(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004340
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】車載機、音声加工方法、および音声加工システム
(51)【国際特許分類】
G07C 5/00 20060101AFI20240109BHJP
G10L 21/003 20130101ALI20240109BHJP
G10L 17/00 20130101ALI20240109BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
G10L21/003
G10L17/00 200Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103959
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春名 淳子
【テーマコード(参考)】
3E138
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138AA07
3E138MA01
3E138MA02
3E138MB08
3E138MB09
3E138MC06
3E138MF02
3E138MF06
3E138MF08
(57)【要約】
【課題】ユーザのプライバシを保護しつつ、重要な車室内の音声を記録できる車載機、音声加工方法、および音声加工システムを提供する。
【解決手段】実施形態の一態様に係る車載機は、コントローラを備える。コントローラは、車室内の音声から予め登録されるユーザの音声情報に対応するユーザの音声を検出し、検出したユーザの音声を加工する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の音声から予め登録されるユーザの音声情報に対応する前記ユーザの音声を検出し、
検出した前記ユーザの音声を加工するコントローラ
を備える車載機。
【請求項2】
前記コントローラは、
検出した前記ユーザの音声が消去されるように、前記ユーザの音声を加工する
請求項1に記載の車載機。
【請求項3】
前記コントローラは、
検出した前記ユーザの音声の発話者が特定されない音声に変換されるように、前記ユーザの音声を加工する
請求項1に記載の車載機。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記予め登録されるユーザの音声情報を記憶し、
前記車室内の音声と前記ユーザの音声情報とを照合して、前記車室内の音声から前記ユーザの音声を検出する
請求項1に記載の車載機。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記予め登録されるユーザの顔画像と前記ユーザの音声情報とを対応付けて記憶し、
車室内を撮像するカメラによって撮像される車室内の映像と前記ユーザの顔画像とを照合し、前記車室内の映像から前記ユーザを検出した場合に、前記車室内の音声から前記ユーザの音声を検出する
請求項4に記載の車載機。
【請求項6】
前記コントローラは、
音声出力トリガが発動された場合に、前記ユーザの音声を加工した前記車室内の音声を出力する
請求項1に記載の車載機。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記音声出力トリガが発動された場合に、前記ユーザの音声の加工を開始する
請求項6に記載の車載機。
【請求項8】
前記コントローラは、
起動された場合に、前記ユーザの音声の加工を開始する
請求項6に記載の車載機。
【請求項9】
前記コントローラは、
起動から音声記録トリガが発動されるまでの間、前記ユーザの音声が消去されるように、前記ユーザの音声を加工して前記車室内の音声を記録し、
前記音声記録トリガが発動された場合に、前記ユーザの音声の発話者が特定されない音声に変換されるように、前記ユーザの音声を加工して前記車室内の音声を記録する
請求項1に記載の車載機。
【請求項10】
車載機のコントローラが実行する音声加工方法であって、
車室内の音声から予め登録されるユーザの音声情報に対応する前記ユーザの音声を検出し、
検出した前記ユーザの音声を加工する
ことを含む音声加工方法。
【請求項11】
車載機と、前記車載機と通信可能なセンタ装置とを含み、
前記センタ装置は、
予め登録されるユーザの音声情報を記憶し、
前記ユーザの音声情報を前記車載機に送信し、
前記車載機は、
車室内の音声から、前記センタ装置から受信する前記ユーザの音声情報に対応する前記ユーザの音声を検出し、
検出した前記ユーザの音声を加工する
音声加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、車載機、音声加工方法、および音声加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両周辺の映像と車室内の音声とを記録するドライブレコーダなどの車載機がある。また、映像記録する際に、録音機能のオンとオフとを切替可能な車載機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車載機は、録音機能がオフされた場合、ユーザのプライバシを保護できるが、例えば、事故原因の解明に重要な車室内の音声情報を記録できない。
【0005】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザのプライバシを保護しつつ、重要な車室内の音声を記録できる車載機、音声加工方法、および音声加工システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る車載機は、コントローラを備える。コントローラは、前記車室内の音声から予め登録されるユーザの音声情報に対応する前記ユーザの音声を検出し、検出した前記ユーザの音声を加工する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様に係る車載機、音声加工方法、および音声加工システムは、ユーザのプライバシを保護しつつ、重要な車室内の音声を記録できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車載機の構成例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車載機のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態に係る車載機のコントローラが実行する処理の変形例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る音声加工システムの構成例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るセンタ装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、車載機、音声加工方法、および音声加工システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。実施形態に係る車載機は、車両に搭載され、車両周辺の映像(以下、「車外映像」と記載する)を撮像して記録し、車室内の音声(以下、「車内音声」と記載する)を集音して記録するドライブレコーダである。
【0010】
[1.車載機の構成例]
まず、
図1を参照して、実施形態に係る車載機1の構成例について説明する。
図1は、実施形態に係る車載機1の構成例を示す説明図である。
【0011】
図1に示すように、車載機1は、カメラ20,21と、センサ22と、マイク23と、コントローラ3と、ストレージ4とを含む。カメラ20は、車室内の映像(以下、「車内映像50」と記載する)を撮像する撮像装置である。カメラ21は、車外映像51を撮像する撮像装置である。センサ22は、車載機1が搭載される車両に加わる衝撃を検知する検知装置である。マイク23は、車内音声52を集音する集音装置である。
【0012】
コントローラ3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。コントローラ3は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより車載機1全体の動作を制御する。
【0013】
なお、コントローラ3は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0014】
ストレージ4は、例えば、データフラッシュ等の情報記憶デバイスであり、車内映像50と、車外映像51と、車内音声52と、ユーザ情報53とを記憶する。ユーザ情報53は、音声情報54と、顔画像55とを含む。音声情報54は、予め登録される車載機1のユーザ10の声の情報である。音声情報54は、例えば、ユーザ10の声紋情報および声の周波数情報などを含む。顔画像55は、ユーザ10の顔の画像である。
【0015】
ユーザ10は、例えば、スマートフォンなどの端末装置(以下、「ユーザ端末11」と記載する)にインストールされた所定のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」と記載する)を利用して、自身の声を録音し、自身の顔画像55を撮像して、ユーザ端末11から車載機1へ送信できる。コントローラ3は、ユーザ端末11から受信するユーザ情報53をストレージ4に記憶して登録する。
【0016】
コントローラ3は、車載機1が起動されると、カメラ20から入力される車内映像50、カメラ21から入力される車外映像51、およびマイク23から入力される車内音声52をストレージ4に記録する。コントローラ3は、所定時間(例えば、2時間)おきに、車外映像51および車内音声52をストレージ4に上書き保存して記録する。
【0017】
コントローラ3は、音声出力トリガが発動された場合に、車外映像51および車内音声52を出力する。車載機1は、例えば、ユーザ端末11のアプリから記録音声の出力要求を受信した場合に、音声出力トリガを発動する。車載機1は、例えば、図示しない操作部に対して所定の出力操作が行われた場合に、音声出力トリガを発動するように構成されてもよい。
【0018】
このように、車載機1は、車外映像51および車内音声52を記録して出力することによって、例えば、車両事故が発生した場合に、記録した車外映像51および車内音声52を出力することによって、事故原因の解明に寄与することができる。
【0019】
ただし、車載機のユーザ10によっては、プライバシ保護の観点から車内音声52が第3者に聞かれることを望まない場合がある。このため、録音機能をオフすることができる車載機がある。しかしながら、車載機は、録音機能がオフされると、事故原因の解明に重要な車室内の会話以外の音声情報54を記録できない。
【0020】
そこで、実施形態に係る車載機1は、ユーザ10のプライバシを保護しつつ、重要な車内音声52を記録できる構成を備える。具体的には、車載機1のコントローラ3は、車内音声52を記録し、記録した車内音声52から予め登録されるユーザ10の音声情報54に対応するユーザ10の音声を検出する。そして、コントローラ3は、検出したユーザ10の音声を加工する。
【0021】
車載機1によれば、コントローラ3は、記録したユーザ10の音声を加工し、音声からユーザ10を特定できなくすることによって、ユーザ10のプライバシを保護しつつ、重要な車内音声52を記録できる。
【0022】
このとき、コントローラ3は、検出したユーザ10の音声が消去されるように、ユーザ10の音声を加工する。例えば、コントローラ3は、車内音声52と、ユーザ10の発話音声の逆位相音とを合成することによって、車内音声52からユーザ10の音声を消去する。これにより、車載機1は、ユーザ10の音声以外の車内音声52を記録できるので、ユーザ10のプライバシを確実に保護しつつ、重要な車内音声52を記録できる。
【0023】
また、コントローラ3は、検出したユーザ10の音声の発話者が特定されない音声に変換されるように、ボイスチェンジ処理を行うことによって、ユーザ10の音声を加工する。これにより、車載機1は、例えば、事故発生時のユーザ10の発話内容に、事故原因解明につながる内容が含まれる場合、ユーザ10を特定させることなく、ユーザ10の発話内容を含んだ車内音声52を記録できる。したがって、車載機1によれば、ユーザ10のプライバシを確実に保護しつつ、重要な車内音声52を記録できる。
【0024】
また、コントローラ3は、予め登録されるユーザ10の音声情報54を記憶し、車内音声52とユーザ10の音声情報54とを照合して、車内音声52からユーザ10の音声を検出する。これにより、車載機1は、車内音声52から正確にユーザ10の音声を検出できる。
【0025】
また、コントローラ3は、予め登録されるユーザ10の顔画像55とユーザ10の音声情報54とを対応付けてストレージ4に記憶する。そして、コントローラ3は、車内映像50とユーザ10の顔画像55とを照合(例えば、顔認証処理)し、車内映像50からユーザ10を検出した場合に、車内音声52からユーザ10の音声を検出する。これにより、車載機1は、例えば、声質が類似した乗員がいる場合であっても、車内音声52から、より確実にユーザ10の音声を検出できる。
【0026】
また、コントローラ3は、音声出力トリガが発動された場合に、ユーザ10の音声を加工した車内音声52を出力するように構成されてもよい。この場合、コントローラ3は、音声出力トリガが発動された場合に、ユーザ10の音声の加工を開始する。これにより、車載機1は、音声出力トリガが発動されなければ、ユーザ10の音声を加工しなくて済むため、コントローラ3の処理を負荷、および、音声の加工に要する消費電力を低減できる。
【0027】
また、コントローラ3は、車載機1が起動された場合に、ユーザ10の音声の加工を開始するように構成されてもよい。これにより、車載機1は、記録した全ての車内音声52において、ユーザ10の音声の発話者を第3者に特定できないように加工できるので、ユーザ10のプライバシを確実に保護できる。
【0028】
また、コントローラ3は、車載機1の起動から音声記録トリガが発動されるまでの間、ユーザ10の音声が消去されるように、ユーザ10の音声を加工して車内音声52を記録するように構成されてもよい。車載機1は、例えば、車両に衝撃が加えられたことを示すセンサ22の検知結果がコントローラ3に入力された場合に、音声記録トリガを発動する。
【0029】
この場合、コントローラは、音声記録トリガが発動された場合に、ユーザ10の音声の発話者が特定されない音声に変換されるように、ユーザ10の音声を加工して車内音声52を記録する。
【0030】
これにより、車載機1は、例えば、車両事故の発生により音声記録トリガが発動される前であり、車内音声52の出力が要求される可能性の低い期間は、車内音声52からユーザ10の音声を消去することにより、ストレージ4の容量の使用量を低減できる。
【0031】
また、車載機1は、車両事故の発生により音声記録トリガが発動され、車内音声52の出力が要求される可能性の高い期間は、ユーザ10の音声の発話者を第3者に特定できないように加工するので、事故原因の解明に重要な会話内容については出力できる。
【0032】
このように、車載機1によれば、事故が発生した際、衝突音や周囲の音声情報54も重要な情報として記録しつつ、車内の会話等については記録されないため、プライベート情報を記録したくないニーズを満足しつつ重要な情報については残すことが可能になる。また、車載機1によれば、車内音声52が必要な際には個人を特定しないように車内音声52を記録することができる。
【0033】
[2.車載機のコントローラが実行する処理]
次に、
図2を参照して、実施形態に係る車載機1のコントローラ3が実行する処理について説明する。
図2は、実施形態に係る車載機1のコントローラ3が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0034】
コントローラ3は、起動されている間、
図2に示す処理を繰り返し実行する。具体的には、
図2に示すように、コントローラ3は、車載機1が起動されると、まず、ユーザ情報53の入力があるか否かを判定する(ステップS101)。
【0035】
このとき、コントローラ3は、マイク23またはユーザ端末11のアプリから、ユーザ10の音声情報54の入力があるか否かを判定する。また、コントローラ3は、車室内を撮像するカメラ20またはユーザ端末11のアプリから、ユーザ10の顔画像55の入力があるか否かを判定する。コントローラ3は、ユーザ情報53の入力がないと判定した場合(ステップS101,No)、処理をステップS103に移す。
【0036】
コントローラ3は、ユーザ情報53の入力があると判定した場合(ステップS101,Yes)、ストレージ4にユーザ情報53を登録する(ステップS102)。例えば、コントローラ3は、ユーザ10の音声情報54および顔画像55をストレージ4に記憶することによって、ユーザ情報53を登録する。
【0037】
その後、コントローラ3は、カメラ21によって撮像される車外映像51およびマイク23によって集音される車内音声52をストレージ4に記録する(ステップS103)。続いて、コントローラ3は、ストレージ4に登録済みのユーザ情報53があるか否かを判定する(ステップS104)。コントローラ3は、登録済みのユーザ情報53がないと判定した場合(ステップS104,No)、今回の処理を終了する。
【0038】
コントローラ3は、登録済みのユーザ情報53があると判定した場合(ステップS104,Yes)、記録した車内音声52から予め登録されるユーザ10の音声情報54に対応するユーザ10の音声を検出する(ステップS105)。
【0039】
このとき、コントローラ3は、例えば、車内音声52とユーザ10の音声情報54とを照合して、車内音声52からユーザ10の音声を検出する。また、コントローラ3は、車室内を撮像するカメラ20によって撮像される車内映像50とユーザ10の顔画像55とを照合し、車内映像50からユーザ10を検出した場合に、車内音声52からユーザ10の音声を検出するように構成されてもよい。
【0040】
続いて、コントローラ3は、検出したユーザ10の音声を加工する(ステップS106)。このように、コントローラ3は、車載機1が起動された場合に、ユーザ10の音声の加工を開始する。
【0041】
このとき、コントローラ3は、ユーザ10の音声が消去されるように、ユーザ10の音声を加工する。または、コントローラ3は、ユーザ10の音声の発話者が特定されない音声に変換されるように、ユーザ10の音声を加工する。
【0042】
その後、コントローラ3は、ユーザ10の音声を加工した車内音声52をストレージ4に記録し(ステップS107)、音声出力トリガが発動されたか否かを判定する(ステップS108)。
【0043】
車載機1は、例えば、ユーザ端末11のアプリから記録音声の出力要求を受信した場合に、音声出力トリガを発動する。車載機1は、例えば、図示しない操作部に対して所定の出力操作が行われた場合に、音声出力トリガを発動するように構成されてもよい。
【0044】
コントローラ3は、音声出力トリガが発動されていないと判定した場合(ステップS108,No)、今回の処理を終了する。コントローラ3は、音声出力トリガが発動されたと判定した場合(ステップS108,Yes)、ユーザ10の音声を加工した車内音声52を出力し(ステップS109)、今回の処理を終了する。
【0045】
このとき、コントローラ3は、車内音声52と合わせて、車外映像51を出力する。コントローラ3は、例えば、情報収集センタに設けられるセンタ装置12へ無線通信によって車外映像51および車内音声52を出力する。コントローラ3は、例えば、外付けの情報記憶媒体に車外映像51および車内音声52を出力するように構成されてもよい。
【0046】
[3.車載機のコントローラが実行する処理の変形例]
次に、
図3を参照して、実施形態に係る車載機1のコントローラ3が実行する処理の変形例について説明する。
図3は、実施形態に係る車載機1のコントローラ3が実行する処理の変形例を示すフローチャートである。
【0047】
コントローラ3は、
図2に示す処理に代えて、
図3に示す処理を実行するように構成されてもよい。この場合、コントローラ3は、起動されている間、
図3示す処理を繰り返し実行する。
図3に示すように、コントローラ3は、車載機1が起動されると、まず、ユーザ情報53の入力があるか否かを判定する(ステップS201)。
【0048】
このとき、コントローラ3は、マイク23またはユーザ端末11のアプリから、ユーザ10の音声情報54の入力があるか否かを判定する。また、コントローラ3は、車室内を撮像するカメラ20またはユーザ端末11のアプリから、ユーザ10の顔画像55の入力があるか否かを判定する。コントローラ3は、ユーザ情報53の入力がないと判定した場合(ステップS201,No)、処理をステップS203に移す。
【0049】
コントローラ3は、ユーザ情報53の入力があると判定した場合(ステップS201,Yes)、ストレージ4にユーザ情報53を登録する(ステップS202)。例えば、コントローラ3は、ユーザ10の音声情報54および顔画像55をストレージ4に記憶することによって、ユーザ情報53を登録する。
【0050】
その後、コントローラ3は、カメラ21によって撮像される車外映像51およびマイク23によって集音される車内音声52をストレージ4に記録する(ステップS203)。続いて、コントローラ3は、ストレージ4に登録済みのユーザ情報53があるか否かを判定する(ステップS204)。コントローラ3は、登録済みのユーザ情報53がないと判定した場合(ステップS204,No)、今回の処理を終了する。
【0051】
コントローラ3は、登録済みのユーザ情報53があると判定した場合(ステップS204,Yes)、記録した車内音声52から予め登録されるユーザ10の音声情報54に対応するユーザ10の音声を検出する(ステップS205)。
【0052】
このとき、コントローラ3は、例えば、車内音声52とユーザ10の音声情報54とを照合して、車内音声52からユーザ10の音声を検出する。また、コントローラ3は、車室内を撮像するカメラ20によって撮像される車内映像50とユーザ10の顔画像55とを照合し、車内映像50からユーザ10を検出した場合に、車内音声52からユーザ10の音声を検出するように構成されてもよい。
【0053】
続いて、コントローラ3は、ユーザ10の音声が消去されるように、ユーザ10の音声を加工する。そして、コントローラ3は、ユーザ10の音声が消去された車内音声52をストレージ4に記録する(ステップS206)。
【0054】
その後、コントローラ3は、音声記録トリガが発動されたか否かを判定する(ステップS207)。車載機1は、例えば、車両に衝撃が加えられたことを示すセンサ22の検知結果がコントローラ3に入力された場合に、音声記録トリガを発動する。
【0055】
コントローラ3は、音声記録トリガが発動されていないと判定した場合(ステップS207,No)、処理をステップS203へ移す。このように、コントローラ3は、車載機1の起動から音声記録トリガが発動されるまでの間、ユーザ10の音声が消去されるように、ユーザ10の音声を加工して車内音声52を記録する。
【0056】
また、コントローラ3は、音声記録トリガが発動されたと判定した場合(ステップS207,Yes)、ユーザ10の音声の発話者が特定されない音声に変換されるように、ユーザ10の音声を加工する。そして、コントローラ3は、ユーザ10の音声が変換された車内音声52をストレージ4に記録する(ステップS208)。このように、コントローラ3は、音声記録トリガが発動された場合に、ユーザ10の音声の加工を開始する。
【0057】
その後、コントローラ3は、音声出力トリガが発動されたか否かを判定する(ステップS209)。車載機1は、例えば、ユーザ端末11のアプリから記録音声の出力要求を受信した場合に、音声出力トリガを発動する。車載機1は、例えば、図示しない操作部に対して所定の出力操作が行われた場合に、音声出力トリガを発動するように構成されてもよい。
【0058】
コントローラ3は、音声出力トリガが発動されていないと判定した場合(ステップS209,No)、今回の処理を終了する。コントローラ3は、音声出力トリガが発動されたと判定した場合(ステップS209,Yes)、ユーザ10の音声を加工した車内音声52を出力し(ステップS210)、今回の処理を終了する。
【0059】
このとき、コントローラ3は、車内音声52と合わせて、車外映像51を出力する。コントローラ3は、例えば、情報収集センタに設けられるセンタ装置12へ無線通信によって車外映像51および車内音声52を出力する。コントローラ3は、例えば、外付けの情報記憶媒体に車外映像51および車内音声52を出力するように構成されてもよい。
【0060】
[4.音声加工システムの構成例]
次に、
図4を参照して、実施形態に係る音声加工システム100の構成例について説明する。
図4は、実施形態に係る音声加工システム100の構成例を示す説明図である。
【0061】
図4に示すように、音声加工システム100は、車載機1に加えて、情報収集センタに設けられるセンタ装置12を含む。センタ装置12は、CPU、ROM、RAMなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。センタ装置12は、車載機1との無線通信が可能である。また、センタ装置12は、ユーザ端末11との無線通信が可能である。
【0062】
センタ装置12は、ストレージ13を備える。センタ装置12は、予め登録されるユーザ10のユーザ情報53をストレージ13に記憶する。ユーザ10は、ユーザ端末11にインストールされた所定のアプリを利用して、自身の声を録音し、自身の顔画像55を撮像して、ユーザ端末11からセンタ装置12へ送信できる。
【0063】
また、ユーザ10は、アプリを利用して、使用する車両の車両情報56をユーザ端末11からセンタ装置12へ送信できる。車両情報56は、車両のナンバープレート番号、車体番号、および車両の予め設定されるIDなどである。
【0064】
センタ装置12は、ユーザ端末11から受信するユーザ10の音声情報54、顔画像55、および車両情報56をストレージ13に記憶して登録する。センタ装置12は、ストレージ13に登録したユーザ10の音声情報54、顔画像55を含むユーザ情報53を車載機1に送信する。
【0065】
車載機1は、車内音声52を記録し、記録した車内音声52から、センタ装置12から受信するユーザ10の音声情報54に対応するユーザ10の音声を検出する。そして、車載機1は、
図1に示す車載機1と同様に、検出したユーザ10の音声を加工する。
【0066】
音声加工システム100によれば、車載機1は、記録したユーザ10の音声を加工し、音声からユーザ10を特定できなくすることによって、ユーザ10のプライバシを保護しつつ、重要な車内音声52を記録できる。
【0067】
また、センタ装置12は、車載機1から乗員情報を受信した場合に、乗員情報に対応するユーザ10の音声情報54を車載機1に送信する。音声情報54を受信した車載機1は、
図1に示す車載機1と同様に、記録する車内音声52から検出したユーザ10の音声を加工する。
【0068】
これにより、ユーザ10は、例えば、レンタカーやカーシェアリングの車両など、初めて利用する車両であっても、センタ装置12から利用する車両の車載機1に自身の音声情報54を送信してもらうことにより、車載機1に記憶される自身の音声の発話者を特定できなくすることができる。
【0069】
[5.センタ装置のコントローラが実行する処理]
次に、
図5を参照して、実施形態に係るセンタ装置12が実行する処理について説明する。
図5は、実施形態に係るセンタ装置12が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0070】
センタ装置12は、電源がオンの期間に、
図5に示す処理を繰り返し実行する。具体的には、センタ装置12は、電源がオンにされると、まず、ユーザ情報53の入力があるか否かを判定する(ステップS301)。
【0071】
このとき、センタ装置12は、車載機1またはユーザ端末11のアプリから、ユーザ10の音声情報54の入力があるか否かを判定する。また、コントローラ3は、車載機1またはユーザ端末11のアプリから、ユーザ10の顔画像55の入力があるか否かを判定する。
【0072】
さらに、センタ装置12は、車載機1またはユーザ端末11のアプリから、車載機1が搭載された車両情報56が入力されたか否かを判定する。車両情報56は、車両のナンバープレート番号、車体番号、および車両の予め設定されるIDなどである。
【0073】
センタ装置12は、ユーザ情報53の入力がないと判定した場合(ステップS301,No)、処理をステップS305へ移す。また、センタ装置12は、ユーザ情報53の入力があると判定した場合(ステップS301,Yes)、入力されたユーザ情報53をストレージ13に記憶して登録する(ステップS302)。
【0074】
その後、センタ装置12は、ユーザ端末11のアプリからのユーザ情報53の入力か否かを判定する(ステップS303)。センタ装置12は、アプリからのユーザ情報53の入力でないと判定した場合(ステップS303,No)、処理をステップS305へ移す。
【0075】
また、センタ装置12は、アプリからのユーザ情報53の入力であると判定した場合(ステップS303,Yes)、ユーザ10の車載機1へユーザ10の音声情報54を送信し(ステップS304)、今回の処理を終了する。
【0076】
また、ステップS305において、センタ装置12は、車載機1から乗員情報を受信したか否かを判定する。乗員情報は、例えば、車載機1が搭載された車両の使用者の音声情報54、使用者の顔画像55、または車両情報56である。
【0077】
センタ装置12は、車両情報56を受信していないと判定した場合(ステップS305,No)、今回の処理を終了する。また、センタ装置12は、車両情報56を受信したと判定した場合(ステップS305,Yes)、乗員情報に対応するユーザ10の音声情報54を車載機1へ装置し(ステップS306)、今回の処理を終了する。
【0078】
なお、音声加工システム100における車載機1のコントローラ3は、
図2または
図3に示した処理と同様の処理を実行する。ただし、この場合、車載機1のコントローラ3は、
図2に示すステップS101、
図3に示すステップS201において、マイク23、ユーザ端末11のアプリ、またはセンタ装置12から、ユーザ10の音声情報54の入力があるか否かを判定する。車載機1のコントローラ3は、車室内を撮像するカメラ20、ユーザ端末11のアプリ、またはセンタ装置12から、ユーザ10の顔画像55の入力があるか否かを判定する。
【0079】
[6.付記]
付記として、本発明の特徴を以下の通り示す。
(1)
車室内の音声から予め登録されるユーザの音声情報に対応する前記ユーザの音声を検出し、
検出した前記ユーザの音声を加工するコントローラ
を備える車載機。
(2)
前記コントローラは、
検出した前記ユーザの音声が消去されるように、前記ユーザの音声を加工する
前記(1)に記載の車載機。
(3)
前記コントローラは、
検出した前記ユーザの音声の発話者が特定されない音声に変換されるように、前記ユーザの音声を加工する
前記(1)に記載の車載機。
(4)
前記コントローラは、
前記予め登録されるユーザの音声情報を記憶し、
前記車室内の音声と前記ユーザの音声情報とを照合して、前記車室内の音声から前記ユーザの音声を検出する
前記(1)~(3)のいずれか一つに記載の車載機。
(5)
前記コントローラは、
前記予め登録されるユーザの顔画像と前記ユーザの音声情報とを対応付けて記憶し、
車室内を撮像するカメラによって撮像される車室内の映像と前記ユーザの顔画像とを照合し、前記車室内の映像から前記ユーザを検出した場合に、前記車室内の音声から前記ユーザの音声を検出する
前記(4)に記載の車載機。
(6)
前記コントローラは、
音声出力トリガが発動された場合に、前記ユーザの音声を加工した前記車室内の音声を出力する
前記(1)~(5)のいずれか一つに記載の車載機。
(7)
前記コントローラは、
前記音声出力トリガが発動された場合に、前記ユーザの音声の加工を開始する
前記(6)に記載の車載機。
(8)
前記コントローラは、
起動された場合に、前記ユーザの音声の加工を開始する
前記(6)に記載の車載機。
(9)
前記コントローラは、
起動から音声記録トリガが発動されるまでの間、前記ユーザの音声が消去されるように、前記ユーザの音声を加工して前記車室内の音声を記録し、
前記音声記録トリガが発動された場合に、前記ユーザの音声の発話者が特定されない音声に変換されるように、前記ユーザの音声を加工して前記車室内の音声を記録する
前記(1)~(6)のいずれか一つに記載の車載機。
(10)
車載機のコントローラが実行する音声加工方法であって、
車室内の音声から予め登録されるユーザの音声情報に対応する前記ユーザの音声を検出し、
検出した前記ユーザの音声を加工する
ことを含む音声加工方法。
(11)
車載機と、前記車載機と通信可能なセンタ装置とを含み、
前記センタ装置は、
予め登録されるユーザの音声情報を記憶し、
前記ユーザの音声情報を前記車載機に送信し、
前記車載機は、
車室内の音声から、前記センタ装置から受信する前記ユーザの音声情報に対応する前記ユーザの音声を検出し、
検出した前記ユーザの音声を加工する
音声加工システム。
【0080】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 車載機
10 ユーザ
11 ユーザ端末
12 センタ装置
20,21 カメラ
22 センサ
23 マイク
3 コントローラ
4,13 ストレージ
51 車外映像
52 車内音声
53 ユーザ情報
54 音声情報
55 顔画像
56 車両情報
100 音声加工システム