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  • 特開-ロール装置 図1
  • 特開-ロール装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004341
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ロール装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 18/26 20060101AFI20240109BHJP
   B65H 23/195 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B65H18/26
B65H23/195
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103961
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】314017635
【氏名又は名称】株式会社トッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルム
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 純一
【テーマコード(参考)】
3F055
3F105
【Fターム(参考)】
3F055AA05
3F055EA01
3F055EA04
3F055EA08
3F055EA13
3F105CA05
3F105CB05
(57)【要約】
【課題】ウェブの巻き取り時にエアフィルム層が生じるのを抑制し、タッチロールの調整を簡単に行えるロール装置を提供する。
【解決手段】ロール装置は、巻き取りロールに巻回されるウェブの表面を押圧可能なタッチロールと、タッチロールと略平行に設けられ、タッチロールの少なくとも中央部を巻き取りロール側に押圧可能な押し当てロールとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き取りロールに巻回されるウェブの表面を押圧可能なタッチロールと、
前記タッチロールと略平行に設けられ、前記タッチロールの少なくとも中央部を前記巻き取りロール側に押圧可能な押し当てロールとを備える、ロール装置。
【請求項2】
前記押し当てロールはエアシリンダに接続され、前記エアシリンダの圧力を変化させることで前記タッチロールの前記ウェブの表面に対する押圧力を調整可能である、請求項1に記載のロール装置。
【請求項3】
複数の前記押し当てロールを備えており、前記複数の押し当てロールの前記ウェブの表面に対する押圧力はそれぞれ独立して調整可能であり、前記タッチロールの中央部を押圧する前記押し当てロールの押圧力が相対的に大きい、請求項2に記載のロール装置。
【請求項4】
前記タッチロールを前記押し当てロールの回転方向と逆方向に回転させることが可能な駆動機構を備える、請求項1に記載のロール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム製品の製造において、エアフィルム層の発生を抑制する方法について検討されている。エアフィルム層はウェブの巻き取り時に空気が巻き込まれることで形成され、エアフィルム層が形成されると、ウェブがロール状に巻き取られた状態での時間経過に伴ってエアが抜けてシワが生じ、品質低下につながる恐れがある。
【0003】
エアフィルム層の形成を抑制するための方法として、例えば図5に示すロール装置1000のように、タッチロール101で搬送中のウェブ103を押圧することで、ウェブ103の巻取部への密着性を高めてエア巻き込み量を低減させる方法が知られている。タッチロール101の両端に設けられたシリンダ105などのアクチュエータを調整することで、タッチロール101は適切な押圧力でウェブ103を押圧することができる。
【0004】
しかし、上記の構成ではシリンダ105がタッチロール101の両端に設けられているため、タッチロール101の両端部の押圧力が中央部よりも高くなる。そのため、ウェブ103の幅方向両端からエアが抜けにくくなり、エアの除去を十分に行えないという問題があった。
【0005】
そこで、図5に示すような、両端から中央に向かって径が大きくなるように設計されているクラウンロール111をタッチロールとして用いることで、タッチロールのウェブ103中央部に対する押圧力を両端部よりも高める方法が知られている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62-36261号公報
【特許文献2】特開2006-168926号公報
【特許文献3】特開2004-83280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、クラウンロールは、巻き込まれるエアの状態に応じてクラウン形状やロール表面に設けられるゴムの硬度を適切に選定する必要があり、ロール自体の加工難易度が高いという問題がある。特に、ウェブの幅方向に対する押圧力の分布の調整が困難であり、ロール形状及びゴム硬度の異なる複数のロールを作成してそれぞれ検証する必要がある。そのため、クラウンロールでエアを除去する方法では、タッチロールの作製や検証のための時間を要し、さらに検証のためのロール購入費などが生じ、負担が大きかった。
【0008】
それ故に、本発明は、ウェブの巻き取り時にエアフィルム層が生じるのを抑制し、タッチロールのウェブに対する接触圧調整を簡単に行えるロール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るロール装置は、巻き取りロールに巻回されるウェブの表面を押圧可能なタッチロールと、タッチロールと略平行に設けられ、タッチロールの少なくとも中央部を巻き取りロール側に押圧可能な押し当てロールとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウェブの巻き取り時にエアフィルム層が生じるのを抑制し、タッチロールのウェブに対する接触圧調整を簡単に行えるロール装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係るロール装置のタッチロール周辺の概略構成を示す図
図2】押し当てロールの有無による接触圧力の分布の違いを説明する図
図3】第2実施形態に係るロール装置のタッチロール周辺の概略正面図
図4】従来技術に係るロール装置のタッチロール周辺の概略構成を示す斜視図
図5】従来技術に係るロール装置のタッチロール周辺の概略構成を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るロール装置のタッチロール周辺の概略構成を示す図であり、より詳細には、図1(a)は、第1実施形態に係るロール装置のタッチロール周辺の斜視図であり、図1(b)は、第1実施形態に係るロール装置のタッチロール周辺の正面図である。本実施形態のロール装置100は、タッチロール1と押し当てロール2とを備える。
【0013】
タッチロール1は、略円柱形状のロールであり、ウェブ3をロール状に巻き取る巻き取りロール4上に設けられ、巻き取りロール4に巻回されるウェブ3(ウェブロール)の表面を押圧しながら回転することで、巻回されるウェブ3にエアフィルム層が発生することを抑制する。タッチロール1は、タッチロール1の回転軸がウェブ3の幅方向と平行となるように配置されるが、ウェブ3に巻き込まれるエアの状態に応じて適宜変更してもよい。ウェブ3と接する部分であるタッチロール1の表面は、例えばゴムなどで構成される。タッチロール1は、モータなどの駆動機構によって回転制御が可能な駆動ロールであってもよいし、ウェブ3の搬送に伴って回転するフリーロールであってもよい。ただし、タッチロール1は後述する押し当てロール2が接した状態で回転する必要があるため、押し当てロール2によって生じる回転負荷を考慮すると、押し当てロール2の回転方向と逆方向に回転可能な駆動ロールである方が好ましい。タッチロール1の両端にはエアシリンダ5が接続されており、エアシリンダ5の圧力を変化させることでタッチロール1のウェブ3の表面に対する押圧力を調整することができる。
【0014】
タッチロール1の両端は、ウェブ3の幅方向における両端よりも外側に位置することが好ましい(図1(b))。タッチロール1の端部がウェブ3の両端より内側に位置する場合、ウェブ3のタッチロール1の端部との接触箇所で巻き取りシワが発生したり、タッチロール1の端部が削れて異物を巻き込んだりする恐れがある。そのため、タッチロール1はウェブ3の幅方向よりも長いことが好ましい。
【0015】
押し当てロール2は、略円柱形状を有しており、押し当てロール2の回転軸とタッチロール1の回転軸とが平行になるように設けられる。押し当てロール2の長手方向の長さ(回転軸方向の長さ)は、タッチロール1の長手方向の長さよりも短く、押し当てロール2の両端がタッチロール1の両端より内側になるように配置される。そのため、タッチロール1の両端に対して中央部が巻き取りロール4側に強く押圧され、ウェブ3も幅方向における中央部が巻き取りロール4側に強く押圧され、ウェブ3に巻き込まれるエアをウェブ3の幅方向両端から排出するようにウェブ3を巻き取ることができる。
【0016】
押し当てロール2の両端にはエアシリンダ5が接続されており、エアシリンダ5の圧力を変化させることでタッチロール1のウェブ3の表面に対する押圧力を間接的に調整することができる。押圧力は、ウェブ3に巻き込まれるエアの状態に応じて適宜変更される。なお、ウェブ3の巻き数に応じてウェブロールの直径が変化するため、ウェブ3に対するタッチロール1の押圧力が一定になるようにエアシリンダ5の圧力も変化させる。
【0017】
ここで、押し当てロール2が設けられていないロール装置1000(図4)と、本実施形態の押し当てロール2が設けられているロール装置100とで、タッチロールのウェブの幅方向に対する押圧力の分布を比較する。図2は、押し当てロールの有無による接触圧力の分布の違いを説明する図である。図2のグラフは、巻き取りロールとタッチロールとの間にシート状の圧力センサを挟み、幅方向の複数の点における圧力を測定値をプロットしたものである。図2に記載のグラフにおいて、横軸をウェブ3の幅方向における位置(cm、ただしウェブの一方端を基準点とする)、縦軸をタッチロールとウェブとの接触圧力(g/cm)として示す。また、押し当てロール2が設けられていないロール装置1000の結果を点線、本実施形態のロール装置100の結果を実線で示す。なお、タッチロール1の両端に加えられる圧力はロール装置1000とロール装置100とで同じである。
【0018】
図2に示すように、押し当てロール2が設けられていないロール装置1000においては、ウェブ103の幅方向両端の接触圧力が中央部より高くなる。そのため、エアの排出が十分にできず、エアフィルム層が形成される恐れがある。
【0019】
一方、本実施形態のロール装置100においては、幅方向の両端部より中央側の接触圧力が高くなっている。そのため、巻き込まれたエアが効率的に排出され、エアフィルム層が形成されるのを抑制することができる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態においては、タッチロール1の両端を除く部分を巻き取りロール4側に押圧可能な押し当てロール2が設けられる。これにより、ウェブ3においても両端を除く部分が巻き取りロール4側に強く押圧され、ウェブ3に巻き込まれるエアをウェブ3の幅方向両端から排出しながらウェブ3を巻き取ることができる。そのため、ウェブ3の巻き取り時にエアフィルム層が生じるのを抑制することができる。
【0021】
また、タッチロール1として円柱形状のロールを用いる。そのため、従来のようにエアフィルム層発生の抑制を目的として、タッチロール1としてクラウン形状のロールを採用する必要がなく、タッチロール1の設計及び調整が容易である。
【0022】
また、タッチロール1の押圧力及びウェブ3の幅方向に対する押圧力の分布は、エアシリンダ5を介して押し当てロール2の押圧力を変更することで簡単に調整できる。そのため、ウェブ3に対する押圧力を調整する際にタッチロール1自体の設計変更は不要である。
【0023】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るロール装置200について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。図3は、第2実施形態に係るロール装置のタッチロール周辺の概略正面図である。
【0024】
本実施形態においては、押し当てロール2が複数設けられることを特徴とする。各押し当てロール2のそれぞれには、エアシリンダ5が接続されている。そのため、押し当てロール2のウェブ3の表面に対する押圧力はそれぞれ独立して調整することができ、例えば、タッチロール1の中央部を押圧する押し当てロール2の押圧力を相対的に大きくすることで、巻き込まれるエアの排出を効率的に行うことができる。また、第1実施形態のような押し当てロール1が1つの場合と比べて、タッチロールの特性やエアの巻き込み状況に応じて、より細やかに接圧調整ができる。なお、複数の押し当てロール2の回転軸は、それぞれの回転軸が一致するように設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、ウェブの巻き取り時にエアフィルム層が生じるのを抑制するロール装置として利用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 タッチロール
2 押し当てロール
3 ウェブ
4 巻き取りロール
5 シリンダ
100、200、1000 ロール装置
図1
図2
図3
図4
図5