(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043447
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】動作モニタリング装置
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20240322BHJP
A61J 7/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
A61J1/05 313H
A61J1/05 313F
A61J7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022161952
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】518148973
【氏名又は名称】株式会社シンクアウト
(72)【発明者】
【氏名】田淵 仁志
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047CC24
4C047EE03
4C047NN10
4C047NN20
(57)【要約】
【課題】患患者が点眼したか否かを正確に判断することの可能なモニタリングデータを取得することの可能な動作モニタリング装置を提供する。
【解決手段】本発明の一側面である動作モニタリング装置は、保持部と、センサ部と、位置決め部とを備えている。保持部は、点眼薬容器を保持することができるように構成されている。センサ部は、保持部に点眼薬容器を保持させたときの点眼薬容器の動作をモニタリングすることができるように構成されている。位置決め部は、保持部に点眼薬容器を保持させた状態で点眼薬容器から点眼薬を眼に滴下するときの点眼薬容器の、眼に対する位置を決めることができるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点眼薬容器を保持することの可能な保持部と、
前記保持部に前記点眼薬容器を保持させたときの前記点眼薬容器の動作をモニタリングするセンサ部と、
前記保持部に前記点眼薬容器を保持させた状態で前記点眼薬容器から点眼薬を眼に滴下するときの前記点眼薬容器の、前記眼に対する位置を決めることの可能な位置決め部と
を備えた
動作モニタリング装置。
【請求項2】
前記センサ部を収容するとともに前記保持部を支持する支持部を更に備え、
前記支持部は、前記位置決め部を着脱可能に接続する接続部を有する
請求項1に記載の動作モニタリング装置。
【請求項3】
前記センサ部を収容するとともに前記保持部および前記位置決め部と一体に形成された支持部を更に備えた
請求項1に記載の動作モニタリング装置。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記眼の周囲に当接させる環状の当接部を有する
請求項1に記載の動作モニタリング装置。
【請求項5】
前記位置決め部には、前記保持部に前記点眼薬容器を保持させた状態のときにユーザが前記点眼薬容器に直接、もしくは前記保持部を介して触れることの可能な開口部が設けられている
請求項1に記載の動作モニタリング装置。
【請求項6】
前記保持部は、相対的に高い柔軟性を有する樹脂材料で形成され、
前記支持部および前記位置決め部は、相対的に低い柔軟性を有する樹脂材料で形成されている
請求項1に記載の動作モニタリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作モニタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薬の用法を管理することへの要望が高まっている。特に、病院に通院する高齢の患者に投薬する場合、患者が自宅で薬を処方通りに使用しているか否かを把握することは、患者を治療する医師等の医療関係者にとっては極めて重要である。そこで、高齢者の薬の飲みすぎや飲み忘れを防ぐ服薬支援装置が一般に販売されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
しかし、このような服薬支援装置では、服用薬への対応が中心であり、点眼薬への対応は困難であった。そこで、点眼薬に対応した点眼動作検出装置が、例えば、特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013-531548号公報
【特許文献2】国際公開WO2009/148345号公報
【特許文献3】特開2017-074197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、患者が点眼薬を処方通りに使用しているか否かを把握するために、上述したような点眼動作検出装置を用いた場合、患者の点眼の仕方によっては、患者が点眼したにもかかわらず点眼していないと誤って判断される可能性がある。従って、患者が点眼したか否かを正確に判断することの可能なモニタリングデータを取得することの可能な動作モニタリング装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面である動作モニタリング装置は、保持部と、センサ部と、位置決め部とを備えている。保持部は、点眼薬容器を保持することができるように構成されている。センサ部は、保持部に点眼薬容器を保持させたときの点眼薬容器の動作をモニタリングすることができるように構成されている。位置決め部は、保持部に点眼薬容器を保持させた状態で点眼薬容器から点眼薬を眼に滴下するときの点眼薬容器の、眼に対する位置を決めることができるように構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一側面である動作モニタリング装置によれば、保持部に点眼薬容器を保持させた状態で点眼薬容器から点眼薬を眼に滴下するときの点眼薬容器の、眼に対する位置を決めることができるようになっているので、患者によらず所定の姿勢で点眼を行うことができる。その結果、この動作モニタリング装置で得られたモニタリングデータに基づいて、患者が点眼したか否かを正確に判断することが可能である。つまり、患者が点眼したか否かを正確に判断することの可能なモニタリングデータを取得することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る動作モニタリング装置および点眼薬容器の斜視構成例を表す図である。
【
図2】
図1の動作モニタリング装置において位置決め部を取り外したときの動作モニタリング装置および点眼薬容器の斜視構成例を表す図である。
【
図3】
図1の支持部の展開斜視構成例を表す図である。
【
図4】
図3のセンサ部の機能ブロック例を表す図である。
【
図5】
図1の動作モニタリング装置を用いて点眼している様子を表す図である。
【
図6】
図1の動作モニタリング装置からモニタリングデータを取得し処理する点眼情報処理システムの概略構成例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。また、以下の説明において、上下、左右、前後等の方向は、特に言及しない限り患者から見た方向とする。
【0009】
[構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る動作モニタリング装置20および点眼薬容器10の斜視構成例を表したものである。
図2は、
図1の動作モニタリング装置20において後述の位置決め部23を取り外したときの動作モニタリング装置20および点眼薬容器10の斜視構成例を表したものである。
【0010】
点眼薬容器10は、例えば、樹脂製容器に点眼薬が充填されたものである。点眼薬容器10では、例えば、樹脂製容器の先端に開口が設けられており、その開口を塞ぐキャップを取り外し、樹脂製容器の先端を下に向け、樹脂製容器を押圧することにより、点眼薬が樹脂製容器の先端から吐出(滴下)される。
【0011】
動作モニタリング装置20は、点眼薬容器10を保持するともに、保持した点眼薬容器10の動作をモニタリングし、それにより得られたモニタリングデータを外部装置に送信する。動作モニタリング装置20は、例えば、点眼薬容器10を保持することの可能な保持部22と、保持部22を支持する支持部21とを備えている。
【0012】
保持部22は、例えば、上端に開口部が設けられた筒状の部分を有しており、筒状の部分に点眼薬容器10を嵌合させることにより、点眼薬容器10を保持するようになっている。保持部22は、点眼薬容器10を保持することの可能な他の構成となっていてもよい。保持部22は、支持部21に固定されている。
【0013】
動作モニタリング装置20は、さらに、位置決め部23を備えている。位置決め部23は、保持部22に点眼薬容器10を保持させた状態で点眼薬容器10から点眼薬を眼に滴下するときの点眼薬容器10の、眼に対する位置を決めることができるように構成されている。位置決め部23は、例えば、支持部21に着脱可能に接続されている。位置決め部23は、例えば、支持部21とは別体に形成された部品であり、支持部21の接続部21A(後述)に着脱可能に接続されている。なお、位置決め部23は、支持部21と一体形成され、支持部21に固定されていてもよい。また、保持部22が、支持部21と一体形成され、支持部21に固定されていてもよい。
【0014】
保持部22は、例えば、相対的に高い柔軟性を有する樹脂材料で形成されている。一方、支持部21および位置決め部23は、例えば、相対的に低い柔軟性を有する樹脂材料で形成されている。支持部21、保持部22および位置決め部23が上述したような材料で形成されている場合、患者(ユーザ)は、柔軟な保持部22を押圧して点眼薬容器10から点眼薬を吐出させることが可能であり、硬い支持部21および位置決め部23によって、点眼薬容器10の、眼に対する位置を決めることが可能である。
【0015】
位置決め部23は、眼の周囲に当接させる環状の当接部23aを有している。患者(ユーザ)は、例えば、
図3に示したように、当接部23aを眼の周囲に当接させた状態で点眼薬容器10から点眼薬を滴下させたときに点眼薬が眼に入るように顔の向きを調整する。このように、当接部23aは、患者に対して、顔の向きや点眼薬容器10の位置および向きを所望の状態に設定させる機能を有している。
【0016】
位置決め部23には、保持部22に点眼薬容器10を保持させた状態のときに患者(ユーザ)が点眼薬容器10に直接、もしくは保持部22を介して触れることの可能な開口部23bが設けられている。これにより、患者は、例えば、
図3に示したように、動作モニタリング装置20を顔の上に配置した状態で、点眼薬容器10を押圧することにより、点眼薬容器10から点眼薬を眼に滴下することができる。
【0017】
支持部21は、例えば、
図4に示したように、筐体上部21aと、筐体上部21aの下端に連結された筐体底部21bとを有している。筐体底部21bには、センサ部21cが設けられている。センサ部21cは、筐体上部21aと筐体底部21bとによって収容されている。筐体上部21aには、例えば、その上面に、位置決め部23を着脱可能に接続する接続部21Aが設けられている。接続部21Aは、例えば、位置決め部23の一部を嵌合することの可能な構成となっている。
【0018】
図5は、センサ部21cの機能ブロック例を表したものである。センサ部21cは、例えば、モーションセンサ部212、データ処理部213、記憶部214、計時部215、通信部216および電源部217を有している。モーションセンサ部212、データ処理部213、記憶部214、計時部215、通信部216および電源部217は、例えば、共通の基板211上に実装されている。
【0019】
モーションセンサ部212は、例えば、慣性センサを含んで構成されている。慣性センは、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)によって構成されている。モーションセンサ部212は、例えば、3軸加速度センサおよび3軸ジャイロセンサの少なくとも1つを含んで構成されている。モーションセンサ部212は、例えば、慣性センサを利用して点眼薬容器10の動作を検知する。モーションセンサ部212では、慣性センサで点眼薬容器10の動作が検知されると、慣性センサからセンサ信号を時系列に出力する。以下では、慣性センサから出力される時系列のセンサ信号を、点眼薬容器10の動作のセンシングデータ212Aと称する。モーションセンサ部212は、センシングデータ212Aをデータ処理部213に出力する。
【0020】
データ処理部213は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成されている。データ処理部213は、モーションセンサ部212から入力されたセンシングデータ212Aと、計時部215から入力された時刻データ215Aとを処理する。データ処理部213は、センシングデータ212Aがモーションセンサ部212から入力されると、計時部215から時刻データ215Aを取得し、取得した時刻データ215Aと、センシングデータ212Aとを対応付けたモニタリングデータ214Aを生成する。モニタリングデータ214Aは、センシングデータ212Aと、時刻データ215Aとを含んでいる。データ処理部213は、生成したモニタリングデータ214Aを記憶部214に記憶させる。データ処理部213は、後述の点眼情報処理装置40からのデータ出力のリクエストに応じて、記憶部214から複数のモニタリングデータ214Aを読み出し、通信部216を介して点眼情報処理装置40に出力する。
【0021】
記憶部214は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって構成されている。記憶部214には、例えば、データ処理部213で生成された複数のモニタリングデータ214Aが記憶される。記憶部214は、例えば、点眼情報214Bを記憶している。点眼情報214Bは、例えば、患者名、患者を識別するID、点眼期間、点眼薬名および1日に必要な点眼回数などを含んでいる。なお、点眼情報214Bが記憶部214に記憶されていなくてもよい。この場合、点眼情報214Bは、例えば、後述の点眼情報処理装置40に記憶されていてもよい。
【0022】
計時部215は、時刻データ215Aを出力するデバイスである。計時部215は、例えば、データ処理部213からのデータ出力のリクエストに応じて、データ処理部213に対して時刻データ215Aを出力する。
【0023】
通信部216は、データ処理部213から入力された複数のモニタリングデータ214Aを所定の通信規格で、ネットワーク50(後述)経由で点眼情報処理装置40に送信する。電源部217は、例えば、ボタン電池を含んで構成されている。電源部217は、基板211上に実装された各デバイスに対して電力を供給する。
【0024】
図6は、点眼情報処理システム100の概略構成例を表したものである。点眼情報処理システム100は、例えば、通信装置30および点眼情報処理装置40を備えている。通信装置30は、動作モニタリング装置20のセンサ部21cと通信可能に構成されている。通信装置30は、点眼情報処理装置40から送信されてきたデータ出力のリクエストを動作モニタリング装置20(センサ部21c)に送信したり、動作モニタリング装置20(センサ部21c)から送信されてきた複数のモニタリングデータ214Aを点眼情報処理装置40に送信したりする。通信装置30と点眼情報処理装置40とは、ネットワーク50で接続されている。ネットワーク50は、例えば、イーサネット等の有線LAN(Local Area Network)や、Wi-Fi等の無線LANなどによって構成されている。
【0025】
点眼情報処理装置40は、通信装置30を介して動作モニタリング装置20から複数のモニタリングデータ214Aを取得し、取得した複数のモニタリングデータ214Aを処理する。点眼情報処理装置40は、例えば、通信部、点眼検出モデル、記憶部、表示部および制御部を有している。
【0026】
点眼情報処理装置40の制御部は、CPU(Central Processing Unit)およびGPU(Graphics Processing Unit)などを含んで構成されている。制御部は、例えば、点眼情報処理装置40に含まれる各種デバイスを制御する制御プログラムなど(図示せず)を実行する。制御部は、さらに、例えば、記憶部に記憶された点眼カレンダ生成プログラムや点眼動作再現プログラムを実行する。点眼カレンダ生成プログラムは、点眼カレンダを生成するための一連の手順を制御部に実行させる。点眼動作再現プログラムは、点眼動作を3次元で再現するための一連の手順を制御部に実行させる。
【0027】
点眼カレンダ生成プログラムがロードされた制御部は、取得した複数のモニタリングデータ214Aのうち、点眼動作に関する複数のモニタリングデータ214Aに基づいて、点眼カレンダを生成する。制御部は、取得した各モニタリングデータ214Aが点眼動作に対応するデータに該当するか否かの判別を行い、その判別結果に基づいて、点眼カレンダを生成する。制御部は、判別結果をまとめた集計テーブルを生成し、記憶部に記憶させる。点眼情報処理装置40は、集計テーブルに基づいて、点眼カレンダを生成する。
【0028】
制御部は、点眼検出モデルにセンシングデータ212Aを入力することにより、センシングデータ212Aが点眼動作に対応するデータに該当するか否かの判別を点眼検出モデルにリクエストする。制御部は、リクエストに対する応答として、点眼検出モデルから判別結果を取得する。制御部は、取得した判別結果を、点眼検出モデルに入力したセンシングデータ212Aに対応する時刻データ215Aとともに集計テーブルに格納する。集計テーブルでは、判別結果と時刻データ215Aとが互いに対応付けて格納されている。制御部は、集計テーブルに含まれる複数の時刻データ215Aに基づいて、点眼カレンダを生成する。制御部は、集計テーブルに含まれる複数の時刻データ215Aと、点眼薬の用法についての点眼情報とに基づいて、点眼薬の用法を満たす日と、点眼薬の用法を満たさない日とをグラフィカルに区別した点眼カレンダを生成する。
【0029】
点眼動作再現プログラムがロードされた制御部は、センシングデータ212Aに基づいて、点眼薬容器10の動作をグラフィカルに表現する動画データを生成する。
【0030】
制御部は、点眼カレンダを含む映像を表示するための映像信号を生成し、表示部に出力する。制御部は、さらに、上記動画データを再生するための映像信号を生成し、表示部に出力する。表示部は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。表示部は、制御部から入力された映像信号に基づいて、表示面に映像を表示する。表示部は、制御部から入力された映像信号に基づいて、点眼カレンダを表示面に表示したり、上記動画データを表示面で再生したりする。
【0031】
制御部は、集計テーブルおよび点眼情報214Bに基づいて、月ごとの点眼実施率を算出してもよい。この場合、制御部は、算出した点眼実施率を含む映像を表示するための映像信号を生成し、表示部に出力してもよい。
【0032】
点眼検出モデルは、制御部からセンシングデータ212Aが入力されると、入力されたセンシングデータ212Aが点眼動作に対応するデータに該当するか否かの判別結果を出力する学習モデルである。この学習モデルは、点眼動作に対応するセンシングデータ212Aを教示データとして学習がなされたモデルである。この学習モデルは、例えば、ニューラルネットワークを含む。この学習モデルは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などのディープニューラルネットワークを含んでいてもよい。点眼検出モデルは、センシングデータ212Aが点眼動作に対応するデータに該当するか否かの判別を行い、その判別結果を制御部に出力する。
【0033】
記憶部は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって構成されている。記憶部には、例えば、点眼カレンダ生成プログラムや点眼動作再現プログラムが記憶されている。記憶部には、点眼カレンダ生成プログラムが実行されることにより、1つの動作モニタリング装置20から得られた複数のモニタリングデータ214Aが記憶される。記憶部には、さらに、点眼カレンダ生成プログラムが実行されることにより、集計テーブル、点眼カレンダおよび点眼情報214Bが記憶される。なお、記憶部に対してあらかじめ、点眼情報214Bが記憶されている場合には、点眼カレンダ生成プログラムが実行されることにより、集計テーブルおよび点眼カレンダが記憶される。
【0034】
[表示手順]
次に、点眼情報処理システム100における点眼カレンダの表示手順について説明する。
【0035】
まず、医療従事者は、患者から預かった動作モニタリング装置20を通信装置30上に載置する。次に、医療従事者は、点眼情報処理装置40に対して点眼カレンダの表示を指示する。すると、点眼情報処理装置40の制御部は、通信部を介して、動作モニタリング装置20のセンサ部21cから複数のモニタリングデータ214Aを取得する。次に、制御部は、取得した複数のモニタリングデータ214A(センシングデータ212A)を順次、点眼検出モデルに入力することにより、入力したセンシングデータ212Aが点眼動作に対応するデータに該当するか否かの判別を点眼検出モデルにリクエストする。点眼検出モデルは、センシングデータ212Aが点眼動作に対応するデータに該当するか否かの判別を行い、その判別結果を制御部に出力する。制御部は、モニタリングデータ214Aの点眼検出モデルへの入力に対する応答として、判別結果を点眼検出モデルから取得する。
【0036】
制御部は、取得した判別結果を、点眼検出モデルに入力したセンシングデータ212Aに対応する時刻データ215Aとともに集計テーブルに格納する。制御部は、判別結果と時刻データ215Aとを互いに対応付けて集計テーブルに格納する。制御部は、このようにして、集計テーブルを生成する。次に、制御部は、集計テーブルに基づいて、点眼カレンダを生成する。具体的には、制御部は、集計テーブルに含まれる複数の時刻データ215Aに基づいて、点眼履歴をグラフィカルに表現する点眼カレンダを生成する。制御部は、集計テーブルに含まれる複数の時刻データ215Aと、点眼薬の用法についての点眼情報214Bとに基づいて、点眼薬の用法を満たす日と、点眼薬の用法を満たさない日とをグラフィカルに区別した点眼カレンダを生成する。
【0037】
制御部は、点眼カレンダを含む映像を表示するための映像信号を生成し、表示部に出力する。表示部は、制御部から入力された映像信号に基づいて、表示面に映像を表示する。表示部は、制御部から入力された映像信号に基づいて、点眼カレンダを表示面に表示する。このようにして、点眼情報処理システム100において点眼カレンダが表示される。
【0038】
最後に、制御部は、通信装置30上の動作モニタリング装置20(センサ部21c)に対して、通信部を介して、記憶部214に記憶された複数のモニタリングデータ214Aの消去を指示する。センサ部21cは、そのようや消去指示を受信すると、記憶部214内のモニタリングデータ214Aを消去する。
【0039】
[効果]
次に、動作モニタリング装置20の効果について説明する。
【0040】
近年、薬の用法を管理することへの要望が高まっている。特に、病院に通院する高齢の患者に投薬する場合、患者が自宅で薬を処方通りに使用しているか否かを把握することは、患者を治療する医師等の医療関係者にとっては極めて重要である。そこで、高齢者の薬の飲みすぎや飲み忘れを防ぐ服薬支援装置が一般に販売されている。しかし、このような服薬支援装置では、服用薬への対応が中心であり、点眼薬への対応は困難であった。そこで、点眼薬に対応した点眼動作検出装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0041】
ところで、患者が点眼薬を処方通りに使用しているか否かを把握するために、上述したような点眼動作検出装置を用いた場合、患者の点眼の仕方によっては、患者が点眼したにもかかわらず点眼していないと誤って判断される可能性がある。
【0042】
一方、本実施の形態では、保持部22に点眼薬容器10を保持させた状態で点眼薬容器10から点眼薬を眼に滴下するときの点眼薬容器10の、眼に対する位置を決めることができるようになっているので、患者によらず所定の姿勢で点眼を行うことができる。その結果、この動作モニタリング装置20で得られたモニタリングデータ214Aに基づいて、患者が点眼したか否かを正確に判断することが可能である。つまり、患者が点眼したか否かを正確に判断することの可能なモニタリングデータ214Aを取得することが可能である。
【0043】
本実施の形態では、位置決め部23を着脱可能に接続する接続部21Aが支持部21に設けられている。これにより、患者は、位置決め部23を外した状態で、点眼薬容器10を支持部21に嵌め込むことができる。その結果、患者は、点眼薬容器10を動作モニタリング装置20に対して容易に装着させることができる。
【0044】
本実施の形態において、支持部21が保持部22および位置決め部23と一体に形成されていてもよい。このようにした場合には、保持部22や位置決め部23がいつの間にか支持部21から脱落し紛失するのを防止することができる。
【0045】
本実施の形態では、位置決め部23は、眼の周囲に当接させる環状の当接部23aを有している。これにより、患者(ユーザ)は、例えば、
図3に示したように、当接部23aを眼の周囲に当接させた状態で点眼薬容器10から点眼薬を滴下させたときに点眼薬が眼に入るように顔の向きを調整することができる。その結果、患者によらず所定の姿勢で点眼を行うことができる。従って、この動作モニタリング装置20で得られたモニタリングデータ214Aに基づいて、患者が点眼したか否かを正確に判断することが可能である。つまり、患者が点眼したか否かを正確に判断することの可能なモニタリングデータ214Aを取得することが可能である。
【0046】
本実施の形態では、位置決め部23には、保持部22に点眼薬容器10を保持させた状態のときに患者(ユーザ)が点眼薬容器10に直接、もしくは保持部22を介して触れることの可能な開口部23bが設けられている。これにより、患者は、例えば、
図3に示したように、動作モニタリング装置20を顔の上に配置した状態で、点眼薬容器10を押圧することにより、点眼薬容器10から点眼薬を眼に滴下することができる。その結果、患者によらず所定の姿勢で点眼を行うことができる。従って、この動作モニタリング装置20で得られたモニタリングデータ214Aに基づいて、患者が点眼したか否かを正確に判断することが可能である。つまり、患者が点眼したか否かを正確に判断することの可能なモニタリングデータ214Aを取得することが可能である。
【0047】
本実施の形態において、保持部22が相対的に高い柔軟性を有する樹脂材料で形成され、支持部21および位置決め部23が相対的に低い柔軟性を有する樹脂材料で形成されていてもよい。このようにした場合には、患者(ユーザ)は、柔軟な保持部22を押圧して点眼薬容器10から点眼薬を吐出させることが可能であり、硬い支持部21および位置決め部23によって、点眼薬容器10の、眼に対する位置を決めることが可能である。その結果、患者によらず所定の姿勢で点眼を行うことができる。従って、この動作モニタリング装置20で得られたモニタリングデータ214Aに基づいて、患者が点眼したか否かを正確に判断することが可能である。つまり、患者が点眼したか否かを正確に判断することの可能なモニタリングデータ214Aを取得することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
10…点眼薬容器、20…動作モニタリング装置、21…支持部、21A…接続部、21a…筐体上部、21b…筐体底部、21c…センサ部、22…保持部、23…位置決め部、23a…当接部、23b…開口部、30…通信装置、40…点眼情報処理装置、40A…表示面、100…点眼情報処理システム、211…基板、212…モーションセンサ部、212A…センシングデータ、213…データ処理部、214…記憶部、214A…モニタリングデータ、214B…点眼情報、215…計時部、215A…時刻データ、216…通信部、217…電源部。