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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043448
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】液体処理ノズル
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/23 20220101AFI20240322BHJP
   B01F 25/431 20220101ALI20240322BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B01F23/23
B01F25/431
B05B1/02 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022161953
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】521475392
【氏名又は名称】株式会社アクアフューチャー研究所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 文彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 啓雄
【テーマコード(参考)】
4F033
4G035
【Fターム(参考)】
4F033BA02
4F033BA04
4F033DA01
4F033EA01
4F033NA01
4G035AB04
4G035AC02
4G035AE17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液体の流量が低くなった場合でも、キャビテーション処理部に対する流速を十分に確保することができる液体処理ノズルを提供する。
【解決手段】内コア本体20と外コア本体30の液体の流入側に位置するものを第一本体、他方を第二本体として、液体送液圧の付加に伴う第一本体の第二本体に対する軸線方向Oへの移動に抗して弾性変形するとともに送液圧が大きいほど変形量を増加させる弾性部材40が設けられ、送液圧が小さいほど第一処理部10Pと第二処理部10Sとの軸線方向の距離が小さくなるように、第一処理部の第一本体への配設位置と第二処理部の第二本体への配設位置とがそれぞれ定められている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を流通させる配管に組み込んで使用される液体処理ノズルであって、
前記配管へ組付けるための継手部が両端に形成され、前記液体の流通方向を軸線方向として該軸線方向に収容通路部が貫通形成されたノズルケーシングと、
前記ノズルケーシングの前記収容通路部に収容されるキャビテーションコアであって、前記軸線方向に貫通形態の液体流路が形成されるコア本体と、前記液体流路の内面から突出する形で設けられ、前記液体との接触面に複数の凹凸が形成されたキャビテーション処理部とを有し、前記ノズルケーシングの一方の継手部側から供給される前記液体を前記液体流路に受け入れて前記キャビテーション処理部の前記凹凸と接触させ、該接触に伴い前記液体が増速するときの減圧作用により該液体の溶存ガスを過飽和析出させて前記ノズルケーシングの他方の継手部側に流出させるキャビテーションコアとを備え、前記キャビテーションコアは、
前記コア本体が、前記ケーシングの収容通路部内に装着され該収容通路部の軸線方向に内コア装着孔が貫通形成された外コア本体と、前記外コア本体の前記内コア装着孔に軸線方向に摺動可能に挿入され、前記液体流路が軸線方向に貫通形成された内コア本体とを備え、
前記キャビテーション処理部は、前記内コア本体に突出基端側が結合された第一処理部と、前記軸線方向と直交する平面への投影にて前記第一処理部と一部又は全体が重ならない位置関係にて前記外コア本体に突出方向の基端側が結合されるとともに、前記内コア本体を前記軸線方向に関する半径方向に貫いて先端側が前記液体流路の内側に突出するように設けられた第二処理部とを有し、前記外コア本体に対する前記内コア本体の軸線方向への相対摺動に伴い、前記第一処理部と前記第二処理部とが軸線方向に相対的に接近離間移動するとともに、前記内コア本体の前記第二処理部の貫通位置には、前記第二処理部の前記第一処理部に対する接近離間移動を許容する移動許容貫通部が形成され、さらに、
前記内コア本体と前記外コア本体の前記液体の流入側に位置するものを第一本体、他方を第二本体として、液体送液圧の付加に伴う前記第一本体の前記第二本体に対する軸線方向への移動に抗して弾性変形するとともに前記送液圧が大きいほど変形量を増加させる弾性部材が設けられ、前記送液圧が小さいほど前記第一処理部と前記第二処理部との軸線方向の距離が小さくなるように、前記軸線方向における、前記第一処理部の前記第一本体への配設位置と前記第二処理部の前記第二本体への配設位置とがそれぞれ定められていることを特徴とする液体処理ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気体を溶存させた液体をキャビテーション処理するための液体処理ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
水の流路にベンチュリやオリフィスにより絞り部を設け、水が高流速化して通過する際の減圧効果により溶存空気を微細気泡として析出させるノズルが種々提案されている(特許文献1~7及び特許文献9)。特に、特許文献1、2に開示された方式は、流路の途中にねじ部材を配置し、そのねじ谷、あるいは対向するねじ部材間に形成されたギャップにて水流のさらなる高速化を図るものであり、キャビテーション効率を向上させてより高密度にナノバブルを発生できる旨が謳われている。ここで、キャビテーション効率を高めるには、キャビテーションポイントとなるねじ谷の流路断面内における配置密度(谷点密度)を増加させることが重要である。
【0003】
例えば、特許文献1、2、7においては、流路断面内にて同一平面上に複数のねじ部材を断面中心の周り配置することで、断面内の谷点密度を向上させる提案がなされている。また、同文献においては、液体流路の中心軸線方向(流れ方向)にて複数のねじ部材を互いにずれた位置に配置することが可能であり、それによってキャビテーションポイントとなる谷部に液体の流れを繰り返し接触させることができ、微細気泡の発生効率やガス溶解効率の更なる向上に寄与できる旨も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2016-178436号公報
【特許文献2】WO2016-195116号公報
【特許文献3】WO2013/011570号公報
【特許文献4】WO2010/055702号公報
【特許文献5】WO2013/012069号公報
【特許文献6】特開2011-240206号公報
【特許文献7】特許第6762461号公報
【特許文献8】特開2002-263678号公報
【特許文献9】特許6762461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の液体処理ノズルにおいては、ねじ部材等で構成されたキャビテーション処理部に対し十分な流速で液体が接触するよう、キャビテーション処理部が設けられる流路の断面積が求められる流量に応じて調整されている。近年、建築物内の水道分岐配管のすべての給水口からキャビテーション水を取り出せるようにするために、建築物に引き込まれる水道元配管に大流量のノズルを設置する、といったようなことも行われている。しかし、このような使用形態にあっては、分岐配管の1箇所のみでごく低流量にて水道が使用された場合、元配管に設置された大流量のノズルへの流通量も当然小さくなり、キャビテーション処理部に接触する水の流速が低下して、十分なキャビテーション効果が得られなくなってしまう問題があった。
【0006】
本発明の課題は、流通される液体の流量が低くなった場合でも、キャビテーション処理部に対する流速を十分に確保することができ、ひいては低流量領域でも十分なキャビテーション効果が得られる液体処理ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、液体を流通させる配管系に組み込んで使用される液体処理ノズルに関し、配管へ組付けるための継手部が両端に形成され、液体の流通方向を軸線方向として該軸線方向に収容通路部が貫通形成されたノズルケーシングと、ノズルケーシングの収容通路部に収容されるキャビテーションコアであって、軸線方向に貫通形態の液体流路が形成されるコア本体と、液体流路の内面から突出する形で設けられ、液体との接触面に複数の凹凸が分散形成されたキャビテーション処理部とを有し、ノズルケーシングの一方の継手部側から供給される液体を液体流路に受け入れてキャビテーション処理部の凹凸と接触させ、該接触に伴い液体が増速するときの減圧作用により該液体の溶存ガスを過飽和析出させてノズルケーシングの他方の継手部側に流出させるキャビテーションコアとを備える。そして、上記の課題を解決するために、以下のように構成されたことを特徴とする。
【0008】
すなわち、キャビテーションコアは、コア本体が、ケーシングの収容通路部内に装着され該収容通路部の軸線方向に内コア装着孔が貫通形成された外コア本体と、外コア本体の内コア装着孔に軸線方向に摺動可能に挿入され、液体流路が軸線方向に貫通形成された内コア本体とを備える。また、キャビテーション処理部は、内コア本体に突出基端側が結合された第一処理部と、軸線方向と直交する平面への投影にて第一処理部と一部又は全体が重ならない位置関係にて外コア本体に突出方向の基端側が結合されるとともに、内コア本体を軸線方向に関する半径方向に貫いて先端側が液体流路の内側に突出するように設けられた第二処理部とを有し、外コア本体に対する内コア本体の軸線方向への相対摺動に伴い、第一処理部と第二処理部とが軸線方向に相対的に接近離間移動するとともに、内コア本体の第二処理部の貫通位置には、第二処理部の第一処理部に対する接近離間移動を許容する移動許容貫通部が形成される。さらに、内コア本体と外コア本体の液体の流入側に位置するものを第一本体、他方を第二本体として、液体送液圧の付加に伴う第一本体の第二本体に対する軸線方向への移動に抗して弾性変形するとともに送液圧が大きいほど変形量を増加させる弾性部材が設けられ、送液圧が小さいほど第一処理部と第二処理部との軸線方向の距離が小さくなるように、軸線方向における、第一処理部の第一本体への配設位置と第二処理部の第二本体への配設位置とがそれぞれ定められている。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の流通される液体処理ノズルの構成によれば、液体の流量が低くなった場合でも、キャビテーション処理部に対する流速を十分に確保することができ、ひいては低流量領域でも十分なキャビテーション効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】 本発明の一実施形態の液体処理ノズルを低流量で流通した状態にて示す側面断面図。
図2図1の液体処理ノズルを大流量流通時の状態にて示す側面断面図。
図3図1におけるャビテーションコアを取り出して示す図。
図4図2におけるキャビテーションコアを取り出して示す図。
図5】 内コア本体を拡大して示す図。
図6】 外コア本体を拡大して示す図。
図7図1の液体処理ノズルを、流通方向を逆転しつつ低流量で流通した状態にて示す側面断面図。
図8】 同じく大流量流通時の状態にて示す側面断面図。
図9】 キャビテーション処理部を構成するねじ部材の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づき説明する。
図1に示す液体処理ノズル100は本発明の一実施形態となるものであり、ノズルケーシング50を備える。液体処理ノズル100の液体の流通方向Oにおいて、ノズルケーシング50の液体入口と液体出口との一方の位置する側を第一側(図2では図面左側)とし、他方の位置する側を第二側(図2では図面右側)として、ノズルケーシング50は、第一側を構成するケーシング本体50Bと第二側を構成するコア押え部50Aとからなり、いずれも金属(例えば真鍮等の銅合金(クロムあるいはニッケル等のメッキ層で覆われていてもよい)、ステンレス鋼等の鉄系材料)により構成されている。液体処理ノズル100は双方向に液体としての水道水を流通可能となっており、例えば順方向に通水する場合は第二側開口部55が流入側開口部として、第一側開口部54が流出側開口部としてそれぞれ機能し、逆方向に通水する場合はその逆となる。本実施形態においては、ノズルケーシング50の第一側開口部54を含む側が円筒状のケーシング本体50Bとして構成され、第二側開口部55を含む側がコア押え部50Aとして構成されている。
【0012】
ケーシング本体50Bは第二側端面にコア挿入口50pを開口する形で収容通路部56が形成されており、収容通路部56に挿入されたキャビテーションコア1の第二側端面よりもケーシング本体50の第二側端部が延出するとともに、該第二側端部の内周面に組立用雌ねじ部50gが形成されている。また、ケーシング本体50Bの第一側端部には、軸線方向の一端が第一側開口部54として開口し他端が収容通路部56に連通する形で、液体流路3の一部をなす第一側流路部50uが貫通形成されている。
【0013】
他方、コア押え部50Aの第一側端部の外周面には、ケーシング本体50Bの組立用雌ねじ部50gと螺合する組立用雄ねじ部50dが形成されており、その基端位置にはオーリング50eがはめ込まれている。また、コア押え部50Aを軸線方向に貫通する形で液体流路3の一部をなす第二側流路部50vが形成され、コア押え部50Aの第二側端面に第二側開口部55を形成している。
【0014】
ケーシング本体50Bの第一側端部には、図示しない配管へ組み付けるための雄ねじ形態の第一継手部51が刻設されている。他方、コア押え部50Aの第二側端部には袋ナットで構成された第二継手部50C(以下、袋ナット50Cともいう)が、スナップリング58を介して回転自在に嵌着されている。なお、雄ねじ形態の第一継手部51はこれを第二継手部50Cと同様の袋ナットで構成することも可能である。
【0015】
次に、キャビテーションコア1のコア本体1Mには、液体流路9Aが軸線方向に貫通形成されている。キャビテーションコア1はノズルケーシング50に対し、第一側開口部54及び第二側開口部55の一方から供給される液体が液体流路9Aを経て他方より流出可能となる位置関係にて、外周面側が収容通路部56の内周面に対し隙間嵌めとなるよう軸線O方向に挿入されている。具体的には、コア本体1Mは外周面が円筒面状であり、収容通路部56に対しコア挿入口50pから挿入されている。
【0016】
コア本体1Mの材質は、たとえばABS、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアセタール、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)などの樹脂であるが、ステンレス鋼や真鍮などの金属やアルミナ等のセラミックスとしてもよく、用途に応じて適宜選択される。また、ねじ部材10の材質はたとえばステンレス鋼であるが、用途に応じて、より耐食性の高いチタンやハステロイ、インコネル(いずれも商標名)などの耐熱合金を用いてもよいし、耐摩耗性が問題となる場合は石英やアルミナなどのセラミック材料を用いることも可能である。特に、金属コンタミを嫌う分野(たとえば半導体製造分野)への適用には、石英の採用が好適であり、この場合は樹脂製のキャビテーションコア1はたとえばPTFEで構成するとよい。
【0017】
コア本体1Mには、液体との接触面に複数の凹凸が形成されたキャビテーション処理部10P,10Sが、液体流路9Aの内面から複数突出する形で設けられている。これらキャビテーション処理部10P,10Sは、ノズルケーシング50の一方の継手部50C側から供給される液体を液体流路9Aに受け入れてキャビテーション処理部10P,10Sの凹凸と接触させ、該接触に伴い液体が増速するときの減圧作用により該液体の溶存ガスを過飽和析出させてノズルケーシングの他方の継手部側に流出させる。
【0018】
本実施形態においてキャビテーション処理部10P,10Sは、図9に示す如く、凸部をねじ山B、凹部をねじ谷Vとして形成したねじ部材である。ただし、キャビテーション処理部10P,10Sを、多孔質焼結金属や多孔質セラミックスによりねじ山を刻設しないピン部材として形成してもよく、この場合はその外周面に不定形に形成された気孔により凹凸形成されることとなる。
【0019】
内コア本体20と外コア本体30は、いずれも外周面から液体流路9Aの内周面に向けて貫通する形態でねじ装着孔が形成されている。第二処理部10S及び第一処理部10Pをなすねじ部材は、頭部及び脚部の基端側がねじ装着孔内に保持される一方、脚部の先端側が液体流路9Aの内面から突出し、キャビテーション処理部を形成する。内コア本体20と外コア本体30はそれぞれねじ装着孔が複数形成され、そのそれぞれにねじ部材が装着されている。液体は、脚部に形成された雄ねじ部と接触するに伴い、ねじ谷部内にて増速する時の減圧作用により溶存ガスを過飽和析出させる。
【0020】
次に、図1示すように、コア本体1Mは、ケーシング50の収容通路部56内に装着され、収容通路部56の軸線O方向に内コア装着孔32が貫通形成された外コア本体30と、外コア本体30の内コア装着孔32に軸線O方向に摺動可能に挿入され、液体流路9Aが軸線O方向に貫通形成された内コア本体と20とを備える。
【0021】
図3に示すように、本実施形態において、内コア本体20に設けられる第一処理部10Pと外コア本体30に設けられる第二処理部10Sは、いずれもM1.4の0番1種なべ小ねじを4本十字状にレイアウトしたものを一組として、それぞれ軸線O方向に複数組が配置されている。第一処理部10P側の複数の十字のねじ組は、軸線Oと直交する平面への投影にて互いに重なり合う位置関係で配置されている。一方、第二処理部10S側の複数の十字のねじ組は、軸線Oと直交する平面への投影にて互いに重なり合う位置関係で、第一処理部10P側の十字のねじ組に対し、軸線O周りの角度位相が45°ずれて配置されている。図5及び図6は、内コア本体20及び外コア本体30のそれぞれ詳細を示すものである。
【0022】
図3に示すように、キャビテーション処理部10P,10Sは、内コア本体20に突出基端側が結合された第一処理部10Pと、軸線O方向と直交する平面への投影にて第一処理部10Pと一部又は全体が重ならない位置関係にて外コア本体30に突出方向の基端側が結合されるとともに、内コア本体20を軸線O方向に関する半径方向に貫いて先端側が液体流路9Aの内側に突出するように設けられた第二処理部10Sとを有する。外コア本体30に対する内コア本体20の軸線O方向への相対摺動に伴い、第一処理部10Pと第二処理部10Sとは軸線O方向に相対的に接近離間移動する。そして、内コア本体20の第二処理部10Sの貫通位置には、第二処理部10Sの第一処理部10Pに対する接近離間移動を許容する移動許容貫通部22が長孔状に形成されている。
【0023】
以下、内コア本体20と外コア本体30の液体の流入側に位置するものを第一本体、他方を第二本体とする。図1の例では、白抜きの矢印で示すように、図面左側が液体の流入側であり、内コア本体20が第一本体、外コア本体30が第二本体となる。該構造のコア本体1Mには、送液圧の付加に伴う第一本体の第二本体に対する軸線O方向への移動に抗して弾性変形するとともに送液圧が大きいほど変形量を増加させる弾性部材40が設けられている。そして、軸線O方向における、第一処理部10Pの第一本体(内コア本体20)への配設位置と第二処理部10Sの第二本体への配設位置とは、送液圧が小さいほど第一処理部と第二処理部との軸線方向の距離が小さくなるように、それぞれ定められている。
【0024】
本実施形態において弾性部材40は、内コア本体20の外周面に装着されたコイルばねであり、内コア本体20の外コア本体30への挿入側とは反対の端部に形成された周方向のフランジ23と、外コア本体30の対応する端面との間で伸縮保持される。内コア本体20の外コア本体30から突出している側の開口周縁には、軸線O方向外向きに拡径する形態でテーパ面21が形成されている。また、これと反対側に位置する外コア本体30の開口周縁にも軸線O方向外向きに拡径する形態でテーパ面31が形成されている。
【0025】
図面左側からの液体流入圧が小さい状態では、図1に示すように、液体流路9A内の流量は減じられる。このとき、内コア本体20はテーパ面21及び第一処理部10Pが受ける送液圧が減少するので、弾性部材40の弾性力に抗して内コア本体20(第一本体)が外コア本体30に対し摺動する変位は小さくなる。その結果、軸線O方向にて第一処理部10Pと第二処理部10Sとは互いに密接した状態となり、それら第一処理部10Pと第二処理部10Sとの軸線O方向の間隙には液体が回り込みにくくなる。その結果、第一処理部10Pと第二処理部10Sと間の液体流通面積が実質的に減少し、流量が減じられていても、第一処理部10P及び第二処理部10Sと接触する液体の流速は大きく保たれる。すなわち、流通される液体の流量が低くなった場合でも、キャビテーション処理部に対する流速を十分に確保することができ、ひいては低流量領域でも十分なキャビテーション効果が得られることとなる。
【0026】
図面左側からの液体流入圧が大きい状態では、図2に示すように、テーパ面21及び第一処理部10Pが受ける送液圧が増大し、内コア本体20(第一本体)は弾性部材40を軸線O方向において弾性部材40を大きく変形させる形で外コア本体30内に押し込まれる。これにより、第一処理部10Pは第二処理部10Sから離間し、第一処理部10Pと第二処理部10Sとの軸線O方向の間隙に液体が回り込みやすくなる。その結果、第一処理部10Pと第二処理部10Sと間の液体流通面積は実質的に拡大し、流通される液体の流量を大きく確保できる。
【0027】
図7及び図8は、液体の流通方向が逆転した場合であり、図7が低流量時、図8が大流量時の状態をそれぞれ示す。この場合、外コア本体30が第一本体、内コア本体20が第二本体となることで、図1及び図2と同様の効果が達成される。
【符号の説明】
【0028】
1 キャビテーションコア
1M コア本体
100 液体処理ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9