(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043442
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/25 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
G01B11/25 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148642
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】312003595
【氏名又は名称】タカハタプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】村松 弘一朗
(72)【発明者】
【氏名】三浦 義晃
(72)【発明者】
【氏名】片岡 政人
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA53
2F065AA59
2F065BB15
2F065FF04
2F065FF09
2F065GG06
2F065GG15
2F065HH07
2F065JJ03
2F065LL42
2F065MM03
2F065MM16
2F065PP15
2F065PP22
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065UU01
(57)【要約】
【課題】3次元物品の外形寸法を非接触で自動計測する。
【解決手段】被測定物の載置面を撮像範囲に含み載置面及び被測定物の表面の三次元座標値の集合である点群データを取得する取得手段と、取得手段のxy軸を載置面に沿ったxy座標系に座標変換する座標系設定手段と、取得手段により取得された点群データから被測定物の点群データを抽出して被測定物の外形寸法を算出する算出手段と、を備え、算出手段は、抽出した点群データからxy軸に沿うxy平面で被測定物の凸多角形を仮想し、xy平面における凸多角形の面積が最小になるように囲う四角形の平面枠をz軸方向に引き伸ばしてz軸方向の高さで被測定物を囲う立方体枠を推定して立方体枠の3辺の寸法を被測定物の外形寸法として算出する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の載置面を撮像範囲に含み前記載置面及び前記被測定物の表面の三次元座標値の集合である点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段のxy軸を前記載置面に沿ったxy座標系に座標変換する座標系設定手段と、
前記取得手段により取得された前記点群データから前記被測定物の点群データを抽出して前記被測定物の外形寸法を算出する算出手段と、を備えた、
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記取得手段は、複数の発光素子からなるアレイ光源から回折光学素子を介して投射され前記被測定物の表面及び前記載置面から反射する反射光を受光して前記点群データを取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記算出手段は、取得した前記点群データの任意の一点の近傍点における分散を算出することでノイズを検出し、取得された前記点群データから前記ノイズを除去して前記被測定物の点群データを抽出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記取得手段により取得された前記点群データから前記載置面上で前記被測定物を収容するトレイを示す点群データを除去して前記被測定物の点群データを抽出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記xy軸それぞれの方向に対して前記xy軸と直交するz軸方向の前記点群データの分散を算出することで前記トレイを検出し、予め記憶されたトレイの大きさから前記トレイの領域を算出し、前記載置面までの距離及び前記トレイの領域に基づいて前記被測定物が存在する領域の点群データを抽出する、
ことを特徴とする請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記算出手段は、抽出した前記点群データから前記xy軸に沿うxy平面で前記被測定物の凸多角形を仮想し、前記xy平面における前記凸多角形の面積が最小になるように囲う四角形の平面枠をz軸方向に引き伸ばしてz軸方向の高さで前記被測定物を囲う立方体枠を推定して前記立方体枠の3辺の寸法を前記被測定物の外形寸法として算出する、
ことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記算出手段は、前記被測定物の外形寸法から前記被測定物の体積を算出する、
ことを特徴とする請求項6に記載の測定装置。
【請求項8】
前記取得手段は、移動する前記載置面に載置された前記被測定物を真上から撮像して前記点群データを取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項9】
前記取得手段は、前記点群データに予め登録された前記取得手段から前記載置面までの距離よりも小さい点群データが含まれている場合に前記点群データを保存する、
ことを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
前記取得手段は、固定されている前記載置面に載置された前記被測定物を真上から撮像して前記点群データを取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項11】
前記取得手段は、可搬可能で一方向から前記被測定物の全体を撮像して前記点群データを取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
載置台に載置された直方体形状の荷物を実質的に直上から撮影可能である位置に配置され、荷物を撮影して荷物との距離を取得する深度センサと、深度センサから取得したデータに基づいて荷物のサイズを算出する制御部と、撮像装置と、を有する荷物計測装置と、情報取得装置と、精算装置と、を備え、情報取得装置が、撮像装置で取得した画像の画像認識によって、荷物の配送に関する情報を取得し、荷物計測装置が、荷物のサイズ及び荷物の配送に関する情報に基づいて荷物の配送料金を算出し、精算装置が荷物の配送料金の精算を行い、制御部は、載置物がない状態の載置台を、予め深度センサで撮影して背景深度画像データとして記憶しておき、深度センサを制御し、載置台に載置された荷物を実質的に直上から撮影して荷物の深度画像データを取得し、荷物の深度画像データと背景深度画像データとの比較によって荷物の深度画像データにおける荷物のデータを特定し、荷物の深度画像データにおける荷物の上面までの深度センサからの距離のデータと荷物の背景深度画像データにおける載置台の上面までの深度センサからの距離のデータとに基づいて、荷物の高さを算出し、撮像装置で取得した画像の画像認識によって、荷物の深度画像データ中で最も左側に位置する第1の頂点の位置と、荷物の深度画像データ中で最も右側に位置する第2の頂点の位置と、荷物の深度画像データ中で最も上側に位置する、もしくは最も下側に位置する第3の頂点の位置と、を特定し、深度センサの中心を原点とする空間における、第1の頂点、第2の頂点、及び第3の頂点の2次元座標を、深度センサの視野角と、それぞれ第1の頂点、第2の頂点、及び第3の頂点の深度センサからの距離のデータと、深度センサのセンサ素子の数と、それぞれ第1の頂点、第2の頂点、及び第3の頂点に対応する深度センサのセンサ素子の位置データとに基づいて求め、第1の頂点、第2の頂点、及び第3の頂点の2次元座標に基づいて、第1の頂点と第3の頂点との間の第1の辺の長さと、第2の頂点と第3の頂点との間の第2の辺の長さと、を算出し、算出した結果を出力する、荷物受付システムが知られている(特許文献1)。
【0003】
搬送コンベア上を移送される物品を画像処理によりその面積を測定し、その面積値より上記物品の外形寸法を算出し、その外形寸法により多段階に選別する装置において、物品の通過検出によりCCDカメラでその物品の画像を撮影し、その画像を画像メモリに記憶する段階と、上記画像メモリから画素数により上記物品の面積を求める段階と、その面積を基に物品の外形寸法を算出する段階と、設定された外形寸法毎のランクに対し上記算出された外形寸法を比較してランクを判定し、多段階のランクに選別する段階とで構成した画像処理による形状測定方法も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-81431号公報
【特許文献2】特開平9-178444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、被測定物の外形寸法を非接触で自動計測する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の測定装置は、
被測定物の載置面を撮像範囲に含み前記載置面及び前記被測定物の表面の三次元座標値の集合である点群データを取得する取得手段と、
前記取得手段のxy軸を前記載置面に沿ったxy座標系に座標変換する座標系設定手段と、
前記取得手段により取得された前記点群データから前記被測定物の点群データを抽出して前記被測定物の外形寸法を算出する算出手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の測定装置において、
前記取得手段は、複数の発光素子からなるアレイ光源から回折光学素子を介して投射され前記被測定物の表面及び前記載置面から反射する反射光を受光して前記点群データを取得する、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の測定装置において、
前記算出手段は、取得した前記点群データの任意の一点の近傍点における分散を算出することでノイズを検出し、取得された前記点群データから前記ノイズを除去して前記被測定物の点群データを抽出する、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の測定装置において、
前記算出手段は、前記取得手段により取得された前記点群データから前記載置面上で前記被測定物を収容するトレイを示す点群データを除去して前記被測定物の点群データを抽出する、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の測定装置において、
前記算出手段は、前記xy軸それぞれの方向に対して前記xy軸と直交するz軸方向の前記点群データの分散を算出することで前記トレイを検出し、予め記憶されたトレイの大きさから前記トレイの領域を算出し、前記載置面までの距離及び前記トレイの領域に基づいて前記被測定物が存在する領域の点群データを抽出する、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の測定装置において、
前記算出手段は、抽出した前記点群データから前記xy軸に沿うxy平面で前記被測定物の凸多角形を仮想し、前記xy平面における前記凸多角形の面積が最小になるように囲う四角形の平面枠をz軸方向に引き伸ばしてz軸方向の高さで前記被測定物を囲う立方体枠を推定して前記立方体枠の3辺の寸法を前記被測定物の外形寸法として算出する、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の測定装置において、
前記算出手段は、前記被測定物の外形寸法から前記物品の体積を算出する、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の測定装置において、
前記取得手段は、移動する前記載置面に載置された前記被測定物を真上から撮像して前記点群データを取得する、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の測定装置において、
前記取得手段は、前記点群データに予め登録された前記取得手段から前記載置面までの距離よりも小さい点群データが含まれている場合に前記点群データを保存する、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の測定装置において、
前記取得手段は、固定されている前記載置面に載置された前記被測定物を真上から撮像して前記点群データを取得する、
ことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の測定装置において、
前記取得手段は、可搬可能で一方向から前記被測定物の全体を撮像して前記点群データを取得する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、被測定物の外形寸法を非接触で自動計測する。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、被測定物の外形を点群データとして取得することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、取得した点群データからノイズを除去することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、取得した点群データから被測定物のみの点群データを抽出することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、取得した点群データから被測定物の点群データを抽出することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、被測定物の外形寸法を非接触で自動計測することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、被測定物の積載数を推定するための情報とすることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、コンベア上を移動する被測定物の外形寸法を非接触で連続して自動測定することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、コンベア上を移動する被測定物の測定トリガーとすることができる。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば、宅配荷物のサイズを非接触で測定することができる。
【0027】
請求項11に記載の発明によれば、簡便に宅配荷物のサイズを非接触で自動測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1実施形態に係る測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】(a)は3次元センサの構成例を示す平面模式図、(b)は断面模式図である。
【
図3】3次元センサのドットパターン照射を示す模式図である。
【
図4】第1実施形態に係る測定装置の構成例を示す模式図である。
【
図5】第1実施形態に係る測定装置における物品の外形寸法の算出処理の流れを示すフローチャート図である。
【
図6】トレイデータ除去の処理を説明する概念図である。
【
図7】点群データからノイズを除去する処理を説明する概念図である。
【
図8】物品が存在する領域のみの点群データから物品の寸法を算出する処理の流れを模式的に示す概念図である。
【
図9】第2実施形態に係る測定装置の構成例を示す模式図である。
【
図10】第3実施形態に係る測定装置の構成例を示す模式図である。
【
図11】第3実施形態に係る測定装置の使用方法示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0030】
「第1実施形態」
(1)測定装置の全体構成
図1は本実施形態に係る測定装置1の機能構成を示すブロック図、
図2(a)は3次元センサ10の構成例を示す平面模式図、(b)は断面模式図、
図3は3次元センサ10のドットパターン照射を示す模式図、
図4は測定装置1の構成例を示す模式図である。
以下、図面を参照しながら、測定装置1の全体構成について説明する。
【0031】
図1に示すように、測定装置1は、被測定物である3次元物品(以下、単に物品と記す)Gの表面の三次元座標値の集合である点群データを取得する取得手段の一例としての3次元センサ10と、3次元センサ10により取得された点群データから物品Gの点群データを抽出して物品Gの外形寸法を算出する算出手段の一例としての寸法算出部20を有する。
【0032】
3次元センサ10は、光を出射する発光素子からなるプロジェクタ11と、物品Gの表面から反射した反射光を撮像する撮像素子からなるイメージセンサモジュール12と、プロジェクタ11及びイメージセンサモジュール12の動作を制御し、点群データを取得を取得する制御部13と、備えている。本実施形態においては、制御部13として、例えば、ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータであるラズベリーパイ(Raspberry Pi:登録商標)や小型のコンピュータ装置などとして実装されるプログラム処理装置を用いることができるが、特に限定されない。
【0033】
プロジェクタ11は、
図2に示すように、複数の発光素子からなるアレイ光源であるVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)111と、VCSEL111の上側でレーザ光の配光制御を行う透過型の回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)112と、から構成されている。
回折光学素子112は、VCSEL111が発光することにより生じる光を、規則的なドットパターンの配光パターンに変換し、複数のビーム状の測距光として被測定物である物品Gに照射する。
【0034】
図3においては、回折光学素子112により、プロジェクタ11から発光された光が、被測定物である物品Gに対して、規則的なドットパターンとして配光されるように広がり角θ1の測距光L1~Lnに変換される例が示されている。本実施形態においては、4000ないし5000本のレーザ光でドットパターンを照射している。
【0035】
イメージセンサモジュール12には、光電変換素子としてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられている。
イメージセンサモジュール12は、プロジェクタ11から出射した光が物品Gで反射する反射光を撮像して点群データとして取得して制御部13を介して寸法算出部20に出力する。
【0036】
このように構成される3次元センサ10は、物品Gにプロジェクタ11からレーザ光を発して物品Gの表面から反射する反射光をイメージセンサモジュール12で撮像して点群データを取得して被測定物の3次元形状を測定する。
【0037】
寸法算出部20は、プログラムの実行を通じて各種の管理機能を提供するCPU(Central Processing Unit)と、BIOS(Basic Input Output System)等を格納する記憶領域としてのROM(Read Only Memory)と、プログラムの実行領域として使用されるRAM(Random Access Memory)からなるプロセッサを有している。プログラムには、ファームウェアやオペレーティングシステム(OS)が含まれる。
寸法算出部20は、プログラムの実行を通じ、3次元センサ10で取得した点群データを用いて、外形寸法算出、表示等の処理を実行する。
【0038】
図4に示すように、本実施形態に係る測定装置1は、3次元センサ10、3次元センサ10が取り付けられたコンベア30及び寸法算出部20を含む端末装置40、を有するように構成することができる。
【0039】
コンベア30は、載置面Fとしてのコンベア面が所定の速度で移動する搬送コンベアであり、搬送過程で物品Gの外形寸法の計測及び振り分けを行う。コンベア30の搬送方向途中には、3次元センサ10が配置され、搬送される物品Gを上方から撮像できるようになっている。コンベア30には、物品Gをそのままコンベア面に載置して搬送してもよく、トレイTに物品Gを収容したまま搬送してもよい。
【0040】
端末装置40は、3次元センサ10と有線又は無線で接続され、3次元センサ10と通信が可能になっている。端末装置40は、このような接続のための通信インタフェース等を有することができる。なお、端末装置40は、モバイルPC(Personal Computer)と称されるものであってもよく、また、設置型のPC、携帯端末(スマートフォン)等の装置であってもよい。
【0041】
(2)外形寸法算出処理
図5は測定装置1における物品Gの外形寸法の算出処理の流れを示すフローチャート図である。
寸法算出部20は、最初に、ステップS101で3次元センサ10をオンにして、載置面Fに物品が載置されていない状態で載置面Fに対して真上からレーザ光を照射して載置面Fに沿ったxy座標系を設定する(S101)。レーザ光は数千本のレーザ光が同時に整列したドットとして照射される。レーザ光は物品Gの外形寸法を算出する間、常に一定間隔で照射され、載置面Fに向かって整列したドットとして照射されたレーザ光は、載置面F及び載置面F上の物品Gの表面で反射し、イメージセンサモジュール12で撮像して点群データPとして取得される。
【0042】
そして、ステップS102で3次元センサ10のz軸が載置面Fと垂直になり、xy軸を物品Gが載置されていない状態の載置面Fに沿うxy座標系に座標変換する(S102)。これにより、載置面Fに載置された物品Gを真上から撮像して物品Gの点群データを取得する際の傾きを補正する。ここで、載置面Fは、一定の速度で移動するコンベア面であり、少なくとも平面状であり、真上とは、コンベアの基準面の上方の位置である。
【0043】
次に、ステップS103で点群データPに、予め登録された3次元センサ10から載置面Fまでの距離H0よりも小さい点群データPが含まれているか否かを判断する(S103)。距離H0よりも小さい点群データPが含まれていた場合(S103;Yes)に、計測のトリガーとして取得した点群データPを保存する(S104)。距離H0よりも小さい点群データPが含まれていない場合(S103;No)、点群データPを保存することはなく、継続してレーザ光を照射する(S102)。
【0044】
図6はトレイデータ除去の処理を説明する概念図である。
本実施形態に係る測定装置1においては、物品GがトレイTに収容されている状態で測定を行うトレイ有モードと、物品Gがトレイに収容されず直接載置面に載置されている状態で測定を行うトレイ無モードが予め選択可能となっている。
次に、寸法算出部20は、ステップS105でトレイ有モードが選択されているか否かを判断し(S105)、トレイ有モードが選択されている場合(S105;Yes)、ステップS104で保存した点群データPからトレイTを示す点群データPを除去し、物品Gが存在する領域のみの点群データPを抽出する(S106)。
具体的には、
図6(a)に示すように、物品GがトレイTに収容されているトレイ有モードが選択されているか否かを判断し(S105)、トレイ有モードが選択されている場合(S105;Yes)、保存した点群データPのうち、xy軸それぞれの方向に対して、数十点ずつ抽出しxy軸と互いに直交するz軸方向の分散σ1を算出する。算出したz軸方向の分散σ1が予め定められた値よりも大きい場合、トレイTのx軸方向及びy軸方向の2側面が検出されたと推定する。そして、予め登録されているトレイTの大きさからトレイTの領域を算出する。そして、
図6(b)に示すように、保存した点群データPから、算出したトレイTの領域を示す点群データPを除去し、載置面Fまでの距離を用いて物品Gが存在する領域のみの点群データPを抽出する(S106)。
【0045】
図7は点群データPからノイズを除去する処理を説明する概念図である。
寸法算出部20は、ステップS107で、トレイTを示す点群データPを除去した点群データPからノイズを除去して、物品Gの点群データPを抽出する(S107)。また、ステップS105で、トレイTは無いと判断された場合(S105;No)も、ステップS104で保存した点群データPからノイズを除去して、物品Gの点群データPを抽出する(S107)。
図7に模式的に示すように、取得した点群データPの任意の一点Pnを中心として所定の閾値を半径とする仮想した球内から外れる点群データの近傍点における分散σ2を算出し、分散σ2が予め定められた値よりも大きい場合、ノイズと判断して点群データPから除去する。この処理を点群データの各点で繰り返し実行することで点群データPからノイズを除去して、物品Gの点群データPを抽出する(S107)。
また、取得した点群データPの任意の一点Pnから近傍点への距離の平均が点群データ全体の平均から離れている統計的外れ値を算出することでノイズを検出して、取得された点群データPからノイズとして除去してもよく、この処理を追加的に実施してもよい。
【0046】
寸法算出部20は、ステップS108において、ノイズが除去され、物品Gが存在する領域のみの点群データPから物品Gの寸法を算出する(S108)。
図8には、物品Gが存在する領域のみの点群データP(
図8(a)に示す)から物品Gの寸法を算出する処理の流れを模式的に示している。まず、寸法算出部20は、
図8(b)に示すように、抽出した物品Gが存在する領域のみの点群データPからxy軸に沿うxy平面で物品Gの凸多角形100を設定する。そして、
図8(c)に示すように、xy平面における凸多角形100の面積が最小になるように凸多角形100を囲う四角形の平面枠110をz軸方向に引き伸ばしてz軸方向の高さで物品Gを囲う立方体枠120を仮想する。そして、仮想した立方体枠120の3辺(X、Y、Z)の寸法を物品Gの外形寸法として算出する(S108)。
【0047】
このような処理を経て、3次元センサ10により取得された点群データから物品Gの点群データPを抽出して物品Gの外形寸法を算出する。これにより、3次元物品の外形寸法を非接触で自動計測することが可能となる。特に、コンベア上を移動する物品Gの外形寸法を非接触で連続して自動計測することができる。
【0048】
ステップS108で物品Gの外形寸法(X、Y、Z)を算出した場合、算出した外形寸法から物品Gの体積を算出してもよい。物品Gの体積を算出することで、物品Gの積載数を推定するための情報とすることができる。
【0049】
「第2実施形態」
図9は第2実施形態に係る測定装置1Aの構成例を示す模式図である。
第2実施形態について、
図9を参照しながら、第1実施形態との相違点を中心に説明するが、外形寸法算出処理については第1実施形態で説明した例が適用できる。
図9に示すように、本実施形態に係る測定装置1Aは、3次元センサ10、3次元センサ10が取り付けられた載置台50及び寸法算出部20を含む端末装置40、を有するように構成することができる。
【0050】
載置台50は、被測定物である物品Gを載せる平面状の台であり、載置台50の一端には、支柱51が設けられ、支柱51にはセンサ取付部52が載置台50の上方に張出すように配置されている。センサ取付部52には、3次元センサ10が取り付けられ、載置台50に載せられた物品Gを真上から撮像できるようになっている。
【0051】
図9に示す測定装置1Aは、例えば、配送する荷物の大きさを3次元センサ10で測定する装置であり、荷物受付場所の一角に設置しておくことができる。荷物受付場所としては、例えば、宅配業者が運営する宅配物の集配所、コンビニエンスストアなどの宅配物受付業務を請け負った店舗などが挙げられる。
【0052】
例えば、配送予定の荷物を載置台50に置き、端末装置40を起動すると、第1実施形態において説明した外形寸法算出処理の流れに沿って物品Gとしての荷物の外形寸法を算出する。尚、本実施形態においては、物品Gは固定された載置台50に載置されることから、第1実施形態で説明した物品GがトレイTに収容されているか否かを判断する処理、及び取得した点群データPからトレイTを示す点群データPを除去する処理はなされない。
【0053】
測定装置1Aによれば、荷物受付場所に持ち込まれた宅配荷物のサイズを非接触で自動計測することができる。
【0054】
「第3実施形態」
図10は第3実施形態に係る測定装置1Bの構成例を示す模式図、
図11は第3実施形態に係る測定装置1Bの使用方法示す概念図である。
第3実施形態について、
図9、
図10を参照しながら、第1実施形態との相違点を中心に説明するが、外形寸法算出処理については第1実施形態で説明した例が適用できる。
図10に示すように、本実施形態に係る測定装置1Bは、3次元センサ10を備える測定部1Baと、把持部1Bbと、寸法算出部20を含む端末装置40とを有し、荷物のサイズを非接触で測定するものである。
【0055】
本実施形態の測定装置1Bにおいては、
図11に示すように、例えば把持部1Bbを手で持ち、3次元センサ10のプロジェクタ11からレーザ光を照射して被測定物である荷物の表面全体に測定用ドットパターンを投影する。荷物の表面で反射する反射光はイメージセンサモジュール12で撮像され点群データとして取得して寸法算出部20に出力する。
【0056】
寸法算出部20は、第1実施形態において説明した外形寸法算出処理の流れに沿って物品Gとしての荷物の外形寸法を算出する。尚、本実施形態においては、荷物は手で持っていたり、固定された載置台に載置されることから、第1実施形態で説明した物品GがトレイTに収容されているか否かを判断する処理、及び取得した点群データからトレイTを示す点群データPを除去する処理はなされない。
【0057】
測定装置1Bによれば、荷物受付場所に持ち込まれた宅配荷物や宅配として受け取る宅配荷物のサイズを非接触で自動計測することができる。
【0058】
以上詳述した測定装置1、1A、1Bによれば、被測定物としての物品Gにプロジェクタ11からレーザ光をドットパターンとして照射して物品Gの表面から反射する反射光をイメージセンサモジュール12で撮像して点群データを取得している。
取得した点群データに対しては、物品GがトレイTに収容されている場合はトレイTを示す点群データを除去し、物品Gが存在する領域のみの点群データPを抽出したうえで、ノイズを除去して物品Gの点群データPを抽出している。
物品Gが存在する領域のみを抽出した点群データPに対しては、xy軸に沿うxy平面で物品Gの凸多角形100を設定したうえで、xy平面における凸多角形100の面積が最小になるように囲う四角形の平面枠110をz軸方向に引き伸ばしてz軸方向の高さで物品Gを囲う立方体枠120を仮想する。そして、仮想した立方体枠120の3辺(X、Y、Z)の寸法を物品Gの外形寸法として算出することで3次元物品の外形寸法を非接触で自動計測することが可能となっている。
【符号の説明】
【0059】
1、1A、1B・・・測定装置
10・・・3次元センサ
11・・・プロジェクタ、111・・・VCSEL、112・・・回折光学素子
12・・・イメージセンサモジュール
13・・・制御部
20・・・寸法算出部
30・・・コンベア
40・・・端末装置
50・・・載置台
F・・・載置面
G・・・物品
P・・・点群データ