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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043403
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】発電方法および発電システム
(51)【国際特許分類】
   F03D 3/02 20060101AFI20240322BHJP
   F03D 3/06 20060101ALI20240322BHJP
   F03D 3/04 20060101ALI20240322BHJP
   F03B 3/04 20060101ALI20240322BHJP
   F03B 3/12 20060101ALI20240322BHJP
   F03B 17/06 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
F03D3/02 B
F03D3/06 Z
F03D3/04 Z
F03B3/04
F03B3/12
F03B17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148574
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】517443152
【氏名又は名称】押田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】押田 幸雄
【テーマコード(参考)】
3H072
3H074
3H178
【Fターム(参考)】
3H072AA12
3H072AA22
3H072AA27
3H072BB33
3H072CC71
3H074AA12
3H074AA18
3H074BB02
3H074CC16
3H178AA12
3H178AA18
3H178AA40
3H178AA43
3H178AA56
3H178BB05
3H178CC01
3H178DD22Z
3H178DD30X
3H178DD58Z
(57)【要約】
【課題】移動する流体が保有するエネルギによって発電電力の大きさ、発電時間を計画的に制御して発電電力を起電することができる流体利用発電システムを用いて、稼働電力を付与して効率的に発電させるとともに発電された発電電力を給電することができる発電方法および発電システムを提供すること。
【解決手段】流体が循環して流動する閉空間状の循環路2と、前記流体を前記循環路2内において一方向に循環流動させる流動力を付与する流体流動力付与手段3と、前記循環路2内に設置されて循環流動する前記流体によって回転させられて発電する少なくとも1基の発電手段4とを有する流体利用発電システムを用いて発電する発電方法において、蓄電手段103からの電力または外部電力系104からの外部電力を前記流体流動力付与手段に対して付与して稼働させて前記流体を流動させ、前記発電手段によって発電された発電電力を蓄電手段113に蓄電することまたは外部電力系114へ供給することにより給電することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が循環して流動する閉空間状の循環路と、前記流体を前記循環路内において一方向に循環流動させる流動力を付与する流体流動力付与手段と、前記循環路内に設置されて循環流動する前記流体によって回転させられて発電する少なくとも1基の発電手段とを有する流体利用発電システムを用いて発電する発電方法において、
蓄電手段からの電力または外部電力系からの外部電力を前記流体流動力付与手段に対して付与して稼働させて前記流体を流動させ、
前記発電手段によって発電された発電電力を蓄電手段に蓄電することまたは外部電力系へ供給することにより給電すること
を特徴とする発電方法。
【請求項2】
前記流体流動力付与手段を稼働させるために付与される電力より前記発電手段によって発電された発電電力が大きいことを特徴とする請求項1に記載の発電方法。
【請求項3】
前記循環路は、円環状に形成されており、前記流体の流動方向と直行する断面が長方形とされており、前記流体の流速が前記円環状の最内側位置で最低速度であり最外側位置で最高速度となるように形成されており、
前記発電手段は、前記循環路内に鉛直に設けられている中心軸に鉛直軸回りに回転自在に支持されている回転部に対して、前記中心軸を中心として周方向等分位置に羽根側の中心軸をもって鉛直軸回りに回転自在にして複数の長方形の板状の羽根が支持構造体をもって支持されており、
前記各羽根は前記中心軸回りに1回公転する間に流体の流動方向に対する迎角を変化させながら前記羽根側の中心軸回りに1回自転するとともに、前記各羽根は前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直行する場合には羽根の前記流動方向に対する迎角を直角またはゼロとし、前記各羽根は前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直行していない場合には羽根の前記流動方向に対する迎角を前記回転部を一方向に回転させる迎角にするように形成されており、
前記各羽根の迎角をゼロとする位置は、前記各羽根の前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直行する位置において前記流体の流動速度が最低速度である前記円環状の最内側位置とされており、
前記各羽根の迎角を直角とする位置は、前記各羽根の前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直行する位置において前記流体の流動速度が最高速度である前記円環状の最外側位置とされており、
前記各羽根は、迎角をゼロから直角に向けて変化させる方向に回転する時に迎角を回転に従って大きくなるように変化させながら回転するとともに、迎角を直角からゼロに向けて変化させる方向に回転する時に迎角を回転に従って小さくなるように変化させながら回転するように形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発電方法。
【請求項4】
流体が循環して流動する閉空間状の循環路と、前記流体を前記循環路内において一方向に循環流動させる流動力を付与する流体流動力付与手段と、前記循環路内に設置されて循環流動する前記流体によって回転させられて発電する少なくとも1基の発電手段とを有する流体利用発電システムを有し、
前記流体流動力付与手段を稼働させる稼働電力を蓄電手段および/または外部電力系より付与する稼働電力付与手段と、
前記発電手段によって発電された発電電力を蓄電手段および/または外部電力系へ給電する発電電力給電手段とを有する
ことを特徴とする発電システム。
【請求項5】
前記流体流動力付与手段を稼働させるために付与される電力より前記発電手段によって発電された発電電力が大きいことを特徴とする請求項4に記載の発電システム。
【請求項6】
前記循環路は、円環状に形成されており、前記流体の流動方向と直行する断面が長方形とされており、前記流体の流速が前記円環状の最内側位置で最低速度であり最外側位置で最高速度となるように形成されており、
前記発電手段は、前記循環路内に鉛直に設けられている中心軸に鉛直軸回りに回転自在に支持されている回転部に対して、前記中心軸を中心として周方向等分位置に羽根側の中心軸をもって鉛直軸回りに回転自在にして複数の長方形の板状の羽根が支持構造体をもって支持されており、
前記各羽根は前記中心軸回りに1回公転する間に流体の流動方向に対する迎角を変化させながら前記羽根側の中心軸回りに1回自転するとともに、前記各羽根は前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直行する場合には羽根の前記流動方向に対する迎角を直角またはゼロとし、前記各羽根は前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直行していない場合には羽根の前記流動方向に対する迎角を前記回転部を一方向に回転させる迎角にするように形成されており、
前記各羽根の迎角をゼロとする位置は、前記各羽根の前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直行する位置において前記流体の流動速度が最低速度である前記円環状の最内側位置とされており、
前記各羽根の迎角を直角とする位置は、前記各羽根の前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直行する位置において前記流体の流動速度が最高速度である前記円環状の最外側位置とされており、
前記各羽根は、迎角をゼロから直角に向けて変化させる方向に回転する時に迎角を回転に従って大きくなるように変化させながら回転するとともに、迎角を直角からゼロに向けて変化させる方向に回転する時に迎角を回転に従って小さくなるように変化させながら回転するように形成されている
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電方法および発電システム係り、特に流れる気体、液体等の流体をエネルギ源として利用して発電する流体利用発電システムを用いて発電するに発電方法および発電システム関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自然力を利用して発電する発電システムとしては、風力発電システム、水力発電システム、潮力発電システム、太陽光発電システム等が挙げられる。
【0003】
従来の風力発電システムにおいては、自然の風力によってプロペラ等の回転体を回転させ、その回転を発電装置に伝達して電磁誘導によって発電している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5211244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される風力発電装置においては、次のような不都合があった。
【0006】
第1に、自然に吹く風の風力を利用して回転翼を回転させる構成であるので、自然の風は常時吹くことはなく、無風状態もあり、吹いた際の風力も大小変化するものであるので、発電電力は常時大小変化するので、計画的に発電電力を起電することができなかった。
【0007】
第2に、一度回転翼を通過した風(空気流)は回転翼から離れて行き、再度同一の回転翼に戻って再度の回転に寄与することがないので、風力の有効利用ができず、発電効率が悪いものであった。
【0008】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、移動する流体が保有するエネルギによって発電電力の大きさ、発電時間を計画的に制御して発電電力を起電することができる流体利用発電システムを用いて、発電手段を稼働させるために電力を供給し、当該発電手段によって発電された発電電力を給電することによって、発電電力の給電を継続させることのできる発電方法および発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者および本出願人は、本発明に用いる流体利用発電システムについて特許第7134419号として提案しているとともに、更に鋭意研究することにより当該流体利用発電システムにおいて流体流動力付与手段を稼働させるために付与される電力より発電手段によって発電された発電電力が大きいことを確認して本発明を完成させた。
【0010】
本発明の第1の態様の発電方法は、流体が循環して流動する閉空間状の循環路と、前記流体を前記循環路内において一方向に循環流動させる流動力を付与する流体流動力付与手段と、前記循環路内に設置されて循環流動する前記流体によって回転させられて発電する少なくとも1基の発電手段とを有する流体利用発電システムを用いて発電する発電方法において、蓄電手段からの電力または外部電力系からの外部電力を前記流体流動力付与手段に対して付与して稼働させて前記流体を流動させ、前記発電手段によって発電された発電電力を蓄電手段に蓄電することまたは外部電力系へ供給することにより給電することを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の態様の発電方法は、第1の態様において、前記流体流動力付与手段を稼働させるために付与される電力より前記発電手段によって発電された発電電力が大きいことを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の態様の発電方法は、第1または第2の態様において、前記循環路は、円環状に形成されており、前記流体の流動方向と直交する断面が長方形とされており、前記流体の流速が前記円環状の最内側位置で最低速度であり最外側位置で最高速度となるように形成されており、前記発電手段は、前記循環路内に鉛直に設けられている中心軸に鉛直軸回りに回転自在に支持されている回転部に対して、前記中心軸を中心として周方向等分位置に羽根側の中心軸をもって鉛直軸回りに回転自在にして複数の長方形の板状の羽根が支持構造体をもって支持されており、前記各羽根は前記中心軸回りに1回公転する間に流体の流動方向に対する迎角を変化させながら前記羽根側の中心軸回りに1回自転するとともに、前記各羽根は前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直交する場合には羽根の前記流動方向に対する迎角を直角またはゼロとし、前記各羽根は前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直交していない場合には羽根の前記流動方向に対する迎角を前記回転部を一方向に回転させる迎角にするように形成されており、前記各羽根の迎角をゼロとする位置は、前記各羽根の前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直交する位置において前記流体の流動速度が最低速度である前記円環状の最内側位置とされており、前記各羽根の迎角を直角とする位置は、前記各羽根の前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直交する位置において前記流体の流動速度が最高速度である前記円環状の最外側位置とされており、前記各羽根は、迎角をゼロから直角に向けて変化させる方向に回転する時に迎角を回転に従って大きくなるように変化させながら回転するとともに、迎角を直角からゼロに向けて変化させる方向に回転する時に迎角を回転に従って小さくなるように変化させながら回転するように形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の態様の発電システムは、流体が循環して流動する閉空間状の循環路と、前記流体を前記循環路内において一方向に循環流動させる流動力を付与する流体流動力付与手段と、前記循環路内に設置されて循環流動する前記流体によって回転させられて発電する少なくとも1基の発電手段とを有する流体利用発電システムを有し、前記流体流動力付与手段を稼働させる稼働電力を蓄電手段および/または外部電力系より付与する稼働電力付与手段と、前記発電手段によって発電された発電電力を蓄電手段および/または外部電力系へ給電する発電電力給電手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の態様の発電システムは、第1の態様において、前記流体流動力付与手段を稼働させるために付与される電力より前記発電手段によって発電された発電電力が大きいことを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の態様の発電システムは、第1または第2の態様において、前記循環路は、円環状に形成されており、前記流体の流動方向と直交する断面が長方形とされており、前記流体の流速が前記円環状の最内側位置で最低速度であり最外側位置で最高速度となるように形成されており、前記発電手段は、前記循環路内に鉛直に設けられている中心軸に鉛直軸回りに回転自在に支持されている回転部に対して、前記中心軸を中心として周方向等分位置に羽根側の中心軸をもって鉛直軸回りに回転自在にして複数の長方形の板状の羽根が支持構造体をもって支持されており、前記各羽根は前記中心軸回りに1回公転する間に流体の流動方向に対する迎角を変化させながら前記羽根側の中心軸回りに1回自転するとともに、前記各羽根は前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直交する場合には羽根の前記流動方向に対する迎角を直角またはゼロとし、前記各羽根は前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直交していない場合には羽根の前記流動方向に対する迎角を前記回転部を一方向に回転させる迎角にするように形成されており、前記各羽根の迎角をゼロとする位置は、前記各羽根の前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直交する位置において前記流体の流動速度が最低速度である前記円環状の最内側位置とされており、前記各羽根の迎角を直角とする位置は、前記各羽根の前記中心軸と前記羽根側の中心軸とを結ぶ半径位置が前記流体の流動方向と直交する位置において前記流体の流動速度が最高速度である前記円環状の最外側位置とされており、前記各羽根は、迎角をゼロから直角に向けて変化させる方向に回転する時に迎角を回転に従って大きくなるように変化させながら回転するとともに、迎角を直角からゼロに向けて変化させる方向に回転する時に迎角を回転に従って小さくなるように変化させながら回転するように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の発電方法および発電システムによれば、移動する流体が保有するエネルギによって発電電力の大きさ、発電時間を計画的に制御して発電電力を起電することができる流体利用発電システムを用いて、稼働電力を付与して効率的に発電させるとともに発電された発電電力を給電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の発電システムの第1実施形態を示し、流体利用発電システムの循環路の天井部を開放した状態を示す平面図
図2図1の2-2線に沿った拡大断面図
図3図1の3-3線に沿った送風機と発電装置とを重ねて示す拡大断面図
図4図2の上端部の構成を模式的に示す拡大断面図
図5】発電装置の回転部を模式的に示す平面図
図6】循環路の他の例を模式的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の発電システムの第1実施形態を図1図6について説明する。 第1実施形態は、流体として気体の一種の空気を用いた場合を示している。この第1実施形態の発電システム101においては、流体利用発電システム1を用いて効率的に発電電力を給電できるように形成されている。初めに流体利用発電システム1を説明し、続いて発電システム101を説明する。
【0019】
<流体利用発電システム1の説明>
図1に全体の平面形状を示すように、第1実施形態の流体利用発電システム1は、流体である空気が循環して流動する閉空間状の循環路2と、空気を循環路2内において一方向(図1において反時計方向)に循環流動させる流動力を付与する流体流動力付与手段としての送風機3と、循環路2内に設置されて循環流動する空気によって回転させられて発電する少なくとも1基(第1実施形態においては7基)の発電手段としての発電装置4とを有している。
【0020】
循環路2は、全体が平面視で円環状のトンネル状に形成されており、図2に示すように、空気の流れ方向に直交する直交断面が長方形状に形成されている。本実施形態においては、水平方向が約2m、鉛直方向が約1.5mの矩形断面に形成されている。
【0021】
送風機3と7基の発電装置4は、循環路2の流路全体を8等分する位置にそれぞれ設置されている。
【0022】
送風機3は、図3に示すように、循環路2の直交断面内に6台の送風機3、3を水平方向に3台と鉛直方向に2台となるように均等配置している。送風機3については、7基の発電装置4を十分に回転させるための風力を提供できるように各送風機3の出力および設置台数等を設定するとよい。各送風機3は通電によってオン・オフできるように形成されている。
【0023】
発電装置4は、本出願人が権利者である実用新案登録第3224636号公報に開示されている風力発電システムを小型化して形成したものである。更に説明すると、図1および図2に示すように、発電装置4は循環路2の底面に設置されている基台11に立設された中心柱12に構成各部を取り付けて形成されている。中心柱12には回転部13が中心柱12回りに回転自在に取り付けられている。回転部13は、円形状あるいは円盤型を有する構造体である。回転部13は、図1においては4枚の羽根14(例えば、1m四方大)もしくは図5に示すように、6枚の羽根14(例えば、1m四方大)を、回転方向Rに関して等間隔の位置において鉛直方向に沿って支持しながら、各羽根14の回転の同期をとって回転させる機構(後述)を有する。回転部13は、図2図4および図5に示すように、円形状あるいは円盤型の上下の支持構造体15a,15bを備えており、上方の支持構造体15aは中心柱12の上端部に対して、スラスト軸受け16を用いて回転可能に支持されており、下方の支持構造体15bは中心柱12に対して、ラジアル軸受け(図示せず)を用いて回転可能に支持されている。上下の支持構造体15a,15bは、中心柱12に対して、上下に間隔をおいて平行になるように支柱(図示せず)等をもって間隔を保持されている。支持構造体15a,15bの外端部側には、各羽根14の回転軸14aがスラスト軸受けおよびラジアル軸受け(共に図示せず)をもって荷重を支承されると共に回転可能に取り付けられている。図4に示すように、各羽根14は、中心柱12を中心として回転方向R(公転方向R)について、同じ角度毎、例えば図1では90度、図5では60度毎にしかも回転可能に設けられている。
【0024】
中心柱12とその周辺の構造について、図4および図5を参照して説明する。中心柱12の上端部には回転中心軸部20が同軸にして上向きに固定されている。回転中心軸部20には、6枚の歯車(またはスプロケット)31,32,33,34,35,36が、軸方向(上下方向)に間隔をおいて取付けられている。歯車31,32,33,34,35,36は、上方の支持構造体15aの内部に配置されている。なお、歯車31,32,33,34,35,36は、回転中心軸部20に対して常時は固定状態とされるとともに、その固定状態を解除して回転自在とすることが可能なように、公知の接続切替機構をもって取り付けられている。一方、各羽根側の回転軸14aには、羽根側の歯車(またはスプロケット)40が固定されている。ただし、各羽根側の回転軸14aにおける歯車40の固定位置は、回転中心軸部20側の歯車31,32,33,34,35,36の各位置に対応して、軸方向(上下方向)に関して順次ずらして配置されている。
【0025】
すなわち、図4に示す断面では、右側の回転軸14aの歯車40は、回転軸14aの最も上部に固定されており、この歯車40は、最も上部に位置されている歯車31に対応した高さ位置にある。同様にして、左側の回転軸14aの歯車40は、回転軸14aの中間位置に固定されており、この歯車40は、回転中心軸部20の中間に位置されている歯車34に対応した高さ位置にある。右側の回転軸14aの歯車40と、歯車31とは、伝達帯としてのチェーン44により連結されている。同様にして、左側の回転軸14aの歯車40と、歯車34とは、チェーン44により連結されている。
【0026】
各歯車40の大きさは同じである。各歯車31から36の大きさは同じである。例えば、歯車40の歯数は、歯車31から36の歯数の2倍に設定されている。すなわち、回転中心軸部20側の歯車31から36の歯数と、羽根側の歯車40の歯数とは、1:2に設定されている。これにより、回転部13が回転方向Rに沿って2回転(公転)した時に、各羽根14は回転部13において1回転(自転)して、回転部13が2回転すると、風Wに対する羽根14の回転方向の角度を初期状態に戻すことができる。
【0027】
図5に示すように、各羽根14の歯車40は、回転中心軸部20側の対応する位置の歯車31から36に対して、それぞれ伝達帯としてのチェーン44により連結されている。これにより、図5示す各羽根14は、風Wの力を受けると、回転部13において、回転軸14aを中心としてR1方向に回転する。
【0028】
図5において、各羽根14が回転する際には、ポジションP1からポジションP6にそれぞれ位置される際の羽根14の角度が異なる。すなわち、風Wの流れの上流側のポジションP1では、羽根14の姿勢は、風Wの方向に対する迎角が例えば45度よりも小さい角度で傾斜し、ポジションP2では、羽根14の姿勢は、風Wの方向に対する迎角が例えば45度の角度よりも大きい角度で傾斜している。ポジションP3では、羽根14の姿勢は、風Wの方向に対する迎角が直角になっている。ポジションP4では、羽根14の姿勢は、ポジションP2とは逆の方向に沿っている。ポジションP5では、羽根14の姿勢は、ポジションP1とは逆の方向に沿っている。ポジションP6では、羽根14の姿勢は、風Wの方向と平行になっていて、迎角はゼロである。このように各羽根14は、回転部13において、R1方向に沿って、風Wの方向に対する姿勢が変化するようになっている。
【0029】
回転部13の回転は、図4に示すように、支持構造体15aの中心部の下部であるとともに、回転中心軸部20の下方部分に同軸状に配置してに固定された出力軸25の回転として出力される。この出力軸25は、図2に示すように、基台11を貫通して回転自在に支承されている。出力軸25の下端部には発電手段としての発電機27が直結されている。この発電機27は、出力軸25にに直結する代わりに図示しない歯車群やスプロケットおよびチエーンの組合せ等の連結手段を用いて接続して形成してもよい。
【0030】
<発電システム101の説明>
第1実施形態の発電システム101を図1および図2を用いて説明する。
【0031】
発電システム101においては、流体利用発電システム1の流体流動力付与手段としての複数の送風機3に稼働電力を付与する稼働電力付与手段102を設けている(図1下部の左側参照)。この稼働電力付与手段102には、稼働電力の電源として蓄電手段としての蓄電池103と外部電力系104とを配設しており、切替器105を介して双方を送風機3と切替え接続可能にして、稼働電力を付与するように形成されている。
【0032】
また、発電システム101においては、各発電装置4によって発電された発電電力を給電するための発電電力給電手段112を設けている(図1下部の右側参照)。図1においては各発電装置4の発電機27を纏めて1個の発電機27として描いている。この発電電力給電手段112には、発電電力を蓄電する蓄電手段としての蓄電池113と外部電力系114とを配設しており、切替器115を介して双方を発電機27と切替え接続可能にして、発電電力を給電するように形成されている。
【0033】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0034】
本実施形態においては、発電システム101の稼働電力付与手段102から流体利用発電システム1に稼働電力を供給して発電装置4を稼働させて発電電力を得て、その発電電力を発電システム101の発電電力給電手段112を通して給電する。以下に、詳細に説明する。
【0035】
流体利用発電システム1による発電を開始する場合には、発電システム101の稼働電力付与手段102の切替器105によって、稼働電力の電源としての蓄電池103と外部電力系104とのいずれかを流体利用発電システム1に接続して流体流動力付与手段としての6台の送風機3に通電して送風機3を回転させる。この送風機3の回転により循環路2内の流体となる空気に流動力が付与されて、空気が反時計方向に進行する。例えば風速6m/sの風Wとなって流動する。送風機3を継続して回転させると、風速6m/sの風Wが循環路2内を反時計方向に継続的に循環流動する。
【0036】
図1において、送風機3によって発生された風Wは、最初に流動方向の最上流側の位置F1を通過する際に、発電装置4の4枚の羽根14に回動力を付与して回転部13を回転させる。この回転部13の回転は出力軸25の回転として発電機27に伝達され、発電機27の発電によって発電電力が発生される。発電装置4においては、4枚の羽根14が風Wに対してそれぞれが風Wと接触した際に回転部13を回転させるように迎角を変化させて回転するので、効率よく発電される。発電機27によって発電された発電電力は、発電電力給電手段112の切替器115に出力される。その後、切替器115の切替え接続状態に応じて蓄電池113および外部電力系114のいずれかまたは双方に給電される。一方の蓄電池113においては、発電装置4によって発電された発電電力が蓄電される。他方の外部電力系114においては、産業用、一般家庭用等の電力需要部署に給電される。
【0037】
このようにして位置F1の発電装置4の発電に寄与した風Wは、流動方向の下流側の位置F2においても同様にして発電装置4の発電に寄与し、更に下流側の5箇所の位置F3~F7にそれぞれ設置されている発電装置4を順に通過して、それぞれにおいて同様にして発電に寄与し、送風機3の位置に戻る。
【0038】
そして、循環路2内を一巡した風Wは、送風機3によって流動力を再度付与されて、一巡目と同一の7基の発電装置4を順に通過することによって二巡目の発電に供される。以後、三巡目以降の発電が同様にして継続される。
【0039】
本実施形態においては、送風機3の運転を継続させることによって空気に対して移動力(進行力)が常に追加的に継続して付与されるので、循環路2内を巡回する風Fの保有する流動力は減衰することがなく、常に一定の流動力を維持することとなり、結果として効率的に優れた発電が実行される。具体的には、送風機3を回転させるための入力電力量に比較して、発電装置4による発電電力量が大きくなる。
【0040】
本実施形態においては、発電システム101の稼働電力付与手段102から流体利用発電システム1に稼働電力を供給して発電装置4を稼働させて発電電力を得て、その発電電力を発電システム101の発電電力給電手段112を通して給電することができる。更に、流体利用発電システム1によって、送風機3の送風力を調整制御したり、発電装置4の発電能力を調整制御することによって、発電電力の大きさを計画的に制御することができ、更に、送風機3の運転時間を調整制御することにより発電時間を計画的に制御して発電電力を起電することができる。
【0041】
図6は閉空間状の循環路の他の形態を示している。
【0042】
循環路は循環している閉空間であればよく、図6の循環路2aは、細長い直方体状の閉空間6を利用して形成されている。この閉空間6には、長手方向に直交する縦断面を上下左右にそれぞれ2分割する水平壁7および鉛直壁8を設けて4分割された閉空間6a~6d(右上から時計回りに6a~6d)が形成されている。図6において、水平壁7の手前側には、閉空間6aと6bとを連通する透孔7aと、閉空間6cと6dとを連通する透孔7bとが形成されており、鉛直壁8の奥側には、閉空間6aと6dとを連通する透孔8aと、閉空間6bと6cとを連通する透孔8bとが形成されている。これにより閉空間6を巡回する空気は、閉空間6aを奥側から手前側に進行し、透孔7aを通過して閉空間6bに入り、閉空間6bを手前側から奥側に進行し、透孔8bを通過して閉空間6cに入り、閉空間6cを奥側から手前側に進行し、透孔7bを通過して閉空間6dに入り、閉空間6dを手前側から奥側に進行し、透孔8aを通過して閉空間6aに戻る循環路2aを巡回することとなる。この循環路2aに対する送風機3および発電装置4の設置位置および設置数については設計コンセプトに応じて設定するとよい。
【0043】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができる。
【0044】
例えば、流体としては気体、液体とすることができ、流体に流動力を付与する流体流動力付与手段としては、送風機3に代えて空気を循環路2、2a内に吹き込む吹き込み装置等としてもよい。また、循環路2、2a内を流動する流体の流れを整流させるための格子状等の整流手段を適宜設けるとよい。
【符号の説明】
【0045】
1 流体利用発電システム
2、2a 循環路
3 送風機
4 発電装置
101 発電システム
102 稼働電力付与手段
103 蓄電池
104 外部電力系
112 発電電力給電手段
103 蓄電池
104 外部電力系
図1
図2
図3
図4
図5
図6