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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004347
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】布製品の生産方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240109BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240109BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20240109BHJP
   A41H 43/02 20060101ALN20240109BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
G06Q30/06 320
A41H43/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103972
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】306026027
【氏名又は名称】株式会社ワールド
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信輝
(72)【発明者】
【氏名】小堺 利幸
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA24
3C100AA32
3C100BB04
3C100BB05
3C100BB13
3C100BB31
3C100BB39
3C100CC02
3C100CC03
3C100EE16
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】反物を無駄にするのを抑制することができる、布製品の生産方法、生産システム、生産管理部を提供する。
【解決手段】本発明に係る布製品の生産方法は、顧客から布製品の注文を受け付けるステップと、所定期間内に受け付けた複数の前記注文に対応する前記布製品の柄を、それぞれ、反物の生地に所定の長さずつ印刷するステップと、前記反物から、前記注文毎に、前記柄が印刷された領域を切断し、前記布製品の製造を行うステップと、製造された前記布製品を出荷するステップと、を備えている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客から布製品の注文を受け付けるステップと、
所定期間内に受け付けた複数の前記注文に対応する前記布製品の柄を、それぞれ、反物の生地に所定の長さずつ印刷するステップと、
前記反物から、前記注文毎に、前記柄が印刷された領域を切断し、前記布製品の製造を行うステップと、
を備えている、布製品の生産方法。
【請求項2】
複数の前記柄が設定されており、
前記各注文は、前記複数の柄から選択された柄に基づいて行われる、請求項1に記載の布製品の生産方法。
【請求項3】
前記布製品の種類に応じて、前記印刷の長さが設定されている、請求項1に記載の布製品の生産方法。
【請求項4】
顧客から布製品の注文を受け付ける受付部と、
前記受付部にて受け付けた注文に対応する前記布製品の柄を、反物に印刷する印刷部と、
前記印刷部から搬送された前記反物から、前記注文毎に、前記柄が印刷された領域を切断し、前記布製品の製造を行う製造部と、
を備え、
前記印刷部では、所定期間内に受け付けた複数の前記注文に対応する前記布製品の柄を、それぞれ、前記反物の生地に所定の長さずつ印刷する、布製品の生産システム。
【請求項5】
生産管理部をさらに備え、
前記生産管理部は、
前記受付部で受け付けた前記注文に基づいて、前記布製品の柄に関する印刷情報、及び印刷対象となる生地情報を、前記印刷部に送信するステップと、
前記受付部で受け付けた前記注文に基づいて、前記製造部に、製造情報を送信するステップと、
前記印刷部から、前記印刷の進捗情報を受信するステップと、
前記製造部から、前記製造の進捗情報を受信ステップと、
前記布製品の生産の進捗を記録するステップと、
を実行するように構成されている、請求項4に記載の布製品の生産システム。
【請求項6】
前記生産管理システムは、
前記製造部から、前記布製品の出荷情報を受信するステップと、
前記顧客に対し、前記布製品が出荷されたときには、その旨を連絡するステップと、
をさらに実行するように構成されている、請求項5に記載の生産システム。
【請求項7】
前記生産管理部は、前記受付部から送信された前記注文に関する情報に基づいて、前記布製品の生産に関する生産情報を生成し、
前記印刷情報及び前記生地情報は、前記生産情報から抽出することで作成される、請求項5に記載の布製品の生産システム。
【請求項8】
前記生産管理部は、前記印刷部及び前記製造部における進捗情報に変化があった場合には、その進捗情報の少なくとも1つを前記顧客に通知するように構成されている、請求項5に記載の布製品の生産システム。
【請求項9】
前記受付部は、前記布製品の出荷までの基準時間を前記顧客に対して表示し、
前記生産管理部は、
前記基準時間に基づいて決定された前記布製品の出荷期限を前記製造部に通知し、
前記布製品の前記出荷期限に基づいて、前製造製部から受け付けた前記布製品の出荷予定日を閲覧可能に登録するように構成されている、請求項6から9のいずれかに記載の布製品の生産システム。
【請求項10】
前記生産管理部は、
前記基準時間に基づいて決定された、前記印刷がなされた前記反物の出荷期限を前記印刷部に通知し、
前記反物の前記出荷期限に基づいて、前記印刷部から受け付けた前記反物の出荷予定日を閲覧可能に登録するように構成されている、請求項6から10のいずれかに記載の布製品の生産システム。
【請求項11】
顧客から布製品の注文を受け付ける受付部と、前記受付部にて受け付けた注文に対応する前記布製品の柄を、反物に印刷する印刷部と、前記印刷部から搬送された前記反物から、前記注文毎に、前記柄が印刷された領域を切断し、前記布製品の製造を行う製造部と、を含む布製品の生産システムにおいて、生産管理を行う、布製品の生産管理部であって、
前記受付部で受け付けた前記注文に基づいて、前記布製品の柄に関する印刷情報、及び印刷対象となる生地情報を、前記印刷部に送信するステップと、
前記受付部で受け付けた前記注文に基づいて、前記製造部に、製造情報を送信するステップと、
前記印刷部及び前記製造部の少なくとも一方から、前記布製品の生産の進捗を受領し、記録するステップと、
を実行するように構成されている、布製品の生産管理部。
【請求項12】
前記印刷部から前記製造部への前記反物の搬送に先立って、前記製造部に前記製造情報を送信する、請求項11に記載の布製品の生産管理部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布製品の生産方法、生産システム、生産管理部に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、顧客がインターネットを介して商品を購入するための多数のECサイトが登場している。このようなECサイトとしては、例えば、特許文献1に記載のように、顧客に対して注文した商品の出荷までの納期を算出し、これを顧客に提示した上で、受任を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-740808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ECサイトで扱われる布製品は、注文を受けてから、反物の生地に印刷が行われ、これを裁断した上でこの生地に対して縫製や圧着を行って発送している。従来は、一つの反物に同じ柄を複数印刷し、ここから同じ製品を生産していた。しかしながら、注文の数が反物の印刷長さに満たない場合には、反物が無駄になるという問題があった。本発明は、この問題を解決するものであり、反物を無駄にするのを抑制することができる、布製品の生産方法、生産システム、生産管理部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
項1.顧客から布製品の注文を受け付けるステップと、
所定期間内に受け付けた複数の前記注文に対応する前記布製品の柄を、それぞれ、反物の生地に所定の長さずつ印刷するステップと、
前記反物から、前記注文毎に、前記柄が印刷された領域を切断し、前記布製品の製造を行うステップと、
を備えている、布製品の生産方法。
【0006】
項2.複数の前記柄が設定されており、
前記各注文は、前記複数の柄から選択された柄に基づいて行われる、項1に記載の布製品の生産方法。
【0007】
項3.前記布製品の種類に応じて、前記印刷の長さが設定されている、項1または2に記載の布製品の生産方法。
【0008】
項4.顧客から布製品の注文を受け付ける受付部と、
前記受付部にて受け付けた注文に対応する前記布製品の柄を、反物に印刷する印刷部と、
前記印刷部から搬送された前記反物から、前記注文毎に、前記柄が印刷された領域を切断し、前記布製品の製造を行う製造部と、
を備え、
前記印刷部では、所定期間内に受け付けた複数の前記注文に対応する前記布製品の柄を、それぞれ、前記反物の生地に所定の長さずつ印刷する、布製品の生産システム。
【0009】
項5.生産管理部をさらに備え、
前記生産管理部は、
前記受付部で受け付けた前記注文に基づいて、前記布製品の柄に関する印刷情報、及び印刷対象となる生地情報を、前記印刷部に送信するステップと、
前記受付部で受け付けた前記注文に基づいて、前記製造部に、製造情報を送信するステップと、
前記印刷部から、前記印刷の進捗情報を受信するステップと、
前記製造部から、前記製造の進捗情報を受信ステップと、
前記布製品の生産の進捗を記録するステップと、
を実行するように構成されている、項4に記載の布製品の生産システム。
【0010】
項6.前記製造部で製造された布製品を、前記顧客に出荷する出荷部をさらに備え、
前記生産管理システムは、
前記出荷部から、前記布製品の出荷情報を受信するステップと、
前記顧客に対し、前記布製品が出荷されたときには、その旨を連絡するステップと、
をさらに実行するように構成されている、項5に記載の布製品の生産システム。
【0011】
項7.前記生産管理部は、前記受付部から送信された前記注文に関する情報に基づいて、前記布製品の生産に関する生産情報を生成し、
前記印刷情報及び前記生地情報は、前記生産情報から抽出することで作成される、項5または6に記載の布製品の生産システム。
【0012】
項8.前記生産管理部は、前記印刷部及び前記製造部における進捗情報に変化があった場合には、その進捗情報の少なくとも1つを前記顧客に通知するように構成されている、項5または6に記載の布製品の生産システム。
【0013】
項9.前記受付部は、前記布製品の出荷までの基準時間(LT)を前記顧客に対して表示し、
前記生産管理部は、
前記基準時間に基づいて決定された前記布製品の出荷期限を前記製造部に通知し、
前記布製品の前記出荷期限に基づいて、前記製造部から受け付けた前記布製品の出荷予定日を閲覧可能に登録するように構成されている、項6から8のいずれかに記載の布製品の生産システム。
【0014】
項10.前記生産管理部は、
前記基準時間に基づいて決定された、前記印刷がなされた前記反物の出荷期限を前記印刷部に通知し、
前記反物の前記出荷期限に基づいて、前記印刷部から受け付けた前記反物の出荷予定日を閲覧可能に登録するように構成されている、項6から9のいずれかに記載の布製品の生産システム。
【0015】
項11.顧客から布製品の注文を受け付ける受付部と、前記受付部にて受け付けた注文に対応する前記布製品の柄を、反物に印刷する印刷部と、前記印刷部から搬送された前記反物から、前記注文毎に、前記柄が印刷された領域を切断し、前記布製品の製造を行う製造部と、を含む布製品の生産システムにおいて、生産管理を行う、布製品の生産管理部であって、
前記受付部で受け付けた前記注文に基づいて、前記布製品の柄に関する印刷情報、及び印刷対象となる生地情報を、前記印刷部に送信するステップと、
前記受付部で受け付けた前記注文に基づいて、前記製造部に、製造情報を送信するステップと、
前記印刷部及び前記製造部の少なくとも一方から、前記布製品の生産の進捗を受領し、記録するステップと、
を実行するように構成されている、布製品の生産管理部。
【0016】
項12.前記印刷部から前記製造部への前記反物の搬送に先立って、前記製造部に前記製造情報を送信する、項10に記載の布製品の生産管理部。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、布製品の生産に当たって、反物を無駄にするのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る布製品の生産システムのブロック図である。
図2図1の生産管理部のハードウェア構成の一例である。
図3図1の生産管理部のソフトウェア構成の一例である。
図4図1の印刷部の概略を示すブロック図である。
図5】印刷装置による生地への印刷を示す図である。
図6図1の製造部の概略を示すブロック図である。
図7】布製品の生産フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る布製品の生産システムの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る布製品の生産システムのブロック図である。図1に示すように、この生産システムは、顧客から布製品の注文を受ける受付部1と、注文に応じて反物の生地に印刷する印刷部2と、印刷が施された反物の生地から布製品の製造を行う製造部3と、を備えている。また、受付部1、印刷部2、及び製造部3における情報は生産管理部4によって管理されている。なお、印刷部2及び製造部3は、1つだけではなく、複数設けることもできる。以下、各部について説明する。
【0021】
<1.受付部>
受付部1は、インターネット等の通信を介して顧客からの注文を受け付ける公知のECサイトを有している。このECサイトには、パーソナルコンピュータやスマートフォン等の通信機器からのアクセスが可能であり、顧客は、ECサイトに表示される衣類などの布製品から所望の布製品を選択し、注文を行う。例えば、同種の布製品であっても、複数の大きさ、複数のデザインを設定することができ、この中から顧客が所望の大きさやデザインを選択することができる。このとき、精算も行う。また、注文が確定すると、ECサイトから顧客へ電子メールなどで注文確認を送信する。また、顧客はECサイトにアクセスすることで、注文の進捗状況を確認することができる。さらに、後述するように、生産管理部4から生産状況のステータスの変更が通知された場合には、それを顧客に対して送信する。
【0022】
<2.生産管理部>
<2-1.ハードウエア構成>
まず、生産管理部4のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態に係る生産管理部のハードウェア構成の一例である。
【0023】
この生産管理部4は、制御部41、記憶部42、外部インタフェース43、及び通信インタフェース44が電気的に接続されたコンピュータであり、例えば、汎用のコンピュータ、専用のコンピュータ等で構成することができる。なお、図2では、外部インタフェース43及び通信インタフェース44を「外部I/F」及び「通信I/F」と記載している。
【0024】
制御部41は、CPU、RAM、ROM等を含み、プログラム及びデータに基づいて各種情報処理を実行するように構成される。記憶部42は、例えば、HDD、SDD等の補助記憶装置で構成され、生産管理プログラム421、注文管理データ422、及び生産管理部4を駆動するための種々のデータを記憶する。生産管理プログラム421は、顧客からの注文の受付から、布製品の生産工程の管理を行うためのプログラムであり、後述するように、受付部1、印刷部2、及び製造部3における情報の管理を行う。制御部11は、この生産管理プログラム421を解釈及び実行することで、後述する各ステップの処理を実行するように構成される。
【0025】
外部インタフェース43は、外部装置と接続するためのインタフェースであり、接続する外部装置に応じて適宜構成される。本実施形態では、外部インタフェース43が、表示装置5及び入力装置6に接続されている。表示装置5は、例えば、ディスプレイであり、上述した入力、出力等を表示するのに利用される。ディスプレイは、特には限定されず、公知の液晶ディスプレイ等を用いることができる。入力装置6は、キーボード、マウスなどであり、上述した入力を行うためのものである。その他、外部インタフェース43には、各種の外部装置を適宜接続することができる。例えば、入力装置及び出力装置を兼ねたタッチパネルディスプレイを用いることができる。
【0026】
通信インタフェース44は、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等であり、有線又は無線通信を行うためのインタフェースである。すなわち、通信インタフェース44は、他の装置と通信を行うように構成された通信部の一例である。この生産管理部4は、ネットワークを介して、受付部1、印刷部2、及び製造部3などに接続することができる。
【0027】
なお、生産管理部4の具体的なハードウェア構成は、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部41は、複数のプロセッサを含んでもよい。また、制御部41は、FPGAにより構成されてもよい。記憶部42は、制御部41に含まれるRAM及びROMにより構成されてもよい。
【0028】
<2-2.ソフトウエア構成>
次に、生産管理部4のソフトウエア構成について説明する。図3は、生産管理部4のソフトウエア構成を示すブロック図である。図3に示すように、生産管理部4の制御部41は、記憶部42に記憶された生産管理プログラム421をRAMに展開すると、その生産管理プログラム1421をCPUにより解釈及び実行して、注文受付部411、発注ファイル作成部412、発注部413、ステータス管理部414、及びラベル作成部415を備えたコンピュータとして機能する。
【0029】
注文受付部411は、受付部1から注文内容を受信し、その内容を注文管理データ422に記憶する。注文管理データ422は、顧客情報、注文の内容、布製品の生産状況、及び発注ファイル等が含まれる。発注ファイル作成部412は、顧客からの注文に基づいて印刷部2や製造部3に注文を行うための発注ファイル(生産情報)を作成する。この発注ファイルには、例えば、以下のような事項が含まれている。
・注文日時
・注文番号
・商品品番
・生地品番
・生地名称
・カスタマイズ情報
・印刷部情報
・製造部情報
【0030】
カスタマイズ情報とは、既定の商品に対して顧客が選択したカスタマイズに関する情報であり、例えば、商品の色、形状などを既定外にしたい場合などに生成される。印刷部情報及び製造部情報は、発注を行うべき印刷部2及び製造部3を特定するための情報である。例えば、複数の印刷部2及び製造部3がある場合には、注文の状況に応じて、その中から選択される。なお、この発注ファイルに含まれる情報は一例であり、他の情報を含んだり、一部を削除してもよい。
【0031】
このような発注ファイルが作成されると、発注部413によってこれが印刷部2及び製造部3に送信される。このとき、発注ファイルの内容の全てが印刷部2及び製造部3に送信されなくてもよく、布製品の生産に当たって、印刷部2及び製造部3に必要な情報のみを送信することができる。ここで、発注ファイルに基づいて印刷部2に送信する情報が、本発明の印刷情報及び生地情報に相当する。また、発注ファイルに基づいて製造部3に送信する情報が、本発明の製造情報に相当する。
【0032】
ステータス管理部414は、印刷部2及び製造部3における布製品の生産状況を取得し、記憶部42に記憶する。例えば、印刷部2が印刷を完了したとき、製造部3が印刷部2から生地を受領したとき、製造部3が製造を完了したときなどのステータスが変更されたときに、これを記憶部42に記憶する。また、受付部1に対して、ステータスの変更の通知も行う。
【0033】
ラベル作成部415は、製造部3において製造が完了したとき、出荷ラベルを作成する。作成された出荷ラベルは、製造部3に送信され、この出荷ラベルを梱包された布製品に貼付けて、顧客へ出荷を行う。
【0034】
その他、生産管理部4は、印刷部2における生地の在庫状況も管理することができ、注文された布製品に用いられる生地の在庫がない場合には、その発注を印刷部2に行うことができる。
【0035】
<3.印刷部>
次に、印刷部2について図4及び図5を参照しつつ説明する。図4は印刷部のブロック図、図5は印刷装置の概略図である。
【0036】
印刷部2は、布製品のデザイン(柄)の印刷を行うものであり、生産管理部4と同様のハードウェア構成を有する管理部21と、印刷を行う印刷装置22とを有している。管理部21は、印刷部2における布製品の印刷の管理を行う。まず、印刷部2は、生産管理部4から発注ファイルを受け取ると、これを記憶し、発注ファイルに基づいて、印刷を行う。
【0037】
印刷装置22は、例えば、インクジェットプリンタなどの印刷機であり、図5に示すように、生地に対して布製品のデザインの印刷を行う。
【0038】
まず、発注ファイルにしたがって、生地が選択され、その生地に印刷が施される。例えば、シャツなどの布製品では、1つの製品につき1~2m程度の長さに亘って、そのデザイン81~84が生地8に印刷される。すなわち、注文された布製品の大きさやデザインによって、生地に対する印刷の長さが設定されている。印刷装置22では、同種の生地の注文をまとめて、その生地8を反物から繰り出して、注文毎にデザイン81~84を順に印刷する。
【0039】
反物に巻き取られている生地8が、例えば50m程度であるとき、注文が1反分を超えている場合には、発注を受けた後、速やかに印刷を行う。例えば、1製品につき2mの印刷を行う場合には、25以上の注文があれば、印刷を行う。一方、注文が一反分に満たない場合には、注文が一反分を超えるまで、あるいは発注を受けてから所定期間を超えるまで印刷を待ってもよい。あるいは、注文が一反分に満たなくても印刷を開始することもできる。
【0040】
こうして、印刷が完了すると、印刷部2は、印刷が施された反物を製造部3に発送する。デザインの印刷が一反分に満たない場合には、反物から生地8の印刷が施されている箇所をカットし、製造部3に発送することもできる。また、印刷部2の管理部21は、印刷完了、反物の発送などのステータスの変更を生産管理部4に送信することができる。
【0041】
<4.製造部>
次に、製造部3について図6を参照しつつ説明する。図6は製造部のブロック図である。
【0042】
製造部3は、デザインの印刷が施された生地から布製品を製造するものであり、生産管理部4と同様のハードウェア構成を有する管理部31と、製造工場32とを有している。管理部31は、製造部3における布製品の製造の管理を行う。まず、製造部3は、生産管理部4から発注ファイルを受け取ると、これを記憶し、製造のスケジュールなどの準備を行う。発注ファイルは、印刷部2から反物が発送される前に受領されるが、印刷部2から反物が発送されるときに受領するようにしてもよい。また、この管理部21は、印刷部2からの反物の受領、製造の開始、製造の完了、布製品の出荷などのステータス変更の情報を逐次、生産管理部4に送信する。
【0043】
製造工場32は、機械又は人力により、反物から一製品分の生地をカットし、発注ファイルにしたがって布製品の製造を行う。ここでいう製造とは、生地の圧着や縫製等により、布製品を製造することをいう。
【0044】
こうして、製造が完了すると、製造部3の管理部31は、生産管理部4に対し、製造の完了を通知する。上記のように生産管理部4は、製造の完了に伴って出荷のためのラベルを生成するので、製造部3の管理部31は、これを取得する。取得された出荷ラベルは、梱包された布製品に貼付けられた上で顧客に出荷する。
【0045】
<5.布製品の生産フロー>
次に、布製品の生産フローについて、図7を参照しつつ説明する。図7は布製品の生産フローを示すフローである。
【0046】
図7に示すように、顧客が受付部1に対して注文を行うと(ステップS11)、受付部1が注文を受け付け(ステップS12)、その注文情報が受付部1から生産管理部4に送信される。生産管理部4は、注文を受け付けると、注文の内容を注文管理データ422として記憶部42に記憶するとともに、上述した発注ファイルを作成する(ステップS13)。作成された発注ファイルは、印刷部2及び製造部3に送信される。
【0047】
印刷部2は、発注ファイルを受領すると(ステップS15)、これに基づいて、生地への印刷を開始する(ステップS16)。そして、生地への印刷が完了すると、これを製造部3に発送する(ステップS17)。なお、生地への印刷の完了を生産管理部4に通知することもできる。また、印刷部2において、発注ファイルに記載の生地の在庫がない場合には、その状況と、生地の入荷スケジュールを生産管理部4に通知することもできる。
【0048】
上記のように、製造部3は、印刷部2からの反物の受領に先立って発注ファイルを受領するため(ステップS14)、製造のスケジュールを作成することができる。そして、印刷部2から生地を受け取ると(ステップS18)、これを生産管理部4に通知する。これに伴い、生産管理部4は、製造部3が生地を受領したとのステータス変更を行い、注文管理データ422を更新する(ステップS19)。
【0049】
製造部3において製造が開始されると(ステップS20)、これを生産管理部4に通知する。これに伴い、生産管理部4は、製造部3が製造を開始したとのステータス変更を行い、注文管理データ422を更新する(ステップS21)。また、生産管理部4は、製造の開始を受付部1に送信する。これにより、受付部1は、顧客に対し、製造が開始されたことをメールにて通知する(ステップS22)。
【0050】
製造部3において製造が完了すると(ステップS23)、これを生産管理部4に通知する。これに伴い、生産管理部4は、製造部3が製造を完了したとのステータス変更を行い、注文管理データ422を更新するとともに、出荷ラベルを生成する(ステップS24)。そして、生産管理部4は、出荷ラベルを製造部3に送信する(ステップS25)。製造部3が出荷ラベルを受領すると、これを梱包した布製品に貼付けた上で、布製品の発送を行う(ステップS26)。これに伴い、製造部3は布製品の発送を生産管理部4に送信する。生産管理部4が布製品の出荷の旨を受領すると、ステータス変更を行うとともに(ステップS27)、これを受付部1に送信する。これにより、受付部1は、顧客に対し、布製品が出荷されたことをメールにて通知する(ステップS28)。
【0051】
<6.特徴>
以上の実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
(1)顧客の注文毎に反物の生地に印刷を行い、印刷された生地を切断して製造を行うため、多品種生産を短期間で行うことが可能となる。また、製品毎に複数のデザインを1つの反物に印刷するため、1種のデザインを1つの反物に印刷するのに比べ、生地が無駄になるのを抑制することができる。
【0052】
(2)生産管理部4が、受付部1、印刷部2、及び製造部3における生産状況を逐次管理し、注文管理データ422を更新するようにしているため、スケジュールを含めた生産状況を容易に把握することができ、例えば、顧客に対して生産状況を通知することができる。
【0053】
<7.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
【0054】
(1)上記実施形態では、印刷部2において、インクジェットプリンタにより生地にデザインの印刷を行っているが、インクジェットプリンタ以外の印刷装置22を用いることもできる。すなわち、上述したように、複数のデザインを一の反物の生地に印刷できるのであれば、印刷装置22の構成は特には限定されない。
【0055】
(2)生産管理部4におけるステータスの変更は上記以外のものを適宜追加することができる。また、必要に応じて、上述したステータス変更の一部を省くこともできる。
【0056】
(3)受付部1は、布製品の出荷までの基準時間を前記顧客に対して表示することもできる。この場合、生産管理部4は、基準時間に基づいて決定された布製品の出荷期限を、例えば、発注ファイルを介して製造部3に通知することができる。また、受付部1は、布製品の出荷期限に基づいて、製造部3から受け付けた布製品の出荷予定日を閲覧可能に登録することができる。
【0057】
また、生産管理部4は、基準時間に基づいて決定された、印刷がなされた反物の出荷期限を印刷部に通知することもできる。この場合、受付部1は、反物の出荷期限に基づいて、印刷部2から受け付けた反物の出荷予定日を閲覧可能に登録することができる。
【0058】
(4)上記実施形態における、受付部から顧客への連絡のほか、受付部、生産管理部、印刷部、及び製造部間の情報の伝達は、電子メールのほか、種々の方法を採用することができる。例えば、インターネットを介したSNS等の会員サービス、SMSなどを利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 受付部
2 印刷部
3 製造部
4 生産管理部
8 生地
81 印刷デザイン(柄)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7