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特開2024-43420案内装置、案内方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043420
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】案内装置、案内方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240322BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240322BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240322BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240322BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20240322BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G01C21/26 A
G09B29/10 A
G08B21/02
G08B21/24
G08B21/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148600
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】太田 彩紀也
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5C086
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HB22
2C032HC08
2F129AA03
2F129BB02
2F129BB20
2F129BB22
2F129BB26
2F129CC15
2F129CC31
2F129CC33
2F129CC35
2F129DD39
2F129EE43
2F129EE52
2F129EE95
2F129FF11
2F129FF20
2F129FF71
2F129FF72
2F129FF73
2F129FF75
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH35
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA21
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086FA06
5C086FA17
5H181AA05
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181CC24
5H181DD07
5H181FF10
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181MA41
(57)【要約】
【課題】運転者に対して、自身の違反走行や危険走行を認識させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】案内装置は、道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する、規制の内容を記憶する規制情報記憶部と、車両の走行状況を判定する判定部であって、車両の走行状況が、規制に対して違反している違反走行と、規制に対して違反はしていないものの、車両の周囲または車両の運転者に危険を及ぼす可能性がある危険走行と、の少なくともいずれか一方に該当するか否かを判定する判定部と、車両の走行状況が、違反走行または危険走行に該当する場合に、運転者に対して警告させる警告部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内装置であって、
道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する、規制の内容を記憶する規制情報記憶部と、
前記車両の走行状況を判定する判定部であって、前記車両の走行状況が、
前記規制に対して違反している違反走行と、
前記規制に対して違反はしていないものの、前記車両の周囲または前記車両の運転者に危険を及ぼす可能性がある危険走行と、
の少なくともいずれか一方に該当するか否かを判定する判定部と、
前記車両の走行状況が、前記違反走行または前記危険走行に該当する場合に、前記運転者に対して警告させる警告部と、
を備える、案内装置。
【請求項2】
請求項1に記載の案内装置であって、
前記警告部は、前記違反走行または前記危険走行が検出された際に、
まず、前記違反走行または前記危険走行に該当している旨を音声により出力させ、
その後、前記車両の走行状況が前記違反走行または前記危険走行に該当しなくなるために、前記運転者が取るべき対応を音声により出力させる、案内装置。
【請求項3】
請求項2に記載の案内装置であって、
前記警告部は、前記違反走行または前記危険走行が検出された際、さらに、前記運転者が前記車両の走行終了後に確認するためのガイド表示であって、前記規制の内容を解説した画像を含むガイド表示を出力させるためのガイド情報を生成する、案内装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の案内装置であって、
前記判定部は、
前記車両が走行している走行中リンクを特定し、
前記走行中リンクに対する前記規制の内容に加えてさらに、前記車両の走行速度と、前記走行中リンクに設けられた道路標識と、前記走行中リンクに設けられた道路鋲と、前記走行中リンクのリンク幅と、の少なくともいずれか1つ以上を用いて、前記車両の走行状況を判定する、案内装置。
【請求項5】
請求項4に記載の案内装置であって、
前記判定部は、
さらに、前記走行中リンクを確認可能な路上カメラの画像から、前記走行中リンクに存在する他の車両や歩行者の状況を取得し、
前記走行中リンクに対する前記規制の内容に加えてさらに、前記他の車両や歩行者の状況を用いて、前記車両の走行状況を判定する、案内装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の案内装置であって、
前記車両は、自転車に加えてさらに、
特定小型原動機付自転車と、
遠隔操作型小型車と、の少なくともいずれか一方が含まれる、案内装置。
【請求項7】
案内方法であって、情報処理装置が、
道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する、規制の内容を参照する工程と、
前記車両の走行状況を判定する工程であって、前記車両の走行状況が、
前記規制に対して違反している違反走行と、
前記規制に対して違反はしていないものの、前記車両の周囲または前記車両の運転者に危険を及ぼす可能性がある危険走行と、
の少なくともいずれか一方に該当するか否かを判定する工程と、
前記車両の走行状況が、前記違反走行または前記危険走行に該当する場合に、前記運転者に対して警告させる工程と、
を備える、案内方法。
【請求項8】
コンピュータプログラムであって、情報処理装置に、
道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する、規制の内容を参照するステップと、
前記車両の走行状況を判定するステップであって、前記車両の走行状況が、
前記規制に対して違反している違反走行と、
前記規制に対して違反はしていないものの、前記車両の周囲または前記車両の運転者に危険を及ぼす可能性がある危険走行と、
の少なくともいずれか一方に該当するか否かを判定するステップと、
前記車両の走行状況が、前記違反走行または前記危険走行に該当する場合に、前記運転者に対して警告させるステップと、
を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内装置、案内方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
運転免許は、自動車及び原動機付自転車の運転をするために必要な国家資格であり、取得のためには、適正試験、技能試験、学科試験の合格を要する。一方、自転車は、道路を走行する際に運転免許を必要としないため、道路走行時のルールを知らない人(例えば子供)であっても気軽に運転できてしまう。そして近年、このような自転車を含む交通事故が問題視されている。例えば、特許文献1には、自転車が走行する目的地までの道路の安全度をより適切に判断するために、自転車用ナビゲーション制御装置において、搭乗者情報と、道路情報と、規制情報とに基づいて自転車が走行する目的地までの道路の安全度を判断することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-042715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路交通法や、都道府県の条例等には、自転車の安全かつ適正な利用を実現するために、自転車に対する規制が定められている。しかし、自転車は、上述の通り道路走行時に運転免許を必要としないため、特に運転免許を持たない運転者(例えば子供等)は、自転車に対する規制の内容を知る機会がない。このため、特に運転免許を持たない運転者は、自身が、規制に違反した違反走行をしていることや、規制に違反はしないものの周囲に危険を及ぼす可能性がある危険走行をしていることに気付くことができないという課題があった。
【0005】
この点、特許文献1に記載の自転車用ナビゲーション制御装置では、自転車に対する規制は、目的地までのルートを選択するための安全度の判定に使用されるに過ぎず、規制に違反した違反走行をしているという事実を、運転者に認識させることはできないという課題があった。また、特許文献1に記載の自転車用ナビゲーション制御装置は、あくまでナビゲーションを目的とした装置に過ぎず、自転車に対する規制内容を教示するということについては、何ら考慮されていない。
【0006】
なお、このような課題は、自転車に限らず、例えば、特定小型原動機付自転車や、遠隔操作型小型車等、道路の走行のために運転免許を必要としない車両の全般に共通する課題であった。また、このような課題は、運転免許を持つ運転者に対しても共通する課題であった。
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、運転者に対して、自身の違反走行や危険走行を認識させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本発明の一形態によれば、案内装置が提供される。この案内装置は、道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する、規制の内容を記憶する規制情報記憶部と、前記車両の走行状況を判定する判定部であって、前記車両の走行状況が、前記規制に対して違反している違反走行と、前記規制に対して違反はしていないものの、前記車両の周囲または前記車両の運転者に危険を及ぼす可能性がある危険走行と、の少なくともいずれか一方に該当するか否かを判定する判定部と、前記車両の走行状況が、前記違反走行または前記危険走行に該当する場合に、前記運転者に対して警告させる警告部と、を備える。
【0010】
この構成によれば、警告部は、車両の走行状況が、規制に対して違反している違反走行に該当する場合、または、規制に対して違反はしていないものの車両の周囲または車両の運転者に危険を及ぼす可能性がある危険走行に該当する場合に、運転者に対して警告させる。このため、道路の走行のために運転免許を必要としない車両(例えば、自転車、小型原動機付自転車や、遠隔操作型小型車等)の運転者に対して、自身の走行が、違反走行や、危険走行に該当している旨を認識させて、運転者の注意を促すことができる。
【0011】
(2)上記形態の案内装置において、前記警告部は、前記違反走行または前記危険走行が検出された際に、まず、前記違反走行または前記危険走行に該当している旨を音声により出力させ、その後、前記車両の走行状況が前記違反走行または前記危険走行に該当しなくなるために、前記運転者が取るべき対応を音声により出力させてもよい。
この構成によれば、警告部は、違反走行または危険走行が検出された際に、まず、違反走行または危険走行に該当している旨を音声により出力させるため、違反走行または危険走行が検出されたその時にリアルタイムに注意喚起することができ、「どのような行為が違反走行または危険走行であったか」を運転者に認識しやすくできる。また、警告部は、その後、車両の走行状況が違反走行または危険走行に該当しなくなるために、運転者が取るべき対応を音声により出力させるため、「どうすれば違反走行または危険走行に該当しなくなるか」を運転者に教示でき、運転者による車両の走行状況の改善を促すことができる。さらに、警告部は、これらの注意喚起と、車両の走行状況の改善促進とを介して、運転者に対して「好ましくない走行状況と、好ましい走行状況」を教示できるため、運転者に対して、自身の経験を通じて(換言すれば、運転者が車両を運転する現場において)交通ルールを学習させることができる。さらに警告部は、これら案内を音声により行うため、わき見運転を抑制できる。
【0012】
(3)上記形態の案内装置において、前記警告部は、前記違反走行または前記危険走行が検出された際、さらに、前記運転者が前記車両の走行終了後に確認するためのガイド表示であって、前記規制の内容を解説した画像を含むガイド表示を出力させるためのガイド情報を生成してもよい。
この構成によれば、警告部は、違反走行または危険走行が検出された際、さらに、運転者が車両の走行終了後に確認するためのガイド表示であって、規制の内容を解説した画像を含むガイド表示を出力させるためのガイド情報を生成する。このため、運転者は、車両の走行終了後にガイド表示を確認することによって、「なぜ警告されたか」の詳細な理由を知ることができる。この結果、運転者に対して、自身の経験を通じて、より深く交通ルールを学習させることができる。
【0013】
(4)上記形態の案内装置において、前記判定部は、前記車両が走行している走行中リンクを特定し、前記走行中リンクに対する前記規制の内容に加えてさらに、前記車両の走行速度と、前記走行中リンクに設けられた道路標識と、前記走行中リンクに設けられた道路鋲と、前記走行中リンクのリンク幅と、の少なくともいずれか1つ以上を用いて、前記車両の走行状況を判定してもよい。
この構成によれば、判定部は、車両が走行している走行中リンクに対する規制の内容に加えてさらに、車両の走行速度、走行中リンクに設けられた道路標識、走行中リンクに設けられた道路鋲、走行中リンクのリンク幅、といった多種多様な条件を利用して、車両の走行状況をより詳細に判定できる。この結果、判定部による違反走行または危険走行の検出精度を向上させることができるため、案内装置の有用性を向上できる。
【0014】
(5)上記形態の案内装置において、前記判定部は、さらに、前記走行中リンクを確認可能な路上カメラの画像から、前記走行中リンクに存在する他の車両や歩行者の状況を取得し、前記走行中リンクに対する前記規制の内容に加えてさらに、前記他の車両や歩行者の状況を用いて、前記車両の走行状況を判定してもよい。
この構成によれば、判定部は、走行中リンクに対する規制の内容に加えてさらに、他の車両や歩行者の状況を用いて、車両の走行状況を判定するため、車両の走行状況をより詳細に判定できる。この結果、判定部による違反走行または危険走行の検出精度を向上させることができるため、案内装置の有用性を向上できる。
【0015】
(6)上記形態の案内装置において、前記車両は、自転車に加えてさらに、特定小型原動機付自転車と、遠隔操作型小型車と、の少なくともいずれか一方が含まれてもよい。
この構成によれば、車両には、自転車に加えてさらに、特定小型原動機付自転車と、遠隔操作型小型車と、の少なくともいずれか一方が含まれるため、道路の走行のために運転免許を必要としない多様な車両に対して、本技術を適用できる。
【0016】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、違反走行または危険走行の検出及び案内をする情報処理装置、経路探索を行うと共に、探索された経路移動中における違反走行または危険走行の検出及び案内をするナビゲーション装置、これら各装置の機能を仮想的に(例えば、シミュレータ環境下で)実現する情報処理装置、これら各装置の機能を実現するために情報処理装置において実行される方法、これら各装置を含むシステム、これら各装置やシステムの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、そのコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態としての案内システムの概略構成を示す図である。
図2】規制情報DBの一例を示す図である。
図3】案内処理の手順を示すフローチャートである。
図4】アラートの一例を示す説明図である。
図5】ガイド表示の一例を示す図である。
図6】第2実施形態の案内システムの概略構成を示す図である。
図7】第3実施形態の案内システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.第1実施形態:
図1は、本発明の一実施形態としての案内システム1の概略構成を示す図である。案内システム1は、道路の走行のために運転免許を必要としない車両の運転者の走行状況を監視し、走行状況が違反走行または危険走行に該当する場合に、運転者に警告するシステムである。ここで、道路の走行のために運転免許を必要としない車両には、例えば、自転車、特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード)、遠隔操作型小型車(いわゆる自動配送ロボット、ドローン)等が含まれるが、以降では「自転車」を例示して説明する。
【0019】
また、本実施形態において、「違反走行」及び「危険走行」とは、それぞれ、以下の(a1),(a2)に該当する車両の走行状況を意味する。
(a1)違反走行:道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する規制に対して違反している。
(a2)危険走行:道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する規制には違反していないものの、車両の周囲、または、車両の運転者に危険を及ぼす可能性がある。
【0020】
「道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する規制」とは、道路交通法、道路交通法の下位命令、その他の法令、都道府県により規定された条例、校則、就業規則等によって規定された規則等から選択された1以上の規制である。以降の例では、道路交通法と、都道府県により規定された条例とを例示して説明する。また、以降、道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する規制を、単に「規制」とも呼ぶ。
【0021】
案内システム1は、案内装置10と、運転者端末30とを備えている。案内装置10は、有線通信によってインターネットINTに接続されている。運転者端末30は、通信キャリアBSを介した無線通信によってインターネットINTに接続されている。通信キャリアBSには、送受信アンテナや、無線基地局、交換局が含まれる。すなわち、案内装置10と運転者端末30とは、インターネットINTを介して相互に通信することができる。
【0022】
案内装置10は、運転者端末30と協働して、後述の案内処理を実行する。案内装置10は、いわゆるサーバとして構成されている。案内装置10は、CPU110と、通信部120と、ROM/RAM130と、記憶部140とを備えており、各部は図示しないバスにより相互に接続されている。
【0023】
CPU110は、ROM130に格納されているコンピュータプログラムをRAM130に展開して実行することにより、案内装置10の各部を制御するほか、取得部111、判定部112、警告部113としても機能する。取得部111は、後述の案内処理において、運転者端末30から種々の情報を取得する。判定部112は、後述の案内処理において、運転者による車両の走行状況を解析すると共に、車両の走行状況が、違反走行に該当するか否か、及び、危険走行に該当するか否かを判定する。警告部113は、後述の案内処理において、車両の走行状況が、違反走行または危険走行に該当する場合に、(運転者端末30に)警告させる。
【0024】
通信部120は、他の装置との間における図示しない通信インターフェースを介した通信を制御する。他の装置には、運転者端末30のほか、図示しない他のサーバ等が含まれ得る。
【0025】
記憶部140は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成される。記憶部140には、車両道路データベース141と、歩行者道路データベース142と、地図データベース143と、規制情報データベース144と、が記憶されている。以降、データベースを単に「DB」とも呼ぶ。
【0026】
車両道路DB141は、車両用の道路ネットワークデータが格納されたデータベースである。歩行者道路DB142は、歩行者用の道路ネットワークデータが格納されたデータベースである。道路ネットワークデータには、交差点の位置や駅等のランドマークの位置を表す「ノード」に関するノード情報と、ノード間をつなぐ道路を表す「リンク」に関するリンク情報と、が含まれる。ノード情報には、ノードの位置情報、ノードの種類、ノードの名称、その他ノードの情報等が含まれる。リンク情報には、リンクの位置情報、移動手段毎のリンクコスト(当該リンクが表す道路の平均移動時間)、リンクの種類、リンクの名称、リンクの状態、リンクの幅、リンクに設けられた道路標識の有無及びその内容、リンクに設けられた道路鋲の有無及びその内容、その他リンクの情報等が含まれる。なお、車両道路DB141及び歩行者道路DB142は「道路データベース」に相当する。地図DB143は、地図画像を表すデータを格納するデータベースである。地図画像を表すデータには、地形、建物、道路の形状等、地図表示のために必要な情報が含まれている。
【0027】
図2は、規制情報DB144の一例を示す図である。規制情報DB144には、道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する規制の内容が予め記憶されている。図2の例では、規制情報DB144には、項番と、規制対象と、法令等種別と、根拠規定と、内容と、罰則と、リンクIDと、が含まれている。項番には、各データ毎に付与された一意な識別番号が記憶されている。規制対象には、当該規制の対象となる車両の種類(自転車、小型原動機付自転車や、遠隔操作型小型車等)が記憶されている。法令等種別には、当該規制について規定している法令(法律、政令、省令)、条例、規則等を示す情報が記憶されている。根拠規定には、法令等種別により特定される法令等の根拠条文を示す情報が記憶されている。内容には、当該規制の内容を表す文字列が記憶されている。罰則には、当該規制に違反した場合に運転者に課される罰則が記憶されている。リンクIDは、当該規制の対象となるリンクID(車両道路DB141、及び、歩行者道路DB142内のリンクID)が1つ以上記憶されている。なお、図2以降において「X」は任意の文字列を意味する。規制情報DB144は、「規制情報記憶部」に相当する。
【0028】
なお、規制情報DB144の態様はあくまで一例であり、任意に変更してよい。例えば、規制情報DB144の一部(例えば、項番、根拠条文、罰則等)は省略してもよい。また、例えば、図示の例では「内容」には、規制の内容を表す文字列が記憶されているが、「内容」は、例えば、以下の(b1)~(b3)に区別して記憶されていてもよい。
(b1)判定部112による判定に適した態様(例えば、プログラムコードの条件文)で規制の内容を表した情報。
(b2)警告部113によるアラート生成に適した態様(例えば、文字列)で規制の内容を表した情報。
(b3)警告部113によるガイド表示生成に適した態様(例えば、文字列及び/または画像)で規制の内容を表した情報。なお、ガイド表示生成に適した態様b3を、さらに、運転者向けの平易な表現としたものと、保護者向けの詳細(または正確)な表現としたものとに区別してもよい。
【0029】
図1に戻り、説明を続ける。運転者端末30は、道路の走行のために運転免許を必要としない車両(例えば自転車)の運転者が利用している情報処理装置である。運転者端末30としては、図1で例示するスマートフォンのほか、自転車に搭載された専用装置、ウェアラブルデバイス、ゲーム機等の任意のデバイスとしてよい。運転者端末30は、CPU310と、通信部320と、ROM/RAM330と、記憶部340と、入出力部350と、現在位置取得部360と、センサ370とを備えており、各部は図示しないバスにより相互に接続されている。
【0030】
CPU310は、ROM330に格納されているコンピュータプログラムをRAM330に展開して実行することにより運転者端末30の各部を制御するほか、制御部311としても機能する。制御部311は、案内装置10と協働して後述の案内処理を実行し、アラート及びガイド表示を出力することで、運転者に対して、注意喚起等を行う。
【0031】
通信部320は、案内装置10など、他の装置との間における、図示しない通信インターフェースを介した通信を制御する。記憶部340は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成される。記憶部340には、後述する案内処理を経て案内装置10から取得されたアラート341と、ガイド情報342とが記憶される(図1:破線枠)。アラート341と、ガイド情報342との詳細は後述する。
【0032】
入出力部350は、運転者端末30と運転者との間の情報の入出力に使用される種々のインターフェースである。入出力部350としては、例えば、入力部としてのタッチパネル、操作ボタン、マイク、出力部としてのタッチパネル、液晶パネル、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)インジケータ等を採用できる。現在位置取得部360は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)やQZSS(Quasi-Zenith Satellite System/準天頂衛星システム)を構成する人工衛星から送信された電波を受信し、運転者端末30の現在位置を表す現在位置情報(緯度および経度)を取得する。
【0033】
センサ370は、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ、LiDAR(Light Detection And Ranging)、カメラ等から選択された1以上のセンサである。センサ370は、後述の案内処理において、センサの種類に応じた検出値を、繰り返し取得する。なお、センサ370としてカメラが使用される場合は、静止画が繰り返し取得されてもよいし、動画が連続的に取得されてもよい。また、センサ370は、(運転者端末30ではなく)運転者が運転する車両に搭載されており、運転者端末30が、無線通信等によって車両に搭載されたセンサ370からの検出値を取得する構成であってもよい。
【0034】
図3は、案内処理の手順を示すフローチャートである。案内処理は、運転者の走行状況を監視し、走行状況が違反走行または危険走行に該当する場合に、運転者に警告する処理である。案内処理は、例えば、運転者端末30にインストールされた所定のアプリケーションの開始等の、任意の契機により開始される。以降の例では、案内処理は、出発地及び目的地を定めないフリー走行時に実行される。しかし、案内処理は、運転者によって定められた出発地から目的地までの経路案内に従った走行時に実行されてもよい。
【0035】
ステップS10において、案内装置10の取得部111は、運転者端末30から、運転者の位置情報と、センサ検出情報とを取得する。ここで、運転者の位置情報は、運転者端末30の現在位置取得部360によって取得された情報である。運転者端末30は、自転車乗車時に運転者が保持しているため、現在位置取得部360により取得された運転者端末30の現在位置を表す位置情報は、運転者(及び運転者が運転する自転車)の現在位置を表す位置情報と同視できる。また、センサ検出情報は、運転者端末30のセンサ370によって検出された情報である。
【0036】
ステップS12において、案内装置10の判定部112は、運転者が現在走行中のリンク(以降「走行中リンク」とも呼ぶ)と、走行速度等を特定する。判定部112は、走行中リンクの特定を、ステップS10で取得した運転者の位置情報と、車両道路DB141または歩行者道路DB142内のリンクあるいはノードの位置情報と、の照合により実施できる。また、判定部112は、走行速度の特定を、ステップS10で取得したセンサ検出情報を用いることで実施できる。なお、判定部112は、走行速度の特定を、ステップS10で取得した運転者の位置情報の継時的変化を用いることで実施してもよい。
【0037】
なお、ステップS12では、走行速度のほかに、走行状況を解析するために有用な種々の情報を特定してよい。種々の情報とは、例えば、次の(c1)~(c3)に示す情報が例示できる。情報c1~c3は、任意の1つ以上が採用されてもよく、例えば情報c1等の説明として例示した項目内の一部分のみが採用されてもよい。以降の例では、判定部112は、走行速度に加えて、情報c1,c2をさらに特定するものとする。
(c1)運転者の状態特定:例えば、ヘルメット着用の有無、傘さし運転の有無、手放し運転の有無、並進運転(他の自転車と並んで走ること)の有無等の、運転者の状態特定。情報c1は、例えば、運転者端末30のカメラ画像の解析により特定できる。
(c2)走行車線の特定:例えば、複数車線を有する道路の場合に、どの車線を走行しているかの特定。情報c2は、例えば、運転者端末30のカメラ画像の解析や、運転者の位置情報と車両道路DB141または歩行者道路DB142との照合により特定できる。
(c3)車両の安定性の特定:例えば、急発進の有無、急ブレーキの有無、ふらつき運転の有無等の、車両の安定性の特定。情報c3は、例えば、ステップS10で取得したセンサ検出情報の継時的変化により特定できる。
【0038】
ステップS14において、案内装置10の判定部112は、ステップS12で特定した走行中リンクの情報を取得する。走行中リンクの情報としては、例えば、次の(d1),(d2)に示す情報が例示できる。情報d1,d2は、いずれか一方のみが採用されてもよく、例えば情報d1等の説明として例示した項目内の一部分のみが採用されてもよい。以降の例では、判定部112は、情報d1,d2の両方を取得するものとする。
(d1)車両道路DB141及び歩行者道路DB142から特定できる情報。例えば、走行中リンクに設けられた道路標識の有無と道路標識の内容、走行中リンクに設けられた道路鋲の有無と道路鋲の内容、走行中リンクのリンク幅。
(d2)路上カメラの画像から特定できる情報。例えば、走行中リンクを確認可能なカメラ画像であって、走行中リンク、及び、走行中リンクに存在する他の車両や歩行者が写った画像。
【0039】
ステップS16において、案内装置10の判定部112は、走行中リンクに対応する規制情報を取得する。具体的には、判定部112は、走行中リンクのリンクIDをキーとして規制情報DB144を検索し、走行中リンクに対して設けられた規制情報(規制情報DB144内の情報)を取得する。
【0040】
ステップS20において、案内装置10の判定部112は、運転者の車両の走行状況を、次の手順(e1),(e2)によって解析する。
(e1)判定部112は、ステップS12で取得した走行速度等(走行速度、情報c1,c2,c3)から、運転者による車両の走行状況が、ステップS16で取得した規制に違反していないかを判定する。車両の走行状況が規制に違反している場合、判定部112は、「現在の走行状況は違反走行に該当する」と判定する。
(e2)判定部112は、ステップS12で取得した走行速度等(走行速度、情報c1,c2,c3)から、運転者による車両の走行状況が、ステップS14で取得した走行中リンクの情報d1,d2に照らして、車両の周囲または車両の運転者に危険を及ぼす可能性があるか否かを判定する。危険を及ぼす可能性がある場合、判定部112は、「現在の走行状況は危険走行に該当する」と判定する。
【0041】
ステップS22において、案内装置10の判定部112は、現在の走行状況が、違反走行または危険走行に該当するか否かを判定する。現在の走行状況が違反走行に該当せず、危険走行にも該当しない場合(ステップS22:NO)、判定部112は、処理をステップS10に遷移させ、走行状況の監視を継続する。一方、現在の走行状況が違反走行と、危険走行との少なくともいずれか一方に該当する場合(ステップS22:YES)、判定部112は、処理をステップS30に遷移させる。
【0042】
ステップS30において、案内装置10の警告部113は、ステップS20で判定された走行状況(違反走行または危険走行)に応じたアラートと、ガイド情報とを生成し、運転者端末30に送信する。アラートとガイド情報の詳細は後述する。
【0043】
ステップS32において、運転者端末30の制御部311は、案内装置10から受信したアラートをアラート341として記憶させると共に、案内装置10から受信したアラートを入出力部350から音声出力する。ステップS34において、運転者端末30の制御部311は、案内装置10から受信したガイド情報をガイド情報342として記憶させると共に、本サービスを起動するためのアプリケーションのアイコンに対して、ガイド情報用バッジを表示させる。ガイド情報用バッジとは、「ガイド情報が存在する」旨を利用者に知らせるための通知表示である。
【0044】
その後、運転者端末30の制御部311は、処理をステップS10に遷移させ、走行状況の監視を継続する。なお、ステップS10~S34の繰り返しによって、複数のアラート及びガイド情報が生成された場合、運転者端末30の記憶部340には、当該複数のアラート及びガイド情報に対応するアラート341およびガイド情報342がそれぞれ記憶される。
【0045】
図4は、アラートの一例を示す説明図である。図4では、紙面上側に、運転者がアプリケーションを起動してからの時間経過を表す矢印を示し、紙面下側に、各時刻において出力されるアラートの内容を表す吹き出しを示す。図4の例では、例えば時刻t1に違反走行が検出され、時刻t2に危険走行が検出され、時刻t3に違反走行が検出された場合を例示している。
【0046】
図3のステップS30において、案内装置10の警告部113は、違反走行や危険走行が検出される都度、以下の(f1),(f2)に示す2つのアラートを生成する(図4)。
(f1)アラート1:運転者にリアルタイムに注意喚起するためのアラート。アラート1は、「違反走行(危険走行)しています!」のように、違反走行(または危険走行)している旨を通知する内容である。
(f2)アラート2:運転者に車両の走行状況の改善を促すためのアラート。アラート2は、「左側に自転車道があります。自転車道を走ってください。」のように、車両の走行状況が違反走行または危険走行に該当しなくなるために、運転者が取るべき対応を示す内容である。
【0047】
図3のステップS32において、運転者端末30の制御部311は、案内装置10から取得したアラート1を遅滞なく入出力部350から音声出力する。アラート1の出力から所定時間経過後に、運転者端末30の制御部311は、案内装置10から取得したアラート2を入出力部350から音声出力する。なお、この所定時間は、例えば数秒程度であって、任意に決定できる。なお、所定時間は、運転者によって設定変更可能に構成されていてもよい。図3のステップS32において音声出力されるアラート1及びアラート2は、運転者に対する「警告」に相当する。なお、アラート1と、アラート2のうちの少なくとも一方は、省略してもよい。
【0048】
図5は、ガイド表示の一例を示す図である。図5(A)は、ガイド表示一覧画面W1の例を示す。図5(B)は、ガイド表示詳細画面W2の一例を示す。図5(C)は、ボタン押下後のガイド表示詳細画面W2´の一例を示す。図5(A)~(C)に示す画面は、図3のステップS34において記憶部340に記憶されたガイド情報342を用いて、運転者端末30の制御部311によって表示される画面である。なお、ガイド表示詳細画面W2,W2´は「ガイド表示」に相当する。
【0049】
運転者が車両の走行終了後に(例えば自宅等で)、図3のステップS34により表示されるガイド情報用バッジをタップした場合について説明する。この場合、運転者端末30の制御部311は、図5(A)に示すガイド表示一覧画面W1を、入出力部350に表示させる。ガイド表示一覧画面W1には、日付表示領域A1と、一覧表示領域A2と、が含まれている。日付表示領域A1には、いつの履歴であるかを特定するための日付(XXXX/XX/XX)が表示されている。一覧表示領域A2には、当該日付において検出された違反走行または危険走行に対応するガイドの一覧が表示されている。図5(A)の例では、一覧表示領域A2には、図4の時刻t1に検出された違反走行に対応するガイド1と、時刻t2に検出された危険走行に対応するガイド2と、時刻t3に検出された違反走行に対応するガイド3と、が含まれている。
【0050】
ガイド表示一覧画面W1において、運転者が、詳細の閲覧を希望する1つのガイド(例えばガイド1)をタップした場合、運転者端末30の制御部311は、図5(B)に示すガイド表示詳細画面W2を、入出力部350に表示させる。ガイド表示詳細画面W2には、日時表示B1と、場所表示B2と、ポイント表示B3と、保護者向け表示B4と、が含まれている。日時表示B1には、違反走行(または危険走行)が検出された日付及び時刻が表示されている。場所表示B2には、違反走行(または危険走行)が検出された場所を表す住所や、当該場所を特定可能な目印が表示されている。目印とは、例えば「XX小学校前」等である。
【0051】
ポイント表示B3は、規制の内容を平易に解説した画像である。具体的には、ポイント表示B3には、違反走行と判定された根拠となる規制の内容や、危険走行と判定された理由についての解説と、運転者が取るべき対応の解説とが含まれている。ポイント表示B3は、保護者向け表示B4と比較して、若年齢の運転者が理解しやすいよう、平易な表現とされている。
【0052】
保護者向け表示B4は、規制の内容を詳細に解説した画像である。図示の例では、保護者向け表示B4は、初期状態において図5(B)に示すように折り畳み表示されている。保護者向け表示B4は、タップにより図5(C)に示すように展開されて、内容が確認可能となる。保護者向け表示B4には、違反走行と判定された根拠となる規制の内容や、危険走行と判定された理由についての解説と、運転者が取るべき対応の解説とが含まれている。保護者向け表示B4は、ポイント表示B3と比較して、詳細、かつ、規制の内容に正確な表現とされている。
【0053】
以上のように、第1実施形態の案内装置10によれば、警告部113は、車両の走行状況が、規制に対して違反している違反走行に該当する場合、または、規制に対して違反はしていないものの車両の周囲または車両の運転者に危険を及ぼす可能性がある危険走行に該当する場合に、運転者に対して警告させる(図3:ステップS32、図4)。このため、道路の走行のために運転免許を必要としない車両(例えば、自転車、小型原動機付自転車や、遠隔操作型小型車等)の運転者に対して、自身の走行が、違反走行や、危険走行に該当している旨を認識させて、運転者の注意を促すことができる。
【0054】
また、第1実施形態の案内装置10によれば、警告部113は、違反走行または危険走行が検出された際に、まず、違反走行または危険走行に該当している旨を音声により出力させる(図4:アラート1)。このため、違反走行または危険走行が検出されたその時にリアルタイムに注意喚起することができ、「どのような行為が違反走行または危険走行であったか」を運転者に認識しやすくできる。また、警告部113は、その後、車両の走行状況が違反走行または危険走行に該当しなくなるために、運転者が取るべき対応を音声により出力させる(図4:アラート2)。このため、「どうすれば違反走行または危険走行に該当しなくなるか」を運転者に教示でき、運転者による車両の走行状況の改善を促すことができる。さらに、警告部113は、これらの注意喚起(アラート1)と、車両の走行状況の改善促進(アラート2)とを介して、運転者に対して「好ましくない走行状況と、好ましい走行状況」を教示できるため、運転者に対して、自身の経験を通じて(換言すれば、運転者が車両を運転する現場において)交通ルールを学習させることができる。さらに警告部は、これら案内を音声により行うため、わき見運転を抑制できる。
【0055】
さらに、第1実施形態の案内装置10によれば、警告部113は、違反走行または危険走行が検出された際、さらに、運転者が車両の走行終了後に確認するためのガイド表示(ガイド表示詳細画面W2,W2´)であって、規制の内容を解説した画像B3,B4を含むガイド表示(ガイド表示詳細画面W2,W2´)を出力させるためのガイド情報を生成する。このため、運転者は、車両の走行終了後にガイド表示(ガイド表示詳細画面W2,W2´)を確認することによって、「なぜ警告されたか」の詳細な理由を知ることができる。この結果、運転者に対して、自身の経験を通じて、より深く交通ルールを学習させることができる。以上のような性質から、本実施形態の案内装置10は「教育支援装置」とも呼ぶことができ、案内システム1は「教育支援システム」と呼ぶことができる。
【0056】
さらに、第1実施形態の案内装置10によれば、判定部112は、車両が走行している走行中リンクに対する規制の内容に加えてさらに、車両の走行速度、走行中リンクに設けられた道路標識、走行中リンクに設けられた道路鋲、走行中リンクのリンク幅、といった多種多様な条件(情報d1)を利用して、車両の走行状況をより詳細に判定できる。この結果、判定部112による違反走行または危険走行の検出精度を向上させることができるため、案内装置10の有用性を向上できる。
【0057】
さらに、第1実施形態の案内装置10によれば、判定部112は、走行中リンクに対する規制の内容に加えてさらに、他の車両や歩行者の状況(情報d2)を用いて、車両の走行状況を判定するため、車両の走行状況をより詳細に判定できる。この結果、判定部112による違反走行または危険走行の検出精度を向上させることができるため、案内装置10の有用性を向上できる。
【0058】
さらに、第1実施形態の案内装置10によれば、車両には、自転車に加えてさらに、特定小型原動機付自転車と、遠隔操作型小型車と、の少なくともいずれか一方が含まれるため、道路の走行のために運転免許を必要としない多様な車両に対して、本技術を適用できる。
【0059】
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態の案内システム1Aの概略構成を示す図である。第2実施形態の案内システム1Aは、第1実施形態で説明した構成において、案内装置10に代えて案内装置10Aを備えている。案内装置10Aは、判定部112に代えて判定部112Aを備え、記憶部140に代えて記憶部140Aを備えている。記憶部140Aは、第1実施形態で説明した車両道路DB141、歩行者道路DB142、及び地図DB143を有していない。
【0060】
図6に示すように、車両道路DB141、歩行者道路DB142、及び地図DB143は、インターネットINTに接続されたクラウドサーバ上(案内装置10Aとは異なる他のサーバ)に記憶されている。車両道路DB141、歩行者道路DB142、及び地図DB143は、同一のサーバ上に記憶されていてもよく、異なるサーバ上に記憶されていてもよい。案内装置10Aの判定部112Aは、これらDBを保持するサーバと通信して、車両道路DB141、歩行者道路DB142、及び地図DB143から情報を取得しつつ、図3で説明した処理を実行する。
【0061】
このように、案内システム1Aの構成は種々の変更が可能であり、複数のサーバ装置が協働することによって、図3で説明した処理が実行されてもよい。図6の例では、車両道路DB141等が他のサーバ上にある場合を例示したが、他のDB(規制情報DB144)が他のサーバ上にあってもよく、他の機能部(取得部111、判定部112、警告部113)が他のサーバ上にあってもよい。このような第2実施形態の案内システム1Aにおいても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0062】
C.第3実施形態:
図7は、第3実施形態の案内システム1Bの概略構成を示す図である。第3実施形態の案内システム1Bは、第1実施形態で説明した構成において、案内装置10を備えておらず、運転者端末30に代えて運転者端末30Bを備えている。運転者端末30Bは、第1実施形態で説明した構成において、CPU310に代えてCPU310Bを備え、記憶部340に代えて記憶部340Bを備えている。
【0063】
CPU310Bは、案内装置10の取得部111と同様の機能を有する取得部312と、案内装置10の判定部112と同様の機能を有する判定部313と、案内装置10の警告部113と同様の機能を有する警告部314と、をさらに備える。記憶部340Bは、案内装置10の車両道路DB141と同様のデータを記憶する車両道路DB343と、案内装置10の歩行者道路DB142と同様のデータを記憶する歩行者道路DB344と、案内装置10の地図DB143と同様のデータを記憶する地図DB345と、案内装置10の規制情報DB144と同様のデータを記憶する規制情報DB346と、をさらに備える。第3実施形態では、運転者端末30Bが、案内装置10と通信することなく図3で説明した処理を実行できる。この場合、運転者端末30Bは「案内装置」に相当する。
【0064】
このように、案内システム1Bの構成は種々の変更が可能であり、運転者端末30Bのみで図3で説明した処理を実行可能に構成してもよい。図7の例では、処理に必要なデータの全てを運転者端末30Bが保持することとしたが、第2実施形態のように、車両道路DB343、歩行者道路DB344、地図DB345、規制情報DB346のうちの少なくとも一部は、他のサーバ上にあってもよい。このような第3実施形態の案内システム1Bにおいても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0065】
D.変形例:
上記実施形態において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。その他、以下のような変形も可能である。
【0066】
・変形例1:
上記実施形態では、案内装置10,10Aの構成を例示した。しかし、上記実施形態における案内装置の構成はあくまで一例であり、任意の態様を採用することができる。例えば、案内装置は、その構成要素の一部を省略または変更すること、構成要素を付加することができる。案内装置が備える各DBのうちの少なくとも一部は、他のサーバや他の内部/外部記憶装置に記憶されていてもよい。上述した各DBの構成についても、任意に変更することが可能であり、項目の追加/削除/変更や、データの格納形式の変更等が可能である。ここで、データの格納形式の変更は、テーブルの分割/変更や、リレーションの持たせ方の変更を含む。
【0067】
・変形例2:
上記実施形態では、案内処理(図3)について、処理手順の一例を挙げて説明した。しかし、これら処理手順は種々の変更が可能であり、各ステップにおける処理内容の追加/省略/変更をしてもよく、ステップの実行順序を変更してもよい。
【0068】
例えば、図3の例では、違反走行に該当するか否かの判定及び警告と、危険走行に該当するか否かの判定及び警告と、の両方を実施した。しかし、違反走行と、危険走行とのいずれか一方の判定及び警告を行ってもよい。違反走行に該当するか否かの判定及び警告のみを行う場合、ステップS20における手順e2を省略すればよく、危険走行に該当するか否かの判定及び警告のみを行う場合、ステップS20における手順e1を省略すればよい。この場合、規制情報DB144も省略してよい。
【0069】
例えば、図3の例では、アラートの生成及び出力と、ガイド情報の生成及び出力と、の両方を行った。しかし、これらのいずれか一方は省略してもよい。例えば、案内装置10,10A,及び運転者端末30Bは、アラートの生成及び出力のみを行って、ガイド情報の生成及び出力を省略してもよい。
【0070】
例えば、運転者の情報(年齢、性別、身長、体重、車両の使用経験有無、経験年数等)を予め登録可能な構成とした上で、案内装置10,10A,及び運転者端末30Bは、次の(g1)~(g3)に示す少なくともいずれかの処理を行ってもよい。
(g1)運転者の情報を加味して、違反走行に該当するか否か、及び、危険走行に該当するか否かを判定する。例えば、特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード)の場合は、使用可能な年齢に制限があるため、運転者の情報を利用して、年齢制限違反か否かを判断できる。また、例えば、車両の使用経験有無や経験年数を加味して、危険走行に該当するか否かの判断をしてもよい。
(g2)運転者の情報を加味して、アラートの内容、及び/または、アラートの音声出力タイミングを変更する。例えば、運転者の年齢が若ければ若いほど、アラートを平易な内容にし、出力タイミングを標準と比較して遅延させてもよい。
(g3)運転者の情報を加味して、ガイド情報の内容を変更する。例えば、運転者の年齢に応じて、漢字の使用有無を変更したり、読み仮名を付してもよい。
【0071】
例えば、案内装置10,10A,及び運転者端末30Bには、危険走行に該当するか否かを判定するためのDBが予め準備されており、ステップS20の手順e2では、当該DBを利用して危険走行に該当するか否かの判定がされてもよい。
【0072】
例えば、図5に示したガイド表示一覧画面W1と、ガイド表示詳細画面W2,W2´との画面構成はあくまで一例であり、種々変更してよい。例えば、ガイド表示一覧画面W1は、違反走行(または危険走行)が検出された地点を、地図上にプロット(目印を付した)した態様であってもよい。この場合、目印タップにより、ガイド表示詳細画面W2に遷移すればよい。例えば、ガイド表示詳細画面W2,W2´において、日時表示B1、場所表示B2、ポイント表示B3、保護者向け表示B4のうちの少なくとも一部は、省略してよい。
【0073】
・変形例3:
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0074】
本発明は、以下の形態としても実現することが可能である。
[適用例1]
案内装置であって、
道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する、規制の内容を記憶する規制情報記憶部と、
前記車両の走行状況を判定する判定部であって、前記車両の走行状況が、
前記規制に対して違反している違反走行と、
前記規制に対して違反はしていないものの、前記車両の周囲または前記車両の運転者に危険を及ぼす可能性がある危険走行と、
の少なくともいずれか一方に該当するか否かを判定する判定部と、
前記車両の走行状況が、前記違反走行または前記危険走行に該当する場合に、前記運転者に対して警告させる警告部と、
を備える、案内装置。
[適用例2]
適用例1に記載の案内装置であって、
前記警告部は、前記違反走行または前記危険走行が検出された際に、
まず、前記違反走行または前記危険走行に該当している旨を音声により出力させ、
その後、前記車両の走行状況が前記違反走行または前記危険走行に該当しなくなるために、前記運転者が取るべき対応を音声により出力させる、案内装置。
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の案内装置であって、
前記警告部は、前記違反走行または前記危険走行が検出された際、さらに、前記運転者が前記車両の走行終了後に確認するためのガイド表示であって、前記規制の内容を解説した画像を含むガイド表示を出力させるためのガイド情報を生成する、案内装置。
[適用例4]
適用例1から適用例3のいずれか一項に記載の案内装置であって、
前記判定部は、
前記車両が走行している走行中リンクを特定し、
前記走行中リンクに対する前記規制の内容に加えてさらに、前記車両の走行速度と、前記走行中リンクに設けられた道路標識と、前記走行中リンクに設けられた道路鋲と、前記走行中リンクのリンク幅と、の少なくともいずれか1つ以上を用いて、前記車両の走行状況を判定する、案内装置。
[適用例5]
適用例1から適用例4のいずれか一項に記載の案内装置であって、
前記判定部は、
さらに、前記走行中リンクを確認可能な路上カメラの画像から、前記走行中リンクに存在する他の車両や歩行者の状況を取得し、
前記走行中リンクに対する前記規制の内容に加えてさらに、前記他の車両や歩行者の状況を用いて、前記車両の走行状況を判定する、案内装置。
[適用例6]
適用例1から適用例5のいずれか一項に記載の案内装置であって、
前記車両は、自転車に加えてさらに、
特定小型原動機付自転車と、
遠隔操作型小型車と、の少なくともいずれか一方が含まれる、案内装置。
[適用例7]
案内方法であって、情報処理装置が、
道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する、規制の内容を参照する工程と、
前記車両の走行状況を判定する工程であって、前記車両の走行状況が、
前記規制に対して違反している違反走行と、
前記規制に対して違反はしていないものの、前記車両の周囲または前記車両の運転者に危険を及ぼす可能性がある危険走行と、
の少なくともいずれか一方に該当するか否かを判定する工程と、
前記車両の走行状況が、前記違反走行または前記危険走行に該当する場合に、前記運転者に対して警告させる工程と、
を備える、案内方法。
[適用例8]
コンピュータプログラムであって、情報処理装置に、
道路の走行のために運転免許を必要としない車両に対する、規制の内容を参照するステップと、
前記車両の走行状況を判定するステップであって、前記車両の走行状況が、
前記規制に対して違反している違反走行と、
前記規制に対して違反はしていないものの、前記車両の周囲または前記車両の運転者に危険を及ぼす可能性がある危険走行と、
の少なくともいずれか一方に該当するか否かを判定するステップと、
前記車両の走行状況が、前記違反走行または前記危険走行に該当する場合に、前記運転者に対して警告させるステップと、
を実行させる、コンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0075】
1,1A,1B…案内システム
10,10A…案内装置
30,30B…運転者端末
110…CPU
111…取得部
112,112A…判定部
113…警告部
120…通信部
130…ROM/RAM
140,140A…記憶部
141…車両道路データベース
142…歩行者道路データベース
143…地図データベース
144…規制情報データベース
310,310B…CPU
311…制御部
312…取得部
313…判定部
314…警告部
320…通信部
330…ROM/RAM
340,340B…記憶部
341…アラート
342…ガイド情報
343…車両道路DB
344…歩行者道路DB
345…地図DB
346…規制情報DB
350…入出力部
360…現在位置取得部
370…センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7