズに直接固定する必要がある。そのため、振動子を取り付ける位置が限定されるため、振動子のレイアウトによっては所望の方向に報知音を発することが難しい。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、レイアウトの自由度が高い音発生ダクト構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の音発生ダクト構造は、音発生装置と、音発生装置から出た音を所定位置に導くダクトと、を備える。ダクトは、出口側の開口が車室と反対側へ向いている。
【0008】
この態様によると、音発生装置のレイアウトの自由度を高めつつ、音発生装置から出た音が車室内へ向かいにくくなる。そのため、音発生装置から出た音が乗員に与える不快感を低減できる。
【0009】
ダクトは、ゴム材料で形成されていてもよい。これにより、ダクトやダクトを組み付ける他の部品に形状誤差があっても、ある程度変形することで吸収できる。ゴム材料は、例えば、ゴム硬度(ショアA)が50°以上のエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)である。
【0010】
車両用灯具と、車両用灯具に隣接する車両外装部品と、を更に備えてもよい。ダクトは、開口が車両用灯具の照射方向に向いていてもよい。これにより、車両の周囲に向けて効率よく音を発することができる。
【0011】
ダクトは、開口が車両外装部品の背面と対向していてもよい。これにより、車両外装部品を介して車両外部へ音を発することができる。
【0012】
車両外装部品はバンパーであり、ダクトは、開口の縁部がバンパーと接していてもよい。これにより、バンパーを介して車両外部へ音を発することができる。
【0013】
ダクトは、車両外装部品と車両用灯具の外側にある透明部材との隙間と対向する位置に開口が配置されていてもよい。これにより、車両外装部品や車両用灯具との隙間から車両外部へ効率よく音を発することができる。
【0014】
以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を製造方法、灯具や照明などの装置、発光モジュール、光源などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レイアウトの自由度が高い新たな音発生ダクト構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を示す縦断面図である。
【
図2】第2の実施の形態に係る音発生ユニットの断面図である。
【
図3】第2の実施の形態に係る音発生ダクト構造を説明するための縦断面図である。
【
図4】第3の実施の形態に係る音発生ダクト構造を説明するための縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を示す縦断面図である。なお、
図1は一部の部品を省略して図示している。
図1に示す車両用灯具としての車両用前照灯10は、不図示の光源から出射された光が車両前方へ向けて透過するように配置されるアウタレンズ12と、光源と車両本体とを隔てる隔壁としてのランプボディ14と、を備える。アウタレンズ12は、ランプボディ14の車両前方側の開口を塞ぐように、ランプボディ14と一体化され、光源が配置される灯室16を構成する。
【0019】
このように構成された車両用前照灯10は、隣接する車両外装部品であるボンネット18及びバンパー20の間の空間に配置されている。本実施の形態に係る車両用前照灯10は、ランプボディ14の底部14aの灯具外側に、車両周囲の他車両や歩行者に対する報知音を発生する音発生ユニット22が設けられている。
【0020】
図2は、第2の実施の形態に係る音発生ユニットの断面図である。
図2に示すように、音発生ユニット22は、音発生装置の一種であるスピーカユニット24と、スピーカユニット24を保持した状態で、被固定部26に固定される保持部材としてのカバー28と、を備える。本実施の形態に係る被固定部26は、車両用前照灯10を構成する灯具部品としてのランプボディ14の一部(底部14a)である。灯具部品としては、ランプボディ14そのものに限らず、ランプボディ14と一体の他部品や、ランプボディ14と連結される他部品であってもよい。これにより、新たな部品を必要とせずに車両用灯具と一体の音発生ユニット22を実現できる。
【0021】
また、被固定部26及びカバー28は、本実施の形態に係る外側筐体を構成し、スピーカユニット24を覆う。また、カバー28がスピーカユニット24を保持した状態で被固定部26に固定されるため、スピーカユニット24を固定するための部品を外側筐体とは別に設ける必要がなくなる。ランプボディ14の外側に設けられたスピーカユニット24は、音Sを発する前面24aが車両外部EXへ向くようにスピーカボディ32中央の所定位置に固定されている。スピーカユニット24は、音を発するものであればよく、例えば、ボイスコイルとマグネットにより振動板を振動させることで音を発する構造であってもよい。本実施の形態に係るスピーカユニット24は、磁気回路の振動が伝わる円板状の振動板24bと、電気信号を振動に変換する磁気回路24cと、スピーカボディ32とを有する。
【0022】
スピーカボディ32は、ワイヤーハーネスのコネクタが接続される接続部(不図示)と、内側筐体32bとを有し、内側筐体32bの車両外部側の開口32cを閉塞するように振動板24bを保持している。これにより、水や埃が内側筐体32bを通って車両内部へ入り込むことを防止できる。
【0023】
カバー28は、スピーカユニット24が直接外部に露出しないように保護するためのものであり、振動板24bの前面24aを覆うことで、スピーカユニット24の破損や汚損が低減される。また、カバー28は、振動板24bから出た音が外部へ伝わりやすいように穴やスリット29が形成されている。
【0024】
カバー28は、外側筐体28bの外周部の環状のフランジ部28eにOリング34が装着されている。Oリング34は、被固定部26とカバー28との間を封止する。これにより、接着剤等を用いずに被固定部26とカバー28との間から水や埃が車両内部へ入り込むことを防止できる。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態に係る音発生ユニット22は、車両用前照灯10の下部に設けられており、そのままであれば車両下方に向けて音Sが出る。しかしながら、下方への音出しは、車両周囲に存在する歩行者や他車両への報知には最適とは言えない。そこで、本実施の形態に係る音発生ダクト構造35では、スピーカユニット24のカバー28の下部に、スピーカユニット24から出た音Sを車両前部の所定位置に導くダクト36が、車両前方に延びるように設けられている。ダクト36は、出口側の開口36aが車室Cと反対側へ向いている。
【0026】
これにより、スピーカユニット24の前面24aと報知したい方向とを一致させる必要がなく、また、スピーカユニット24をボンネット18やバンパー20等の車両ボディの外装部品に近い所に配置する必要がなくなる。そのため、スピーカユニット24のレイアウトの自由度を高めつつ、スピーカユニット24から出た音Sがエンジンルームを経て車室内へ向かいにくくなり、スピーカユニット24から出た音Sが乗員に与える不快感を低減できる。
【0027】
ダクト36は、開口36aが車両外装部品であるバンパー20の背面20aと対向している。これにより、開口36aから出た音Sはバンパー20を振動させることで伝搬し、バンパー20を介して車両外部へ音Sを発することができる。また、ダクト36は、開口36aが車両用前照灯10の照射方向に向いている。これにより、車両の周囲に向けて効率よく音Sを発することができる。また、ダクト36は、開口の縁部がバンパー20と接していてもよい。これにより、ダクト36を通ってきた音Sの大半がバンパー20を振動させることとなり、車両外部へ効率的に音を発することができる。
【0028】
本実施の形態に係るダクト36は、音発生ユニット22のカバー28に取り付けられているが、車両用前照灯10を構成するランプボディ14に取り付けられていてもよい。
【0029】
ダクト36は、少なくとも一部がゴム材料で形成されていてもよい。これにより、ダクト36やダクトを組み付ける音発生ユニット22やランプボディ14に形状誤差があっても、ある程度変形することで吸収できる。また、開口36aの縁部をバンパー20に接触させる場合、走行中の振動によりダクト36とバンパー20とが互いに衝突して衝突音を発する可能性があるが、ダクト36の開口36aの縁部をゴム材料で構成することで、衝突音の発生を抑制できる。ゴム材料は、例えば、ゴム硬度(ショアA)が50°以上のエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)である。
【0030】
(第2の実施の形態)
図3は、第2の実施の形態に係る音発生ダクト構造を説明するための縦断面図である。本実施の形態に係る音発生ダクト構造38が備えるダクト40は、車両外装部品であるバンパー20と車両用灯具の外側にある透明部材としてのアウタレンズ12との隙間42と対向する位置に開口40aが配置されている。これにより、バンパー20とアウタレンズ12との隙間42から車両外部へ直接音Sを発することができる。また、隙間42から音Sを直接放音させることで、エンジンルーム内に音が響き難くなる。なお、開口40aの形状は、隙間42に応じた形状であり、例えば、細長い矩形であってもよい。
【0031】
(第3の実施の形態)
図4は、第3の実施の形態に係る音発生ダクト構造を説明するための縦断面図である。本実施の形態に係る音発生ダクト構造44は、音発生ユニット22がランプボディ14の側面に設けられている。音発生ユニット22は、音Sが側方(紙面手前側)に出るようにランプボディ14に固定されており、音発生ユニット22の音Sが出る領域を側方から覆うようにダクト46が設けられている。
【0032】
ダクト46は、車両外装部品であるボンネット18と車両用灯具の外側にある透明部材としてのアウタレンズ12との隙間48と対向する位置に開口46aが配置されている。これにより、ボンネット18とアウタレンズ12との隙間48から車両外部へ直接音Sを発することができる。また、隙間48から音Sを直接放音させることで、エンジンルーム内に音が響き難くなる。なお、開口46aの形状は、隙間48に応じた形状であり、例えば、細長い矩形であってもよい。
【0033】
上述の各実施の形態に係る音発生ダクト構造は、乗員がいる車室側と反対方向へ音Sがでるため、乗員に音が伝わり難く、車室内での騒音を低減できる。
【0034】
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0035】
10 車両用前照灯、 12 アウタレンズ、 14 ランプボディ、 14a 底部、 18 ボンネット、 20 バンパー、 22 音発生ユニット、 24 スピーカユニット、 24a 前面、 35 音発生ダクト構造、 36 ダクト、 36a 開口。