(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004344
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240109BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B41J29/38 104
B41J29/38 201
G03G21/00 370
G03G21/00 386
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103967
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀 俊和
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061HJ06
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HN15
2C061HT01
2H270KA35
2H270KA60
2H270MF14
2H270MG03
2H270MG07
2H270MH16
2H270MH18
2H270NA01
2H270NB15
2H270ND02
2H270QA06
2H270QA21
2H270QA43
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZD04
2H270ZD08
(57)【要約】
【課題】省エネルギー化及びユーザの快適性の向上を実現する。
【解決手段】コントローラは、受信中の印刷ジョブデータをメモリ印刷の対象としないと判定した場合(S14:NO,S17:NO)、第1電力状態で印刷ジョブデータを受信する一方、メモリ印刷の対象とすると判定した場合(S13:YES,S14:YES,S16:YES,S17:YES)、第1電力状態よりも省電力の状態である第2電力状態で印刷ジョブデータを受信する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、
ユーザインタフェースと、
外部装置と通信する通信インタフェースと、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記外部装置から送信される印刷ジョブデータを受信する受信処理と、
前記受信処理にて受信中の前記印刷ジョブデータをメモリ印刷の対象とするか否かを判定する判定処理と、
を実行し、
前記判定処理にて、前記受信中の印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象としないと判定した場合、第1電力状態で前記印刷ジョブデータを受信し、受信された前記印刷ジョブデータに基づく印刷を実行する一方、前記受信中の印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象とすると判定した場合、前記第1電力状態よりも省電力の状態である第2電力状態で前記印刷ジョブデータを受信し、受信された前記印刷ジョブデータを前記メモリに記憶させた後、前記ユーザインタフェースを介してユーザの操作を受け付けたことに応じて、前記メモリ印刷の対象であって前記メモリに記憶した前記印刷ジョブデータを印刷するように構成された印刷装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記受信処理にて前記印刷ジョブデータを受信したことを契機として、前記判定処理を開始し、
前記判定処理にて、受信中の前記印刷ジョブデータにメモリ印刷を示す情報が含まれているか否かを判定し、前記受信中の印刷ジョブデータに前記メモリ印刷を示す情報が含まれている場合、前記受信中の印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象とすると判定するように構成された請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記メモリ印刷は、
前記外部装置から受信した前記印刷ジョブデータ、及び前記印刷ジョブデータに含まれる認証情報を当該印刷ジョブデータに対応付けて前記メモリに記憶し、前記認証情報が入力されたことを契機として、前記メモリに記憶した前記印刷ジョブデータを印刷するセキュア印刷である請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
所定の準備動作を行う印刷準備処理を実行し、
前記印刷ジョブデータに先行して前記外部装置から送信される先行コマンドを受信したことを契機として、前記判定処理を開始し、
前記判定処理にて、前記先行コマンドに前記セキュア印刷を示す情報が含まれていない場合に、前記受信中の印刷ジョブデータを前記セキュア印刷の対象としないと判定し、前記印刷準備処理を実行する一方、前記先行コマンドに前記セキュア印刷を示す情報が含まれている場合に、前記受信中の印刷ジョブデータを前記セキュア印刷の対象とすると判定し、前記印刷準備処理を実行しないように構成された請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
所定の準備動作を行う印刷準備処理を実行し、
前記印刷ジョブデータに先行して前記外部装置から送信される先行コマンドを受信したことを契機として、前記判定処理を開始し、
前記判定処理にて、前記先行コマンドに前記セキュア印刷を示す情報が含まれていると判定した場合、当該先行コマンドに対応し、前記印刷ジョブデータに基づいて生成される蓄積ジョブデータを、前記印刷ジョブデータの識別情報と関連付けて前記メモリに記憶する蓄積処理を実行し、
前記認証情報が入力されたことを契機に、前記印刷ジョブデータを印刷するように構成された請求項3に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記印刷ジョブデータを受信したことを契機として、前記判定処理を開始し、
前記判定処理にて、前記メモリに前記メモリ印刷を示す設定値が記憶されている場合、前記受信中の印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象とすると判定するように構成された請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記メモリ印刷は、
前記外部装置から受信した前記印刷ジョブデータ、及びユーザ情報を当該印刷ジョブデータに対応付けて前記メモリに記憶し、前記ユーザインタフェースを介して前記ユーザ情報を受け付けたことを契機として、前記メモリに記憶した前記印刷ジョブデータを印刷する蓄積印刷である請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
所定の準備動作を行う印刷準備処理を実行し、
前記印刷ジョブデータに先行して前記外部装置から送信される先行コマンドを受信したことを契機として、前記判定処理を開始し、
前記判定処理にて、前記メモリに前記蓄積印刷を示す情報が含まれていない場合、前記受信中の印刷ジョブデータを前記蓄積印刷の対象としないと判定し、前記印刷準備処理を実行する一方、
前記メモリに前記蓄積印刷を示す情報が含まれている場合、前記受信中の印刷ジョブデータを前記蓄積印刷の対象とすると判定し、前記印刷準備処理を実行しないように構成された請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記印刷ジョブデータに先行して前記外部装置から送信される先行コマンドを受信したことを契機として、前記判定処理を開始し、
前記判定処理にて、前記メモリに前記蓄積印刷を示す情報が含まれていると判定した場合、前記印刷ジョブデータに基づいて生成される蓄積ジョブデータを、前記印刷ジョブデータに含まれる識別情報と関連付けて前記メモリに記憶する蓄積処理を実行し、
前記識別情報が入力されたことを契機として、前記印刷ジョブデータを印刷するように構成された請求項7に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記コントローラは、
所定の準備動作を行う印刷準備処理を実行し、
前記第1電力状態は、前記準備動作により電力が消費される状態であり、
前記第2電力状態は、前記準備動作による電力の消費がない状態であり、
前記判定処理にて、前記第2電力状態のとき、受信中の前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象としないと判定した場合、前記印刷準備処理を実行開始した後、前記第1電力状態で前記印刷ジョブデータを受信する一方、前記第2電力状態のとき、受信中の前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象とすると判定した場合、前記印刷準備処理を実行開始せず、前記第2電力状態で前記印刷ジョブデータを受信するように構成された請求項1に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記第2電力状態のとき、前記印刷ジョブデータに先行して前記外部装置から送信される先行コマンドを受信したことを契機として、前記判定処理を実行し、
前記判定処理にて、前記先行コマンドの後に送信される前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象とするか否かを判定し、前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象としないと判定した場合、前記印刷準備処理を実行開始し、前記第1電力状態で前記印刷ジョブデータを受信する一方、前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象とすると判定した場合、前記印刷準備処理を実行開始せず、前記第2電力状態で前記印刷ジョブデータを受信するように構成された請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記第1電力状態は、前記ユーザインタフェースに通電がされており、且つ省電力でない状態であり、
前記第2電力状態は、前記ユーザインタフェースが前記省電力の状態であり、
前記コントローラは、
前記判定処理にて、前記第2電力状態のとき、受信中の前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象としないと判定した場合、前記ユーザインタフェースの前記省電力の状態を解除し、前記第1電力状態で前記印刷ジョブデータを受信する一方、前記第2電力状態のとき、受信中の前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象とすると判定した場合、前記ユーザインタフェースの前記省電力の状態を解除せず、前記第2電力状態で前記印刷ジョブデータを受信するように構成された請求項1に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記コントローラは、
前記第2電力状態のとき、前記印刷ジョブデータに先行して前記外部装置から送信される先行コマンドを受信したことを契機として、前記判定処理を開始し、
前記判定処理にて、先行コマンドの後に送信される前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象とするか否かを判定し、前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象としないと判定した場合、前記ユーザインタフェースの前記省電力の状態を解除し、前記第1電力状態で前記印刷ジョブデータを受信する一方、前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象とすると判定した場合、前記ユーザインタフェースの前記省電力の状態を解除せず、前記第2電力状態で前記印刷ジョブデータを受信するように構成された請求項12に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記ユーザインタフェースは、操作パネルであり、
前記第1電力状態は、前記操作パネルが点灯した状態であり、
前記第2電力状態は、前記操作パネルが消灯した状態である請求項12または13に記載の印刷装置。
【請求項15】
メモリと、
ユーザインタフェースと、
外部装置と通信する通信インタフェースと、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記外部装置から送信される印刷ジョブデータを受信する受信処理と、
前記ユーザインタフェースが省電力の状態である第2電力状態のとき、前記印刷ジョブデータに先行して前記外部装置から送信される先行コマンドを受信したことを契機として、前記先行コマンドの後に送信される前記印刷ジョブデータをメモリ印刷の対象とするか否かを判定する判定処理と、
を実行し、
前記判定処理にて、前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象としないと判定した場合、前記ユーザインタフェースの前記省電力の状態を解除し、前記ユーザインタフェースにて電力が消費される状態である第1電力状態で前記印刷ジョブデータを受信する一方、前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象とすると判定した場合、前記ユーザインタフェースの前記省電力の状態を解除せず、前記第2電力状態で前記印刷ジョブデータを受信するように構成された印刷装置。
【請求項16】
加熱ローラと、ヒータとを有する定着器を、更に備え、
前記コントローラは、
前記印刷準備処理にて、前記準備動作として、前記加熱ローラを回転させると共に、前記ヒータにより前記加熱ローラを加熱させることを特徴とする請求項4、8、10に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷データのスプールと、印刷装置の暖機処理とを並行して行うことにより、FPOT(First Print Out Timeの略)を短縮した印刷装置について開示されている。特許文献1の印刷装置では、印刷データに先行して受信した起動用データをトリガーとして、暖機処理が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、印刷ジョブを受信した後に直ぐに印刷を行わないで、印刷ジョブの印刷を許可する情報が入力されたことを契機に、当該印刷ジョブの印刷を開始することが可能な印刷装置がある。このような印刷装置において、特許文献1の技術を適用した場合、印刷ジョブを受信してから印刷が開始されるまでの間、無駄に暖機処理が継続されることにより、ユーザに違和感を与えると共に、省エネルギー性能が低下するという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、省エネルギー化及びユーザの快適性の向上を実現できる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本開示の一態様に係る印刷装置は、メモリと、ユーザインタフェースと、外部装置と通信する通信インタフェースと、コントローラと、を備えている。前記コントローラは、前記外部装置から送信される印刷ジョブデータを受信する受信処理と、前記受信処理にて受信中の前記印刷ジョブデータをメモリ印刷の対象とするか否かを判定する判定処理と、を実行し、前記判定処理にて、前記受信中の印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象としないと判定した場合、第1電力状態で前記印刷ジョブデータを受信し、受信された前記印刷ジョブデータに基づく印刷を実行する一方、前記受信中の印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象とすると判定した場合、前記第1電力状態よりも省電力の状態である第2電力状態で前記印刷ジョブデータを受信し、受信された前記印刷ジョブデータを前記メモリに記憶させた後、前記ユーザインタフェースを介してユーザの操作を受け付けたことに応じて、前記メモリ印刷の対象であって前記メモリに記憶した前記印刷ジョブデータを印刷するように構成されている。
【0007】
上記した構成によれば、コントローラは、メモリ印刷の対象とすると判定した場合には、メモリ印刷の対象としないと判定した場合よりも、省電力の第2電力状態で印刷ジョブデータを受信し、受信した印刷ジョブデータをメモリに記憶させる。これにより、メモリ印刷を行う際には、ユーザの操作を受け付けるまで省電力の状態とすることができ、省エネルギー化を図ることができる。また、印刷前に準備動作が不要に継続されることを防ぎ、ユーザの快適性の向上を実現できる。
【0008】
上記した課題を解決するために、本開示の一態様に係る印刷装置は、メモリと、ユーザインタフェースと、外部装置と通信する通信インタフェースと、コントローラと、を備えている。前記コントローラは、前記外部装置から送信される印刷ジョブデータを受信する受信処理と、前記ユーザインタフェースが省電力の状態である第2電力状態のとき、前記印刷ジョブデータに先行して前記外部装置から送信される先行コマンドを受信したことを契機として、前記先行コマンドの後に送信される前記印刷ジョブデータをメモリ印刷の対象とするか否かを判定する判定処理と、を実行し、前記判定処理にて、前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象としないと判定した場合、前記ユーザインタフェースの前記省電力の状態を解除し、前記ユーザインタフェースにて電力が消費される状態である第1電力状態で前記印刷ジョブデータを受信する一方、前記印刷ジョブデータを前記メモリ印刷の対象とすると判定した場合、前記ユーザインタフェースの前記省電力の状態を解除せず、前記第2電力状態で前記印刷ジョブデータを受信するように構成されている。
【0009】
上記した構成によれば、コントローラは、先行コマンドを受信したことを契機として判定処理を実行し、判定処理にてメモリ印刷の対象とすると判定した場合、ユーザインタフェースが省電力の状態で印刷ジョブデータを受信するので、省エネルギー化を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、省エネルギー化及びユーザの快適性の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係る印刷システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1の外部装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図1の印刷装置の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図3の蓄積処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図3の印刷準備処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図3の印刷装置の各部の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態の印刷装置1について、
図1~
図6を参照して説明する。
【0013】
図1は、本施形態に係る印刷システム10の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、印刷システム10は、印刷装置1と、外部装置200とを備えている。印刷装置1は、例えばMFP(Multi-Function Peripheral)である。
【0014】
外部装置200は、例えばPC(Personal Computer)であり、図示しないディスプレイを有している。外部装置200は、印刷装置1と通信可能に接続されている。
【0015】
[印刷装置の構成]
図1に示すように、印刷装置1は、コントローラ100と、印刷エンジン4と、操作パネル110と、通信インタフェース(I/F)150とを備えている。
【0016】
コントローラ100は、ASIC(Application Specification Integrated Circuitの略)102と、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memoryの略)103と、RAM(Random Access Memoryの略)104とを有している。NVRAM103及びRAM104は、メモリの一例である。
【0017】
ASIC102には、CPU(Central Processing Unitの略)101が内蔵されている。ASIC102、NVRAM103、RAM104、印刷エンジン4、操作パネル110、及び通信I/F150は、バスによって互いに電気的に接続されている。
【0018】
コントローラ100は、印刷装置1の各部に対する全般的な制御を行う。NVRAM103には、印刷装置1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。コントローラ100は、NVRAM103に記憶された制御プログラムに基づいて、印刷エンジン4を制御する。
【0019】
RAM104は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及び画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。RAM104には、バッファ104Aと、ページメモリ104Bとが設けられている。
【0020】
バッファ104Aは、通信I/F150が受信した各種コマンド及び各種データを、一時的に記憶するための記憶領域である。バッファ104Aには、例えば、通信I/F150が外部装置200から受信した印刷ジョブデータ及び先行コマンド等が一時的に記憶される。
【0021】
ページメモリ104Bは、コントローラ100が生成したデータを、一時的に記憶するための記憶領域である。ページメモリ104Bには、例えば、印刷ジョブデータから生成される蓄積ジョブデータ等が一時的に記憶される。
【0022】
印刷エンジン4は、電子写真方式により、図示しないシートに対して印刷を行うための装置である。印刷エンジン4は、露光器41と、現像器42と、転写ローラ43と、定着器6とを有している。
【0023】
露光器41は、レーザビームによって、図示しない感光ドラムの表面を走査して露光することで、感光ドラムの表面に印刷ジョブデータに基づく静電潜像を形成させる。現像器42は、感光ドラムの表面に形成された静電潜像に、トナーを供給することにより、感光ドラムの表面にトナー像を形成する。
【0024】
転写ローラ43は、図示しない給送トレイから搬送されてきたシートを、感光ドラムとの間で挟みながら搬送することで、感光ドラムの表面に形成されたトナー像をシートに転写する。
【0025】
定着器6は、加熱ローラ61と、ヒータ62と、図示しない加圧ローラとを有している。加熱ローラ61は、シートを加熱する。ヒータ62は、例えばハロゲンヒータからなり、加熱ローラ61の内部に配置され、加熱ローラ61を加熱する。加圧ローラは、加熱ローラ61との間でシートを挟む。
【0026】
定着器6は、トナー像が形成されたシートを、加熱ローラ61と加圧ローラとの間で挟んで、加熱しながら搬送することで、シートに形成されたトナー像をシートに定着させる。これにより、シートに対して、印刷ジョブデータに基づく印刷が行われる。
【0027】
通信I/F150は、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続され、印刷装置1用のドライバが組み込まれた外部装置200との接続を可能にしている。印刷装置1は、通信I/F150を介して、外部装置200から先行コマンド及び印刷ジョブデータ等を受信する。
【0028】
操作パネル110は、ユーザの操作を受け付けるためのユーザインタフェースある。操作パネル110は、タッチパネル111と、プッシュボタン112とを有している。
【0029】
なお、
図1の印刷システム10では、1台の外部装置200を備えた構成について示されているが、これに限定されない。例えば、印刷システム10は、2台以上の外部装置200を備えていてもよい。また、印刷システム10は、スマートフォンやタブレットなど、PC以外の外部装置200を備えていてもよい。
【0030】
[外部装置による処理]
次に、外部装置200による処理の流れについて、
図2を参照して説明する。
図2は、
図1の外部装置200による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0031】
外部装置200は、ユーザにより、印刷ボタンが押下されたか否かを判定する(S1)。印刷ボタンは、外部装置200のディスプレイに表示され、ユーザが所望の印刷を実行することを決定するためのボタンである。
【0032】
外部装置200は、印刷ボタンが押下された場合(S1:YES)、ドライバ設定画面にセキュア印刷オンの入力及びパスワードの入力がされているか否かを判定する(S2)。セキュア印刷は、メモリ印刷の一例である。パスワードは、認証情報の一例である。
【0033】
ドライバ設定画面にセキュア印刷オンの入力及びパスワードの入力がされていない場合(S2:NO)、外部装置200は、ユーザ名及び印刷ジョブ名を含むオプション情報を作成する(S3)。ユーザ名及び印刷ジョブ名は、ユーザ情報の一例である。なお、印刷ジョブ名は、印刷ジョブの名称に限らず、印刷ジョブを識別する識別情報であればよい。印刷ジョブの識別情報とは、例えば、番号、ID等の文字列でもよい。
【0034】
一方、ドライバ設定画面にセキュア印刷オンの入力及びパスワードの入力がされている場合(S2:YES)、外部装置200は、セキュア印刷オン情報と、ユーザ名、印刷ジョブ名及びパスワードを含むオプション情報とを作成する(S4)。先行コマンドのオプション情報は、例えばプリンタジョブ言語(PJL:Printer Job Languageの略)によって記述されているものとする。なお、外部装置200は、S3又はS4において、ドライバ設定画面に入力されたパラメータも含めるように、オプション情報を作成する。当該パラメータは、プリンタジョブ言語により記述された印刷方法を示す。
【0035】
S3の後、外部装置200は、S3にて作成されたオプション情報を含む先行コマンドを、図示しないLANを介して、印刷装置1に送信する(S5)。
【0036】
S4又はS5の後、外部装置200は、印刷処理における印刷内容及び印刷方法を含む印刷ジョブデータを生成する(S6)。印刷ジョブデータは、ページ記述言語(PDL:Page Description Languageの略)によって記述された画像データが、印刷内容として含まれている。
【0037】
S6の後、外部装置200は、LANを介して、S6にて生成された印刷ジョブデータを印刷装置1に送信する(S7)。S7の後、外部装置200は、全ての印刷ジョブデータの生成が完了したか否かを判定する(S8)。
【0038】
外部装置200は、全ての印刷ジョブデータの生成が完了していない場合(S8:NO)、S6及びS7をページ毎に繰り返し、全ての印刷ジョブデータの生成が完了した場合(S8:YES)、
図2のフローを終了する。
【0039】
[印刷装置による制御の流れ]
次に、印刷装置1の制御の流れについて、
図3及び
図6を参照して説明する。
図6においては、印刷装置1を通信I/F150、PJL解析部、RIP処理部、エンジン制御部、モータ制御部、定着器6に分けて、各部が実行する処理を図示している。PJL解析部、RIP処理部、エンジン制御部、モータ制御部は、それぞれコントローラ100が各種制御プログラムを実行することによって実現される機能ブロックである。
【0040】
図3に示すように、コントローラ100は、通信I/F150を介して、外部装置200から送信された先行コマンドを受信したか否かを判定する(S11)。先行コマンドを受信した場合(S11:YES)、コントローラ100のPJL解析部は、
図6に示すように、プリンタジョブ記述言語を解析するPJL解析により、先行コマンドの解析を開始する(S12)。
【0041】
S12の後、コントローラ100は、セキュア印刷か否かの判定を行う(S13)。S13において、コントローラ100は、先行コマンドのオプション情報に、セキュア印刷を示す情報として、セキュア印刷オン情報が含まれている場合に、セキュア印刷であると判定する。なお、コントローラ100は、先行コマンドのオプション情報に、パスワードが含まれている場合に、セキュア印刷であると判定してもよい。また、S3において、オプション情報に、セキュア印刷オフ情報を含めてもよい。この場合、S13において、コントローラ100は、先行コマンドのオプション情報に、セキュア印刷オフ情報が含まれていない場合に、セキュア印刷であると判定してもよい。
【0042】
コントローラ100は、セキュア印刷であると判定した場合(S13:YES)、S18へ進む。一方、コントローラ100は、セキュア印刷でないと判定した場合(S13:NO)、NVRAM103に蓄積印刷オン情報が記憶されているか否かを判断することにより、蓄積印刷か否かの判定を行う(S14)。
【0043】
蓄積印刷オン情報とは、メモリ印刷の一例である蓄積印刷のオン設定を示す設定値である。ユーザは、操作パネル110の表示画面において、蓄積印刷のオン設定を行うものとする。コントローラ100は、操作パネル110から蓄積印刷を有効にすることを指示された場合に、蓄積印刷が有効であることを示す蓄積印刷オン情報を、印刷装置1のNVRAM103に記憶させる。
【0044】
なお、蓄積印刷のオン設定を行う方法は、上記に限らない。例えば、ユーザは、外部装置200が備えるブラウザを用いて、印刷装置1が備えるWebサーバへアクセスし、Webサーバが提供するWebページへの操作によって、蓄積印刷のオン設定を行ってもよい。
【0045】
コントローラ100は、蓄積印刷であると判定した場合(S14:YES)、S18へ進む。一方、コントローラ100のPJL解析部は、蓄積印刷でないと判定した場合(S14:NO)、エンジン制御部に対し、印刷準備処理の実行指示を行い、S19へ進む。
【0046】
コントローラ100は、先行コマンドを受信していない場合(S11:NO)、印刷ジョブデータの受信を開始したか否か判定する(S15)。印刷ジョブデータの受信を開始していない場合(S15:NO)、コントローラ100は、S11に戻り、先行コマンドの受信、又は印刷ジョブデータの受信を待機する。
【0047】
印刷ジョブデータの受信を開始した場合(S15:YES)、コントローラ100は、受信した印刷ジョブデータにセキュア印刷オン情報が含まれているか否かを判断することにより、セキュア印刷か否かの判定を行う(S16)。
【0048】
コントローラ100は、セキュア印刷であると判定した場合(S16:YES)、S18へ進む。一方、コントローラ100は、セキュア印刷でないと判定した場合(S16:NO)、NVRAM103に蓄積印刷オン情報が記憶されているか否かを判断することにより、蓄積印刷か否かの判定を行う(S17)。
【0049】
ここで、S13、S14、S16及びS17は、コントローラ100により、受信処理にて受信中の印刷ジョブデータを、メモリ印刷の対象とするか否かを判定する判定処理に相当する。
【0050】
そして、コントローラ100は、蓄積印刷であると判定した場合(S17:YES)、S18へ進む一方、蓄積印刷でないと判定した場合(S17:NO)、S19へ進む。
【0051】
次に、
図3の蓄積処理S18について、
図4を参照して説明する。コントローラ100のPJL解析部は、S7にて外部装置200から送信された印刷ジョブデータの受信を開始済みか否か判定する(S30)。印刷ジョブデータの受信を開始済みでない場合(S30:NO)、コントローラ100のPJL解析部は、S30に戻り、印刷ジョブデータの受信を待機する一方、印刷ジョブデータの受信を開始済みである場合(S30:YES)、受信した印刷ジョブデータを解析する(S31)ことで、ユーザ名を取得し(S32)、印刷ジョブ名を取得する(S33)。
【0052】
なお、印刷ジョブデータにユーザ名が含まれていなかった場合、S32にてユーザ名は取得されない。また、印刷ジョブデータに印刷ジョブ名が含まれていなかった場合、S33にて印刷ジョブ名は取得されない。
【0053】
S33の後、コントローラ100は、受信した印刷ジョブデータを解析する(S31)ことで、セキュア印刷オン情報を取得したか否かを判定し(S34)、セキュア印刷オン情報を取得した場合(S34:YES)、パスワードを取得し(S35)、S36へ進む。一方、コントローラ100は、セキュア印刷オン情報を取得しなかった場合(S34:NO)、パスワードを取得せず、S36へ進む。
【0054】
コントローラ100は、S36において、以下の通り、RIP処理を行う。即ち、コントローラ100は、RIP処理部により、印刷ジョブデータに含まれるPDL形式の画像データをラスタ化することによって、シートに印刷する画像を表す、即ち印刷内容を表すラスタ形式の印刷ジョブデータを生成する。印刷ジョブデータに含まれるPJL形式のパラメータには、ラスタ化に用いられるパラメータもある。
【0055】
なお、以下、説明の便宜上、RIP処理部により生成されたラスタ形式の印刷ジョブデータを、ラスタデータとも記述する。ラスタデータは、1ページ毎のデータであり、印刷ジョブデータに複数ページ分含まれる場合、コントローラ100は、複数ページ分全てに対するRIP処理を実行する。
【0056】
S36の後、コントローラ100は、RIP処理後のラスタデータを、ユーザ名及び印刷ジョブ名と関連付けて、RAM104のページメモリ104Bに記憶する(S37)。ここで、ページメモリ104Bに蓄積されたラスタデータのことを、蓄積ジョブデータという。
【0057】
なお、S37において、コントローラ100は、先行コマンドを受信している場合(S11:YES)、当該先行コマンドに対応した蓄積ジョブデータを、ユーザ名及び印刷ジョブ名と関連付けてRAM104に記憶する。ここで、S32,S33にて取得し、S37にて記憶したユーザ名及び印刷ジョブ名が、印刷ジョブデータの識別情報に相当する。また、印刷ジョブデータに含まれる印刷ジョブ名ではなく、印刷装置1が生成した印刷ジョブ名を、蓄積ジョブデータと関連付けてRAM104に記憶してもよい。
【0058】
以上により、コントローラ100は、
図4に示す蓄積処理S18を完了し、
図3のフローを終了する。なお、先行コマンドの受信、又は、印刷ジョブデータの受信を待機している間に、操作パネル110を介してユーザの操作を受け付けた場合、コントローラ100は、蓄積処理S18にて蓄積された蓄積ジョブデータの印刷を行う。また、蓄積ジョブデータにパラメータが関連付けられている場合、そのパラメータを用いて印刷を行う。
【0059】
具体的には、コントローラ100は、蓄積印刷である場合(S14:YES)又は(S17:YES)、ユーザが操作パネル110を介して、ユーザ名を入力した場合、入力されたユーザ名と関連付けて記憶されている蓄積ジョブデータを印刷する。なお、ユーザ名を入力する操作は、操作パネル110に表示されたユーザ名を選択する操作であってもよい。
【0060】
また、コントローラ100は、ユーザが操作パネル110を介して、印刷ジョブ名を入力した場合に、入力された印刷ジョブ名と関連付けて記憶されている蓄積ジョブデータを印刷するようにしてもよい。なお、印刷ジョブ名を入力する操作は、操作パネル110に表示された印刷ジョブ名を選択する操作であってもよい。
【0061】
一方、コントローラ100は、セキュア印刷である場合(S13:YES)又は(S16:YES)、ユーザが操作パネル110を介して、パスワードを入力した場合、入力されたパスワードと関連付けて記憶されている蓄積ジョブデータを印刷する。
【0062】
そして、コントローラ100は、セキュア印刷又は蓄積印刷が完了すると、(S24:YES)、
図3のフローを終了する。
【0063】
上述したように、セキュア印刷においては、コントローラ100は、外部装置200から受信した印刷ジョブデータをRAM104に記憶すると共に、印刷ジョブデータに対応付けてパスワードをRAM104に記憶した後、操作パネル110を介してパスワードが入力されたことを契機として、RAM104に記憶した印刷ジョブデータを印刷する。
【0064】
また、蓄積印刷においては、コントローラ100は、外部装置200から印刷ジョブデータを受信した後、直ぐには印刷を実行せず、印刷ジョブデータをRAM104に記憶すると共に、印刷ジョブデータに対応付けてユーザ名及び印刷ジョブ名をRAM104に記憶した後、操作パネル110を介してユーザ名又は印刷ジョブ名を受け付けたことを契機として、RAM104に記憶した印刷ジョブデータを印刷する。
【0065】
次に、
図3の印刷準備処理S19について、
図5を参照して説明する。コントローラ100は、セキュア印刷又は蓄積印刷のいずれでもない場合(S14:NO)又は(S17:NO)、印刷準備処理(S19)を実行する。
【0066】
コントローラ100は、準備動作として、図示しないモータの駆動を開始させて(S41)、加熱ローラ61の回転を開始させ、加熱ローラ61の回転速度を所定の回転速度にする。
【0067】
更に、コントローラ100は、準備動作として、ヒータ62により、加熱ローラ61を加熱させることで、定着器6の昇温を開始する(S42)。
【0068】
そして、コントローラ100は、定着器6の温度が所定の温度帯に到達すると、ヒータ62の駆動を停止させる。以降、コントローラ100は、定着器6の温度が所定の温度帯に収まった状態を維持するように、定着器6の昇温及びヒータ62の駆動の停止を繰り返す。以上により、印刷準備処理S19を終了する。
【0069】
なお、コントローラ100は、後述のS24にて印刷を完了してから所定期間、先行コマンドも印刷ジョブデータも受信しなかった場合や、印刷の指示がなかった場合には、モータを停止させたままにすると共に、定着器6の温度が所定の温度帯よりも低くなったとしても、ヒータ62を停止したままにする。そして、コントローラ100は、再び、先行コマンド又は印刷ジョブデータを受信した場合に、定着器6を昇温させるものとする。
【0070】
図3に戻り、S19の後、コントローラ100は、通信I/F150を介して、印刷ジョブデータの受信を開始済みか否かを判定し(S20)、印刷ジョブデータの受信を開始済みでない場合(S20:NO)、印刷ジョブデータの受信を開始したか否かを判定する(S21)。印刷ジョブデータの受信を開始していない場合(S21:NO)、コントローラ100は、S21に戻り、印刷ジョブデータの受信を待機する。
【0071】
印刷ジョブデータの受信を開始済みである場合(S20:YES)、又は、印刷ジョブデータの受信を開始した場合(S21:YES)、コントローラ100は、操作パネル110を点灯させる(S22)。ここで、操作パネル110に通電がされて、操作パネル110が点灯した状態は、省電力でない状態である第1電力状態の一例である。また、操作パネル110が消灯した状態は、第1電力状態よりも省電力の状態である第2電力状態の一例である。なお、印刷装置1は、上述したS15~S18のとき、第2電力状態となっている。
【0072】
上記第1電力状態では、印刷準備処理S19により準備動作が実行されていることにより、電力が消費されている状態である。また、上記第2電力状態では、印刷準備処理S19により準備動作が実行されておらず、準備動作に伴う電力の消費がない状態である。
【0073】
S22の後、コントローラ100は、印刷を開始する(S23)。S23において、コントローラ100は、
図6に示すように、PJL解析部により、S31と同様に、受信した印刷ジョブデータを解析する。続いて、コントローラ100は、RIP処理部により、S36と同様に、PDL形式のデータをラスタ化する。
【0074】
そして、コントローラ100は、ラスタデータを印刷キューに記憶させる。このとき、印刷ジョブデータに、印刷時に用いられるパラメータが含まれていた場合、当該パラメータもラスタデータと関連付けて記憶する。また、ラスタデータにパラメータが関連付けられている場合、当該パラメータを用いて印刷を行う。
【0075】
次に、コントローラ100は、エンジン制御部により、印刷キューにラスタデータが記憶されていると判断し、加熱ローラ61の回転速度が所定回転速度に達し、且つ、定着器6の温度が所定温度以上であると判断した場合、シートの給送を開始する。そして、印刷エンジン4により、ラスタデータをシートに印刷する。このとき、定着器6は、シートにトナー像を定着させる。
【0076】
S23の後、コントローラ100は、印刷が完了したか否かを判定し(S24)、印刷が完了した場合(S24:YES)、
図3のフローを終了する。
【0077】
以上説明した本実施形態の印刷装置1によれば、コントローラ100は、先行コマンドを受信し(S11:YES)、受信中の印刷ジョブデータをセキュア印刷又は蓄積印刷のいずれの対象ともしないと判定した場合(S14:NO)、印刷ジョブデータを受信する前に、印刷準備処理(S19)を実行する。これにより、FPOTを短縮することができる。
【0078】
一方、コントローラ100は、受信中の印刷ジョブデータをセキュア印刷又は蓄積印刷の対象とすると判定した場合(S13:YES)又は(S14:YES)、印刷準備処理(S19)を実行しない。これにより、印刷前に準備動作が不要に継続されることを防ぎ、ユーザの快適性の向上を実現できる。
【0079】
また、コントローラ100は、印刷ジョブデータの受信を開始し(S15)、受信中の印刷ジョブデータをセキュア印刷又は蓄積印刷の対象とすると判定した場合(S16:YES)又は(S17:YES)、セキュア印刷又は蓄積印刷のいずれの対象ともしないと判定した場合(S17:NO)よりも、省電力の第2電力状態で印刷ジョブデータの受信を開始し、受信した印刷ジョブデータをRAM104に記憶させる(S37)。これにより、セキュア印刷又は蓄積印刷を行う際には、ユーザの操作を受け付けるまで省電力の状態とすることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0080】
また、コントローラ100は、印刷ジョブデータを受信した(S15)ことを契機として、判定処理(S16,S17)を開始するので、受信中の印刷ジョブデータにセキュア印刷又は蓄積印刷を示す情報が含まれている場合(S16:YES)又は(S17:YES)、受信中の印刷ジョブデータをメモリ印刷の対象とすることをすぐに決定できる。
【0081】
また、コントローラ100は、印刷ジョブデータを受信した(S15)ことを契機として、判定処理(S16,S17)を開始するので、NVRAM103にセキュア印刷オン情報又は蓄積印刷オン情報が記憶されている場合(S16:YES)又は(S17:YES)、受信中の印刷ジョブデータをセキュア印刷又は蓄積印刷の対象とすることをすぐに決定できる。
【0082】
また、コントローラ100は、第2電力状態のとき、印刷ジョブデータの受信を開始し(S15)、受信中の印刷ジョブデータをセキュア印刷又は蓄積印刷の対象とすると判定した場合(S16:YES)又は(S17:YES)、印刷準備処理(S19)を実行開始せず、第2電力状態のままで、蓄積処理(S18)を実行し、印刷ジョブデータを受信する。これにより、準備動作に伴う電力の消費がない省電力の状態のままで、印刷ジョブデータを受信できるので、省エネルギー化を図ることができる。
【0083】
また、コントローラ100は、第2電力状態のとき、先行コマンドを受信した(S11:YES)ことを契機として判定処理(S13,S14)を実行し、印刷ジョブデータをセキュア印刷又は蓄積印刷の対象とすると判定した場合(S13:YES)又は(S14:YES)、印刷準備処理(S19)を実行開始せず、第2電力状態のままで、蓄積処理(S18)を実行し、印刷ジョブデータを受信する。これにより、操作パネル110が消灯し、準備動作に伴う電力の消費がない省電力の状態で、印刷ジョブデータを受信できるので、省エネルギー化を図ることができる。
【0084】
また、コントローラ100は、第2電力状態のとき、受信中の印刷ジョブデータをセキュア印刷又は蓄積印刷の対象とすると判定した場合(S16:YES)又は(S17:YES)、操作パネル110の省電力の状態を解除せず、第2電力状態のままで、印刷ジョブデータを受信する。これにより、操作パネル110が消灯した省電力の状態で、印刷ジョブデータを受信できるので、省エネルギー化を図ることができる。
【0085】
また、コントローラ100は、第2電力状態のとき、先行コマンドを受信した(S11:YES)ことを契機として、判定処理(S13,S14)を開始し、印刷ジョブデータをセキュア印刷又は蓄積印刷の対象とすると判定した場合(S13:YES)又は(S14:YES)、操作パネル110の省電力の状態を解除せず、第2電力状態のままで、印刷ジョブデータを受信する。これにより、操作パネル110が省電力の状態で、印刷ジョブデータを受信できるので、省エネルギー化を図ることができる。
【0086】
〔その他の実施形態〕
上記した実施形態では、印刷エンジン4は、電子写真方式により印刷を行うものとしたが、これに限らず、インクジェット方式により印刷を行ってもよい。
【0087】
また、上記した実施形態では、ユーザは操作パネル110を介して、ユーザ名及びパスワード等の各種情報を入力するものとしたが、これに限定されない。例えば、モバイル機器やICカードを印刷装置1に接近、又は接触させることによって、各種情報を入力してもよい。モバイル機器の一例は、スマートフォンである。
【0088】
また、コントローラ100は、印刷準備処理S19において、準備動作として、感光ドラムに付着したトナーを図示しないクリーナにより回収するクリーニング動作や、図示しないトナー収容部内に収容されたトナーを図示しないアジテータにより撹拌する動作を実行してもよい。
【0089】
また、上記した実施形態では、印刷内容がPDL形式により記述されているデータを対象としたが、PDL形式の例として、PDF(Portable Document Formatの略)形式、PCL(Printer Control Languageの略)形式、XPS(XML Paper Specificationの略)形式、及びPS(Post Scriptの略)形式等が挙げられる。また、これに限らず、PDL形式とは異なる形式で記述されているデータを対象としてもよい。
【0090】
本開示は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1 印刷装置
4 印刷エンジン
6 定着器
61 加熱ローラ
62 ヒータ
100 コントローラ
103 NVRAM
104 RAM
110 操作パネル
150 通信I/F
200 外部装置