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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043434
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】出力可変型発電機
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/00 20060101AFI20240322BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240322BHJP
【FI】
H02P9/00 B
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148629
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000241795
【氏名又は名称】北越工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】金子 雄一
【テーマコード(参考)】
5H590
5H770
【Fターム(参考)】
5H590AB01
5H590AB03
5H590AB17
5H590CC22
5H590CC24
5H590CC32
5H590CD03
5H590EA07
5H590FA08
5H590FC26
5H590GA02
5H770CA02
5H770CA03
5H770DA01
5H770DA03
5H770JA17Z
5H770LA01W
(57)【要約】      (修正有)
【課題】インバータを搭載した出力可変型発電機において,インバータに該インバータの仕様電圧とは異なる電圧が入力されることを防止する。
【解決手段】電機子コイルの結線パターンの切り換えにより低圧と高圧の三相交流を出力する発電機本体10と三相出力端子台20間に,インバータ32を備えたインバータ出力回路34と標準出力回路36を設けると共に,出力形式選択スイッチ40を設ける。この出力形式選択スイッチ40に,結線パターンの切り換えを行う結線切換部41,インバータ出力回路34と標準出力回路36間の切り換えを行う接続切換部42,及び,前記結線切換部41と接続切換部42を連動動作させる連動機構43を設け,接続切換部42がインバータ出力回路34を選択したとき,前記結線切換部41がインバータ32の仕様電圧に対応した電圧を発生させる結線パターンに切り換えを行うようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電機子コイルの結線パターンの切り換えによって出力する三相交流を低圧と高圧とで切り換え可能とした発電機本体を備えた出力可変型発電機において,
前記発電機本体と三相出力端子台間に,前記低圧又は高圧のいずれか一方に対応した仕様電圧を有するインバータを介して前記発電機本体と前記三相出力端子台を接続するインバータ出力回路と,前記インバータを介さずに前記発電機本体と前記三相出力端子台を接続する標準出力回路を設けると共に,
前記インバータ出力回路を介した出力を選択するインバータ出力ポジションと,前記標準出力回路を介した出力を選択する標準出力ポジションを含む,少なくとも2つの切換ポジションを有する出力形式選択スイッチを設け,
前記出力形式選択スイッチに,
前記発電機本体の前記電機子コイルの結線を,前記低圧の結線パターンと,前記高圧の結線パターンのいずれかに切り換える結線切換部と,
前記発電機本体と前記三相出力端子台間の接続を,前記インバータ出力回路を介して行うインバータ接続,又は,前記標準出力回路を介して行う標準接続のいずれかに切り換える,接続切換部と,
前記結線切換部と前記接続切換部を連動させる連動機構を設け,
前記連動機構は,
前記出力形式選択スイッチの前記切換ポジションが前記インバータ出力ポジションにあるとき,前記接続切換部に前記インバータ接続を実行させると共に,前記結線切換部に前記インバータの前記仕様電圧に対応した電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させることを特徴とする出力可変型発電機。
【請求項2】
前記連動機構は,
前記出力形式選択スイッチの前記切換ポジションが前記標準出力ポジションにあるとき,前記接続切換部に前記標準接続を実行させると共に,前記結線切換部に前記インバータの前記仕様電圧とは異なる電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させることを特徴とする請求項1記載の出力可変型発電機。
【請求項3】
前記出力形式選択スイッチに,前記切換ポジションとして更に第2標準出力ポジションを設け,
前記連動機構は,
前記出力形式選択スイッチが前記第2標準出力ポジションにあるとき,前記接続切換部に前記標準接続を実行させると共に,前記結線切換部に前記インバータの前記仕様電圧に対応した電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させることを特徴とする請求項2記載の出力可変型発電機。
【請求項4】
電機子コイルの結線パターンの切り換えによって出力する三相交流を低圧と高圧とで切り換え可能とした発電機本体を備えた出力可変型発電機において,
前記発電機本体と三相出力端子台間に,前記低圧に対応した仕様電圧を有する低圧インバータを介して前記発電機本体と前記三相出力端子台を接続する低圧インバータ出力回路と,前記高圧に対応した仕様電圧を有する高圧インバータを介して前記発電機本体と前記三相出力端子台を接続する高圧インバータ出力回路を設けると共に,
前記低圧インバータ出力回路を介した出力を選択する低圧インバータ出力ポジションと,前記高圧インバータ出力回路を介した出力を選択する高圧インバータ出力ポジションを含む,少なくとも2つの切換ポジションを有する出力形式選択スイッチを設け,
前記出力形式選択スイッチに,
前記発電機本体の前記電機子コイルの結線を,前記低圧の結線パターンと,前記高圧の結線パターンのいずれかに切り換える結線切換部と,
前記発電機本体と前記三相出力端子台間の接続を,前記低圧インバータ出力回路を介して行う低圧インバータ接続,又は,前記高圧インバータ出力回路を介して行う高圧インバータ接続のいずれかに切り換える,接続切換部と,
前記結線切換部と前記接続切換部を連動させる連動機構を設け,
前記連動機構は,
前記出力形式選択スイッチの前記切換ポジションが前記低圧インバータ出力ポジションにあるとき,前記接続切換部に前記低圧インバータ接続を実行させると共に,前記結線切換部に前記低圧インバータの前記仕様電圧に対応した電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させ,
前記出力形式選択スイッチの前記切換ポジションが前記高圧インバータ出力ポジションにあるとき,前記接続切換部に前記高圧インバータ接続を実行させると共に,前記結線切換部に前記高圧インバータの前記仕様電圧に対応した電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させることを特徴とする出力可変型発電機。
【請求項5】
前記発電機本体と三相出力端子台間に,前記低圧インバータ及び前記高圧インバータを介さずに前記発電機本体と前記三相出力端子台を接続する標準出力回路を更に設けると共に,
前記出力形式選択スイッチに,前記切換ポジションとして更に低圧標準出力ポジションと,高圧標準出力ポジションを設け,
前記接続切換部が,前記発電機本体と前記三相出力端子台間の接続を,前記標準出力回路を介して行う標準接続に切り換え可能に構成されており,
前記連動機構は,
前記出力形式選択スイッチの前記切換ポジションが前記低圧標準出力ポジションにあるとき,前記接続切換部に前記標準接続を実行させると共に,前記結線切換部に前記低圧に対応した電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させると共に,
前記出力形式選択スイッチの前記切換ポジションが前記高圧標準出力ポジションにあるとき,前記接続切換部に前記標準接続を実行させると共に,前記結線切換部に前記高圧に対応した電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させることを特徴とする請求項4記載の出力可変型発電機。
【請求項6】
前記出力形式選択スイッチの前記結線切換部を,前記三相交流出力の前記低圧と前記高圧間の切り換えに加えて,更に,前記発電機本体に単相交流を出力させる前記電機子コイルの結線パターンへの切り換えを可能に構成し,
前記出力形式選択スイッチに,更に,単相出力ポジションを設け,
前記連動機構は,
前記出力形式選択スイッチの前記切換ポジションが前記単相出力ポジションにあるとき,前記接続切換部に前記標準接続を実行させると共に,前記結線切換部に前記単相交流を出力させる結線パターンへの切り換えを実行させることを特徴とする請求項1~5いずれか1項記載の出力可変型発電機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発電機本体の電機子コイルの結線パターンを切り換えることにより出力を可変とした出力可変型発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場や各種イベント会場等,特に屋外において電力により稼動する各種の作業機,照明器具,映像・音響機器,その他の機器(本明細書において単に「負荷」という。)を使用する場合,このような負荷に対する電力の供給源としてエンジン等の駆動源を備えた発電機が使用されている。
【0003】
このような発電機では,負荷側で要求される入力電圧の違いに対応すべく,発電機本体のU,V,W相の電機子をそれぞれ一対の電機子コイルUaとUb;VaとVb;WaとWbによって構成し,図16(A)に示すようにU,V,Wの各相の電機子コイル(UaとUb;VaとVb;WaとWb)を並列に接続した低圧結線と,図16(B)に示すように直列に接続した高圧結線間で結線パターンを切り換えることにより,図16(A)に示す低圧結線では一例として200Vの三相交流を,図16(B)に示す高圧結線では一例として400Vの三相交流を出力できるようにしたものがある。
【0004】
また,前述した三相交流の出力に加え,更に電機子コイルの結線パターンを図16(C)に示す状態に変更することで所定電圧の単相交流(一例としてN-U間の単相100Vと,U-W間の単相200V)を出力できるようにしたものもある。
【0005】
このような電機子コイルUa,Ub;Va,Vb;Wa,Wbの結線パターンの切り換えは,従来は,一例として図17に示すような端子板140を使用して行われており,端子板140に設けた端子141間を短絡させる短絡板142の取り付け位置を一例として図17(A)の位置から図17(B)の位置に変更することにより,端子板140の端子141に接続された電機子コイルの結線パターンを,低圧結線〔図16(A)〕と高圧結線〔図16(B)〕間で切り換えていた。
【0006】
しかしながら,この方法によって発電機の出力を切り換えるためには,端子板140に短絡板142を固定しているネジを緩める等して一旦,端子板140から短絡板142を取り外した後,所望の結線パターンが得られるように端子板140上の正確な位置に短絡板142をネジ止め等の方法で再度取り付ける作業が必要であり,結線パターンを切り換える際の作業が繁雑であるだけでなく,短絡板142を誤った位置に取り付けてしまうと発電機本体や負荷を破損させるおそれがあった。
【0007】
そこで,このような結線パターンの切り換えを容易と成すと共に,誤接続に基づく発電機本体や負荷の破損等を防止すべく,後掲の特許文献1に記載の発電機は,図16(A)に示す低圧結線と図16(B)に示す高圧結線間の切り換えを,カムスイッチ等の単一のスイッチを使用して簡単に行うことができるようにすると共に,選択可能な出力形式に対してそれぞれ割り当てられた切換ポジションを有する確認スイッチを設ける構成を採用している。
【0008】
そして,特許文献1の発電機では,結線の切り換えを行うスイッチの切換ポジションと,確認スイッチの切換ポジションとが一致したときにのみ発電機の出力を可能とする安全装置を設けることで,誤接続に基づく発電機本体や負荷の破損等が防止されている。
【0009】
なお,発電機の中には,出力周波数を可変とすべくインバータを搭載して,発電機本体が出力した三相交流を一旦,直流に変換した後,再度,所定周波数の三相交流に変換して出力することができるようにしたものがある。
【0010】
そして,後掲の特許文献2には,このようなインバータを搭載した発電機において,発電機本体と三相出力端子台間の接続を,インバータを備えたインバータ出力回路と,インバータを備えていない標準出力回路のいずれかを択一的に選択して行うことで,三相出力端子台に接続された負荷に対する出力を,発電機本体が発生した三相交流をインバータで周波数変換した後に出力するインバータ出力と,発電機本体が発生した三相交流を直接出力する標準出力間で切り換え可能とした発電機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006-87268号公報
【特許文献2】特開2022-75214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発電機本体の電機子コイルの結線パターンを変更することにより,出力する三相交流を低圧(一例として三相200V)と高圧(一例として三相400V)間で変更可能とした特許文献1の発電機に,特許文献2の発電機に倣って更にインバータを搭載すると共に,発電機本体が発生した三相交流をインバータで周波数変換した後に出力するインバータ出力と,インバータを介さずに直接出力する標準出力を択一的に切り換え可能とした場合,三相交流の出力パターンとしては,以下の4つが考えられる。
・高圧(一例として400V)のインバータ出力
・高圧(一例として400V)の標準出力
・低圧(一例として200V)のインバータ出力
・低圧(一例として200V)の標準出力。
【0013】
しかしながら,インバータはその仕様に応じて入力可能な電圧値が定められており,高圧仕様(例えば400V仕様)のインバータに発電機からの低圧(例えば200V)の三相交流を入力し,又は,低圧仕様(例えば200V仕様)のインバータに発電機本体からの高圧(例えば400V)の三相交流を入力すると,インバータが正常に動作しなかったり,インバータが破損したりするおそれがある。
【0014】
そのため,発電機本体の出力電圧,従って,発電機本体の電機子コイルの結線パターンと,インバータの仕様電圧が対応している場合にのみ,インバータに対し発電機本体で発生した三相交流を入力できるようにすることが必要となる。
【0015】
このような方法としては,例えば特許文献1の構成に倣い,選択可能な出力形式に対してそれぞれ割り当てられた切換ポジションを有する確認スイッチを設け,発電機本体の電機子コイルの結線パターンを切り換えるスイッチと,インバータ出力回路による出力と標準出力回路による出力を切り換えるスイッチ,及び,確認スイッチの3つのスイッチの切換ポジションが正しい組み合わせとなったときにのみ発電機を出力可能とする安全装置を設けることも考えられる。
【0016】
しかし,このように構成した場合,発電機を出力可能とするためには3つのスイッチを予め決められた組み合わせとなるように正しく操作する必要があり,発電機の出力変更を行うための操作が複雑となる。
【0017】
しかも,前述した三相交流出力の切り換えの他,更に発電機本体の電機子コイルの結線を図16(C)に示した単相交流結線にも切り換えることができるようにしようとした場合,出力形式を変更する際の操作はより一層,複雑なものとなる。
【0018】
そこで本発明は,極めて簡単な操作によって発電機本体の出力を低圧と高圧の三相交流出力間,又は,これらに加えて単相交流出力間で切り換え可能であり,かつ,インバータを介した三相交流出力(インバータ出力)と発電機本体からの直接の三相出力(標準出力),又はこれらに加えて単相交流の直接出力を切り換え可能であると共に,発電機本体の電機子コイルの結線パターン,従って発電機本体が出力する三相交流の電圧が,インバータの仕様電圧に対応したものである場合にのみ,発電機本体に対しインバータ出力回路が接続されるようにすることで,誤接続によるインバータの作動不良や破損を確実に防止することができる出力可変型発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするために記載したものであり,言うまでもなく,本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0020】
上記目的を達成するために,本発明の出力可変型発電機1は,
電機子コイルUa,Ub;Va,Vb;Wa,Wbの結線パターンの切り換えによって出力する三相交流を低圧(一例として200V)と高圧(一例として400V)とで切り換え可能とした発電機本体10を備えた出力可変型発電機1において,
前記発電機本体10と三相出力端子台20間に,前記低圧又は高圧のいずれか一方に対応した仕様電圧を有するインバータ32を介して前記発電機本体10と前記三相出力端子台20を接続するインバータ出力回路34と,前記インバータ32を介さずに前記発電機本体10と前記三相出力端子台20を接続する標準出力回路36を設けると共に,
前記インバータ出力回路34を介した出力を選択するインバータ出力ポジションと,前記標準出力回路36を介した出力を選択する標準出力ポジションを含む,少なくとも2つの切換ポジションを有する出力形式選択スイッチ(例えばカムスイッチ)40を設け,
前記出力形式選択スイッチ40に,
前記発電機本体10の前記電機子コイルUa,Ub;Va,Vb;Wa,Wbの結線を,前記低圧の結線パターンと,前記高圧の結線パターンのいずれかに切り換える結線切換部41と,
前記発電機本体10と前記三相出力端子台20間の接続を,前記インバータ出力回路34を介して行うインバータ接続,又は,前記標準出力回路36を介して行う標準接続のいずれかに切り換える,接続切換部42と,
前記結線切換部41と前記接続切換部42を連動させる連動機構43を設け,
前記連動機構43は,
前記出力形式選択スイッチ40の前記切換ポジションが前記インバータ出力ポジションにあるとき,前記接続切換部42に前記インバータ接続を実行させると共に,前記結線切換部41に前記インバータの前記仕様電圧に対応した電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させることを特徴とする(請求項1;実施例1~6;図5~10参照)。
【0021】
前記連動機構43は,更に,
前記出力形式選択スイッチ40の前記切換ポジションが前記標準出力ポジションにあるとき,前記接続切換部42に前記標準接続を実行させると共に,前記結線切換部41に前記インバータの前記仕様電圧とは異なる電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させるように構成するものとしても良い(請求項2;実施例1~6;図5~10参照)。
【0022】
上記構成の出力可変型発電機1において,前記出力形式選択スイッチ40に,前記切換ポジションとして更に第2標準出力ポジションを設け,
前記連動機構43が,
前記出力形式選択スイッチ40の前記切換ポジションが前記第2標準出力ポジションにあるとき,前記接続切換部42に前記標準接続を実行させると共に,前記結線切換部41に前記インバータ32の前記仕様電圧に対応した電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させるように構成するものとしても良い(請求項3;実施例3,4;図7,8参照)。
【0023】
また,本発明の別の出力可変型発電機1は,
電機子コイルUa,Ub;Va,Vb;Wa,Wbの結線パターンの切り換えによって出力する三相交流を低圧(一例として200V)と高圧(一例として400V)とで切り換え可能とした発電機本体10を備えた出力可変型発電機1において,
前記発電機本体10と三相出力端子台20間に,前記低圧(一例として200V)に対応した仕様電圧を有する低圧インバータ32aを介して前記発電機本体10と前記三相出力端子台20を接続する低圧インバータ出力回路34aと,前記高圧(一例として400V)に対応した仕様電圧を有する高圧インバータ32bを介して前記発電機本体10と前記三相出力端子台20を接続する高圧インバータ出力回路34bを設けると共に,
前記低圧インバータ出力回路34aを介した出力を選択する低圧インバータ出力ポジションと,前記高圧インバータ出力回路34bを介した出力を選択する高圧インバータ出力ポジションを含む,少なくとも2つの切換ポジションを有する出力形式選択スイッチ(カムスイッチ)40を設け,
前記出力形式選択スイッチ40に,
前記発電機本体10の電機子コイルUa,Ub;Va,Vb;Wa,Wbの結線を,前記低圧の結線パターンと,前記高圧の結線パターンのいずれかに切り換える結線切換部41と,
前記発電機本体10と前記三相出力端子台20間の接続を,前記低圧インバータ出力回路34aを介して行う低圧インバータ接続,又は,前記高圧インバータ出力回路34bを介して行う高圧インバータ接続のいずれかに切り換える,接続切換部42と,
前記結線切換部41と前記接続切換部42を連動させる連動機構43を設け,
前記連動機構43は,
前記出力形式選択スイッチ40の前記切換ポジションが前記低圧インバータ出力ポジションにあるとき,前記接続切換部42に前記低圧インバータ接続を実行させると共に,前記結線切換部41に前記低圧インバータ32aの前記仕様電圧に対応した電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させ,
前記出力形式選択スイッチ40の前記切換ポジションが前記高圧インバータ出力ポジションにあるとき,前記接続切換部42に前記高圧インバータ接続を実行させると共に,前記結線切換部41に前記高圧インバータ32bの前記仕様電圧に対応した電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させることを特徴とする(請求項4;実施例7;図11参照)。
【0024】
このように,低圧仕様と高圧仕様の2台のインバータ32a,32bを設けた構成において,前記発電機本体10と三相出力端子台20間に,前記低圧インバータ32a及び前記高圧インバータ32bを介さずに前記発電機本体10と前記三相出力端子台20を接続する標準出力回路36を更に設けると共に,
前記出力形式選択スイッチ40に,前記切換ポジションとして更に低圧標準出力ポジションと,高圧標準出力ポジションを設け,
前記接続切換部42が,前記発電機本体10と前記三相出力端子台20間の接続を,前記標準出力回路36を介して行う標準接続に切り換え可能に構成されており,
前記連動機構43は,
前記出力形式選択スイッチ40の前記切換ポジションが前記低圧標準出力ポジションにあるとき,前記接続切換部42に前記標準接続を実行させると共に,前記結線切換部41に前記低圧に対応した電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させると共に,
前記出力形式選択スイッチ40の前記切換ポジションが前記高圧標準出力ポジションにあるとき,前記接続切換部42に前記標準接続を実行させると共に,前記結線切換部41に前記高圧に対応した電圧を発生する結線パターンへの切り換えを実行させるようにしても良い(請求項5;実施例7;図11参照)。
【0025】
上記いずれの出力可変型発電機1共に,前記出力形式選択スイッチ40の前記結線切換部41を,前記三相交流出力の前記低圧と前記高圧間の切り換えに加えて,更に,前記発電機本体10に単相交流を出力させる前記電機子コイルの結線パターンへの切り換えを可能に構成し,
前記出力形式選択スイッチ40に,前記切換ポジションとして更に,単相出力ポジションを設け,
前記連動機構43が,
前記出力形式選択スイッチ40の前記切換ポジションが前記単相出力ポジションにあるとき,前記接続切換部42に前記標準接続を実行させると共に,前記結線切換部41に前記単相交流を出力させる結線パターンへの切り換えを実行させるように構成するものとしても良い(請求項6;実施例1,2,8;図5,6,11参照)。
【発明の効果】
【0026】
以上で説明した本発明の出力可変型発電機1によれば,カムスイッチ等から成る出力形式選択スイッチ40を,所望の切換ポジションに切り換えるだけで,発電機本体10の電機子コイルUa,Ub;Va,Vb;Wa,Wbの結線パターンと,インバータ出力/標準出力の出力形式の切り換えを,同時に,且つ,正しい組み合わせとなるように行うことができた。
【0027】
その結果,出力形式の切り換え作業を極めて簡単に行うことができるだけでなく,インバータ32に対し,インバータ32の仕様電圧とは異なる電圧が入力されることを防止でき,仕様電圧とは異なる電圧がインバータに入力されることで生じるインバータ32の誤作動や破損等を確実に防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の出力可変型発電機の一実施形態の説明図であり(A)は低圧仕様又高圧仕様いずれか1台のインバータを設けた例,(B)は低圧仕様,高圧仕様2台のインバータを設けた例。
図2】電機子コイルの結線パターン(低圧三相交流)の説明図。
図3】電機子コイルの結線パターン(高圧三相交流)の説明図。
図4】電機子コイルの結線パターン(単相交流)の説明図。
図5】実施例1(200V仕様インバータ1基搭載/3つの切換ポジションを有する出力形式選択スイッチを使用)において選択可能な出力形式の一例を示した説明図であり,(A)は三相交流200Vのインバータ出力,(B)は三相交流400Vの標準出力,(C)は単相交流200V/100Vの標準出力。
図6】実施例2(400V仕様インバータ1基搭載/3つの切換ポジションを有する出力形式選択スイッチを使用)において選択可能な出力形式の一例を示した説明図であり,(A)は三相交流400Vのインバータ出力,(B)は三相交流200Vの標準出力,(C)は単相交流200V/100Vの標準出力。
図7】実施例3(200V仕様インバータ1基搭載/3つの切換ポジションを有する出力形式選択スイッチを使用)において選択可能な出力形式の一例を示した説明図であり,(A)は三相交流200Vのインバータ出力,(B)は三相交流200Vの標準出力,(C)は三相交流400Vの標準出力。
図8】実施例4(400V仕様インバータ1基搭載/3つの切換ポジションを有する出力形式選択スイッチを使用)において選択可能な出力形式の一例を示した説明図であり,(A)は三相交流400Vのインバータ出力,(B)は三相交流400Vの標準出力,(C)は三相交流200Vの標準出力。
図9】実施例5(200V仕様インバータ1基搭載/2つの切換ポジションを有する出力形式選択スイッチを使用)において選択可能な出力形式の一例を示した説明図であり,(A)は三相交流200Vのインバータ出力,(B)は三相交流400Vの標準出力。
図10】実施例6(400V仕様インバータ1基搭載/2つの切換ポジションを有する出力形式選択スイッチを使用)において選択可能な出力形式の一例を示した説明図であり,(A)は三相交流400Vのインバータ出力,(B)は三相交流200Vの標準出力。
図11】実施例7(200V仕様・400V仕様インバータ各1基搭載/4つの切換ポジションを有する出力形式選択スイッチを使用)において選択可能な出力形式の一例を示した説明図であり,(A)は三相交流200Vのインバータ出力,(B)は三相交流400Vのインバータ出力,(C)は三相交流200Vの標準出力,(D)は三相交流400Vの標準出力。
図12】実施例8(200V仕様・400V仕様インバータ各1基搭載/5つの切換ポジションを有する出力形式選択スイッチを使用)において,図11(A)~(D)に加えて更に選択可能な出力形式(単相交流200V/100Vの標準出力)を示した説明図。
図13】実施例1で採用可能な出力形式選択スイッチ(カムスイッチ)の構成例を示した説明図であり,(A)~(C)は切換レバーの切換ポジションの説明図,(D)は出力形式選択スイッチ(カムスイッチ)の説明図。
図14】実施例1で採用機能な出力形式選択スイッチ(カムスイッチ)の構成例を示す結線切換部の説明図。
図15】実施例1で採用可能な出力形式選択スイッチ(カムスイッチ)の構成例を示した接続切換部の説明図。
図16】電機子コイルの結線パターンの説明図であり,(A)は低圧の三相交流出力の結線パターン,(B)は高圧の三相交流出力の結線パターン,(C)は単相交流出力の結線パターン。
図17】電機子コイルの結線パターンの切り換えに使用されていた端子板(従来技術)の説明図であり,(A),(B)は短絡板の組み替え前後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照しながら本発明の出力可変型発電機1について説明する。
【0030】
なお,以下の実施形態では,発電機本体10が低圧の三相交流として200V,高圧の三相交流として400Vを出力すると共に,単相交流として200Vと100Vを出力するものとして説明するが,発電機本体10が出力する三相交流及び単相交流の電圧はこれに限定されない。
【0031】
〔出力可変型発電機の全体構成〕
図1中の符号1は,本発明の出力可変型発電機であり,この出力可変型発電機1は,発電機本体10,該発電機本体10で発生した電力の供給を受ける負荷(図示せず)が接続される三相出力端子台20,及び,前記発電機本体10と三相出力端子台20間を接続する出力回路30を備えている。
【0032】
この出力回路30には,カムスイッチ等の機械式スイッチから成る出力形式選択スイッチ40が設けられており,この出力形式選択スイッチ40の操作によって三相出力端子台20を介して負荷に対して行われる電力の出力形式を切り換えることができるように構成されている。
【0033】
〔発電機本体〕
本発明の出力可変型発電機1に搭載する発電機本体10は,U,V,Wの各相の電機子がそれぞれ一対の電機子コイル(UaとUb;VaとVb;WaとWb)により構成されており,この電機子コイルUa,Ub;Va,Vb;Wa,Wbの結線パターンを,後述する出力形式選択スイッチ40の結線切換部41によって三相交流200Vの出力が得られる結線パターン(図2参照),三相交流400Vの出力が得られる結線パターン(図3参照),及び,必要に応じて単相交流200V/100Vの出力が得られる結線パターン(図4参照)間で切り換えることができるように構成されている。
【0034】
図2図4に示す例では,U相,V相,及びW相の電機子のそれぞれをいずれも同一巻数の一対の電機子コイルUaとUb;VaとVb;WaとWbによって形成すると共に,電機子コイルUaの両端に接続点T1,T4を,電機子コイルUbの両端に接続点T7,T10を,電機子コイルVaの両端に接続点T2,T5を,電機子コイルVbの両端に接続点T8,T11を,電機子コイルWaの両端に接続点T3,T6を,電機子コイルWbの両端に接続点T9,T12をそれぞれ設け,この接続点T1~T12を介して電機子コイル同士を接続可能としている。
【0035】
このように構成することで,電機子コイルの接続点T1とT7,T4とT10,T2とT8,T5とT11,T3とT9,T6とT12を電気的に接続することで,電機子コイルUaとUb,VaとVb,及びWaとWbをそれぞれ並列に接続することができ,このようにU,V,Wの相毎に並列に接続された電機子コイルUa,Ub;Va,Vb;Wa,Wbを図2に示すようにスター結線とすることで三相交流200Vを出力する結線パターンが得られると共に,図4に示す状態に直列に接続することで,単相交流200V/100Vを出力する結線パターンを得ることができる。
【0036】
また,電機子コイルの接続点T4とT7,T5とT8,T6とT9を電気的に接続することで,電機子コイルUaとUb,VaとVb,及びWaとWbをそれぞれ直列に接続することができ,これを図3に示すようにスター結線することで,図2に示した結線パターンに対して2倍の電圧である三相交流400Vを出力する結線パターンを得ることができる。
【0037】
なお,図2図4の構成例では,図2に示した三相交流200Vを出力する結線パターン,及び図3に示した三相交流400Vを出力する結線パターンであっても,単相交流100Vを取り出すことができるように,電機子コイルUbに中間タップU2を,電機子コイルWbに中間タップW2をそれぞれ設け,中性点Nと中間タップU2間,及び,中性点Nと中間タップW2間でそれぞれ単相交流100Vの出力を得ることができるようにしている。
【0038】
〔出力回路〕
以上のように構成された発電機本体10で発生した電力は,出力回路30(図1参照)を介して三相出力端子台20に接続された負荷に供給される。
【0039】
この出力回路30には,図1(A)に示すようにインバータ32を備えたインバータ出力回路34と,発電機本体10が出力した交流を,インバータ32を介さずに直接出力端子台20に接続された負荷に対して出力する標準出力回路36が設けられており,このうちのいずれか一方の回路34又は36を選択して発電機本体10と三相出力端子台20間の接続を行うことで,インバータ32によって周波数変換がされた三相交流を出力するインバータ出力と,発電機本体10からの三相交流を直接出力する標準出力を選択することができるように構成されている。
【0040】
なお,図1(A)に示す実施形態では,出力回路に200V仕様又は400V仕様のいずれか一方の仕様のインバータ32を一基のみ設け,一のインバータ出力回路34と,一の標準出力回路36のいずれか一方を選択して出力を行うようにした構成例を示した。
【0041】
これに対し,図1(B)に示すようにインバータとして200Vの低圧仕様インバータ32aと,400Vの高圧仕様インバータ32bをそれぞれ設け,出力回路に,200V仕様のインバータ32aを備えた低圧インバータ出力回路34aと,400V仕様のインバータ32bを備えた高圧インバータ出力回路34b,更に,必要に応じてこれらのインバータ32a,32bのいずれ共にバイパスする標準出力回路36を設け,これらのいずれか1つを選択することができるようにしても良い。
【0042】
〔出力形式選択スイッチ〕
(1)出力形式選択スイッチの概要
発電機本体10と三相出力端子台20との間に設けられた前述の出力回路30には,出力形式選択スイッチ40が設けられている。
【0043】
この出力形式選択スイッチ40は,図1(A),(B)に示すように結線切換部41と接続切換部42,及び,結線切換部41と接続切換部42を連動させる連動機構43を備えている。
【0044】
このうちの結線切換部41は,発電機本体10の電機子コイルの結線パターンの切り換えを行う。
【0045】
また,接続切換部42は,発電機本体10と三相出力端子台20間の接続を行う回路を,前述したインバータ出力回路34と標準出力回路36〔図1(B)の例では,低圧インバータ出力回路34a,高圧インバータ出力回路34b,及び標準出力回路36〕のいずれかによる接続に切り換える処理を行う。
【0046】
更に,前述の連動機構43は,結線切換部41による切り換え後の結線パターンと,接続切換部42によって選択された出力回路が正しい組み合わせとなるように結線切換部41と接続切換部42を連動させ,これによりインバータ32に対し仕様電圧とは異なる電圧が入力されることを防止する。
【0047】
出力回路30に設けるインバータ32の数及び仕様,及び,出力形式選択スイッチ40に設ける切換ポジションの数に応じて選択可能な出力形式の組合せの一例を,下記の表1に実施例1~8として示す。
【0048】
もっとも,選択可能な出力形式の組み合わせとしては,例えば実施例3~6の構成に更に単相交流200V/100Vの出力を追加で選択できるように構成するものとしても良く,また,実施例7及び8の構成から,三相交流200V及び/又は400Vの標準出力の選択を除外する等しても良く,採用可能な出力形式の組み合わせは,表1に記載のものに限定されない。
【0049】
【表1】
【0050】
(2)カムスイッチによる出力形式選択スイッチの構成例(実施例1)
(2-1) カムスイッチの全体構成
発電機本体10の電機子コイルの結線パターンの切り換えと,出力回路の選択を正しい組み合わせで同時に行う前述の出力形式選択スイッチ40は,例えばカムスイッチ等の機械式スイッチにより形成することができる。
【0051】
一例として,前掲の表1中に実施例1として挙げた出力形式の選択を可能とする出力形式選択スイッチ40をカムスイッチによって実現した構成例を,図13図15を参照して説明するが,出力形式選択スイッチ40は以下に説明する構成に限定されず,各種の構成を採用可能である。
【0052】
実施例1で出力形式選択スイッチ40として採用したカムスイッチは,図13(D)に示すように1番から68番までの接点を有しており,切換レバー44の操作によって奇数番の接点と,この奇数番の接点に対し+1した偶数番の接点間を開閉操作するカム機構等からなる連動機構43(図1参照)を備え,これにより切換レバー44の切換ポジションに応じて偶数番の接点と奇数番の接点間の接続状態を所定の組み合わせで切り換えることができるように構成されている。
【0053】
本実施例では,カムスイッチ40に設けた接点のうち,25番接点から52番接点の部分を,発電機本体10に設けた電機子コイルの結線パターンを切り換える前述した結線切換部41に割り当てると共に,1番接点から24番接点,及び53番接点から68番接点の部分を前述の接続切換部42に割り当てている。
【0054】
そして,切換レバー44を,三相交流200Vのインバータ出力を選択する切換ポジション〔図13(A)〕,三相交流400Vの標準出力を選択する切換ポジション〔図13(B)〕,及び,単相交流200V/100Vの出力を選択する切換ポジション〔図13(C)〕の3つのポジション間で切り換え可能に構成し,切換レバー44の切換ポジションに応じて,それぞれ下記の表2に示す組み合わせの接点間を導通させることができるようにカムスイッチ40を構成した。
【0055】
【表2】
【0056】
(2-2) 結線切換部(25番~52番接点)
図14は,図13(D)に示したカムスイッチ40のうち,結線切換部41として割り当てた25番接点から52番接点部分の拡大図である。
【0057】
この結線切換部41において,25番と27番,28番と32番,29番と41番と50番,30番と34番,33番と37番と39番と35番,38番と42番と46番と48番,40番と44番,45番と49番,47番と51番,及び,43番と36番の各接点がそれぞれ短絡されていると共に,43番と36番の接点が後述する接続切換部42の10番接点に接続されている。
【0058】
そして,電機子コイルUa,Ub,Va,Vb,Wa,Wbに設けた接続点T1~T12が,結線切換部41の接点に対し下記の通り接続されている。
・電機子コイルUaの接続点T1と結線切換部の31番接点。
・電機子コイルUaの接続点T4と結線切換部の25番接点。
・電機子コイルUbの接続点T7と結線切換部の28番接点。
・電機子コイルUbの接続点T10と結線切換部の26番接点。
・電機子コイルVaの接続点T2と結線切換部の40番接点。
・電機子コイルVaの接続点T5と結線切換部の30番接点。
・電機子コイルVbの接続点T8と結線切換部の35番接点。
・電機子コイルVbの接続点T11と結線切換部の29番接点。
・電機子コイルWaの接続点T3と結線切換部の52番接点。
・電機子コイルWaの接続点T6と結線切換部の48番接点。
・電機子コイルWbの接続点T9と結線切換部の47番接点。
・電機子コイルWbの接続点T12と結線切換部の45番接点。
【0059】
(2-3) 接続切換部(1~24番,及び53番~68番接点)
カムスイッチ40の1番~24番接点,及び,53番~68番接点は,発電機本体10と三相出力端子台20間の接続を,前述したインバータ出力回路34と標準出力回路36のいずれか一方による接続に切り換える接続切換部42として割り当てられている。
【0060】
図15に示すように,接続切換部42を構成する接点のうち1番と55番,3番と59番,6番と8番,7番と11番,10番と14番,13番と17番,16番と20番,19番と23番,54番と56番,58番と60番,及び,62番と64番と66番はそれぞれ短絡されている。
【0061】
そして,接続切換部42を構成する各接点に対し,電機子コイルUa,Ub;Va,Vb;Wa,Wbの接続点,結線切換部41の接点,三相出力端子台20,及び単相出力用のコンセント51~53が,それぞれ下記の組み合わせで接続されている。
・電機子コイルUaの接続点T1と接続切換部42の6番接点。
・電機子コイルWaの接続点T3と接続切換部42の16番接点。
・電機子コイルUbの中間タップU2と接続切換部42の53番接点。
・電機子コイルWbの中間タップW2と接続切換部42の57番接点。
・三相出力端子台20の端子L1と接続切換部42の1番及び7番接点。
・三相出力端子台20の端子L2と接続切換部42の13番接点。
・三相出力端子台20の端子L3と接続切換部42の3番及び19番接点。
・インバータ32の入力端子Rと接続切換部42の5番接点。
・インバータ32の入力端子Sと接続切換部42の9番接点。
・インバータ32の入力端子Tと接続切換部42の15番接点。
・インバータ32の出力端子Uと接続切換部42の12番接点。
・インバータ32の出力端子Vと接続切換部42の18番接点。
・インバータ32の出力端子Wと接続切換部42の24番接点。
・結線切換部41の36番及び43番接点と接続切換部42の10番接点。
・単相200V用コンセント51と接続切換部42の2番,4番接点。
・第1単相100V用コンセント52と接続切換部42の54番接点。
・第2単相100V用コンセント53と接続切換部42の58番接点。
【0062】
(2-4) カムスイッチにおける切り換え動作の説明
カムスイッチ40を以上のように構成したことで,切換レバー44の操作により,カムスイッチ40は以下のように結線切換部41による発電機本体10の電機子コイルの結線パターンの切り換えと,接続切換部42によるインバータ出力回路34又は標準出力回路36による接続の切り換えを連動させて行う。
【0063】
(2-4-1) 三相交流200Vのインバータ出力の選択時
切換レバー44の切換ポジションを図13(A)の位置として,三相交流200Vのインバータ出力を選択すると,表2に示したように図14に示した結線切換部41の25番接点と26番接点,及び31番接点と32番接点が接続されることで,電機子コイルの接続点T4とT10,及びT1とT7が接続されることにより,電機子コイルUaとUbが並列に接続される。
【0064】
また,結線切換部41の29番接点と30番接点が接続されると共に43番接点と44番接点が接続され,また,35番接点と36番接点が接続されることにより電機子コイルの接続点T5とT11,及びT2とT8が接続されて電機子コイルVaとVbが並列に接続されると共に接続点T2が後述する接続切換部の10番接点に接続される。
【0065】
更に,結線切換部41の41番接点と42番接点,及び51番接点と52番接点が接続されることにより,電機子コイルの接続点T6とT12,及びT3とT9が接続されて電機子コイルWaとWbが並列に接続される。
【0066】
そして,結線切換部41の49番接点と50番接点が接続されることにより電機子コイルVbの接続点T11と電機子コイルWbの接続点T12が接続される。
【0067】
電機子コイルWbの接続点T12と接続された電機子コイルVbの接続点T11は,図14に示すように三相出力端子台20の端子Nに接続されており,また,電機子コイルWbの接続点T10も三相出力端子台20の端子Nに接続されていることから,これにより接続点T10,T11及びT12が電気的に接続される。
【0068】
その結果,発電機本体10の電機子コイルは,図2に示す三相交流200Vの結線パターンに切り換わる。
【0069】
切換レバー44によって三相交流200Vのインバータ出力が選択されているとき,結線切換部41の43番接点には44番接点及び40番接点を介して電機子コイルVaの接続点T2(V相)が接続されている。そのため,結線切換部41の43番接点に接続された接続切換部42の10番接点は,電機子コイルVaの接続点T2(V相)と電気的に接続されている。
【0070】
また,図15に示すように接続切換部42の6番接点には電機子コイルUaの接続点T1(U相)が,16番接点には電機子コイルWaの接続点T3(W相)がそれぞれ接続されている。
【0071】
そして,三相交流200Vのインバータ出力が選択されているとき,接続切換部42の5番接点と6番接点,9番接点と10番接点,及び,15番接点と16番接点がそれぞれ電気的に接続されている(表2参照)。
【0072】
その結果,6番接点に接続された電機子コイルUaの接続点T1(U相)と5番接点に接続されたインバータ32の入力端子R,10番接点に接続された電機子コイルVaの接続点T2(V相)と9番接点に接続されたインバータ32の入力端子S,及び,16番接点に接続された電機子コイルWaの接続点T3(W相)と15番接点に接続されたインバータ32の入力端子Tがそれぞれ接続されて,発電機本体10が出力した三相交流200Vが,200V仕様のインバータ32(表2参照)に入力される。
【0073】
図15に示すように,インバータ32の出力端子U,V,Wはそれぞれ接続切換部42の12番,18番,及び24番接点に接続されている。そして,三相交流200Vのインバータ出力が選択されているとき,12番接点は11番接点と,18番接点は17番接点と,24番接点は23番接点とそれぞれ電気的に接続される。
【0074】
そして,11番接点と短絡させた7番接点には三相出力端子台20の端子L1が,17番接点と短絡させた13番接点には三相出力端子台20の端子L2が,23番接点と短絡させた19番接点には三相出力端子台20の端子L3がそれぞれ接続されている。その結果,インバータ32で所定周波数に変換された三相交流200Vを三相出力端子台20より取り出すことができるようになっている。
【0075】
また,三相交流200Vのインバータ出力が選択されているとき,電機子コイルUbに設けた中間タップU2が接続された接続切換部42の53番接点は54番接点と電気的に接続されていると共に,電機子コイルWbに設けた中間タップW2が接続された接続切換部42の57番接点は58番接点と電気的に接続される(表2参照)。
【0076】
その結果,54番接点に接続された第1単相100V用コンセント52と,58番接点に接続された第2単相100V用コンセント53の一方の端子が電機子コイルUb,Wbに設けた中間タップU2,W2にそれぞれ接続される。
【0077】
この第1及び第2単相100V用コンセント52,53の他方の端子は,三相出力端子台20に設けた端子Nを介して,電機子コイルの接続点T10,T11,及びT12,従って,図2に示すスター結線の中性点Nに接続されている。
【0078】
これにより,第1,第2単相100V用コンセント52,53からは,中性点Nと中間タップU2間,又は中性点Nと中間タップW2間で発生した単相100Vの交流をそれぞれ取り出すことができるようになっている。
【0079】
一方,三相交流200Vのインバータ出力が選択されている際,単相200V用のコンセントが接続されている接続切換部42の2番接点と4番接点は,他の接点と電気的な接続がされておらず,従って,単相200V用コンセントは使用できない状態となっている。
【0080】
(2-4-2) 三相交流400Vの標準出力選択時
カムスイッチ40の切換レバー44を図13(B)の位置に操作して,三相交流400Vの標準出力を選択すると,結線切換部41の27番接点と28番接点が接続されることにより図14に示す結線接続部41の接続点T4とT7が接続されて電機子コイルUaとUbが直列に接続される。
【0081】
また,結線切換部41の33番接点と34番接点が接続されることにより接続点T5とT8が接続されて電機子コイルVaとVbが直列に接続される。
【0082】
更に,結線切換部41の47番接点と48番接点が接続されることにより接続点T9とT6が接続されて電機子コイルWaとWbが直列に接続される。
【0083】
そして,結線切換部41の49番接点と50番接点が接続されることにより電機子コイルVbの接続点T11と電機子コイルWbの接続点T12が接続される。
【0084】
電機子コイルVbの接続点T11と電機子コイルUaの接続点T10は,いずれも三相出力端子台20の端子Nに接続されていて電気的に接続されている。
【0085】
その結果,発電機本体10の電機子コイルの結線パターンは,各相の電機子コイルUaとUb;VaとVb;WaとWbを直列に接続したスター結線である,図3に示した三相交流400Vの結線パターンに切り換わる。
【0086】
また,結線切換部の43番接点が44番接点と40番接点に電気的に接続されることにより電機子コイルVaの接続点T2(V相)が接続切換部の10番接点に接続される。
【0087】
更に,接続切換部42の6番接点には電機子コイルUaの接続点T1(U相)が,16番接点には電機子コイルWaの接続点T3(W相)がそれぞれ接続されている。
【0088】
三相交流400Vの標準出力が選択されているとき,5番接点と6番接点,9番接点と10番接点,及び,15番接点と16番接点は電気的に遮断された状態となっているため,5番接点,9番接点,及び,15番接点に接続されたインバータ32の入力端子R,S,Tは,電機子コイルの接続点T1(U相),T2(V相),T3(W相)から電気的に遮断されており,その結果,200V仕様のインバータ32(表1参照)に対し発電機本体10で発生した400Vの三相交流が入力されることが防止されている。
【0089】
一方,三相交流400Vの標準出力が選択されているとき,電機子コイルUaの接続点T1(U相)が接続された6番接点と短絡されている8番接点は三相出力端子台20の端子L1が接続された7番接点と電気的に接続されており,また,電機子コイルVaの接続点T2(V相)が接続された10番接点と短絡されている14番接点は三相出力端子台20の端子L2が接続された13番接点と電気的に接続されており,更に,電機子コイルWaの接続点T3(W相)が接続された16番接点と短絡されている20番接点は三相出力端子台20の端子L3が接続された19番接点と電気的に接続されている。
【0090】
従って,三相交流400Vの標準出力の選択時,発電機本体10が発生した400Vの三相交流は,インバータ32を介することなく直接,三相出力端子台20より取り出すことができるようになっている。
【0091】
なお,三相交流400Vの標準出力が選択されている際においても,53番接点と54番接点,及び57番接点と58番接点間が電気的に接続されることにより,第1,第2単相100V用コンセント52,53より発電機本体10より直接単相100Vが取り出せる点,及び,1番接点と2番接点,3番接点と4番接点間が電気的に遮断されており,単相200V用コンセント51が使用できない点は,三相交流200Vのインバータ出力が選択されている場合と同様である。
【0092】
(2-4-3) 単相200V/100V出力選択時
カムスイッチ40の切換レバー44を図13(C)の位置に操作して,単相交流200V/100Vの出力を選択すると,結線切換部41の25番接点と26番接点,及び31番接点と32番接点が接続されることにより接続点T4とT10及び接続点T1とT7が接続されて電機子コイルUaとUbが並列に接続される。
【0093】
また,結線切換部41の29番接点と30番接点が接続されると共に39番接点と40番接点が接続されることにより接続点T5とT11及び接続点T2とT8が接続されて電機子コイルVaとVbが並列に接続される。
【0094】
また,結線切換部41の45番接点と46番接点,及び51番接点と52番接点が接続されることにより接続点T6とT12及び接続点T3とT9が接続されて電機子コイルWaとWbが並列に接続される。
【0095】
更に,結線切換部41の37番接点と38番接点,39番接点と40番接点,及び45番接点と46番接点が接続されることにより接続点T2,T6,T8,及びT12が接続される。
【0096】
そして,電機子コイルUbの接続点T10と電機子コイルVbの接続点T11はいずれも三相出力端子台20の端子Nに接続されており,接続点T10とT11は電気的に接続されている。
【0097】
従って,発電機本体10の電機子コイルUa,Ub;Va,Vb;Wa,Wbの結線パターンは,図4に示す単相交流200V/100Vの結線パターンに切り換わる。
【0098】
単相交流200V/100V出力の選択時,電機子コイルUaの接続点T1(U相)と接続された6番接点,電機子コイルVaの接続点T2(V相)と結線切換部41の43番接点を介して接続された10番接点,及び,電機子コイルWaの接続点T3(W相)と接続された16番接点は,インバータ32の入力端子R,S,Tが接続された5番接点,9番接点,及び15番接点と電気的に遮断された状態にあり,発電機本体10が出力した単相交流がインバータ32に入力されることがないようになっている。
【0099】
一方,単相200V/100V出力の選択時,電機子コイルUaの接続点T1(U相)が接続された6番接点と短絡させた8番接点,電機子コイルVaの接続点T2(V相)が接続された10番接点と短絡させた14番接点,及び,電機子コイルWaの接続点T3(W相)が接続された16番接点と短絡させた20番接点は,三相出力端子台20の端子L1,L2,L3が接続された7番接点,13番接点,及び19番接点と電気的に接続されている。
【0100】
また,電機子コイルUbの接続点T10と,電機子コイルVbの接続点T11は,いずれも三相出力端子台20の端子Nに接続されている。
【0101】
従って,単相200V/100V出力の選択時,発電機本体10が発生した単相出力は,インバータ32を介することなく直接,三相出力端子台20より取り出すことができる。
【0102】
また,単相200V/100V出力の選択時,単相200V用のコンセント51が接続された接続切換部42の2番接点と4番接点は,三相出力端子台20の端子L1,L3と接続された1番接点,及び3番接点と電気的に接続される。
【0103】
その結果,単相200V用のコンセント51は,図4に示した単相交流出力の結線パターンにおいて電機子コイルUaの接続点T1(U相)と電機子コイルWaの接続点T3(W相)に接続されることで,該コンセント51より200Vの単相交流を取り出すことができる。
【0104】
また,単相200V/100V出力の選択時には,53番接点と54番接点間,及び57番接点と58番接点間が電気的に遮断されることで,54番接点に接続された第1単相100V用コンセント52と電機子コイルUbの中間タップU2間の接続が遮断されると共に,58番接点に接続された第2単相100V用コンセント53と電機子コイルWbの中間タップW2間の電気的な接続が遮断される。
【0105】
一方,第1単相100V用コンセント52が接続された54番接点と短絡された56番接点が55番接点と電気的に接続されることにより,第1単相100V用コンセント52は55番接点と短絡された1番接点に接続された三相出力端子台20の端子L1に接続される。その結果,第1単相100V用コンセント52からは,電機子コイルUaの接続点T1と中性点N間の単相交流100Vを取り出すことができる。
【0106】
また,第2単相100V用コンセント53が接続された58番接点と短絡された60番接点が59番接点と電気的に接続されることにより,第2単相100V用コンセント53は59番接点と短絡された3番接点に接続された三相出力端子台20の端子L3に接続される。その結果,第2単相100V用コンセント53からは,電機子コイルWaの接続点T3と中性点N間の単相交流100Vを取り出すことができる。
【0107】
(3)その他
以上,図13図15を参照して,表1に示した実施例1の構成における出力形式選択スイッチ(カムスイッチ)40の構成例を示したが,出力可変型発電機1に搭載するインバータ32の仕様や台数,選択可能とする出力形式の数等に対応して,出力形式選択スイッチ40に設ける切換ポジション数,結線切換部41において切り換え可能な結線パターン数,接続切換部42で切り換え可能な出力回路数は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 出力可変型発電機
10 発電機本体
20 三相出力端子台
30 出力回路
32 インバータ
32a インバータ(低圧仕様)
32b インバータ(高圧仕様)
34 インバータ出力回路
34a 低圧インバータ出力回路
34b 高圧インバータ出力回路
36 標準出力回路
40 出力形式選択スイッチ(カムスイッチ)
41 結線切換部
42 接続切換部
43 連動機構
44 切換レバー
51 単相200V用コンセント
52 第1単相100V用コンセント
53 第2単相100V用コンセント
140 端子板
141 端子
142 短絡板
T1~T12 接続点(電機子コイルの)
L1,L2,L3,N 端子(三相出力端子台の)
R,S,T 入力端子(インバータの)
U,V,W 出力端子(インバータの)
Ua,Ub,Va,Vb,Wa,Wb 電機子コイル
図1
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