(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043414
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】運転代行仲介装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240322BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240322BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20240322BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G06Q50/10
G06Q30/06 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148594
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴亮
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA03
5H181AA21
5H181BB05
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF13
5H181MA45
5H181MA48
5L049BB53
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】運転代行サービスの利用者と運転代行者とを好適にマッチングする。
【解決手段】運転代行仲介装置100は、運転代行サービスの提供者として予め登録された複数の運転代行者のそれぞれが、運転代行サービスを利用する第1利用者の第1車両を代行運転したときの、第1車両の車両情報を記憶する情報記憶部11と、運転代行サービスの利用を希望する第2利用者の第2車両の車両情報を取得する情報取得部12と、情報記憶部11に記憶された第1車両の車両情報と、情報取得部12により取得された第2車両の車両情報と、に基づいて、複数の運転代行者のうち、第2車両に類似する第1車両を代行運転した経験が最も多い運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定する運転者決定部13と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転代行サービスの提供者として予め登録された複数の運転代行者のそれぞれが、前記運転代行サービスを利用する第1利用者の第1車両を代行運転したときの、前記第1車両の車両情報を記憶する情報記憶部と、
前記運転代行サービスの利用を希望する第2利用者の第2車両の車両情報を取得する情報取得部と、
前記情報記憶部に記憶された前記第1車両の車両情報と、前記情報取得部により取得された前記第2車両の車両情報と、に基づいて、前記複数の運転代行者のうち、前記第2車両に類似する前記第1車両を代行運転した経験が最も多い運転代行者を、前記第2車両を代行運転する運転代行者に決定する運転者決定部と、を備えることを特徴とする運転代行仲介装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転代行仲介装置において、
前記運転者決定部は、前記第2車両に類似する前記第1車両を代行運転した回数、距離、および時間の少なくともいずれかが最も多い運転代行者を、前記第2車両を代行運転する運転代行者に決定することを特徴とする運転代行仲介装置。
【請求項3】
請求項1に記載の運転代行仲介装置において、
前記車両情報は、車種の情報を含むことを特徴とする運転代行仲介装置。
【請求項4】
請求項3に記載の運転代行仲介装置において、
前記車種の情報は、車幅、車長、および車高の少なくともいずれかの情報を含むことを特徴とする運転代行仲介装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の運転代行仲介装置において、
前記情報取得部は、さらに、前記複数の運転代行者のそれぞれが前記第1車両を代行運転したときの、前記第1車両の位置情報と、速度情報または加速度情報と、を含む走行情報を取得し、
前記情報記憶部は、さらに、前記情報取得部により取得された前記第1車両の走行情報を記憶し、
前記情報記憶部に記憶された前記第1車両の走行情報に基づいて、前記第1車両の車種ごとに前記複数の運転代行者のそれぞれが前記第1車両を代行運転したときの道路ごとの平均速度または平均加速度を算出し、算出された平均速度または平均加速度の前記第1車両の車種によるばらつきに基づいて運転の安定度を算出する安定度算出部をさらに備え、
前記運転者決定部は、前記第2車両に類似する前記第1車両を代行運転した経験が最も多い運転代行者が複数いるとき、当該複数の運転代行者のうち、前記安定度算出により算出された安定度が最も高い運転代行者を、前記第2車両を代行運転する運転代行者に決定することを特徴とする運転代行仲介装置。
【請求項6】
請求項1に記載の運転代行仲介装置において、
前記情報取得部は、さらに、前記第2利用者が希望する運転代行の出発地および到着地の情報を取得し、
前記情報取得部により取得された出発地および到着地の情報に基づいて、前記第2車両を代行運転するときの所要時間を算出する所要時間算出部と、
前記所要時間算出部により算出された所要時間に加算する余裕時間を算出する余裕時間算出部と、をさらに備え、
前記余裕時間算出部は、前記情報記憶部に記憶された前記第1車両の車両情報に基づいて、前記第1車両を代行運転した経験が多いほど短くなるように前記余裕時間を算出することを特徴とする運転代行仲介装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転代行サービスの利用者と運転代行者とを仲介する運転代行仲介装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転代行をされることを希望する運転代行システムの利用者と、空き時間に代行運転することを希望する個人とをマッチングするようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、代行運転することを希望する個人について、過去に代行運転した回数、運転歴、運転頻度、乗り慣れている車種等の運転経験に基づいて、運転代行システムの利用者と代行運転することを希望する個人とをマッチングする。
【0003】
運転代行サービスが普及することで、例えば飲酒を伴う会食後等の自分で車両を運転できない場合でも自家用車による移動が可能となり、交通の利便性が向上する。また、飲酒状態等の不適切な状態で運転してしまうおそれがなくなり、交通の安全性が向上する。これにより、持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の装置では、代行運転することを希望する個人を対象とするため、乗り慣れている車種が少なく、マッチングが成立しにくい。一方、事業者が提供する運転代行サービスでは、多くの運転代行者が登録されているため、利用者と運転代行者とのマッチングが成立しやすい。このような運転代行サービスの利用者と運転代行者とを好適にマッチングすることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様である運転代行仲介装置は、運転代行サービスの提供者として予め登録された複数の運転代行者のそれぞれが、運転代行サービスを利用する第1利用者の第1車両を代行運転したときの、第1車両の車両情報を記憶する情報記憶部と、運転代行サービスの利用を希望する第2利用者の第2車両の車両情報を取得する情報取得部と、情報記憶部に記憶された第1車両の車両情報と、情報取得部により取得された第2車両の車両情報と、に基づいて、複数の運転代行者のうち、第2車両に類似する第1車両を代行運転した経験が最も多い運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定する運転者決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転代行サービスの利用者と運転代行者とを好適にマッチングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る運転代行仲介装置の全体構成の一例を概略的に示すブロック図。
【
図2】
図1の情報記憶部に記憶される車両情報について説明するための図。
【
図3】
図1の余裕時間算出部により算出される余裕時間について説明するための図。
【
図4】
図1の安定度算出部により算出される平均車速およびばらつきについて説明するための図。
【
図5】
図1の安定度算出部によるばらつきの算出について説明するための図。
【
図6】
図1のサーバで実行される運転代行者決定処理の一例を示すフローチャート。
【
図7】
図1のサーバで実行される所要時間算出処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図7を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る運転代行仲介装置は、事業者が提供する運転代行サービスの利用者と運転代行者とをマッチングする。運転代行サービスには、二種免許を保有する複数の運転代行者が予め登録されている。事業者は、利用者が希望する運転代行の出発地や到着地、出発時刻等の情報に基づいて、登録されている運転代行者の中から、その利用者の車両を代行運転する運転代行者を決定する。
【0010】
代行運転する車両は各利用者の所有車両等であるため、代行運転する車両には様々な車格(クラス)の様々な車種が含まれる。このような運転代行サービスを円滑に提供するには、各運転代行者の代行運転経験を考慮し、代行運転する車両に応じた適切な運転代行者をマッチングすることが好ましい。そこで、本実施形態では、各運転代行者が代行運転した車両の情報を蓄積し、蓄積された情報に基づいて利用者と運転代行者とを好適にマッチングすることで、運転代行サービスを円滑に提供することができるよう、以下のように運転代行仲介装置を構成する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る運転代行仲介装置(以下、装置)100の全体構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図1に示すように、装置100は、サーバ10と、運転代行サービスに登録された運転代行者が携帯する代行者端末20と、運転代行サービスの利用を希望する利用者が使用する利用者端末30とを主に有する。サーバ10と代行者端末20と利用者端末30とは、インターネット等のネットワーク40を介して互いに通信可能に接続される。
【0012】
サーバ10は、CPU(プロセッサ),ROM,RAM(メモリ)、その他の周辺回路などを有するコンピュータを含んで構成される。サーバ10は、情報記憶部11と、情報取得部12と、運転者決定部13と、所要時間算出部14と、余裕時間算出部15と、安定度算出部16として機能する。サーバ10は、単一のサーバとして構成されてもよく、分散型のサーバとして構成されてもよく、クラウド環境上に設けられた分散型の仮想サーバとして構成されてもよい。
【0013】
代行者端末20は、スマートフォン等の携帯可能なユーザ端末として構成される。代行者端末20には、測位衛星からの信号を受信して現在位置を測定するGPS(Global Positioning System)等の測位センサ、加速度を検出する加速度センサ等を含むセンサ21が搭載される。代行者端末20には、運転代行サービス用のアプリケーションが予めインストールされる。代行運転を開始してから終了するまでにセンサ21により測定、検出された時系列の現在位置および加速度の情報は、運転代行者ごとの走行情報として、運転代行者のID情報とともに代行者端末20からサーバ10に送信される。
【0014】
利用者端末30は、スマートフォンやパソコン等のユーザ端末として構成される。利用者端末30にも、運転代行サービス用のアプリケーションが予めインストールされる。各利用者は、利用者端末30を介し、運転代行を希望する車両の車両情報、希望する運転代行の出発地および到着地の情報、希望する出発時刻の情報等を含む利用希望情報を入力することができる。車両情報には、運転代行を希望する車両の車種の情報が含まれる。入力された利用希望情報は、利用者端末30からサーバ10に送信される。車種の情報には、マニュアルトランスミッションの車両であるか否か、左ハンドルの車両であるか否か、エアロパーツが装着された車両であるか否か等の情報が含まれてもよい。
【0015】
サーバ10の情報記憶部11には、過去に運転代行サービスを利用した利用者(以下、「第1利用者」と称する)の車両(以下、「第1車両」と称する)の車種の情報を含む車両情報が記憶される。車種の情報には、車幅、車長、および車高の少なくともいずれかの情報が含まれる。各車種は、車幅等に応じて、例えば軽自動車、コンパクトカー、ミニバン、ワゴン等のクラスごとに分類することができる。マニュアルトランスミッションの車両、左ハンドルの車両、エアロパーツが装着された車両などのクラスに分類してもよい。車両情報は、第1車両を代行運転した運転代行者のID情報に関連付けて記憶される。情報記憶部11には、代行者端末20から送信された走行情報、利用者端末30から送信された利用希望情報等も記憶される。
【0016】
図2は、情報記憶部11に記憶される車両情報について説明するための図である。
図2に示すように、第1車両の車種および運転代行者のIDごとに、各運転代行者が代行運転した経験を示す数値、例えば、その車種を代行運転した回数が記憶される。代行運転した回数に代えて、あるいは代行運転した回数に加えて、代行運転した距離や時間が記憶されてもよい。各車種は、クラスごとに分類される。代行運転した回数(距離、時間)は、クラスごとに集計され、記憶される。
【0017】
情報取得部12は、代行者端末20から送信された走行情報を取得する。より具体的には、各運転代行者が第1車両を代行運転したときの、第1車両の走行情報を取得する。情報取得部12により取得された走行情報は、運転代行者のID情報に関連付けられて、情報記憶部11に記憶される。
【0018】
情報取得部12は、利用者端末30から送信された利用希望情報も取得する。より具体的には、新たに運転代行サービスの利用を希望する利用者(以下、「第2利用者」と称する)の車両(以下、「第2車両」と称する)の車両情報、第2利用者が希望する運転代行の出発地、到着地、および出発時刻の情報を取得する。
【0019】
運転者決定部13は、情報記憶部11に記憶された第1車両の車両情報、情報取得部12により取得された第2車両の車両情報および利用希望情報に基づいて、第2車両を代行運転する運転代行者を決定する。より具体的には、利用希望情報に沿って代行運転することのできる運転代行者のうち、第2車両に類似する第1車両を代行運転した回数(距離、時間)が最も多い運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定する。
【0020】
例えば、第2車両と同一車種の第1車両を代行運転した経験を有する運転代行者が存在する場合には、その回数(距離、時間)が最も多い運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定する。そのような運転代行者が存在しない場合には、第2車両と同一クラスの第1車両を代行運転した経験を有する運転代行者のうち、その回数(距離、時間)が最も多い運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定する。
【0021】
所要時間算出部14は、情報取得部12により取得された、第2利用者が希望する運転代行の出発地および到着地の情報に基づいて、第2車両を代行運転するときの所要時間を算出する。より具体的には、運転代行の出発地から到着地までの標準的な走行経路を探索し、標準的な走行経路を利用するときの標準的な所要時間を算出する。所要時間算出部14は、情報取得部12により取得された、第2利用者が希望する運転代行の出発時刻の情報を考慮して所要時間を算出してもよい。
【0022】
余裕時間算出部15は、所要時間算出部14により算出された所要時間に加算する余裕時間を算出する。より具体的には、情報記憶部11に記憶された第1車両の車両情報に基づいて、第1車両を代行運転した回数(距離、時間)が多いほど短くなるように余裕時間を算出する。
【0023】
図3は、余裕時間算出部15により算出される余裕時間について説明するための図である。
図3に示すように、余裕時間算出部15は、第1車両を代行運転した回数(距離、時間)が多いほど短くなるように余裕時間を算出する。例えば、代行運転した回数が所定回数以上の場合は、余裕時間が"0"となるように、かつ、代行運転した回数が所定回数未満の場合は、代行運転した回数に応じて余裕時間が段階的に減少するように算出する。あるいは、代行運転した距離または時間が所定値以上の場合は、余裕時間が"0"となるように、かつ、代行運転した距離または時間が所定値未満の場合は、代行運転した距離または時間に応じて余裕時間が段階的に減少するように算出する。
【0024】
余裕時間算出部15は、第1車両の車種ごとに余裕時間を算出してもよく、クラスごとに余裕時間を算出してもよい。余裕時間算出部15は、所定クラス以上の第1車両を代行運転した回数(距離、時間)が多いほど短くなるように余裕時間を算出してもよい。余裕時間算出部15は、第1車両を代行運転したエリアごとに余裕時間を算出してもよい。余裕時間算出部15により算出された余裕時間の情報は、運転代行者のID情報に関連付けられて、情報記憶部11に記憶される。
【0025】
安定度算出部16は、情報記憶部11に記憶された第1車両の走行情報に基づいて、各運転者の運転の安定度を算出する。より具体的には、第1車両の車種またはクラスごとに、道路ごとの平均速度または平均加速度を算出し、算出された平均速度または平均加速度の車種(クラス)によるばらつきを算出し、算出されたばらつきに基づいて運転の安定度を算出する。ばらつきは、分散や標準偏差として算出することができる。
【0026】
安定度算出部16は、先ず、情報記憶部11に記憶された第1車両の走行情報のうち、時系列の現在位置の情報と、地図情報とに基づいて、各時刻に代行運転していた道路あるいは道路の区間を特定する。また、情報記憶部11に記憶された第1車両の走行情報のうち、時系列の加速度の情報に基づいて、加速度を積分することにより、時系列の速度を算出する。時系列の現在位置の情報に基づいて、現在位置の変化により、時系列の速度を算出してもよい。
【0027】
安定度算出部16は、次いで、特定された道路ごとの時系列の速度を平均し、各運転代行者が第1車両を代行運転したときの道路ごとの平均速度を算出する。平均速度に代えて、あるいは平均速度に加えて、平均加速度を算出してもよい。安定度算出部16は、さらに、算出された平均速度または平均加速度の第1車両の車種によるばらつきを算出する。
【0028】
図4および
図5は、安定度算出部16により算出される平均車速およびばらつきについて説明するための図である。
図4には、特定の運転代行者について、安定度算出部16により算出された、第1車両のクラスおよび道路(ルート)ごとの平均車速(V1A,V2A,・・・)が示される。
図5には、特定の運転代行者について、安定度算出部16により算出された、特定の道路(ルート)における第1車両のクラスごとの平均車速が示される。
【0029】
安定度算出部16は、
図4に示すように、各運転代行者について第1車両のクラスおよび道路(ルート)ごとの平均車速を算出した後、
図5に示すように、算出された平均車速のクラスごとのばらつきを算出する。より具体的には、クラスごとの平均車速の平均値(
図5において破線で示す)を算出し、分散または標準偏差を算出する。安定度算出部16により算出された分散または標準偏差の値は、各運転代行者の運転の安定度を示す評価値(
図4のEA,EB,・・・)として情報記憶部11に記憶される。道路(ルート)ごとに算出された評価値(EA,EB,・・・)の平均値を算出し、各運転代行者の運転の安定度を示す評価値としてもよい。
【0030】
安定度算出部16は、各運転代行者について第1車両のクラスおよび道路(ルート)ごとの平均加速度を算出し、算出された平均加速度のクラスごとのばらつきを算出し、各運転代行者の運転の安定度を示す評価値(
図4のEA,EB,・・・)としてもよい。これらの評価値は、同一の道路(ルート)について、さらに時間帯ごとに分類して算出してもよい。
【0031】
運転者決定部13は、第2車両に類似する第1車両を代行運転した回数(距離、時間)が最も多い運転代行者が複数いるとき、安定度算出部16により算出された運転の安定度を示す評価値が最も高い運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定する。
【0032】
図6は、予めメモリに記憶されたプログラムに従いサーバ10で実行される運転代行者決定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す運転代行者決定処理は、利用者端末30からサーバ10に利用希望情報が送信される度に実行される。
【0033】
先ずステップS1で、利用者端末30から利用希望情報を取得し、利用希望を受け付ける。次いでステップS2で、ステップS1で受け付けた利用希望情報に沿って代行運転することのできる運転代行者が存在するか否かを判定する。ステップS2で否定されると、利用希望に沿えない旨を通知するメッセージを利用者端末30に送信し、処理を終了する。
【0034】
一方、ステップS2で肯定されると、ステップS3に進み、利用希望情報に沿って代行運転することのできる運転代行者が2人以上存在するか否かを判定する。ステップS3で否定されると、ステップS4に進み、利用希望情報に沿って代行運転することのできる単一の運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定し、処理を終了する。
【0035】
一方、ステップS3で肯定されると、ステップS5に進み、第2車両と同一の車種(またはクラス)の第1車両を代行運転した回数(距離、時間)が最も多い運転代行者が2人以上存在するか否かを判定する。ステップS5で否定されると、ステップS6に進み、第2車両と同一の車種(またはクラス)の第1車両を代行運転した回数(距離、時間)が最も多い単一の運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定し、処理を終了する。
【0036】
一方、ステップS5で肯定されると、ステップS7に進み、情報記憶部11に記憶された運転の安定度を示す評価値が最も高い運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定し、処理を終了する。
【0037】
図7は、予めメモリに記憶されたプログラムに従いサーバ10で実行される所要時間算出処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す所要時間算出処理は、
図6の運転代行者決定処理により第2車両を代行運転する運転代行者が決定される度に実行される。
【0038】
先ずステップS10で、
図6のステップS1で受け付けた利用希望情報に基づいて運転代行の出発地から到着地までの標準的な走行経路を探索し、標準的な所要時間を算出する。次いでステップS11で、情報記憶部11に記憶された余裕時間の情報を参照し、
図6のステップS4,S6,またはS7で決定された運転代行者のIDに対応する余裕時間(>0)が設定されているか否かを判定する。ステップS11で否定されると、ステップS12に進み、ステップS10で算出された標準的な所要時間をそのまま第2車両を運転代行するときの所要時間として決定する。ステップS11で肯定されると、ステップS13に進み、ステップS10で算出された標準的な所要時間に余裕時間を加算し、第2車両を運転代行するときの所要時間として決定する。次いでステップS14で、
図6のステップS4,S6,またはS7で決定された運転代行者のスケジュールを更新し、処理を終了する。
【0039】
このように、新たな利用希望情報に基づいて、第2車両に類似する第1車両を代行運転した経験が最も多い運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定することで、運転代行サービスを円滑に提供することができる(
図6のステップS1~S6)。すなわち、類似する車種やクラスの代行運転経験の多い運転代行者をマッチングすることで、例えば代行運転開始時の運転操作の確認等に要する時間が短縮され、円滑に代行運転することができる。なお、第2車両に類似する第1車両を代行運転した経験が少ない運転代行者をマッチングする場合、運転代行者に対し、複雑なルートの回避を提案してもよい。あるいは、利用者に対し、サービス料金の割引を提案してもよい。
【0040】
また、代行運転経験が同等の運転代行者が複数いる場合、
図5に示すような車種やクラスが変化したときの運転の安定度が高い運転代行者をマッチングすることで、運転代行サービスを円滑に提供することができる(
図6のステップS5~S7)。代行運転する車両には様々な車格(クラス)の様々な車種が含まれるため、登録されている運転代行者のだれも代行運転したことのない車種やクラスの車両での代行運転サービスが希望されることがある。このような場合でも、車種やクラスの変化によらず車両を代行運転できる運転の安定度の高い運転代行者をマッチングすることで、運転代行サービスを円滑に提供することができる。
【0041】
また、代行運転経験に応じて余裕時間を設定し、精度よく所要時間を算出することで、運転代行サービスを円滑に提供することができる(
図7のステップS10~S14)。すなわち、運転代行の利用希望が集中する時間帯であっても、各利用者に係る所要時間を精度よく算出することで、各運転代行者のスケジュールの信頼性が高まるため、運転代行サービスを一層円滑に提供することができる
【0042】
本発明の実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)装置100は、運転代行サービスの提供者として予め登録された複数の運転代行者のそれぞれが、運転代行サービスを利用する第1利用者の第1車両を代行運転したときの、第1車両の車両情報を記憶する情報記憶部11と、運転代行サービスの利用を希望する第2利用者の第2車両の車両情報を取得する情報取得部12と、情報記憶部11に記憶された第1車両の車両情報と、情報取得部12により取得された第2車両の車両情報と、に基づいて、複数の運転代行者のうち、第2車両に類似する第1車両を代行運転した経験が最も多い運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定する運転者決定部13と、を備える(
図1)。これにより、運転代行サービスの利用者と運転代行者とを好適にマッチングし、運転代行サービスを円滑に提供することができる。
【0043】
(2)運転者決定部13は、第2車両に類似する第1車両を代行運転した回数、距離、および時間の少なくともいずれかが最も多い運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定する。このように各運転代行者が過去に代行運転した回数や距離を管理することで、各運転代行者の代行運転経験を簡易かつ適切に管理することができる。
【0044】
(3)車両情報は、車種の情報を含む(
図2)。この場合、車種に応じた適切な運転代行者をマッチングすることができる。
【0045】
(4)車種の情報は、車幅、車長、および車高の少なくともいずれかの情報を含む(
図2)。この場合、車幅や車長、車高に応じた適切な運転代行者をマッチングすることができる。
【0046】
(5)情報取得部12は、さらに、複数の運転代行者のそれぞれが第1車両を代行運転したときの、第1車両の位置情報と、速度情報または加速度情報と、を含む走行情報を取得する。情報記憶部11は、さらに、情報取得部12により取得された第1車両の走行情報を記憶する。装置100は、情報記憶部11に記憶された第1車両の走行情報に基づいて、第1車両の車種ごとに複数の運転代行者のそれぞれが第1車両を代行運転したときの道路ごとの平均速度または平均加速度を算出し、算出された平均速度または平均加速度の第1車両の車種によるばらつきに基づいて運転の安定度を算出する安定度算出部16をさらに備える(
図1、
図5)。
【0047】
運転者決定部13は、第2車両に類似する第1車両を代行運転した経験が最も多い運転代行者が複数いるとき、当該複数の運転代行者のうち、安定度算出部16により算出された安定度が最も高い運転代行者を、第2車両を代行運転する運転代行者に決定する。これにより、車種による速度や加速度のばらつきが小さく、運転の安定度の高い運転代行者を優先的にマッチングすることができる。
【0048】
(6)情報取得部12は、さらに、第2利用者が希望する運転代行の出発地および到着地の情報を取得する。装置100は、情報取得部12により取得された出発地および到着地の情報に基づいて、第2車両を代行運転するときの所要時間を算出する所要時間算出部14と、所要時間算出部14により算出された所要時間に加算する余裕時間を算出する余裕時間算出部15と、をさらに備える(
図1)。余裕時間算出部15は、情報記憶部11に記憶された第1車両の車両情報に基づいて、第1車両を代行運転した経験が多いほど短くなるように余裕時間を算出する(
図4)。これにより、代行運転経験を考慮して精度よく所要時間を算出することができる。
【0049】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の一つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 サーバ、11 情報記憶部、12 情報取得部、13 運転者決定部、14 所要時間算出部、15 余裕時間算出部、16 安定度算出部、20 代行者端末、21 センサ、30 利用者端末、40 ネットワーク、100 運転代行仲介装置(装置)