(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043415
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】運転代行サービス管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240322BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148595
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴亮
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】運転代行サービス利用者の利便性の向上をはかる。
【解決手段】運転代行サービス管理装置100は、出発地情報、目的地情報および運転代行開始時刻情報を含む、運転代行希望情報を受付ける利用受付部11と、道路情報を含む地図情報を記憶する地図記憶部12と、運転代行者を運ぶ車両の車両ID、車両を運転する運転者の運転者IDおよび運転代行者の運転代行者IDを含む管理情報を記憶する管理情報記憶部13と、複数の運転代行希望情報を管理情報と関連付けるとともに、運転代行希望情報毎に算出された運転代行サービスの所要時間情報を予約情報として記憶する予約情報記憶部14と、予約情報を参照し、第1の運転代行サービス利用中の立寄りに関する可能性指標を算出する指標算出部15と、可能性指標をサービス利用者へ提示するために出力する情報出力部16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転代行者がサービス利用者の車両を前記サービス利用者に代わって運転する運転代行サービスを管理する運転代行サービス管理装置であって、
運転代行開始場所である出発地情報、運転代行終了場所である目的地情報および運転代行開始時刻情報を含む、運転代行希望情報を受付ける利用受付部と、
道路情報を含む地図情報を記憶する地図記憶部と、
所定の待機場所から前記運転代行開始場所へ前記運転代行者を運ぶとともに、前記運転代行終了場所から前記待機場所へ前記運転代行者を運ぶ車両の車両ID、前記車両を運転する運転者の運転者IDおよび前記運転代行者の運転代行者IDを含む管理情報を記憶する管理情報記憶部と、
複数の前記運転代行希望情報を前記管理情報と関連付けるとともに、前記運転代行希望情報毎に前記地図情報を参照して算出された運転代行サービスの所要時間情報を予約情報として記憶する予約情報記憶部と、
前記利用受付部で第1のサービス利用者から前記運転代行希望情報が受付けられる際に、前記予約情報を参照し、前記運転代行希望情報に係る第1の運転代行サービスの後の時間帯に第2のサービス利用者から予約されている第2の運転代行サービスの所要時間情報と、前記第1の運転代行サービスの終了から前記第2の運転代行サービスの開始までの時間間隔情報とに基づいて、前記第1の運転代行サービス利用中の立寄りに関する可能性指標を算出する指標算出部と、
前記可能性指標を前記サービス利用者へ提示するために出力する情報出力部と、
を備えることを特徴とする運転代行サービス管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転代行サービス管理装置において、
前記指標算出部は、前記運転代行希望情報の受付けから前記運転代行希望情報に係る前記第1の運転代行サービスの開始までの時間間隔情報が長いほど前記可能性指標を小さく算出することを特徴とする運転代行サービス管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の運転代行サービス管理装置において、
前記指標算出部は、前記第2の運転代行サービスの所要時間情報が長いほど前記可能性指標を小さく算出することを特徴とする運転代行サービス管理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の運転代行サービス管理装置において、
前記指標算出部は、前記第1の運転代行サービスの終了から前記第2の運転代行サービスの開始までの時間間隔情報が短いほど前記可能性指標を小さく算出することを特徴とする運転代行サービス管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転代行サービスを管理する運転代行サービス管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転代行者が、サービス利用者の車両をサービス利用者に代わって運転する運転代行サービスが普及している。運転代行サービスでは、サービス利用者自身または、サービス利用者が訪れた飲食店の従業員等が、運転代行サービスを提供する事業者等に出発地および目的地等を伝えた上でサービスを利用する。
このような運転代行サービスにおいて、運転代行者を以下のように検索する技術が知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、輸送要求に対応可能な運転代行者を運転代行者の情報が登録されたデータベースから検索し特定する。
【0003】
運転代行サービスが普及することで、例えば飲酒を伴う会食後等の自分で車両を運転できない場合でも自家用車による移動が可能となり、交通の利便性が向上する。また、飲酒状態等の不適切な状態で運転してしまうおそれがなくなり、交通の安全性が向上する。これにより、持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、サービス利用者が運転代行サービスを提供する事業者等を決定する際に、次の予約までにどのくらい余裕があるかを知ることができない。そのため、サービス利用者が運転代行サービスの利用中にコンビニエンスストアへの立寄り等を所望しても要望に応じてもらえないことがあり、サービス利用者の不満になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様である運転代行サービス管理装置は、運転代行開始場所である出発地情報、運転代行終了場所である目的地情報および運転代行開始時刻情報を含む、運転代行希望情報を受付ける利用受付部と、道路情報を含む地図情報を記憶する地図記憶部と、所定の待機場所から運転代行開始場所へ運転代行者を運ぶとともに、運転代行終了場所から待機場所へ運転代行者を運ぶ車両の車両ID、車両を運転する運転者の運転者IDおよび運転代行者の運転代行者IDを含む管理情報を記憶する管理情報記憶部と、複数の運転代行希望情報を管理情報と関連付けるとともに、運転代行希望情報毎に地図情報を参照して算出された運転代行サービスの所要時間情報を予約情報として記憶する予約情報記憶部と、利用受付部で第1のサービス利用者から運転代行希望情報が受付けられる際に、予約情報を参照し、運転代行希望情報に係る第1の運転代行サービスの後の時間帯に第2のサービス利用者から予約されている第2の運転代行サービスの所要時間情報と、第1の運転代行サービスの終了から第2の運転代行サービスの開始までの時間間隔情報とに基づいて、第1の運転代行サービス利用中の立寄りに関する可能性指標を算出する指標算出部と、可能性指標をサービス利用者へ提示するために出力する情報出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転代行サービス利用者の利便性の向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る運転代行サービス管理装置の全体構成の一例を概略的に示すブロック図。
【
図2】
図1のサーバで実行される運転代行サービス管理処理の一例を示すフローチャート。
【
図3】
図1のサーバで実行される運転代行サービス管理処理の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
発明の実施の形態に係る運転代行サービス管理装置は、事業者等が提供する運転代行サービスの利用希望を示す情報(運転代行希望情報と呼ぶ)をサービス利用者から受付け、運転代行希望情報に含まれる運転代行の出発地、目的地、出発時刻等の情報に基づいて、あらかじめ登録されている運転代行者の中から、その時間帯にサービス利用者の車両(第1車両と呼ぶ)を運転代行することが可能な運転代行者を決定する。運転代行サービス管理装置には、二種免許を保有する複数の運転代行者が登録されている。
決定を受けた運転代行者は、事業者等が用意する別の車両(第2車両と呼ぶ)に乗車して、所定の待機場所から上記出発地へ第2車両の運転者とともに移動する。運転代行者がサービス利用者を乗せて第1車両を出発地から目的地まで運転代行する際、第2車両の運転者は第2車両を出発地から目的地まで運転する。運転代行を終えた運転代行者は、第2車両に乗って第2車両の運転者とともに上記待機場所へ戻る。
【0010】
一般に、運転代行者がサービス利用者を乗せて第1車両を出発地から目的地まで運転代行する際、あらかじめ予約時に伝えていた場合を除き、原則として立寄り等を行わない。運転代行サービスを提供する事業者等から見ると、サービス利用者の求めに応じて予定外にコンビニエンスストア等へ立寄ると、運転代行サービスの提供時間があらかじめ見積もった所要時間と乖離し、以降の予定に影響を与えるからである。
より詳しく説明すると、運転代行中に立寄りを行わない場合は、不測の渋滞等が生じない限り運転代行サービスの提供時間があらかじめ見積もった所要時間と合致し、以降の予定に影響を与えない。これに対して、運転代行中の立寄りを行う場合は、運転代行サービスの所要時間の見積りに使用した走行ルートから外れた道路の走行時間、および、走行ルート上であってもサービス利用者が立寄り先で所用を済ませるまでの待機時間が、運転代行サービスの提供時間として上乗せされ、以降の予定に影響を与えるからである。
なお、実施の形態において立寄りとは、予定した走行ルート上のコンビニエンスストア等への立寄りに限らず、サービス利用者と一緒に飲食店を利用した人を、その人の自宅等へ送り届ける場合を含むものとする。
【0011】
一方、運転代行サービスのサービス利用者から見ると、料金を払って運転代行サービスを利用しているのだから、例えば10分間未満の超過(換言すると、運転代行サービスの提供時間が見積もった所要時間よりも長引く時間が10分間程度)であれば立寄りを認めて欲しいというのが本音である。認められない場合は、サービス利用者の不満となってしまう。
【0012】
このような運転代行サービスを円滑に提供するには、立寄りを認めることにより運転代行サービスの事業者側の予定に影響を与える場合の不利益と、立寄りが認められないことによるサービス利用者側の不満としての不利益とを比較考量し、状況に応じて適切な対応を行うことが好ましい。
そこで、実施の形態では運転代行サービス管理装置が、以下の二つの処理を行う。
【0013】
一つ目は、時間帯が前後する2つの運転代行サービスの時間情報に基づいて、サービス利用者からの立寄り要望に対する立寄可能性指標を算出し、サービス利用者に提示する。サービス利用者は、提示される立寄可能性指標に基づき、運転代行者に立寄りを認めてもらえるか否かを予測することが可能になる。
【0014】
二つ目は、サービス利用者に対する運転代行サービスの提供時間のうち、立寄りに起因する超過時間を、サービス利用者の属性情報として記録する。運転代行サービスを提供する事業者等は、運転代行希望情報をサービス利用者から受付ける際に属性情報を確認し、過去の超過時間が多いサービス利用者に対しては所定の対応を行うことが可能になる。
このような運転代行サービス管理装置の詳細について、以下に説明する。
【0015】
<装置の概要>
図1は、本発明の実施の形態に係る運転代行サービス管理装置100の全体構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図1に示すように、運転代行サービス管理装置100は、サーバ10と、運転代行サービスに登録された運転代行者が携帯する代行者端末20と、運転代行サービスの利用を希望するサービス利用者が使用する利用者端末30とを主に有する。サーバ10と代行者端末20と利用者端末30とは、インターネット等のネットワーク40を介して互いに通信可能に接続される。
【0016】
<サーバ>
サーバ10は、CPU(プロセッサ)、ROM、RAM(メモリ)、その他の周辺回路等を有するコンピュータを含んで構成される。サーバ10は、利用受付部11と、地図記憶部12と、管理情報記憶部13と、予約情報記憶部14と、指標算出部15と、情報出力部16と、計時部17と、外部情報取得部18と、利用者情報記憶部19と、超過時間算出部1Aと、情報更新部1Bとして機能する。
【0017】
<代行者端末>
代行者端末20は、スマートフォン等の携帯可能な通信端末として構成される。代行者端末20には、測位衛星からの信号を受信して現在位置を測定するGPS(Global Positioning System)等の測位センサ、加速度を検出する加速度センサ等を含むセンサ21が搭載される。代行者端末20には、運転代行サービス用のアプリケーションがあらかじめインストールされる。運転代行者が運転代行を開始してから終了するまでにセンサ21により測定、検出された時系列の現在位置および加速度の情報は、運転代行者ごとの走行情報として、運転代行者のID情報とともに代行者端末20からサーバ10に送信可能に構成されている。
【0018】
<利用者端末>
利用者端末30は、スマートフォンやパソコン等の通信端末として構成される。利用者端末30にも、運転代行サービス用のアプリケーションがあらかじめインストールされる。各サービス利用者は、利用者端末30を介し、運転代行開始場所である出発地情報、運転代行終了場所である目的地情報、および運転代行開始時刻情報を含む、運転代行希望情報を入力することができる。入力された運転代行希望情報は、利用者端末30からサーバ10に送信可能に構成されている。
【0019】
サーバ10の機能的構成について説明する。
<利用受付部>
利用受付部11は、サービス利用者の利用者端末30から送信された運転代行希望情報を受付ける。上述したように、運転代行希望情報には出発地情報、目的地情報、および運転代行開始時刻情報が含まれる。
【0020】
<地図記憶部>
地図記憶部12は、道路情報と、複数の飲食店の店舗情報とを含む地図情報を記憶する。店舗情報には、道路地図上の飲食店等の位置を示す情報が含まれている。
【0021】
<管理情報記憶部>
管理情報記憶部13は、運転代行サービスを提供する事業者等が用意する車両(上記第2車両)の車両ID、第2車両を運転する運転者の運転者IDおよび運転代行者の運転代行者IDを含む管理情報を記憶する。上述したように第2車両は、運転代行者を所定の待機場所から出発地へ運ぶとともに、運転代行を終えた運転代行者を目的地から上記待機場所へ運ぶための車両である。
【0022】
<予約情報記憶部>
予約情報記憶部14は、サーバ10により地図情報を参照して運転代行希望情報毎に算出された運転代行サービスの所要時間情報を、予約情報として記憶する。予約情報は、運転代行者の運転代行者IDに関連付けて記憶される。
利用受付部11で受付けた複数の運転代行希望情報は、サーバ10により、それぞれ上記管理情報と関連付けられる。
サーバ10は、不図示のルート探索部を含む。サーバ10は、運転代行の出発地から目的地までの標準的な走行経路をルート探索部で探索し、この走行経路を利用するときの標準的な所要時間を運転代行サービスの所要時間として算出する。
【0023】
<指標算出部>
指標算出部15は、利用受付部11で第1のサービス利用者からの運転代行希望情報が受付けられる際に、予約情報記憶部14に記憶された予約情報を参照し、運転代行希望情報に係る第1の運転代行サービスの後の時間帯に第2のサービス利用者から予約されている第2の運転代行サービスの所要時間情報および、第1の運転代行サービスの終了から第2の運転代行サービスの開始までの時間間隔情報に基づいて、第1の運転代行サービス利用中の立寄りに関する可能性指標を算出する。
【0024】
実施の形態では、運転代行サービス中に立寄りを行う場合に、その運転代行サービスの提供時間を例えば10分間延長するものとして扱う。指標算出部15は、時間帯が前後する2つの運転代行サービスのうちの前の運転代行サービス(第1の運転代行サービスに対応)における立寄りに関する可能性指標を、第1の運転代行サービスの終了から後の運転代行サービス(第2の運転代行サービスに対応)の開始までの時間間隔が少なくとも10分間確保できる場合に、例えば50%とする。指標算出部15は、上記時間間隔が10分間未満の場合には、立寄りに関する可能性指標を0%とする。
【0025】
また、指標算出部15は、上記時間間隔が20分間以上30分間未満の場合には立寄りに関する可能性指標を例えば60%、上記時間間隔が30分間以上40分間未満の場合には立寄りに関する可能性指標を例えば70%とする。
【0026】
さらに、指標算出部15は、第1の運転代行サービスの後の時間帯に予約されている第2の運転代行サービスの所要時間情報が長いほど可能性指標を小さく算出する。例えば、上記60%を40%に、上記70%を50%に、それぞれ引き下げる。一般に、第2の運転代行サービスの所要時間情報が、例えば60分を超えると長距離利用である。長距離利用の場合のサービス利用者は、運転代行サービスの開始が遅れると心証を悪くすることが多い。そのため、第2の運転代行サービスの前の時間帯の第1の運転代行サービスの提供時間が立寄りによって長引かないように、可能性指標を小さく算出する。
【0027】
また、指標算出部15は、第1の運転代行サービスの終了から、第1の運転代行サービスの後の時間帯の第2の運転代行サービスの開始までの時間間隔情報が短いほど可能性指標を低く算出する。前後する運転代行サービスの時間間隔が不足すると、後の時間帯の第2の運転代行サービスの開始が遅れてしまう。そのため、指標算出部15は、立寄りによって第1の運転代行サービス以降の予定に影響を与えないように、可能性指標を小さく算出する。
【0028】
さらにまた、指標算出部15は、第1のサービス利用者からの運転代行希望情報の受付けから運転代行希望情報に係る第1の運転代行サービスの開始までの時間間隔情報が長いほど、立寄りに関する可能性指標を小さく算出する。より具体的には、運転代行希望情報の受付けからこの運転代行希望情報に係る第1の運転代行サービスの開始までに、例えば1週間以上の時間がある場合、換言すると、第1の運転代行サービスがサービス利用日の1週間前に予約された場合は、第1の運転代行サービス利用中の立寄りに関する可能性指標を低く(例えば20%)算出する。
一般に、サービス利用日の1週間前から前後する時間帯における運転代行サービスの予約が埋まることは稀である。サービス利用日が近づくにつれて、あるいはサービス利用日のサービス開始時刻が近づくにつれて、第1の運転代行サービスの後の時間帯に第2の運転代行サービスが予約される可能性が高い。そのため、不確実な状態で、サービス利用者に対して運転代行サービス利用中の立寄りに関して過度な期待を与えないように、可能性指標を小さく算出する。
【0029】
<情報出力部>
情報出力部16は、指標算出部15で算出された立寄可能性指標情報を、第1のサービス利用者へ提示するために第1のサービス利用者の利用者端末30へ出力する。
【0030】
<計時部>
計時部17は、代行者端末20からサーバ10に送信される時系列の現在位置および加速度の情報に基づき、運転代行者による運転代行サービスの提供時間(立寄りした場合の増加時間を含む実際の提供時間)を計時する。サービス提供時間は、運転代行開始時刻と運転代行終了時刻との差分に対応する。
【0031】
<外部情報取得部>
外部情報取得部18は、交通情報等を外部から取得することにより、第1の運転代行サービスの出発地から目的地までの走行経路で第1の運転代行サービスの提供中に発生した渋滞の情報を得る。渋滞の情報は、渋滞が発生していない通常時の走行時間と比べて、渋滞により増加した走行時間(増加時間)を示す。この増加時間は、サービス利用者からの求めに応じた立寄りとは無関係に生じた時間であるので、外部要因プラス時間と呼ぶことにする。
【0032】
<利用者情報記憶部>
利用者情報記憶部19は、運転代行サービスを利用するサービス利用者の属性情報を利用者IDと関連付けて記憶する。
【0033】
<超過時間算出部>
超過時間算出部1Aは、計時部17で計時した運転代行サービスの提供時間から、予約情報記憶部14に記憶されている、あらかじめ見積もった運転代行サービスの所要時間と、外部情報取得部18で取得した外部要因プラス時間と、を減算することにより、計時部17で計時した運転代行サービスの提供時間のうちの立寄りに起因する超過時間を算出する。
超過時間算出部1Aで算出する超過時間は、サービス利用者からの求めに応じた立寄りに起因して生じる時間であるので、顧客要因プラス時間と呼ぶことにする。
運転代行サービス中に立寄りを行わなかった場合、運転代行サービスの提供時間は、あらかじめ見積もった所要時間と外部情報取得部18で取得した増加時間との和と合致するので、顧客要因プラス時間は略ゼロである。これに対して、運転代行サービス中の立寄りを行う場合は、運転代行サービスの所要時間の見積りに使用した走行ルートから外れた道路の走行時間、および、走行ルート上であってもサービス利用者が立寄り先で所用を済ませるまでの待機時間が、顧客要因プラス時間に相当する。
【0034】
<情報更新部>
情報更新部1Bは、利用者情報記憶部19に記憶されるサービス利用者毎の属性情報を更新する。情報更新部1Bは、超過時間算出部1Aで顧客要因プラス時間が算出される度に、対応するサービス利用者の顧客要因プラス時間を積算し、積算した顧客要因プラス時間をそのサービス利用者の属性情報として更新する。属性情報の中の顧客要因プラス時間が多いサービス利用者は、運転代行サービスを利用中に運転代行者に立寄りを要求することが多いといえる。
【0035】
<フローチャートの説明>
図2は、あらかじめメモリに記憶されたプログラムに従いサーバ10で実行される運転代行サービス管理処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す運転代行サービス管理処理は、一例として、利用者端末30からサーバ10に運転代行希望情報が送信される度に実行されるものとする。
【0036】
ステップS10において、サーバ10は、利用者端末30から運転代行希望情報を取得し、利用希望を受付けてステップS20へ進む。上述したように、運転代行希望情報には運転代行開始場所である出発地情報、運転代行終了場所である目的地情報、および運転代行開始時刻情報が含まれている。
【0037】
ステップS20において、サーバ10は、ステップS10で受付けた運転代行希望情報に基づいて、運転代行の出発地から目的地までの標準的な走行経路を探索した上で標準的な所要時間を算出し、ステップS30へ進む。
【0038】
ステップS30において、サーバ10は、予約情報記憶部14に記憶されている予約情報を参照し、運転代行者の予定に空きがあるか否かを判定する。より具体的には、運転代行希望情報に含まれる運転代行の出発地、目的地、出発時刻等の情報に基づいて、あらかじめ登録されている運転代行者の中に、その時間帯にサービス利用者の車両(第1車両)を運転代行することが可能な運転代行者が存在する場合にステップS30を肯定判定してステップS40へ進む。サーバ10は、運転代行することが可能な運転代行者が存在しない場合には、ステップS30を否定判定してステップS70へ進む。
【0039】
ステップS40において、サーバ10は、ステップS20で算出した運転代行サービス(第1のサービス利用者に対する第1の運転代行サービスに対応)の所要時間情報と、運転代行することが可能な運転代行者の運転代行者IDとを関連付け、予約情報記憶部14に予約情報として記録してステップS50へ進む。
【0040】
ステップS50において、サーバ10は、指標算出部15により立寄可能性指標を算出してステップS60へ進む。
【0041】
ステップS60において、サーバ10は、立寄可能性指標を第1のサービス利用者に提示する。より具体的には、情報出力部16により、ステップS50で算出した立寄可能性指標を示す立寄可能性指標情報をステップS10で利用希望を受けた利用者端末30へ出力する。また、予約内容を示す情報も利用者端末30へ出力する。このように構成したので、利用者端末30には、立寄可能性指標と予約内容とが、予約番号とともに不図示の表示部に表示される。また、例えば「この内容でよろしいですか?」というメッセージが表示される。
【0042】
ステップS70において、サーバ10は、ステップS10で利用希望を受けた利用者端末30に対する処理を終了してよいか否かを判定する。サーバ10は、OKである場合にステップS70を肯定判定して
図2による処理を終了する。サーバ10は、OKでない場合にステップS70を否定判定してステップS10へ戻り、上述した処理を繰り返す。OKである場合とは、例えば、利用者端末30から予約情報を確認したことを示す信号を受けた場合が該当する。また、OKでない場合とは、例えば、利用者端末30から予約内容の取消等を目的にしたリトライ(retry)要求を受けた場合が該当する。
【0043】
<立寄可能性指標の確認>
上述したように、第1のサービス利用者による第1の運転代行サービスの立寄可能性指標は、第1の運転代行サービスの開始時刻が近づくにつれて、また、第1の運転代行サービスの次の時間帯に予約された第2のサービス利用者による第2の運転代行サービスの開始時刻等との関係により変化する。そこで、運転代行サービス管理装置としてのサーバ10は、以下のように第1のサービス利用者からの立寄可能性指標の確認要求を、受付け可能に構成されている。
【0044】
利用者端末30(第1のサービス利用者のものとする)からサーバ10に立寄可能性指標を確認するための確認要求情報が送信されると、サーバ10は以下の処理を実行する。
(1)サーバ10は、予約情報記憶部14から、確認要求情報に含まれる予約番号に関連付けて記憶されている予約情報に基づき、第1のサービス利用者による第1の運転代行サービスの予約内容を取得する。
(2)サーバ10は、予約情報記憶部14から、第1の運転代行サービスの後の時間帯に予約されている第2のサービス利用者による第2の運転代行サービスの予約内容を取得する。
(3)サーバ10は、上記(2)に基づく第2の運転代行サービスの所要時間情報および、上記(1)、(2)に基づく第1の運転代行サービスの終了から第2の運転代行サービスの開始までの時間間隔情報に基づいて、第1の運転代行サービス利用中の立寄りに関する可能性指標を算出する。
(4)サーバ10は、立寄可能性指標を第1のサービス利用者に提示し、処理を終了する。第1のサービス利用者への提示は、算出した立寄可能性指標を示す立寄可能性指標情報を、情報出力部16から第1のサービス利用者の利用者端末30へ出力することによって行う。
【0045】
図3は、あらかじめメモリに記憶されたプログラムに従いサーバ10で実行される運転代行サービス管理処理の他の例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す運転代行サービス管理処理は、一例として、一つの運転代行サービスが終了する度に実行されるものとする。
【0046】
ステップS210において、サーバ10は、予約情報記憶部14に記憶されている予約情報(例えば、第1のサービス利用者に対する第1の運転代行サービスに対応)に基づき、一つの運転代行サービスが終了したか否かを判定する。サーバ10は、例えば、第1の運転代行サービスを担当する運転代行者が所定の待機場所へ戻ったと判断すると、ステップS210を肯定判定してステップS220へ進む。サーバ10は、第1の運転代行サービスを担当する運転代行者が、所定の待機場所へ戻ったと判断できない場合はステップS210を否定判定し、当該判定処理を繰り返しながら運転代行者の帰還を待つ。
【0047】
ステップS220において、サーバ10は、運転代行者が第1のサービス利用者を乗せて第1車両を出発地から目的地まで運転代行した時間を、サービス提供時間として算出してステップS230へ進む。
【0048】
ステップS230において、サーバ10は、予約情報記憶部14に記憶されている第1のサービス利用者に対する第1の運転代行サービスの予約情報のうち、運転代行希望情報に基づいて算出した(あらかじめ見積もった)所要時間を読出してステップS240へ進む。あらかじめ見積もった所要時間を、想定サービス提供時間と呼んでもよい。
【0049】
ステップS240において、サーバ10は、外部情報取得部18により、外部要因プラス時間を取得してステップS250へ進む。外部要因プラス時間は、第1の運転代行サービスの出発地から目的地までの走行経路で第1の運転代行サービスの提供中に発生した渋滞に伴う増加時間に対応する。
【0050】
ステップS250において、サーバ10は、超過時間算出部1Aにより、立寄りに起因する超過時間としての顧客要因プラス時間を算出してステップS260へ進む。顧客要因プラス時間は、ステップS220で算出したサービス提供時間から、想定サービス提供時間と外部要因プラス時間とを減算した時間である。
【0051】
ステップS260において、サーバ10は、顧客要因プラス時間が所定値より大きいか否かを判定する。サーバ10は、顧客要因プラス時間が所定値より大きい場合にステップS260を肯定判定してステップS270へ進む。サーバ10は、顧客要因プラス時間が所定値以下の場合にはステップS260を否定判定して
図3による処理を終了する。
【0052】
ステップS270において、サーバ10は、情報更新部1Bにより、利用者情報記憶部19に記憶されているサービス利用者毎の属性情報を更新し、
図3による処理を終了する。
上述したように、属性情報の中の顧客要因プラス時間が多いサービス利用者は、運転代行サービスを利用中に運転代行者に立寄りを要求することが多い。サーバ10は、そのサービス利用者から新たな運転代行希望情報を受付ける場合に、属性情報を参照してそのサービス利用者に対して所定の対応をすることが可能になる。例えば、想定サービス提供時間を算出する場合に立寄りを想定して算出値に10分間(過去の1回当たりの顧客要因プラス時間に相当)上乗せしたり、立寄りを想定して割増料金を設定したり、深夜時間帯の利用を制限したりすることも可能になる。
【0053】
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)運転代行サービス管理装置100は、運転代行開始場所である出発地情報、運転代行終了場所である目的地情報および運転代行開始時刻情報を含む、運転代行希望情報を受付ける利用受付部11と、道路情報を含む地図情報を記憶する地図記憶部12と、所定の待機場所から運転代行開始場所へ運転代行者を運ぶとともに、運転代行終了場所から待機場所へ運転代行者を運ぶ車両の車両ID、車両を運転する運転者の運転者IDおよび運転代行者の運転代行者IDを含む管理情報を記憶する管理情報記憶部13と、複数の運転代行希望情報を管理情報と関連付けるとともに、運転代行希望情報毎に地図情報を参照して算出された運転代行サービスの所要時間情報を予約情報として記憶する予約情報記憶部14と、利用受付部11で第1のサービス利用者から運転代行希望情報が受付けられる際に、予約情報を参照し、運転代行希望情報に係る第1の運転代行サービスの後の時間帯に第2のサービス利用者から予約されている第2の運転代行サービスの所要時間情報と、第1の運転代行サービスの終了から第2の運転代行サービスの開始までの時間間隔情報とに基づいて、第1の運転代行サービス利用中の立寄りに関する可能性指標を算出する指標算出部15と、可能性指標をサービス利用者へ提示するために出力する情報出力部16と、を備える。
このように構成したので、例えば、サービス利用者の求めに応じて第1の運転代行サービス中に立寄りを認めると運転代行サービスの事業者側の以降の予定に影響を与える場合と、立寄りを認めたとしても事業者側の以降の予定に影響を与えない場合とを、可能性指標の大小により第1のサービス利用者へ提示することが可能になる。これにより、第1のサービス利用者は、可能性指標がない場合と比べて、可能性指標から第1の運転代行サービス中に立寄りを認めてもらえる可能性の判断が容易になる。一方、運転代行サービスの事業者側は、第1の運転代行サービス以降の予定に影響を与えない範囲で立寄りを認めることで、サービス利用者の満足度を高めつつ、予定通りに運転代行サービスを提供することが可能になる。つまり、事業者側の利益(運転代行サービスを予定通り提供すること、サービス利用者から高評価を得ること)と、サービス利用者の利便性(立寄りの可能性を参酌して予約すること、なるべく立寄りを認めてもらうこと)とを、バランスよく両立させることが可能となる。
【0054】
(2)上記(1)の運転代行サービス管理装置100において、指標算出部15は、運転代行希望情報の受付けから運転代行希望情報に係る第1の運転代行サービスの開始までの時間間隔情報が長いほど可能性指標を小さく算出する。
このように構成したので、例えば、第1の運転代行サービスがサービス利用日の1週間前に予約された場合は、第1の運転代行サービス利用中の立寄りに関する可能性指標を低く(例えば20%)することで、第1の運転代行サービスの次の運転代行サービスの予約が不確実な状態で、運転代行サービス利用中の立寄りに関して第1のサービス利用者に対して過度な期待を与えないようにすることが可能になる。
【0055】
(3)上記(1)の運転代行サービス管理装置100において、指標算出部15は、第1の運転代行サービスの後の時間帯の第2の運転代行サービスの所要時間情報が長いほど可能性指標を小さく算出する。
一般に、第2の運転代行サービスの所要時間情報が、例えば60分を超えると長距離利用であり、長距離利用の第2のサービス利用者は、運転代行サービスの開始が遅れると心証を悪くすることが多い。そのため、第1の運転代行サービス利用中の立寄りに起因して第2の運転代行サービスの第2のサービス利用者が心証を悪くすることがないように、第1の運転代行サービス利用中の立寄りが難しいことを第1のサービス利用者に伝えることが可能になる。
【0056】
(4)上記(1)の運転代行サービス管理装置100において、指標算出部15は、第1の運転代行サービスの終了から第2の運転代行サービスの開始までの時間間隔情報が短いほど可能性指標を小さく算出する。
一般に、前後する運転代行サービスの時間間隔が不足すると、後の時間帯の第2の運転代行サービスの開始が遅れてしまう。そのため、第1の運転代行サービス利用中の立寄りに起因して第1の運転代行サービス以降の予定に影響を与えないように、第1の運転代行サービス利用中の立寄りが難しいことをサービス利用者に伝えることが可能になる。
【0057】
(変形例)
上述した実施の形態では、運転代行サービス管理装置100が二つの処理を行う例を説明した。一つ目は、時間帯が前後する2つの運転代行サービスの時間情報に基づいて、サービス利用者からの立寄り要望に対する立寄可能性指標を算出し、サービス利用者に提示する処理である。二つ目は、サービス利用者に対する運転代行サービスの提供時間のうち、立寄りに起因する超過時間を、サービス利用者の属性情報として記録する処理である。
変形例において、運転代行サービス管理装置100を、上記二つの処理のうちの一方の処理のみを行うように構成してもよい。
【0058】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施の形態および変形例により本発明が限定されるものではない。
【符号の説明】
【0059】
10 サーバ、11 利用受付部、12 地図記憶部、13 管理情報記憶部、14 予約情報記憶部、15 指標算出部、16 情報出力部、17 計時部、18 外部情報取得部、19 利用者情報記憶部、1A 超過時間算出部、1B 情報更新部、20 代行者端末、21 センサ、30 利用者端末、40 ネットワーク、100 運転代行サービス管理装置