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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043441
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】注出判定方法及び判定機能付注出装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148641
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】595076008
【氏名又は名称】株式会社ニットク
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】五味 久明
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB03
3E082CC01
3E082DD01
3E082EE02
3E082FF03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発泡飲料と発泡飲料より生じた泡との比率によって、発泡飲料の注出の良否を評価する。
【解決手段】判定機能付注出装置Aを用いた注出判定方法で、傾斜台2が第1傾斜の状態に傾斜し、ノズル口3から容器1に発泡飲料を注出する発泡飲料注出ステップと、傾斜台2が第2傾斜の状態に傾斜し、容器1に注出された発泡飲料の液面をセンサ4が検知する第1検知ステップと、発泡飲料の注出を停止する注出停止ステップと、傾斜台2が水平状態となり、ノズル口3から容器1に発泡飲料により形成された泡を注出する泡注出ステップと、注出された泡の上面をセンサ4が検知する第2検知ステップと、制御部5が、第1検知ステップ及び第2検知ステップの検知結果、予め記録された閾値に基づいて注出状態の良否を判定する判定ステップと、を有し、第1傾斜において載置面と水平面とがなす角度が、第2傾斜において載置面と水平面とがなす角度よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜台、ノズル口、及びセンサを有するディスペンサと、制御部と、を備える判定機能付注出装置を用いた注出判定方法であって、
前記傾斜台がその載置面に前記容器が載置された状態で第1傾斜の状態に傾斜し、前記ノズル口から前記容器に発泡飲料を注出する発泡飲料注出ステップと、
傾斜台が第2傾斜の状態に傾斜し、前記容器に注出された前記発泡飲料の液面を前記センサが検知する第1検知ステップと、
前記発泡飲料の注出を停止する注出停止ステップと、
前記傾斜台が水平状態となり、前記ノズル口から前記容器に前記発泡飲料により形成された泡を注出する泡注出ステップと、
注出された前記泡の上面を前記センサが検知する第2検知ステップと、
前記制御部が、前記第1検知ステップ及び第2検知ステップにおける検知結果、並びに、予め記録された閾値に基づいて注出状態の良否を判定する判定ステップと、
を有し、
前記第1傾斜において前記載置面と水平面とがなす角度が、前記第2傾斜において前記載置面と水平面とがなす角度よりも大きいものである注出判定方法。
【請求項2】
前記制御部が、注出開始指令を発信するものであり、
該注出開始指令が発信されることにより、前記発泡飲料注出ステップ、前記第1検知ステップ、前記注出停止ステップ、前記泡注出ステップ、前記第2検知ステップ、及び前記判定ステップが順次実行される請求項1記載の注出判定方法。
【請求項3】
前記センサが光電センサであり、前記検知結果が該光電センサから前記容器内の前記発泡飲料までの距離である請求項1記載の注出判定方法。
【請求項4】
前記ディスペンサが、前記発泡飲料の注出状態の良否を出力するための出力部を更に備える請求項1記載の注出判定方法。
【請求項5】
前記制御部が、前記ディスペンサとネットワークを介して接続されたコンピュータに設けられており、
該コンピュータが、前記発泡飲料の注出状態の良否を出力するための出力部を備える請求項1記載の注出判定方法。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の注出判定方法を実行するための判定機能付注出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡飲料の注出判定方法及び判定機能付注出装置に関し、さらに詳しくは容器内の発泡飲料の液面を検知することにより、注出された発泡飲料の注出状態の良否を判定することが可能な注出判定方法及び判定機能付注出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールをはじめとする発泡飲料は広く親しまれている飲料であり、居酒屋等の飲食店では自動でビールの注出を行うディスペンサが利用されている。
これは、ディスペンサに備えられた容器台に容器を載置し、ボタンを押す等の所定の操作を行うことにより、自動でビールを容器に注出するものである。
【0003】
ビール用のディスペンサは、通常ビールを貯蔵した樽及び炭酸ガスを貯蔵したボンベと接続して用いられる。
当然のことながら、ビールを注出するごとに樽及びボンベの内容量は減少していく。
樽又はボンベの内容量が一定量を下回ると、ディスペンサがビールを注出した場合に、ほとんど泡のみが注出される、又は極端に泡が少ない状態で注出される等の注出不良が生じる。
【0004】
ビールの注出状態は、主に液体であるビールとビールより生じた泡との比率によって評価される。
これに応じて、ビール用のディスペンサによる注出の良否、又は注出されたビールそのものの良否を評価するシステムが開発されている。
【0005】
例えば、特許文献1の飲料採点システムおよびプログラムは、飲料の画像を受信する受信部と、受信部により受信した画像を鮮明化する画像処理部と、画像処理部により鮮明化された画像に基づいて、評点を付与する採点部と、を備えるものである。
【0006】
また、特許文献2の発泡飲料自動注出装置は、飲料冷却管と接続管との間に接続された発泡飲料切れセンサであって発泡飲料源から飲料冷却管に流れる発泡飲料がなくなったとき発泡飲料切れとして検出する発泡飲料切れセンサを備えるものである。
【0007】
また、特許文献3の泡持ち時間測定装置は、形成された泡層を上方より撮影し、画像情報を得るための撮影手段と、画像情報より画像の明暗を測定する測定手段と、測定手段からの明暗情報より液面と同等の明るさを有する部分を選択・計数する手段と、測定を開始してから選択・計数手段により所定数の計数がなされた時点までの所要時間を計測する時間計測手段とを備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-113786号公報
【特許文献2】特開2004-210324号公報
【特許文献3】特開2000-283976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の飲料採点システムは、主に泡層の画像によって判定を行うものである。泡層はその性質上、画像とした場合の変化が乏しく、画像処理部によって画像処理を行うことが必須となる。そのため、データ処理の負荷が大きい。
また、採点に用いる画像はスマートフォンによる撮影等も想定されているものであり、採点結果が、注出の不良によるものか、注出から時間が経過したことにより品質が低下したことによるものかの判定を行うことができない。
【0010】
特許文献2の発泡飲料自動注出装置は、樽の残量がなくなったことを検知可能であるが、注出されたビールの良否を評価することは不可能である。
【0011】
特許文献3の泡持ち時間測定装置は、泡層にのみフォーカスしたものであり、液体と泡との比率によってビールの良否を評価することは、同様に不可能である。
【0012】
本発明は、上述の課題を受けて開発されたものである。
すなわち、本発明は液体である発泡飲料の液体と発泡飲料より生じた泡との比率によって、発泡飲料の注出の良否を評価することが可能な方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は鋭意検討の結果、容器内に注出された発泡飲料における液体の液面及び泡の上面を検知することにより、注出された発泡飲料の注出状態の良否を判定することが可能であることを見出した。本発明はこの知見に基づく。
【0014】
本発明は、傾斜台2、ノズル口3、及びセンサ4を有するディスペンサBと、制御部5と、を備える判定機能付注出装置Aを用いた注出判定方法Dであって、傾斜台2がその載置面に容器1が載置された状態で第1傾斜の状態に傾斜し、ノズル口3から容器1に発泡飲料を注出する発泡飲料注出ステップS1と、傾斜台2が第2傾斜の状態に傾斜し、容器1に注出された発泡飲料の液面をセンサ4が検知する第1検知ステップS2と、発泡飲料の注出を停止する注出停止ステップS3と、傾斜台2が水平状態となり、ノズル口3から容器1に発泡飲料により形成された泡を注出する泡注出ステップS4と、注出された泡の上面をセンサ4が検知する第2検知ステップS5と、制御部5が、第1検知ステップS2及び第2検知ステップS5における検知結果、並びに、予め記録された閾値に基づいて注出状態の良否を判定する判定ステップS6と、を有し、第1傾斜において載置面と水平面とがなす角度が、第2傾斜において載置面と水平面とがなす角度よりも大きいものである注出判定方法Dに存する。
【0015】
本発明は、制御部5が、注出開始指令を発信するものであり、注出開始指令が発信されることにより、発泡飲料注出ステップS1、第1検知ステップS2、注出停止ステップS3、泡注出ステップS4、第2検知ステップS5、及び判定ステップS6が順次実行される上記記載の注出判定方法Dに存する。
【0016】
本発明は、センサ4が光電センサ4であり、検知結果が光電センサ4から容器1内の発泡飲料までの距離である上記記載の注出判定方法Dに存する。
【0017】
本発明は、ディスペンサBが、発泡飲料の注出状態の良否を出力するための出力部6を更に備える上記記載の注出判定方法Dに存する。
【0018】
本発明は、制御部5が、ディスペンサBとネットワークNを介して接続されたコンピュータCに設けられており、コンピュータCが、発泡飲料の注出状態の良否を出力するための出力部6を備える上記記載の注出判定方法Dに存する。
【0019】
本発明は、上記記載の注出判定方法Dを実行するための判定機能付注出装置Aに存する。
【0020】
また本発明は、上記の構成を適宜組み合わせたものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
注出判定方法Dは、容器1に注出された発泡飲料の液面をセンサ4が検知する第1検知ステップS2と、注出された泡の上面をセンサ4が検知する第2検知ステップS5と、制御部5が、第1検知ステップS2及び第2検知ステップS5における検知結果、並びに予め記録された閾値、に基づいて注出の良否を判定する判定ステップS6と、を有することにより、センサ4が、容器1にノズル口3から注出されたビールの液面と、容器1に注出された泡の上面とを検知することが可能となる。
その結果、液体である発泡飲料と発泡飲料より生じた泡との比率によって注出の良否を判定することが可能となる。
【0022】
注出判定方法Dにおいては、制御部5が、注出開始指令を発信するものであり、注出開始指令が発信されることにより、発泡飲料注出ステップS1、第1検知ステップS2、注出停止ステップS3、泡注出ステップS4、第2検知ステップS5、及び判定ステップS6が順次実行されるものであるため、消費者等が注出の技術を要さずに、適正に発泡飲料を注出することができる。
また、仮に注出に失敗した場合は容易にその結果を知ることができる。
【0023】
注出判定方法Dにおいては、センサ4が光電センサ4であり、検知結果が光電センサ4から容器1内の発泡飲料までの距離であることにより、発泡飲料や容器1に接触することなく、液面を検知することが可能となる。
これにより、発泡飲料の衛生状態を保って発泡飲料の注出及び注出状態の良否の判定を行うことが可能となる。
【0024】
注出判定方法Dにおいては、発泡飲料の注出状態の良否を出力するための出力部6を更に備えることにより、注出判定結果を外部に出力することが可能となる。
これにより、使用者が容易に注出状態の良否を注出結果として知ることができる。
また、当該注出結果をデータとして蓄積することが可能となる。
【0025】
注出判定方法Dにおいては、制御部5が、ディスペンサBとネットワークNを介して接続されたコンピュータCに設けられており、コンピュータCが、発泡飲料の注出状態の良否を出力するための出力部6を備えることにより、コンピュータCによる制御部5の操作や、判定結果の蓄積及び分析を容易に行うことが可能となる。
【0026】
判定機能付注出装置Aは、上記の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本実施形態に係る注出装置の模式図である。
図2図2は、本実施形態に係る注出装置の傾斜台を拡大して示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る制御部を示す説明図である。
図4図4は、本実施形態に係る注出装置を用いたビール注出の説明図である。
図5図5は、本実施形態に係る注出判定システムの工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0029】
図1は、本発明の注出装置Aの模式図である。
本発明の判定機能付注出装置Aは、後述するディスペンサBによる発泡飲料の注出の良否を判定する注出判定方法Dを実行するためのものであり、ディスペンサBと制御部5とよりなる。
ここで、発泡飲料はビールやソフトドリンク等、公知の飲料を好適に利用することができる。
本実施形態では、発泡飲料をビールとし、ディスペンサBをビールを注出するためのビールディスペンサBとして説明する。
【0030】
ビールディスペンサBは、自動で容器1にビールを注ぐための装置であり、容器1を載置するための傾斜可能な傾斜台2と、ビールを注出するためのノズル口3と、ビールを冷却するための図示しない冷却機構と、後述する注出判定結果を表示するための表示部6と、を有する。
ビールディスペンサBは、交換可能なビール樽と、炭酸ガスをガスボンベとに接続して用いられる。
また、ビールディスペンサBは、注出の判定結果を表示するための出力部6を備えており、本実施形態においては上述した表示部6が出力部6として機能する。
【0031】
傾斜台2は、ビールの注出段階に応じて、容器1の傾斜角度を変更する機構を有する。
具体的に言うと、まず、ビールの注出はビール液の注出と、これに続く泡の注出の2段階で行われる。
傾斜台2は、ビール液の注出に先立ち、その載置面に容器が載置された状態で傾斜することにより容器1を傾斜させ(第1傾斜)、ノズル口3から注出されるビール液が、斜めになった容器1の内壁面を伝って流れるように注出が開始される。
注出が進むと、傾斜台2は容器1を第1傾斜よりも浅く(すなわち、容器1がより垂直に近い状態となるように)傾斜させる(第2傾斜)。
第2傾斜における注出時も、ビール液は第1傾斜における注出と同様に容器1の内壁面を伝って注出される。
このとき、第1傾斜において載置面と水平面とがなす角度は、第2傾斜において載置面と水平面とがなす角度よりも大きい。
すなわち、第1傾斜において容器1がより大きく傾いた状態となる。これにより、注出の初期においては余分な泡を立てずに注出することができ、注出状態を良好なものとすることができる。
【0032】
さらに注出が進みビール液の注出が終了すると、傾斜台2が水平状態となり、載置面に載置された容器1が垂直な状態となる。
この状態で、ディスペンサBはノズル口3から容器1内へ泡のみを注出する。
これにより、ビールの注出が完了する。
【0033】
ディスペンサBは、傾斜台2に載置された容器1内に注出された発泡飲料の液面に向けられたセンサ4を有する。
センサ4には、光電センサ4を好適に用いることができる。
光電センサ4は、光を発信する発光部と、発光部が発信した光の反射光を受信する受光部とを有し、受光部が受信した光の反射量Lを電気信号に変換して出力することにより、センサ4から対象物の距離を計測するものである。発光部には、LED等の素子が好適に用いられる。
センサ4は反射光を検知することにより、センサから対象物までの距離を検知結果として得る。
すなわち、注出装置Aにおいては、検知対象を容器1に注出されたビールの液面とすることで、容器1に注出されたビール液、及び泡それぞれの注出量を検知する。
なお、光電センサにおいては、検知対象となる物の色等に左右されずセンサ4からの距離を検知することが可能である。
【0034】
センサ4が光電センサ4である場合、1つのセンサ4でビール液と泡との両方の注出状態を検知することが可能となる。
また、ビールや容器1に接触することなく、液面を検知することが可能となる。
これにより、ビールの衛生状態を保ってビールの注出及び注出状態の良否の判定を行うことが可能となる。
【0035】
光電センサ4には、線状に設けられたファイバセンサ4を好適に用いることができる。ファイバセンサ4を用いることにより、センサ4の検知方向を容易に調整することができ、容器1やビールの注出量に変更があった場合であっても、注出装置Aを用いることが可能となる。
【0036】
図3は、本実施形態に係る制御部5を示す説明図である。
制御部5は、コンピュータCであり、記録手段51、制御手段52、演算手段53を有する。
制御部5は、注出装置Aにおいて、注出の良否を判定するための機構である。制御部5は、ネットワークNを介してディスペンサBに接続されたコンピュータCとして構成される。
記録手段51には、第2傾斜の状態におけるセンサ4の検出値である反射量L(すなわち、ビールの注出量)の閾値としての第1閾値L1、及び、水平状態におけるセンサ4の検出値である反射量L(すなわち、泡の注出量)の閾値としての第2閾値L2が記録されている。
制御部5は、これらの閾値と、上記センサ4が検出した液面までの距離(すなわち容器1に対する注出量)とを演算手段53が比較することにより、注出の良否の判定を行う。
【0037】
制御部5は、さらに出力手段54を有し、注出判定結果を出力する。出力された注出判定結果はビールディスペンサBの表示部6に表示される。
表示部6に注出判定結果が表示されることにより、当該結果を容易に確認することが可能となる。
制御部5がネットワークNを介してビールディスペンサBに接続されたコンピュータCである場合、出力手段54により出力された注出判定結果は当該コンピュータCの出力手段(モニタ等)に表示される。
また、出力手段54は注出開始指令を発信し、当該注出開始指令により、ディスペンサBがビール液及び泡の注出を開始する。具体的には、ディスペンサBに設けられた操作盤を操作することにより、出力手段54が注出開始指令を発信する。
【0038】
また、コンピュータCのキーボードやマウス等の入力装置を入力手段とし、コンピュータCのモニタ等の出力装置を出力手段とすることができる。
すなわち、たとえばコンピュータCを介して注出開始指令を出し、注出状態の良否を注出結果として確認することが可能となる。
この場合、コンピュータCによる制御部5の操作や、判定結果の蓄積及び分析を容易に行うことが可能となる。
また、複数のディスペンサBに対して、ネットワークNを介して接続された1つのコンピュータCを制御部5として用いることも可能である。
この場合、注出結果のデータを1つのコンピュータCに集約し、分析することが可能となる。
さらに、このとき複数のディスペンサBそれぞれの注出回数や注出時刻をデータとしてコンピュータCの記録手段51に記録することで、より詳細な分析が可能となる。
【0039】
ここで、制御部5がディスペンサBによる判定方法について説明する。
前述したセンサ4が検知する光の反射量をLとする。
上述の通り、制御部5には、ビール液注出時に用いる第1閾値L1と、泡注出時に用いる第2閾値L2が、予め記録されている。
【0040】
図4は、本実施形態に係る注出装置Aを用いたビール注出の説明図である。
ビールディスペンサBにおいてビール液及び泡の注出は、注出時間を基準として制御されている。
具体的には、ビール液の既定の注出時間Ta、及び泡の規定の注出時間Tbは、それぞれ所定の固定値としてあらかじめ設定されている。
まずビール液の注出について、注出開始からの実際の経過時間をtaとし、第1傾斜におけるビール液の注出が開始する時点をT1とし、第2傾斜における注出が開始する時点をT2とする。
ビール液の注出開始から終了までの時間が前述のTaである。
そして、T2からTaまでの間であって、Ta×70%となる時点をT3とする。
第2傾斜におけるビール液注出開始からT3までの間(すなわち、T2からT3までの間)に、L=L1となった場合、制御部5は注出が不良に行われていると判定する。
【0041】
T2からT3までの間にL=L1とならなかった場合(すなわち、L<L1であった場合)、Taまでビール液が注出され、第1傾斜及び第2傾斜におけるビール液の注出が正常に終了する。
【0042】
ビール液の注出が正常に終了した場合、続いて泡の注出が行われる。上述した通り、傾斜台2が水平状態(容器1が垂直)の状態となり、ノズル口3から時間Tbだけ泡の注出が行われる。
【0043】
このとき、センサ4が検知する反射量Lと第2閾値L2とがL=L2となる、又は、泡注出時間tb=Tbとなる、のいずれかの条件を満たした時点でビールディスペンサBは泡の注出を終了する。
【0044】
これにより、容器1内には、ビール液の上に泡の層が重なった状態のビールが注出され、飲用に供することが可能な状態となる。
【0045】
tb<Tbの間、すなわち泡の注出中において、センサ4の反射量LがL=L2となった場合、その時点で制御部5の演算部53が注出が良好に行われたと判定する。
これに基づいて、制御部5の出力手段54が、ビールディスペンサBに注出中止の指令を出力し、ビールディスペンサBは注出を中止する。
【0046】
また、L<L2のまま既定の泡注出時間Tbが経過したことによって泡の注出が終了した場合、制御部5は、第1閾値L1及び第2閾値L2と、反射量Lとを比較することによって、注出の良否を判定する。
【0047】
上述のビール注出の各段階における判定結果について、注出装置Aが出力手段54を有する場合、当該判定結果を外部に出力することが出来る。
これにより、注出結果をデータとして蓄積及び分析することが可能になる。
また、当該出力結果を表示部6に表示することにより、使用者がビールの注出状態を容易に確認することが可能となる。
【0048】
図5は、本実施形態に係る注出判定方法Dの工程を示すフローチャートである。
本実施形態の注出装置Aを用いた注出判定方法Dにおいて、判定機能付注出装置Aは、上記のビール液注出、及び泡注出における判定を経て注出の良否を判定する。
また、上述したように、制御部5が注出開始指令を発信することにより、以下の発泡飲料注出ステップS1、第1検知ステップS2、注出停止ステップS3、中間検知ステップSi、泡注出ステップS4、第2検知ステップS5、及び判定ステップS6が順次実行される。
【0049】
(発泡飲料注出ステップS1)
発泡飲料注出ステップS1においては、ユーザーが傾斜台2に容器1を載置し、ディスペンサBに設けられた操作盤を操作することで、出力手段54が注出開始指令を発信する。
注出開始指令が発信されると、ディスペンサBは傾斜台2を第1傾斜の状態にし、ノズル口3からビール液が容器1内へ注出される。
注出開始から所定の時間が経過すると、傾斜台2は第2傾斜状態とされる。
なお、この間、ビール液の注出は継続している。
【0050】
(第1検知ステップS2)
第1検知ステップS2においては、上述の通り、ビール液注出開始からの時間taが、所定のビール液注出開始時間Taに対してta=T3(0.7Ta)となった時点での、センサ4が検知する反射量Lと第1閾値L1とを比較する。
なお、ta=T3(0.7Ta)となるのは、第2傾斜におけるビール液注出中となるように設定されている。
このとき、L≧L1となった場合は、ビール液の注出が不良と判定され、ビールの注出が終了される。また、出力手段54が注出不良との結果を出力し、表示部6が当該結果を表示する(後述、事例1)。
【0051】
(注出停止ステップS3)
第1検知ステップにおいてL<L1であった場合、ビール液の注出が継続される。ta=Taとなると、ビール液の注出が停止する。
【0052】
(中間検知ステップSi)
後述の泡注出ステップS4に先立ち、ビール液の注出が終了したディスペンサBが、傾斜台2を水平状態とする。
このとき、センサが検知する反射量LがL≧L2となる場合がある。
この場合、制御部5は注出が不良に行われたと判断し、注出を中断する(事例2)。
【0053】
(泡注出ステップS4)
泡注出ステップS4においては、傾斜台が水平状態となって、ノズル口3から容器1内へ泡が注出される。
【0054】
(第2検知ステップS5)
第2検知ステップS5においては、上述の通りセンサ4が検知する反射量Lと第2閾値L2とを比較する。既定の泡注出時間Tbが経過する前にL≧L2となると、制御部5が適量の泡が注出されたものと判定し、その時点で注出が中止され、制御部5がビール液及び泡が良好な状態で注出されたものと判定する。
第2検知ステップS5は、泡の注出がなされている時間全体において継続的になされる。
すなわち、泡の注出開始から、所定の注出時間の終了までの間行われる。
L≧L2とならずに所定の泡注出時間Tbが経過すると、泡の注出が終了する。
【0055】
(判定ステップS6)
判定ステップS6においては、L≧L2とならずに所定の泡注出時間Tbの経過により泡の注出が終了した場合に、第1検知ステップS2における判定結果と、第2検知ステップS5における判定結果とを比較し、注出状態の良否を判定する。
具体的には、第1検知ステップS2においてL<L1かつ、第2検知ステップS5においてL<L2である場合、制御部5は注出が不良と判定する(事例3)。
【0056】
上記の通りいずれかの段階で不良と判定された場合、その時点で注出が停止し、当該ビールの注出状態は不良とされる。
これに対し、いずれの段階においても不良と判定されなかった場合は、当該注出は良好なものとされる。
いずれの場合においても出力手段54が、注出状態が不良であったことを注出結果として出力する。
【0057】
具体的には、例えば、図5における事例1で不良とされる場合は、ビール液注出の途中で発泡し、泡が過剰になった場合である。
また、図5における事例3で不良とされる場合は、ビール液又は泡の注出が不十分であり、容器1に対して規定量未満の注出がなされた場合である。
【0058】
一方で、図5における事例2の場合、注出の途中で多少発泡しているものの、ビールの賞味としては問題がない程度である場合が多い。
当該判定結果を不良と判定するか否かは、小売店等のビールを提供する者が予め注出装置Aに設定しておくことができる。
この場合、出力手段54は予め設定された内容に応じて、良好又は不良との結果を出力する。
【0059】
これらのステップを有することにより、注出装置A及び注出判定方法Dは、ビールにおける液状のビール液と泡との比率によって注出の良否を判定することが可能となる。
また、ユーザーの操作としては、容器1を傾斜台2に載置し、操作盤又はコンピュータCを操作して制御部5に注出開始指令を発信させることのみである。
そのため、消費者等が注出の技術を要さずに、適正にビールを注出することができる。
また、仮に注出に失敗した場合は容易にその結果を知ることができる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0061】
本実施形態において制御部5はネットワークNを介してであるが、制御部5としてビールディスペンサBに組み込まれた基板を採用してもよい。この場合、シンプルな構成で、注出の結果を判定することができ、ネットワークN等の構成が不要となる。
【0062】
本実施形態において、センサ4は光電センサ4であるが、超音波等、他の種類の非接触検知を行うセンサ4を用いることも可能である。
【0063】
ディスペンサBに設ける操作盤には、ボタンやタッチパネル等を好適に利用することができる。
【0064】
本実施形態において、第1閾値L1はビール液の規定の注出時間Taに対してta=0.7Taとなる時点における閾値として設定されているが、注出中のいずれの時点に閾値を設定するか、また、閾値の値そのものは任意に設定可能である。
【0065】
ディスペンサBがカメラを備え、当該カメラが撮影する映像と、注出結果を、記録部51が関連付けて記録するものとすることができる。
この場合、注出の不良が生じた場合に、原因の特定に当該映像を用いることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る注出装置A及び注出判定方法Dは、ビール等の発泡飲料をディスペンサBによって注出する場合、特に消費者等の注出技術を持たないユーザーが注出を行う場合に、広く用いることができる。
【符号の説明】
【0067】
A・・・注出装置
B・・・ディスペンサ(ビールディスペンサ)
1・・・容器
2・・・傾斜台
3・・・ノズル口
4・・・センサ(光電センサ)
C・・・コンピュータ
5・・・制御部
51・・・記録手段
52・・・制御手段
53・・・演算手段
54・・・出力手段
6・・・表示部(出力部)
D・・・注出判定システム
S1・・・発泡飲料注出ステップ
S2・・・第1検知ステップ
S3・・・注出停止ステップ
Si・・・中間検知ステップ
S4・・・泡注出ステップ
S5・・・第2検知ステップ
S6・・・判定ステップ
L・・・センサが検知する反射量
L1・・・第1閾値
L2・・・第2閾値
T・・・注出開始からの時間
Ta・・・所定のビール液注出時間
Tb・・・所定の泡注出時間
N・・・ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5