(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043424
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240322BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H01L29/78 652S
H01L29/78 652F
H01L29/78 653A
H01L29/78 652M
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148611
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 文悟
(72)【発明者】
【氏名】安原 淳
(57)【要約】
【課題】本発明は、高耐圧化可能で、オン抵抗も低減される半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、第1導電型の第1半導体領域2と、第1半導体領域上に設けられた第2導電型の第2半導体領域21と、第2半導体領域上に設けられた第1導電型の第3半導体領域22と、第3半導体領域から第2半導体領域を貫通し、第1半導体領域に達する第1の溝3内に第1の絶縁膜4を介して第2半導体領域上に設けられた第1の主電極11と、第1の溝よりも深く第1半導体領域に達する第2の溝31内に第2の絶縁膜41を介して設けられた複数のフィールド電極14と、を備える。上方から見て、第1の主電極はフィールド電極間に配置され、フィールド電極は互い違いに配置され、互い違いに隣り合うフィールド電極が互いにフィールド電極の並び方向から見て一部が重なり合うように配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域上に設けられた第2導電型の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域上に設けられた第1導電型の第3半導体領域と、
前記第3半導体領域から前記第2半導体領域を貫通し、前記第1半導体領域に達する第1の溝内に第1の絶縁膜を介して前記第2半導体領域上に設けられた第1の主電極と、
前記第1の溝よりも深く前記第1半導体領域に達する第2の溝内に第2の絶縁膜を介して設けられた複数のフィールド電極と、
を備え、
上方から見て、前記第1の主電極は前記フィールド電極間に配置され、前記フィールド電極は互い違いに配置され、互い違いに隣り合う前記フィールド電極が互いに前記フィールド電極の並び方向から見て一部が重なり合うように配置されている、半導体装置。
【請求項2】
上方から見て、
前記第1の溝は、略T字構造を備え、
前記略T字構造の根元は前記互い違いに隣り合うフィールド電極と対向している、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
上方から見て、
前記第2の溝と前記フィールド電極は、交差部を含む略十字構造を備える、
請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
上方から見て、
前記第2の溝と前記フィールド電極は、略十字構造の交差部に曲率を有する構造を備える、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3半導体領域と前記フィールド電極間は、電気的に短絡されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3半導体領域と前記フィールド電極間は、抵抗を介して接続されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
上方から見て、
前記第1の溝は、基板のオリフラ面に対し、0度方向または90度方向に延伸し、
0度方向に延伸している部分と90度方向に延伸している部分とが接続した角部が前記第2の溝の前記略十字構造の交差部と対向している、
請求項3に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上方から平面的に見て、オン抵抗を向上させるためにゲート電極パターンを交差するように配置してチャネル部を増やし、ゲート電極パターンを挟むように半導体素子の耐圧を向上させるフィールド電極がドット状に形成されている半導体装置が知られている。また、フィールド電極に挟まれたゲート電極パターンの交差部にボディ領域の不純物濃度よりも薄い不純物濃度の領域を設けることや上方から見た時のフィールド電極の平面形状を工夫することでピンチオフしやすくする方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/155943号公報
【特許文献2】特開2021-40105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1で示すようなゲート電極パターンの交差部にボディ領域よりも薄い不純物濃度の領域を形成すると、チャネル抵抗が増大し、オン抵抗が上昇する。また、上記特許文献2で示すような複雑な形状のフィールド電極では、フィールド電極形成時の製造ばらつきによる特性のばらつきが大きくなってしまう。
【0005】
上記問題点に鑑み、本発明は、高耐圧化が可能で、よりオン抵抗も低減することが可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、半導体装置は、第1導電型の第1半導体領域と、第1半導体領域上に設けられた第2導電型の第2半導体領域と、第2半導体領域上に設けられた第1導電型の第3半導体領域と、第3半導体領域から第2半導体領域を貫通し、第1半導体領域に達する第1の溝内に第1の絶縁膜を介して第2半導体領域上に設けられた第1の主電極と、第1の溝よりも深く第1半導体領域に達する第2の溝内に第2の絶縁膜を介して設けられた複数のフィールド電極と、を備える。上方から見て、第1の主電極はフィールド電極間に配置され、フィールド電極は互い違いに配置され、互い違いに隣り合うフィールド電極が互いにフィールド電極の並び方向から見て一部が重なり合うように配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高耐圧化可能で、オン抵抗も低減する半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の構造を示す模式的な断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【
図3】第1の実施形態の変型例に係る半導体装置を示す模式的な断面図である。
【
図4】第2の実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【
図5】第3の実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【
図6】第1~第3の実施形態に係る半導体装置の基板に対するゲート電極の配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部の長さの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0010】
また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置1の模式的な断面図である。
図2は、
図1の平面図である。なお、
図1は、
図2のX1-X1線に沿う断面図である。以下の説明において、直交座標系の一例であるXYZ座標系を用いる。すなわち、半導体装置1を構成する基板の表面と平行な平面をXY平面とし、XY平面と直交する方向をZ方向とする。また、X軸とY軸は、XY平面内における直交する2方向とする。
【0012】
第1の実施形態に係る半導体装置1は、
図1に示すように、第1導電型の第1半導体領域の一例であるドリフト領域2と、第1導電型と異なる第2導電型の第2半導体領域の一例であるボディ領域21と、第1導電型の第3半導体領域の一例であるソース領域22と、を備える。
【0013】
また、半導体装置1は、第1の溝3内に設けられた第1の主電極の一例であるゲート電極11と、第2の溝31内に設けられた複数のフィールド電極14とを備える。なお、半導体装置1は、第1導電型の第4半導体領域の一例であるドレイン領域23、第2の主電極の一例であるソース電極12、第3の主電極の一例であるドレイン電極13、第1の絶縁膜4の一例であるゲート絶縁膜4、第2の絶縁膜の一例であるフィールド絶縁膜41、第1導電体の一例であるゲート配線5、第2導電体の一例であるソース配線51、第3導電体の一例であるドレイン配線52、及び層間絶縁膜50を備えていてもよい。
【0014】
第1導電型と第2導電型とは、互いに反対の導電型である。すなわち、第1導電型がn型であれば、第2導電型はp型であり、第1導電型がp型であれば、第2導電型はn型である。以下では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合を説明する。
【0015】
半導体装置1は、ドリフト領域2と、ボディ領域21と、ソース領域22と、ドレイン領域23とを有する半導体基板を備える。
【0016】
半導体基板の第1主面2aは、ソース領域22と接する上面である。また、半導体基板の第2主面2bは、ドレイン領域23と接する下面である。
【0017】
ドリフト領域2は、ボディ領域21とドレイン領域23との間に設けられている。
【0018】
ボディ領域21は、第1主面2a側のドリフト領域2上に設けられている。
【0019】
ソース領域22は、ボディ領域21上に設けられている。
【0020】
第1の溝3は、ソース領域22からボディ領域21を貫通して、ドリフト領域2に到達する。
【0021】
ゲート絶縁膜4は、第1の溝3内に形成している。
【0022】
ゲート電極11は、第1の溝3内にゲート絶縁膜4を介して、ボディ領域21上に設けられている。
【0023】
第2の溝31は、ソース領域22からボディ領域21を貫通して、ドリフト領域2に到達する。第2の溝31の深さ(第2の溝31の底の位置)D2は、第1の溝3の深さ(第1の溝3の底の位置)D1よりも深い。
【0024】
フィールド絶縁膜41は、第2の溝31内に形成している。第2の溝31とフィールド電極14の形状が略同形状となるよう、第2の溝31の側面のフィールド絶縁膜41は同じ深さにおいて略同じ厚みとなっている。フィールド絶縁膜41は、例えば、ゲート絶縁膜4より絶縁膜の厚さが厚くてもよい。
【0025】
フィールド電極14は、第2の溝31内にフィールド絶縁膜41を介して設けられている。
【0026】
ドレイン領域23は、第2主面2b側のドリフト領域2上に設けられている。
【0027】
ソース電極12は、ソース領域22及びボディ領域21と電気的に接して設けられている。具体的には、ソース電極12は、
図1に示すように、例えば、ソース領域22を貫通して設けてもよい。
【0028】
ドレイン電極13は、ドレイン領域23上に設けられている。
【0029】
ゲート配線5は、第1主面2a側の半導体基板上に設けられている。
【0030】
ソース配線51は、第1主面2a側の半導体基板上に設けられている。
【0031】
ドレイン配線52は、第2主面2b側の半導体基板上に設けられている。
【0032】
層間絶縁膜50は、例えば、ソース領域22、ゲート電極11、及びフィールド電極14を覆うように設けられている。
【0033】
図2に示すように、上方からみて、ゲート電極11は、フィールド電極14間に配置されている。
【0034】
第1の溝3は、上方からみて、Y方向において第2の溝31にぶつかる手前で二又に分かれて略T字構造を備えている。また、上方からみて、第2の溝31のY方向の両端側には一方の略T字構造F1と一方の略T字構造F1とは逆向きの他方の略T字構造F2が設けられ、Y方向に隣り合う第2の溝31間の一方の略T字構造F1と他方の略T字構造F2とがX方向において交互に接続されている。
【0035】
第2の溝31は、上方からみて、互い違いに配置されている。そして、フィールド電極14は、上方からみて、互い違いに配置されている。具体的には、
図2に示すように、フィールド電極14は、例えば、X方向並びにY方向において互い違いに配置されている。
【0036】
フィールド電極14は、上方からみて、互い違いに隣り合うフィールド電極14が互いにフィールド電極14の並び方向(ここではY方向)から見て一部が重なり合うように配置されている。具体的には、フィールド電極14の第1端(X方向に最も広がった個所)E1のY方向の延長線は、例えば、隣り合うフィールド電極と一部E2が重なり合う(ぶつかる)ように配置されている。すなわち、Y方向において、フィールド電極14は、ゲート電極11を介して隣り合うフィールド電極14と一部重なり合うように配置されている。
【0037】
フィールド電極14は、上方からみて、略長方形構造を備える。
【0038】
図1に示すように、ゲート電極11は、ゲート配線5と電気的に接続している。
【0039】
ソース電極12は、ソース領域22及びボディ領域21と電気的に接続している。また、ソース電極12は、ソース配線51と電気的に接続している。
【0040】
ドレイン電極13は、ドレイン領域23と電気的に接続している。また、ドレイン電極13は、ドレイン配線52と電気的に接続している。
【0041】
なお、フィールド電極14は、図示していないが、ソース配線51と電気的に接続してもよい。すなわち、ソース領域22とフィールド電極間は、電気的に短絡してもよい。
【0042】
以上に説明したように、
図1及び
図2に示した半導体装置では、上方からみて、フィールド電極間に第1の溝を有するトレンチMOSセルを設け、フィールド電極14を互い違いに配置し、互い違いに隣り合うフィールド電極14が互いにフィールド電極14の並び方向から見て一部が重なり合うように配置されていることで、フィールド電極14間の半導体領域における空乏層がより広がり、耐圧を向上することができる。
【0043】
また、
図1及び
図2に示した半導体装置では、上方からみて、フィールド電極14間に第1の溝を有するトレンチMOSセルを設け、フィールド電極を互い違いに配置し、第1の溝3がY方向において第2の溝31にぶつかる手前で交差する略T字構造部分F1,F2となっており、互い違いに隣り合うフィールド電極14が第1の溝3の略T字構造部分F1,F2の根元とが対向している。そして、上方から見て、第1の溝3と第2の溝31との距離をできるだけ等しくするため、第1の溝3の側面は第2の溝31の側面と略相似のレイアウトが形成されている。さらに、ゲート電極11を介して隣り合うフィールド電極14が互いにフィールド電極14の並び方向から見て一部が重なり合うように配置されている。これにより、フィールド電極間の領域で空乏層がより広がり、より耐圧を向上することができる。
【0044】
また、
図1及び
図2に示した半導体装置では、上記のフィールド電極の配置にすることで、第1の溝の交差する箇所において、不純物濃度によって耐圧を向上させなくてもよいため、高耐圧化可能で、オン抵抗も低減することができる。
【0045】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態の変形例に係る半導体装置1は、
図3に示すように、第1の実施形態に係る半導体装置1に対し、抵抗60をさらに備える。すなわち、第1の実施形態の変形例は、フィールド電極14が抵抗60を介してソース配線51に電気的に接続している。その他の構成については、
図1に示す第1の実施形態と同様である。
【0046】
フィールド電極14は、抵抗60を介して、ソース配線51と電気的に接続している。すなわち、ソース領域22とフィールド電極14間は、抵抗60を介して接続されている。
【0047】
図3に示した半導体装置によれば、抵抗を備えることで、ソフトリカバリ―となって、サージ電圧を抑制することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る半導体装置1の平面図である。
【0049】
第2の実施形態に係る半導体装置1のフィールド電極14Aは、
図4に示すように、上方から見て、第1の実施形態に係る半導体装置1のフィールド電極14が長方形の構造を備えるのに対し、略十字構造を備える。また、上方から見て第2の溝31Aの形状も略十字形状となるよう、第2の溝31Aの側面のフィールド絶縁膜41は同じ深さにおいて略同じ厚みとなっている。また、上方からみた第1の溝3Aとゲート電極11Aのレイアウトが異なる。その他の構成については、
図1に示す第1の実施形態と同様である。なお、
図3の第2の溝31Aとフィールド絶縁膜41のそれぞれにおいて、十字部分の交差部分G3からX方向に延びる長さとY方向に延びる長さが同じでもよいが、X方向に延びる長さまたはY方向に延びる長さの何れか一方の長さを他方の長さより長くなるように形成してもよい。
【0050】
フィールド電極14Aは、上方から見て、互い違いに配置されている。具体的には、
図4に示すように、フィールド電極14Aは、例えば、X方向並びにY方向において互い違いに配置されている。
【0051】
フィールド電極14Aは、上方からみて、互い違いに隣り合うフィールド電極14Aが互いにフィールド電極14Aの並び方向(ここではY方向)から見て一部が重なり合うように配置されている。具体的には、フィールド電極14Aのある点E3(ここでは、フィールド電極14Aの十字部分の右側部)は、例えば、隣り合うフィールド電極14Aの第4端E4(ここでは、X方向に最も広がった個所であるフィールド電極14Aの十字部分の左側部)とY方向からみて一部が重なり合うように配置されている。すなわち、Y方向において、フィールド電極14Aは、ゲート電極11Aを介して隣り合うフィールド電極14Aと一部重なり合うように配置されている。そして、フィールド電極14Aの十字部分のY方向に最も広がった部分G2と第1の溝3Aの略T字構造部分G1が対向するように配置されている。そして、フィールド電極14Aの十字部分の交差部分G3と、第1の溝3AのX方向に延びて第1の溝3AのY方向に延びる角部G4が対向している。また、上方から見て、第1の溝3Aと第2の溝31Aとの距離をできるだけ等しくするため、第1の溝3Aの側面は第2の溝31Aの側面と略相似のレイアウトが形成されている。なお、
図4において、隣り合うフィールド電極14AがY方向からみて一部が重なり合うように配置されているが、隣り合うフィールド電極14AがY方向だけではなくX方向からみても一部が重なり合うように配置されていてもよい。
【0052】
以上に説明したように、
図4に示した半導体装置では、上方からみて、フィールド電極14A間に第1の溝3Aを有するトレンチMOSセルを設け、フィールド電極14Aを互い違いに配置し、互い違いに隣り合うフィールド電極14Aが互いにフィールド電極14Aの並び方向から見て一部が重なり合うように配置されていることで、フィールド電極14A間の領域で空乏層がより広がり、耐圧を向上することができる。
【0053】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る半導体装置1の第2の溝31Bとフィールド電極14Bは、
図5に示すように、上方からみて、第2の実施形態に係る半導体装置1の第2の溝31Aとフィールド電極14Aに対し、十字部分の交差部分に曲率の部分Rを有する構造を備える。その他の構成については、
図4に示す第2の実施形態と同様である。
【0054】
フィールド電極14Bは、上方からみて、互い違いに配置されている。具体的には、
図5に示すように、フィールド電極14Bは、例えば、X方向並びにY方向において互い違いに配置されている。
【0055】
フィールド電極14Bは、上方からみて、互い違いに隣り合うフィールド電極14Bが互いにフィールド電極14Bの並び方向(ここではY方向)から見て一部が重なり合うように配置されている。具体的には、フィールド電極14Bのある点E5は、例えば、隣り合うフィールド電極14Bの第6端(X方向に最も広がった個所である点)E6とY方向からみて一部が重なり合うように配置されている。すなわち、Y方向において、フィールド電極14Bは、ゲート電極11Bを介して隣り合うフィールド電極14Bと一部重なり合うように配置されている。なお、
図5において、隣り合うフィールド電極14BがY方向からみて一部が重なり合うように配置されているが、隣り合うフィールド電極14BがY方向だけではなくX方向からみても一部が重なり合うように配置されていてもよい。
【0056】
フィールド電極14Bは、十字部分の交差部分に曲率の部分Rを有した構造である。フィールド電極14Bの曲率の部分Rに第1の溝3BのX方向に延びる部分と第1の溝3BのY方向に延びる部分との角部G4が対向している。すなわち、第1の溝3Bとフィールド電極14Bとの距離が狭くすることができる。
【0057】
以上に説明したように、
図5に示した半導体装置では、上方からみて、フィールド電極14B間に第1の溝3Bを有するトレンチMOSセルを設け、第2の溝31Bとフィールド電極14Bを互い違いに配置することにより、第1の溝3Bの交差するT字構造部分において第1の溝3Bとフィールド電極14Bとの距離が広くなる箇所がなくなり耐圧を向上することができる。
【0058】
また、
図5に示した半導体装置では、第2の溝31Bとフィールド電極14Bの十字部分の交差部分に曲率を有する構造により、第1の溝3Bとフィールド電極14Bとの距離が狭くすることで耐圧を向上することができる。
【0059】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0060】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0061】
例えば、
図6に示すように、第1の溝3、3A、3Bは、上方からみて、半導体基板のオリフラ面に対して、0度方向か90度方向に延伸していてもよい。具体的には、半導体基板のオリフラ面は、例えば、(100)面であってもよい。
【0062】
オリフラ面に対し、第1の溝3、3A、3Bを0度方向または90度方向に延伸して配置することにより、面方位によるチャネル移動度のオン抵抗の上昇を抑制することができる。また、オリフラ面に対し、第1の溝3、3A、3Bを0度方向または90度方向に延伸して配置することにより、半導体基板の面方位によるエッチング速度の違い及びゲート絶縁膜4の膜厚違いを均一にすることができる。すなわち、オリフラ面に対し、第1の溝3を0度方向または90度方向に延伸して配置することは、チャネル移動度及びゲート絶縁膜4の面方位依存性を抑制することができる。また、オリフラ面に対し、第2の溝31、31A、31Bを0度方向または90度方向に延伸して配置することにより、フィールド絶縁膜41の膜厚をより均一化できる。
【符号の説明】
【0063】
1…半導体装置
2…第1半導体領域、ドリフト領域
3…第1の溝
4…第1の絶縁膜、ゲート絶縁膜
5…第1導電体、ゲート配線
11…第1の主電極、ゲート電極
12…第2の主電極、ソース電極
13…第3の主電極、ドレイン電極
14…フィールド電極
21…第2半導体領域、ボディ領域
22…第3半導体領域、ソース領域
23…第4半導体領域、ドレイン領域
31…第2の溝
41…第2の絶縁膜、フィールド絶縁膜
50…層間絶縁膜
51…第2導電体、ソース配線
52…第3導電体、ドレイン配線
60…抵抗
2a…第1主面
2b…第2主面