(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043427
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】超音波流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/66 20220101AFI20240322BHJP
【FI】
G01F1/66 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148615
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000243364
【氏名又は名称】本多電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 克幸
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035DA08
2F035DA14
(57)【要約】
【課題】流量の目標値が変化するときの測定値の応答性と、流量の目標値が一定のときの測定値の安定性とを両立させることができる超音波流量計を提供すること。
【解決手段】本発明の超音波流量計10は、一対の超音波振動子12,13間での超音波U1,U2の送受信によって流体W1の流量を測定する。また、超音波流量計10が備える1次遅れフィルタ52は、流量をサンプリングすることにより入力値を取得し、取得した入力値に含まれるノイズを低減するフィルタリング処理を実行することにより出力値を生成する。なお、1次遅れフィルタ52は、今回の入力値と前回の出力値との差分が所定の閾値よりも大きい場合に、定常時の時定数を用いることで応答時間を短くし、今回の入力値と前回の出力値との差分が所定の閾値以下である場合に、時定数を大きくして流量の測定値を安定させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる管路の上流側と下流側とに一対の超音波振動子を離間させて配置した構造を有し、前記一対の超音波振動子間での超音波の送受信によって前記流体の流量を測定する超音波流量計であって、
前記流量をサンプリングすることにより入力値を取得し、取得した前記入力値に含まれるノイズを低減するフィルタリング処理を実行することにより出力値を生成する1次遅れフィルタを備え、
前記1次遅れフィルタは、
今回の前記入力値と前回の前記出力値との差分が所定の閾値よりも大きい場合に、定常時の時定数を用いることで応答時間を短くし、
今回の前記入力値と前回の前記出力値との差分が所定の閾値以下である場合に、前記時定数を大きくして前記流量を安定させる
ことを特徴とする超音波流量計。
【請求項2】
前記1次遅れフィルタは、今回の前記入力値と前回の前記出力値との差分が前記所定の閾値以下である場合に、前記時定数にフィルタ変数C(1<C≦n、但しnは1よりも大きい数)を乗じることにより、前記時定数を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記フィルタ変数Cは、nを上限として、前記差分の値が前記閾値より小さくなるほど大きくなる変数であることを特徴とする請求項2に記載の超音波流量計。
【請求項4】
前記フィルタ変数Cは、累乗した状態で用いられることを特徴とする請求項2または3に記載の超音波流量計。
【請求項5】
前記1次遅れフィルタは、今回の前記入力値と前回の前記出力値との差分が前記所定の閾値よりも大きい場合、前記時定数の大きさを一定に維持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波流量計。
【請求項6】
前記流量の目標値は、ステップ状に変化するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波流量計。
【請求項7】
前記超音波流量計は、前記一対の超音波振動子が前記管路を挟み込むように配置されたストレートタイプの超音波流量計であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の超音波振動子間での超音波の送受信によって流体の流量を測定する超音波流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を利用して流体の流量を測定する超音波流量計が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。この超音波流量計では、流体が流れる管路の上流側及び下流側にそれぞれ超音波振動子が設置されている。そして、これらの超音波振動子を用いて超音波を送受信し、上流側から下流側に伝搬する超音波の伝搬時間と下流側から上流側に伝搬する超音波の伝搬時間との時間差に基づいて、流体の流量が算出される。
【0003】
ところで、超音波流量計による流量の測定値(算出値)は、通常、ノイズを含んでいるためにバラツキがある。そこで、測定値を1次遅れフィルタ(ローパスフィルタ)に通して平滑の度合を強くすれば、ノイズが低減されるために流量の測定値を安定させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-67572号公報(
図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、1次遅れフィルタでは、平滑の度合を強くすると、流量の目標値(制御値)が急激に変化したときに、その変化した目標値に測定値が応答するのに要する時間が長くなるという問題がある。例えば、超音波流量計を実際に使用する際には、測定対象となる流体の流量の目標値がステップ状に変化することがある。この場合、目標値が一定のときの測定値の安定性を優先した1次遅れフィルタであると、目標値が変化するときの測定値の応答性が悪化してしまう。逆に、目標値が変化するときの測定値の応答性を優先した1次遅れフィルタであると、目標値が一定のときの測定値の安定性が悪化してしまう。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、流量の目標値が変化するときの測定値の応答性と、流量の目標値が一定のときの測定値の安定性とを両立させることができる超音波流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、流体が流れる管路の上流側と下流側とに一対の超音波振動子を離間させて配置した構造を有し、前記一対の超音波振動子間での超音波の送受信によって前記流体の流量を測定する超音波流量計であって、前記流量をサンプリングすることにより入力値を取得し、取得した前記入力値に含まれるノイズを低減するフィルタリング処理を実行することにより出力値を生成する1次遅れフィルタを備え、前記1次遅れフィルタは、今回の前記入力値と前回の前記出力値との差分が所定の閾値よりも大きい場合に、定常時の時定数を用いることで応答時間を短くし、今回の前記入力値と前回の前記出力値との差分が所定の閾値以下である場合に、前記時定数を大きくして前記流量を安定させることを特徴とする超音波流量計をその要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に記載の発明によると、1次遅れフィルタが、今回の入力値と前回の出力値との差分が所定の閾値よりも大きい場合、即ち、流量の目標値が急激に変化した場合に、1次遅れフィルタの時定数として定常時の時定数を用いることにより、目標値の変化に対する応答時間の長さを短くする。また、1次遅れフィルタが、今回の入力値と前回の出力値との差分が所定の閾値以下である場合、即ち、流量の目標値の変化が小さく一定である場合に、時定数を大きくして入力値に含まれるノイズを低減することにより、測定値を安定させる。従って、流量の目標値が変化するときの測定値の応答性と、流量の目標値が一定のときの測定値の安定性とを両立させることが可能な超音波流量計を得ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記1次遅れフィルタは、今回の前記入力値と前回の前記出力値との差分が前記所定の閾値以下である場合に、前記時定数にフィルタ変数C(1<C≦n、但しnは1よりも大きい数)を乗じることにより、前記時定数を大きくすることをその要旨とする。
【0010】
従って、請求項2に記載の発明によると、フィルタ変数Cを乗じることによって時定数を大きくするため、時定数が確実に大きくなる。従って、入力値に含まれるノイズを確実に低減して流量の測定値を安定させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記フィルタ変数Cは、nを上限として、前記差分の値が前記閾値より小さくなるほど大きくなる変数であることをその要旨とする。
【0012】
ところで、フィルタ変数Cを大きくして時定数を大きくすると、ノイズが低減されて流量の測定値が安定するものの、流量の目標値の変化に対する測定値の応答性が低下してしまう。しかし、請求項3に記載の発明では、流量の目標値の変化が小さい(即ち、今回の入力値と前回の出力値との差分が小さい)ために、目標値の変化に対する測定値の応答性が問題にならない場合に、フィルタ変数Cを大きくして時定数を大きくしている。従って、応答性を考慮することなく、ノイズを低減して測定値を安定させることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3において、前記フィルタ変数Cは、累乗した状態で用いられることをその要旨とする。
【0014】
従って、請求項4に記載の発明によると、フィルタ変数Cを累乗した状態で乗じることによって時定数を大きくするため、フィルタ変数Cをそのまま乗じる場合よりも、時定数がよりいっそう大きくなる。従って、入力値に含まれるノイズをより確実に低減して流量の測定値を安定させることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記1次遅れフィルタは、今回の前記入力値と前回の前記出力値との差分が前記所定の閾値よりも大きい場合、前記時定数の大きさを一定に維持することをその要旨とする。
【0016】
従って、請求項5に記載の発明によると、今回の入力値と前回の出力値との差分が大きいために、流量の目標値の変化が大きい場合に、時定数の大きさが、減少することなく一定に維持される。このため、入力値に含まれるノイズを低減して流量の測定値を安定させる機能を確保しつつ、測定値の応答時間の長さを短くすることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記流量の目標値は、ステップ状に変化するものであることをその要旨とする。
【0018】
従って、請求項6に記載の発明によると、流量の目標値が、ステップ状、即ち急激に変化する。このため、今回の入力値と前回の出力値との差分が大きい場合、即ち、流量の目標値の変化が大きい場合に、定常時の時定数を用いることにより、測定値の応答時間の長さを確実に短くすることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記超音波流量計は、前記一対の超音波振動子が前記管路を挟み込むように配置されたストレートタイプの超音波流量計であることをその要旨とする。
【0020】
従って、請求項7に記載の発明によると、超音波を送受信する経路が短いために、交互に送受信される2つの超音波の伝搬時間の差が出にくいストレートタイプの超音波流量計であっても、流量の目標値の変化に対する測定値の応答時間を遅延させることなく、流量の測定値を安定させることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上詳述したように、請求項1~7に記載の発明によると、流量の目標値が変化するときの測定値の応答性と、流量の目標値が一定のときの測定値の安定性とを両立させることができる超音波流量計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態における超音波流量計を示す概略構成図。
【
図6】時定数を変更した場合における経過時間と流量との関係を示すグラフ。
【
図7】SwitchPoint (閾値)を変更した場合における経過時間と流量との関係を示すグラフ。
【
図8】FilterLevel を変更した場合における経過時間と流量との関係を示すグラフ。
【
図9】フィルタ変数Cの累乗の態様を変更した場合における経過時間と流量との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0024】
図1に示されるように、超音波流量計10は、流体W1(本実施形態では水)の流量を測定するための機器である。超音波流量計10は、ストレート状に延設された管路11を有するとともに、互いに離間して配置された一対の超音波振動子12,13を有している。本実施形態の超音波流量計10は、一対の超音波振動子12,13が管路11を挟み込むように配置されたストレートタイプの超音波流量計である。第1の超音波振動子12は管路11の上流側に配置され、第2の超音波振動子13は管路11の下流側に配置されている。そして、超音波振動子12,13は、流体W1の流れ方向に対して所定の角度(例えば、45°の角度)で超音波U1,U2が伝搬するように配置されている。なお、超音波振動子12,13は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電セラミックスを用いて形成された圧電素子である。
【0025】
次に、超音波流量計10の電気的構成について説明する。
【0026】
図1に示されるように、超音波流量計10は、一対の超音波振動子12,13間での超音波U1,U2の送受信によって、流体W1の流量を測定する。超音波流量計10は、制御部21、演算部22、フィルタリング装置23及び表示装置24を備えている。
【0027】
制御部21は、送受切替回路31、送信回路32、受信回路33及びタイマ34を備え、超音波振動子12,13における超音波U1,U2の送受信タイミングや送受信方向を制御する。具体的には、タイマ34から出力されるタイミング信号に基づいて、送信回路32は、定期的(例えば1msごと)に送信信号を送受切替回路31に出力し、送受切替回路31は、その送信信号を第1の超音波振動子12及び第2の超音波振動子13に対して交互に出力する。
【0028】
送信信号に基づいて第1の超音波振動子12から超音波U1が出力されると、超音波U1は、順方向(
図1では右下方向)に伝搬して第2の超音波振動子13で受信される。そして、第2の超音波振動子13が受信した超音波U1は、受信信号に変換され、送受切替回路31を介して受信回路33に入力される。さらに、受信回路33に入力された受信信号は、信号増幅されて演算部22に出力される。また、送信信号に基づいて第2の超音波振動子13から超音波U2が出力されると、超音波U2は、逆方向(
図1では左上方向)に伝搬して第1の超音波振動子12で受信される。そして、第1の超音波振動子12が受信した超音波U2は、受信信号に変換され、送受切替回路31を介して受信回路33に入力される。さらに、受信回路33に入力された受信信号は、信号増幅されて演算部22に出力される。
【0029】
図1に示されるように、演算部22は、伝搬時間演算手段41、流速演算手段42及び流量演算手段43を備えている。演算部22は、CPU、RAM等からなる周知のコンピュータにより構成され、各演算手段41~43は、CPUが有する演算処理機能を用いて実現されている。
【0030】
伝搬時間演算手段41は、タイマ34が計測した超音波U1,U2の送受信タイミングに基づいて、順方向に伝搬した超音波U1の伝搬時間t1と逆方向に伝搬した超音波U2の伝搬時間t2とを算出する。そして、流速演算手段42は、算出した順方向の伝搬時間t1と逆方向の伝搬時間t2との差に基づいて、流体W1の流速を算出する。さらに、流量演算手段43は、流速演算手段42が算出した流体W1の流速と、管路11の流路断面積とに基づいて、流体W1の流量を算出する。
【0031】
図1に示されるように、フィルタリング装置23は、取得部51、可変1次フィルタ52(1次遅れフィルタ)及び出力部53を備える。取得部51は、流量演算手段43が算出した流体W1の流量をサンプリングすることにより、可変1次フィルタ52に入力される入力値を取得する。そして、取得部51は、取得した入力値を可変1次フィルタ52に出力する。
【0032】
図2に示されるように、可変1次フィルタ52は、取得した入力値(input )に含まれるノイズを低減するフィルタリング処理を実行することにより出力値(output)を生成する。本実施形態の可変1次フィルタ52は、RCフィルタ(ローパスフィルタ)であり、入力値の高周波成分(ノイズ)を減衰させて、出力値として出力する。この可変1次フィルタ52による演算では、今回の入力値に第1係数(1-(1/(1+T/(tc・C))))を乗じた値と、前回の出力値に第2係数(1/(1+T/(tc・C)))を乗じた値との合計が、現在の出力値として出力される。なお、Tはサンプリング時間(
図4に示す経過時間(s))、tcは時定数(s)、Cはフィルタ変数を示している。
【0033】
図1に示されるように、出力部53は、データ出力用のインターフェース(例えば、RS485などのポート)であり、流量に関するデータ、具体的には、可変1次フィルタ52にて生成された出力値を表示装置24に出力する。表示装置24は、例えば、液晶ディスプレイであり、可変1次フィルタ52にて生成された出力値(流体W1の流量)を表示する。
【0034】
次に、超音波流量計10によって行われる処理(計測処理)について説明する。
【0035】
図3に示されるステップS10において、演算部22の伝搬時間演算手段41は、タイマ34が計測した超音波U1の送受信タイミングに基づいて、順方向(
図1では右下方向)に伝搬した超音波U1の伝搬時間t1を算出し、ステップS20の処理へ移行する。ステップS20において、伝搬時間演算手段41は、タイマ34が計測した超音波U2の送受信タイミングに基づいて、逆方向(
図1では左上方向)に伝搬した超音波U2の伝搬時間t2を算出し、ステップS30の処理へ移行する。
【0036】
ステップS30において、演算部22は、両方の伝搬時間t1,t2を、現時点でN回(本実施形態では5回)測定したか否かを判定する。各伝搬時間t1,t2の測定回数がN回未満(本実施形態では1回以上4回以下)である場合(ステップS30:N)、演算部22は、再びステップS10の処理へ移行する。一方、各伝搬時間t1,t2の測定回数がN回以上である場合(ステップS30:Y)、演算部22は、ステップS40の処理へ移行する。
【0037】
ステップS40において、演算部22は流体W1の流量を算出する。詳述すると、演算部22の流速演算手段42は、伝搬時間演算手段41が算出した伝搬時間t1,t2を用いて、流体W1の流速を算出する。次に、演算部22の流量演算手段43は、流速演算手段42が算出した流体W1の流速と管路11の流路断面積とに基づいて、流体W1の流量を算出し、ステップS50の処理へ移行する。
【0038】
ステップS50において、フィルタリング装置23は、流体W1の流量に関する各種処理を行う。具体的に言うと、まず、フィルタリング装置23の取得部51は、流量演算手段43が算出した流体W1の流量をサンプリングすることにより入力値を取得し、取得した入力値をフィルタリング装置23の可変1次フィルタ52に出力する。
【0039】
次に、可変1次フィルタ52は、取得した入力値に含まれるノイズを低減することにより、入力値を平滑化するフィルタリング処理を実行する。具体的に言うと、可変1次フィルタ52は、今回の入力値に第1係数(1-(1/(1+T/(tc・C))))を乗じた値と、前回の出力値に第2係数(1/(1+T/(tc・C)))を乗じた値との合計を算出し、算出した値を今回の出力値として出力する(
図2参照)。これにより、今回の出力値は、今回の入力値からノイズを低減した値となる。
【0040】
また、可変1次フィルタ52は、今回の入力値F(n)in と前回の出力値F(n-1)outとの差分ΔFが所定の閾値Fsよりも大きいか否かを判定する。なお、可変1次フィルタ52は、流量の測定値が閾値Fs(ml/min)に到達したことを契機として機能するようになっており、本実施形態では、閾値Fsを「SwitchPoint 」という。
【0041】
今回の入力値F(n)in と前回の出力値F(n-1)outとの差分ΔFが所定の閾値Fsよりも大きい場合、可変1次フィルタ52は、定常時(流量が一定になるとき)の時定数tcを用いることで応答時間を短くする。具体的に言うと、可変1次フィルタ52は、上記の差分ΔFが閾値Fsよりも大きい場合に、時定数tcの大きさを一定に維持する処理を行う。なお、差分ΔFが閾値Fsよりも大きい場合(ΔF>Fs)のフィルタ変数Cは、次式(1)にて算出することができる。
(数1)
C=1 (1)
従って、可変1次フィルタ52は、今回の入力値F(n)in に第1係数(1-(1/(1+T/tc)))を乗じた値と、前回の出力値F(n-1)outに第2係数(1/(1+T/tc))を乗じた値との合計を算出し、算出した値を今回の出力値として出力する。この場合、可変1次フィルタ52は、一般的な1次フィルタ(
図5参照)と同じ動作をする。
【0042】
一方、今回の入力値F(n)in と前回の出力値F(n-1)outとの差分ΔFが所定の閾値Fs以下である場合、可変1次フィルタ52は、時定数tcを大きくして流量の測定値を安定させる。具体的に言うと、可変1次フィルタ52は、上記の差分ΔFが閾値Fs以下である場合に、時定数tcにフィルタ変数C(1<C≦n、但しnは1よりも大きい数)を乗じることにより、可変時定数tc・Cを算出する処理を行う。なお、フィルタ変数Cは、nを上限として、差分ΔFの値が閾値Fsより小さくなるほど大きくなる変数である。また、差分ΔFが閾値Fs以下である場合(0≦ΔF≦Fs)のフィルタ変数Cは、次式(2)にて算出することができる。
(数2)
C=1+FL(1-ΔF/Fs) (2)
なお、FLは、可変1次フィルタ52の出力度合を示しており、本実施形態では「FilterLevel 」という。そして、可変1次フィルタ52は、今回の入力値F(n)in に第1係数(1-(1/(1+T/(tc・C))))を乗じた値と、前回の出力値F(n-1)outに第2係数(1/(1+T/(tc・C)))を乗じた値との合計を算出し、算出した値を今回の出力値として出力する。例えば、FLが「1(=100%)」である場合、フィルタ変数Cは最大で「2」となる。なお、差分ΔFが0に近いほどフィルタ変数Cが「2」に近くなり、可変時定数tc・Cが大きくなる。
【0043】
このようにしてフィルタリング処理を実行することにより、可変1次フィルタ52は、取得した入力値F(n)in に対して、時定数tcを一定に維持したり、可変時定数tc・Cを算出したりしつつ、ノイズが低減された出力値を生成する。そして、フィルタリング装置23は、ステップS60の処理へ移行する。
【0044】
ステップS60において、フィルタリング装置23の出力部53は、流量に関するデータ、即ち、可変1次フィルタ52によって生成された出力値を表示装置24に出力して、ステップS70の処理へ移行する。ステップS70において、表示装置24は、出力部53から出力された出力値(流体W1の流量)を表示画面に表示(更新)し、再びステップS10の処理へ移行する。
【0045】
次に、フィルタの評価方法及びその結果を説明する。
【0046】
まず、流量の目標値(設定値)を設定した。具体的に言うと、経過時間が0(s)~0.2(s)の期間は、流量の目標値が0(ml/min)となっている。そして、経過時間が0.2(s)の時点で、流量の目標値が200(ml/min)に増加し、経過時間が0.4(s)の時点で、流量の目標値が400(ml/min)に増加する。さらに、経過時間が0.6(s)の時点では、流量の目標値が0(ml/min)に減少するものの、経過時間が1(s)になると、流量の目標値が再び増加して300(ml/min)になり、以降はその状態を維持する。なお、流量の目標値は、ステップ状に変化するようになっている。また、目標値(設定値)に沿って変化させた流量をサンプリングし、結果として得られたノイズを含むデータを、
図4のグラフにプロットした。
【0047】
次に、測定用サンプルを次のように準備した。時定数tcを0.01(s)(0.01≦可変時定数tc・C≦0.02)に設定した可変1次フィルタを準備し、これを実施例とした。一方、時定数tcを0.01(s)に設定した1次フィルタ(
図5参照)を準備し、これを比較例1とした。また、時定数tcを0.03(s)に設定した1次フィルタを準備し、これを比較例2とした。なお、実施例の可変1次フィルタでは、SwitchPoint を100(ml/min)とし、FilterLevel を40(%)とした。
【0048】
次に、各測定用サンプル(実施例及び比較例1,2)を用いて、目標値(設定値)に沿って変化させた流量を0.01(s)ごとにサンプリングすることにより入力値を取得した。そして、取得した入力値に含まれるノイズを低減するフィルタリング処理を実行することにより、出力値を生成した。さらに、出力値のデータを
図4のグラフにプロットした。
【0049】
その結果、時定数tcが0.01(s)の1次フィルタである比較例1では、流量の目標値の変化に対する測定値の応答時間の長さが短くなるものの、流量が一定となる定常時の振幅(ノイズ)が比較的大きいことが確認された。また、時定数tcが0.03(s)の1次フィルタである比較例2では、定常時の振幅(ノイズ)が小さくなるものの、目標値の変化に対する測定値の応答時間の長さが比較的長いことが確認された。
【0050】
一方、可変1次フィルタである実施例では、定常時の振幅(ノイズ)が比較例2と同等となり、流量の目標値の変化に対する測定値の応答時間の長さが比較例1と同等となることが確認された。従って、可変1次フィルタを用いて流体W1の流量をフィルタリングすれば、目標値の変化に対する測定値の応答性と定常時の測定値の安定性とを両立できることが確認された。
【0051】
次に、可変1次フィルタの評価方法及びその結果を説明する。
【0052】
まず、流量の目標値を設定した。
図6~
図9に示されるように、経過時間が-0.2(s)~0(s)の期間は、流量の目標値が0(ml/min)となっている。そして、経過時間が0(s)の時点で、流量の目標値が100(ml/min)に増加し、以降はその状態を維持する。また、目標値に沿って変化させた流量をサンプリングし、結果として得られたノイズを含むデータを、
図6~
図9のグラフにそれぞれプロットした。
【0053】
次に、測定用サンプルを次のように準備した。時定数tcを0.01(s)(0.01≦可変時定数tc・C≦0.02)、0.02(s)(0.02≦可変時定数tc・C≦0.04)、0.05(s)(0.05≦可変時定数tc・C≦0.1)、0.1(s)(0.1≦可変時定数tc・C≦0.2)、0.2(s)(0.2≦可変時定数tc・C≦0.4)、0.5(s)(0.5≦可変時定数tc・C≦1)に設定した可変1次フィルタを準備し、それぞれサンプルA,B,C,D,E,F(
図6参照)とした。なお、サンプルA~Fの可変1次フィルタでは、SwitchPoint (閾値)を50(ml/min)、FilterLevel を40(%)とし、フィルタ変数Cを4乗(Multi 4)した状態で用いた。
【0054】
次に、各測定用サンプル(サンプルA~F)を用いて、目標値に沿って変化させた流量をサンプリングすることにより入力値を取得した。そして、取得した入力値に含まれるノイズを低減するフィルタリング処理を実行することにより、出力値を生成した。さらに、出力値のデータを
図6のグラフにプロットした。
【0055】
その結果、サンプルA~Fのうち、時定数tcが0.1(s)、0.2(s)、0.5(s)の可変1次フィルタであるサンプルD~Fは、ノイズが小さくなるものの、流量の目標値の変化に対する測定値の応答時間の長さが非常に長いことが確認された(
図6参照)。一方、時定数tcが0.01(s)、0.02(s)、0.05(s)の可変1次フィルタであるサンプルA~Cは、流量の目標値の変化に対する測定値の応答時間の長さが短いことが確認された(
図6参照)。特に、時定数tcが0.01(s)の可変1次フィルタであるサンプルAは、流量の目標値の変化に対する測定値の応答時間が最も短いことが確認された。従って、可変1次フィルタの時定数tcは、0.01s以上0.05s以下であることが好ましい。
【0056】
また、各サンプルA~Fの可変1次フィルタのSwitchPoint (閾値)を、5(ml/min)、10(ml/min)、20(ml/min)、50(ml/min)、100(ml/min)、200(ml/min)にそれぞれ変更した(
図7参照)。このとき、サンプルA~Fの可変1次フィルタでは、時定数tcを0.05(s)、FilterLevel を40(%)とし、フィルタ変数Cを4乗した状態で用いた。
【0057】
次に、各サンプルA~Fを用いて、目標値に沿って変化させた流量をサンプリングすることにより入力値を取得した。そして、入力値に含まれるノイズを低減するフィルタリング処理を実行することにより、出力値を生成した。さらに、出力値のデータを
図7のグラフにプロットした。
【0058】
その結果、SwitchPoint (閾値)が5(ml/min)、10(ml/min)、20(ml/min)、50(ml/min)の可変1次フィルタであるサンプルA~Dでは、今回の入力値と前回の出力値との差分が閾値以下になりにくいため、時定数tcにフィルタ変数Cを乗じて測定値を安定させる(ノイズを低減させる)ことが困難であることが確認された。また、SwitchPoint (閾値)が200(ml/min)の可変1次フィルタであるサンプルFでは、上記の差分が閾値よりも大きくなりにくいため、定常時の時定数tcを用いて応答時間を短くすることが困難であることが確認された。一方、SwitchPoint (閾値)が100(ml/min)の可変1次フィルタであるサンプルEでは、上記の差分が閾値以下にも閾値より大きくもなりうるため、流量の目標値の変化に対する測定値の応答性と、流量が一定になるときの測定値の安定性とを両立できることが確認された。従って、可変1次フィルタのSwitchPoint は、50ml/minよりも大きく、かつ200ml/min未満であることが好ましい。
【0059】
さらに、各サンプルA~Fの可変1次フィルタのFilterLevel を、0(%)、20(%)、40(%)、60(%)、80(%)、100(%)にそれぞれ変更した(
図8参照)。このとき、サンプルA~Fの可変1次フィルタでは、時定数tcを0.05(s)、SwitchPoint (閾値)を50(ml/min)とし、フィルタ変数Cを4乗した状態で用いた。
【0060】
次に、各サンプルA~Fを用いて、目標値に沿って変化させた流量をサンプリングすることにより入力値を取得した。そして、入力値に含まれるノイズを低減するフィルタリング処理を実行することにより、出力値を生成した。さらに、出力値のデータを
図8のグラフにプロットした。
【0061】
その結果、FilterLevel が0(%)、20(%)の可変1次フィルタであるサンプルA,Bでは、上記式(2)にて算出されるフィルタ変数Cがあまり大きくならないため、時定数tcにフィルタ変数Cを乗じたとしても、可変時定数tc・Cがあまり大きくならず、測定値が安定しない(ノイズが低減されにくい)ことが確認された。また、FilterLevel が60(%)、80(%)、100(%)の可変1次フィルタであるサンプルD~Fでは、可変時定数tc・Cが大きくなりやすいために測定値が安定するものの、応答時間が長いために、流量が安定するまでに時間がかかることが確認された。一方、FilterLevel が40(%)の可変1次フィルタであるサンプルCでは、流量の目標値の変化に対する測定値の応答時間が短く、かつ流量が一定になるときの測定値が安定することが確認された。従って、可変1次フィルタのFilterLevel は、20%よりも大きく、かつ60%未満であることが好ましい。
【0062】
また、各サンプルA~Fの可変1次フィルタを、フィルタ変数Cを1乗(Multi 1)、2乗(Multi 2)、4乗(Multi 4)、7乗(Multi 7)、11乗(Multi 11)、16乗(Multi 16)した状態でそれぞれ用いた(
図9参照)。このとき、サンプルA~Fの可変1次フィルタでは、時定数tcを0.05(s)、SwitchPoint (閾値)を50(ml/min)、FilterLevel を40(%)とした。
【0063】
次に、各サンプルA~Fを用いて、目標値に沿って変化させた流量をサンプリングすることにより入力値を得た。そして、入力値に含まれるノイズを低減するフィルタリング処理を実行することにより、出力値を生成した。さらに、出力値のデータを
図9のグラフにプロットした。
【0064】
その結果、フィルタ変数Cを7乗、11乗、16乗した状態で用いた可変1次フィルタであるサンプルD~Fでは、測定値が安定する(ノイズが低減される)ものの、経過時間が0(s)以降の期間において、流量が目標値(100(ml/min))に到達しにくいことが確認された。一方、フィルタ変数Cを1乗、2乗、4乗した状態で用いた可変1次フィルタであるサンプルA~Cでは、流量が目標値(100(ml/min))に確実に到達することが確認された。特に、サンプルCでは、測定値がより安定することも確認された。従って、フィルタ変数Cは、1乗以上6乗以下だけ累乗した状態で用いられることが好ましい。
【0065】
以上のことから、時定数tcが0.01(s)、SwitchPoint (閾値)が100(ml/min)、FilterLevel が40(%)であって、フィルタ変数Cが4乗された状態で用いられる可変1次フィルタを用いれば、流量の目標値の変化に対する測定値の応答性と、流量が一定になるときの測定値の安定性とを両立できることが確認された。
【0066】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0067】
(1)本実施形態の超音波流量計10では、可変1次フィルタ52が、今回の入力値と前回の出力値との差分が所定の閾値よりも大きい場合、即ち、流量の目標値が急激に変化した場合に、可変1次フィルタ52の時定数tcとして定常時の時定数tcを用いることにより、目標値の変化に対する応答時間の長さを短くする。また、可変1次フィルタ52が、今回の入力値と前回の出力値との差分が所定の閾値以下である場合、即ち、流量の目標値の変化が小さく一定である場合に、時定数tcよりも大きい可変時定数tc・Cを算出して入力値に含まれるノイズを低減することにより、測定値を安定させる。従って、流量の目標値が変化するときの測定値の応答性と、流量の目標値が一定のときの測定値の安定性とを両立させることが可能な超音波流量計10を得ることができる。また、本実施形態の超音波流量計10では、時定数tcを自動で適切な値(可変時定数tc・C)に変更するため、作業者がスイッチ等を切り替えるなどして時定数tcを変更しなくても済む。
【0068】
(2)例えば、流量の目標値の変化が大きい場合に、可変1次フィルタ52の時定数tcを小さくすることにより、流量の測定値の応答時間を短くすることが考えられるが、測定値に含まれるノイズを十分に低減できないという問題がある。一方、本実施形態の可変1次フィルタ52は、流量の目標値の変化が大きい場合、即ち、今回の入力値と前回の出力値との差分が閾値よりも大きい場合に、時定数tcの大きさを小さくせずに、一定に維持する処理を行っている。その結果、定常時の時定数tcが用いられるため、ノイズを低減する機能を維持しつつ、測定値の応答時間を短くすることができる。また、可変1次フィルタ52は、時定数tcを小さくする処理を行わなくても済むため、可変1次フィルタ52にかかる負担を軽減することができる。
【0069】
なお、上記実施形態を以下のように変更してもよい。
【0070】
・上記実施形態の可変1次フィルタ52では、時定数tcにフィルタ変数Cをそのまま乗じることにより、可変時定数tc・Cを算出していた。しかし、可変1次フィルタ52では、フィルタ変数Cを累乗(例えば、2乗、4乗など)した状態で時定数tcに乗じることにより、可変時定数tc・Cを算出してもよい。このようにすれば、可変時定数tc・Cがよりいっそう大きくなるため、入力値に含まれるノイズをより確実に低減して測定値を安定させることができる。
【0071】
・上記実施形態の超音波流量計10は、流体W1の流れ方向に対して所定の角度(例えば、45°の角度)で超音波U1,U2が伝搬するように一対の超音波振動子12,13を配置するストレートタイプの超音波流量計であったが、これに限定されるものではない。例えば、流体W1の流れ方向と平行な方向に超音波U1,U2が伝搬するように、各超音波振動子12,13を設けてもよい。また、上記実施形態の超音波流量計10では、一対の超音波振動子12,13が管路11を挟み込むように配置されていた。しかし、各超音波振動子12,13を、管路11を挟み込まずに配置し、第1の超音波振動子12(第2の超音波振動子13)から送信されて管路11の内壁で反射した超音波U1(超音波U2)を、第2の超音波振動子13(第1の超音波振動子12)で受信させるようにしてもよい。
【0072】
・上記実施形態の超音波流量計10の演算部22は、ステップS30において、超音波U1,U2の伝搬時間t1,t2を、現時点でN回(5回)測定したか否かを判定していた。しかし、演算部22は、伝搬時間t1,t2を2回以上4回以下だけ測定したか否かを判定してもよいし、伝搬時間t1,t2を6回以上測定したか否かを判定してもよい。
【0073】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0074】
(1)請求項1乃至3のいずれか1項において、前記時定数は、0.01s以上5.00s以下であることを特徴とする超音波流量計。
【0075】
(2)請求項1乃至3のいずれか1項において、前記閾値となる前記1次遅れフィルタのスイッチポイントは、1ml/minよりも大きく、かつ1000ml/min未満であることを特徴とする超音波流量計。
【0076】
(3)請求項1乃至3のいずれか1項において、前記1次遅れフィルタのフィルタレベルは、1%よりも大きく、かつ100%未満であることを特徴とする超音波流量計。
【0077】
(4)請求項4において、前記フィルタ変数Cは、1乗以上16乗以下だけ累乗した状態で用いられることを特徴とする超音波流量計。
【0078】
(5)請求項1乃至3のいずれか1項において、前記超音波流量計は、前記一対の超音波振動子間で送受信される前記超音波の伝搬時間を、現時点でN回(Nは2以上)測定したか否かを判定し、前記伝搬時間の測定回数がN回以上であると判定された場合に、前記伝搬時間を用いて前記流体の流速を算出し、算出した前記流体の流速と前記管路の流路断面積とに基づいて、前記流体の流量を算出することを特徴とする超音波流量計。
【0079】
(6)請求項1乃至3のいずれか1項において、前記超音波流量計は、前記流体の流量を表示する表示装置を備えることを特徴とする超音波流量計。このようにすれば、作業者が表示装置の表示を確認することにより、流体の流量に異常がないか否かを確認することができる。
【符号の説明】
【0080】
10…超音波流量計
11…管路
12…超音波振動子としての第1の超音波振動子
13…超音波振動子としての第2の超音波振動子
52…1次遅れフィルタとしての可変1次フィルタ
tc…時定数
U1,U2…超音波
W1…流体